金髪「付き合ってくンない?」眼鏡「へ?」 (101)
図書室
金髪「わっかんねーってばぁー…何? 数式?」
眼鏡「…」
金髪「なンで計算するのに色々と憶えなきゃイケないワケ? はぁ~…」グテー
眼鏡「…あのね金髪、さん」
金髪「あン?」チラリ
眼鏡「確かに初めは不満に思うことがあるだろうけど…まずは諦めないで始めないとさ…」
金髪「……」ジー
眼鏡「わかるものも…わからない、っていうか……う、うん…」
金髪「なんか」
金髪「ムカつくその喋り方、何、気ぃー使われてる感? っていうの?」
眼鏡「えっ!?」
金髪「教室で友達っぽいやつらと居るときと、全然違うじゃん」
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眼鏡(見らてたのか…いやこうやって『勉強を教えてくれ』と頼んできたぐらいだし事前に観察されてたか…)
金髪「バカならバカって言えばいいのに、お前は物覚えがワルイあほだってさ」
眼鏡「そっ! …そんなコト、ないって」
金髪「ふーん」ジィー
眼鏡(うっ…俺も何やってるんだ本当…今頃だったらとっくに家でゲームか本を読んでる時間なのに…)チラリ
金髪「つぅかマジで、こんなん覚える必要あんの。イミフなんですけど、マジで」
眼鏡(変な気を起こすんじゃなかった…胃が超痛い…気まずい、気まずい、凄く気まずい)
眼鏡「───ッ…!?」ハッ
眼鏡(しまった、露骨に反応するんじゃない俺! どんな展開でさえも平静を装え、緊張をするな、常に平常心!)ペラリ
眼鏡(わかってる。俺にはわかってるんだ、こんなシチュエーションなんて裏を返せば…とんだ罠が待ち構えてるって事ぐらい…)
金髪「ねぇってば」
眼鏡「ひゃいっ!?」ビクゥ
金髪「さっきからナニ読んでんの? 小説?」
眼鏡「あ、うん…まぁそんな感じのやつだけど…」
金髪「へェ~~」マジマジ
眼鏡(見られてる…)
金髪「そういやお前らって不思議だよなぁ、なんでだろ」
眼鏡「えっ? な、なにが?」
金髪「トモダチ同士で喋ってンのに一人、勝手に本を読んでるヤツが居ても気にしないよな」
眼鏡「そ、そうかな? いや、そんなヤツ居るかな…」
金髪「…いやお前のことなんだけど?」
眼鏡「へっ?」
金髪「だからさ、教室でまっ黒髪の連中が集ってる時に」
金髪「その中でお前一人で本読んでるじゃん。なのに、誰も気にしてないっていうかさ」
眼鏡「あぁ~…ああ、なるほど…」
金髪「あれ、なんで? お前の姿はトモダチになかったコトにされてるワケ?」
眼鏡「ああいうのは、うん、本を読んでる時は介入禁止って言うか、そっとしておくのが約束っていうか」
金髪「ふんふん」
眼鏡「むしろ読み終わって感想待ち? 所もあるワケで…」
金髪「ヘンなの」
眼鏡「……」
眼鏡「そ、そう思う?」
金髪「思うわ、すっげー思うわ。アタシには分かんないね、そんなの身勝手じゃん」
眼鏡「まぁ分からないこともないけど…それが普通のことと、言うか」
金髪「ふーん」クルクル
眼鏡「うん…」
シーン
眼鏡(もう駄目かもしれん、このままでは俺の胃が爆散して終わりだ)ダラダラ
眼鏡(帰りたい。気まぐれで了解するんじゃなかった、ヲタどもで癒やしトークを楽しみたい…)
金髪「今日は、ありがと」
眼鏡「…え?」
金髪「急に頼んだのに……良いよって言ってくれて、あんがと」
眼鏡「えっ、あぁいや! 別に俺も特に用事なんてなかったし!」
金髪「そっか」
眼鏡「だから気にしないで良いって言うか、俺も勉強を教えるの嫌いじゃないし…」
金髪「へぇ、そういうのが好きなら教師とか向いてっかもね。凄いじゃん」
眼鏡(嘘だよ馬鹿! 全然好きじゃないわ! …全然向いてないっつーの)
眼鏡「……」
眼鏡「…あと、ここだけど」スッ
金髪「ん?」
眼鏡「ここ計算間違ってて、さっき教えた計算式を使わないと解けないから」スラスラ
金髪「お? んんっ?」
眼鏡「──つまりこういうこと」
金髪「…、いやわからん。なにイキナリ呪文みたいなモン書きだしたの?」
眼鏡「呪文!? いやね? 教えたと思うんだけど、あれ? 俺教え忘れたかな…?」
金髪「いや違うね、あたしが完全に忘れてる」
眼鏡「そんな力説されても…もう一回教えるから、じゃ、じゃあ今度はちゃんと憶えてね…」
金髪「まかせな」コックリ
眼鏡(大丈夫かよ…)
~~~
金髪「う~~~~~ん! ひゃー! 超勉強したー! 久しぶりだわー!」グググ
眼鏡(いや全然してない。二時間通して一個ぐらいしか、公式憶えてない)
金髪「やっぱ頭イイやつに教えてもらうと、こっちまで頭良くなる気ぃするわー!」
眼鏡「そ、そっか。お役に立ててこちらも嬉しい限り…」
金髪「うん!」
眼鏡「………」
金髪「どした?」
眼鏡「いや! 別になのも無い!」
金髪「そお? めっちゃこっち見てたじゃん」
眼鏡「っ……何でもないから、別に」
金髪「ならいいや。しっかし、遊ばずに図書室だけでこんな時間まで学校いるのマジ初めて、ウケる」
眼鏡「えっと、俺こっちだから」
金髪「おっ?」
眼鏡「ん、だからー…えっとー…また教室で、っていうかその、さよならっていうか」
金髪「おぉう! さよなら!」ブンブン
眼鏡「さ、さよなら」
くる
眼鏡(恐ろしく何も無かった。来ると思ってた、教室でワイワイ賑やかなリア充共のネタばらしが…)ドキドキ
眼鏡(ドッキリでしたー! なになに、女の子と勉強会なんてリアルであると思った? ただの罰ゲームでーすみたいな!)
眼鏡「はぁ…」ガックシ
眼鏡(無駄に構えてて、無駄に疲れた、早く家に帰ろう)トボトボ
眼鏡(…そういや、深夜アニメを消化しておかないとな。三話目だがそろそろ視聴止め時ぐらいは考えておかないと…)
がしっ
眼鏡(ん? 袖に違和感が…)
金髪「言うの忘れてた、眼鏡」
金髪「明日もお願い。勉強教えて、一緒に」くいくいっ
眼鏡「えっ? 明日も…?」
金髪「あったりまだろ、何、あれだけで勉強できるようになるワケ? 違うよね?」
眼鏡「そ、そりゃまぁそうだけど…」
金髪「だめ?」
眼鏡「…っ…っ…」
金髪「……」
眼鏡「…ウッス…」
金髪「おー! ありがとー!」ニコニコ
自宅
キャー! センパイのエッチー!
眼鏡「……」ボォー
眼鏡(明日もお願い、とか)
眼鏡「ぐぅぅ…だぁぁっ…!」ゴロン
眼鏡「やめろぉぉおお~…そんなことをあんな、あんな、感じでお願いするんじゃなぁいッ…!」ゴロンゴロン
眼鏡(なんだコレ、あれか? エロ同人誌的なやつですか? そのうち互いの距離が縮まり───)
眼鏡(──今までのお礼と称して『エッチさせてあげよっか?』とか言われちゃうのか! ガハハ! しねよ俺…)
ピタリ
眼鏡「期待などするべからず!三次元に希望などありはしない!」
眼鏡「……」
眼鏡(確か兄貴がそんな同人誌持ってたな…ぐぁあ! 煩悩退散ッ!)
