三蔵法師「ブッダファック!」(28)

(前回までのあらすじ:ゲイのサディストであるブッダに命じられ、インドまでエンシェント・マントラ・ブックを取りに行くことになったロードボンズ・サンゾ。バイオゴリラのマジックモンキー、バイオブタのハカイ、バイオカッパのゴージョを連れてインドを目指す彼らに、ダークロード・ブラザー、ゴールドホーンドとシルバーアントラーが立ち塞がり・・・・・・。)

水墨画めいたモノトーンの山々が連なり、その下を海のごとく流れる重酸性スモッグ。それらを見下ろすように聳え立つ威圧的な山門の前に幾らかの人影。1

人影を数えること、おおよそ6名。そのうち四人はロードボンズたるサンゾが率いるブッダ聖戦士の一行である。では、残り二人は?2

一人は金色の一本角を生やしたニンジャである。サイケデリックな装束が彼の異質な気迫を際立たせる。もう一人は落ち着いた深青色の装束を纏ったニンジャ。彼の頭には銀色の鹿角が二本生えていた。3

サンゾは油断無きブディストの目でニンジャらを観察する。彼等は見事な宝具を背負っている。剣にヒョウタン・・・・・・。明らかにブッダら、天界の住人が所持しているような見事な品物だ。彼等はただのヨーカイではない。4

「ドーモ、はじめまして。ゴールドホーンドです」「ドーモ、シルバーアントラーです」二人のニンジャが先手を打ってアイサツをしてきた!アイサツは実際大事であり、これを返さぬままイクサを始めようものならば、礼儀知らずとして三千世界からムラハチにされてしまう。ムラハチとは陰湿な社会的リンチである。コワイ!5

マジックモンキーはハカイに目配せし、アイサツするよう促す。ハカイは応じ、二人に向かって奥ゆかしくアイサツをした。「ドーモ、ゴールドホーンド=サン。シルバーアントラー=サン。ハカイです」古来から伝わる礼儀として、いくら憎い相手と言えど敬称である「=サン」をつけねばならない。「礼儀を知らない奴は恥ずかしい」とは、古代中国の哲学戦士、孫子の言葉だ。

その時である!ハカイの体はまるでつきたてのモチめいて柔軟に収縮!ゴールドホーンドの背にあるヒョウタンに吸い込まれたではないか!「アイエエエエ・・・・・・!」ハカイの情けない悲鳴もまたヒョウタンに吸い込まれ、フェードアウトする。ゴールドホーンドは嗜虐的な笑みを浮かべた。7

「フォハハハハ!このヒョウタンはな、アイサツを返した相手を吸い込むシロモノよ!」「中に吸い込まれた相手は、アンタイニンジャ溶解液で徐々に溶けて死ぬって寸法よ!」ゴールドホーンドとシルバーアントラーが勝ち誇るように交互に話す。「ザッケンナコラー!卑怯だろドグサレッガー!」紅潮したゴージョがキョウゾクスラングを交えて異議申し立てをするも、とうのニンジャ兄弟から返ってくるのは嘲笑のみ!8

「卑怯?アンブッシュも無い、アイサツ途中の攻撃でもない。実際これは古代中国の作法に則ったイクサだぜ。なあシルバーアントラー=サン」「兄ちゃんの言う通りだ。むしろアイサツ直後の戦闘体勢に移れないあのバイオブタに責任がある。それをお前、卑怯だ?チャルワレッケオラー!」周囲のバイオバンブーを揺るがす程の怒声!この場に無辜のネオシイアン市民がいたら、恐怖のあまり失禁発狂死しただろう!現にモータルであるサンゾは持ち前のブディズム精神により発狂こそ免れたものの、失禁している。

しかしサンゾは凛としてニンジャ兄弟から目を逸らさない!モータルと言えど、ロード位階を授かったバトルボンズとしての自負、そして長年に渡るボンシャン・カラテ修練がサンゾを支えているのだ。マジックモンキーもまた、六本腕を掲げてドラミング威嚇行為を開始しようとしている。精神的なイクサの火蓋は既に切られているのだ!10

だが、思い出してほしい。イクサにおいてアイサツは必要不可欠。さりとて、アイサツすればヒョウタンに吸い込まれ、やがて溶解液により溶かされ死亡する。そして、ニンジャ兄弟は先手を打ちアイサツを済ませている!ALAS!これはニンジャ兄弟による狡猾なフーリンカザン!サンゾもゴージョも、それを承知済である。11

