シンジ「僕は君を死なせない」 (6)

・書き溜めはございません。

・たまに地の分が出てくると思います。

・多少の独自解釈があります。

・旧世紀版に沿って物語を進めていこうと思ってます。

・SS初投稿です。

↑でも「おk」という方はどうぞ。

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―第三新東京市―

シンジ「……今まで何の音沙汰もなかったのに、なんで今更」

 電話ボックスの近くのベンチに座り、雲一つない青空を眺める。
 警報が発令されているため、この街の機能は全て停止し、市民は全員地下のシェルターにいるのだろう。もちろん、そんな状況下で公衆電話が使えるわけもな
く、立ち往生してしまっていた。
 視線の先に広がる空とは対象に、心は曇り切っている。このもやもやは、どうやって払拭すればいいのだろう。

シンジ「それにしても遅いな……人を呼び出しといて遅刻って、大人としてどうなのさ」

 ポケットから自分あてに届いた茶封筒を取り出す。中身の手紙にクリップで留められた写真が一緒に入っていたが、どうやらその人が迎えに来るらしい。
 指定の時刻はとうに過ぎている。しかし、写真の人物が現れる気配はなかった。
 特にすることが無く周りを見回していると、交差点に一人の少女が経っているのが見えた気がした。

シンジ「誰だ? 何であんなところに」

少女「……」

シンジ「こっちを見ている……?」

 次の瞬間、電線に止まっていた鳥が一斉に飛び立った。鳥が飛び立つ音につられてそこを見る。飛んでいる数羽の烏は、まるで何かにおびえるように見えた。
 それを見送ったのち、再び交差点を見たが、そこにはもうあの少女はいなかった。

シンジ「幻だったのかな……」

 溜息をつきながらベンチに座り込む。ポケットからオーディオプレーヤーを取り出し、イヤホンをして目をつむる。
 耳朶を打つクラシックの音色が、周りと自分を遮断する。
 いつからだろうか、この時だけが一番落ち着くようになったのは。

 たまにっていうより、ガッツリ地の分じゃないか……。ちょっと減らしてみます。

 ズドォォォォン!

シンジ「!?」

自衛隊員1『弾着確認!』

自衛隊員2『……!? 目標健在! ミサイル、効果ありません!』

シンジ「じゅ、巡航ミサイルを街中でぶっ放すって……どうなってんだ!?」

 じりじりと後退するオートジャイロ。しかし、そのうちの一機が何かに貫かれて爆発した。

シンジ「……な、なんだ……アレ」

 ビルの陰から出てきた巨大な影。それは、今まで見たこともない生物だった。

シンジ「まずいな……早いとこ移動しないと」

 ベンチにおいていたボストンバッグを肩からかけ、交戦地点を迂回するように路地裏を駆ける。
 時折確認できる巨大生物は、海自の護衛イージス艦が放ったであろうトマホーク対艦ミサイルを食らってもびくともしていなかった。

シンジ「トマホークがダメなら、ハープーンでも絶望的だな」

 走っている間にも、思考はめぐっていく。
 突然現れたなぞの巨大生物。突然の父からの呼び出し。自衛隊の攻撃の激しさ。

シンジ「父さん、一体何をしようとしてるんだ」ギリッ

 父が一枚噛んでいる。そこまでたどり着くのは早かった。
 しかし、何をしようとしているのかは、分からなかった。
 路地裏を抜けて、大通りに飛び出した。とりあえず街の中心部へ向かうため、あたりを見回し、ビル群を探す。
 しかし、その直前で目の前に一代のスポーツカーが急停車した。
 ゴムタイヤとアスファルトが擦れる甲高い音が響く。

ミサト「お待たせ! 早く乗って!」

シンジ「……ホント、遅いですよ!」

 運転席のドアを開けて顔を出したのは、茶封筒の中に手紙と一緒に入っていた写真の人物だった。
 悪態をつきながらも反対側に回り込んで助手席に乗り込む。ドアを閉めるのとほぼ同時に、車はアクセル全開で走り出した。

シンジ「葛城さん、あれは一体なんですか?」

ミサト「あれは『使徒』よ。今は余裕がないから、詳しい説明は後でね」

シンジ「使徒……か」

 窓越しに、使徒と呼ばれた巨大生物のほうを振り返る。
 
シンジ「オートジャイロが、あの化け物から離れていってる……」

ミサト「何ですって? 何考えてんのよ自衛隊の奴らは! 仕方ない、衝撃に備えて!」

シンジ「な、何があるっていうんだよ!?」

ミサト「N2兵器よ!」

シンジ「はあ!? そんなもんを街中で使う――おうっ!?」

ミサト「きゃぁぁぁ!!」

 使徒を中心に巨大な爆発が起こる。真っ赤な爆炎が立ち上るのが、車のミラーで確認できた。
 爆発の直接的な被害はなかったが、巻き起こった爆風がスポーツカーを走行速度以上の速さで地面を滑らせた。

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