次の日 図書室
金髪「なんで今日のお前、死にそうな顔してるワケ?」
眼鏡「気にしないで…」ズーン
金髪「うーん、あっ! そっかそっか! なるほど!」ポン
眼鏡「うん…?」
金髪「──オナったの?」コソコソ
眼鏡「っ~~~!? ばっ! 違うわ!」
金髪「ンだよ違うのか、つか逆に怪しくね? その反応、ウケるんですけど~?」
眼鏡「待て待て! そ、そういうことを普通に男子に言うか…!?」
金髪「くっくっくっ…」
眼鏡「あ…」カァァ
眼鏡(か、からかわれたのか…馬鹿みたいに反応してしまった…)プイッ
金髪「いや~イイ反応するね、マジで。周りの男どもは軽くスルーすんのにさ、やっぱ面白いわ」
眼鏡「…そういうのは嫌いだ、今度からはやめてくれ…」
金髪「ん。そういうのならやめる、ごめん」
眼鏡「…ん…」
金髪「くすくすくす」
眼鏡「な、なんだよ? まだ何かあんのっ?」
金髪「いやね、あんたやっと普通に喋ってくれたなってさ」
眼鏡「…っ」
金髪「ヘンに気取ってるて言うか、イイコぶってたし。イイんだっての、こんな奴に気を使わなくても」
眼鏡「別にそんなことない…ことも、なきにしもあらずというか…」モゴモゴ
金髪「ふーん」ニヤニヤ
眼鏡「い、良いから勉強! 勉強をするぞ! ほら!」
金髪「はいはい、今日もよろぴくセンセぇー」
眼鏡「うぐっ」
金髪「にひひ」
眼鏡(非常にやり難い…手玉に取られてる感がどうにも…)
~~~
眼鏡(あれ?)ピタリ
金髪「ぐぉぉお…わっっかんね、わっかんねぇ…」
眼鏡「この計算式…」
金髪「んあ? なによ?」
眼鏡(あってる。昨日教えた公式をちゃんと使えてる、答えは間違ってるけど)チラリ
金髪「なーに? なんか間違ってた?」
眼鏡「いや、えっと、もしかして復習した?」
金髪「………」
金髪「……し、したけど?」
眼鏡「お。やっぱりか、ちゃんと公式使えてる。まぁ答え間違ってるけど…」
金髪「えーっ!? んじゃ意味無いじゃん!」
眼鏡「いやいや、普通に凄いよ。計算は間違ってないんだから、後はニアミス的なものだと思うし」
眼鏡「──ここだ、数字を書き間違ってる、ここで計算しなおせば良いんじゃねえかなって」
サラサラ
金髪「ん…」
眼鏡「ほら正解になった、惜しかったなぁ」
金髪「…」
眼鏡「え、なに? どした?」
金髪「実はちょいヤル気がなくなって来た…」
眼鏡「うそだろ…! え、ただのニアミスでヤル気そがれるっ?」
金髪「うん…ツマンネーやめたい、遊びたいって気分になった…」
眼鏡(忍耐力がなさ過ぎる…間違いなんて普通にあることだろ…)
金髪「あーー勉強なんてやめよっかなぁーーー」ぽいっ
眼鏡「……」
眼鏡「…わかった、それならこうしよう」クイッ
金髪「んあ?」
眼鏡「無事にあと一時間、勉強ができたら──駅前のクレープ奢ってあげるわ」カチャ
金髪「え、うそっ!? あのたっけー奴!? 噂のめたんこ盛りクレープを!?」
眼鏡(あれ予想以上に食いついてきた…)
眼鏡「お、おうともさ…ただし勉強を続けられたらだ、どうだい、少しはヤル気になったんじゃ…」
金髪「眼鏡! おい眼鏡! これはどうやって解けばいいワケっ?」ぐいぐい
眼鏡「お、おおう」
金髪「さっさと教えな。そんでもって食いに行くぞ、ほらはやく!」
眼鏡(ちょろい…)
眼鏡「えっと、ここは今までの公式でありながら掛け算が使われくるやつで…」
金髪「ほうほう」
~~~
眼鏡「はい、これ」スッ
金髪「ひゃー!! なんだこれ、すっげぇええ! もう、言葉に出来ないぐらい……デケェ!!」
眼鏡(軽く顔が隠せるぐらいの大きさとか、噂通りの大きさだな…)
眼鏡「そんなに嬉しい? つか、食べられるのかそれ…」
金髪「食べる。超甘み欲してるから、脳みそが」ぱくぱく
眼鏡「そりゃまぁ……とにかく良かった、喜んでもらえたようで」
金髪「もぐもぐ」
眼鏡「……」
金髪「…くう?」
眼鏡「えっ!? いや良いって! 全部食えるっしょ? 俺は別に全然…!」
金髪「冗談だよ、ばーか。これはあたしのモン、ご褒美だもんねー」モグモグ
眼鏡「えぇその通りだからね…うん…」
眼鏡(そもそも甘いの苦手だしな。食ってる姿、見てるだけで胸焼けしそうだわ)
金髪「ねえ眼鏡」
眼鏡「…うん?」
金髪「よく知ってんね、この店。噂になってたけど女子だけの間で流行ってた噂だったのにさ」
眼鏡「あぁ、まぁ色々とね」
金髪「ふーん、そっか」モグモグ
眼鏡「……」
金髪「もしかしなくても、コレか?」ピッ
眼鏡「小指…? ぶっ! ち、違う違う! 居ないっつーの! 全然違う!」
金髪「またあやしい反応するよな眼鏡…」ケタケタ
眼鏡「ぐぅぅ」
金髪「ま。見たまんま彼女とかいなさそーだし、まさか、男どもで食いに来てるとか…?」
眼鏡「やめろ…そういった話題は…」
金髪「つぅかぶっちゃけると、お前ら黒髪どもって仲良すぎね? 見てて思うし、ゲイかよって」
眼鏡「違う違う違う…っ!」
金髪「違うの? ほら最近とか深夜にアニメでやってるじゃん、ぼーいずらぶ? 的な?」
眼鏡「…見てるの…?」
金髪「暇な時は」
眼鏡(まぁ見るよな当たり前か…アニメだし頭使わずに無理せず見れるからな…)
金髪「んでゲイなの?」
眼鏡「違う、女子ラブ、女体超好き、おっ、女の子だいすき!」
金髪「おっ…?」
眼鏡「…聞き逃してくれ」
金髪「いや絶対におっぱ…」
眼鏡「あー! あー! 聞こえない、きーこーえーなーい!」
金髪「くっくっくっ」
眼鏡「…はぁ…」
眼鏡(なに俺はナチュラルにぶっちゃけようとして…馬鹿か、気をつけろ本当に…)
「あっ、なに金髪じゃーん」
眼鏡「!」ビックーン
金髪「おっ? おーおー、なにしてンの?」
「買い物ー、カレシがおごってくれるとかでさー」
金髪「カレシってあんたそれ、パパだろ」
「えー! 意味わかんないしぃ、それにぃ──」チラッ
眼鏡「……」スッ
「──今日はお寿司食べれるから、超楽しみなんだよねぇー!」
金髪「ふーん、そうなんだ」モグモグ
「つか、あんたそれ噂のクレープじゃない? 金無いって言ってたくせにさぁ」
金髪「ゲヘヘ…こりゃご褒美なのさ…」
「? 意味わかんない、けどまぁ金ヨユーあるなら今から遊びに行かない?」
金髪「ん。無理無理、用事あっから、また今度な」
「ノリわるい~」
金髪「わるかーない、全然悪くないね、むしろ超ノリいいほうだから」
眼鏡「……」スタ
スタスタスタ
~~~~
眼鏡(そういや本屋で新刊買うの忘れてた…)ボー
眼鏡「いつもなら楽しみで仕方ないのにな…なんで忘れちまうかね…」
どしん!
眼鏡「うわぁ!?」
金髪「おい」
眼鏡「な、なに、なんですか…!?」
金髪「何勝手に、一人で、あたしを置いていって帰ってるんだよ…」ズズズ
眼鏡「えぇっ?! だ、だって普通に考えて…!」
金髪「……」ジィー
眼鏡「…俺居たら迷惑、なるっていうか…迷惑をかけたくなかったというか…」
金髪「なにそれ、誰が迷惑になるって言った? あたし一言でも眼鏡に言った?」
眼鏡「言って無いけどさ…!」
金髪「じゃあ決め付けんなよ。迷惑とか、面倒とか、そういうモンを知ったようにすんな」
眼鏡「……」
金髪「んだよ…」ハァハァ
眼鏡(息が切れて…追いかけて、というか探しまわってたのか…)
眼鏡「あ…クレープ…」
金髪「ん? あ、ヤッベ! いつの間にか乗ってたやつ落としちゃってるじゃーん! あーっ!?」ドロー
眼鏡「う…」
金髪「クッソー! 眼鏡! お前のせいだからな! ったくよーほんとによー…!」ぱっぱっ
眼鏡「ま、待て! ティッシュあるからこれで…!」シュシュッ
眼鏡「制服にティッシュで拭いたら逆に汚れるから、あった自販機だ、水を買って」
金髪「おっ?」
眼鏡「ティッシュを濡らして、よし、これで軽く拭いてくれ…!」スッ
金髪「おお…」グリグリ
眼鏡「ばっ! ぐりぐりすんな! ティッシュの繊維が入っちゃうだろ…!」バッ
金髪「う、うん」
眼鏡「だから…こうやって…うん…」ゴシゴシ
眼鏡「こ、これでよしっと…」スッ
金髪「…あんがと」
眼鏡「いやっ! これは俺のせいっていうか、もったいない事をさせちまって…!」
金髪「そりゃそーだ! お前のせいだな、訂正する、お前が悪い!」
眼鏡「お、おう…」
金髪「いいか? よく聞けよ眼鏡、別にあたしは眼鏡の事は迷惑じゃないから」
眼鏡「…う、うん」
金髪「むしろあたしは───感謝、してるから」
眼鏡「えっ? か、感謝?」
金髪「だ、だってそうだろっ? こんなばかなあたしに、なんつぅか、ちゃんと教えてくれるし…!」
金髪「…それはウレしいことだろ、感謝、することじゃんか…」ボソリ
眼鏡「…はぁ…」
金髪「フンッ!」ゲシッ
眼鏡「あ痛ぁッ!?」
金髪「とにかく! これからは勝手に逃げるな、居なくなるな、わかったっ!?」
眼鏡「わかりました…っ」
金髪「ったく」
眼鏡(あれ? これ、もう逃げられなくなった…?)
金髪「あと、これ」スッ
眼鏡「…?」
金髪「全部食えっ」ぐいっ
眼鏡「ぶほぉっ!?」
金髪「責任持って食べろ~あたしはこんな中途半端なモンは嫌いなんだよ~」ぐりぐり
眼鏡(クレープが、甘みがっ、口の中に無理矢理っ…ぬぁあああ…!!)
