魔法学園と異世界人 (6)
「せんせー、さよならー!」
教え子の一人が遠くの方から手を振って1日の別れを告げてくれる。日常的なことにもふと幸せを感じる、なんて言うのは大げさかもしれないけれど、僕はこんな放課後の雰囲気が好きだった。
「おー、気をつけてなー」
気の抜けたような返事を返しつつ、微笑みながら職員室へと足を戻す。
野球部の副顧問をしている僕ではあるが、副顧問なんて実際はそんなにすることもないので、たまに練習試合の申し込みを出す程度の仕事をこなして、練習をたまに見学して、終わりだ。
特別な仕事があるわけではない。
「城田先生、書類が遅れてますけど、どうなってるんですか?」
学年主任の井川先生だ。髪が上の方に纏められた長髪の彼女が眼鏡の奥から放つ眼光が僕はどうにも苦手だった。
いわゆるやり手、というタイプの人なのだろうが、僕はそのようなタイプでは無いし、むしろ真逆で、つまりはそういうことだ。
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「いや、その…すいません! 三田の件でまだ揉めてまして」
三田というのは僕が受け持つ1-2の女生徒、『三田珠音』のことである。
教師である僕が言ってはいけないことなのかもしれないが、彼女はいわゆる馬鹿なのだった。
その彼女の件、というのはだいたい察しの通りである。
「それとこれとは話が全く別でしょう! まぁ確かに三田さんの成績がすこぶる芳しく無いということも重要な話かもしれませんが、そのこととあなたの書類が遅れることに一体どんな因果関係があると言うのです!?」
「いや……その……三日以内には提出し
ますんで! ホントに!」
「……前にも似たようなことを言ったあげく三倍ほど延長なされた愚かな教師のことを私は知ってる気がしますねぇ」
こういう嫌味なところは、僕には真似できない。
「あはは、奇遇ですね、僕も知ってますよ!」
露骨にため息を吐いて、眼鏡を中指で少しあげた。僕が思うに、時間の無駄と判断したんだろう。
「……まぁいいです。提出して下さればもう何も言いません」
「ホントですか! ありがとうございます井川先生!」
「………じゃあ私はこれで。生徒は定刻通りに下校させてくださいね」
「わかってますよ、井川先生」
またため息。僕のうっかりがまた彼女を怒らせてしまうようだ。
眠いんで後日
設定を練り直して建て直しますね
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