初SS (9)
【取り返しのつかないこと】
『なんで…ここはあの時の…』
ことの発端は、いまから10年前にさかのぼる。
当時中学生だった俺は、いわゆるヤンキー被れで自分より弱いやつをターゲットにちょっかいだしたりしていた。
そのターゲットになったのが、クラスで一番ひ弱な田中 誠というやつだった。
毎日のように学校で追いかけたり、訳もなく殴ったりしていた。
周りも笑っていたし、誠も笑っていたので俺としては戯れているつもりだった。
ある日、誠は学校に来なくなった。
理由を先生に聞いたが、誰も知らないの一点張りだった。
月日が経ち、俺は誠のことなんてもう忘れていた。
俺は高校を卒業して県外の大学に入学した。大学生活はなに不自由なく満喫することができた。
大学を卒業し、無事就職することもできた。
仕事も覚え、余裕が出てきた時に、中学校の同窓会のお知らせが来た。
10年ぶりに友達と会える!と、まだ少し先のことなのに今から楽しみでしょうがなかった。
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同窓会の1週間前から俺は有給をとり、地元に帰った。
地元の風景は変わっていたが実家までの道のりはわかった。
久しぶりの実家でくつろいでいた俺は、いつの間にか眠っていた。
夢の中では懐かしの中学校、友達、楽しかった思い出がよみがえっていた。
誠と戯れている思い出もよみがえった。
目が覚めた俺は、誠があれからどうなったのか気になった。
だが、同窓会で会えると思ったので、同窓会まで待つことにした。
一週間後。同窓会当日
俺は待ち合わせ場所に行き、同窓会に参加した。
同窓会も終盤に差し掛かった時、ふと誠のことが気になった。
周りを探してもそれらしい人物はいなかったため、友達に聞くことにした。
『あいつ、自殺したらしい』
その言葉を聞いて驚いたし、なぜなのかわからなかった。
友達に聞いてみたが、友達は知らないの一点張りだった。
同窓会が終わり、俺は二次会に参加せずに実家に帰り、眠りについた。
その日の夢はまた中学校の夢だった。
だが、この前見たのとは少し違う。
痛い。誰かに殴られている。周りのやつも笑っているだけで助けようとしない。
助けて、やめろ、と叫ぼうとしても声が出ない。
殴り返そうとしても力がでない。
俺は相手の顔を確認するために顔を上げた。
そこに居たのは、田中 誠であった。
目がさめると、俺はすぐに友達に連絡した。
俺は夢の内容を説明し、誠のことを詳しく聞いた。
自殺したのは、学校に来なくなってすぐのこと。
遺書もあり、内容は親への謝罪、学校でのいじめ、俺のことが書いてあったらしい。
俺は自分のしたことがどれだけ最低なことか今更理解した。
その日は一日中泣きながら後悔した。
次の日から仕事が始まるため、俺は電車で帰路についた。
電車の中で誠のことを考えていた。
できることならやり直したい。
そんな気持ちを抑えながら電車に揺られていると、いつの間にか眠っていた。
目が覚めた時、俺は変な違和感に襲われた。
聞き覚えのある駅名で寝ぼけていた俺はいそいで電車を降りた。
俺がいつも仕事の帰りに降りる駅ではなかった。
そこは、俺がさっき乗った地元の駅だ。
それに夕方帰路についたはずなのに何故か太陽が出ている。
俺はなにを思ったのか、中学校へ向かった。
当然ながら学校は、まだ授業をしていた。
感傷に浸りながら懐かしのクラスをのぞいた。
俺は驚いた。
『なんで…ここはあの時の…』
そこには中学生の俺と田中 誠の姿があった。
いつものように俺は殴り、誠は笑っていた。
だが、今の俺には誠の笑っている姿が助けを求めているようにしか見えなかった。
気がついたら俺はクラスに入り、いじめを止めていた。
俺はむかしの俺に洗いざらいぶちまけた。
お前のやっていることはいじめでしかないこと
誠がどれだけ辛い思いをしているか
話が終わると、誠は泣き出し、自分の気持ちを話してくれた。
誠にとって俺は最初にできた友達であったこと
辛いこともあったが楽しいこともあったこと
その話を聞いた二人の俺は号泣し、今までしたことを謝った。
騒ぎが大きくなり、先生がクラスにやってきた。
当然ながら俺は不審者扱いされた。
説明しても無駄だと判断した俺はその場を逃げた。
逃げる際、誠にお守り的なものをもらった。
なんでもこれを肌身離さず持っていてほしいらしい。
俺はいそいで駅に向かい、電車に乗り込んだ。
誠の自殺原因である、いじめを止めた俺は安堵し、また、眠りについた。
目がさめると、そこはいつも仕事帰りに使っている駅だ。
どうやら元の世界に帰ってこれたらしい。
夢だったのか。
そう思いながらポケットに手を入れ、チケットをだした。
その時何かが落ちた。
それを拾い上げると、さっき誠にもらったお守りだった。
それから、仕事が繁忙期に入り、中々まとまった休みが取れなかった。
ようやくまとまった休みが取れた俺は、誠のお墓まいりに行くことにした。
お墓の前で誠に、この間の過去に行った話をした。
お守りも見せてやった。
話が終わり、帰ろうとした時、お守りの中に紙が入っていることに気がついた。
そこに書かれたいたのは
『ありがとう』
ただ一言だけだった。
おわり
この話はフィクションです
実際の事件、人物等は全く関係ありません
なんか話飛んでるし。。。。。
初めてですみません。。
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