~~~
金髪「よー!」
眼鏡「…」ムッスリ
金髪「おーいおい。なにまだ怒ってンの?」
眼鏡「…」
金髪「ごめんってば! まさか甘いの嫌いだとは思わなかったんだって、まさか吐くとは…」
眼鏡「言・う・なっ!」
金髪「おー怖っ」
眼鏡「良い、あの時のことは水に流す、俺も忘れたいから」トントントン
金髪「にひひ」
眼鏡「…なんだよ」
金髪「うんにゃ、なんにもねーってば」ストン
金髪「はてさてセンセェ、今日は何を教えてもらおっかなー?」
眼鏡「今度、数学で小テストがあるからさ」
金髪「へ? マジで?」
眼鏡「言ってたよね教師が…!」
金髪「あー多分、スマフォいじってた…」
眼鏡「あのな、俺の勉強だけじゃ限界ってこともあるの。ちゃんと授業は聞かなくちゃ駄目だって」
金髪「えー分からなくなったら眼鏡に聞けばいいじゃん」
眼鏡「時間の無駄すぎるから! 出来るときに学ぶ、それが一番だろ…!」
金髪「無駄無駄とか言ってると、年取ってからメンドクセー性格になるよ?」
眼鏡「ぐーたら爺になるよりはマシだ…」
金髪「気楽に生きることを知らない人間だ」ハンッ
眼鏡「…いや、この場合、金髪さんが俺の苦労を生み出してるから…」
金髪「それで? 今日も数学教えてもらえんの?」
眼鏡「露骨に話題逸らしたな今…う、うん、まぁそんな感じで行こうと思う」パサリ
金髪「なにその紙?」
眼鏡「小テストの山場。俺の勘で多分、ここの問題が出ると思う」
金髪「…超能力者なの眼鏡?」
眼鏡「いや、たかが小テストだから分かりやすいんだ、今日はここら辺を集中的に勉強する」
金髪「あの、さ。これ、わざわざ作ってきてくれたワケ?」
眼鏡「…え、駄目だった?」
金髪「いや真面目だねーなんて、思った」
眼鏡「人に対して教えるのに不真面目じゃ駄目じゃん…」
金髪「くっくっくっ、確かに」
眼鏡「? じゃあやっていくから、ノート出して」
金髪「おっしゃー! 超やる気出てきた、やるぜー!」
眼鏡(あれ? 今日はご褒美要らないのか、まぁ当人がヤル気なら別にいっか…)
~~~
金髪「ちょい休憩だ~…」
眼鏡「飲み物買ってくるけど、なんか飲む?」
金髪「おやおや~図書室で飲み食い禁止だろ~? 真面目ちゃんがやっていいことなのかなぁ~?」ニヤニヤ
眼鏡「…それぐらい隠れてするって」
金髪「くっくっくっ、そっかそっか。ならコーヒーでよろしくぅ」
眼鏡(珈琲か意外だな、てっきり甘い飲み物頼まれるとか思ってた)
眼鏡「…俺も珈琲にしよう」スタスタ
~~~
眼鏡「おーい、買ってきた──」
「なぁなぁ昨日のテレビみた?」
金髪「見てないー」
「んだよオモロかったんに。あのな、ドッキリで…」
金髪「うんうん」
眼鏡(──って、誰だアイツ。見たこともない男子生徒…茶髪だ茶髪…)ススス
眼鏡(ハッ!? また本棚の影に隠れて……お、怒られるか? いや、でも…)ドキドキ
眼鏡「…」コソコソ
眼鏡(明らかに知り合いだよな。良いのか、あの間に入っていって。駄目だろ! 俺が耐えれない!)
眼鏡「ううっ…黙って帰るにも鞄を置いたままだし…」
眼鏡「ん?」チラリ
金髪「…」スススッ
眼鏡(なんだ? 金髪さんの奴、なにかジェスチャーみたいなのを…)
金髪「…」スッ スススッ ビッ!【はやく割り込んでこねーとぶっ[ピーーー]】
眼鏡(バレてる…)ダラダラダラダラ
スタスタスタ
眼鏡「や、やぁ~…! ま、待たせたかなぁ~?」ヒクヒク
「誰、お前。なに急に…」
金髪「おーおー! やっと来たし、遅いってば~!」
「え、知り合い?」
金髪「そうそう、ベンキョ教えてもらってんの」
眼鏡「……」コトリ
金髪「だから珍しく図書室にいるワケ。飲み物ありがとー」スッ
ゲシ!
眼鏡(痛っ!? 机の下で蹴られた…す、すんません…)
金髪「フン」
「勉強ってお前…」
「アハハハハハ! マジかよ金髪! お前が勉強ぉ!? ウケるんだけど!」
眼鏡「…」ピク
金髪「んだよーあたしが勉強しちゃ悪いってか」
「似合わなすぎだろ、アハハ、なになに急に目覚めちゃったって奴?」
金髪「そりゃまあ今さら過ぎるのはわかってるし? 似合わなねーって思ってるつもりだっつの」
「似合わない似合わない、やめろってそういうの。滑ってるからさ~」
金髪「ちょ! あたしの行動がねたになってるとか言いたいワケ? マジムカツクんですけどー!」
「そこまで言ってないって! ごめんごめんって、あのさ、じゃあ勉強疲れで遊び足りてないっしょ?」
「どう? 今からクラスの奴らでカラオケ行くけど、今から行こうぜ?」
金髪「はぁ?」
「良いじゃん、別に今更頭良くなることなんて絶対ねーってば」
「──頑張っても報われないこともあんだよ、それに学生の内に遊ばねーと勿体無いじゃん?」
眼鏡「……」
ギュッ グググ…
眼鏡「そん、なことはっ」
金髪「はぁ? ふざけんなよボケ、喧嘩売ってんの?」
「え?」
金髪「何勝手に決めつけてるワケ? 頑張っても報われないとかお前に言われたくないんだけど、なにか一つでもアンタは頑張ったの?」
「い、いやいや、ただの冗談じゃんか…」
金髪「へぇー冗談で言うにはタチが悪すぎるんですけど。あたしなら笑わないね、滅茶苦茶ムカつくし、頑張ってるあたしに失礼だと思わない?」
「おいおい…怒りすぎだって、ごめんごめん」
金髪「あんた凄いわ。謝ってるのにあたしもっと腹が立ってきた、良いからカラオケでもどこでも行けば? 顔も見たくないから、消えてくんない?」
「…んだよ」ガタリ
金髪「それはこっちのセリフだから。邪魔だから一生話しかけてくんな、んじゃ、さよなら」フリフリ
「チッ」スタスタ
金髪「ったく…」
眼鏡「……」ポカーン
金髪「あーごめんごめん、急に怒ってさ。ん、ほんとゴメン」
眼鏡「いや、っていうか、良いのかなって。あんな感じに言っちゃって…」
金髪「良いの、元から周りで強引すぎてウザいって言われてたから。これを気にハブられることもないっしょ」カシュッ
金髪「ゴクゴク、ぷはー! 超にげー! かぁー! ニガすぎぃー!」
眼鏡「…そ、そうなんだ」
金髪「それよりも、さ」
コトリ
眼鏡「…ん…?」
金髪「くっく、あんたちょっと否定してくれようとしたでしょ?」
眼鏡「えっ!? あ~いやぁ~! なんていうか、まぁね! 色々とね! 思うところがあって…!」
金髪「そうなんだ」
眼鏡「深い意味はないっていうかー…その、ごめん、余計なことを言いかけた…」
金髪「ううん、良いよ、嬉しかったし」
眼鏡「うぇっ?」
金髪「否定してようとしたコトだって、それ、けっこー嬉しかった」
眼鏡「べ、別に俺は思ったことを言おうとしただけで…」ガシガシ
金髪「そっか」ニコ
眼鏡「う、うん。だからその、だぁーもう! 勉強! 勉強しようぜ! なっ!?」
金髪「おう! 確かに見返してやろうって思ったわ、あんの馬鹿に吠え面かかせてやるって!」
眼鏡「もう小テストで満点とって、クラス中の奴ら驚かせてやろうぜ!?」
金髪「おー!」
~~~
金髪「うっ…」ビクン
眼鏡「ど、どうした?」
金髪「脳みそが甘味物を欲してる…今すぐ食べないと死んじゃうかも…」
眼鏡「我慢しろ」
金髪「ハッ!?」
眼鏡「な、なにっ?」
金髪「さっきの言い方…なんかちょっと頭いいっぽくなかった…? 特に甘味という単語が…!?」
眼鏡「さっさと計算解いて、お願いだから」
~~~
金髪「ねぇめがねぇー」
眼鏡「んー…」スラスラ
金髪「ちょっと眼鏡とってみて」
眼鏡「え? いや取ったらほぼ周りが見えなくなるから…あ、ちょっと!」
金髪「にひひ、メガネげっとー」ヒョイ
眼鏡「取ったら採点できないだろ…! ちょ、マジで返せってっ」
金髪「ほおほお」ジィー
眼鏡(表情が見えない…見られてる…?)
