(モバマスSS)「私のおとぎ話」 (16)
デレマスSSです。
よろしくお願いします。
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これは…1人の女の子が知らない世界に飛ばされて…
色んな経験をして…アイドルという…よ、妖精さんになるまでの物語です。
プロデューサーさん…聞いてくれますか?
そ、その…大切な思い出なので…
1、たつまきのような…
あるところに女の子が居ました。
小さい頃から人見知りな子で、知らない人が苦手でした。
声も小さく、とても物静かな子だと言われていました。
その性格のせいで、友達も少なく…誰かと遊びに行くことも…あまりしませんでした。
そんな女の子をいつも心配して、
マ…お、お母さんは女の子にたくさんの習い事をさせました。
ピアノやスイミング、英会話…そして、絵を描くこと…。
女の子はその中で、絵を描くことが好きになり、
今までよりも1人っきりで絵を描くようになりました。
そんな、ある日のこと…
女の子のお母さんは1つの大きな封筒を渡しました。
それは…アイドルという女の子の知らない世界への切符でした。
女の子は知らない世界が嫌で行きたくありませんでしたが…
熱心なお母さんの言葉を断ることが出来なくて、
今までのお母さんからの習い事の1つと同じように、
すぐにやめてしまえばいいと…考えていました。
その数日後…
女の子はお母さんに連れられて、とある会場に行きました。
そこには同じ切符を持った女の子たちがたくさん集まっていて…
その女の子たちの必死な表情や重苦しい空気を感じて…怖くなってしまいました。
その場所は選ばれた子とその子を導くプロデューサーという魔法使いさんが、
真剣にお話をする場所だと教えられました。
会場のある通路まで来たところで…
お母さんに「ここからは1人で行きなさい」と言われ、
離ればなれになった女の子は、心細い気持ちで1つ部屋にたどり着きました。
2、アイドルの世界
部屋に入ると1人の男の人が待っていました。
人見知りな女の子は知らない人と話すことが大の苦手で…
男の人は優しい笑顔で迎えてくれているのにこわくなってしまい…
「…えっと…あ、あなたが…プ、プロデューサーさん……です…か? 私はアイドルとか…するつもりないのに…。
マ、ママが勝手に応募して……。知らない人に会うの…ムリなのに…。私……どうしたら……」
と、泣きそうになりながら伝えました。
男の人は、少し困ったような表情をして…
「ありゃりゃ…それは大変だ…僕は君みたいな可愛い子に出会えて嬉しいのに…」
と言いました。
その後に優しい眼差しで怖がらせないように…
「う~む…困ったなぁ…どうしても難しい…のかな?」
と聞いてきいてきました。
女の子は、男の人があまりこわい人じゃないかもしれない…と思い、
「アイドルになるなんて…私はそんなつもりは全然なかったから…お家に帰りたいです…」
と素直に伝えました。
男の人は、完全に困った顔になってしまいました。
そして、少しだけ迷ったような表情をした後に…
「これは困った、迷い込んだのはシンデレラではなくドロシーちゃんだったか…」
と言ってきました。
女の子はシンデレラでもドロシーなんて名前ではありません。
その言葉の意味が分からずキョトンとしてしまいました。
そんな女の子の顔を見た男の人は少し恥ずかしそうに…
「あ~…ごめんね。うちの事務所はアイドルのことをシンデレラガールって呼んだりするんだ。
あと、ちょっと前にオズの魔法使いを読んで、つい…ね」
と苦笑いをしながら話しかけてきました。
オズの魔法使い…ドロシーという女の子が竜巻で魔法の世界に飛ばされて…
その世界で友達を作って…元の世界に帰るおとぎ話…
女の子はその本を読んだことはあるので、少し言葉の意味が分かりました。
男の人は、言葉の意味が分かってもらえたようだと嬉しそうに笑った後、
少し真面目な顔になって話を再開しました。
「実はね…この面接は、アイドルになることが決まったと伝える場所なんだ…
だから…出来れば、君にはアイドルの世界を旅してもらいたい…」
と、女の子はもう引き返しにくい場所まで来ていたことを教えられました。
女の子は、その事実にまた悲しくなってしまいます…。
それを見た男の人は更に言葉を続けました。
「ただ、ダメならダメでもいいよ。君にはいつでも帰れるように銀の靴を授けよう。
でも…少しだけ、僕とこの世界を歩んでくれないかな?」
銀の靴…オズの魔法使いに出てくる魔法の靴で、合図を出せばいつでも好きな場所に行ける靴だ。
ダメなら帰ってもいいから、アイドルの世界に入ってみて…という言葉…
「実はね、僕は一緒にアイドルの世界を歩いてくれる人をずっと待っていたんだ…
