妻「そっ、そんな!いくらなんでも無茶ですよ!」
息子「そうだよ父さん!畑なんて良いじゃないか!また耕せばいい!」
農家「貴様ぁ!!貴様それでも農家の息子かぁああ!!!」バコッ!
息子「ぐふっ! でも、でも父さん……それじゃあ父さんは……!」
農家「・・・・・・やむを得ない・・・事態は一刻を争う。」
娘「パパ、死んじゃうの?」
農家「なに、心配は要らない…すぐに帰ってくるとも」
息子「くぅ…っうぅっ…うっ…ぐぅっう…」
農家「ほら!泣くんじゃない!まだ死ぬと決まった訳じゃないんだ!」
妻「帰って来てくださいね…必ず」
農家「ああ、約束しよう。必ず帰って来るとも」
農家「それじゃあ…そろそろ時間だ…………達者でな…お前たち……」ガチャッ…ギィー…
息子「父さん!!!父さぁぁぁあああん!!!!!!」
────畑
農家「酷いありさまだな…」
暴風の使徒「ようやく来たか、随分遅かったじゃないか。ええ??家族に別れの挨拶でもしてきたのか?」
農家「・・・・語る言の葉は無い。」
暴風の使徒「フン…農家と言うのはどこまでも憎たらしい奴等だ…誰が貴様らに雨を恵んでやってると思ってるんだ」
農家「構えろ。」
暴風の使徒「そんなに早く閻魔様に会いたいか?良いだろう。相手をしてやる」スッ……
農家「」クワッ!
農家「死に晒せ腐れ外道めがああああ!!!!!」ズドドドドドド!!ホアタァ!
暴風の使徒「当たる物か!!我を何と心得る!!我は至る所に存在する風ぞ?自然の大いなる力の前には拳なぞ無意味ッッ!!」スススゥー…
農家「ンンンンンンアアアアアアアアアア!!!!」ドガガガガガ!
暴風の使徒「下らぬ…実に下らぬ…バカの一つ覚えの様にひたすら拳を打つ…その程度で我を捉えられると思うな!!」ススッスイスイー
暴風の使徒「大いなる自然の力の前に膝ま付くがいい…ッ!」コォォォ…
暴風の使徒「奥義……鎌鼬………!!!」シュルシュルシュル………
━━━━━━━━━━━━━ザシュッ!!ドシュゥ!!!グシャッ!!ズシ ゛ャ ゛ッ゛!!
農家「かっ………は…………」ドサッ………
暴風の使徒「(やはりヒトは脆いな…この程度の風で壊れるとは)」
暴風の使徒「まぁ終わった事はいい、これで畑を荒し放題だ」
???「そこの姉ちゃん……そうは問屋が卸さねぇよ………」
暴風の使徒「誰だ!!」バッ
米農家「随分…派手にやってくれたじゃねえか……どう落とし前つけるつもりだ…ええ…?」ゴ ゴ コ ゴ ゴ
暴風の使徒「ほう…少しは骨のありそうな奴じゃないか。まぁ自然の力の前には無力だかな」
小麦農家「おおっと!俺を忘れて貰っちゃあ困るぜ」
暴風の使徒「ネズミが一匹増えた位変わりはせん…時間の無駄だ…まとめてかかってこい…!」
米農家「ふっ…甘く見られたものだ…」スッ…
小麦農家「米農家さん」
米農家「ああ、わかっているとも。」
暴風の使徒「作戦会議は終わったかな?」
米、小麦農家「」カッ!!!!
