アイリ「私の手をとって『足下にご注意くださいお姫様』って」
アイリ「ふふふ……本物の騎士様にエスコートされるのってドキドキしちゃうわ」ニコニコ
舞弥「……」
アイリ「セイバーでもああいう風な冗談言うのねえ」クス
舞弥「……」
アイリ「あっ、あと前にもセイバーが……」ニコ
舞弥「……」
舞弥「(主従百合……尊い…)」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1435240732
アイリ「この前セイバーに……」
舞弥「……」
舞弥「マダム」
アイリ「? なに? 舞弥さん」
舞弥「セイバーの事が好きなのですね」
アイリ「うーん……」
アイリ「……あなたも、そう思う?」
舞弥「と、いいますと? 貴女自身の感情なので私に判断は……」
アイリ「実を言うとねえ…………ここだけの話に出来る?」
舞弥「はい。他言はしません」
アイリ「ふふ。ありがとう」ニコ
アイリ「正直ね、私ももしかすると自分はセイバーの事が好きなんじゃないかって思っていたの」エヘ
舞弥「(かわいい)」
舞弥「それは……所謂、LOVEですね?」
アイリ「……そうね。不思議だけど、素直に認められるわ」
舞弥「……」
舞弥「(よっし!!!)」ガッツポ・・
アイリ「これって浮気になるのかしら?」
舞弥「難しいですね……」
舞弥「(正直、切嗣には悪いですが百合無罪は世界の必理。私は応援します)」
舞弥「お相手が男性ならともかく、あの英霊は女性ですしそれ以前に人間ですらありません」
アイリ「そう言わないで。セイバーも1個の人間よ」
アイリ「それに、それを言うなら私も人の枠から外れている存在だわ」ニコ
舞弥「……すみません。失言でした」
舞弥「ですがマダム。これだけは覚えていてください」
舞弥「私は貴女の味方です」
アイリ「ありがとう舞弥さん」
アイリ「この戦争が終わるまで私は生を許されている。だからその間は可能な限り楽しみたいの」
舞弥「はい。それは誰にも害されない貴女の権利ですから」
アイリ「でも……」
アイリ「……セイバーには内緒ね? 気を使わせたくないから」フフ
舞弥「……」
舞弥「(私にお任せください……)」グッ
ーー……
舞弥「……」
セイバー「おはようございます。舞弥」
舞弥「……」ペコ
セイバー「アイリスフィールを探しているのですが……」キョロ…
舞弥「……」
舞弥「気になりますか? セイバー」
セイバー「ええ、今はアイリスフィールの護衛を切嗣から言い任せられていますから」
舞弥「……それは、切嗣から与えられた役割だからですか?」
セイバー「質問の意味を計りかねます」
舞弥「……すみません。今のは忘れてください」
舞弥「(私としたことが焦りすぎました……これでは不振がられてしまう)」
セイバー「……確かに、彼女の護衛はマスターである切嗣の命です」
舞弥「…… セイバー「しかし」
舞弥「!」
セイバー「私個人の持つ感情として、アイリスフィールを護りたいという気持ちは本心です」
セイバー「私は、全身全霊を持って彼女の騎士として姫を護り通します」
舞弥「……ふっ」
舞弥「それが貴女の覚悟なのね……、わかったわ。今後もマダムを頼みます」
舞弥「……」
舞弥「(『姫』発言キターーーーーーー!!!)」パアァッ
舞弥、恋のキューピッド奮闘記(真剣)です。
切嗣は理解があるのでアイリの望むように、と暖かく見守ってくれます。
乙です。
舞弥「セイバー……貴女は生前、妻を娶っていましたよね」
セイバー「はい。それがなにか?」
舞弥「いえ、ただ男であると臣民を欺くための婚姻だったのかと思いまして」
セイバー「ええ。円卓の計らいですが、思惑はその通りです」
舞弥「……そう、ですか」
舞弥「(セイバーはノンケだということ… セイバー「しかし」
舞弥「!」
セイバー「円卓の薦めといえど、御身の性を秘匿するには独身を貫く事でもそれは同じ。敢えて女性を妻と迎え入れたのは、そこに私の意思が存在していたからです」