だから、ちょっとだけでもいいから…少しの時間でもいいから…君と歩きたいんだ」
と少し寂しそうな顔で伝えてきました。
女の子は、いつでも帰ることが出来るなら…と男の人の言葉を信じることにしました。
その返事を聞いた男の人は満面の笑みで…
「ありがとう!そしてようこそ、アイドルの世界へ!素敵な時間を過ごせるように頑張るからね♪」
と、とても嬉しそうに言いました。
その笑顔が可愛くて、女の子も少し笑ってしまいました。
3、レッスンの国
少し日にちが経ったあと、女の子は、男の人に案内されて事務所にやってきました。
そこは、誰も居ない綺麗というよりもさっぱりした部屋でした。
「僕は、他のプロデューサーさんの手伝いばっかりやっていてね…」
他の部屋はアイドルが数名居る場所もあるだけど、ここには居ないみたいです。
部屋で荷物の整理をした後、プロデューサーさんからこれからの予定を伝えられました。
「アイドルが目指すのは、もちろん舞台やテレビのお仕事とかいろいろあるんだけど…
その基本になるレッスンを続けて鍛えることが重要なんだ…」
という説明を挟んで…
「だから、今日と明日はレッスンを体験してもらうね」
と予定を教えられました。
レッスンは、ヴィジュアル、ダンス、ボーカルと体力トレーニングの4つがあって、
プロデューサーさんの予定では、
今日は、ヴィジュアルとトレーニングの2つを受けて、
明日は、ダンスとボーカルの2つを受けることになりました。
予定を教えてもらったあとは…レッスンルームに向かいました。
そこではすでにレッスンを受けている人たちが居て…
綺麗なダンスや上手な歌、様々な表情を見せていました。
そんな人たちに見惚れてしまい、
自分にそんなことが出来るのかと不安になってしまいました。
そんな女の子にプロデューサーさんは、
「あんな風に上手に出来なくていいんだよ。まずは楽しく体験してみよう」
と優しく語りかけました。
女の子は、その言葉で少し緊張が解かすことができました。
そして、着替えた女の子は、プロデューサーさんと一緒にトレーナーさんと会いました。
「あ…あの…レッスンは…よくわからなくて…。だから、や、やさしく教えてください……」
そう呟く女の子にプロデューサーさんとトレーナーさんは、
優しく微笑んで受け入れてくれました。
最初は、ヴィジュアルレッスンです。
演技に必要な表情の訓練で、トレーナーさんの指示通りに表情を変えたりします。
「まずはちょっとやってみましょう!はい、まずは笑って…」
笑う…笑顔?笑顔ってどういう表情だろう…女の子はニコっとしてみます。
それが恥ずかしくなってしまい俯いてしまいます。
それを見て、プロデューサーさんはにこやかにしているけど、
トレーナーさんは少し困った顔です。
「これはこれは…鍛えがいがありそうですね」
トレーナーさんは少し気合を入れるようなポーズをしていました。
その後も表情を変えるのは難しくて…あまり上手には出来ませんでした。
休憩中にプロデューサーさんといろいろお話したあと…
今度は鏡を使って練習してみることにしました。
鏡を覗こうとするイジワルなプロデューサーさんに少しだけ怒ってみたら、
「怒った可愛い表情が見ることが出来た」
と嬉しそうに言われて、女の子はまた恥ずかしくなってしまいました。
お昼休みを挟んで、午後は体力作りのレッスンを受けました。
距離を決めて走って体力を付けたり、筋肉トレーニングを受けます。
女の子は持久力がないので、すぐにバテてしまいました。
その時は、必ずプロデューサーさんが隣に来てくれて、
お水を渡してくれたり、目標を変えてみたりと女の子を支えてくれました。
その日のレッスンが終わって、事務室に戻ってきたときには女の子は疲れ果てていました。
プロデューサーさんに寮まで送ってもらって、すぐに眠ってしまうのでした。
次の日も決まった時間に事務所に行きました。
女の子は挨拶が苦手で…プロデューサーさんを見つけたときに
軽く頭を下げるくらいでしか挨拶ができませんでした…。
そして、今日の午前レッスンのダンスの時間です。
リズム通りに動いたり、リズムの刻み方を学んだり…体力が奪われます。
また、ステップとか難しい動きが出来なくて困ってしまいます。
そんな時も
「ピアノを経験していたって言っていただけあって、リズム感は素晴らしいよ」
と前に少し話したことを出して褒めてくれたり、
プロデューサーさんはいつも女の子を支えてくれました。
ただ、体力がないとダンスも難しいんだ…と少し苦手だと感じてしまいました。
午後は、ボーカルトレーニングです。
ボーカルと聞いて、お歌のレッスンだと女の子は思っていたのですが、
今日は声の出し方や話し方を学ぶレッスンでした。
女の子は、自分の声が小さくて話を聞いてもらえないことや、
