バイト辞めたんだが… (26)
昨日バイトを辞めてきたんだがどうにも納得できない。
書きだめしてるからすぐ終わると思う。
あとSS初心者どころかスレ建て初めてなんで優しくしてね。
では行きます。
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本日俺はバイトを辞めた。
否、辞めさせられたとでも言うべきか。
理由は単純。店長のミスだ。それを押し付けられた、そんなところか。
今思えば面接の時から気づくべきだったと思う。
5月中旬、面接の日。
面接に赴いた俺を店長は笑顔で迎えた。第一印象は優しそう、いい上司なんだと思った。働いている他の社員が皆笑顔だったからだ。それに歳ではあるが女性が店長だとは思っていなかったので珍しいとも思った。
息を呑み、姿勢を正して面接を受ける準備をする。面接は笑顔が大事と言われるが俺はうまく笑えているだろうか。
ついに面接が始まった。店長からいくつかの質問をされる。淡々と答える。そんな中店長からこんな質問があった。
「君は何時ごろ入れるの?」
確認の為の質問だろう。都合の悪い時間しか入れないバイトはいらないだろうから。
だが俺は大学の寮に住んでいる。悲しいことに盆正月は退寮期間となり、10日ほど実家へと帰らなければならない。さらに11時に点呼があり、実質11時が門限となっている。
バイト先まで片道30分ほどかかるので俺は10時半頃にはバイトを切り上げなくてはならない。
だから正直に話した。店長が言うに閉店作業も含めると11時を過ぎるそうで俺には条件が合わない。
「そっか」
店長が考えるように腕を組み顔を伏せる。
このとき俺は不採用が確実であろうと考え、半ば諦めた気持ちでいた。
しかし店長は言う。
「いいよ。10時半頃にここを出れば間に合うでしょ?」
その時俺には店長が女神に見えた。手を組み片膝を着いてもいいと思った。
ありがとうございます。そう言ったがまだ採用とは言われていない。気を抜かず、次の言葉を待つ。
「じゃあ来週のどの日から来れるのかな?」
頭が真っ白になった。なんて良い人なんだこの人は。俺のディスアドバンテージを物ともしない雄大な草原の如き心をこの方は持っている。
ありがとうございます。再度お礼を重ね、シフトの調整をする為に取り出された紙と店長の言葉を自分の今後の予定と比べながら一月分作った。
面接が終わり店を去る前にふと、何故俺が採用されたのか聞いてみた。こんなバイトは普通入れたくはないだろう。
「笑顔が良いから」
半笑いでそう答えた店長に俺は深く頭を下げた。
だが今思えばそれこそが最大の禁忌だったのかもしれない。
〜電車の中〜
ゴトンゴトン
提督「初霜はどんな魚が好きなんだ?」
初霜「そうですね……んー……マグロですね」
提督「へぇー、俺は熱帯魚かな、名前とか知らないけど綺麗で可愛いし」
初霜「美味しいんですか?」
提督「……えっとさ、今は食べる魚の話じゃないよ?」
初霜「えっ、あっ!ご、ごめんなさい……その、ペンギンさんとか可愛くて好きです」
提督「ペンギンか、ショーとかもあるから楽しみだな」
初霜「はいっ、楽しみです」
ゴトンゴトン
本当に申し訳ありません、スレ間違えました
>>8 どうも、問題ないです
次の週、真新しい店統一のTシャツを身に纏い、他のバイトの方や店長からの指導をしっかりとメモを取りつつ簡単な作業を行っていった。
難しい内容もいくつかあったもののしっかりとやっていけるだろう。そんな思いで働いた。
今日はもう上がっていいよ。そう言われたがまだ10時15分だ。そんなことを考えているとちょうど店長から
「帰る前に日誌を書いてね。あとちょっと話があるから」
なるほど、日誌を書いて着替えを済ませればちょうどいい時間になるな。しかし話とは何だろうか。さっそく何かミスを犯したのだろうか。
事務所に戻り日誌を書きつつ店長を待つ。
「お待たせ、今日はちょっと笑顔が硬かったね。緊張してたのかな?」
ちょうど日誌を書き終えたところで声が掛かる。
確かに振り返ってみると確かに緊張していたのかも知れない。だがしかし研修中にずっとへらへらしている訳にもいかないだろう。
店長の話を聞くに、現在あるグランプリが本店を含む連鎖店で行われているらしい。
簡単に言えば自分の接客が客にどれだけの好印象を持ってもらえているのかを抜き打ちでテストするというもの。