舞弥「つ、つまり……」
セイバー「私は、彼女を愛していました」
舞弥「!」
舞弥「百合騎士バンザーイ!!!(同性愛はこの国でも古くから認められています。武将でもかの有名な……)」
セイバー「ゆ、百合……どうかしたのですか舞弥?」
舞弥「え?」
舞弥「(この子……心を読む能力でも?)」クッ
舞弥「いや、今のは気にしないでください」
舞弥「セイバー、貴女は騎士としてこの上ない資質を持っているようですね」ニコ
セイバー「?」
セイバー「舞弥、貴女の笑顔を見るのは初めてですね。少し貴女という人間を知れた気がします」ニコ
舞弥「お互い様という事ですか。ふふ」
舞弥「この世界での貴女の姫君、そのお方とのアレやソレ。楽しみにしています」
セイバー「舞弥?」
舞弥「ふふ……」ユエツ
セイバー「……何か勘違いをしているようですが、私とアイリスフィールとの関係は護られる者と、護る者。それ以上でも以下でもありません」
舞弥「へ?」
舞弥「……っぷ。(は、吐き気が……)」オエェ…
舞弥「そ、それはどのような理由で?」
セイバー「私には、妻がいます」
舞弥「……」
セイバー「騎士とは忠義の道。そこに恋沙汰など以ての外」
舞弥「……」
セイバー「それにアイリスフィール自身、マスターである切嗣の妻。そのような御仁に恋慕を抱く事それ自体、不忠そのものです」
舞弥「……」
セイバー「確かに、彼女は女性としてとても魅力的だと思います…………舞弥?」
舞弥「……」
舞弥「(このような想いをするのなら、花や草木に生まれたかった……)」ウウゥ…
舞弥「(もう、何の望みもない……)」
舞弥「(死のう。囮となれば切嗣の役にもなろうというもの)」
セイバー「舞弥」
舞弥「(切嗣……此度の聖杯戦争、成功を草葉の陰から祈っています)」
セイバー「……」
舞弥「(最後にマダムの胸でも揉んで逝こうかな……)」
セイバー「……それに」
舞弥「?」
セイバー「私の感情ではなく、アイリスフィールがどう思うのかという事が……」プイ
舞弥「!」
舞弥「せ、セイバー……それって…」ゴク
セイバー「……この話は他言 舞弥「しません!!」
セイバー「……」
セイバー「先程も言った通り、アイリスフィールはとても魅力的な女性です」
セイバー「ですから……」
舞弥「……」ゴクリ
セイバー「私は…………不忠者です」カアァ
舞弥「!」
舞弥「人に生まれてよかったーーー!!!!!(セイバー、貴女の気持ちはわかります。しかしこの世で生きる時間も短い……さもあれば、この数日を…この時代の姫に捧げるのも良しと私は考えます)」ブブゼラ プップー!
舞弥「過去であろうが妻のいる身。他の女性に心を傾ける事は妻に対しての裏切り……不道理でしょう」
舞弥「騎士として、主君の妻を愛してしまった背徳の関係……それも不道理」
舞弥「ですが、セイバー……聞いてください…」
セイバー「……」
舞弥「人が人を愛する。それ自体を悪などと誰が言えましょうか」
セイバー「……舞弥」
舞弥「貴女はアイリスフィールを愛していて、アイリスフィールもまた……セイバー、貴女を愛している」
舞弥「大切なのはそこなのです。貴女は残り数日で元の世界に戻り、アイリスフィールも刻を同じくしてその姿を聖杯へと変え……個人としての彼女は消えてしまう」
舞弥「ならば残された僅かな時を……どうか、自身の心胸に正直になってみてはどうですか」
セイバー「……」
舞弥「それに言ったでしょう? 私は、貴女の味方だって」フッ セイバー「あの、舞弥」
セイバー「アイリスフィールが私を愛しているというのはどういう事ですか?」
舞弥「ふぇ?」キョトン
舞弥「え、ええとそれは……」
セイバー「それは?」
舞弥「……マダムには、秘匿を命じられていたのですが」
セイバー「そう……ですか、つまり」
舞弥「はい。あえて二度とは申しませんが」
セイバー「……」
舞弥「……」
セイバー「アイリスフィールに、私の想念は伝えないでください」
舞弥「セイバー……」
