メイド長「なんですかそれ」男「ハーフエルフだ!」 (108)
少女「…」ドンヨリ
メイド長「見ればわかります。ですが、げんなりしてる風に見えるのが不思議なんです」
男「いやーそれが分からなくてさ。さっきから聞いてるんだけど答えてくれないんだよね」
メイド長「どうしたのか教えてくれる?」ニコッ
少女「年齢…バスト…処女」
メイド長「ご主人様のせいですね」
男「そうなの?てかなんでメイド長には答えるの?」
少女「…」
メイド長「どうしてかしら?」ニコッ
少女「人間としてまともだからです」ペコッ
メイド長「ありがと」ニコニコ
男「ちょっと待って、異見わからない。それじゃあ僕が不真面目みたいじゃないか」
メイド長「童貞のくせに奴隷なんて買うからですよ。…ご主人様」
男「んー童貞は関係ないでしょ?」
メイド長「包茎?」
男「ズルムケだわ!」
少女「…」ゲンナリ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1438513726
メイド長「結局どうするんですか?」
男「そりゃーもちろんいいコトするんだよ」ニタァ
少女「…」ビクッ
メイド長「ああ、脱童貞ですか」
少女「…」ビクビク
男「あーいや、それはやっぱり男女の関係になって付き合ってくうちに、良い雰囲気になったらお願いします」
少女「…」
メイド長「だから童貞なんですよ。奴隷なんですから好きな様にすればいいじゃ無いですか」ジロッ
男「好きになってくれたら喜んで受け入れるさ」HAHAHA
メイド長「大好きですよ。ご主人様」ニコッ
男「こやつめ、ハハハ。冗談が上手いな」
メイド長「ハハハ、童貞。この後はどうされますか?」
男「食事の用意を頼む」
メイド長「畏まりました」スッ
少女「あの…私はどうすれば?」
男「どうする?」
メイド長「どうもする気がないのでしたら、私が預かります」
男「いつも悪いねー」
メイド長「いえ、もう慣れました」
ーーーー厨房。
メイド長「コックは居ないから私が料理を作ります。貴女は料理はできるのかしら?」
少女「少しだけなら出来ます」
メイド長「それじゃあこれと、これを作るから下準備からお願いね」
少女「は、はい!」
ーーーー男の部屋。
?「ご主人様~また女の子を買ってきたんですか?」
男「んだね」カキカキ
?「何してるんです?」
男「仕事だよ」カキカキ
?「遊んで」
男「王様に報告しなくちゃならないからもうちょっと待ってね~」ニヤニヤ
?「悪い顔~」
男「いやねあのチビ侯爵が煩いからなんとかしてくれって内容だよ」
?「私を買いたいって言ってきたあの人?」
男「あれはデブ伯爵」
?「ご主人様は偉い人なの?」
男「んー偉くないよ~」
?「馬鹿なんだ!」
男「そうだねー馬鹿だよ」ナデナデ
?「あまり撫でるとヘビさんが噛み付くよ?」
男「ロリメデュのヘビさんなら大丈夫さ」
メデュ「そうなんだー」カミカミ
男「ちょっと血清取ってくる」キリッ
メデュ「いってら~」シャー!シャー!
メデュ「威嚇しちゃダメ」シャ~!
ーーーー?。
男「天が呼ぶ、地が呼ぶ、君が呼ぶ」
?「はい、血清」スッ
男「吸血鬼ちゃん、もうちょっと愛想よくして」
吸血鬼「血をくれるならいいですよ」
男「君の家系は血を吸った相手と結婚するんだよね?」
吸血鬼「そうですよ、血婚です」
男「上手いね。でも血はあげられないよ」
吸血鬼「座布団的なノリでくれてもいいじゃないですか」
男「ザブトンってなんだか知らないけど、そういうことは大切な人に言うんだよ」ナデナデ
吸血鬼「…」アーン、ガチン
男「はっはっは、テンション高いね。もう少しで噛まれてたよ」
吸血鬼「最高にハイってやつです。くれなきゃ最高に灰ってやつです」
男「自殺はダメ、ゼッタイ」
吸血鬼「分かりました。ご主人様はそういう人だと知っているので今は諦めます」
男「いい子だね。でも血清を打ってくれるのは嬉しいけど血を抜こうとしないでね、てか回収ね」スッ
吸血鬼「チッ」
ーーーー浴室。
男「偉人は言った。風呂は命の洗濯だと」
?「…そう」
男「うん、風呂って気持ちいいよね!」
?「うん、入る?」
男「いやいや、先客がいるなんて思わなかったから今回は辞めておくよ」
?「ご主人様のお風呂を我が物顔で使ってる私よ汚しても誰も文句はー」
男「言わないけど遠慮するよ、ゆっくりしてってね!」
?「せめて先っぽだけ、先っぽだけでもいいから洗わせて」
男「必死だね、さっきゅん!」
サキュバス「ご主人様が来るのを知ってれば透明になって待ってたのに」
男「いつ来るかわからないのがいいんじゃないの?」
サキュバス「プレイなら最高、プレイじゃなくても最高」
男「ふふん、でも僕の浴槽よりメイド用の浴槽のほうが豪華にしてあるのになんでこっちなの?」
サキュバス「それは私に死ねと言ってるのと同じ、ご主人様が残していった生気を変換して栄養にしてるから」
男「だから食事しないんだったね」
サキュバス「本当は精ー」
男「それじゃあまたね」タ、タ、タ
サキュバス「…メイド長に怒られるから今は何もしませんよ」ニヤ
ーーーー厨房。
男「ただいま」
メイド長「何か?」
少女「…」ビクッ
男「ノリ悪いなー」
メイド長「食事の用意でしたらまだ少し掛かります」
男「そっか、じゃあ邪魔したら悪いね」
メイド長「そうですね、だから早く消えてください」
男「なんか怒らせるようなことした?」
メイド長「私に相談せずに、また買ってきたことを反省してると思いますので私からは何もありません」
男「そっか、ごめんね」
メイド長「…」
男「…」チラッ
少女「…」ビクッ
男「いろいろ勉強して、いつか戻れるといいね」
少女「…」
男「それじゃあ、邪魔したね」タ、タ、タ
メイド長「…」
少女「あの…今のは?」
メイド長「…余計なことは考えないで今は料理を進めちゃいましょう」トントントン
少女「は、はぁ」
ーーーー食堂。
男「…」モグモグ、ペラッペラッ
メイド長「…」
少女「…あの、私も食べていいのですか?」
メイド長「まだ正式に雇われていないから、奴隷とかは関係なく、今はご主人様と一緒に食事してもいいのよ」ニコッ
少女「…」モグ、モグモグ
少女「すごく美味しいです!」パァ
メイド長「フフ、ありがと。食事は逃げないのだからもう少しゆっくり食べなさい」
少女「…はい」カァ
男「…」モグモグ、ペラッペラッ
少女「…」チラッ
メイド長「ご主人様はお食事をなさる時はいつも本をお読みになります。最低ですけど見ないふりでお願いするわね」
少女「…はい」
ーーーー書斎。
ガチャ。
メイド長「ご主人様、あの子は客室に案内しました」
男「ありがと、お疲れ様」ペラッペラッ
メイド長「…」
男「座っていいよ」ペラッペラッ
メイド長「はい、失礼致します」スッ
男「…あの子は、自立できそう?」
メイド長「大きくなればとても美しくなるでしょうね。耳を隠せば人としても生きていけます」
男「出来るなら返してあげたいけど、エルフの森の資料なんてどこを探しても見つからない」
メイド長「いつもそうやって、買ってきた女の子の帰る場所を探す癖は直らないのですか?」
男「こればかりは無理さ、病気みたいなもんだからね」ニコッ
メイド長「…そう、ですか」スッ
男「目を逸らされると、傷つくな」ハハ
メイド長「…」
男「休まないの?」
メイド長「ちゃんと休んでいます」
男「わかったわかった。今日は寝るよ」
メイド長「そうして頂けると助かります」
男「昔から変わってないね」
メイド長「…」
ーーーー翌朝、玄関。
使者「お取次ぎ願いたい」
メイド長「主人はお会いすることが出来ません」
使者「理由を聞いても?」
メイド長「申し訳ございません。主人の事をお伝えすることは憚られます」
使者「ふん、王様からの伝令だとしてもか?」ニヤッ