掛け声やレジでの対応などのいくつかの項目がある中に笑顔というものががあった。最初に見た店員の笑顔はこれが原因だったのか。
これはグランプリの結果は連鎖店全ての店長が他店の分もチェックするらしく、悪いと後に小言を言われるんだとか。
まさに蓋を開ければ…というものだな。
そうしてその日は無事11時に間に合うよう帰ることができた。
それからは大したこともなくただひたすら働く日が続き、ついに問題の日が訪れる。それは盆に入る前の7月下旬での出来事。
面接での通り盆には入れない旨をもう一度説明し、さらに盆明けからの3日間は試験があるため出られない。試験中の2日目なら午後から出られる、という話をした。2日目の試験は8月の18日。俺の運命を左右した日だ。
店長は「分かった。なら18日に入るようなら連絡するね」と確かにそう言った。
日が過ぎ盆が来た。退寮期間に入り実家で羽を伸ばして16日に帰寮、帰寮の道中疲労が溜まった為早めに就寝。
17日、その日の試験が終わり部での活動もほどほどに終わる。
そして18日午前の試験が終わり連絡を待つが、俺のiPh〇neはラインと他アプリの通知音のみを奏でるばかり。
今日は休みか。そう結論付けて部の友人とカラオケへと足を運んだ。
そこで電話が鳴るが正直出る気がしなかった。時刻は18時。今から来いって言われるにしても遅すぎる。
マナーモードに切り替え、1時間後iPh〇neが寂しく机の上でバイブをするが知ったことではない。
翌日起きたのは昼だった。iPh〇neを起動すると通知は4件。直後iPhoneが振動しだした。電話だ、バイト先からの。
電話主は店長だった。どうして前日電話に出なかったのかということ。さらに前日はバイトが入っていたということ。
どういうことなのか。バイトは入っていなかったはずだ。
俺は頭にはてなを浮かべたままその日を過ごした。
そして本日。電話で今日の18時に店に来るように言われていた為汗を流しつつ店へと足を運ぶ。
前日に同じところで働く友人によりある程度の情報は得ていたが、店に着くまで俺のどこに非があるのか分からずじまいだった。あるとしても電話に出なかったことだがそんなことでいちいち呼び出すものなのか。
店に入る。涼しい。
店長の元へと歩みを進める。
事務所へ来てほしいとのことなのでそのまま移動し着席する。
懐かしい。そんな思いが過った。
既視感を感じる…どこかで同じような光景を見たことがある気がする。
そう、あの時と同じなのだ。5月に行った面接の時と。違うのは店長が何か言いたげにしているという点と俺がそれほど緊張していない、笑顔でもないという点だけ。
話が終わった。
簡潔に言えばこうだ。
18日に俺はバイトに入っていたらしい。
ふざけるな。連絡すると言ったのは貴様だろう。
盆に入れないのは止めてほしいらしい。
ふざけるな。面接で何を聞いていたのだ貴様は。
正月も入れないのか聞いてきた。
ふざけるな。これも面接で言っただろう。
電話を掛け直してほしかったらしい。
これは正直すまんかった。でも寝起きで話しても碌に頭が働くわけないだろう。
など様々な理由を述べられたが結局はこういうことだろう。長々と愚痴られても困るので俺から結論を述べる。
辞めてほしいんでしょう?と。
瞬間、奴の顔はまるで樹海の腐敗した光も届かぬ暗闇で咲き誇る歪なラフレシアのような笑顔で「うん、いいかな」なんて宣った。
幻滅した。面接の時に感じた草原は今はもうないのだ。いや元からなかったのだ。全てこのラフレシアにより魅せられた夢。幻。幻想。
笑うな、顔に出すな。それでも大人かBBA。
俺は辞めるための手続きはあるのかそれだけ聞いて、答えを聞き流しながら店を立ち去る準備に掛かる。といってもこの尻を椅子から浮かせるだけなのだが。
奴の顔を見ることはできなかった。それが怒りのせいなのか、悲しみのせいなのか…。俺はきっと後者だと思う。いや思いたい。
最初に感じたあの店長が全部嘘だっただなんて思いたくなかったから。
戸に手を掛けたところで声がかかる。まだ何かあるというのか。
「制服は後日返してね」
いらねぇよクソッたれ。
以上で終わりです。一応これノンフィクションです。
こうならないように面接の時から上司には疑ってかかりましょう。
このSSまとめへのコメント
やべえ、ほとんど俺と同じような境遇だ
やっぱり見た目でだまされてはいけないんや...
飲食店とかブラック代表なんだよなぁ…