学校で声が小さいことを言われて、恥ずかしくなって更に小さい声になってしまうことを
気にしていたので、このレッスンで学べることが嬉しかったみたいです。
その日の終わりにプロデューサーさんから感想を聞かれ、
大変だったけど、いろいろ学べたことが嬉しかったことを伝えました。
プロデューサーさんは、その言葉が嬉しかったみたいで、
嬉しそうに頷いていました。
ただ、不安もあった女の子は、
「レッスンは…ちょっと心配です…。私、あんまり体力がないから…続けられるかなって……」
と、不安もプロデューサーに伝えました。
プロデューサーさんは、少し困った顔をしましたが、
「ちゃんと続けられるように僕も全力で支えるね」
と真剣な顔で答えました。
真剣な答えを受けた女の子はその言葉を信じてみようと
その後のレッスンの日々を頑張ってみるのでした。
4、この世界の景色
女の子は絵を描くことが好きで、時間のあるときはいつも絵を描いていました。
それは、アイドルの世界に来てからも変わりませんでした。
いつもスケッチブックを持ち歩いていて、
レッスンの休憩のときに窓から見える景色や仕事の現場近くの風景
色鉛筆だったり、絵の具だったり、その時使える道具で描いていました。
プロデューサーはその絵が気になっていたけど、
女の子は恥ずかしくて見せることをしませんでした。
その日も、そんな他愛のないやりとりをしていましたが、
ふと、プロデューサーが女の子に問いかけました。
「今でも…銀の靴を使って帰りたい…かな?」
それは、最初にした約束…嫌なら帰ってもいいという言葉
女の子は考えました。
今の自分がアイドルに対してどう思っているのか…
レッスンは辛いことも多いし、
プロデューサーさんと行く営業やオーディションでは知らない人が居る…
嫌なこともたくさん浮かんできたけど…でも…
「最初は嫌だったけど…ずっと私を見てくれた…
プロデューサーさんのためにも…ちょっとだけ…頑張ってみます…アイドル…」
ずっと支えてくれる優しい魔法使いのようなプロデューサーさんのために
もう少し続けてみようと思い、それを言葉にして伝えました。
プロデューサーさんは、「そうか…」と短い返事だったけど、
とても嬉しそうに微笑んでいたことを女の子は気付いていました。
その後も他愛のないおしゃべりをしながら…女の子は
真剣にお仕事をするプロデューサーさんを描いていました。
おしゃべりが終わって、明日の予定のことを伝えられました。
明日は、プロデューサーさんがお手伝いしていたアイドルさんのライブを見学に行くことになりました。
ライブを見るのははじめてだったので、女の子はとても楽しみだと思いました。
5、臆病だったライオン?
その日は、少しじめじめした日でした…。
女の子はレッスンを午前で終わらせるとプロデューサーと一緒に出掛けます。
場所は、地下に入っていくライブハウス
プロデューサーと一緒に関係者用の入口から入り、奥に進みます。
そして、少し進んだ場所に控室がありました。
プロデューサーがノックをして部屋に入って行きます。
女の子も遅れないように付いて行きました。
部屋の中には、見知らぬ男の人と女の子が居ました。
その女の子は、綺麗な銀髪に黒くちょっと怖い衣装を身に纏っていて、
右目の周りにピンク色でハートの化粧がされていました。
これからライブを行うのは、その女の子で、
男の人が女の子のプロデューサーさんだと教えてもらいました。
「おはよう…ございます……」
女の子は2人に挨拶をしてみました。
「フヒ…おはようございます…」
銀色の子も挨拶を少しぎこちなく返してくれました。
女の子はプロデューサー以外にも挨拶が出来たことに少し嬉しくなりました。
プロデューサーがライブ前の2人に見学に来たことを伝え、
女の子とプロデューサーは関係者用の二階の席からライブを見ることになりました。
ライブの開演までまだ時間があるので、
プロデューサーさんが銀髪の子について教えてくれました。
その子は、キノコが好きで私よりも人見知りだったみたいで…
可愛いのにそれを認められない子だったそうです…
オズの魔法使いに出てくる「臆病なライオン」のようだったみたいで、
今は、ライブのスイッチが入ると臆病じゃなくなるって教えてもらいました。
そんなお話を聞いていると…客席がだんだんうるさくなってきました。
女の子の声だとプロデューサーに聞こえなくなるのではないかと思いましたが、
ボーカルレッスンのおかげなのか、声は届いていると言われました。
女の子はちゃんと聞こえていたことが嬉しくて、もう少しレッスンを頑張ろうと思いました。
そして…ライブが始まる時間になりました。
「フハハハハ!!ブラァァックミサァァァッ!よくきたな…!
