信長「集団的自衛権」 (57)
秀吉「殿!!なんということをおっしゃるのですか!!」
信長「しかし個別的自衛権のみでは領地を守れぬと思うてな・・・」
秀吉「いいですか殿!!我ら織田家は南蛮文化その他もろもろが自由に行き交い文化、技術が発達し、『ふぇみにずむ』なるものや、平和主義というものを唱える者共が多くおります。集団的自衛権などというものを唱えればすぐにあまた団体が抗議しますぞ!!」
秀吉「侵略戦争はしないこと、自衛に限った軍事力であることを宣言した織田家家訓9条にも反してしまいませんか?」
信長「外を見てみぃ、東は武田の騎馬軍団、関東の猛者北条、北陸の覇者上杉、西は毛利に、長宗我部、九州も手つかずじゃ。もはや我らは個別的自衛権では領地を守れぬ・・・家康どのが飲み込まれるのを黙って見てろというのか・・・」
秀吉「このままでは良くないということは分かっておりますが・・・前途多難でありますゆえ・・・殿がそれでも進みたいと思うならこの猿お供しましょう・・・」
信長「ありがたい猿じゃ」
ゆっくり書いてゆきます
信長「さて集団的自衛権行使容認のために、法案を作った、これを織田家評定(話し合い)で可決することを目指す」
秀吉「殿の独断でなさらぬのですか?」
信長「たわけ、そのようなことをすれば国家二分の戦となる。そもそももはやワシは名ばかりの存在、かつて程の権限などあってなきようなもの」
信長「我らに賛同するものは?」
猿「家臣団のうち過半数(2/3)は賛同すると思いますが、もう半数はフェミニズムに感化されたもの、9条を子のように愛し、戦を毛嫌いしているもの・・・」
秀吉「もはや『集団的自衛権』と聞いただけで火を噴くがごとく騒ぎ、もはや説得など無駄」
秀吉「しかし、こん評定では殿を支援するものが多数であるゆえ・・・」
信長「反発も多かろうがとにかく夏までには可決させるぞ!猿!!」
秀吉「は!」
「集団的自衛権行使容認」のニュースはすぐに知れ渡った。
秀吉「殿!評定の時間ですぞ。」
信長「議場はどうなっておる。」
秀吉「評定は始まっておらぬにかかわらず、反対勢力が声大きく反対と言っております。
道は険しゅうございます・・・」
信長「分かった。ところでやけに城下が騒がしいがどうなっておる?」
秀吉「デモが頻発しております」
~城下~
\ワァーーー/\キャーーーーー/
僧侶「戦争法案反対!!」
明智家臣「戦争反対!!徴兵反対!!」
ねね「戦争したくなくて震える!」
千利休「信長公のやっておられることは9条違反であり、戦争へと進む悪法!まさに鬼畜の所業!この法案に断固反対すべし!」
\そうだそうだー/
~議場~
明智「殿!これは家訓に反するのではございませぬか?殿にも城下の声が聞こえておりましょう!殿は民意を否定なさるのですか?」
信長「家訓には「自衛に限る」とある。これに集団的自衛権があるは当然じゃ」
細川「殿!これまでは家訓で認められるは『個別的自衛権のみ』であったはず。解釈を突如変えるは悪しき様なり」
信長(うむむ・・・困った。違反違反とうるさいのぅ)
秀吉「小声(殿!家訓に詳しき者ども、かつ我らに近き者共を柴田に頼みつれてきました。彼らにこの法案が何ら違反してないことを証明させましょう)」
信長「小声(よくやった!猿)」
明智「殿!お答えください。これは家訓違反でござらぬか?」
柴田「それについては儂が答えよう」
柴田「ここに家訓をよく知る者共を連れてきた。諸君にかの法案が違反しておるか否か聞けば良い」
明智「なら聞く!これは違反ではござらぬか?
