――――音ノ木坂学院:音楽室にて
カタン
真姫「ふぅ……たまにはこうして、一人でピアノを弾くのも悪く無いわね……」
真姫(入学した頃は、それが当たり前だったんだけどね……)
パチパチパチ
真姫「――っ!?」
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ことり「あ――ごめん、邪魔しちゃったかな……?」
真姫「なんだ、ことりだったの……べ、別に?邪魔なんかじゃないけど――ていうかいつから?」
ことり「う~んと……三曲くらい前からかな?」
真姫(全然気づかなかったわ……)
ことり「凛ちゃん達に真姫ちゃんならここに居るって聞いて……」
真姫「ええ、今日は練習も無いし、たまにはピアノでも弾こうかと思って――そういうことりは?」
ことり「う、うん……実は真姫ちゃんにお願いしたいことがあって……」
真姫「お願いしたいこと……?」
ことり「実はね――」
真姫「……?」
ことり「あのね……詩(うた)を作るのを手伝ってほしいの!」
真姫「えっ!?」
ことり「……」////
真姫「どうしたのよ突然……っていうか詩(うた)って、作詞のこと?
ことり「う、うん……」
真姫「それなら私じゃなくて海未に聞いた方が……」
ことり「ううん、海未ちゃんには聞けないの、だって――」モジッ
真姫「……?」
ことり「だって、作りたいのは海未ちゃんに向けた詩だから……」////
真姫「――!海未に……?」
ことり「うん……実はね……」キョロキョロ
真姫「…………場所、変える?」
ことり「へ?う、うん……」
真姫「あら、別にいいじゃない?元バイト先なんだし、慣れた所の方がいいかなって思って」ストン
ことり「それはそうなんだけどぉ~」ストン
真姫「あ、スミマセン、とりあえずハーブティー二つで」
メイド「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
真姫「……ここのブレンドティー、結構気に入ってるのよね~。あの時ニコちゃんと一緒に飲まされたジュースも美味しかったけど」ジトッ
ことり「根に持たれてるっ!?」
真姫「――――とまあ、冗談はここまでにしといて……」
ことり「へ?――冗談?」キョトン
真姫「そうよ……ことりってば、私でも分かるくらいガチガチだったから、緊張を解そうと思って」
ことり「な、なぁんだ~」ホッ
真姫「……自分で言うのもなんだけど、私に気を遣われるなんて相当よ?――ま、それを抜きにしても……」
ことり「しても……?」
真姫「……なるべく知り合いに聞かれたくない話なんじゃないの?ココなら誰かに会うこと無いと思うけど?」
ことり「う、うん……実はね――」
真姫「――――そっか、とうとう海未に気持ちを伝える事にしたんだ?」
ことり「『とうとう』って――」
真姫「……まぁ、何となくね。他にも気付いてる子、いるんじゃないかしら?」
ことり「そう……なんだ……」
真姫(まぁ、肝心の海未本人は気づいているのかどうなのかわからないけどね……)
真姫「――で、直接気持ちを伝える勇気が無いから、想いを詩に込めて伝えたい……と」
ことり「……なんだか今日の真姫ちゃん、エスパーみたいだね……」
真姫「そう?結構当てずっぽうなんだけど……」
ことり「心を読まれてるんじゃないかと思う位に当たってるよぉ……」
真姫「……どうせなら曲をつけて歌にして贈るのはどう?」
ことり「曲かぁ~でもそれじゃ真姫ちゃんの負担が……」
真姫「大丈夫よ♪この間新曲出したばかりだから、しばらくμ’sの作曲する予定も無いし」
ことり「じゃあ……お願い出来るなら……」
真姫「了解」ニコッ
ことり「真姫ちゃん、ありがとう♪」パアァ
真姫「…………参考までに聞きたいんだけど、どうして想いを伝えようと決心できたの?」
ことり「――!」
真姫「――っ!ゴメン、言いにくいなら別に……」
ことり「あ、ううん。そういうわけじゃないんだけど……」
真姫「……」
ことり「……」
ことり「……海未ちゃんはね、小さい頃からことりの王子様だったの」
真姫「王子様?」
ことり「うん。勉強も出来て、運動も出来て……いつも先頭を走る穂乃果ちゃんのフォローをしつつ、必死についていこうとする私への気配りも忘れない……格好良い王子様♪」
真姫「私の中では皆にいじられてるイメージが強いんだけど……あとは特訓の鬼?」
ことり「反応が素直だからねぇ~海未ちゃん。でもそれって、何にでも真剣に向き合っている証拠だと思うんだ」
真姫「物は言いようね……」
ことり「そうかな?」
真姫「それとも、長い付き合いだからこそ分かる魅力なのかしら?」
ことり「…………でもね、そんな海未ちゃんの姿を、ことりはずっと側で見て来たんだけど、最近海未ちゃんが遠く感じるの……」
真姫「遠く……?」
ことり「――――スクールアイドルを始めて、海未ちゃん宛にファンの人から沢山のメッセージが届くようになって、改めて気付いたんだ……『海未ちゃんの格好良さを知ってるのは私だけじゃないんだ』って……」
真姫「……」
ことり「『気づいた』っていうのは間違いかな?気づかないふりをしてきたの、ずっと。……当たり前だよね、海未ちゃんの魅力にことり以外の人が気づかないはず無いし、アイドルとして活動していれば尚更……」
真姫「あなたもアイドルでしょうに……」
