キョン「アンディスカバードオフリミット」 (7)

ハルヒ「どーしてあんたはそんな大事な事を早く言わないのよ!」

キョン「どーしてだろうな」

ハルヒ「有希も有希だわ!団長に黙ってバイト始めるなんて!」

説明が必要でしょう。いつもの北口駅前で
機関車の汽笛のような声で不満を爆発中なのが、我らが団長涼宮ハルヒ。
いや、僕が説明すべきなのは長門さんがバイトをしている…という部分でしょうか。
できるだけ手短に説明させてもらいます。
彼が無駄なフォローに奮戦した挙げ句、朝比奈さんまでもが涼宮さんの餌食になる前にね。


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事の発端は2日前

それは、状況だけで言うのであれば、とあるご家庭での夕食の一幕の事です。
現在、僕の視界に入っているのは、食欲を誘う匂いと共にうっすらと立ち上る湯気の向こうから
時折こちらを気にするように顔を上げてはまたはんぺんを噛む作業へと戻る長門さん。
そしてそんな寡黙な長門さんとは対照的に、

朝倉「ねえ、おでんは味噌派? からし派? 両方持ってきてあるから遠慮なく言ってね」

妙に甲斐甲斐しく僕に話しかけてくる朝倉さんの二人。
さて、僕は何故この二人と鍋をつついているのだろうか…。

その答えを聞くべき相手が思いつかなかった僕は、鍋の淵より明らかに多く積まれたおでん
ダネを上から順番に食べ進めていった。

朝倉「ねえ、所でどうしてあなたがここに居るの?」

僕が卵を探して鍋を覗き込んで居ると、向かって左隣りに座っている朝倉さんが、
僕のお皿にちくわぶを入れながらそんな事を聞いてきた。

古泉「…なぜちくわぶを僕に?」

朝倉「美味しいからよ」

そうですか…


古泉「さっきの説明では不満なのですか?…少しばかり文芸部に興味があるのですよ」

朝倉「もちろん不満。長門さんは拒否しないから、
   本当は強引に上がりこんでるんじゃないかって可能性を疑ってるの」

本人を前に率直な意見をどうも。
あと、ダシの染みてる食べかけのちくわぶもどうも。
突っ込みを入れつつちくわぶを口に運んでいると

長門「強引ではない…」

弁護してくれる長門さんの発言を無視して、朝倉さんは僕に興味の視線を投げかけてきている。

いったいあなたはどんな返答を聞けば満足するんです?

実はあなた達は宇宙人だとでも言えばいいのでしょうか

古泉「朝倉さん。僕もあなたに一つ質問してもいいでしょうか」

朝倉「何かしら? おでんのダシ?」

それも少し気になりますがその事ではないです。
聞く体勢の朝倉さんに対し、思わず箸を向けてしまったもの
……長門さんの前で「彼を殺そうとした記憶があるか」などと聞くわけにはいきませんし
一番聞きたい事は聞けないとなると、やはり

古泉「あなたはなぜそんなにも長門さんの事を心配してるのですか?」

古泉「同じマンションに住んでるだけの友達、という感じにも見えませんし」

朝倉「そうかな」

古泉「ええ」

夕飯を作りすぎたからついでに、というのはいいとしても、なぜそこまで長門さんの心配をするのか
こう見えても長門さんは一応高校生でしょうし、過保護過ぎな気もしますが。

朝倉「あれ~? やっぱり、本当は二人っきりで何かしたかったけど私がお邪魔なのかしら?」

古泉「いえ、別にそういうわけでは」

朝倉「あ、視線逸らしたね」

古泉「…湯気のせいでそう見えるだけかと」

朝倉「本当かなぁ」

……まったく、付き合いきれませんね。

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