セイバー「意図せず一方的に彼女の想いを知ってしまい、これでは五分ではないが仕方ない」
セイバー「ギネヴィアがランスロットに靡いてしまった事を私は責められない。男として彼女を満たしてやる事が出来ず、戦ばかりでその心にも構ってやれなかった」
セイバー「ギネヴィアにしてやれなかった事をアイリスフィールにするのは、それはアイリスフィールに対して不誠実であり、ギネヴィアに対しての贖罪にもなり得ない。ただ自らの悔いを刪削したいが為の自己満足に他ならない」
舞弥「セイバー、あの」
セイバー「いいのです。私はこの想いを持って過去へと消えよう……アイリスフィールと出逢えた事が、僥倖です」
舞弥「いや後ろ、後ろ後ろっ」
セイバー「ん?」クルッ
アイリ「そう、そんな事を考えていたのね」ニコ
セイバー「あ、アイリスフィール!?」
舞弥「マダム……」
舞弥「(それはそれとしてランスロットめ……もし聖杯戦争に出てきたら真っ先にヘッドショットをお見舞いしてやろう)」
アイリ「嬉しいわ、セイバー」
セイバー「アイリスフィール……しかし、私は」
アイリ「ええ、わかっているわ。貴女の立場も、貫くべき道も」
アイリ「ただ、貴女の気持ちが嬉しいの。私にはそれだけで十分だわ」ニコ
セイバー「……はい。同様に、私の心も貴女に愛されているという事実に満たされています」
アイリ「好きよ、セイバー」
セイバー「私もです。アイリスフィール」
舞弥「(尊い……)」ウルッ
アイリ「じゃあ……エスコート、お願いしようかしら」フフ
セイバー「喜んで……」
スタ、スタ…
舞弥「……」
舞弥「二人は幸せなキスをして終了のはずでは???」
舞弥「今のタイミングでせずにいつするのか……」
舞弥「しかし、良いものを見た」
舞弥「精神のみでの繋がりも美しいが、私としては愛し合う二人も見たい……」
舞弥「それにしても絵になりますねあの二人は……」ウンウン
舞弥「媚薬香を焚いておいて……」
舞弥「……理由を付けて二人を同衾させて」ウムウム
舞弥「使い魔に取り付けてあるCCDでさっきの映像は撮れている。これで当分はネタに困らない」
舞弥「……」
舞弥「トイレで精神統一してこよう……」
本日はここまでです。
もうちょっとだけ続くんじゃ。
乙です。
ーー……
切嗣「……そういう事なら舞弥、この件は君に一任するよ」
舞弥「いいんですか?」
切嗣「ああ。僕はアイリの気持ちを尊重したいからね」
切嗣「こう言っては難だが、彼女に残された時間も僅かだ。アイリのしたいようにするといい」
舞弥「切嗣……貴方が理解ある夫で良かった」
切嗣「夫である前に彼女の幸せを願う一個人だよ。相手が他の男となったらそれは嫌だけど、セイバーなら丁度いい。デコイであるアイリの警護にも身が入るだろうしね」
舞弥「それでは早速、様子を見てきます」
切嗣「二人にはまだ仕事があるんだ。ハメを外し過ぎないように注視してほしい」
舞弥「了解です」
舞弥「……」
舞弥「(”アイリ×セイバーのラブラブちゅっちゅ作戦”、開始ですっ!)」シュバッ!
舞弥「……」チラッ
アイリ「きゃっ」
ガシッ
セイバー「大丈夫ですか? アイリスフィール」
アイリ「え、ええ……」カアァ
舞弥「(初っ端からイチャラブキターー!!)」
アイリ「セイバー……」
セイバー「……アイリスフィー… ケイネス「おや、思いがけず標的と遭遇し 舞弥「起源弾っ!!」バシュッ!
ケイネス「ぐわぁーっ!!?」
バキュン バキュン!
ケイネス「」シーン
舞弥「……」フゥ
舞弥「いらぬ邪魔が入るところでした。百合イチャの邪魔はさせるなと切嗣も言っていたような気がしますし、周りに被害も出さなかった。後で褒めてもらいましょう」
アイリ「セイバー……」
セイバー「アイリス、フィール……」
舞弥「(よしっ、よし! そこです! 今ですセイバーっ!!)」キュンキュン
アイリ「……」ドキ、ドキ
セイバー「……」ゴク
綺礼「アインツベルンの 舞弥「起源弾っ!!」バシュン!