これから行われる儀式、その生贄にお前らを選んだのだ、感謝しろ!
さぁ、ブラッディパーティーの始まりだ!!」
挨拶をしたときとは違いすぎる絶叫が響き渡る。
その声に呼応するように観客からも大きな声援が送られる。
銀髪の子の絶叫に驚いていると
「ね?臆病だったライオンって感じでしょ?」
って笑いながらプロデューサーさんが言ってきた。
女の子は呆気に取られて頷くしかできませんでした。
そして、曲が始まります。
銀髪の子が思いっきり歌い上げ、
観客の場所は赤い光で埋め尽くされていく。
プロデューサーさんから
「あれはサイリウムと言って、アイドルを応援するときに振る道具なんだよ」
と教えてもらい、プロデューサーさんが持っていた赤いサイリウムを1本貸してもらいました。
プロデューサーさんと一緒に曲のリズムに合わせて振ってみると、
銀髪の子と一緒にライブを楽しんでいる気分になれて楽しくなりました。
ライブが終わったあと…
たくさん応援して疲れていると、プロデューサーさんが…
「ライブってすごいでしょ?みんな盛り上がって元気になっていく…素敵な魔法みたいだよね」
と楽しそうに言ってきました。
女の子は、まだ楽しい時間の余韻に浸っていて頷くくらいでしか返事ができませんでした。
その後、もう一度銀髪の子に挨拶をしてプロデューサーさんと事務所に帰りました。
部屋に帰ってきた女の子はライブの感想をプロデューサーさんと話し合います。
そして、少し落ち着いた頃…プロデューサーさんが大きな封筒を1つ持ってきました。
その中に入っていたのは…まるで妖精のような衣装のデザインと
『リトルフェアリー』という言葉と…新しい仕事の内容でした。
「僕が考えたデビュー案なんだ…どうかなアイドルとして誰かを元気にする。
そんなもう1ランク上の君だけが出来る仕事をしてみないかい?」
それは、女の子のためのお仕事でした。
今までとは違う本格的なデビューのお話。
女の子は今までの自分を見つめ直していました。
アイドルになんかなりたくないと思っていた最初の気持ち…
ずっと一緒に居て支えてくれたプロデューサーの優しさ…
厳しいけど、自分を成長させてくれるレッスン…
「プロデューサーさんとなら…アイドルも…できるかもです……」
女の子はそう言ってプロデューサーを見つめました。
プロデューサーさんは笑顔で頷くと、この企画で進めると言いました。
6、リトルフェアリー
女の子は、先日のデザインの衣装が届いたので試着をしました。
「プロデューサーさん……あの、着替えました……これで…私も…アイドルに見えますか……?」
青と水色のヒラヒラした衣装で肩を出していて、
背中には優しい色の羽のような飾りがあり、
頭にもお花の冠を付けて、本当に妖精さんになった気分になりました。
衣装を着た女の子を見て、誰が来ても女の子より似合う子なんか居ない可愛いアイドルだと
プロデューサーさんは他にもたくさんの言葉で褒めました。
「ほ、本当……?あ、この前……ママに明るくなったって言われたの…
きっとプロデューサーさんのおかげ…です…」
と、嬉しそうに話す女の子にプロデューサーさんも喜んでいました。
そして、その衣装を披露するイベントの打ち合わせをします。
ライブでは、苦手にしているステップが入っていたり、
プロデューサーさんは少しイジワルなことを仕掛けていました。
でも、女の子はそれも頑張ろうと少し前向きになっていました。
そして…
「頑張ったご褒美に…や、やっぱりいいです…」
少しおねだりをしてみようかと思いましたが、
恥ずかしくて言えなくなってしまったようです。
その後は、イベントに向けてレッスンの日々でした。
最初は厳しいレッスンの日でしたが、
体力を付けるレッスンでは
「走っていると、絵に描きたい風景が飛び込んできて…ちょっとだけ我慢が必要ですね…」
と余裕を見せるようになっていたり、
他のレッスンでも楽しんで受けていることが増えていました。