メイド長「申し訳ございません」スッ
使者「な!?貴様…メイド風情が…」ギリッ
?「煩いよ」
メイド長「…!」
使者「うるさいとはなんだ!失礼だぞ」
男「そりゃ悪かったね」
使者「な…男公爵。た、大変失礼しました」サッ
男「堅苦しい挨拶はいいから、用事なら入りな」
メイド長「よろしいのですか?」
使者「貴様、先程から没落貴族の分際で失礼だぞ!私は王様の命で来たと分かっていってるのか!!」
メイド長「申し訳ございません」スッ
男「…いいよいいよ。通して」
ーーーー客室。
ガチャ。
少女「!?」
男「おおう、そういえば使ってるの忘れてた」
使者「なっ!?エルフ!??」
男「ごめんね、ちょっとメイド長のところに行っといて貰える?多分、朝だから書斎の掃除してると思うよ」
少女「…」タタタ
男「いやぁ、顔真っ赤にして可愛いな。人見知りってポイント高いよね!」ニコニコ
使者「ポイント?あ、いや…エルフが野放しにしてあるなんて何をお考えですか!襲いかかってきたらどうするおつもりで?」
男「むしろ本望」キリッ
使者「…あ、いや…そういう訳では」アセ
男「ふむ、戦争は避けられそうにないのか」ガサッ
使者「…はい。王も何とか外交で抑えようとしたのですが」
男「あの国は小さいくせに好戦的だからな…」
使者「あの…噂だと男公が帝国の姫の縁談を断ったとか」
男「いや、すごいわがままだったから断るだろ」
使者「ですが、帝王なる上に領地も手に入るのでしたら」
男「嫌だね、私はこの国に尽くすと決めているからな」
使者「…男公」ジーン
男「なに感動してるの?」
使者「国を思う気持ちは私も同じです!」
男「…(暑苦しいなぁ)」
使者「男公は今回の戦争をどう思われますか?」
男「と言うと?」
使者「勝つことは出来るとお思いで?」
男「やらなきゃ分からない」
使者「男公がこの戦争に参加してくださるのでしたら勝つのは決まっています。ですが…」
男「参加するかしないかは気分次第とか言われてるあの事?」
使者「そうです、あくまで噂ですが男公が参加していなかった戦争もあるとか」ジッ
男「…噂はあくまで噂。噂を本人に確認するとはいい身分だね」ニコッ
使者「い…いや。け、決してそのような事では」アセッ
男「いいかい?私がこの地位にいるのはそれなりの事をしたからさ」
使者「…」ゴクッ
男「ありとあらゆる戦略で敵を殺し、装備を奪ってそれを売り、新しい武器を作ってまた進軍する」ジッ
使者「…」ゾクッ
男「今、君の前にいるのは誰だい?」ジッ
使者「…」ガタガタ
男「君は王の命で来たのは分かるが、私の家のメイドに対してなかなか素敵な暴言を吐いてくれたじゃないか」
使者「…うぅ」
男「…なんてね、冗談だよ」ニコッ
使者「…」ビクッ
男「さっさと帰れ、そして忘れるな。次は…無いとな」スッ、タ、タ、タ、ガチャ…バタン
ーーーー廊下。
メイド長「もう、よろしいのですか」
男「oh…いつから居たのさ」
メイド長「最初からです、何かあった時はすぐに入るつもりでした」スッ
男「恥ずかしいから少女ちゃんぺろぺろしてきていいかな?」
メイド長「どうぞ」
男「いや、止めてよ」
ーーーー書斎。
少女「…」
ガチャ!バタン!
男「ここに少女ちゃんがいると聞いて!」
少女「…」ビクッ!
男「うっは、可愛い。そのビクビクした時に耳が少し震えるのっていいよね!」
少女「…」サッ
男「いや、すぐに隠すとポイント加算だよ?」
少女「…」ササッ
男「…あらら、本棚の間に隠れちゃった」
少女「…」チラッ
男「…間からチラ見…だと…なんという高等テクニック」ハァハァ
少女「…」ビクビク
男「いかんいかん、冷静にならないと…ここは僕の書斎だ。出来るなら許可がない限りは、あまり入ってほしく無いね」
少女「…ゴメンナサイ」ボソッ
男「許可しちゃう」グッ
少女「…コワイ」ビクビク
男「でも正直なところ、ここの書斎には見ていいものは書いてないから、見るならさ。メイド長の部屋に行くといいよ」
少女「…メイドチョウ?」
男「うんうん、だから行った行った」フリフリ
少女「…」トテトテ、チラッ
男「襲わないから安心してよ」ニコニコ
少女「…」カチャ、パタン
男「まぁ警戒されるよな」ハハ
男「…ふむ、」ペラッペラッ
?「…主人様」スー
男「壁は通り抜けるものじゃないよ、吸血鬼ちゃん」
吸血鬼「…暇」
男「なら一緒にこの本読む」スッ
可愛いエルフの育て方。
吸血鬼「…ムッ」ジー、イラッ…アーン
男「噛み付くの禁止ね」ニコニコ
吸血鬼「ヒマ~」
男「今は戦争じゃないから病人もけが人も居ないからね」
吸血鬼「空飛んてきていい?」パタパタ
男「朝からドラキュリーナが空を飛んでたらおかしいでしょ?」
吸血鬼「見渡す限りは主人様の領土だから大丈夫」ガチャ、パタパタ
男「こらこら、許可なしに出て行かない」ガシッ
吸血鬼「…乙女の生足を触るなんて。主人様は、だ・い・た・ん」ポッ、パタパタ、サァ-
男「だから朝だって言ってるのに、しかも灰になってるし」
吸血鬼「大丈夫だよ、今は髪の毛だけだから」
男「頭ツルツルの吸血鬼ちゃんなんてどこに需要があるんだよ」
吸血鬼「大丈夫、下はツルツル」キリッ
男「ハイハイ、どこだっていいから」グッ
吸血鬼「あ~れ~」
吸血鬼「まったく主人様はわがままでエッチ」
男「エッチなのは認めるけど我儘言ったっけ?」
吸血鬼「ところでエッチな主人様」
男「なんだい?」
吸血鬼「戦争するの?」
男「吸血鬼ちゃん、また壁から耳だけ出して聞いてたでしょ」アセッ
吸血鬼「んーん、天井から頭を出して聞いてた」
男(見ていたらの反応)「ウワァアアア!」使者(見ていたらの反応)「ギャー!!」
男「あ、あはは…ホラーだからやめようね」
吸血鬼「どうするの?」
男「今回は避けられそうに無いね」
吸血鬼「もう王様は、主人様に褒美を与えられないって頭を抱えてたよ」
男「だろうね、いまじゃ王様より領土持ってるし。収税官なんて数十人いないと運べないほど渡してるから」
吸血鬼「王様にならないの?」
男「嫌だね。今の生活が気に入ってるんだ、吸血鬼ちゃんとこうやって話すだけでも幸せなんだから」ニコッ
吸血鬼「やっぱり主人様は私の大切な主人様だよ」ニコニコ、アーン
男「はは、噛み付かない」ガシッ
吸血鬼「いけずな主人様」
男「どれだけ名前が変わるんだろうね」
ーーーーメイド長の部屋。
メイド長「…」ジッ
コンコン。
メイド長「…開いてるわ。入りなさい」
ギィ。
少女「あの…」
メイド長「どうしたのかしら?」
少女「あの人がここに本があるって」
メイド長「そこにあるから好きなの持って行きなさい」
少女「いいの?…ですか?」
メイド長「貴女を雇っているわけではないのだから普通に話しなさい」
少女「は、はい」
メイド長「…」
少女「…」タ、タ、タ、ピタッ
メイド長「…どうしたの?私は本じゃないわよ」チラッ、ニコッ
少女「あ、あの何を見ているのかな…って思いまいましたのです」
メイド長「ふふ、昔の絵よ」
少女「…」
メイド長「見たいのかしら?」
少女「…」コクッ
メイド長「…どうぞ」スッ
男の子と気弱そうな女の子の絵。
少女「兄妹?」
メイド長「いいえ、男の子はご主人様」
少女「この…」
メイド長「ふふ、今にも泣き出しそうよね。この子はとある貴族のお嬢様よ」
少女「…綺麗な子」
メイド長「もう亡くなったわ」
少女「!」
メイド長「戦争で両親を亡くして、生きる希望も家もなくして奴隷となって売られたわ」
少女「それじゃあ…」
メイド長「そう、だから亡くなったと思ってるのよ。生きていたとしても奴隷は…」
少女「…」
メイド長「ごめんなさい。貴女の立場を考えないで話してしまったわ」ナデナデ
少女「私はどうなるのですか?」
メイド長「今は生きることを考えなさい」ギュッ、ナデナデ
少女「…」
ガチャ!