眼鏡「良いから返してくれ、本気で前が見えない」
金髪「あのさ」
眼鏡「何…?」
金髪「やっぱ眼鏡取れば美少年、美少女ってのは嘘だよなぁ。くっく、どうしたってオタク系だわ、あんたの顔」ケタケタ
眼鏡「よ、余計なお世話だ…っ!」バッ
金髪「イイヨーその反応、眼鏡取っただけでこうも良いリアクションもらえっとうれしくなるよー」
眼鏡「ったく…」フキフキ
~~~
眼鏡「明日だなぁ」
金髪「だなぁ」
眼鏡「自信は?」
金髪「ある。…自信だけは」
眼鏡「う、うん。良いじゃない、自信がなきゃ取れる点数も取れないし…」
金髪「何が何でもほめるな眼鏡、ま、あんがと」
眼鏡「…こっちとしても教えた身だから、良い点数とってもらったほうが嬉しいと思う」
金髪「センセぇに失望してもらいたくないしなーあははー」
眼鏡「……」ビクン
金髪「ん? どったの眼鏡?」
眼鏡「…ぁ…いや、なんでも、ないって…言うか…」
委員長「……」スタスタ
眼鏡「…っ…」ゴクン
委員長「……」スッ
スタスタスタ
眼鏡「…っ…っ…」ドッドッドッドッ
眼鏡「はぁ~…」
金髪「アレって、あたしらクラスの委員長っしょ?」
眼鏡「あ、うん、そうそう」
金髪「なんで身構えてたの?」
眼鏡「えっ!? み、身構えてたっ!? そ、そんなことないだろー?」
金髪「いやいやすっげー緊張してたから、見たまんまやべぇぐらい……あぁ~?」キラリン
眼鏡「違う!」
金髪「早すぎ! 否定早すぎてモロバレ過ぎてるから、アッハハ!」
眼鏡「ぐぅう…」
金髪「なんだなんだ、そーなんだぁ~居たんだ。好きなやつ、これっぽっちも興味ない風装ってたクセに」
眼鏡「だから違うって…!」
金髪「イイヨイイヨ~! すっごく良い、その感じ、初々しいってやつ? 萌ってやつっしょ? くっくっくっ…」
眼鏡「だぁもう、違うんだっての! す、好きとか! そういうのは…もう…終わったというか…っ」
金髪「終わった? なにそれ、意味わかんないんだけど?」
眼鏡「…言いたくない」
金髪「ハァ~? 気になる言い方しておいてそりゃないでしょ、なになに? お姉さんに教えてみ?」
眼鏡「ぐっ…同級生だろうが…っ」
金髪「少なくとも恋愛経験なら、あたしが年上だね。断言できる」
眼鏡「……」ジッ
金髪「信用出来ない? 結構、あたし口固いけど」
眼鏡「…馬鹿にしないか」
金髪「内容による」クスクス
眼鏡「……」
眼鏡「…以前、委員長に告白しようとしたことがある…」ボソリ
金髪「告白!? あんた告ろうとしたの!?」
眼鏡「そ、そうだって」
金髪「意外ぃ~! へぇ~! 度胸あんね、それでそれで?」
眼鏡「それで…」
眼鏡「放課後の教室に残ってる話を聞いて、すぐさま向かったんだ…絶対にその日に告白しようと思ったから…」
金髪「うんうん!」
眼鏡「そしたら、だな」ダラダラダラダラ
金髪「──あ、なんかわかっちゃったかも、ごめん」
眼鏡「えっ?」
金髪「あ、あれっしょ? 実はカレシが居て放課後の教室で…や、ヤってたとか…?」
眼鏡「…っ…」ビクッ
金髪「あ、あぁ~…えっとヘンに聞き出すようなことしてゴメン、ほんとゴメン」
眼鏡「…がう…」
金髪「え?」
眼鏡「違う…違うんだそうじゃないっていうか、あってるんだけどそうじゃないっていうか…」ダラダラダラダラ
金髪「ど、どういう意味?」
眼鏡「──だから、あ、ああああえぎ声……は、聞こえた…けど、委員長じゃなかったんだ…」
金髪「へ?」
眼鏡「声は確かに、言うにはヤってた……と思う。けど声が男の声だった、一切委員長の声は聞こえなかった」
眼鏡「俺は気になってほんの少しだけ、教室のドアを開けてみた───」
眼鏡「──そしたら、目隠しされ縛られた男性教師が、あぁああぁっ…なんかパンツから生えた棒みたいなので…うぁあああああ…っ!」
金髪「ストップ! 分かったもういいよ眼鏡! 十分にわかった、落ち着いて息を整えな…!!」
眼鏡「俺はあの光景を忘れられない…あの表情を…委員長の顔を…っ」ブルブル
金髪「うん、うん、衝撃過ぎて呆然としそうだったけど、アンタの表情を見てると冷静になれるわ」
眼鏡「俺の恋はすごい形で砕かれたんだ…びっくりだよ…こんな失恋経験は恋愛マスターの金髪さんにもあるのか…?」
金髪「無い。あんたが優勝だよ、やっぱ恋愛でもセンセェだ」
眼鏡「そっか…そりゃよかった…俺みたいな不幸な奴は俺一人で十分だ…」
金髪「──でも、ぷっははははは!!」
眼鏡「ど、どうした?」
金髪「いやね、ちょっと落ち着いてきたから笑いがこみ上げてきて…! ゲラゲラゲラ! 超かわいそー! なにそれアハハハハ!」
眼鏡「むぐ。ちょっと笑いすぎだろ、少しは躊躇ってくれ…!」
金髪「ん~むり!」グスッ
眼鏡「こちとらトラウマもんなんだぞ…」
金髪「まね。確かにトラウマになるわ、好きだった奴が男性教師のケツ掘っブホォッ!?」ケタケタ
眼鏡「言わなきゃ良かった……誰にも言うなよ、絶対に!」
金髪「うんうん、わかってる。つか言っても誰もしんよーしないって、委員長がそんなドSとか」
眼鏡「……」ジッ
金髪「んな睨むなってば。あたし、嘘は絶対につかないから」
眼鏡「…そうか、だったら教えてくれよ」
金髪「んー? なにー? 今だったら何だって答えちゃうわ、オモロイ話聞かせてくれたお返しにね」
眼鏡「……」
眼鏡「どうして俺に頼んだんだ」
金髪「あーそれぇ? あはは、あんたってやっぱ凄いね」
眼鏡「な、なにが?」
金髪「フツーさ、頼んだ日に訊いたりしない? そゆことさ」
眼鏡「…まぁそうだけどさ」
金髪「なのに今頃聞いてくるし、何こいつ、もしかして頼まれ慣れてる? とか思ってたりしたけど」」
金髪「べーつに案外、女子の対処に慣れてるワケでもなかったしさ~」
眼鏡「……」
金髪「あ。あたしの話になってる、違うよな、頼んだ理由を話すんだった」
金髪「えっとーたまたま?」
眼鏡「嘘だ」
金髪「嘘じゃないっつーの。マジでたまたま、あんたに頼んだだけ」
眼鏡「気まぐれってこと…?」
金髪「実はね、あんたに会う前に何人か同じように頼んでたんだ、あたし」
眼鏡「へっ?」
金髪「眼鏡と一緒で黒髪でぇ、オタクでぇ、おとなしそうな奴を片っ端からね」
金髪「でも全員に断られた。ぜーんぜんダメだった、ぴくりともしてくれなかったわ」
眼鏡「節操が無ぇ…」
金髪「うっせ! ま、それぐらい必死だったワケ。でも話は聞いてくれるけど了解してくれる奴が居なくってさ~」
金髪「その時、あんたを見つけたの」チラリ
眼鏡「…っ…」ドキ
金髪「放課後の教室に一人、本を読んでるあんたを見つけた。読み終わった後に周り誰もいなくて慌ててた、あんたをね」クスクス
眼鏡(全部見られてたのか…)カァァ
金髪「あたしも、断られてばっかだったし。なんの期待しないで話しかけたら、なになに、なにも悩まずにイイヨってさぁ~!」
眼鏡「……」
金髪「コイツ凄いなって、本気であたしは驚いた。それに不安だったよ、本当に真面目に勉強教えてくれんのかなって」
眼鏡「…教えてるだろ」
金髪「うん」ニコ
金髪「…あたしの不安とか悩みとか全然関係なかった。眼鏡はすっげー真面目で、本気で、色々とすごいやつだって分かる」
眼鏡(これ褒められてる、のか? 良くわからないけど…)
金髪「あのさ、眼鏡」
眼鏡「あ、うん? なに?」
金髪「どうして眼鏡はイイよって、言ってくれたの?」
眼鏡「え…」
金髪「あんたらみたいな奴らって、あたしらみたいなの怖いんでしょ?」
金髪「話しかけただけでオドオドするし、ヘンに人間関係の距離感とか気にするし」
金髪「だから気になるんだよねぇ~ねぇなんで?」
眼鏡「…ぁ…えっと…」
金髪「んっ?」
眼鏡「……」
眼鏡「──別に理由なんて、無い」
金髪「ウソ」
眼鏡「うぐっ…」
金髪「なんでウソつくかなぁーま! イイケド、言いたくないなら無理に聞き出さないし」
眼鏡「…良いの?」
金髪「うん。良い、それで良いんだ」
眼鏡「…そっか」
金髪「ん~~!! もう帰ろっか、家に帰って復習しときたいし!」
眼鏡「お、おう」
金髪「んじゃな! また!」ブンブン
眼鏡「…また、それじゃあ」フリ
眼鏡「……」
眼鏡(また、かぁ…)
~~~
眼鏡「……」ドキドキ
金髪「…まだ見てないから、テストの点数」
眼鏡「し、しってる、見ないまま持ってきたんだろ…?」
金髪「教師から手渡してもらった瞬間、すぐにひっくり返したからね…」
眼鏡(なぜこうも緊張するんだ…俺のことじゃないのに…)ドキドキ
金髪「めくる?」
眼鏡「ま、待て! まだ少し、心の準備ができていない…ッ!」
金髪「なんであたしより緊張してンのよ…」
眼鏡「ばっか色々とあるんだよっ!」
金髪「アッハハ! くっくっくっ、ほんと眼鏡は真面目だ」
眼鏡「うっさい、もういい、捲るならさっさとめくってくれ…!」
金髪「りょーかいセンセェ」
スッ パサリ
眼鏡(やっぱ駄目だ直視できんッ)ギュッ
「──うそ」