家訓学者A「集団的自衛権の行使が許されることは、従来の見解の基本的論理の枠内では
説明がつかず、法的安定性を大きく揺るがすもので違反だ。軍の海外での活動は、他家の武力行使と一体化するおそれも極めて強い。」
学者B「仲間の国を助けるため海外に戦争に行くことは、家訓9条に明確に違反している。
また、他家の軍隊への後方支援というのは我が家の特殊概念であり、戦場に前から参戦せずに後ろから
参戦するだけの話だ」
学者C「内閣法制局は、政権と共に安全保障法制を作成し、ガラス細工と言えなくもないが、
ぎりぎりのところで保ってきていた。しかし今回の関連法案は、これまでの定義を踏み越えており、違反だ」
議場「・・・・・・・・」
信長(人選ミスではないか柴田のたわけが!) チラっ
秀吉(オワタ)チラっ
柴田(死にたい)
明智「殿!これは明らかに違反であるということではありませぬか?ここにいる者共皆違反と言っております。」
秀吉「違反でないと言っている者もおる」
明智「それでは答えになってりませぬ!」
その夜
信長「・・・・・・・・」
秀吉「・・・・・・・・」
信長「猿よ。わしは決めたぞ。諦める」
秀吉「は、それはつまり集団的自衛権を認めぬということですか?」
信長「違う。我が意見に賛同するもの多数。ならばそれで良い。馬の耳に念仏を唱えるが様。滑稽であった。」
信長「わしはいかに反対があろうとも、多数はである限り推し進める。」
信長「明日、三河へ行く。」
秀吉「どういうことで?」
信長「外堀を埋めるのじゃ。他家の惨状を知らしめ、他家の懇願を受ければ民意も違ってくるやもしれぬ。
何より、わしは徳川に義理を果たさねばならぬ」
その頃
~城下~
Thousands of 農民「安保はんたーい!」「戦争はんたーい!」「徴兵復活!」
佐久間「民衆の声がしきりに大きくなっておるように見える・・・どうしたものか。ん?あれは・・・」
ねね「子供を戦争に行かせない!!」
Tens of 女中「戦争法案反対!!」
佐久間「な、なにをしておるのじゃ!!」
ねね「戦争法案に反対しておるのです。我が夫、秀吉も魔王に毒されてしまった故、私が立ち上がるのです。」
佐久間「おなごのくせに、かようなことをするなど・・」
ねね「おなごのくせにとは何事じゃ。平和を愛しておれば軍など不要じゃ!!男は愚かなのじゃ。
『ふぇみにずむ』なるものを前田殿の教えていただき気づいたのじゃ。」
ねね「私もこれよりは評定に参加する。では、さらば。私は多くのものにかの法案の危険を知らせねばならない」
佐久間「行ってしまわれた。世も末とはこのことじゃ。」
~数日後~
~三河・徳川~
徳川家・評定
石川数正「当評定・議会場において織田信長公をお招きした。」
織田信長「徳川と織田は鉄よりも堅き絆で結ばれており、我らは長きにわたり互いに助け合ってきた。
われらが互いに平和を守り、両家の反映と安寧を保ってきた。現在・・・我が家では集団的自衛権を可決させるがために、多くの
者が立ち上がり、賛同している。徳川は我が宿敵武田とも果敢に戦っておるが、我が軍はそんな勇敢たる徳川軍を助けられない。
そのような義理も人情も無きことをやめるため、わしは夏までに集団的自衛権を認め、徳川の窮地にはせ参じようと思う。
私を鬼畜だというものがいる。友すら救わない、見て見ぬふりをするものこそが鬼畜である。
徳川家臣団「よく言った」「徳織同盟の前に敵はおらず!」\わぁーーーーー/
疲れたから休憩(´・ω・`)
~尾張~
柴田「殿はどうなった?」
秀吉「家康公と手を取り語らったそうな。徳川家臣団も織徳同盟も安泰と一息ついたそうな。」
柴田「ひとまず成功か。さてあとは可決するだけといったところ」
秀吉「おそらく『家訓違反』、『戦争につながる』、『集団的自衛権の具体的行使範囲』、『徴兵制』など厳しく追及されようか・・・」
柴田「しかしのぅ・・・夏までに可決するには強行採決以外になかろうぞ・・・(´・ω・`)」
秀吉「殿たりとて最低限の議論はするじゃろう。わしらは殿のため準備をするのみ。お主・・・同じ轍をふむなよ?」
柴田「は、いやまいったァ。今回は必ずや、我が殿のお力となる家訓学者を連れておるぞ。」
秀吉「違反か否か、これは水掛け論争とならん。殿の為、押し負けぬよう」
柴田「そうじゃのぅ・・・」
柴田「違反していないという論調の学者は用意しておる。」
~城下~
キャー!!わぁーーー!!