男「抱きしめたいな!少女ちゃん!」
少女「!」ビクッ
メイド長「…どうされました?」ギュ、ナデナデ
少女「…」ビクビク
男「って、先を越されたか。いやー用事ってわけじゃないんだけど吸血鬼ちゃんが暇しててね」
メイド長「十字架で囲まれた部屋に放り込まれたくなかったら、たまには自分のお部屋を掃除しやがってくださいと伝えてきます」ナデナデ
男「少女ちゃん気に入ったの?」
メイド長「…はい」
男「おお、珍しいね。いつもだったら否定するのに」
メイド長「…」
男「いや、そうじゃないよな。あはは、いやー自分で何とかするからまたあとでー」タ、
メイド長「ご主人様、お待ちください」スッ
男「どうしたの?」
メイド長「私は大丈夫です」
少女「…?」
男「そっか、それじゃあ少女ちゃんの世話係をよろしくね」
メイド長「よろしいのですか?」
男「妹が欲しかったって言ってたじゃん、半分は人間なんだから問題ないって」グッ
メイド長「畏まりました」スッ
男「それじゃあね」フリフリ、タ、タ、タ、ガチャ、バタン
ーーーー廊下。
男「はは、少しは生きる希望が…出てきたのかな」タ、タ、タ
ーーーーメイド長の部屋。
少女「あの、つまりは?」
メイド長「今日から奴隷ではなくて、この家の者となったのよ」ニコッ
メイド長「正確には雇われたということ、世間から見れば貴女は奴隷なのだけど…ね」フフ
少女「それは、良いことなのでしょうか?」
メイド長「少なくとも、無下に扱われないわ」
少女「ペロペロされない?」
メイド長「…仕事を教えるからついてきてね」ニコニコ
少女「あ、はい」
ーーーー浴室。
男「さっきゅん居る?」
サキュバス「居ますよー」
男「相変わらずお風呂好きだね」
サキュバス「いつでも綺麗にしてご主人様とセー」
男「あのさ、ハーフエルフの女の子を雇ったから会ったらいろいろ教えてあげてね」
サキュバス「えーまたライバル増えたの?」
男「難しいことは教えなくていいから」
サキュバス「まぁ、絞る作業ならプロだけどさぁ」シュシュ
男「毎朝の牛乳ありがとうね」
サキュバス「んーほら、それ以外に」シュシュ
男「それじゃあ頼むよ」タ、タ、タ
サキュバス「夜這いしたろうか!」ガー
ーーーー執務室。
男「戦争かー…どうしてそんなに領地なんて欲しいかね」
?「私もそう思うよ」
男「やっぱり?」
?「領地というのは簡単にいえば金」
男「…」
?「多すぎれば疎まれ、少なすぎれば蔑まれる」
男「世知辛い世の中だねぇ」
?「その点では主はよくやっている」
男「凄いでしょ?」
?「そんな主がいつか心を壊さないか心配ですよ」
男「ははは、何のことやら」
?「今度の戦争はどうするのです?滅ぼしますか?」
男「いやいや、滅ぼしたら微妙なバランスが崩れて独裁国家が生まれるだけだよ」
?「うまくやればいいのですよ」フフ
男「何時の時代だって独裁国家が長く続かないさ、続くとしたら国力があって情報が極端に少なければね」
?「情報が少なければ続く…市民が余計なことを知らなければ反乱も起きないと」
男「知識というのは多ければ戦いにも使える。ましてやそれが何かしらの象徴的になれるのであれば人を率いることもできるからね」
?「なるほど」
男「だからこそ戦争に乗じて何か動きがないか情報が必要になってくるんだけどね」
?「街にでも?」
男「あまり行きたくはないんだけね」
?「慕われていますからね」
男「一部から熱烈にね…」
?「パン屋の娘は主のことを好いていますよ」
男「え!マジで!?肉屋の息子狙いだと思ってたのに!」
?「主は恋愛には疎いようで」フフ
男「いつ死ぬかわからないからね。できる事といえば目に見える偽善で人を救うことだよ」
?「最低な方ですね」
男「最高の褒め言葉だよ」アハハ
?「それに私の質問には答えていない」
男「うっ…」
?「慕われているのを知っていてわざと聞き流している主を私は…」
男「…」
?「心底楽しんでいます」ニコニコ
男「悪魔かお前は」
悪魔「悪魔ですよ」
男「そうでした」
男「今更だけど、どうしてこの屋敷に住んでるの?この館を譲ってくれた爺さんの前から居たらしいけど」
悪魔「好き好んで住んでいました。嫌がらせしてました。夜な夜なメイドを襲ってはー」
男「よく討伐されなかったな」
悪魔「もちろんされましたよ?その度に復活してました」
男「諦められたんだな」
悪魔「流石に襲うのは控えめにしましたけどね」
男「あの爺さんが快く譲ってくれたのはほとんどお前の所為かよ」
悪魔「ですが人間の女の子大好きな私でも、あのメイド長だけはなぜか襲えないんですよ」
男「襲ったら殺す」ユラ…
悪魔「マジだ、その目はマジだ。しかも復活できなそう」
男「…」
悪魔「いやぁ…あはは」
男「…」
悪魔「ごめんなさい」
男「…街に行くか」
悪魔「なら連れてってくださいよ」
男「理由は?」
悪魔「ここだと人が少ないので禁断症状が…」ワナワナ
男「…まぁ襲われるよりはマシか」
ーーーー厨房。
メイド長「お出かけですか?」
男「せっかく料理を作ってくれてるのに悪いね」
メイド長「いえ、それは良いのですが急でしたので」
男「戦争が始まるからね、今は情報が欲しい」
少女「…」
男「一緒に街に行く?」ハァハァ
少女「…」ビクッ
男「はは、とりあえずそういう事だからすぐに出るよ」
メイド長「いってらっしゃいませ」
少女「…」
男「…諦めなければいいことあるさ」ニッ、タ、タ、タ
少女「…!」
メイド長「…」チラッ
ーーーー馬車。
悪魔「相変わらずお尻が痛いです、人間ってどうしてこういうのに乗りたがるんですかね?」
男「別に好き好んで乗ってるわけじゃないよ。荷物もあるから馬車を使ってるだけ」
悪魔「理解できない」
男「平民は憧れがあるかもしれないし、貴族は見栄でもある何台も無駄に持ってるところもあるしね」
悪魔「人間は変なところにこだわるから面白い」
男「それは確かにそうだね」
悪魔「情報ってそれほど必要なの?」
男「今も昔も情報が一番だよ、情報があるとないとでも戦術は変わるからね」
悪魔「戦術ねぇ…例えばどんなの?」
男「そうだな…近くの村で疫病が発生したって噂を商人に金を払って流させる」
悪魔「うんうん」
男「すると別の商人は薬が売れると大量に運んでくる」
悪魔「ふむ」
男「でも実際は嘘だから、運んできた大量の薬は馬車代で運べなくなる」
悪魔「なるほど、それを安く買いとるんだ」
男「そう、それを更にいろいろな村に売ったり話を付けておいた別の商人に売り込む」
悪魔「悪魔だね」
男「お前が言うなって」
悪魔「あはは」
男「これはもちろん戦争にも使える。大量の武器を買い込むつもりだとわざと敵国に知らせるんだ」
悪魔「そんなことしたら妨害されない?」
男「もちろんされるさ、そしてその妨害で武器が無いと思わせる」
悪魔「勘違いして攻めこんでくる?」
男「そういうこと、準備が出来てない相手ほどカモりやすいからね」
悪魔「でも武器があったとしてそれでも引っ込みつかなくて攻め込んできたら?」