眼鏡「な、なんだ…」チ、チラリ
眼鏡「………、……1…00…点…ッ!?」
金髪「……」ポカーン
眼鏡「やっ、たな…うん…これは凄いと、思うっていうか…え凄くないコレ?」
金髪「あ…」
眼鏡「やった! やったんだって! 金髪さん、これ百点だってば! うおおおすげー!」
金髪「……」
眼鏡「俺だって八十点だったのに、同じ勉強しておいて二十点も差がついてる。いや、それよりも満点ってのが…あれ…」
金髪「……」
眼鏡「き、金髪さん?」
金髪「……」ポロポロ
眼鏡「へっ?」
眼鏡(えぇぇえぇええッ!? なぜっ!? なぜ泣くのッ!?)ドッドッドッドッ
金髪「あ、ゴメッ、なんであたし泣いてンだろ、うそっ、百点とか…」
金髪「…ううっ…めっちゃ嬉しい…」グスグス
眼鏡「おめ、おめでとう! いやいや、とりあえずティッシュ渡すから…ほらこれで拭いて…?」
金髪「うん…うん…ありがと眼鏡…」チーン
眼鏡「……」
金髪「つはぁー……満点取ったんだ、あたし」
眼鏡「う、うん」
金髪「これって、凄いこと…だよね?」
眼鏡「俺八十点だからね、平均以上は当たり前に取れてる」コクコク
金髪「そっか、そっかそっか」
眼鏡「……」
金髪「──にしし! そうなんだ、すげーんだコレって」ニコ
眼鏡「……」ドキ
金髪「いやぁ~! 昔っからやればできる子なんて言われてたけどさぁ、アハハ、やっべー言われたとおりだったわ~」
眼鏡「お、おおう」カチャ
金髪「なんつーか、これも全部センセェのお陰だわ。あんがと、マジで」ニカッ
眼鏡「…いや違うって、これは全部金髪さんの実力だと思う」トン
金髪「ん? なんで?」
眼鏡「俺としては勉強内容は基本的に公式しか、教えてない。勿論、応用も幾つか教えたけどさ」ペラリ
眼鏡「それでこの小テストはほぼ、応用問題が出されてる。最後の問題なんて、俺だって解けなかった」
眼鏡「…これで満点が取れた金髪さんは、俺のお陰じゃなく、確実に自分自身の力で満点を勝ち取ったんだ」
金髪「おいおい、謙遜すんなってば。つか何言ってっかわかんねーし、応用問題って何?」
眼鏡「……それはそれで置いとくとして…」
眼鏡「とにかく! 俺が教える以上に君は、勉強というものをきちんと出来ていたんだってこと!」
金髪「ん~…」ボリボリ
眼鏡「…どしたの?」キョトン
金髪「いや、なんつかさ、気になるんだけど」
金髪「──なんでこれで、オシマイ感を出しちゃってるワケ?」
眼鏡「…ッ…!」ビクッ
金髪「今回のテストってさ、単なる目標みたいなモンじゃないの? これが達成できたから終わり、とか言ってた?」
眼鏡「いや、それは…」
金髪「ごめん。なんかずっと迷惑だった感じ?」
眼鏡「ち、違う! それは…っ」
金髪「違うの?」
眼鏡「……っ」
金髪「ハッキリ言えってば。そういうのキライって知ってるっしょ、眼鏡なら」
眼鏡「…実は少しだけ迷惑に感じてた、と思う」
金髪「うん、それで?」
眼鏡「き、君の勉強に付き合ってると本屋に寄る時間も無くなって…新刊も買えない日々が続いてた…」
眼鏡「友達とも話す機会が減ってきてて…あんまりアニメや漫画の話についていけなくなる時もあったりする…」
眼鏡「それに…」ペラリ
眼鏡「この小テストで八十点しか取れなかった。こういう言い方は嫌だろうけど、ハッキリ言うと…君に負けるぐらいの頭に成り下がってしまった」
金髪「……」
眼鏡「まだ、色々とある。言ってもキリがないぐらいに、この勉強会で起こる問題が沢山あった…」
金髪「そっか」コテン
眼鏡「…っ」びくっ
金髪「色々と迷惑かかってたんだ、うん、ごめんね眼鏡」
眼鏡「で、でもだ! この小テストは最後まできちんと付き合おうと思ったんだ…!」
眼鏡「せっかく頼ってもらえて、それに女子で! あぁなに言ってんだ俺、違くてだなっ!」
金髪「…うん」
眼鏡「ちゃんとモノに残る形で、君に勉強ができる嬉しさを教えられたら良いなって…思って…っ」
金髪「……」
眼鏡「だから、その、こうやって実力が見えたのなら…俺が居なくても…」
眼鏡(あれ? なに泣きそうになってるんだ俺、望んでたことじゃんか。こんなこと【最初からわかってたこと】だろ)
眼鏡「……」ギュッ
金髪「言いたいこと、あんならさ」
眼鏡「っ…!」
金髪「最後まで言えって、訊いててやるからさ」
金髪「すっきりするだろ? そっちのほうがさ、あんたもあたしもね」スッ
金髪「違わない?」
眼鏡「──……」
「…彼氏いるだろ、金髪さん」
「だから、ダメなんだ。色々と駄目な気がする、それは俺自身の問題で…」
「金髪さんは何も問題じゃない。気にすることでもないし、俺がどうにかしなきゃいけないことで」
「こうやって勉強会をしていると君のことで気づいてしまうんだ。知らなきゃ良かったことを、沢山」
眼鏡「──だから俺は側に居られない、これ以上君の側に…」
金髪「……」
眼鏡「っ…居られないって、言うか、その……」
眼鏡「ごめん、本当に何言ってんだろ俺…本当に…」
金髪「そっか」
眼鏡「…うん、そうなんだ」
金髪「ふーん、やっぱ眼鏡は凄いね」
眼鏡「…なんで…?」
金髪「遠回しでも、カレシいる相手に告ってるじゃん」
眼鏡「ぶっ!? ち、違うし! そんな話してないし!」
金髪「くっくっくっ、良いっての誤魔化さなくて」
眼鏡「……」ポリポリ
金髪「でもバカだと思うわ」
眼鏡「ば、ばか?」
金髪「色々とね。やっぱ生き方違ってくるとさ、奪ってやろうとか思わないんだなーってさ」
眼鏡「奪ッ…!?」
金髪「ちょいちょーい、真に受けるなっての。じょーだんだってば」
眼鏡「そ、そうか…」
金髪「なるほどね。それじゃあ一緒に居たら辛いわな、うんうん」ガタリ
眼鏡「あ…」
金髪「よし。んじゃこれで勉強会はオシマイ! つーことで!」ビッ
眼鏡「う、うん」
金髪「これだけはちゃんと眼鏡に知ってて欲しいから、いうけどさ」
金髪「あたし、本当に眼鏡には感謝してるから。本気で奪うつもりなら、何時でもいいよ?」
眼鏡「……、」
眼鏡「はぁッッ!?」
金髪「ナハハ~! そんじゃまた、じゃなくてサヨナラ! バイビー★」フリフリ
眼鏡「ちょ、最後に変なコト言って去るなよっ!」
金髪「…」ガララ
「…バイバイ」
ピシャッ
眼鏡「……」スタ…
眼鏡「何なんだよ本当に…」ストン
眼鏡(これで良かったんだ。最初から間違いだと知ってたんだ、彼氏が居ることぐらい分かってたんだ)
眼鏡「はぁ~…」
眼鏡「…さよなら、か」
~~~
友「今日はバレンタインデーですわよ」
眼鏡「知ってるけど」
友「でっっっっっすよねぇーーーーーー!!」
眼鏡「うるさッ…!?」
友「眼鏡ちんは良かですよなぁ! なんやら今日日、オナゴと仲良く図書室で篭りがちと聞きますからねぇ!」
眼鏡「あー…それかー…」
友「むむ?」
眼鏡「もう終わった。今日は一緒に帰ろう、友さん」
友「…信じてましたぞ眼鏡ちん、我々は三次元でありながら二次元を愛した《異分子存在》【ネームレス・サーヴァント】…」
友「共に永久なるサブカルチャーロードを歩み征こうではありませんかっ!!」
眼鏡(この男は本当に残念な子だな…)
友「でぇはでぇは! 今日の放課後は、さっそくとらのあなに───」ピタリ
眼鏡「うん?」
友「……」シーン
眼鏡(固まった。この感じは近くにクラスメイトが居るな、どれどれ)キョロキョロ
「でさぁ、マジあいつ頭イッてるって思うわけ~」
金髪「へぇーぶん殴れば?」
眼鏡「…っ…」ドキッ
「そういうのアンタだけだってば。無理無理」
金髪「ばっか、股の下蹴り上げれば男なんて───別に平気っしょ」スッ
眼鏡(一瞬目があった。けど、逸らされた…)
眼鏡「…はあ」
友「何?」
眼鏡「え? あぁ、うん。あのタイプの人達が近く通るだけで緊張するからさ…」
友「そうだね」コクリ
眼鏡「……」
友「どうしたの?」
眼鏡「…お前って静かな方が、まだ見れる人間だよな」
友「…」カァァ
眼鏡(なぜ照れる)
~~~
眼鏡「……」
「なぁ聞いた? 金髪のヤツ、この前の小テストで満点取ったって」
「はぁ、そうなの? それが?」
「いや別にそれ自体どーでもイイんだけど。それをカレシに自慢してたらしくて」
「あーあの先輩の…」
「そうそう。めっちゃ頭いい学校行く人ね、多分、捨てられてたくないんだと思うよ~」
「先に行ってて、追いかけるからってか」
「必死だよね~ww」
「いい子じゃん。つかさ、それよりも金髪に勉強教えてた男子居るんでしょ? そっちが気になる」
「あーあれね、あの強引ウザ男が言ってたやつ。どうなんだろ、やっぱアレかな~?」
「カレシの為にこき使われてるのはちょっとかわいそぉ」
「ほら、あれじゃない? あのメガネのやつ」
「えっ!? ば、居るなら居るって最初に教えてよっ」
眼鏡(今頃かよ、丸聞こえだっての)ガタリ
眼鏡「…」チラリ
「あはは…」
「やはろ~…」
眼鏡「…」ニ、ニコ
(わ、笑ってきたけど…っ?)
