その代わりに「私達日帰りで旅行に行ってきます お金は置いてくから好きに使ってね」……なんて書かれてあった置き手紙と二万円がテーブルにあった
たまには外食か…?なんて考えていた矢先
ピンポーン
どうやら誰か来たらしい
「はーい」 ガチャ
「……」
「えっ………っと、久し振り梓姉ちゃん…」
「うん、久し振り。カズヤ君」 ニコッ
「…どうしてあず姉が」
「それは…」
ヒョコ
「カズヤ兄ちゃんが一人だと寂しいからっておじさんに言われたから来たんだよ~」
「マジか…って、お前も着いてきたのか?」
「そうだよ!暇だからね~」
朝からの来訪者は昔からの知り合いで、最近は会う機会が無かったけど、昔はこの姉弟と良く遊んでいた
「弘光も大きくなったな、モテるだろ?」
「そんなこと無いよ!」
「梓姉は綺麗になったね…」
「も~ありがとう、カズヤ君」 ニコッ
(会わない間にまた可愛くなったなぁ…、彼氏とかいるのかなぁ…) ニヤニヤ
「兄ちゃん?」
「…んっ?」
「暑いからさ、中入っちゃあ駄目?」
「あ~、俺今から何処かに行こうかなって考えてたんだけどどうする?」
「そうなんだ…、でも私達も着いて行って良いの?」
「勿論!父さんに頼まれてきたんだしさ…、それにお金はもらったから大丈夫だよ?」 ピッ
「スゲー、二万円持ってる…」 キラキラ
「弘光は何処か行きたい所はあるか?」
「ん~、映画とか良い?」チラッ
「おぉ、良いぞ!あず姉もそれで大丈夫?」
「うん、ヒロ君観に行きたがってたし丁度良いかも」 ニコッ
―映画館―
「わ~、休日だから人が一杯だね…」
「うーん、凄いね…、なんとかチケットは取れたけどね…」
「早く早く!座ろうよ~」
「三人座れそうな席はあるかな…」 キョロキョロ
「あそこに座ろうよ!」 ダッ
「ヒロ君!走ると危ないよ~!」
「元気だなぁ…って弘光が座った所、席あと一つしか空いてないな…」
「ホントだ…、どうしよう」
「俺は一人でも大丈夫だからさ、あず姉子守り頼めるかな?」
「確かにまだまだ子供っぽいけど…、じゃあ子守りしてくるね」 クスクス
「ごめんね~」 フリフリ
(俺も席を探すか…)
それから暫くして上映が始まった
(何とか席は確保出来たけど、両隣は家族連れかよ…、一人は辛いな…)
(確か映画はアニメだったか…、寝ないようにしないとな)
――
―――
――――
(……つまんね、家族連れは楽しそうだけどさ)チラッ
キャッ キャッ
(うーん、あず姉達はどうだろう…、四席位前に居たよな…) チラッ
「………」
「………」
(弘光は起きてるな…、あず姉は寝てる…のか?)ジィー
(弘光が膝枕してるみたいな格好になってるな) クスクス
(後一時間位ありそうだしなぁ、俺も寝るか…) カクン
「……!」
「……兄ちゃん!」
「……カズヤ兄ちゃん!」
「うおっ!?」
「寝過ぎだよ~、カズヤ兄ちゃん」
「あれっ…、マジか…」キョロキョロ
「私達以外誰もいなくなったね…」クスクス
「ごめんごめん、弘光、あず姉…」 ペコッ
「お腹すいたな~、早く出ようよ~」
「そうだな…、お詫びに昼御飯なんか奢るよ」
「ほんと?兄ちゃんありがとう!!」
「良いの?ありがとう」ニコッ
「お金はあるから大丈夫だ!」 グッ
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