男「そこが今回の戦争だろうね」
悪魔「ちょっと見てみたいかも」
男「不死身だから見るだけならいいかもね」
悪魔「主はどこに居るの?」
男「後ろで震えながら作戦の成功を祈ってる」
悪魔「臆病者だ」
男「いつだってそうさ、剣術が英雄並だとしても数十本の矢には勝てない、弓矢を使えても数百人には勝てない」
悪魔「実際に見たような感じだね」
男「英雄は死んでから英雄呼ばれるんだ。弓を使うものは敵の隊長を討ち取って初めて名を残す」
悪魔「主は名を残したいの?」
男「いや、生きたいね。どんな不格好でも必ず帰りたい。バカにされても卑怯者と言われても生きることを優先する」
悪魔「今でも十分、名を残しそうだね」
男「もう何千人も殺しておいて名を残したいなんて思わいないな」
悪魔「数えてるの?」
男「まさか、そんな悪趣味は無いよ」
悪魔「ふふん、悪魔は人の魂を取るって知ってる?」
男「知らないな。何だいきなり、死神の話か?」
悪魔「あいつらウザいよね」
男「死神って居るんだ」
悪魔「私がいるのに死神が居ないって通りは通らない」
男「嫌いなのに存在は認めるのね」
悪魔「私達は人間の恐怖から生まれた存在でもあるからね」
男「恐怖から生まれる存在ってそれは本当に存在してるのか?」
悪魔「触ってみる?」ホレホレ
男「止めておくよ」
悪魔「童貞」
男「童貞関係ねぇよ!!」
悪魔「あはは」
男「…街まで寝る。着いたら起こしてくれ」
悪魔「魂一年分ね」ニコニコ
男「…」スゥ…スゥ…
悪魔「…フフ、おやすみなさいませ~」
ーーーー領土の街。
?「男様、男様」
男「ん…」
?「着きやしたぜ」
男「…あいつは?」
御者「一緒に居た方でしたら着いた途端に走って行きましたぜ」
男「ギルドに行きやがったな」
御者「どうされますかね?」
男「宿は取っておくお前は馬の世話をしたら休むといい」
御者「自分のような者に宿など勿体無いですぜ?」
男「二度は言わない」
御者「ありがたく頂きやす」
男「それじゃあ頼むよ」
御者「わかりやした」
男「まずは宿か」タ、タ、タ
ーーーー居酒屋。
ギィィ。
男「…」
ならず者1「それでよ、あの女が」
ならず者2「おい見ろよ」
ならず者1「おいおい、ここは坊っちゃんが来ていいところじゃねーぞ?」
ならず者2「はっはっは、迷子なんだろ?」
店主「おい、お前ら」
ならず者1「お、兄貴。追加の酒た」
ブォン、ゴシャ!
ならず者1「グアァ!」
ならず者2「え?なっ!?兄貴、俺達なんかしたか?」
店主「兄貴じゃねぇ、店主だ。オメェ等まわり見てみろ」
ならず者1「…うぅ?」キョロキョロ
ならず者2「…」キョロキョロ
街の住人1「…」ギロ
街の住人2「…」チッ
街の住人3「…」ジッ
その他大勢「…」ギロッ
ならず者1「な、なんだよ」
ならず者2「俺達が何したっていうんだ」
店主「バカ野郎、この方はな」
男「宿三人、部屋はそれぞれで」
店主「あ、すいません。一番いい部屋を用意します」ペコペコ
男「全部同じでいいよ」
店主「そういうわけにもいきませんよ!なんてったって男様はこの街の」
男「そういうのいいから、悪いけど部屋を早めにお願いするよ」
店主「お願いだなんてされた日には、手を煩わせたって噂になっちまいますよ」アセアセ
ならず者1「おい、あんな兄貴初めて見たぜ」
ならず者2「俺達なんかやべぇのにふっかけちまったのか?」
男「…」チラッ
ならず者1、2「ヒッ!」
男「…はぁ、店主」
店主「何でしょうか?」
男「これ渡しとくから。部屋が出来るまで少し歩いてくる」タ、タ、タ、ギィ、バタン。
店主「お前たち!領主様の奢りだ!!」
街の住人達「うおおおおおおぉおおおタダ酒だぁああああああ」
ならず者1「領主様…?」
ならず者2「それって、ここの街は確か公爵…」
店主「おめぇら、もちろん飲んでいくよな?(てめぇらのせいで奢って下さったんだから逃げたら殺す)」ニコニコ
ならず者1、2「は、はい」
ーーーー居酒屋、前。
「うおおおおおぉおおおおおお!!!」
男「もうやだこの街…一番の情報源がこれなんだもんな…(少女ちゃんクンカクンカしてたほうがマシだ)」トボトボ
ーーーーパン屋。
男「…期待してるわけじゃないけど来てしまったのは仕方がないじゃない(お腹すいたから少し寄るか)」
ギィィ。
男「好きな人が居るって聞いて(パン頂きに来たよ)」
パン屋の娘「りょ、領主様!?」
男「パンで挟むよりも君のパンで挟まれたい(肉屋の息子とは仲いいんだって?)」
パン屋の娘「え?」
男「え?」
パン屋の娘「私のパンはその…まだまだですから、パパが作ったパンのほうが美味しいですよ?」ボヨン
男「デカイ。そんなことは無いさ、一生懸命作ってくれたデカパンならどんなデカパンだって美味い」キリッ、チラ、チラ、
パン屋の娘「領主様…」ポッー
「小さくて申し訳ございません」
男「…はっ!?」ゾクッ
パン屋の娘「ど、どうかしましたか?」ビクッ
男「なんか殺気を感じた。ってそうだ、この辺りでなにか変わったことなかった?」
パン屋の娘「この辺りですか?そうですね…この前、商人がこの街の地図は無いかと聞いて回っていたとパパが言ってました」
男「地図ねぇ…その商人を探したほうがいいのかなぁ?」
パン屋の娘「あの、なにか良くないことがあるんでしょうか?」
男「うーん、まぁ何かあった時は街の皆にあの屋敷の地下に行くように伝えておいてもらえる?」
パン屋の娘「領主様のお屋敷に入ってもいいのでしょうか?」
男「いいよ、ここの街の屋敷は使ってないし」
パン屋の娘「え?領主様は今日はどこに泊まられるのですか?」
男「宿屋だけど?」
パン屋の娘「あの、どうしてって聞いてもいいですか?」
男「単純に旅する時は宿屋に泊まるようにしてるんだよ」
パン屋の娘「そうなのですか?何かこだわりのような…?」
男「あーあるかもね、騒がしいけど逆にそれがいい感じかなぁ」
パン屋の娘「そうなのですか…領主様は私達平民に近くで接してくださいます。それでいてとてもお優しいので嬉しいです」ニコッ
男「あはは(胸見てたさっきの俺を殴りたい。純粋すぎて眩しい)」
パン屋の娘「今日はちょうど焼いたばかりのパンが多いですよ」ニコニコ
男「それじゃあ頂こうかな、明日は街のまわりを見ていこうと思っていたんだ」
パン屋の娘「それでしたら、牛革の水筒も一緒に如何でしょうか?」
男「(一応あるけど御者にでも買っておくか)じゃあ、それも一緒に」
パン屋の娘「はい!」ニコッ
ーーーーパン屋前。
パン屋の娘「また来てくださいね、領主様ならいつでも歓迎です!」
男「あいよ」タ、タ、タ
ーーーー少し離れて。
?「…」ジッ
ーーーー街路。
男「…(壁にヒビが入ってるな…修理をギルドに言っておくか、道も石に変えて馬車の通行出来るように…そういえば馬車の相乗りが…)」タ、タ、タ
?「…」チッ
男「…(暗くなってきたな、そろそろ宿に戻るか)」タ、タ、タ
?「…」タッタッタ
ーーーー裏道。
男「…(ここを通れば近いはず)」タ、タ、タ
ブオン、ガン!!