(怖いってあの顔! 何考えてるんだろ…?!)
ヒソヒソ ヒソヒソ
眼鏡(…余計なことするんじゃなかった)スタスタ ガラリ
眼鏡(ん、友のやつはもう下駄箱にいるか? こういうとき待ち合わせって文字が頭に無いからな)
眼鏡「さーて、今の今まで買ってこれなかった新刊を買いまくって…」ガタリ
眼鏡「…ん?」
眼鏡(下駄箱になにか入ってて、これって、もしや)ブルブル
眼鏡「…チョコレート!? 差出人は!?」
『金髪より?』
眼鏡「………………」
公園
眼鏡「ここにも居ない…アイツはどこまで行ったんだ、まさかもう店に居るのか…」
眼鏡「はぁ~」チラリ
眼鏡(このチョコレートどうすっか。わからん、普通に今までのお礼として送ってきたんだろうけど)キョロ
眼鏡(ゴミ箱…)
眼鏡「いや、はははっ、流石にそこまで思い込んでやっちまうわけにはなぁ~っ」
金髪「でさぁ~」
「うん、どうしたの?」
眼鏡「───」サァー
ババッ! バッ!
金髪「ん?」
「どした?」
金髪「いや、気のせいなら別に…ん? んん?」キョロキョロ
眼鏡「はぁーっはぁーっ、ば、バレてない…?」ドッドッドッドッ
眼鏡(ま、まさか公園でばったり鉢合わせになるとは! ありねえー! 上手く遊技道具に隠れられたものの!)ソーッ
金髪「あはは」
「でさぁ~」
眼鏡(あ、あれが彼氏か? 顔を見るのは初めてだな)
眼鏡(以前、勉強会が始まる前から噂というか話が聞こえたぐらいしか知らなかったが…)
眼鏡(───イケメンだぁー! 比べようにもならんぐらい、顔面偏差値が違いすぎるぜ!)
眼鏡「ハッ!?」ビクン
眼鏡(お、俺はなにをして…またこんな隠れて覗き見るようなことを…怒られちまう…)
眼鏡「怒られる…?」
眼鏡「……は、ははっ、何が? どうして? もう俺の存在なんて…」
眼鏡(関係、ないじゃん。まるっきり無視して去って結構じゃんか、そうだそうだ! 全然関係ないね!)ポロリ
眼鏡「あ、チョコ…!?」わたわた
コトン!
眼鏡(バレる前に拾っ…!)
金髪「──はい、これチョコだよー!」
「うお! マジか、ありがと~!」
眼鏡「………」ピタリ
金髪「どうどう? て、手作りなんだけどさ、えっと、美味しくなかったら正直に言ってよ?」
「うん、美味い」
金髪「あ。ホント? うっそ滅茶苦茶うれしぃ~」
「よく作ったなぁ~」
金髪「へへん、やれば出来る子なんですよね~」
眼鏡「……」スッ
眼鏡(むぐぐ! あー! あーいーうーえーおー! かーきーくーけーこー! よし! 帰ろう!)くるっ
眼鏡(もうチョコは置いていきます! 犬、猫、カラス、ネズミ、誰でもいいから食べちゃってくれよな!)ズンズンズン
眼鏡(アハハ! なんかもう自分自身がよく分からん! なにやってんだ俺! べっつに何にもかんけねーじゃーん!)ズンズンズン
眼鏡(ダメだなぁ~! なんでこうも恋って上手く行かないんだろうか! あ、そっかそっか! 最初から不純だったから駄目なんだろうな!)
ズンズンズン
眼鏡(…金髪さんに勉強を誘われた時、この娘なら次に好きになれる人になれるかなって思った)
眼鏡(阿呆言え、なにが彼氏居るから側に居たくないだ、男だよ十代だよ、奪ってでも好きになるわ)
眼鏡(そういうもんだろ男子ってのは! すぐに好きになっちゃうだろだれでもさ!)
『「期待などするべからず!三次元に希望などありはしない!」』
眼鏡「バカ言え! 俺は滅茶苦茶惚れっぽいんだよ!」
眼鏡(期待するわ、女子と勉強会なんて嬉しかったわ、好きになる、超すきになる、チョコレートくれるとかもう惚れちまうよ!)
眼鏡「ぐぁー! なんだなんだこの俺はぁー!!」ガシガシガシガシ
眼鏡(みっともない! 最低ヤロウだ、しんじまえ、くたばっちまえ! 俺は本当に…本当に…っ!)グググ
眼鏡「っ……!!」くるっ
だだっ!
眼鏡「やっぱり…っ…捨てられんよな…! チョコは…!!」
眼鏡(チョコはなにも悪くない! 食べよう、食べきってやろう! この不純な思いごと食べきってみせよう!)ダダダ
スタ
眼鏡「チョコは…!?」キョロ
眼鏡「……あ……」ピタリ
金髪「……」ヒョイ
眼鏡(金髪さ、んが。落ちているチョコを拾って、嘘、ヤバイ)
金髪「……」ポンポン
金髪「……」
金髪「……」ポロポロ
眼鏡「ぁ…」
金髪「っ…」ゴシゴシ
金髪「……」スッ ゴソゴソ
眼鏡(鞄に入れて、まずい、あれは色々とまずい、俺は本当の意味で彼女から離れて行ってしまうんじゃ───)
眼鏡「………」ギュッ
眼鏡「ほぁあああああああ!!!!」
金髪「だぁー!?」ビックゥ
眼鏡「あぁあぁあー!? こ、こんな所に落ちてたチョコぉおおおおお!!」
金髪「なになになにっ!? えっ!? なんだオマエ!?」
眼鏡「金髪さーん!? それもらったやつ! 俺がちゃんと受け取ったやつだよね!? しまったなーここで落としてたんだなー!」
金髪「え…あ、えっ…? これ?」
眼鏡「そうそれ! うんうん、まさかここで金髪さんに拾ってもらえるだなんてなぁ! びっくりだなぁ!」
金髪「………」
眼鏡「俺ってばマジおっちょこちょいだから、うん、にしても凄い所に落としたな~俺もな~」
金髪「ねえ」
眼鏡「はいぃいいい!?」ビックゥゥウウ
金髪「…どこまで見てた?」
眼鏡「な、なんのこと?」
金髪「どこまで見てたかって訊いてんの」イラッ
眼鏡「…っ…っ…」ダラダラダラダラ
金髪「答えて」
眼鏡「…チョコ、上げてるところらへん…」
金髪「……」
眼鏡(怖い、隠れて見てたから? 怒られる? 嘘だ、俺関係ないし!)