米、小麦農家「炭水ノ化物……極…」グググ……
米、小麦農家「我等炭水化物を作りし者なり、我等貧民に汝の力を貸したまえ…」
召喚陣「おっ!仕事か!働くでー!」
暴風の使徒「(随分と風変わりな術だなぁ…いつまで待てばいいんだろ)」
炭水ノ化物「汝が我を現世に呼び覚ました者達か……」ズスズ…
米農家「左様。我等の営みを妨害せんとする輩が一匹、」
小麦農家「そいつを退治して貰いたく呼び起こした次第である。」
暴風の使徒「(おっ、出番かな?)如何にも!我は大いなる自然の一部、風の三姉妹、暴風の使徒なり!!」デデン
炭水ノ化物「あれを退治すれば良いのか?」
米農家「いかにも。」
小麦農家「頼めるか?」
炭水ノ化物「やれるだけやってみよう。貴様らには何時も世話になっているからな…」
暴風の使徒「ふっ!そうは簡単にいかないよ!」ビュオオオ
炭水ノ化物「無意味!我とて自然の力の端くれ!その程度のそよ風では傷ひとつ付かん!!」
暴風の使徒「ハンッ!人にいいように使われてる分際で何を!!」ズビビビッ!
炭水ノ化物「貴様とて風力発電なるものに利用されているでは無いか!!!」ドゴッ!!!
暴風の使徒「ぐふぅ…!?」
米農家「やはりな。」
小麦農家「何がです?」
米農家「自然の力には自然の力を、目には目を歯には歯をって奴だ」
小麦農家「一応俺たち人間も自然の一部なんじゃ…? 」
米農家「俺達が自然の力に太刀打ち出来ないのはイブとアダムのせいだと言われている。まぁホンとかは分からんがな」
なんか重いんだが?
暴風の使徒「低俗な分際で…よくも…よくもこの我に……傷を…」ワナワナ
炭水ノ化物「フン…所詮、貴様もその程度と言う事だ」
暴風の使徒「ゆ…るさん……」ピクピク
炭水ノ化物「んー?聞こえんなァ~」
暴風の使徒「死ねええええええええ!!!!!今すぐ地獄に配送してやるぅううううう!!!!」ギャリリリリリリリリ
米農家「(あれ風の音じゃねぇだろ……)」
炭水ノ化物「必殺…!!餅突き三唱…八卦連撃…!!」
<ァ~ヨイショ!
<ヨイショ!
<ヨイショォ!
<ンイショ!
<ヨイショォオ!
<ハァ~ドッコイショオ!
暴風の使徒「ぐっ… うぐぅ…ぬぅぅぅうう……!!」バキッドゴッメキッ バゴォォン…!
ナレーション「その連撃はかの奈良県のあの和菓子屋の高速餅つきの如く、恐ろしくも美しい見るものを魅了する連撃だった。」
暴風の使徒「がふっ……ごふっ……」ヒュルルル……サァー…
米農家「勝負あったな」
小麦農家「ですな。存外暴風の使徒もあっけなかったですなぁ…」
炭水ノ化物「仕事は終わった。我は栄養素界に還らせてもらうがよろしいな?」
米農家「ああ、助かったよ。また来年もよろしく頼む」
炭水ノ化物「ふっ…出来れば平和に一年過ごして欲しいものだな…」
農家's「HAHAHAHAHA!!」
炭水ノ化物「では帰るとしよう。達者でな農民諸君よ」
米農家「ああ」
召喚陣「おっ!お帰りですか!任せてください!」
───葬儀場
息子「父さん…!父さん!!!どおしてだよお゛お゛お ゛ お ゛ お ゛! ! ! ! 」
娘「パパ…?ねぇママ、パパ死んじゃったの…?」
妻「っうぅ…うっぅう…ぐぅっ…!」
息子「あ ゛ あ ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ あ ゛あ ! ! ! ! 」
米農家「落ち着け息子さん!」
息子「離せ!!離せええ゛え゛え゛! ! 」
小麦農家「ぬんっ!」どすっ
息子「くふっ!」パタ…
娘「お兄ちゃん…?」
小麦農家「おーぅ娘ちゃん心配無い、ちょっとお兄ちゃん疲れてたみたいでさ、ちょーっと寝てるだけだよー」
おーぷん重いから寝るわ
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