男「」ドサッ
?「…」ハァハァ
ーーーー数分後。
男「…ツッ!痛たた…なんだ?後頭部が痛い…」モゾモゾ
男「しかも縛られてるし…なんだこれ」
?「…」ハァハァ
男「ガチムチの覆面が目の前に…これは夢だな」
覆面「気がついたか?このつきまとい野郎」
男「夢じゃないか…と言うと?」
覆面「パン屋の娘に近づいただろう!」
男「…」
覆面「…」
男「お前、肉屋の息子だろ?」ジトッ
覆面「なっ!?ち、違う!」
男「どうでもいいけど俺の顔ちゃんと見ろ」
覆面「貴様の顔など見たところで…って領主様!?」
男「分かったらさっさ拘束を解いてくれる?」
覆面「………断る!」
男「えぇ…理由は?」
覆面「顔は見られてない」
男「…(脳筋の扱い方ってどっかで読んだことあるんだけど、殴られたせいで思い出せない)」ズキズキ
覆面「…(ど、どうしよう。カッとなってやっちまった…顔は見られてないけどバレてるかもしれない)」ブルブル
男「…(しかしまぁこの状況どうするか…護衛で連れてきたバカは今頃ギルドで楽しくやってるだろうし…)」イラッ
覆面「…アワワ(領主様にこんなことしたってバレた日には…し、ししし、死刑!?)」オロオロ
男「…(御者は馬の世話の後は宿で休んでるんだろうな…)」
覆面「…(バレる前に…肉屋だし…)」キッ
男「ちなみに俺を殺したら、この街に来てることを知ってる奴らに必ず見つかるからな(悪魔なら肉片になっても分かるだろうし)」
覆面「ヒィィ…(どうするどうする!?)」ビクビク
男「…(かと言って何も出来ない。街の中だと油断しすぎた)」
男「…」
覆面「あ、諦めたのか?」
男「…黙ってろ」ジロッ
覆面「…」ゾクッ
男「…(この縛られ方だと甘いところがありそうだけど…こいつなんで、俺のことずっと見てるんだ?)」
覆面「…(縛ってるのに、逆の立場みたいなこの迫力…領主様は平民から貴族になったって噂は本当なのか?)」
男「…(監視は基本だけど、こう見られてたら縛られてる状態から脱出する方法なんて無いな…まだ追い剥ぎのほうが交渉出来る…ん?追い剥ぎ…)」
覆面「…(こんなことならパン屋の娘に会ってパン買ってれば良かった…このままだと確実に断頭台)」ガクガク
男「おい…えーっと、覆面」
覆面「…誰だ」
男「いや、お前だろ」
覆面「…そ、そうだったな。なんだ!!」
男「取引しよう、正当な取引ならお互いに遺恨は残さないだろ?」
覆面「取引だと!?」
男「声でけぇよ!人が来たらどうする!」
覆面「すいません!こういう状況は初めてでしたから」アセッ
男「とりあえずだな…(俺も街の住人に縛られたのも初めてだよ。その前に、人来ても良かったんだよな…)」
覆面「断頭台は勘弁して下さい」土下座
男「いや、交渉ってのは普通に弱い立場、追い込まれてるほうからするんだよ」
覆面「えーっと、どうすれば…?」
男「俺の腰のあたり見てくれ」
覆面「…こ、これは!?」
男「手作りの牛革製の水筒だな、それと一緒の小袋の中身は花が入ってた(花言葉は黙ってよう)」
覆面「これは間違いなくパン屋の娘お手製水筒!数ヶ月に一度だけパンの常連にだけ渡すという伝説の代物!!」ワナワナ
男「やけに詳しいな」
覆面「これが欲しくておいらは毎日通っているんです」キリッ
男「(毎日かよ、どっちがつきまといだ)そ、そうか」
男「それで?これが欲しいと思わないか?」
覆面「…」ゴクリッ
男「別にこっちは縛られてるんだ。このまま奪ってしまってもいい、何もせず帰ってしまえば朝には流石に俺も見つかるだろう」
覆面「…」
男「だが流石に朝までこの状態は拷問だ。だからこその取引だ」
覆面「ど、どうすればいいんで?」
男「ナイフぐらいは持ってるだろ?」
覆面「持ってます!肉斬り包丁とナイフ、護身用で持ってます」ドスンッ
男「…ナイフと水筒を交換だ」
男「まず覆面がその水筒を取れ、次に後ろで縛ってる手にナイフを持たせてくれ」
覆面「こ、こうで?」スッ
男「取引は成立だ、後はお前がどこかに行けばいい」
トスンッ。
覆面「…」
男「そんなに心配しなくても、後で覆面を探しだして報復しようなんて考えていない」
覆面「…」
男「いいから早くいけ、取引は終わったんだ」
覆面「…」
男「…?」
覆面「…」ドスンッ!
男「な!?おい!どうした!!」
?「なかなか面白いことしてますね」
男「…お前、今頃」
悪魔「ふふん、主が縛られてピンチの時に現れる私格好いい!」テカテカ
覆面「」
男「…取引終わってから来ても遅い」
悪魔「ええ、知ってますよ」ニコニコ
男「…は?」
悪魔「最初っから全部見てましたから」
男「…」イラッ
悪魔「いやー、殴られる瞬間に主なら避けて格好良く反撃するかと思ったんですけどねー、普通に失神した時は」アハハ
男「…」
悪魔「怖い怖い!そんなに睨まないでください」
男「なら最初から見てたってことだよな?」
悪魔「はい、面白そうだったので!」
男「クソ悪魔」
悪魔「悪魔ですよ!主」ニコニコ
男「さっさと拘束を解いてくれ」
悪魔「………嫌です!」キリッ
男「えぇ…ってこいつさっきの見てたんだった」
悪魔「そうですよー、それに主のこんな状態を見たのって私がきっと初めてじゃないですかー」ニコニコ
男「だからなんだよ」
悪魔「さっきギルドでいろいろしてきたんですけどーまだ欲求不満というか」ペロッ
男「おい」
悪魔「縛られてるの見ると興奮しません?しない?」
男「…」
悪魔「主の初めて下さいよぉ~」ハァハァ
男「…」スッ
悪魔「…あ、あはは、首に冷たいものが」
男「さっき言ったろ?取引は終わってるって」ニコニコ
悪魔「いくら復活できるからって痛いものは痛いんですよ?」アセッ
男「だから?」
悪魔「これでも女の子ですよ?人間だと16ぐらいなんですよ?」
男「で?」
悪魔「主は私だけ扱い酷くないですか?」
男「お前は買ったわけじゃないからな」
悪魔「買いません?」
男「買わない」
悪魔「…殺すなら殺せばいいじゃ無いですか!」
男「うるさい」コツン
悪魔「痛い!ほんのちょっと痛い!女の子の顔に何するんですか」
男「お前は体を自在にできるんだから性別の関係は無いだろ?傷だって消せるしさ」
悪魔「男か女かなんて関係ないです。傷は消せるかもしれませんがだからって女の子のー」
男「分かったから、小突いたぐらいで煩いよ」
悪魔「全く、何を考えてるんですか」プンプン
男「それで許してやるってことだよ」
悪魔「ありがてぇありがてぇ」スリスリ
男「やめろ、気持ち悪い」
悪魔「酷い!悪魔!ハゲ!童貞!」
男「うるさいよ」
悪魔「えへへ、言いたいだけです」
覆面「」
男「…」
悪魔「ちゃんと生きてますよ。指先ひとつでちょんって押しただけです」ニコニコ
男「何かの魔法?」
悪魔「人間相手に魔法使ったら消し飛んじゃいますから物理を上げて殴ればいいだけです」シュッシュッ
男「たまにお前たちみたいのが戦争に混じってる理由が分かる気がするよ」
悪魔「私たちは人間の争いに興味は無いですよ?そういう者達は単純に報酬目当てでしょう」
男「悪魔が本気を出せば俺だってどうにでもなるだろ?」
悪魔「気に入った人には本気は絶対に出しませんよぉ」
男「だから討伐されるのか」
悪魔「ですです」ニコッ
男「変な奴だな」
悪魔「よく言われます、主も相当変ですけどね」