金髪「そこのベンチ座って」ビシッ
眼鏡「へっ?」
金髪「はやく」
眼鏡「あ、うん、でもさ…」
金髪「……」ジッ
眼鏡「…ウッス」ストン
金髪「……」ストン
眼鏡(なんだなんなんだ、なにが始まるって言うんだ)ドキドキ
金髪「これ捨てたよね、あんた」
眼鏡「んっ!? ち、違うって! 全然捨てたとかそういうのじゃないし!」
金髪「いや捨てたね」
眼鏡「お、俺は真面目が基本なんだよ、捨てるとかもっての外だっつのっ」
金髪「…まね、眼鏡は真面目だと思うわ」
金髪「でもそれ、あたしの前でもハッキリ言える?」
眼鏡「…っ…だ、だって真面目と言ったのは金髪さんだろ…っ?」
金髪「だから、真面目な姿意外見せないってワケ?」
眼鏡「そりゃ思われてるなら…そういった事はしない、そもそも真面目なのは本当だし…」
金髪「ヘンなの、だってあたしのこと好きなんだろ?」
眼鏡「ぶっ!?」
金髪「それに好きになって欲しくないなら、嫌なところや悪いところ見せれば良いじゃん」
金髪「──だから、あたしはあんたを真面目だねって思う」
眼鏡「…っ…」
金髪「だからさ、案外この落ちてたヤツ見た時さ。…少し嬉しかったんだ、あたし」
眼鏡「へっ? なんでっ?」
金髪「なんかさ、やっとあんたの本音を知れたなって。隠れてた部分をやっとほんの少し、知れたんだなぁって」
金髪「たいして長い時間ずっと一緒に居たワケじゃないけど、それでも結構嬉しかった」
ポロポロ
金髪「…それと同時に、滅茶苦茶悲しくなった」
眼鏡「うぃっ!?」
金髪「どうしてだろーね、いやだわ、こんな面倒臭い感じの女になるとは思わなかった。なんで泣くかね…グスッ」
眼鏡「じょ、情緒不安定すぎない…?」
金髪「うっせ! あたしだって困惑してるんだっての、意味がわからないけど涙出るの、仕方ないの」ゴシゴシ
眼鏡「う、うー…」
金髪「ねぇどうして捨てたの?」
眼鏡「うっ」
金髪「教えてよ、怒らないから」
眼鏡「…っ…」チラリ
金髪「教えて」
眼鏡「……、き、金髪さんがチョコを上げてる所を…見た瞬間に、感情が滅茶苦茶になって…」
眼鏡「一度、落としたチョコをまた拾い直そうとした瞬間に…すべてが馬鹿らしく思えてしまって…置いていってしまった…」
金髪「ばか」
眼鏡「…だからもう一度拾いに戻ってきた、そしたら金髪さんが拾ってた」
金髪「ばかだ、やっぱり眼鏡はばかだ」
眼鏡「わ、わかってるって! 俺はばかなんだよ、もう立ち直り用がないほどの阿呆なんだ…」
金髪「…ふん、拾いに戻ってきたことは信じてあげるわ」
眼鏡「…面目ない」
金髪「はい、これ」スッ
眼鏡「あ、えっ、良いの?」
金髪「いいっつーの! 元より落としても、あたしが拾っても、あげたモンはあげたモンなんだし」
金髪「…食べてくれなきゃムカつくじゃん、あたしが」プイッ
眼鏡「……」
金髪「なにっ?」
眼鏡「…かわいい、と思ってた」
金髪「ばっ!? あ、あんたねえ…!」
眼鏡「ご、ごめん…なんか普通にそう思えて、普通に言えると思ってしまったから…」カァア
金髪「ったく、マジで嫌なやつだよ眼鏡は。凄いけど腹が立つ、キライだわ」
眼鏡「……」ズーン
金髪「傷つきやすっ!? なにそれ! 勝手に言っておいて言われたら傷つくとか、面倒臭!」
眼鏡「…ははっ…ごめん…」
眼鏡(あれ? なんだろ、これすっごく心が軽くなってる。ぐちゃぐちゃだったのがスッキリしてる)
金髪「ったくよー」ポリポリ
眼鏡(そっか、俺ちゃんと告白してないんだっけ。だからいちいち金髪さんが気になったままなんだ)
眼鏡(この会話がちゃんと心の整理をしてくれてるんだ。別れの準備、みたいな感じでさ)
眼鏡「…関係ないどころか、俺が悪いじゃん」ボソリ
金髪「あん?」
眼鏡「……」
眼鏡「なぁコレ、今開けていいかな」
金髪「えっ? いや、ちょっとそれは…」
眼鏡「駄目かな」
金髪「っ~~…す、好きにすればっ?」
眼鏡「ん、ありがと」スッ
ぱさり ぱさり
眼鏡「…え?」
金髪「……」
眼鏡「これ、あれ? なんで…?」
金髪「つぅーかさ、あたし一度でもコレがチョコだって言った?」
眼鏡「あ…」
金髪「あんたが甘いのキライなの、知ってるってば」
眼鏡「でも…これ…」カサリ
眼鏡「さ、流石にせんべいは──ブホォオー!!」ササッ
金髪「あーっ!? おまっ! 笑うのは酷すぎない!?」
眼鏡「し、しかも、これ嘘だよね…? 嘘だと言ってよね…?」
金髪「な、なんだよっ?」
眼鏡「て、手作りだったり…?」
金髪「………」
眼鏡「………」
金髪「て、手作りですけど…っ?」
眼鏡「あはははははあはははははは!」
金髪「テメーェ! この眼鏡! 笑いすぎだろ! 頑張ったぞ女が、お婆ちゃんに習って焼いたんだぞーッ!」
眼鏡「いや凄いよ…ご、ごめん…嬉しいし凄いし素晴らしいのに…全てがギャップというもので凌駕してくれちゃってる…!」
金髪「むぐっ」
眼鏡「…ありがとう、嬉しいよ」
金髪「と、とりあえず食べてみな」
眼鏡「うん。食べるよ、食べさせてもらう」パリ
眼鏡「…もぐもぐ…」
金髪「どうだ」
眼鏡「普通に美味しい…」
金髪「だろー? よっし!」グッ
眼鏡「…凄い、金髪さんは料理うまいんだ」
金髪「まな。家じゃ両親どっちも仕事してるし、妹のメシとか作ってるし」
眼鏡「へぇ~パリパリ、ん? これ梅が入ってる…?」
金髪「そうそう、これは昆布で。こっちはご飯粒を残して焼いてる。カリカリが強めで、あたしのお気に入り」
眼鏡「は~…凄いなぁ…」
金髪「くっくっくっ、惚れなおしたか?」
眼鏡「いやいや…元からベタ惚れだってば」
金髪「……」キョトン
眼鏡「うん。でもね、それは今で終わり、これから無しね」
金髪「…どゆこと?」
眼鏡「ちゃんとフラれようと思ってさ。金髪さんに言葉にしてフッてもらえないと、どうにも煮え切らないみたいでさ」
眼鏡「──前の恋もそうだった。告白する前にトンデモナイ光景を見せられて、フラれた」
眼鏡「…俺ってちゃんとフラれたこと無いんだよ。だから、いちいち気にしてしまう。金髪さんのことを、まだ目で追ってしまう」スッ
眼鏡「かっこいいこと言って離れようとしたけど、あはは、俺には無理だったみたいだ。だから、さ…」
眼鏡「好きです、金髪さん」
金髪「…ぁ…」
眼鏡「貴女の頑張りが凄く自分には眩しく見えて、かっこ良く思えました」
眼鏡「何事にも負けない意思も、ちょっとしたことで挫けそうになる可愛い所も滅茶苦茶好きになるポイントで…」ポリポリ
眼鏡「──彼氏さんと一緒に居る所を見てしまうと、ハッキリ嫉妬してる俺が居たんだ」
金髪「…ん…うん…っ」
眼鏡「うん」
金髪「えっと、その、だな」
眼鏡「ん、ごめんね。こんな分かりきったことを言ってしまって、それにこれから…」
眼鏡「…わかりきったことを言わせようとしてる自分は、本当に酷いやつでめんどくさい奴だとわかってる」
金髪「……」
眼鏡「でも言って欲しい。はっきりと、その言葉を。…俺はそのほうが好きだって、今は思えてるから」
金髪「…!」
眼鏡「お願いします」
金髪「……」
眼鏡「……」
金髪「じ!」
眼鏡「じ…?」
金髪「じ、実はだな眼鏡~っ…? あたし、さっきフラれたところなんだよねぇ~…っ」
眼鏡「……」
眼鏡「はい?」
金髪「う、うん。チョコあげた後にさぁ、うんうん、やっぱりこれから無理だよ的なことを言われて~…」
眼鏡「ふられた、の?」
金髪「そ、そうそう、めちゃあたしフリーってなわけよ! あはは! はぁ~…うん、えっとね」ポリポリ
眼鏡「……」
金髪「だから、さ。あんたの告白とか、断る理由が特にないって言うか、その」
ガタン!
金髪「な、なにっ!?」
眼鏡「……、一つだけ訊かせてくれないか」
金髪「な、なに?」
眼鏡「何を理由にフラれた? それだけ、ちゃんと教えて欲しい」
金髪「…言いたくない」
眼鏡「なんで?」
金髪「…怒るから」
眼鏡「誰が?」
金髪「……、」
金髪「…センセェが怒るから」
眼鏡「っはぁ~…やっぱりそうなんだ、どうせこう言われたんだろ」
眼鏡「『君は君の行きたい大学に行くべきだ。無理して追いかけてこなくていいよ』みたいなことを…」
金髪「………」こ、こく
眼鏡「それで、君は納得した。そういうことなんだろ?」
金髪「…うん」
眼鏡「なんで──どうして諦める? 君は頑張ってる、そして結果も得られた。なのにどうしてそこで想いを捨てようとするんだ…っ」
金髪「しょ、小テストと受験は違うだろっ? 頑張り具合が違いすぎるじゃん、だから、ああまで言われたらあたしもさ…!」
眼鏡「努力を捨てるって?」
金髪「っ…し、しかたねーじゃんか! だってばかなんだもんよ!? これからどうしたって先輩の目指す大学に合わせて勉強なんてさぁ…!?」
眼鏡「諦めるんだ、頑張ることを」
金髪「うるせぇ!! な、なんだよお前は…!? 良いじゃんか、もう良いだろっ? ほら、あたしはフリーだし後は眼鏡が好きにしてくれれば…!」
眼鏡「……」
眼鏡「…嫌だね、今の金髪さんにはなんら魅力を感じない」
金髪「ハァッ!? なんだそりゃっ!?」
眼鏡「そんな自暴自棄な金髪さんなんて、なんら好きじゃない。俺が好きになった人は、例え馬鹿にされても想いを押し通す人だった!!」
眼鏡「どんなことをしたって理想を現実に近づけるためにッ! 慣れない相手に勉強を教えてもらおうと努力を欠かさない人だった!!」
眼鏡「──なのにッ! 今のお、お前はただの甘ちゃんだ! 全然かっこよくない女子で、こ、このせんべいすらも本当に捨ててしまっても後悔なんてしないぐらいに!」
眼鏡「…俺が好きなのは絶対に諦めない、そんな貴女だった…!!」
金髪「──……」
眼鏡「だから、だからだなっ! そうだ! い、今のお前は湿気ったせんべいだッ!」
金髪「…」ブツン
ガタン!
