幼女「ふえぇ...体をあげることが愛情?」(8)

~人里離れた屋敷~

幼女「あ、パパ。おやすみのキス?」

養父「今日はやめておこう」

幼女「どうして?」

養父「幼女の髪はとても美しい。私の布団に編み込んでも気付かない程に滑らかだ」サワサワ

幼女「私うつくしい...?」

養父「でも髪や爪や唾液では愛情が足りない...足りないんだよ」

養父「幼女を形作っているもっと根本的なっ!.....愛が欲しいぃ」

幼女「ふえぇ...」

養父「今日は幼女の特別な愛情を貰いにきたんだ」

幼女「ふえぇ...パパの事愛してるよ?」

養父「それは嬉しいな。だけど言葉だけでは証明にはならないんだぁ...分かるね?」

幼女「ふえぇ?」

養父「幼女の大事な大事な愛をパパにくれるね?」

幼女「.....?....愛ならいくらでもあげりゅよ!パパのこと大好きだもん」

養父「良かった。では.....幼女が歩くのに必要な大事な体をもらうよ」

幼女「ふえぇ....足が欲しいの?でも足は取れないよ」

養父「いいや。取れるんだよぉ?人間の体なんて簡単に取れるん...だっ」ザクッ

幼女「いたっ!!!い、いたいよパパ!!!いたい」

養父「人を愛することは痛いんだぁ。苦しいんだぁ。辛いんだぁ!我慢するんだぁ!!!」ザックザック

幼女「いや、いやぁああぁぁぁぁぁぁ!!!」

ボトリッ

~1年後~ 屋敷前

兵士「裏手に回ったほうがいいのでは?危険です」

女騎士「いや、正面から行くぞ。我が隊が来ることはバレていないはず。実験に使われた魔物は眠らされている。中には丸腰のマッドサイエンティストが一人居るだけだ」

兵士「ですが...」

女騎士「ごちゃごちゃとうるさい。今回は私が隊長なのだ...大したことない研究者一人のために部隊を動かす時間がもったいない...さっさと終わらせるぞ。突撃ぃぃぃ!!」

兵士「何も居ませんね。我が国に壊滅的な被害をもたらした人造魔物の作られていた場所だというのに」

女騎士「眠らされていると言ったはずだ。大方地下にでも実験室があるのだろう。探せ」

兵士「はっ!」

女騎士「しかしまだ研究者は見つからないのか。ここ10年屋敷に引き込もっているという情報の通りならもう見つかってもいいはずなのだが」

女騎士「ん?なんだ....この部屋だけ可愛らしい装飾が施してあるな」

幼女「ふえぇ.....」

女騎士「子供!?」

女騎士(鎖で縛られているじゃないか。可愛そうに。しかも大量の縫い傷...!!人体実験をさせられていたのだろうな...)

幼女「お姉ちゃんだぁれ?」

女騎士「っ!....わ、私は女騎士。国に調査を依頼されてここに来たんだ。君はここに住んでいるのか?」

幼女「そうだよ...パパと一緒に」

女騎士(実の娘まで実験材料にするとはなんて奴だ。許せん...)

女騎士「...パパはどこに居るか分かるか?」

幼女「パパ....パパね、昨日どこか遠い所に行くって出てっちゃった」

女騎士「なっ...!バレていたのか。くそっ」

女騎士「はぁ....とりあえず君を解放しよう。私は.....君を助けに来たんだ」ニコッ

幼女「ふえぇ...助けに?なんで?」

女騎士「パパに酷いことをされていたのだろう?現に鎖できつく拘束されているじゃないか」

幼女「パパはひどいことなんてしないよ!私を愛してくれてるもん」

女騎士(この子にとってはいい親だったのだろうか。拘束されることは酷くないのか?いや、子供は教わらなければ善悪の判断などできない。親を信じて頼るしかなかったのだろう)

女騎士「そうか....パパが好きなんだな」

幼女「うん...」

女騎士「とりあえず君を国で保護する。このまま放ってはおけない。昨日から何も食べていないのだろう?」

幼女「私を連れてくの?....それはだめ。勝手に出ていったらパパすごく怒って私の首を絞めるの。いつもニコニコしてるのに」

女騎士「ここに残っていても君は死んでしまうよ」

幼女「パパが居るから大丈夫!」グゥー

女騎士「腹の虫が鳴いているぞ。ほら、私のパンを食え」

幼女「ふえぇ.....」パクパク

女騎士「パパはおそらく戻ってはこない。私達が来ると知っていて君を置いていったのならもう迎えには来ないと思う」

幼女「え....」

女騎士「君は捨てられたんだ」

幼女「......うそ。それはうそ。パパが私を捨てるわけない。パパは私を愛してるの.....私もパパを愛してる!!」

女騎士(辛い現実かもしれないが早めに分からせておいたほうがいい。それにこの子は多分間違った愛されかたをしている。今までの常識を捨て社会のルールを学ばなければならない)

女騎士「大丈夫だ。これからは私がついている」

幼女「なに言ってるの!パパが居るの。私には...パパが...」

女騎士「私達がここに来なければ君は餓死していたんだぞ」

幼女「そんな...こと...うっ。パパァ....うぇぇ....ぐすっ」

女騎士(こんなに体に傷を負わされた親のために泣くか。子供とは無力なものだな....こういう子供達こそ私が守らなければならない存在だ)

女騎士「よし、解けた。歩けるか?」

幼女「うぅ....ぐすっ...ふえぇ..」テクテク

女騎士「歩けるな。ここの捜索が終わるまで屋敷の外で話を聞こう。」

女騎士「もう痛い思いをしなくていいんだ。普通の子供はそんなことされないからな」ナデナデ

幼女「ふえぇ........私パパに愛されてなかったの?...あいぃ...愛が欲しいよぅ」

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