農民『戦争反対!!』
プラカード『家訓違反!!重罪人悪魔信長の独壇場』
僧侶『戦争行きたくないじゃん!!』\そうだそうだー/
~城~
柴田「日に日に数が増えておる。」
柴田「なんとまぁ・・・『戦争行きたくない』とは利己的よのぅ・・・」
小姓「世も数年で代わり、常識は非常識となり、この世は恐ろしいものですね」
柴田「うむ」
翌日
コケコッコーーー
信長「いい朝じゃ。さて支度を『殿ーーーーーー!』
信長「な、何事じゃ。戦か?武田が攻め寄ったか!?」
小姓(蘭丸)「こ、これを。街中にまわっております!」
パサッ
信長「『重臣、【戦争行きたくないと申すもの利己的と囃し立つ】』これは、なんと!?なぜこのようなもの。わしは何も知らんぞ!?』
小姓(蘭丸)「兎に角!御支度を!重臣を集めております!」
信長「そうじゃ。これは根も葉も無き戯言。政はかようなもので倒れんぞ」
~信長邸広間~
秀吉「これは一体なんということじゃ。」
柴田「(´;ω;`)」
丹羽「これはなんの証拠もなき戯言でござろう。いちいち手を講ずるまでも無きかと。」
滝川「しかし、これでは反対派に油を注ぐもの。最早弁解無きままには評定で議論も進みませぬぞ」
秀吉「しっかし、如何にしてこのようなデマが広まったのか。全く理解できぬ。昨夜我らが飲んでいたことをなぜ知っておるのだ。」
丹羽「これ以上、殿無きままに語るは無礼ぞ。殿を待つべし。」
数分後
信長「一体何が起きたと言うんじゃ。摩訶不思議じゃ」
秀吉・滝川・丹羽「重臣ともどもさっぱり分からぬのです」
柴田「」
秀吉「先程から様子がおかしいぞ。どうしたというのじゃ柴田よ」
滝川「柴田殿、体調が悪いのか?」
柴田「そうじゃないんじゃ・・・」
秀吉「・・・お主もしや、『轍を踏んだ』か?」
柴田「殿!申し訳ございませぬ!酒に惑いて、戯言が出てしまう次第。腹を切る覚悟もできております。」
丹羽「貴様、酔っていたとは言え、『酔っていた』などとふざけた事で、殿のまつりごとに傷をつけるか。お主の首一つで足りぬ。」
信長「お主が腹を切れば、事態が収まるなら、即ち切るべし。されど、そうではない。」
信長「真実がどうであったなどどうでもよい。まだこれは戯言であり、それ以上証拠はなかろうぞ?」
柴田「それが、我が小姓、平和主義者で、『9条を守るためならば口を閉じず』と申す故。
信長「証拠があるということか。」
信長「その言葉が重臣から出たものである故問題なのじゃ。」
信長「是非に及ばず。」
重臣「は?」
秀吉「『柴田は一身上の都合により、政務から離れておった。』『重臣にあらず』とするのは。」
信長「ふふん。猿め。」
信長「これにて一件落着。一気に可決させるぞ!」
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