営業のときも話せることはあまりありませんでしたが、
プロデューサーと一緒に挨拶をしてみたりと、
最初は後ろに隠れているだけだった女の子は成長していました。
そして…そのイベントがやってきました。
やっぱり知らない人ばかりの場所が女の子は苦手でした。
緊張でアタフタしてしまっていると…
プロデューサーさんが駆けつけてきて女の子に声をかけます。
それだけで女の子は落ち着きます。
イベントの舞台に立つのは女の子だけ…でも、
ずっと見て、ずっと支えてくれたプロデューサーさんが近くに居て見守ってくれる。
それだけでも女の子は頑張れると思いました。
歌と踊り…そして、トークと全てをやりきった女の子は…
前は言えなかったお願いをプロデューサーさんに言いました。
「プロデューサーさん、頑張ったのでご褒美…な、なでてください」
プロデューサーは嬉しそうに「よく頑張った」、「良い子だ」と
たくさんの褒め言葉を添えて女の子の頭をナデナデするのでした。
女の子はその言葉と優しい感触に身を委ねて、
とても幸せな気持ちになりました。
7、1つの区切り
女の子がアイドルになって月日が過ぎたある日…
女の子が事務所の扉を開くと…
パンッパンッ!
と破裂する音と女の子の足もとに綺麗な紙が舞い落ちました。
女の子は驚いてしまいましたが、
よく見ると綺麗な紙はクラッカーの飾りでした。
呆気に取られているとプロデューサーさんから
「お誕生日おめでとう!」とお祝いの言葉とナデナデがきました。
女の子は自分の誕生日をプロデューサーさんからお祝いしてもらえると思っていなかったので、
お返事が上手くできません。
「わわ…あ、ありがとう…ございます…。
大きくなったんですね…私…けど…あんまり変わらない…かも…?」
と、やっと少し落ち着いて返事をしました。
プロデューサーからは
「帰りたいって泣きそうになっていた子が立派なアイドルに変わったんだから、すごく成長したよ」
と返事をもらいました。
女の子は、プロデューサーさんとの出会いを思い出して少し恥ずかしくなってしまいました。
ちょっとだけ仕返しがしたいと思った女の子は…
「はじめは…プロデューサーさんのこと…こわいかもって思ってました。
でも今は……。えへへへ…。やっぱり…ひみつ」
と、ちょっとイジワルな笑顔でプロデューサーに伝えるのでした。
そして、一緒にケーキを食べながらお仕事のお話になりました。
夏は浴衣を着て一緒にお祭りに行きました。
賑やかな場所が苦手だった女の子にとってお祭りは行きたくない場所だったけれど、
プロデューサーがずっと一緒に居てくれるから、楽しめたことを思い出していました。
他のアイドルとも一緒にお仕事が出来て嬉しかったことも話しました。
ずっと裾を掴んで離さない女の子が可愛かったとプロデューサーに言われて、
少し恥ずかしくなってしまいました。
今度は、お正月のお仕事が決まったようです。
女の子は、一緒に初詣に行って、一緒におみくじをする約束をして…
もっともっと2人で一緒に頑張ろうとプロデューサーと指切りをするのでした。
そして、成宮由愛という名の女の子は妖精のようなアイドルとして、
銀の靴を脱いで、プロデューサーさんとずっと一緒に頑張るのでした。
*
どうでしたか?プロデューサーさん…
え?そんな変な言葉使いじゃない?
えっと…その…おとぎ話みたいにしたかったので…えへへ…
全部…私の大切な思い出です…
これからも素敵な物語が描けるように…頑張りますね。
そ、その…プロデューサーさんと…ずっと一緒に…
あ、プロデューサーさん…
私はもう銀の靴は使いませんよ?
だからその…いつか…新しい靴をください…なんて…
FIN
以上です。
願わくば誰かの暇つぶしになりますように…
あ、HTML化の依頼をしてきます。
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