リストカッターユウシャ(14)

このSSは、困ったことがあるとリストカットで解決するという面倒くさい癖をもった、

神託に選ばれし勇者であるユウシャ君の旅を描くハートフルなSSです!

ラジオ番組の「深夜の馬鹿力」のコーナーである「リストカッターケンイチ」のパロディです。

軽い流血表現があるので気をつけてください。

ユウシャ、目覚めるの巻


夢の中で女神の神託を受けたユウシャ君。

綺麗なお姉さんに頼られるという、これまでにないシチュエーションに興奮した童貞ユウシャ君は、もう一度女神に会うために二度寝を敢行する。

しかし、二度寝した夢に女神さまは出てこない。


女神さまは、イケメンの男とイチャついているのだ。そうに違いない。

俺みたいなクズ野郎の顔なんて二度と見たくないんだ。

そんな事を考えるユウシャ君。


「まあ現実なんてそんなもんだよな」と一つため息をついた後、パジャマから着替え勇者の剣を手首にあてたユウシャ君は。


*おお ゆうしゃ よ。 しんでしまうとは なさけない!

ユウシャ、母に見送られて旅立つの巻


教会から家に戻り、母に朝の挨拶をするユウシャ君。


朝食を食べながら、ふと先ほど見た不思議な夢のことを思い出した。

男とイチャつく女神の姿を再び想像したユウシャ君は、勇者の剣を取り出しリストカット一本いっとこうかと考える。

しかし、あの女のことを思い出すだけで一本イってたらキリがないぞ。と思い直し、母のつくったハムエッグをほうばった。

神秘的なお姉さんの話がなんとなく頭から離れなかったユウシャは、母に今日見た夢の話をする。

そうすると、ユウシャの母は心底悲しそうに溜め息をついた。


「女の人の夢を見た話を母親にするなんて、あなたそこまで気持ち悪い子だとは思わなかったわ」


 母の視線からそのような言葉を感じ取ったユウシャ君は「うおおおお! 我の中の邪神よ鎮まれぇ!」とかやっていた中二病時代の記憶をフラッシュバックさせた。

中二病はとっくに卒業したと思っていたのに、こんな夢の話をしてしまうなんて。

ああ、今すぐ枕に顔をうずめてジタバタしたい!

その衝動をどうにか抑えて、母の淹れてくれたコーヒーを飲みほした。

「ごちそうさま」と母に言ったあと、ゆっくりと勇者の剣を取り出しユウシャ君は。


*おお ゆうしゃ よ。 しんでしまうとは なさけない!

ユウシャ、また母に見送られて旅立つの巻


「ついにユウシャもお父さんのように旅立つときが来たのね」

夢の話を聞いた母はこう話を切り出した。

どうやらユウシャの父は魔王を倒すための旅に出たらしい、


なんと。服を着ていると落ち着かない、顔を見られると恥ずかしいなどと言っていたから、精神病院に入院したのかと思っていたぞ。

父の容姿のことでからかわれた過去を思い出したユウシャ君は1本行ってしまいそうになるが、どうにか耐えた。

小さいころの彼ならすぐにでも1本行っていたが、今の彼は成長してリスカ衝動を感じるだけで済ませられるのだ。

母は続けてこう言った。

「一人で旅するのは心細いでしょう? お友達を誘っていきなさいな」


ユウシャ君は勇者の剣を手首に当てた。

そして、そのまま一本行ってしまう   ……その直前でなんとか剣を鞘に戻すことに成功した。



父親の変態でしかない格好のせいで、ユウシャ君には友達なんていない。

だから先ほどの母の言葉の槍は、ユウシャの心臓を貫く程度の重傷を与えてしまう。


だが、ボッチ歴の長いベテランであるユウシャ君はそのダメージにも耐えるだけの精神力があった。

勇者の剣を手首にあてたまま、歯をカチカチと鳴らすだけで済ませられていた。


そんな余裕をみせている勇者に、母はトドメをさした。

「あなたもお父さんのように、仲間と素晴らしい旅をするのよ?」


な、なんということだ! 俺から青春時代を奪った父に友人がいたなんて!

変態フンドシ仮面に友人がいたというのに、自分にはなんで友達がいないのだろう……


そんなことを考えたユウシャ君は手首に勇者の剣を当てる。

頸動脈のあるベストポジションだ。確実に一本行ける場所だ。

でも。

でも、もしかしたら。

これから自分にも旅ができるような仲間ができるのだろうか?

そんな素晴らしい日々が訪れるのだろうか。



友人と旅をする明るい未来に思いをはせながら、ユウシャ君は。






*おお ゆうしゃ よ。 しんでしまうとは なさけない!



眠たいので寝ます。明日までに書きだめて投下予定。台本形式のほうが良い?

◆ユウシャ、やくそうを買うの巻

「旅の準備はちゃんとするのよ」と小遣いを渡されウキウキ気分なユウシャ君。

 嬉しさのあまりつい1本行ってしまいそうになるが、薬草を買ってからでも遅くはないと思い直す。


 どうぐ屋に入ろうとするユウシャ君はここで、既に薬草を持っていることに気づいた。

 しまった。この薬草は首都のどうぐ屋で買ったものだ。

 他の店で買った薬草類をどうぐ屋に持ち込む行為とは、例えるなら、ファミチキを食べながらセブンイレブンで弁当を買うようなこと。

 つまりは領域侵犯。どうぐ屋のシマを荒らすゲスな行為。


 ハッパをもった俺が店内に存在するだけで、どうぐ屋の主人を不快にさせてしまう。

 俺なんかがいるせいで……、涙ぐむユウシャ君。


 どうぐ屋の主人のほうを見ると、困惑したような表情で見ている。

 「どうして他の店のハッパを持ち込むかなぁ」と言っているような気がした。


 どうぐ屋で売られているナイフを手に取ったユウシャ君は、





*おお ゆうしゃ よ。 しんでしまうとは なさけない!


すまぬ、今日はこれ以上かけそうにないのでこれまで。

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