だが、「待ちすぎてウサギが死んだ」と言うコトワザもある。サンゾとゴージョは決断的にアイサツの姿勢に移行!「ドーモ、ゴールドホーンド=サン。シルバーアントラー=サン。サンゾです」「ドーモ、ゴージョです」そしてコンマ領域下で二人はカラテ姿勢をとり、飛びかかる!「イヤーッ!」「セイヤッサーボンジャン!」サンゾが力を入れ、地を踏み抜く!12

サンゾの周囲に衝撃波が発生!これぞボンジャン・カラテ奥義、拒否のハンマー!ニンジャ兄弟は体勢を崩し、ヒョウタンの吸い込みが遅れる!「ヌウーッ!」唸るゴールドホーンドへゴージョが鋭いインターラプト!狙いは・・・・・・ヒョウタン!

ゴージョのミズカキ・ケリ!ゴールドホーンドは崩れた体制のまま鞭めいてしなるケリを放つ!「イヤーッ!」相殺!だがゴージョは蹴られた勢いを利用し空中半回転!四つん這いの姿勢で着地!背中目掛け飛び掛かるゴールドホーンド!しかしゴージョは、左手と左足に力を込め、半身を撥ね飛ばす。そのままの勢いでゴールドホーンドの脇腹を蹴り飛ばしたのだ!「グワーッ!」これぞ暗黒カラテ奥義、メイアルーア・ジ・コンパッソ!14

しかし、ヒョウタン健在也!サンゾがカラテを構える!しかしシルバーアントラーがサンゾに迫る。「ボンジャンハイ!」サンゾのボン・パンチ!しかしシルバーアントラーは難なく回避!その銀に輝く鹿角でサンゾの体をしゃくり上げる!「ンアーッ!」サンゾの体が宙を舞い、地面に叩きつけられた。彼女のバストが衝撃で揺れる!それは豊満であった。15

「サンゾ=サン!」ゴージョが地に伏したサンゾを見る!だが彼は気を逸らすべきではなかった!蹴り飛ばした筈のゴールドホーンドから!ゴールドホーンドもまた、蹴られた勢いを利用し空中半回転!蹲踞姿勢着地し猛然とゴージョへ接近!「イヤーッ!」接近に気がついたゴージョはミズカキ・マワシゲリを放つ。だがそれは悪手なのだ!16

マワシゲリはゴールドホーンドの頭があった空間を掠める!あとコンマ下一秒速ければ首を撥ね飛ばせただろう。だがその僅かな瞬間ですらイクサでさ生死を別つ。ゴールドホーンドはゴージョの数インチ手前で静止、身を沈め・・・・・・瞬間的加速!背面でゴージョの体を弾き飛ばす!暗黒カラテ奥義、ボディーチェック!17

「グワーッ!」ゴージョは弾き飛ばされ、サンゾの横へまろびこむ。ここまでの時間。僅か五秒!そしてヒョウタンは無慈悲に二人を吸い込んだのだ。おお、ブッダよ!まだ貴方は寝ているのですか!「フハハ!あと一匹か。あのバイオゴリラが片付いたらサンゾ=サンをファック&サヨナラしてくれる!」「兄ちゃん!サヨナラ&ファックも捨てがたいぜ!」「ならファック&サヨナラ&ファックだ!」「涼しいだぜ兄ちゃん!」ナムアミダブツ!なんたる冒涜的会話か!18

バイオゴリラ、すなわちマジックモンキーはただ黙って見ていた。ジャングルでは蛮勇など自殺行為。二人のカラテを通じ敵を見極めていたのだ。味方が捕まろうと直ぐに助け出せばいい。仮に死んだならば、それまで。自然界では弱いやつから死んでいく。バイオゴリラである彼のミーミーに刻み込まれた絶対的な掟である。19

「さあ、アイサツするんだバイオゴリラ!」ゴールドホーンドが凄む!しかしマジックモンキーは「イヨォーッ!」アナヤ!彼はシャウトを挙げ六本腕で殴りかかる!ゴールドホーンド紙一重回避!「アイサツしない!?」「やはり猿か!」兄弟が毒づく。マジックモンキーは知性を得たバイオゴリラ。ニンジャでも、ましてや人間ですらない。彼に自然界以外のルールは通用しないのだ!20

【YOKAISLAYER】

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