時臣「おや、 舞弥「起源弾っ!!」バシュン!
龍之介「旦那ぁ! 舞弥「起源弾っ!!」バシュン!
舞弥「起源弾っ!!」 雁夜「ぐわぁーっ!?」
舞弥「はあっ、はぁっ、次から次へと……」
舞弥「しかし、これで大分静かに……」チラッ
アイリ「っ……ん」
セイバー「……っ」
チュー
舞弥「大事な瞬間を見逃してしまった!!?」グハァッ!?
舞弥「な、なんて事だ……その瞬間を見逃すまいと、24時間観察してきたのに…」ウウゥ…
アイリ「……」カァ
セイバー「……この往来は人が少ないといえど誰に見られるともしれません。いきましょう」カァ
舞弥「セイバー、無理して平常心を取り繕うとして……可愛いではないですか」フフフ
舞弥「生では拝めなかったですが、使い魔は録画したいるはず……それを後で拝聴いたしましょう…」フゥ…
舞弥「こうなると、後は切嗣公認である事を明かすべきか……」フゥム
舞弥「明かして、障害が無くなった二人も見てみたいし……」
舞弥「明かさずに、背徳感でドキドキしながらの百合も捨て難い……」ウーン
舞弥「悩みますね……さて、どうしましょうか」
舞弥「……いや、明かさないままだとあの二人のことです。きっと一定のラインで落ち着いてしまうはず(名推理)」
舞弥「となると、教えてあげるが世のため百合のため」
ーー……
セイバー「切嗣が?」
舞弥「はい」
ーー……
アイリ「……そう」
舞弥「はい」
ーー……
舞弥「もうこれで二人の進展を阻むものはありません。後はムード作りを……」
ーー……
セイバー「……アイリスフィール」
ギュッ
アイリ「だ、だめよセイバー……」カアァ
舞弥「(満更でもない感が異常ですよマダム。これは押せ押せですセイバー)」
チュッ…
舞弥「(キターーーーー!!!)」パアァッ!
舞弥「(布ずれの音が生々しい……)」
舞弥「(あぁ、いきなりそんな……)」
舞弥「(これは……中々…)」
舞弥「(シーツがあんなに……)」ゴクリ
舞弥「(音がっ、振動がっ!)」
舞弥「……」
舞弥「……」
ーー……
舞弥「……良い、ものを見ました」
舞弥「しかし、こうなると二人の行く末が気になります……」
舞弥「マダムも健在で、セイバーもこの時代に残る……そんな夢みたいな話…」
舞弥「……」
舞弥「いやいや、一度聖杯になったマダムを復活させるなんて……」
舞弥「……アレの力ならそれも、可能?」
舞弥「……」
舞弥「私の、望む……私が考える理想の百合世界の構築…」
舞弥「……まさか、まさかですよね」
舞弥「……」
舞弥「…………」
舞弥「聖杯をこの手にっ!!」グッ
ーー……10年後
イリヤ「せ、セイバー」
セイバー「はい? どうしましたイリヤ」ニコ
イリヤ「あっ、あのね」
イリヤ「……そ、その…」カアァ
アイリ「桜ちゃんもどうぞ」ニコ
桜「はっ、はい!」カァッ
切嗣「……舞弥。これで良かったのかな」
舞弥「争いは全く無く、切嗣が望んでいた世界平和も実現しました」
切嗣「……うん、そうだね」
切嗣「……たぶん、僕では叶えられなかった。そんな気がするよ。だから今では君で良かったと思う」
舞弥「ありがとうございます」
舞弥「……」チラ
セイバー「良い子ですねイリヤスフィールは……」ニコ
イリヤ「えへへぇ……」テレ
アイリ「はい、あーんっ」
桜「あ、あー……ん」パク
アイリ「セイバーも、あーんっ」
セイバー「……ん」パクリ
セイバー「やはり、アイリスフィールの料理はどれも美味しいですね」
アイリ「ありがとう。セイバー」フフ
切嗣「……最近は、なんだか僕も舞弥の言いたい事がわかってきた気がするよ」
舞弥「流石です、切嗣」
舞弥「……」
舞弥「……百合って、本当に…素晴らしいものですね」ニコッ
<完>
アイリとセイバーが幸せそうでなにより。
乙です。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません