平塚「あしたの八幡」 (106)
・俺ガイル×あしたのジョークロスSS
・八幡を含む、一部の登場人物が不良化(原作と性格がやや異なる)
・独自設定あり(ジョーの原作とは違う展開に)
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戦後、急激な発展を遂げた日本
その日本の首都・東京はいまや東洋で一番の大都市へと成長
その東京の片隅に、人生に敗れ疲れ果てた者達が集まる吹き溜まりの場所がある
【ドヤ街・泪橋(なみだばし)】
平塚「うぃ~…ヒック」フラフラ
住人1「うわぁぁ…昼間っから酒飲んでるよ…」
平塚「……」ボヘ~
平塚「ああ…酒…酒…もっと飲みたい…」フラフラ
平塚「……」
ホームレス1「おう静ちゃん~今日も出来上がってるね~」
ホームレス2「今日も血を売ってきたのかい?」
平塚「あぁぁ…?もうほっといてくれ…」フラフラ
平塚「ぅぅ…」バタン
ホームレス2「あ~あ、地べたで寝ちゃったよ」
ホームレス3「静ちゃん、襲っちゃうよ?ぐへへへ」
ホームレス4「止めときな。分かってると思うが、元ボクサーだ」
ホームレス5「へへへ、静ちゃん結婚してくれ~」
平塚「ウィ~…ヒック、寝言は私を養えるようになってから言え…ゲップ…」
平塚「……」
平塚(どうしてこうなった…)グスッ
~回想・十数年前~
平塚「お父さん、お母さん…私、拳闘屋になりたい」
平塚母「まあ!女の子なのになんて野蛮な」
平塚父「静、お前はこれから大学に進学するんだぞ?」
平塚父「それにお前が望むなら、縁談だっていくらでも紹介してやるんだぞ?バカな事言ってないで勉強しなさい」
平塚「お父さんとお母さんの言うとおり大学には出ます。いつかはちゃんと結婚もします」
平塚「その代わり…拳闘をやらせてください!」
平塚父・母「……」
平塚「気が済むまで闘い終えたら結婚します!すぐに婚約できなければ教師として働きます!」
平塚「だから、拳闘を…ボクシングをやらせてください!」
~~~
平塚(私の家はかなり裕福だったと言えよう)
平塚(戦後、日本が奇跡的復興を遂げたとは言え、私がまだ高校生の頃は、まだまだ貧困層が多い状態だった)
平塚(そして当時、ボクサーを志願する物は今以上に不良が多かった)
平塚(ボクシングは人気スポーツだったが、同時に野蛮な人間、異常者がやる物としての認識が強かった)
平塚(偏見は今の何倍も強かった。無理もない。殴り合いで金を稼いでいるんだ)
平塚(まして私は女。世間の風当たりは一層強い…全ては時代のせい)
平塚(それでも闘いたかった。限界をしりたかった…女子プロボクサーとして名声を手に入れたかった)
~時は流れタイトルマッチ戦~
トレーナー「いけ!頑張れ!この闘いに勝てばお前はチャンピオンだ!」
ワーワー!ワーワー!
客1「いけー!静ちゃん!」
客2「やれやれ!勝ったら俺と結婚しよ!」
平塚「ぜぇぜぇ…!!」ガード
王者「ふん!ふん!」シュッ
平塚(来た…!!ここでクロスを…)
ボゴォォォン!
王者「ぐあぁ!!!」クラッ
解説者「おおっと、王者効いている!!」
王者(まずい…意識が途切れちゃうわ…)グラグラ
ワーワー!ワーワー!
平塚「」
ドサッ
観客全員「!!?」
解説者「おおっと!?倒れたのは平塚選手だ!」
王者「……??」フラフラ
審判「これは…!!?」
審判「なんて事だ…」サッ
解説者「審判が手を交差した!試合終了!王者は防衛成功!」
トレーナー「おいしっかりしろ!静ちゃん!」ダキッ
平塚「」
トレーナー「……」
平塚「私の、片目が…」
トレーナー「……」
平塚「あの…トレーナー…私は…」
トレーナー「残念ながら、もう現役続行は不可能だ」
平塚「……」
トレーナー「……それともう一つ、申し訳ないがウチのジムは貧乏だから、これ以上トレーナーを雇う余裕は無い」
トレーナー「でも…静ちゃんなら」
平塚「……」
平塚(もう拳闘は出来ない…か)
平塚(ま、タイトルマッチまで行ったんだ。もう良いじゃないか)
平塚(教師になるか…もしくは結婚か…)
トレーナー「いままでご苦労だった」
平塚「トレーナー、共に闘って来てくれた事に感謝してます」
~それから~
お見合い相手「それにしても平塚さんは美しい方だ。人柄もしっかりしてて素晴らしい…///」
平塚「い、いや~///」
平塚「○○さんだって、ご立派な会社に勤められて凄いです」
平塚(う、うまくいけるかも…)
お見合い相手「それで学生時代はどんなことを?」
平塚「はい。高校からずっとボクシングジムに通っていました」
お見合い相手「……え?」キョトン
平塚「大学卒業後は、プロとして闘いタイトルマッチまで行きました」
お見合い相手「タイトル…マッチ…」
平塚「ボクシングは素晴らしいスポーツです。お互いの魂を全力でぶつけ合い、競い合う…至高のスポーツです。ボクシングは真理であり哲学でもあり光そのものであります!」
お見合い相手「……」
お見合い相手「まさかとは思いますが、その眼帯は」
平塚「ああ、これはタイトルマッチの時の傷跡です。ボクシング人生の思い出、紋章、財産と言うべきでしょうか」
お見合い相手「」
お見合い相手「あの…平塚さん、今回の縁談なのですが今日はこの辺にしておきませんか」
平塚「え?でもちょっと早くないですか…まだ6ラウンド分も立ってないですよ?」
お見合い相手「し、失礼します…」
ガチャッ…バタン
平塚「……」
結局その後、連絡は途絶えたままだった
~~~
平塚「」ズーン
平塚(あれからの縁談もボクシングの話をするたびにドン引きされた…)
平塚(だがボクシングは私の全てだった。あの思い出を隠すつもりは無い。その思い出を否定する人間と結婚する気もない)
平塚「……はぁぁ。でも辛い」
平塚父・母「……」
平塚「お父さん、お母さん…ゴメンなさい」グスッ
平塚母「静ちゃん…」グスッ
平塚父「と、とりあえず、仕事を探してみてはどうだ?」
平塚「はい…」
~~~~~
面接官1「なるほど、たしかに良い大学出てますね」
面接官2「成績も優秀だ」
面接官3「だが…」
面接官全員「……」ジー
平塚「ぅ……」
面接官1「拳闘ね…しかも女が…」
面接官2「それに眼帯姿…」
面接官3「こんな経歴と容姿で、教師が務まるとでも?」
平塚「」
もし時代が違うなら結果はどうなっていたのだろう
ただ少なくともこんな酷い言われはしないと思う
ボクシングは大変人気だった
しかしこの時代のボクサーに対する偏見は凄かった
~ある日~
平塚「お父さん、お母さん…就職先が決まりました」
平塚父「やったじゃないか」
平塚母「それで?どんなお仕事?」
平塚「建設関係のお仕事です」
平塚父「ほう」
平塚「東京に会社があるので、千葉を離れなければなりません」
平塚母「そう…お体に気をつけてね?」
平塚「はい」
平塚「……」
平塚(ただの土方仕事だとはとても言えない…)
~~
平塚「ふん!ふん!」ガンガン
監督「いや~今日も静ちゃんは良く頑張るね!」
平塚「どうも」
作業員1「ほんと、俺たちの癒しだよな」ガンガン
作業員2「ああ、全くだ。泥に咲く一輪の花だ」ガンガン
平塚「……///」ガンガン
作業員1「でも何でボクシングなんてやってたんだ」
平塚「え」
作業員2「そうだよ、ボクシングなんてキチガイの連中がやるスポーツだ。静ちゃんには似合わないよ」
平塚「……」プルプル
平塚「ボクサーをバカにするな!!!」ドンッ!
全員「!?」
平塚「この世のボクサーは皆危険を顧みず必死に命を賭け闘っている!」
平塚「お前達にそれを否定する権限などない!」
全員「」
どこへ行っても私の過去は否定されてしまう
やっと見つけた土方の職場でさえも
それが理由で次第に土方仕事にも情熱が薄れ何もかもイヤになり仕事を辞める
両親に事実を言い出せず合わせる顔も無く、その後はドヤ街で堕落した日々が続いた
~回想終了~
平塚「……」
平塚「……酒、飲み足りない」
平塚「血…売って来ようかな…」ムクッ
ヤクザ1「おう静ちゃん、元気してる?」
ホームレス全員「ひっ…ヤクザだ」
平塚「またアンタか」
ヤクザ1「ウチの組に入って極道にならないか?」
平塚「断る」
ヤクザ1「……極道、似合うと思うんだけどな」
ヤクザ1「やれやれ、また交渉くるわ。じゃあな」
平塚「一昨日に来るんだな」
~~~~
ヤクザ1「ん?おいお前、ウチの屋台で何やってる?」
少女「っ!!」ビクッ
八幡「……」テクテク
八幡(何この町。世紀末?世界の縮図?危ない人きちゃってヒャッハー!汚物は消毒だ!とか言っちゃうの)
八幡「しかしぼろい町だ。まあ俺にはお似合いか…」
八幡「図書館から失敬した本でも読もうかな…えーと宿屋は…あ、その前にパチ屋で今日の収入と食料を調達しないと」
グニャッ
八幡「っ!?」バタッ
八幡「な、なんだ…いま何かを踏んだぞ」チラッ
平塚「う~ん…」チラッ
八幡「」
八幡(地面に倒れているのは女性。目の下に隈が出来ていて、黒髪の長髪でボサボサ、酔っ払っているのか顔が赤く酒臭い)
八幡(だけどスタイルが良くて美人だ…残念美人さんがこんな所で何やってんだ?)
八幡「あの、え、えと、その、すいません」キョドッ
平塚「……ああ、気をつけたまえ」ボヘ~
平塚「うぃ…」ゴクゴク
八幡「」
八幡(うわぁぁ、こんな真昼間から一升瓶を呷ってやがる…)ジーッ
八幡(あーでも喉か湧いたな、酒は無理だけど公園で水でも飲んでくるかな)ゴクッ
平塚「どうしたキミ、この酒を飲みたいのかね」
八幡「いや別に。喉は渇いてるけど水で…」
平塚「仕方あるまい…ほら」グイッ
八幡「ちょ、待っ…うっ!?」ゴクゴク
八幡(いきなり肩を組まれ、一升瓶を口に含ませられた…っていうかこれ、間接キスじゃねぇか)
平塚「どうだ」
八幡「ゲホゲホ!いきなり何するんですか」
平塚「たまにはよそ者と飲むのも一興だな」グイグイ
八幡「ちょ、ちょっと。離して下さい。む、胸とか当たってますから…」
平塚「ん?なんだキミは…私を女として見てくれてるのか。でもまあ、それも今のうちか」
八幡「?」
平塚「見ろこの眼帯を。私は元ボクサーさ。この傷は私の思い出であり財産だ」
八幡「じょ、女子ボクサー…」
平塚「そうだ!はっはははは!」
平塚「まあ私の過去も常に否定され続けてきた…おかげで今はこのザマだ」
八幡「……」
平塚「私のことを異常者と思ってもらってかまわん…ヒック、だがまあ、酒盛り位には付き合ってくれ」
八幡「…まあ、昼から酒飲んで地面に寝てるとか正気の沙汰じゃないですね」
平塚「そうだろ?はっはははは…」
八幡「でもボクシングやってた事自体はおかしなことではないと思いますが」
平塚「え」キョトン
八幡「ま、スポーツなんて所詮自己満足ですけど」ガタッ
八幡「それじゃ、俺は未成年なんで酒はいらないので」
平塚「待ってくれ」ガシッ
八幡「はい?」キョドッ
平塚「……」ウルウル
八幡(な、なんだよ…そんな目で…こちとら女と話すなんて数年振りなんだ。コミュ障の俺にはキツ過ぎる)
平塚「私がボクサーとして生きてきた時間を…キミは否定はしないのか!?」
八幡「まあボクシングなんて野蛮なスポーツやる気にはなれませんが」
八幡「…ただ、その危険な世界を必死に生きてきた人間を否定するのも間違っている」
平塚「う…ぅぅ…キミは…分かってくれるのか…」ボロボロ
八幡「ちょ、はは、早く腕を離して下さい!」ドキドキ
平塚「キミとは良い酒が飲めそうだ。よし、今から血を売りに行く。酒を買おう。付いてきたまえ」ガシッ
八幡「ちょっ、離して下さい」ジタバタ
八幡「ちょ、離して下さいって……ん?」
平塚「どうした?何か欲しいものでもあるのか」
少女「いや~!助けて~!」ジタバタ
ヤクザ1「こっちこい!」グイッ
平塚「あれは鬼姫会の…おい、何をやっている」
ヤクザ1「おお静ちゃんか。なに、これはこっちの問題だ。気にするな」
平塚「幼い少女がヤクザ相手に泣き叫んでいるのに、無視するわけにもいかんだろ」
ヤクザ1「普通は逆の対応をするものだがな…まあなんだ、ウチの屋台のおでんを失敬しててな。こいつの親父にケジメを付けてもらうのさ」
平塚「その子…確か鶴見留美だったな。彼女の父は中風で倒れている。そんな病人相手にどうするつもりだ」
ヤクザ1「なら母親にケジメを付けてもらうだけだ」
平塚「……許してやったらどうだ。まだ幼い」
ヤクザ1「ならアンタがウチの組に入ってくれ」
平塚「……断る」バキポキ
ヤクザ1「おっと、元ボクサーとはいえ、鬼姫会に手を出したらどうなるかわかってんのかい」
平塚「お前達が痛い目をみるだけだ」
ヤクザ1「言ってくれるね」チャキッ
平塚「刃物とは…ふん、卑怯だな者だな」ググッ
八幡「待ってください」ガシッ
平塚「何だね、キミは後ろに下がってなさい」
八幡「……女性が危険な目に合ってるのに、それを見過ごすなんて出来ませんので」
平塚「紳士なのは良いが、キミには荷が重い」
八幡「そんな事ありません。それに俺は性別上は男でも、紳士なんて褒め言葉は似合わない」ダダッ
平塚「ちょ、ちょっとおい!?待ちたまえ!!」
ヤクザ1「っ!!なんだあのガキは」
八幡「15年を生きてきて、これまで人に必要なんてされた事はなかった。だから俺一人が大怪我した所で、対した問題じゃない」
平塚「何を言って…」
ヤクザ1「おいおい、目つきの悪い兄ちゃん、どうなっても知らねぇぜ!」
ブンッ
八幡「……」ガキィィン
八幡(一直線に突き刺してきた小刀を、自分の蹴りで弾く)
ヤクザ1「なっ…」
八幡(一気に懐に入って)ススッ
平塚「は、早い…なんだあの機動力!」
八幡(腹を3発殴る)ボスボス
ヤクザ1「がはっ…!!」
ヤクザ1「ちょ、調子に…のるな…!!」ブンッ
八幡「っ!!」ゴスッ
ヤクザ1「へへ…」
八幡(ヤクザは俺の顔面をパンチして見事にヒットする。だが意識はしっかり保っている)
八幡「……」ググッ
ヤクザ1「なっ!?動いてる…効いてないのか!?」
八幡「これでも喧嘩慣れしてるんで」ブンッ
八幡(孤児院にいた頃は人に冷たくされ…旅の道中ではよくチンピラに絡まれ…俺は身も心も打たれ強い自信がある)
八幡(俺の顔面に、ヤクザの拳がめり込んだまま俺はヤクザの顔面を、右腕を伸ばし殴り飛ばす)
ボゴォォン!!
ヤクザ1「がはぁぁ!!」バタッ
八幡「……」
平塚(まだ15歳の少年が、たった一人で武器をもった屈強なヤクザを倒してしまった…)
ヤクザ1「」
八幡「……さてと、んじゃこの辺で」
留美「あ、あの」
八幡「ん?」
留美「あ、ありがとう…」
八幡「……もうおでんを失敬すんなよ」
八幡(俺が言えた義理じゃないけどな)
留美「名前」
八幡「え?」
留美「名前、教えて」
八幡「……比企谷八幡だ。気が済んだか?じゃあな」
留美「……」
平塚「おい待て、ドサクサに紛れて私から離れようとするな」ガシッ
八幡「ちっ…まだ俺に付きまとうんですか」
平塚「いっただろ、一緒に酒を飲もうと」
八幡「俺、未成年なんですけどね…」
(夜)
八幡(酒だけでなく飯までおごって貰ってしまった。てか血ってそんなに金になるのか?俺もやろうかな)
平塚「うぃ…ひっく、しかし何だねキミは。もの凄い身体能力をしているな」
八幡「えっと、そうなんですか?」
平塚「あの動きを見て分かった。バネのような筋肉をしている」
平塚「特に日本人にはああいうバネのような動きをできる者は少ない。動きにキレがあった。何かやってたのか?」
八幡「まあ旅で歩いてるから足腰鍛えてるし、腕だってよくチンピラに絡まれる時に鍛えられたし…」
平塚「ふむ」
平塚「……」
平塚「キミ、なぜ旅なんてやっているんだ。生い立ちは?」
八幡「……」
八幡「自分の生い立ちは天涯孤独と言った所ですかね」
八幡「孤児院でもその人間関係がうまくいかずにいました。女子に振られること数回。人から冷たくされる事は数知れず」
八幡「そんな生活に嫌気がさして、孤児院を抜け出し…あちこちを放浪してました」
八幡「旅を辞めて職につくことも考えて、あちこちで頭をさげた事もありましたが『中学すら卒業してない、目つきが悪い』との理由でいつも追い出されてました」
八幡「金持ちと結婚して専業主夫になるという夢もありますが、まあ無理でしょう」
八幡「だから俺は…この一生を放浪生活で終えようと思います」
平塚「なるほど…キミも大変だったんだな」グスッ
八幡「同情とか止めてください。そういうの嫌いなんで」
平塚「……よし決めた」
平塚「私と手を組もう」
八幡「は?」
八幡「な、なにをいきなり」
平塚「私がキミにボクシングを教える。君なら世界を狙える」
平塚「どうだ?」
八幡「断る」
平塚「そうと決まったら、私も明日からまた土方の仕事を復帰する」
八幡「ちょ、勝手に決めないで下さい」
平塚「そうだ私達の住む小屋を作ろう。場所は橋の下が良い。そこらに落ちている木材で作り上げるとしよう」
八幡「いやだから」
平塚「しばらくはお手製のサンドバッグとミットで練習だな」
八幡「人の話を」
平塚「ふふふ…楽しみにしたまえ比企谷、キミと私でボクシング界で名をあげて、ゆくゆくは立派なジムを建てよう」
平塚「ハーッハハハハハ!」
八幡「」
平塚「さて、今日はこの辺でお開きしようか」
八幡「あの平塚さん」
平塚「先生」
八幡「は?」
平塚「先生とよべ」
八幡「普通はコーチもしくは会長って呼ぶんじゃ」
平塚「いや、先生と呼んでくれ。これでも教員免許は持っている」
八幡「はぁぁ…あの、平塚先生」
平塚「なんだ」
八幡「ようは…ボクシングジムを建てるための資金源が欲しいんですよね?」
平塚「まあ目標の一部ともいえるな。あくまでキミが日本、東洋、そして世界チャンピオンにさせるのが私の目標だが」
八幡「はぁぁ…ま、仕方が無いから協力しますよ」
平塚「分かればよろしい!」
八幡(ようは金があれば良い。金さえ手に入ればジムを建てられる)
八幡(ジムの経営者になれば、とりあえずは安定した生活ができるだろ…多分)
八幡(金が溜まったら、俺は平塚先生の前から姿を消せば良い)
八幡(そうと決まったら、先生が出稼ぎに言ってるときがチャンス)
平塚「さあ、寝るぞ」
八幡「うす」
八幡(まずは得意のイカサマ賭博で儲けて…その後は…あの鬼姫会をどうにかして、金を稼げば良い)
平塚「ふふふ…さあ、私達の明日の為に!しっかり寝るぞ!おやすみ!」
今日はここまで
注意書きにも書いたけど、原作とは似た展開を書きながらもかなり違う話にするので
ラブコメ4割ボクシング6割を意識して話を進めていきます
古すぎる作品を元にしてるので需要あるか不安だけど、とりあえずまた書き溜めしてきます
減量で下剤飲んだり血抜いたりした後ステーキ食うとこまでやってくれるなら応援する
投下します
どこまで続けるかは正式には決まってないけど、今の所はカーロス戦までか>>20(東洋太平洋戦)まではやるかと思う
話が思いつけば世界戦までやるかも
平塚「むにゃむにゃ…」
八幡「……」ドキドキ
よく考えたら女性を隣にして寝るなんて初めてだな…って何を変に意識してんだ俺は
平塚「比企谷、まだ起きてるか」
八幡「え、あ、はい」
平塚「寝れないのか?」
八幡「まあ…」
平塚「はっははは…それじゃあ、昔話でもしてやろう」
八幡「何の童話を聞かせてくれるんですか。言っとくけど俺はその手の物は詳しいですよ」
平塚「まあ聞け。私の生い立ちだ」
平塚「さっきも話したように私はな、過去のボクシング人生を否定され続けてきた。そしてこのドヤ街に流れ着いた」
平塚「信じられんかも知れんが私の実家はとても裕福だ。おかげで大学に進学し教員免許もとった」
平塚先生の年齢を考えると、まだ日本がアメリカから独立して間もない頃だ。確かに裕福だな
八幡「そんなエリート街道を走ってたのになぜボクシングを」
平塚「はっははは。運命って奴さ」
平塚「街頭テレビでみたボクシングの試合に私は虜になった。あれが全ての始まりだ」
平塚「高校からはボクシングジムに通い…周りの血の気の多い不良共に馬鹿にされながらも、私は必死にトレーニングを重ねた」
平塚「17歳になる頃にはプロライセンスを取得し、大学卒業後にプロデビューした。それから負け無し勝ちまくりで無冠の女王と呼ばれた」
平塚「そして、本物の女王になるべくタイトルマッチに望んだが…打ち所が悪くてな。そのまま引退した…それからは酷いものだった」
平塚「女で元ボクサーという肩書きだけで、常に周囲から過去を否定され続けてきた。そして縁談も就職も断たれた。やっと拾ってくれた土方の連中すらボクサーを侮辱した」
八幡「それで何もかもイヤになった…と」
平塚「そんなところだ。だがキミは違った。私の過去を肯定してくれた」ゴロッ
話を一区切りつけると、平塚先生はコチラに寝返る。昼間に見た酷い表情はなく透き通った目で俺を優しく見つめてくる
平塚「うれしかったよ」
八幡「は、は、はい」ドキッ
横目で彼女を見るがやはりなかなかの美人だ。酒臭いけど。本当なんでこの人ボクシングやってたんだ
人は見かけにはよらないとはこの事だな
(次の日)
平塚「完成だ!!」
朝から夕方にかけて先生と共に泪橋の下に小屋を建てた
あちこちに落ちている角材やを拾って見事に作り上げた…つーか素人でこれだけの小屋を作るのってマジで凄くないか?
あんたと俺はむしろ大工とかの方が似合う気が
いや大工なんて絶対やりたくないけどな。ぼっちの俺には合わん
八幡「人間やればできるもんですね」
平塚「はっははは。そうだな!」
両手を腰に合てて胸を張って高笑いする先生。しかし大きな胸してるな。欧米人みたいだ。俺じゃなかったら襲ってるまである。でもこの人もとはボクサーなんだよな
平塚「さて、それじゃ私は前に世話になってた職場に顔を出してくる」
八幡「働くとすれば明日からですかね」
平塚「そうなるな」
「ほら見て見て!拳キチお姉さんが橋の下に小屋を建ててるよ!」
「けんきちおねーさーん」
「本当だ。おーい!拳キチお姉さーん!おっはよーう!」
「あれ、なんか知らない奴いるけど」
留美「しってるよ。八幡って言うんだよ。昨日、私を助けてくれたの」
ふと、女の子の声がしたので土手をみると、自分と同学年そうな子が一人、後輩っぽそうな子が二人、5歳位の子、そして昨日の小学生が一人いた
平塚「おー、お前達か」
平塚先生が声をかけると、彼女達はゾロゾロと俺たちの前に下りてくる
八幡「……っ」ドキッ
えーっと…ここドヤ街だよね?なんだこの子達は
アイドルみたいに容姿が整った子達ばかりだ
うん、ボッチには心臓悪い。非常に悪い
「アンタが昨日、留美を助けてくれた奴なんだ」ギロッ
八幡「ひゃ、ひゃい」
こ、こわい…顔は整ってるけどこの子怖い。に、睨むなよ
沙希(へーなかなか良い奴なんだね。目つき悪いけど…あれ、でも意外と男前?)ジッ
沙希「ありがとう。あたしは川崎沙希。この子は妹の京華」
京華「はじめましてー」
八幡「ひゃ、ひぃ、ひひ、比企谷八幡…15歳でひゅ…」
沙希「よそ者だし、本来ならあたしたちの尋問を答える義務があるけど…まあ良いや、許す」
何だよ尋問って…俺の事を精神的にシメる気だったのか?
この子達あれか、女版愚連隊(笑)か何かか?
いろは「どうも~。わたしは一色いろはでーす!14歳です!ヨロシクです先輩!」
いろは(この人は絶対、女子が苦手そう…よし、からかっちゃおう!)
小町「小町は小町だよ!13歳!ヨロシクねお兄ちゃん!」
八幡「あ、はい」
うん、この子達はあれだ。あのリーダーと違って怖くない
ただ一色とか言う子はなんかぶりっ子というかあざとい
脇にいる小町って子は…不思議だ。見てるととても懐かしい気持ちになる
女子には多大なるトラウマを抱えてるはずなのに…なんだこの気持ち。とても落ち着く
小町「……」ジーッ
八幡「……」ジーッ
いろは・沙希「?」
留美「昨日はありがとう八幡」ヒョコッ
八幡「え、おう…もうやんなよ」
小町と見つめ合っていると、いつのまにか鶴見が側まで来ていて、頭を下げてきた
平塚「お前達、学校帰りか?」
沙希「はい」
平塚「そうか…私も明日から労働をする事になった。お前たちとあまり会えなくなるな」
沙希「ろ、労働!?あ、アンタが…??」
いろは「どういう風の吹き回しですか!?」
平塚「うむ、実はだな」
~説明中~
平塚「……という訳だ」
美少女連隊全員「へーー」
沙希「やるじゃん」
いろは「人は見かけによらないですね。不審者にしか見えないのに」
小町「うんうん、主に目とか。ドヤ街でもいないよこの腐れっぷり」
八幡「おい貴様ら、初対面の人間に向かって何て事を」
平塚「そういう訳だ、これからは京華のおままごとにも付き合えなくなるが、許してくれ」
沙希「まあ、アンタが頑張れる気になったんならそれでいいんじゃない?」
京華「さーちゃん、けんきちねーさんいなくなってさみしいよー…」グスッ
沙希「よしよし、お姉ちゃん達がいるから大丈夫だよ。それに大志もいる」
八幡「大志?」
沙希「弟。真面目なやつでね…たまにしか外で遊ばないけど」
八幡「ふーん」
平塚「さて、それじゃ私は再就職の為に話をつけてくる」
平塚「ああそうだ八幡、今夜はボクシングミットとグローブ、サンドバッグ作るから手伝いたまえ」
八幡「えぇーー…」
(次の日、朝)
平塚「それ!ワンツー!」
八幡「ワンツー」バシバシッ
次の日、朝早く起こされ、ロードワークやら縄跳びやら、トレーニングをさせられる
八幡「ぜぇ、ぜぇ…」
か、体が重い。想像以上にきついな
小町「お、やってるやってる!お兄ちゃん!」
いろは「せんぱーい!」
京華「はーちゃーん」
留美「おはよう八幡」
沙希「……」
八幡「あ…どうも」
平塚「おはよう、学校に行くのか?」
沙希「はい」
平塚「そうか気をつけてな」
ウゥゥーー…ゥゥゥウウウ
平塚「就業時間のサイレンの音…八時だな」
平塚「じゃあ行ってくる。ちゃんとトレーニングを済ませるんだぞ」
八幡「うーす」
沙希「じゃあ、あたしらも行こうか…じゃあね」
いろは「さよならせんぱーい!」
八幡「あ、はい」
八幡「さて、そろそろ良いかな」
そこらで拾ったボロいリヤカーを引いて、おれは土手の上を歩き始める
八幡「さて、パチ屋に行きますか」ガラガラ
八幡「……」ガラガラ
テクテク
八幡「……」ピタッ
ふと背後から気配を感じ俺は歩みを止める
後ろを振り向くが誰もいない
八幡「……?」
孤児院にいた頃はストーカーに間違われる事は多々あった…うあ悲しくなってきた。だが俺をストーカーする奴なんているまい
まったく自分の自意識過剰振りにはイヤになる
八幡「……」ガラガラ
テクテク
八幡「……誰だ」ピタッ
後ろを振り向かずに言葉を出す
これで誰も出てこなかったら俺めっちゃ恥ずかしい
小町「ちっばれてたか」
いろは「せんぱーい、ドコ行くんですか?」
八幡「お前らなにやってんの?」
沙希「そういうアンタこそ、拳キチの姉御の言われたメニューはこなさなくていいの?」
留美「なんでリヤカーなんて引いてるの?」
八幡「こ、これはあれだ。リヤカー引きながら走るトレーニングなんだ。リヤカー持ちながら走ると足の筋肉に負担かかるだろ?」キョドッ
京華「はーちゃんすごーい」
沙希「んで?なんで悠長に歩いてるの?」
八幡「疲れてるからまずはウォーキングしてるだけだ」
美少女連隊全員「……」ジーッ
八幡「な、なんだよ。お前ら早く学校いけよ」
小町「あやしい」
八幡「いや、こそこそしてるお前らのほうが怪しいから」
いろは「あやしい。その全てが」
八幡「傷つくから止めてくれない?」
留美「拳キチのお姉さんのいう事聞かないとダメだよ」
沙希「拳キチの姉御の言いつけを守ってるかどうか、あたし達が監視するから」
八幡「なんでお前らに俺の行動を管理されなきゃならんのだ」
沙希「大体、この次のメニューは腕立て伏せと腹筋、それと縄跳びでしょ。ロードワークの時間じゃないでしょ」
八幡「なんでお前が俺の練習メニューを把握しているんだよ」
沙希「とにかく今日は監視させてもらうよ」
八幡「…いや、お前らは学校いけよ」
いろは「たまには1、2時間くらいサボっても…ね?」
美少女連隊全員「うんうん」
八幡「ふざけんな、付きあってられるか」ダダッ
沙希「あ、待て!」
小町「お兄ちゃん!逃げるのは小町的にポイント低いよ!」
いろは「わたし的にもポイント低いです!っていうか先輩、人として無理ですごめんなさい!」
留美・京華「待ってー」
八幡「ぜぇぜぇ…!」ガラガラガラ
なんなのコイツら、そしてなにこのシチュエーション
美少女達に追い掛け回されるとかドコのラブコメだよ
自分を気に入ってると勘違いしてしまうではないか
止めてくれ、勝手に期待して裏切られるのはもうイヤだ。こりごりだ
つーかうっとおしい
八幡「仕方ない。上手く撒いてパチ屋まで遠回りで良くか」ガラガラ
沙希「ぜぇぜぇ…早い、リヤカー引きながら走ってるのに何なのあのスピード?」
いろは「ぜぇぜぇ…あれじゃまるで人外じゃないですか」
(パチンコ屋)
八幡「さて付いた」
あのあと、なんとか彼女達を撒いた俺は店の前にリヤカーを置き店内に入る
八幡「まずいつも通り、ガラス板を外してっと」ガチャッ
八幡「さて、一仕事しますか」
周りの目を気にしながら俺はいつもの作業を始める
天涯孤独のボッチの俺があしたを生き抜くために身に付けたパチンコ技術を、今日も密かに行う
~~
ジャラジャラジャラジャラ
店員「」
ジャラジャラジャラジャラ
客達「」
八幡「ふひっ」ニヘラ
おお、今日も大盛況ですね
いやはや、こんなので世の中を生き延びていけるのですから、本当人生って楽しい
八幡「さて、そろそろ良いだろう」
八幡「店員さん…はいこれ今日の成果だ。景品下さい」
店員「は、はい…」
八幡「さてと、景品をリヤカーに乗せたし…ぼちぼちいきますか」ガラガラ
この辺だと巡廻しているおまわりさんに御用されてしまう
おれは交番から離れた、住宅街と繁華街の狭間の場所までリヤカーを引いて移動する
~~
八幡(ここからは俺がもっとも、苦手とするやり方だ。だが仕方あるまい。金を稼ぐ為だ)
八幡「はい、よってらっしゃい見てらっしゃい。こんなお買い得はドコへいっても見付かりませんよー」パンパン
客1「お、なんだなんだ」
客2「本当だ。どの商品も半額以下だ」
客3「マックスコーヒーください」
客4「梅干ください」
八幡「まいど~」
へへ、楽勝楽勝
~~
湯水の如く懐に入る現金に、俺はめずらしくすっかりテンションが上がっていた
まあ心の中で舞い上がってるだけだから、ぱっと見ただけじゃテンション上がってるなんて分からないけどな
小町「ねぇお兄ちゃん見付かった?」
沙希「いや、まったくドコにいるんだか…」
いろは「せんぱーい!どこですかー?可愛い後輩がここにいますよー!」
八幡「」
あいつら何やってんの…まさか今まで俺の事ずっと追いかけてたのか!?
マジ止めてくれ、また自意識過剰モードになるじゃないか
いや今はそれより逃げないと
八幡「はいすいませーん。今日の青空格安マーケットはココまで。また後日に」ガラガラ
客達「あ、リヤカー引いて帰っちゃった」
(夕方)
先生が帰ってくる前に、先生と俺が作った小屋の反対側の土手に、もう一つ小さな小屋を作った
その小屋の中に今日の売り上げ、それとパチンコの景品を置いておく
八幡「多分…大丈夫、だよな。ばれないよな?」
八幡「先生だってヘトヘトで帰ってくるはず。いちいちあんな所にある小屋なんて気にしないだろ」
(夜)
平塚「ただいま」
八幡「おかえりなさい」
平塚「おい比企谷、今日は日中何をやってたんだ」
八幡「え?そりゃ特訓を…」
平塚「沙希たちから聞いたが、リヤカー引いて土手を歩いてたそうじゃないか」
八幡「っ!!」
あいつら…
平塚「私が命じたメニューと違う気がするが…」ギロッ
八幡「あ、えと…リヤカー引きながらロードワークすれば足腰が強くなると思って、」
平塚「……次からはちゃんと手順を踏んでやりなさい」
八幡「は、はい」
仕方あるまい、明日はもっと慎重に行動しよう
小町「おじゃましまーす」
八幡「!?」
沙希「拳キチの姉御、夕食つくりに来たよ」
平塚「おお、気が利くな」
いろは「もーしょうがないですね先輩ったら、このわたしたちが夕飯を作ってあげます!」
八幡「いや頼んでないから…」
留美、京華「ごっはん、ごっはん」
八幡「ルミルミとけーちゃんまで…お前ら親の許可取ったのかよ」
沙希「味噌汁の具は何が良い?」
八幡「頼むから人の話を聞いてくれ」
(朝)
八幡「ふっふっふっ」ピョンピョン
京華「なわとびうまーい」
八幡「……」チラッ
沙希「今日はまじめに頑張ってるね」
小町「反省したんだねお兄ちゃん!お偉いお偉い!あ、いまの小町的にポイント高い!」
八幡「おい不良娘共、早く学校に行け」
いろは「あ、もう二時間目終わっちゃう。そろそろ行きませんか?」
沙希「そうだね。流石にそろそろいかないと」
京華「ばいばいはーちゃーん」
留美「頑張ってね八幡」
八幡「おう早くいけ…全く」
八幡「……………」
八幡「よし、行ったな。それじゃ今日も商売しますか」
あれから数週間がたった
平塚先生は朝から深夜まで働きまくり、俺は朝だけ特訓して、昼からはイカサマパチンコとボロい商売をする日々を繰り返す
そして今日俺は、不動産屋に来ている
(不動産屋)
店員「ボクシングジムですか」
八幡「はい。2階建てのコンクリート造りの近代的な建物が良いんですが」
店員「ふむ…金額はですね…」
~~
店員「ありがとうございました~」
八幡「……」
甘かった。気が遠くなる金額だった
ダメだ。いくらボロい商売しててもレベルが違う
八幡「……リスクを避けるため、あえて実行してこなかったが。やはりあの作戦を実行せざる終えない」
八幡「鬼姫会を襲撃して、金庫を盗むしかない」
八幡「だがそれでも足りん」
八幡「鬼姫会が経営してるパチンコ屋の金庫と、レジの金を強奪するしかない」
八幡「パチ屋では暴力沙汰を起こす訳にはいかない。スキを見て盗むしかない」
八幡「鬼姫会を潰したら今度は、違うヤクザ屋さんを襲えば良い」
八幡「……これまでは上手くばれないようにやりくりしたが」
八幡「今度ばかりはリスクが高い。おれ自身どうなるかわからん」
八幡「作戦決行は明日からにしよう」
キャンキャン!
八幡「?」
やけに元気そうな犬が道路を走り回ってる
結衣「ダメだってっばサブレ!待ってよ!」ダダッ
遠くから飼い主が走ってくる、全くしっかりリードしろ
ブロロロロロ!!
サブレ「キャンキャン!」
八幡「っ!!」
道路から高級車が走ってくる
それを命知らずと言わんばかりに犬が横切ろうとする
八幡「やばっ…!」ダダッ
ガバッ
キキキィィィィ!!!
八幡「ぜぇぜぇ…」
何とか間に合った。俺も車には轢かれてない
俺は腕の中にいる犬を見てホッと胸をなでおろす
後ろを振り向くと止まった高級車から、運転手がコチラに向かってくる
運転手「だ、大丈夫ですか!?」
八幡「え、ええ…何も問題ないっす…」
運転手「ヒザを怪我して…血が…」
八幡「こんな擦り傷、何てこと無いです。自分で治療は出来ますから」
運転手「すいませんでした。これ、わたしの連絡先なので…」
八幡「ああ、そんな名刺いりません。それじゃ」
運転手「あ…」
八幡「はいこれ」
結衣「あ…ありがとうございます!もー…サブレ!ダメでしょ!」
八幡「それじゃ」
結衣「あ、あの…!」
八幡「?」
結衣「お住まいは?」
八幡「さあ?そこら辺です」
結衣「あの、なにかお礼を」
八幡「……」
俺は無視してその場を立ち去る
結衣「あの!あたしの家、乾物屋なので今度きてください!食料品をタダで沢山さしあげるので!だから…!店名は」
うしろで乾物屋とか店名がどうとか声が聞こえるが俺は無視する
俺は人から褒められるような立派な人間ではない
それ所かろくでなしだ
過去も今も…これからも
陽乃「ふーん…めずらしい子がいるんだね」
雪乃「……」
今日はここまで
次回は少年院入りまで頑張りたい
ドヤ街に住むジョーを慕う子供達役は、(さきさき、けーちゃん、いろはす、小町、ルミルミ)にしました
ただ年齢はけーちゃん除くと、小学校高学年~高校生までにしてます
裏設定では小町と八幡は実の兄弟だが、どちらも捨て子
幼い頃に生き別れしてしまい記憶に無い設定にしてます
(翌日・鬼姫会事務所)
コンコン
『失礼しやす、会長にお客人が』
会長「ん、今日は人と会う約束とかあったか?まあいい部屋に入れ」
ガチャ
八幡「どうも」
ヤクザ1「くっ…痛ててて…」ドサッ
会長「……おいおい、なんでウチの子分がボロボロにされてるんだい」
ヤクザ1「会長!こいつですよ!以前、おれをボコボコしてくれたガキは」
会長「ほう」
八幡「すいませんね、なるべく穏便に済ませたかったのですが、この人が俺に襲い掛かってきたので」
会長「で、要件は」
八幡「単刀直入に言うと、事務所にある金庫の金を頂けませんかね」
会長「なるほど…」スパァ
親分らしき人は余裕そうな表情で煙草を吸い、天上を見つめる
やがて顔をコチラに向けると、修羅剥き出しの形相でコチラを睨みつける
会長「おいお前さんたち!!やっこさんを殺っちまいな!!」
ガララ
子分達「ヘイ!!」
違う扉から、柄の悪そうな連中が現れる
やけに出揃っているが待機でもしてたのかよ、まるで時代劇だ
八幡「……交渉決裂ですね」パキポキ
拳を鳴らしながら、おれはゆっくりとした歩調で襲撃に向かう
(数分後)
全員「」
八幡「ぜぇぜぇ…さ、さすがに密室で集団を相手するのはキツイな」
体中がアザだらけだ。もっともヤクザ屋さんたちは気を失っているが
八幡「さて金庫の鍵らしき物も見つけたし、早速本体を探すか」
(数時間後・パチンコ屋)
チリリリリリン
ヤクザ「電話電話っと…どうした」ガチャッ
ヤクザ「なに!?事務所を襲撃された!?」
ヤクザ「わかった今行く!」
ヤクザ「おいお前ら!組が一大事だ!いってくる!」
店員1「は、はい」
店員2「何があったんだ?」
店員1「さあ…なんでも組の一大事だとか」
店員2「……下手したらこのお店も危ない?」
店員1「まあ親会社がまずいんじゃな…ともかく俺達が心配しても何も出来んが」
店員2「そうだな…あ、俺トイレ行ってくる」
店員1「おう」
ジャラジャラジャラ
八幡「あのーすいません、沢山当たったので運ぶの手伝ってくれますか」
店員1「え?あ、はい」
店員1(またコイツか、しかし何でこんなに大当たりするんだ)コツコツ
八幡「一番奥の台なので!すぐわかるとおもいます!」ダダッ
店員1「あ、ちょっと走らないで…全く」
~~
店員1「」
店員1(おいおいおい!これガラス板が外れてるじゃないか!)
店員1「あのお客様…ってあれ、いない」キョロキョロ
(パチ屋の事務所)
八幡「……」
スキを見てレジの金は全て頂いた。金庫の鍵も奥の部屋から見つけて、すぐに大金を手にした
人生楽勝だな
あと何倍かの金を集めればジムの建設ができそうだ
ヤクザ事務所には多大な金が合った
ナップザックの中に金を入れては小屋へ戻り、また金を回収する作業を繰り返した。そして今度はパチ屋の金を手に入れた
さすがにヤクザ事務所ほどではないが、なかなかの大金
八幡「さて、逃げるか…」
『た、大変だ!レジの金が盗まれた!』
『なに!?』
八幡「やばっ…窓から逃げるとしよう」ガラッ
『警察に連絡しろ!』
八幡「はぁはぁはぁ…」ダダッ
ヤクザ1「おい、見つけたぞ!アイツだ」ヘロヘロ
八幡「げっ…」
おいおい、もう意識を取り戻したのか
だがそれ以上に気になる事がある
ヤクザ2「やっちまえ!!」
子分達「おおお!!!」
あの事務所にヤクザがあんなにいただろうか
それに怪我していない連中ばかりいる
ヤクザ2「ウチの系列の組の者を随分と可愛がってくれたな!」
ああ、そういう事か
つまり系列の組織から助っ人を何人も呼んだわけだ
八幡「ちっ!こうなったら逃げ切るまでだ」
全員「まて!!」
待て、逃げ切った所でどうなる
まあ金を置いてきて後で反撃すればいいだけだ
でもその後は…?
仮に打ちのめしても顔が割れている
八幡「……」
走っている故に汗が流れる
しかし同時に嫌な汗も流れ始める
八幡「と、とにかく今は逃げ切るだけだ!」
ウァンウァンウァン
八幡「なんだ、今度はパトカーが沢山…」
警察1「ナップザックを背負いコートを着た、目が腐っ…目つきが悪い少年いました!」
警察2「窃盗罪の罪で逮捕する!」
八幡「」
おい、おいおい
この警察官絶対に犯人かどうかを目で判断しやがったな
まあ俺なんだけどさ
恐らくパチ屋の連中が連絡を入れたのだろう…こんな事なら時間稼ぎに電話機を壊しておくべきだった
ヤクザ達「待てや!!!」ダダッ
警察達「取り押さえろ!!」ダダッ
見事に挟み撃ちにあった
だがここで捕まる訳には行かん
八幡「……」ググッ
ドス!ドゴ!ドガ!バキ!
(泪橋前)
八幡「ぜぇぜぇ…」ダダッ
体中が痛い
あのあと、おれは警察とヤクザを同時に乱闘を起こした
ヤクザだけ倒して逃げ切るつもりだったが、そううまくは行かなかった
警察まで殴り飛ばしてしまった
だがまだ名前はばれてない
逃げ切れば大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ
八幡「……」
~回想~
モブ1「あいつかおりに告白したんだってさ」
モブ2「えーキモッ。なにアイツ、ストーカー?」
モブ3「かおり可哀相、大丈夫?同じ孤児院に住んでるんだっけ?」
折本「別に?どうでもいいし。部屋が一緒とかじゃないんだし」
キャハハハハ
八幡「……」
――
八幡「この間のかくれんぼでさ、どうして俺を見つけてくれなかったんだ?ずっと待ってたのに」
施設仲間1「はぁ?お前なんか誰も誘ってないだろ」
施設仲間2「勝手について来るなよヒキガエル!施設からも出けよ」
ギャハハハハ
「……」
――
職員1「比企谷くんは他の子達と違って素直だが、なんか可愛くない」ヒソヒソ
職員2「ほんと気味悪い子だ」ヒソヒソ
職員3「かおりちゃんをストーカーしたって噂だぞ?」ヒソヒソ
八幡「……」
八幡(俺に居場所なんてない。こんな所から出よう)
~回想終了~
八幡「……」
昔から居場所なんてなかったし、人から必要とされる事もなかった
だが平塚先生は違う
あの人は育ちも裕福で学問にも優れ、さらにボクサーとしての才能もあった
元は友人だって多かったに違いない
あの人みたいなのが落ちぶれてしまうのは間違っている
この金はあの人を再生させる為の金
底辺なのは俺だけで充分だ
傷つくのも俺だけで充分
八幡「ぜぇぜぇ、もうすぐ小屋に辿り着く」
八幡「ん?」
川崎「あんた…」
いろは「せんぱい…」
小町「お兄ちゃん…」
留美「は、八幡」
京華「はーちゃんだ、おーい」
そこにはいつもの連中が出揃っていた
けーちゃんはいつも通りだが、他の連中の顔色がいつもと違う
八幡「なんだよお前達。その何ともいえない表情で…ん?」
そしてもう一人、コチラを向いている女性がいる
平塚「……」
八幡「先生…」
とても哀しい顔をしていた
俺を哀れな目で、とても悲しそうに
八幡「……」ズキン
なぜか胸が痛む。そしてなぜか焦燥感が
イヤ待て、違う。ばれてない、大丈夫、大丈夫。それよりもこの金を早く…
平塚「どこへ行く」
八幡「そ…そんなの、俺の勝手です」ダダッ
平塚「まて」ガシッ
八幡「離して下さい」
平塚「そのナップザックの中に何が入っている」
八幡「いいから離して下さい」
パァン
その瞬間、俺の視界は強引に横へと移動した
頬にヒリヒリと痛みが走り、その状況をよく理解できずに脳内を真っ白くさせる
八幡「……」
平塚「……」
ゆっくりと再び視界を先生に向けると、先生は今にも泣き出しそうな顔で、瞳に水滴を浮かべていた
八幡「……」ドサッ
呆気にとられ、おもわず現金を入ってるナップザックを地面に落としてしまう
先生はそれを拾い、中身を確認する
平塚「馬鹿者…」
彼女は体中をわなわなと震わし、とうとう瞳から水滴が滴る
平塚「私がいつ…こんな事を望んだ!!!」
河川敷に声が響く
俺はそのまま力無く、ひざをつく
ウァンウァンウァン
結衣「あれ、パトカー…それに凄い人だかり」
ガヤガヤ、ガヤガヤ
結衣「あ、沙希!」
川崎「…由比ヶ浜」
結衣「この騒ぎはどうしたの?」
川崎「……アンタには関係ないよ」グスッ
いろは「せんぱい」グスッ
留美「はちまん…ぅぅ…えっぐ…」ボロボロ
小町「お兄ちゃんのばか…ポイント最悪…」ボロボロ
京華「はーちゃん、なんでおまわりさんに捕まってるの?」
結衣「え、ちょっ関係ないって…何なのこれ!?町の誰かが捕まったの!?」
川崎「アンタの知らない人だよ」
結衣「知らないって…」チラッ
警察1「ほら来い」
警察2「早くしろ!」
八幡「……」
結衣「」
結衣「え…うそ、あの人」
川崎「……?」
運転手「あ、あの方は昨日。子犬を助けた…」
陽乃「あっはははは!まさか昨日のヒーロー君が次の日に、強盗に乱闘騒ぎを起こすとはね…おっかしい!あははは!」
雪乃「……よく理解出来ないわ。あの人」
平塚「……」プルプル
平塚「ぁ…ああ…」ボロボロ
平塚「うああああぁぁぁぁ…比企谷の馬鹿者!うわぁぁぁぁ!!」ガクッ
(次の日)
平塚「……お前達、準備は出来たか」
川崎「うん」
いろは・小町「準備オッケー!」
留美「八幡元気かな」
京華「はやくはーちゃんに会いに行こう」
結衣「あ、あの」
全員「?」
結衣「面会にいくの?」
川崎「あ、由比ヶ浜」
結衣「あたしも行っていいかな」
川崎「アンタ知り合いじゃないでしょ」
結衣「えっと実は…」
~~
平塚「犬を助けたのかあいつ…」
留美「やっぱり八幡は良い人なんだよ。悪い人じゃない」
小町「でも一昨日と昨日とでは、やることがまるで正反対だよね…」
いろは「せんぱいって本当、なに考えてるんだか理解できない」
結衣「昨日、平塚さんも言ってたけどさ。お金を溜めてた原因が、平塚さんを救うためだったんでしょ?ジムを建てるための…」
平塚「……」
結衣「本当は優しい人だと思うし…あたしも何かしてあげたい」
平塚「……そうか、とりあえず行くか」
(警察署)
警察「規則で肉親以外は面会は禁止だ」
警察「さあ、帰りなさい」
平塚「そこをどうか…」
警察「しつこいぞ」
いろは「融通利かない人は女性にモテませんよ!」
警察「ほっとけ」
川崎「たしか比企谷は両親がいないでしょ。それじゃ誰とも会えないし、それはあんまりじゃ」
警察「いいから帰れ!ほら!」
全員「……」
私達は全員、他の係りの者に半ば強引に外へと追い出される
平塚「ま、待ってください」
警察「今度は何だ」
平塚「せめて…せめて、ハガキだけでも渡してもらえませんか!」
結衣「あ、あたしも!ハガキ!」
(鑑別所)
八幡「……」
まさかこんな事になるとは…
それにしても警察の連中も手配が早いな
平塚先生たちにまで連絡が回るとは…
あの時点で、本名が割れてないから…そうするとあれか
容姿特徴を伝えただけで、先生とあの女軍団は俺だと悟ったのか
本当悪いな、性根も目も腐ってて
八幡「何にしても、これで平塚先生とあの女共との奇妙な縁が終わった訳だ」
平塚先生には悪いことをした…
俺が捕まった後も、ふて腐れず仕事を辞めずに生活していける事を願うばかりだな
監視員「ほら、ハガキだ」
八幡「はがき…?しかも二つも」
八幡「えーと…一つ目が…せ、先生?」
どういう事だ
昨日の事件でもう俺と先生の縁も途切れたのかと思ってたのに
八幡「あしたのために…その1?なんだこれ!?」
おいおいおい…まさかあの人、まだ俺をボクサーとして仕立て上げる事を諦めてないのか。ここまで来ると本当キチガイだぞあの人
八幡「……」ポイッ
あんな危ないスポーツを誰がやるか
ハガキを捨てて、もう一枚のハガキを見る
【助けてくれてありがとう 結衣より】
……だれ?てか助けたって何のこと?
八幡「……」
暇だ。本が読みたい…だがこんな独房に、そんな物はない
八幡「……」チラッ
八幡「マジで結衣ってだれだよ…確かに犬は助けたし、ルミルミをヤクザから解放したのは俺だけどさ。誰だよ結衣って。そんな奴たすけた覚えは無い」
八幡「……暇だ」
八幡「……」
仕方あるまい。ここは先生のボクシング通信教育でも受けるか
八幡「えーと…攻撃の突破口をひらくため、敵の出足をとめるため、左パンチをこきざみに打つ…」
八幡「ひじを左わきの下から離さぬ心構えで、やや内角を狙い、えぐりこむように…」
八幡「打つべし!」
シュッ!
八幡「……っ」
風を切る様な音がした
いままで感じた事のない感覚だ
八幡「打つべし!打つべし!」
シュッシュッ!
それから暇つぶし代わりにジャブの練習をしまくった
この独房は汗と雨が落ちる音、そして風を切り裂く音だけだ
~~
コンコン
監視員「比企谷八幡、ついてきなさい」ガチャッ
八幡「え…?」
監視員「何をしている、早くしろ!」
八幡「……」
あのあと俺は心理学の先生とやらに質問を受けた
面倒だから適当に答えておいた
監視員「観察期間は終わった。これから大部屋へ移動し、そこで裁判の日を待つんだ」
なんか裁判の日って響きだけ聞くとカッコいいな。前に読んだファンタジー物の小説にそんな単語があったような
…ってそんなことより監視員さん、あなたさっき大部屋と申しましたか?
八幡「あの、独房の方がいいんですが…」
監視員「キミにそれを選ぶ資格は無い!」
面倒だ。一人で静かに過ごしたかったのに
ガチャッ
ぶ厚い扉を開けると、そこは薄暗い部屋の中で、ゴロゴロと悪そうなのがコチラを見ながら不敵に微笑する
監視員「新入りの比企谷八幡だ、みんなよく面倒をみてやるように」
八幡「……」ペコッ
監視員「それじゃ」
バタンッ
モブ1「へへ…」
モブ2「くくく…」
モブ3「ひひひ…」
八幡「……」
なにやら熱い歓迎が待っていそうだ
八幡「あ、あ、ああの、よ、よろしく…」キョドッ
モブ1「へへ…」
モブ2「くくく…」
モブ3「ひひひ…」
こういう集団には大抵ボスがいる
そしてそのボスを取り巻く連中。ああ…本当イヤだね社会って
こんな下衆な取り巻きの一部になる位ならボッチでいたほうが百倍マシだね
モブ4「どうします?材木座さん」チラッ
この部屋のボスは材木座という男らしい
さて木材屋みたいな名前をしたボスがどんな奴なのか拝見しましょうか
材木座「フン…我からの命令だ。諸君!その某に我の権威を思い知らせるべく、鉄槌を下すが良い!」
モブ全員「はい!!」
八幡「……」
太った眼鏡、おかしな口調…
材木座「はーーっはははは!いけぇぇい!皆の衆!」
なんでこんな奴がリーダーやってんだ
つーか口調ウゼェ
今日はここまで
一応言っておきますが、西と紀ちゃんは本編で結婚するけど、材木座とガハマさんは違います
それとエンディングの方はいくつか複数考えてます
次回は特等少年院の序盤まで投下すると思う
モブ1「そら捕まえた!」ガシッ
モブ2「オラ!」
モブ3「へへへ、覚悟しな!」
八幡「っ!」
あっと言う間だった
この部屋のボスの、太ったメガネを呆れた目で見ていたら、その僅かな隙に先手を取られた
完全に油断してしまった
だが後悔などしてる暇などなく、口に何かが入る
モブ1「ほら喰え!」
八幡「おごぉ!?」
モブ2「ほら!声も出なくなった…始めるぞネジリンボウ」
ギュゥゥゥっと全身の腕と足を、雑巾絞りの様に筋肉をねじり絞られる
今まで感じた事無い独特の痛みが全身を襲う
八幡「~~っ!!!」
口内に咥えられた雑巾のせいで声なき声で叫ぶ。呼吸すら困難だ
材木座「諸君!続いてパラシュート部隊を行うのだ!!」
モブ全員「はい!!」
ボスが何か指示を出すと、全員おれの腕と足から離れる
変わりに3段ベッドの梯子を昇り、一番上まで行くと、何やら不敵な笑みでこちらを見てくる
モブ全員「へへへ…」
八幡「」
おい、まさか…やめろ。死んでしまうぞ俺
モブ1「いっきまーす!ひゃっほぉぉー!」
ドゴォォッ
八幡「ごぉほ…」
腹部に強烈な痛みが走り、口内から吐血する
その血は雑巾が吸収し紅く滲んでいく
モブ2「そらぁ!!」
ドゴォォッ
八幡「ぉぉ…」
モブ3「あらよっ!」
ドゴォォ
八幡「ぶっ…」
意識が遠退いていく
ドゴォォッ
八幡「ぐっ」
こんな所で死ぬなんて…
ドゴォォッ
八幡「……っ」
ドゴォォッ
~~~
八幡「」
八幡「っ」ビクッ
ああ…何か、良い匂いがする
モブ1「きょうの豚汁は最高ですね!」
材木座「うむ、今日はなかなかの美味である!」
モブ2「うめぇー!」
バクバク。モグモグ、ムシャムシャ
八幡「…っ」
意識がぼんやりする…俺はいまどうしてるんだ
ああ、そうかリンチされたんだ
匂いと音からして今は、食事の時間かな
どうやら監視員の気配を感じ取って、俺のリンチをやめたんだな
八幡「……」
……っとはいえ、これでリンチが終わるとは思ってない
しばらくは最底辺な扱いを受けるのだろう
昔から、ぞんざいな扱いを受けてきたボッチなおれだが、自由だけは守らねばならん。自由と孤高だけは俺の守ってきた物なのだから
何より、こんな扱いを毎日受けてたら死んでしまう
モブ全員「ごちそうさまでした!」
材木座「よぉぉし!何人か我にマッサージを命ずる!」
八幡「……」ガタッ
モブ全員「…っ!?」
モブ1「た、立ち上がった…だと…」
モブ2「アイツ…不死身か!?」
八幡「あぁぁ…俺の分、もう無いんですね」フラフラ
まあ知ってたけどさ
つーか今食っても邪魔されるが落ちだしいいけど
モブ1「お前の飯の分なんてあるわけないだろ、アホか」
モブ2「最初の飯はボスにあげるのが礼儀なんだよ」
モブ3「そうだ、礼儀を弁えろ」
八幡「アナタ達、えらそうに講釈垂れてるけど、社会で礼儀を弁えないからココに来てるんじゃないんですか?」
モブ全員「あぁぁ?」
材木座「……」
八幡「大体、外では中途半端に腕っ節強くて、威張り散らしていたのに、鑑別所では上下関係を弁えろだ?」
八幡「俺には理解できないね。ボッチだから」
材木座「うっ…」
モブ1「どうしました材木座さん?」
俺にはわかる
材木座「その男を…」プルプル
こいつが本当はボスの器じゃない事くらい
材木座「やってしまえぇぇ!!!」
化けの皮を剥がしてやる
モブ全員「オーッス!!」
~~~
モブ1「くっ…コイツ…強い…」ガクッ
八幡「……」シュッ
ボゴォォ
モブ2「ぐあぁぁ…!!」ガクッ
一人一人の動きがとにかく遅い
今まで一人旅の中で、俺は数多くの修羅場を潜ってきた
ここにいる連中も悪さをしてきた以上、それなりに修羅場を潜ってきてるはずなのに、どうしてこうも弱いかね
まあどうせ、集団で暴れまわってたんだろうな
俺はいつだって一人だったけど
~~~
モブ全員「」グッタリ
材木座「……」
八幡「さて、どうしましょうねボス」
八幡「今度から俺に手を出さないと誓うなら、許してあげても良いですが」
八幡「おれはココにいる連中と違って、そう短気ではないので」
材木座(こ、こやつ…なかなかな腕っ節である…しかし…)
材木座「ふふふ…ははは…」
材木座「ハーッハハハハ!なかなかやるではないかお主。見直したぞ」
八幡「……」
材木座「だが上には上がいることを覚えておいた方が良いと思うぞ?」
材木座「良いか!心して聞け…我は、戦の時は常に一人で闘ってきた。そして一人でその勝利を掴み取ってきたのである!」
材木座「故に!我は百戦錬磨なり!貴様如き敵でも何でもないわ!!」
八幡「……要するに、友達いなかったんだろ?」
材木座「」ブチッ
材木座「それは禁句だぞ青二才!!!」ダダッ
ああ、やっぱりそうだ。俺の勘に狂いは無かった
こいつも俺と同類だった。いや同類はイヤだな。ただのデブなボッチだ
ドス、ドガ、バキ、ドゴォ
八幡「……で、これが百戦錬磨の実力ですか」
材木座「」グッタリ
まあそれでも簡単には倒れてくれなかった
腹や顔面を何発も殴ったり、蹴ったり、最後には投げ飛ばしたりした
そこらの不良達よりかはタフなのか知れん
材木座「ぐぅ…ぅぅ…」ムクッ
まだ立ち上がってくるが、もはや体力も限界を超えてるように見える
八幡「よし、それなら…平塚先生から教わった通信教育を実戦してみるか」
材木座「我は…まだ…闘える…!」ダダッ
巨体が自分に向かって、走ってくる
俺は拳をギュッと握り構える
八幡「肘を左わきの下から離さぬ心構えで、やや内角をねらい…」
材木座「ぬん!!」ブンッ
太い腕で、大振りの攻撃が自分にめがけて飛んでくる
八幡「えぐりこむようにして…打つべし!」シュッ
パァン
材木座「がぁっ…」
風を切る音がして、同時に鋭く拳が相手の顔面に一瞬、突き刺さる
材木座「う…ぅああ…」ボタボタ
立った一発のパンチが一瞬当たっただけなのに、ボスの鼻から血が勢い良くドロドロと落ちていく
材木座「こ、このぉ…」ガシッ
ボスは部屋にあるベンチを掴んで、振り回そうとする
材木座「喰らえ…エクスカリバー…」ブンッ
八幡「そんな木製ベンチがエクスカリバーであってたまるかよ」シュッ
パァン
材木座「ぐぁ!」
八幡「打つべし!打つべし!」シュッシュッ
パァン、パァン
材木座「……」フラフラ
八幡「打つべし!」シュッ
パァン
材木座「」ドサッ
木製エクスカリバーを落としたボスは、情けなく鼻血を出したまま力無くその場で倒れこむ
監視員1「な、なんだ…これは!?」
監視員2「なんの騒ぎだ!!」
どうやら騒ぎがあちらまで響いていたらしい
つーか俺がリンチされてるときに来いよ
八幡「この太った人、ここの部屋のボスみたいで、威張り散らして俺を皆でリンチしたり、食事抜きにさせたりしてたんですよ?」
監視員全員「なっ…」
八幡「だから成敗したんですよ。このままじゃ俺、殺されてしまうかもしれないんで」
監視員1「せ、成敗って…それにしちゃ…やりすぎじゃあ…」
よし、ノリで良いこと思いついた
八幡「ま、もし今後自分に襲い掛かるようなマネをしたら、本気であの世に送っても良いんですけどね」ニヤニヤ
監視員2「おい…冗談でもバカな事を言うな!」
八幡「冗談ではないですよ?なら見せしめに…その図体デカいボスを…」ニヤッ
監視員3「やめぬか!!」
監視員1(こんな目つきの悪い奴を、ここに置いてはいけない。本気で殺人事件を犯しかねん)
監視員1「恐ろしい奴だ…独房に連れて行け」
八幡「なーんだ、ざんねんだなー」
よし、これでいい
おれは危険人物とみなされ、独房へ移動される…完璧だね。作戦成功
これで落ち着いて食事も取れる
やっぱボッチ生活最高だね、面倒な上下関係もないし
――鑑別所での乱闘騒ぎから数日後
東京の家庭裁判所に置いて、俺の判決が下された
暴力、窃盗…さらに鑑別所での乱闘騒ぎ
それらの罪の重なりにより俺は、1年1ヵ月間、東光特等少年院に行く事になった
【裁判所の前】
ザーザー
雨が降っている。結構強いな
ま、こんな日に晴天になられてもそれはそれでイヤだけどな
八幡「……」コツコツ
平塚「元気にしてたか」
八幡「……」ピタッ
八幡「……」コツコツ
平塚「おい、何か言ったらどうだ」
八幡「……」コツコツ
川崎「待ちなよアンタ」
いろは「先輩!」
八幡「……一色、川崎」
小町「お兄ちゃん!」
八幡「……小町に留美、お前らも来てたのか」
留美「八幡…」
八幡「けーちゃんまでこんな所に連れてきやがったのかよ」
京華「はーちゃんひさしぶり。どうしたの。げんきないよ」
川崎「けーちゃん、今は静かにね」
京華「??」
結衣「……」
八幡「……?」
誰だ、このお団子頭の子は
八幡「手紙、読みましたよ」
平塚「それは良かった」
八幡「……」
平塚「一年一ヵ月…私は待ってるぞ、お前の帰りを」
八幡「はっ、ご冗談を」
八幡「確かに手紙のアレは、良い暇つぶしになりましたが、もうアナタとの縁はコレまでですから…当然、ボクシングの縁も」
平塚「なっ…」
八幡「ご迷惑おかけしました。それじゃ」
平塚「ま、待て!私は諦めないぞ!」
八幡「……」
川崎「待ちなよ」
八幡「……」コツコツ
川崎「ま、また帰ってきなよ…泪橋に。折角…居場所、見つけたんだしさ」
いろは「そ、そうですよ先輩!あんなボロボロの町でもわたしみたいなキレイな花だって咲いてるんですよ?だからまた帰ってきてくださいよ!」
いろは「いじりがいのある人がいなくて…寂しいじゃないですか」
八幡「……」
八幡「あのな、この際だからハッキリ言っておく」
どうせもう合う事もないしな
いろは・川崎「……?」
八幡「そういうのやめろよ」
川崎「なっ…」
いろは「どういう意味ですか?」
八幡「思わせぶり態度だよ。ムカつくんだよいちいち」
昔からそうやって、俺は何度も何度も騙されてきたしな
八幡「大体、俺のような根暗で目つき悪い人間になぜ絡む?冷やかしにしか見えん」
八幡「どうせ対した意味もないクセに、お情けで俺に近寄るんじゃねぇよ。目障りなんだよ」
八幡「上っ面なだけの友好的な振りは止めてくれ。吐き気がする。友達でもないのに。はた迷惑だ」
いろは「なっ…な…」プルプル
川崎「あ、あんたねぇ…あたしはこれでもア、アンタを……」
いろは「な、なんですかそれ!わたしは心配してるんですよ!こんな美少女が先輩の心配を!そんな態度ないじゃないですか!」
うるさい黙れ、そういう態度や対応が俺の心をかき乱すのだ
今だってそうだ、あれだけのトラウマを抱えているのに
ほんの僅か、水の1滴分だけ期待している自分がいる
その1滴分が非常に重い
実に気持ち悪い。おぞましい。自己嫌悪に陥りそうだ
俺は自分が大好きだ。故に自身を否定したくない
だから同情なんてやめろ、自分が嫌いになりたくなる
八幡「……」コツコツ
小町「待ってよお兄ちゃん!これで終わりってそれは無いでしょ!?」
八幡「……」ピタッ
……なぜかコイツは、他人には思えないんだよな。なぜだろうか
八幡「悪いな…」
小町「ちょっと!」
留美「待ってよ八幡!」
八幡「おう留美。もう悪さするなよ」
留美「は、八幡に言われたくない!」
京華「はーちゃんドコ行くの?」
八幡「……遠いところに旅に出るんだ」
京華「……う、うん?」
結衣「あ、あの!!」
八幡「?」
結衣「えっと…その…この間はどうもありがとうございます。あたしの家は乾物屋をやっ」
八幡「……アンタ誰ですか」
結衣「え」
八幡「人違いじゃないですか?」
なぜか俺に礼を言う少女
もしかしてこの間、俺に二通目の手紙をよこして来た子か?一体、なぜを礼を
まあどうでもいいや、俺には関係ない
結衣「待って…!」
やめろ、勘違いするだろ。これ以上、俺に接近するな
なまじ美人だけに、既に心臓の鼓動が速くなってきている
監視員「さあ、護送車に乗るんだ」
八幡「……うす」コクッ
八幡「ん?」チラッ
雪乃「……」
ふと横を見ると、品の良さそうな少女二人が、傘をさしてコチラを見ていた
陽乃「わぁあ偶然!ねぇ見て見て雪乃ちゃん!ずっと前に乱闘起こした子だよ!」
雪乃「姉さん、やめなさい」
陽乃「かわいそう~本当は良い子だと思うのに~ね?雪乃ちゃん」
雪乃「姉さん!」
八幡「……」
ふん、何かと思えばあの乱闘騒ぎの時の野次馬共か
金持ち姉妹らしく、高みの見物でもしてたんだろうな
平塚「比企谷!また手紙を出すからな!しっかり読むんだぞ!」
八幡「……」
ガチャンッ
護送車の厚い扉が閉まる、中は真っ暗だ
目の前に何かいた気がするが、俺はその場で倒れ、ふて寝する
八幡「……」
俺が唯一守ってきた孤独と言う名の自由
これからその自由がきかない場所へ移動されてしまう…そう一年以上も
ハッキリ言って何もかもやる気が起きない
無気力状態って奴だ
……それに、さっきからずっと心がざわついている
自分に安っぽい同情を押し付けてきた、あの少女達と先生の声が言葉が、頭の中で響いている
どうせ思わせぶりな態度だと知っているのに
動揺している自分がイヤになる
「ふふ…はは…」
八幡「ん?」
ふと、顔を上げると奥でなにかでかいのがいるのがわかる
材木座「ハーッハハハハ!先に裁判を終え、待ちわびていたぞ!同士よ!」
八幡「……えと、確か名前は」
材木座「うむ、わが名は剣豪将軍!義輝だ!」
八幡「……寝よ」
材木座「あー待って待って!ちゃんと話すから!ね?お願い!僕、材木座義輝です!」
何だコイツ、鑑別所いたときと微妙に性格が違う
八幡「んで?鑑別所のときの仕返しでもする気か?」
材木座「そ、そうではない…」ガクガク
八幡「何を震えてる」
材木座「その…寂しくてな」
八幡「は?」
材木座「これからいく東光特等少年院は…」
材木座「まさに…地獄の中の地獄なのだ…」ガクガク
まあそりゃそうだろうよ、俺はただの鑑別所ですら殺されかけたんだしな
八幡「ま、自業自得だし、仕方ないんじゃないのか?」
材木座「なんでそんな冷静なのだ…」
八幡「……開き直るしかないじゃねぇか」
まあやることは同じだ。またやられたらやり返すまでだ
ただ俺が悔しいのは自由を奪われることだけだ
更新遅れてすいません
今日はここまで
すいません、アンケートをとりたいと思います。
今度の展開と『力石役の葉山』の生い立ちについてです
① 原作通り、既に有名ボクサー
客のヤジから謹慎処分、自棄になりチンピラとの乱闘で逮捕
② 学生アマチュアボクサー。世界大会でも優勝。卒業後はプロも目指している。
夏休みにボランティアとして、少年院にボクシングを教えに来る
原作通り、堕ちたエリートとして登場させるか、それとも葉山らしく普通のエリートして登場させるか悩んだので、意見が聞きたいです
因みに脱獄シーンは通常通りやります
それと、他にもし何か意見(原作と違うこんなシーンがみたいなど)があるなら聞きます
期間は深夜12時まで
アンケありがとう
投下まで少し時間かかるけど出来るだけ早く更新目指す
最後に一応、現時点での配役まとめ↓
・八幡=ジョー
・平塚先生=おっつぁん
・材木座=西
・結衣=紀ちゃん
・雪乃=葉子
・陽乃=葉子のお爺様
・川崎、一色、小町、留美、京華=ドヤ街の子供達
(まだ未登場)
・葉山=力石
・戸塚=青山
・ウルフ金串=?
・タイガー尾崎=?
・カーロス=?
・金竜飛=?
・ゴロマキ権藤=?
※『?』のキャラは、まだ配役が決定してません
原作通りにする知れないし、俺ガイルキャラで配役を決めるかもしれない
ホセは多分、配役無しで通すかも
報告
一ヵ月以上も放置して申し訳ない
遅れた理由は、私生活関連とSSの編集、掛け持ちSSを執筆してたからです
本SSの執筆進行はある程度の長さまで書き溜めしてます(投下できる分位には)
しかし下書き段階なので、まだ投下するにしては、お粗末過ぎるの内容(ほぼプロットに近い)なので…
もう少し編集してから改めて投下します
夏の暑い中、楽しみにしてくれてた方々、本当に申し訳ございませんでした
もし良ければもう少し待っててください
(東光特等少年院)
護送車に送られること数時間
そこらの刑務所の作りが適当に見えるほど、この施設は堅牢そうな物だった
収容人数は役300名らしく、俺と材木座は第六寮に収容される事に
材木座「……」ガクガク
八幡「……」
そして部屋に入りしばらく就寝しようとした矢先、先輩達が起きて不敵な笑みを浮かべコチラを見る
吉川「俺は吉川ってんだが…あだ名でゲリラとも呼ばれてる。おねんねする前に俺たちの質問に答えな」
ガイコツ「俺はガイコツと呼ばれてるんだけどよ、お前さんら、シャバで何やらかしてここへ来たのかね?」
吉川はこの部屋のリーダーっぽそうな男で、ガイコツというあだ名の男は髪が薄く文字通りやせ細っていてあまり強そうにはみえない
材木座「わ、我は、ラーメンの食い逃げを何度もして…」ガクガク
吉川「そっちの目つきが悪いのは?」
八幡「……パチ屋で窃盗、ヤクザと警察と乱闘」
吉川「ほぅ…大人しそうで意外にやる事は大胆だな」
モブ1「さて、そろそろお二人さんを寝かすか?」
吉川「おうそうだな。おい明かりを消せ。新入りさんが眩しくて寝れないといかん」
ガイコツ「じゃ、明かりを消すぜ」
八幡「……」
材木座「……」ガクガク
カチッ
吉川「いくぜ」
油断をしていた訳ではないが、不意をつかれる
ドス!ドガ!バキ!ドゴォ!
両腕両足をつかまれ身動きが取れなくされる、暗闇のさなか痛みが俺と材木座を襲う
(次の日・食堂)
材木座「き、昨日は酷い目にあったである…」
八幡「………ああ」
顔意外の体中がズタズタにされたまま、俺たちは食堂へくる
まあ前回の鑑別所と違って、監視員がいるから安心して飯が食えるのは幸いだ
ガイコツ「今日は午後から、葉山さんがボランティアに来る日だぜ」
吉川「楽しみだな」
モブ1「…ってことは、雪ノ下姉妹も来るのか!?」
モブ2「やったぜ!早く雪乃嬢に会いたいぜ!///」
モブ3「えー雪乃嬢は性格きっついからなぁ…やっぱ陽乃嬢だろ!//」
ガイコツ「まあ二人とも美人なのは変わりねぇぜ。楽しみだ」
吉川「葉山さんの講習に、雪ノ下姉妹による演劇ショー…1週間に1回の楽しみだ。もう俺たちの生きがいみたいなもんだな」
八幡「……?」
なんだ、その葉山さんの講習とやらは
講習でも色々あるだろうが、まさか坊さんの説教とかではあるまいな。それはないか
それと美人姉妹による演劇か…劇という事は他にも大勢来るのだろうな
八幡「ま、俺には関係ないか」
材木座「それで…八幡よ。本当にやるのだな」
八幡「ああ。んで、お前はどうなんだ」
材木座「我もチャンスがあるのならお共したいが、自信が無いのも事実…まあ成り行きにまかせるしかあるまい」
八幡「まあやるだけやってみるしかないな」
八幡「……脱獄」
【農場】
トラックで現場まで送られると、巨大な農園で開墾をさせられる
開墾を終えると監視員の指示で家畜小屋に移動する事に
俺と材木座は先輩に連れられて移動する
八幡「……痛っ」
先ほど感情的になりつい鉄条網を握ってしまい、そのときに手を傷つけてしまった。血が滲み、痛みが走る
材木座「八幡…」
八幡「ん?」
材木座「本当にやるのであるか?」
八幡「ああ」
こんな所で一年以上も自由を奪われてたまるか
~~
吉川「おら、こっちだぜ」
材木座「むむ…なんと酷い臭い…」
しばらく開墾作業をすると、先輩達によばれて家畜小屋まで案内される
想像していたがやはり臭い
吉川「おらしっかり歩けよ、目つき悪いの!」ゲシッ
八幡「っ…」
尻を蹴られて痛みが走る
昨日、散々リンチされてせいもあって余計に痛む
材木座「八幡よ…我との決闘では散々と暴れたのに、なぜそんなにも大人しいのだ」ヒソヒソ
八幡「暴れたら目立つ。それまでは大人しくするしかない」ヒソヒソ
モブ1「へへへ…」
モブ2「おお!おお!第六寮の新入りじゃねぇか!」
モブ3「ケケケ…たっぷり可愛がってやんな」
材木座「」
……嫌な予感しかしない
モブ4「おーい!葉山さんたちがボランティアに来たらしいぜ!」
モブ5「まじか!早く作業を終わらせようぜ!」
残念ながらその葉山さんとやらとは会わずに終わりそうだ
俺はこれから隙をついて脱獄をするからだ
【養豚場】
ブーー!!
ブギィィィ!!
八幡(でか。でか過ぎだろ)
ガイコツ「へへへ、ようお[ピザ]さん。お前さんのお仲間が沢山いるぜ」ポンポン
材木座「」
吉川「豚公のクソとションベンが、この真下にある。くせぇがこれが肥料となる」
吉川「よしオメェら、新入りを助けてやりな!」
モブ1「へへへ」ガシッ
モブ2「お二人さん楽しんできな!」ガシッ
材木座「な…何を…」
八幡「……」
モブ1・2「あらよっと!」ポイッ
バシャーッ!
八幡「うっ…」
先輩達に体を捕まれ、大きな豚のテリトリーである不衛生極まりない小屋の中へ投げ飛ばされる
そのなかは、糞と尿が混じったドロドロとした何か、豚のエサと思われる草、飛び交うハエでいっぱいだった
地獄以外に何物でもない
改めて養豚場で働いている人が凄いと感心した
モブ3「おら桶だ!しっかる肥料を取りな!」ポイッ
モブ4「おらおら!」ポイッ
材木座「あう!!」ガンッ
八幡「痛っ…」ガンッ
八幡「……」プルプル
ダメだ。落ち着け
脱獄する為にはここで暴れてはならない
今日はここまで
更新が遅れて申し訳ない
短いけど文章的にまともに出来上がってるのはここまでなので
今回はとりあえず、エタらないように投下しました
このSSまとめへのコメント
雪の下と由比ヶ浜と材木座と葉山の役は読めた!
葉子、紀ちゃん、西、力石だな。
戸部がカーロスやろか?
まさか、ハリマオ?
楽しみにしてる男が何人もいるぜ。
完結してくれよ。
真っ白になるまでな…
やっぱり2かな?葉山に暗い過去は似合わないよ。
あしたのジョーは20年以上前に読んだだけで
かなりうろ覚えだわ
原作買おうかな
なかなか焦らして暮れるな。
早く豚に乗った八幡が見たいぜ。
暑さでへばってんのか?
続き頼むぜ…へへっ…
更新されて嬉しいぜ。
必ず完結してくれよ。楽しみにしてる男が、ここに一人居るぜ。
頼むぜ続きを…( ノω-、)
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