金髪「お前にッ…!! お前に何が分かるって言うんだよこのオタク野郎がッ! 恋愛も一端にヤッたことねぇ奴が口出してくんなッ!」
眼鏡「な、なんだとぉ~…!」ビクビク
金髪「あーあー好き勝手言いやがって、こちとら傷心中なんだっつーの! それを手玉に取って、自分のモンにしちまおうとか思わないワケ!?」
眼鏡「はっ…ハーンッ! 俺は真面目がとりえなんですぅー! 阿呆言え、んな下衆な手でアンタを彼女にしてもなーんら嬉しくありまセーン!!」
金髪「そうかい、そう言うかい、へぇーえっ! なるほどねー! 元からんな度胸がねぇ癖して口だけは達者だねぇえええええ」
眼鏡「ええそうだよ口だけは達者よぉおおおお! アンタを前にしてたら何時だってヘラヘラ笑って愛想良くするわ! だって好きだから!」ヘラヘラ
金髪「だったら少しでもあたしを慰めるとか抱きしめてあげるとかやってあげろよっ!」
眼鏡「もう良いわ! イリマセーン! アンタはまったく魅力のないカスッカスのそこら辺の女子となんら変わらん味噌っかすですもんねー!」
金髪「なにそれ超腹が立つッ! あたしが本当に単純に諦めたか思ってるワケ!? ふっざけんなっ! 絶対絶対諦めたくないのに、好きだって心から思えてるから…ッ」グスッ
眼鏡「あ…」
金髪「んだよ…ッ! あ、あんたなら怒るけど分かってくれると思ってた、頑張っても出来ないことぐらいあるって…言ってくれると思ってた…」ポロポロ
眼鏡「…う…」
金髪「酷いよ…そんなこと言うなんて、あたし、どうしたらワケわかんないのに…っ」
金髪「ぼーってしてるうちに、先輩居なくなっちゃってるし…頑張ってたのに…なにもかなわなくて…っ」ギュッ
眼鏡「……」
金髪「もう、もういいっ! しんじゃえばか眼鏡! もう二度と話しかけてくんなっ!」バッ
眼鏡「ま、待ってくれ!」
金髪「…んだよ」グスッ
眼鏡「……ごめん、ちょっと酷いこと言う、今から」
金髪「へっ? い、今から?」
眼鏡「うん。凄い傷つくかも知れないけど、正直に言っておきたいから、今じゃないとダメだと思うから言っておくよ…」
眼鏡「マジで今さっきの発言、ドン引きです…そこまで男って都合よく女の子ため動けないからね…?」
金髪「…」
金髪「…お前はぁ…ッ」
眼鏡「うん! わかってる! でも、正直に言っておかないと──」
金髪「ほんとぉおおおに! あたしのこと好きなのかよぉー!?」
金髪「あたしのこと好きなんだって、わかるから頼るんだろー!? 思いをぶっちゃけるんだろー!? 」
金髪「こちとらメンドクセー女やってるってわかってんだよバカ! ボロボロ泣いてみっともないわッ! 知ってる知ってる自分をぶん殴りたい気分ッ!」
眼鏡「うん、だからさ!」
金髪「なんだよッ!!」
眼鏡「──まだ諦めるなって、これから勉強しようっ」
金髪「…は?」
眼鏡「勉強、勉強だって。これからみっちり目指すべき目標のために、勉強するんだ」
眼鏡「…君の好きな先輩がどのレベルの大学に行くかは分からない。止められるほどのものだから、凄いと思う」
眼鏡「だけど、わかってほしい。そして思い出して欲しい──君の努力は決して間違ってなかった」
眼鏡「俺が好きになった金髪さんは、決して諦めてはいけないモノだった!」
金髪「なに、それ…勉強って…」
眼鏡「手伝うから」
金髪「へっ? は、はぁ…? なに手伝うって、もしかして勉強会のこと…?」
眼鏡「俺は酷いことを言った。今のアンタは正直、弱音を吐いて心配してくれって嘆く…面倒臭い女だって」
金髪「眼鏡…本当に容赦無いな…ぐすっ…」
眼鏡「わ、わかってるよ! でも、好きなんだよ…! 大好きなんだ、それでも!」
眼鏡「酷いことを言いたいぐらい、大好きだよ! だから応援したいんだよ! 君の恋をっ!」
金髪「なに、それっ」
眼鏡「それに、俺がスキになった…金髪さんを失いたくない、そんなフラれ方をして悲しんでる君なんて見たくない…」
眼鏡「だからっ!」
眼鏡「──どーせフラれたなら! 何もかもその先輩より全て、勝ち誇ってから後悔させてやって欲しい!」
金髪「後悔…?」
眼鏡「ムカつくだろ! わかったように君には君の道があるよ、なんて上から目線! それでいいのっ? 好きだからって認められるのかっ?」
金髪「ぐすっ……、よく考えたら腹がたつ…」
眼鏡「でも好き! だよねっ?」
金髪「う、うん」
眼鏡「完璧じゃないかー…好きな人の為に努力をする、今までどおりだ、なんら変わりないと思う」
金髪「ま、待って! いや、それで良いのお前は…?」
眼鏡「……」
眼鏡「どうして?」
金髪「いやっ、だって、ほらっ! それ、眼鏡……苦しくない、のかなって」
眼鏡「……」
金髪「あたしは! あたしは…もう先輩のこと忘れて、眼鏡と付き合っていいと思ってる…」
眼鏡「…うん」
金髪「それが色々とスッキリ出来ると思う、だから、ヘンにゴチャゴチャさせるより…」
眼鏡「金髪さん」
金髪「っ…、なに?」ビクッ
眼鏡「…」
あぁ、俺は昔から惚れっぽい性格だった。
例え何度も何度もフラれようとも。好きな人は出来て、また振られる。
眼鏡「俺はね」
そんなことは普通だと思ってた。それが俺だと思ってた、けれど───
眼鏡「例え金髪さんが、未だに少しでも先輩さんのことが好きだったとしても…」
眼鏡「…俺は」
──振られる準備まで欲したのは、多分、貴女だけだ。
眼鏡「お前を、他人から奪ってでも好きになりたいんだ」
だからこそ、こう本気で言えるんだろう。
金髪「………」
眼鏡「う、うん、許可も貰ってたし、別にいいかなーって…」
金髪「…でも今のあたしはキライなんだろ」
眼鏡「そうだね。だから、目指してもらう、大好きな先輩さんとやらの道に」
金髪「……」
眼鏡「その為に俺が応援するよ。何が何でも、君を目標の元へ連れて行く」
眼鏡「…その道を進む貴女が、好きだから」
金髪「やっぱり、ねぇあんたってさ」
眼鏡「うん!」
金髪「…ばかだよ、センセェ」
~~~~
眼鏡「……」ボー
友「最近疲れてるね」
眼鏡「あ、うん、ごめん。なんか話しかけてた?」
友「ううん、大丈夫。慣れてるから」
眼鏡「そんな悲しいこと言うなよ…とらのあなに好きなサークルの新刊出てたっけか」
友「…」パァアア
眼鏡(超嬉しそう。まぁ話通じるの俺ぐらいだもんな…)
「あの、少し良いかしら」
眼鏡「へっ?」
委員長「ごめんなさい。実は職員室から貴方宛にプリントを渡すよう頼まれたの」
眼鏡「……」
委員長「? 何か顔についてる?」
眼鏡「ううん、別に。そっか、わざわざありがとう」
委員長「……。いえいえ、これが委員長としてのお仕事ですから」フリフリ
眼鏡(……、ぶはぁー! 緊張したーぁ! やっと表情に出ないレベルで堪えられるようになってきた…)
友「眼鏡ちん」チョンチョン
眼鏡「どした?」
友「好きなの? 委員長のこと?」
眼鏡「…やめろ、そういうことは言うな」
友「緊張してたから」
眼鏡「えっ!? まだ足りないかな無表情!?」
友「ぐっじょぶ! 自分にしかわからない!」グッ
眼鏡「そ、そっか…ならいいけど…」
ガラー!
金髪「はぉー」スタスタ
「おはよー」
「なに、今日はギリギリー?」
金髪「あ~…? あ、うん、色々とね」
眼鏡「……」
金髪「……」チラッ
スタスタ
眼鏡「……」
眼鏡(うん。これでいい、案外金髪さんが振られたことは広まってしまってる)
眼鏡(流石に振られた直後に、自分とべったりしてるのは悪いうわさが立ちやすい)
眼鏡(…直ぐにでも勉強会をして、金髪さんと話したい、教えてあげたい、けれど)
金髪「……」スタスタ
眼鏡(あのように真っ直ぐ歩く彼女を、俺が見れることが何よりも嬉しい)ドキ
眼鏡「…頑張ろう」ウン
「──ねぇセンセェ、今日はどこから教えてくれんの?」
眼鏡「…うん…?」
金髪「ちょいコラ、聞いてる?」ツンツン
眼鏡「うぅん~…?」ぴくぴく
金髪「おーい、センセェ!」
眼鏡「い、意味がわかりませんなっ? どなたでしょうか、私にはさっぱりなのですがっ」
金髪「うるせっ」パサリ
眼鏡「…え?」
金髪「昨日、電話で教えてくれた部分。やってきたよ、採点して後で教えて」
眼鏡「も、もうやってきたの…?」
金髪「うん。頑張らなきゃだし、ちんたら周りの様子伺ってちゃ時間たりないっしょ?」
金髪「──ほれ眼鏡、惚れたあたしの為にがんばれ」ニカッ
眼鏡「ばっ…!」キョロキョロ
委員長「…」じっ
眼鏡「ちょ、あれっ!?」チラッ
友「………」ムッスー
眼鏡「っ…???」
金髪「おーおー、やっぱ表立ってやんなきゃ知れないこともあンわけだね~!」キョロキョロ
眼鏡「ど、どういうことでしょうかっ?」
金髪「くっくっくっ、いいよいいよ、そういった恋愛っての楽しいと思えなきゃ損じゃん」
金髪「だからさ、眼鏡」
眼鏡「…っ?」
金髪「あたしはぜってー頑張るから、何もかも全部だ」
眼鏡「…! …わ、わかったけど、お手柔らかに」
金髪「アハハハ! 大変なのは本当だろうけど、あたしは別になにもしないけどねー!」スタスタ
眼鏡「…どういう意味だ、そりゃ」
これにて一応おわり
もしくは続きを別にスレ立てるかも
支援等ありやとでした
ではではノシ
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