男「あはは、かもね」
悪魔「流石にもう帰りましょう。明日は街の周囲を探索ですよね」ニコニコ
男「今度はちゃんと護衛してくれよな」タ、タ、タ
悪魔「はい!任せて下さい」タ、タ、タ
ーーーー翌朝、街の外側。
悪魔「もうちょっと優しい起こし方とか出来ないんですか?」ズキズキ
男「人のベットに入り込んでくるお前は起きてるって言っていいやつだよな?」
悪魔「だからってグーで殴ることはないじゃないですか、昨日ちゃんと言ったはずです」プンプン
男「なんで俺が怒られてんの?」
悪魔「そういえば今日はどこに行かれるんですか?」
男「ちょっと仕込んどいた仕掛けを見にね」ニヤッ
悪魔「悪い顔だなぁ」
ーーーー数十分後、リアス川。
悪魔「…ほほー」
男「ちゃんと間に合ったみたいだね」フッ
悪魔「どうやったの?川を干上がらせるなんて」
男「まぁいろいろな、てか噂で聞かなかったのか?」
悪魔「確かに昨日の子がリアス地方の川が干上がったって言ってたね~」
男「ちゃんと聞いてるじゃないか」
悪魔「人間が魔法を使わないで川を干上がらせることが出来るのは凄いと思ったんだよ」
男「魔法使えばこんなの簡単なのか?」
悪魔「一瞬だけね」
男「…覚えておこう(便利なのか脅威なのか)」
悪魔「んー?」
男「どうした?」
悪魔「見られてるねぇ」
男「俺たち側か?」
悪魔「んーん、川挟んで向こう側から」
男「なら見るなよ、恐らく帝国の奴らだ」
悪魔「よく分かるね~」
男「森のなかで山賊を気にせずに見れる奴らなんて兵士か強盗騎士ぐらいだ」
悪魔「へぇ…何をしに来てるの?」
男「攻めこむ国の偵察」
悪魔「物騒な話ですね」
男「全くだ、攻める予定もないのに向こうは攻めてくる。世知辛い世の中だ」ニッ
悪魔「ふふん、攻めてくるとしたら?」
男「ちょうどここ辺りだろうね。川で一番浅いし攻めこむ人数から十分な広さだ」
悪魔「他のところは?」
男「下流は谷になってる、上流は深いところもあるし足場も悪い恰好の的だ」
悪魔「勉強になりますねー」
男「先人の知恵は素晴らしいんだよ」
悪魔「主は本の虫ですからね」
男「ふはは、褒め言葉だ」
悪魔「近いうちに来ますか?」ニコッ
男「来るさ…必ずな」ニッ
悪魔「なるほど、だからギルドを通して敵国から武器を運ぶように依頼したんですね」
男「へぇ、楽しんでるだけかと思ったよ」
悪魔「情報は大切なんですよね」テカテカ
男「ああ、大切だ」
悪魔「今回の武器はどんなのですか?」
男「弓さ、それと大量の矢もね」
悪魔「川で使うんですね」
男「…」ニッ
ーーーーリアス地方、リアス砦。
?「大量の武器だと?」
隊長「はい、数多くの商人が敵国、ミリアスタへ向かってるとのことです」
?「…わざわざこの砦を通って行くとはギルドにもなめられたものだな」
隊長「…」
?「で?商人たちは?」
隊長「砦を通ろうとした商人は全員死刑にしました」
?「ふん、よく分かってるな」
隊長「ですがよろしいので?このままでは少将殿はギルドを敵に回してしまいます…」
リア少将「我が領地を犯すものはすべてが敵だ。我が名の刻まれた領地はすべて従わせる。たとえ帝王であろうともな」フハハ
隊長「…(前大将殿が亡くなられてから少将殿でこの砦は変わってしまった…このままではいつか)」
リア少将「我は女どもを待たせているのでな、後は頼むぞ」タ、タ、タ
隊長「…ハッ!(私が生まれたこの砦は、守るべきものを守れるのだろうか?)」タ、タ、タ
ーーーーペヒナーゼ。
隊長「敵は?」
兵士「隊長殿!?し、失礼しました。見渡すかぎりでは商人と町の者が出入りしています」
隊長「商人は出入りしていないだろう」
兵士「ッ…そういえばそうですね。入ったまま出て行かない、いつもならここで荷をーー」
隊長「…」
兵士「まさか?」
隊長「私は悪魔に魂を売ってしまったようだ」フフ
兵士「…」
隊長「今のままではこの砦を守ることは難しいのかもしれないな」
兵士「隊長殿と一緒であれば私達は死ぬことも怖くはありません」
隊長「フフ………ミリアスタの英雄か」
兵士「…敵国の公爵になった男ですか?たしか、とても若いと聞きました」
隊長「この砦を落とすとしたらどんな戦術を仕掛けてくるか興味がある」
兵士「…」
隊長「兵士である以上、戦って死ぬのは当たり前だと思っていたんだがな」
兵士「最後まで抵抗しましょう」
隊長「その時は私が先頭に出よう。最初で最後の戦争だ」
兵士「ええ、我々が生まれたこの砦、町の者が少しでも逃げられるように」
隊長「ああ、頼むぞ」
ーーーリアス川上流、双子川。
悪魔「干上がってる理由はこれですか…」
男「そういうこと川の流れを堰で塞き止めてもう片方に流す。リアス川とエリス川の双子川だから出来ることだね」
悪魔「エリス川に流してる理由は?」
男「どっちの川も挟んで帝国に繋がってる」
悪魔「片方を塞き止めれば自然の壁が出来ますね」
男「そういうこと、増水した川は人には脅威だからね」
悪魔「リアス川を干上がらせたのはリアス砦から離れてるからですか?」
男「リアス川から砦には五日掛かる、それに比べてエリス川は二日以内に行けるからね」
悪魔「近い方が援軍も撤退も早いですね」
男「そう(挑発の意味もあるんだけどね)」
悪魔「でも同じ名前であるのにどうして遠いんですかね?」
男「エリス川は前エリアータ大将の名前だ。リアス川はその子、リア少将の名前。今のリアス砦も前はエリス(エリアータ)砦だったんだ」
悪魔「なるほど~」
男「スって付くのは神話の神ス・リスタリアから来てるんだと」
悪魔「ああ、あのおっさんからなんですね」
男「神話だよね?」
悪魔「ふふん、神話なんてうわさ話と一緒なんですよ」ニコニコ
男「神話が近所のうわさ話になるなら世界を恨むぞ」
悪魔「あはは、神話で聞きたいことあったらいつでも聞いてくださいね」
男「悪魔が神話を語るな!」
悪魔「すごく楽しい」
悪魔「リアス川とエリス川を分断してる崖の上に居るのは誰です?」
男「お前そこまで見えるの?」
悪魔「悪魔ですから」ニコニコ
男「偏屈な爺さんだよ、出した命令を淡々とこなしてくれる人さ」
悪魔「人?ですか」
男「なんだよ?」
悪魔「いえいえ、でもリアス川からは登れないんですね?」
男「崖だからな、でもエリス川の下流からは登れるんだこれも防衛には役立つ」
悪魔「エリス川から攻められた時自然の要塞ですからねぇばんばんやれますね」
男「矢も金が掛かるんだぞ」
悪魔「貧乏くさいですね」
男「悪かったな」
悪魔「じゃあ、とりあえず行ってみますか?」
男「は?流石にあそこまで行くのは一日掛かるぞ」
悪魔「ふふん」ニコニコ、ガシッ
男「おい!なんだ!!つかむなよ」
悪魔「魔法って興味ありますよね?」
男「ないよ、ないから、本当にないから」
悪魔「行きましょう」ブツブツ
男「おい!聞けよ!」
悪魔「ーー!!」シュン
男「う、うわああああああ」シュン
ーーーー崖上。
男「うああああああ」ドスンッ
悪魔「いやー久々に魔法使いましたけど上手くいきました」ストンッ
男「痛い、頭痛が痛い」ズキズキ
悪魔「人間が魔法に耐えられるなんて素質ありますよね」
男「おいちょっとまて!それはどういうことなんだよ」
悪魔「頭痛は後遺症です、かなり軽いんですよ」
男「後遺症って…残るのか?」ズキズキ
悪魔「たまに思い出す程度には」ニコニコ
男「ひでぇ」
悪魔「もう一つありますけどそれは内緒です」
男「言ってる時点で内緒じゃねぇし」
?「何じゃ騒々しい」
男「いや、あのバカが」
悪魔「こんにちは」アハハ
?「悪魔か」ギロッ
悪魔「胸触りたいの?お爺ちゃん」ニコニコ
?「貴様のような小娘の胸より人間の方がマシじゃわい」
悪魔「人間の方が良いってこと?聞き捨てならないなぁ」
?「ふん、貴様はワシに喧嘩売りに来たのか?」
男「いや、喧嘩するなよ」
?「久しいのぉ、チビ殿」
男「その呼び方やめてくれない?」
?「はっはっは、ワシから見たら全てがチビなんだがな」
男「お元気そうで、爺さん」
爺「ふん、わざわざ遊びに来たのか?それとも仕事をしてるか見に来たのか?」
男「いえ、本当はまだ来る予定じゃなかったんですけど」
悪魔「ふふふ」
男「強制的に…」
爺「難儀なものじゃの」
男「普通に同情された」
悪魔「あはは」
男「お前はさっきから笑いすぎ」
爺「騒がしいのぉ」
男「爺さん、せっかく来たから仕掛けだけでも見てくよ」
爺「ああ、好きにするといいんじゃ」
悪魔「プッ、じゃ、って…じゃ、って…」
爺「ちっうっせぇなぁ」ボソッ
悪魔「あらぁ?聞こえちゃうわよ」
男「…(関わりたくないから聞こえないふり)」タ、タ、タ
爺「…」
悪魔「…」
爺「てめぇもさっさと行けばいいんじゃないのか?」
悪魔「あんたが人間に化けてるのが面白くてちょっと見ておこうかなって」ニコニコ
爺「それはワシの勝手だ」イラッ
ーーーー崖、リアス砦側。
男「…(目的がないなら今したいことを考えろ。あの人が教えてくれた言葉を今日までしてきたけど)」
男「…(選択は間違ってなかったのだろうか?)」
悪魔「仕掛けの方はどうでしたか?」ニコニコ、ボロッ
男「滞りなく…てかなんでボロボロなの?」
悪魔「主の趣味ですよね?」チラッ
男「そんな趣味はない」サッ
悪魔「ちょっと見た」
男「質問にたまには答えろよ」
悪魔「ちょっと神話をーー」
男「ごめん、ごめんなさい。なんでもないです」
悪魔「ふふん」
悪魔「主は面白いですよね。全く飽きません」
男「遠回しに馬鹿にしてる」
悪魔「いろいろな種族が主に集まってきますよね。なにか魅力があるのでしょうか?」
男「いや、買ってるのがほとんどだから魅力とか関係ない」
悪魔「本当に買ってるのでしょうか?」ニコニコ
男「…」
悪魔「私は悪魔ですよ?その辺りちゃんと理解してくださいね」
男「戦争が始まったらそんなの考えてられない」
悪魔「私はいつでも主のそばに居ますよ」
男「はぁ…変なのに取り憑かれた」
ーーーー崖上。
爺「…化けてるのはどっちじゃ」ボロボロ
爺「昔と比べて力が衰えたといえ、あやつはますます力を付けておる」
爺「面白いのぉ、久々に血が騒ぐ」
ーーーーエリス川。
男「ここが砦に近い川だね」
悪魔「近いのに人の気配がしないねー」
男「そうなんだ」
悪魔「流石にこの激流だと通れなそうだね」
男「空でも飛べれば別だけどね」
悪魔「飛ぶ?」
男「飛ばない…そういえばパン食べる?」
悪魔「んー貴族の?」
男「平民のだよ」
悪魔「食べる」
男「ほれ」スッ
悪魔「ありがと」モグモグ
男「…」
悪魔「主の街は豊かですなぁ」
男「急に…いや、どうしてそう思う?」
悪魔「単純にパンが食べられるのがその証拠ですよ。当たり前に食べられるパンなんて普通ならありえませんからね」
男「パンは貴族が食べるものだからね。平民がパンを売るなんてそれ自体がありえないことでもある」
悪魔「ですです、ギルドと街が連携してる良い証拠じゃないですか」ニコニコ
男「はは、嬉しそうだな」
悪魔「そりゃ嬉しいですよ、主があの街を統治してからとても豊かになりましたからね」
男「前は酷かったらしいね、間接的に入っていったからよく見えないところもあるんだ」
悪魔「そうですねぇ、ある意味では戦争よりも悲惨でしたね」
男「そうか」
悪魔「当時の私には力がありませんでしたから」
男「今は?」
悪魔「ふふん、人々を少し幸せにするぐらいなら出来ますよ」
男「悪魔だよな?」
悪魔「ええ、男性でも女性でも」ニコニコ
男「ああ、悪魔っぽい」
悪魔「褒め言葉です」ニコッ
男「…さて、戻るか」
悪魔「もういいんですか?」
男「ああ、見たいものは見たし、収穫もあったからね」
悪魔「そうですか、街にはもう一日お泊りになるんですか?」
男「そうだね、ギルドと話をしてそれから…」
悪魔「…」ニコニコ
男「いや、面白いことは無いからな?」
悪魔「それは分かってますよぉ」
男「だと良いんだけどなぁ」
ーーーー領土の街、門前。
ザワザワ。
男「なんだ?」
悪魔「門が閉まってますね~まだ夕刻でもないのに珍しいです」
男「…」
商人「どうして入れないんだ!責任者は誰だ!」
男「面倒だな」
悪魔「責任者はここに居ますよ~」コゴエ
男「本当にやめてくれ」アセッ
悪魔「すごく楽しいです」フフフ
ギルド関係者「この近くに盗賊が出たらしいんだ、街に入れないためにここにいる全員を調べてから通す」
商人「見ろ!許可証だこれがあれば大丈夫なはずだが?」
ギルド関係者「だったら私たちに高圧的な態度をしないはずだが?」ギロッ
商人「わ、わかってるが…ギルド支部長にどうしても伝えなきゃならないことがあるんだ」
ギルド関係者「何かあったのか?」
商人「ここでは話せない。ただ、仲間の商人との連絡が途絶えた」
ギルド関係者「…分かった。おい、この商人だけ通してやれ!」
門番「了解」
ギギギ、ガタン。
男「ギルドを襲った奴らが居るのか」
悪魔「凄いですね。今ではギルドを襲ったら討伐隊が来るのを知ってるはずです」
男「…」
悪魔「…どうしますか?」
男「様子見」
婦人1「娘が家で待って居るのです、どうか通していただけませんか?」
ギルド関係者「御婦人、申し訳ございません。なるべく早く通したいのですが」
婦人1「…そうですか」
旅人1「通してやれよ、俺達の順番は一番後でも良いからよ」
旅人2「おうよ」
ギルド関係者「すまないな、順番を譲ってくれるのはありがたいが街を守るためだ」
悪魔「ギルドだからといって傲慢な態度では無いのは高評価ですね」
男「それはギルド支部長に徹底してもらってるからね」
ギルド関係者「おい、そこのお前」
男「ん?なんでしょうか?」
ギルド関係者「お前どこかで…?いや、それより」
悪魔「?」ボロッ
ギルド関係者「誰かに襲われたのか?」
男「ああ、いや。これはだな」
ギルド関係者「怪しいな」
男「は?」
悪魔「…」フフッ
ギルド関係者「ちょっと来い!」
男「いや、ちょ!?待ってくれ!悪魔!」
悪魔「…」ニコニコ、フリフリ
男「おいこら!ちゃんと説明しろ」ズルズル
ギルド関係者「暴れるな」ズリズリ
男「やめろ!引っ張るなって」ズルズル
ーーーー牢屋。
男「…どういうことなの?」
?「新人か?」
男「らしいね。怪しいってだけで捕まった」
?「そりゃ難儀だな」
男「あんたは?」
?「金がなくて無銭飲食」
男「バカだな」
?「全くだ、でもここだけだよ。ボコボコにしないで普通に牢に入れられたのはよ」
男「そうか」
?「おまえさんの名前は?」
男「男だ」
?「俺は狩人だ、いろんな街で雇われの狩屋だ」
男「貴族のために動物を追いかけるあれか?確か勢子だったか」
狩人「そうそう、それもやるし狼狩りもする」
男「狼狩りか、一人でやるのか?」
狩人「まさか、数人募集してるギルドの依頼に参加するだけだ。弓が使えるだけで剣は使えないからな」
男「なるほどな」
狩人「さて、どうするか」
男「下手なことは考えない方がいいぞ?」
狩人「それぐらいは分かってる。しかしなぁ、このまま何もしないってのも暇なんだ」
男「…」
狩人「少しだけ話しに付き合ってくれないか?」
男「断る」
狩人「そうか、話がわかる…って断るのかよ」
男「少し疲れたから寝る」
狩人「旅人なのか?」
男「いや」
狩人「苦労してるんだな」
男「…(どう取ったのか知らないけど興味ないから寝よう)」
狩人「俺も寝るかな、おやすみよ」
男「…」
ーーーー数時間後。
男「…」
狩人「…」
男「…」
狩人「…流石に起きてるだろうよ」
男「起きてるがなんだ?」
狩人「目線を感じないか?」
男「…さぁ」
狩人「気のせいなら良いんだけどなぁ」
悪魔「…」ジー
狩人「なぁ」
男「さっきからなんだ?」
狩人「こんな美人さんいたか?」
男「ん?…って悪魔」
狩人「…幽霊」パタンッ
悪魔「悪魔ですよってありゃりゃ、気絶しちゃいました」
男「どうやって入ってきた?」
悪魔「壁をすり抜けてきました」キリッ
男「なにしてた?」イラッ
悪魔「お風呂入って、着替えてちょっとギルドに行ってました」ニコニコ
男「お前なぁ…」
悪魔「もちろん嘘です」
男「嘘かよ!」
悪魔「そろそろ入っていいですよ~」
?「や!部下が失礼したね」スッ
男「あー」
悪魔「そう言って入ってきたのは自称色男の28で僕っ子の支部長だった」
男「何いってんの?」
支部長「ぼくっこってなんだろうね?」アセッ
悪魔「イケメンは否定しない」
支部長「イケメン?ってどこかの言葉なのかな?」アセッ
男「色男を別の呼び方したらそうなのかもな、ところでこれは一体どういうことなんだ?」
支部長「ああ、ごめんね。部屋を用意してるからそちらで話そう」
悪魔「そう言って支部長は主の手を強引に」
男「お前ちょっと黙ってろよ」
ーーーー客間。
支部長「改めて、領主殿には大変失礼なーー」
男「…」
支部長「っと、謝罪は要らないみたいだね。さっきの門の出来事は見たよね?」
男「ああ、侵入されたらしいな」
支部長「うん、門は封鎖したんだけど二人に侵入されてしまった」
男「で?」
支部長「もちろん一人は捕まえて、もう一人は泳がせてるよ」
男「問題は?」
支部長「門で暴れた奴が居てね、取り押さえるときに町の人が怪我をしてしまった」
男「…」
支部長「本当に申し訳ございません」スッ
男「ちゃんと手当してやれよ?」
支部長「うん、手当と念の為に数ヶ月は働かなくても大丈夫なように金も渡したよ」
男「そうか…後で俺からも謝罪に行く」
支部長「いや、流石にそこまでされてしまうと僕の顔が…」
男「それはどうでもいいから、泳がせてる奴は今はどこに?」
支部長「…男くんの泊まってるところだよ」ニコッ
男「運が良いんだか悪いんだか」
支部長「情報集めてるだけみたいだから問題を起こした奴とは違うんじゃないかな?」
男「問題を起こす奴、情報を集める奴、工作する奴じゃないのか?」
支部長「それだと良いんだけどね」
男「気になることがあるみたいだな」
支部長「今はちょっとわからない、分かったら連絡するよ」
男「まぁ対策があるなら言うことは無いんだけどな」
支部長「もしかして強引だったの怒ってますか?」アセッ
男「別に怒ってないよ」
ガチャ。
悪魔「主、ご飯の用意が出来たって!」
男「…」
支部長「プッ!フフ…」
悪魔「なになに?面白い話?」
男「別に!」
支部長「今日は失礼続きだからね、僕が作らせたんだ。食べていってくれるかい?」
男「…分かった」
ーーーーギルド、食堂。
男「…」
支部長「味はどうかな?」
悪魔「美味しいですよ~」
支部長「ふふ、それは良かった」
男「…」
支部長「せっかくの料理が冷めてしまうよ?」
男「ああ、そうだな」カチャッ
支部長「…作戦の方はどうですか?」
男「変更はないよ、信頼できる部下なんだろ?」
支部長「ええ、僕が認めた者達ですからね」
男「女の比率が多い気がするけどな」
支部長「はは、それはなんと言いますか」アセッ
悪魔「買うことでしか女の子集められない人とは大違いですね」ニコニコ
男「…」
支部長「おお、新しい子かい?」
悪魔「はい!ハーフエルフですよ」
支部長「それは珍しいね、いったい幾らしたんでしょう」ニコニコ
悪魔「きっと悪魔もドン引きなお値段でしょうね」ニコッ
男「金金ってそういう事は言うものじゃないぞ、特に悪魔が言うとなんだかな」
悪魔「酷い!種族差別ですよそれ!訴えますよ!」
男「誰に訴えるんだよ」
悪魔「んー、ルシフェルのおバカさん辺りで良いんじゃないですかね」
男「悪魔の序列って知らないけどバカにして大丈夫なのか?」
悪魔「だって弱いんですよ~可愛いし」
男「女なのか?」
悪魔「どちらにもなれますよー今は数百年女の子やってますね」ニコニコ
男「そう…(お前は何歳なんだよ、てかサタンとも言われるルシファーが女の子だったのか…それより強いって何者なんだよ)」
支部長「おやおや、うまく話を逸らしましたね」ボソッ
男「聞こえてるぞ」
支部長「相変わらず耳が良いですね」アセッ
悪魔「地獄耳」
男「悪魔が言うとなぁ…」
悪魔「事あるごとに悪魔悪魔って本当に酷い主ですね」
男「主のことをボロクソに言う悪魔も凄いと思うけどな」
支部長「あはは、賑やかで良いですね」
男「もういい、長居するといろいろ聞かれそうだから今日は戻る」
支部長「また宿にお泊まりのようですね」フフッ
男「領主が帰ったからって祭騒ぎになるのはうんざりなんだよ」
支部長「それだけ慕われてるということでしょう」
男「お前、子供の名前を考えたことあるか?」
支部長「…二三度ならありますね」
男「俺の場合は未来の子供の名前まで名づけて欲しいと言われるんだぞ」グッタリ
支部長「それは大切なことですね」ニコッ
男「気軽に言ってくれるな」タ、タ、タ
支部長「例の件」
男「…」ピタッ
支部長「煩わせて申し訳ございません」
男「長い付き合いだろ、それぐらい友として当然だ」ガチャ、バタン。
支部長「…」
悪魔「…」ニコニコ、スー
「うわっ壁から人が!」
「キャー!」
「うわぁああああ!」
「お前は人を無駄に驚かせるのいい加減にしろよ!」
「良いじゃないですか~」
支部長「…(悪魔さん、たまには壁からじゃなくて普通にドアから出て頂けると嬉しいのですが)」アセッ
男「さて、やることやるか」
悪魔「悪い顔してますね」
男「悪い顔ってなんだよ。街の安全のために動くだけだ」
悪魔「うふふ、手伝いますよ」ツンツン
男「人の頬を突くな」
悪魔「壁抜けちゃえば簡単に捕まえることも出来ると思いますけど、何か考えがありそうですね」
男「悪魔に頼み事したらどんな見返りを請求されるか」
悪魔「子作り?」
男「バカじゃないの?そんな知識ないよ?度胸もないよ?」
悪魔「知ってました」ニコニコ
男「くだらない事やってないでさっさと牢に戻るぞ」
悪魔「…牢?」
このSSまとめへのコメント
期待して見てます
完結してねえじゃん