ことり「そうなんだけどね……あっ!別にアイドルが嫌になった訳じゃないよ?ことりも楽しませてもらってるし。ただ――」
真姫「ただ……?」
ことり「…………気付いてほしい。海未ちゃんのすぐ近くにも、これだけ海未ちゃんのことを想っている娘がいるって事を、ただ気付いていほしいだけなの……」ウルッ
真姫「ことり……」
ことり「…………でも、そうやって嫉妬に駆られて一方的に想いを伝えることって、海未ちゃんに迷惑をかけちゃうことになるんだよね」
真姫「――!」
ことり「きっとことりが想いを伝えたら、海未ちゃんを困らせちゃう。ことりを傷つけないようにって、海未ちゃんを悩ませることになっちゃう…………ごめん真姫ちゃん、やっぱりこの話は――――」
ガシッ
真姫「ダメ!」
ことり「ま、真姫ちゃん!?」
真姫「……そうやって一人で抱え込んじゃうの、ことりの悪い癖よ?」
ことり「で、でも――」
真姫「想いを伝える事が悪い事……だなんて、そんな悲しい事言わないの!そんなこと言ったら……ずっとその想いを胸に抱えていかなくちゃいけなくなる……そんなの、辛すぎる――」
ことり「真姫ちゃん……」
真姫「だから想いを伝えるって決心したなら、気兼ねなく伝えるの!それで困らせたとしても、惚れさせた海未の方が悪いんだからっ!」
ことり「ええっ!?そ、それはさすがに……」
真姫「ま、まぁ海未が悪いってのは言い過ぎかもしれないけど、それでも『こっちを惚れさせた責任』くらい取ってもらわないと!……ね?」パチン
ことり「――そうだね、真姫ちゃんの言うとおりかもしれない。ありがとう。少し気持ちが楽なったかも♪」ニコッ
真姫「そう思ってくれたなら何よりだわ」
真姫「そもそも無自覚に魅力を振りまき過ぎなのよね……こっちがそっちの一挙手一投足にどれだけ――」ブツブツ
ことり「真姫ちゃん……?」
真姫「あ、ううん――何でもない!」
ことり「……?」
真姫「……それにしても、ことりが作詞だなんてWonder zoneの時を思い出すわね」
ことり「う、うん……あの時は『気持ちをそのまま歌に』って穂乃果ちゃんがアドバイスしてくれたから、今回もそうしてみたんだけど……」
真姫「一人だと中々うまくいかなくて……?」
ことり「アハハ……そうなの……」
真姫「――で、海未の次に作詞に詳しそうな私に相談してきたと……」
真姫(確かに海未と歌詞の推敲する事も多いしね……ことりとは、衣装の方向性だけ確認したら別作業になることが多いし……)
ことり「う~ん、確かに半分はそれが理由かな……?」
真姫「半分……?もう半分は?」
ことり「『伝えたくても伝えられない気持ち』……真姫ちゃんなら、わかってくれるかなって思って――」チラッ
真姫「なっ!何のことかしらっ!?」////
ことり「真姫ちゃんはぁ、『惚れさせた責任』は誰にとってもらうの?」
真姫「~~ッ!?私の事はいいから!時間も惜しいし、始めるわよっ!」////
ことり「フフフ♪はぁ~い」
真姫「じゃあとりあえず、今出来てる所まで見せてみて。持ってきてるんでしょ?」
ことり「う、うん……」カサッ
真姫「どれどれ……」
ことり「……」////
真姫「……」ジー
ことり「真姫ちゃん……?」
真姫「……うん、良いと思う。ことりの素直な気持ちが現れてるわ」
ことり「あ、ありがとう」パアァ
真姫「そうね……どうせならもう少し韻を踏んだ表現も入れてみる?私もその方がメロディー作りやすいし」
ことり「韻を踏む……?」
真姫「うん。例えばね――」
――――数日後の朝:音ノ木坂学院:弓道場にて
ガラッ
ことり「失礼します」
海未「ことり……?どうかしたのですか?」
ことり「海未ちゃんならここで一人で朝練中って聞いたから……お邪魔じゃないかな?」
海未「いえ、丁度区切りがついたところでしたから……」
ことり「そっか……」チラッ
ことり「今日も皆中……やっぱり海未ちゃんは凄いね♪」
海未「鍛錬は嘘をつきませんから……それより、私に何か用事ですか?」
ことり「うん、あのね……」モジモジ
海未「ことり……?」
ことり「じ、実は、海未ちゃんに聞いてほしい曲があって――」
海未「曲……ですか?」キョトン
ことり「うん。真姫ちゃんにお願いして、もう録音まで済んでいるの。このプレーヤーに入ってるから……」スッ
海未「それは……ずいぶんと気が早いのですね」
ことり「あとこれ、歌詞……ことりが作ったんだ……」カサッ
海未「ことりが歌詞を!?何か新しい参加イベントでもあるのですか?それともまたゲリラライブでも――?言ってくだされば衣装係のことりに負担をかけないようにしましたのに……」
ことり「ううん、そうじゃなくて……μ’sは関係ないの」
海未「そう……なのですか?」
ことり「うん……ただ海未ちゃんに聞いてほしくて――」////
海未「私に……?」
ことり「と、とにかく聞いてみて!」
海未「ことりがそう言うのでしたら……曲名は『Anemone heart』ですか……」ピッ
ことり「……」ドキドキ
海未「……」
ことり「……」
海未「――!」
海未「……」ピピッ
ことり「――――聴き……終わった?」
海未「はい……」
ことり「……」
海未「……」
ことり「…………」
海未「…………ことり、この曲ですが――」
キーンコーンカーンコーン
海未「あっ――!」
ことり「――チャ、チャイムだねっ!?い、急がないと遅刻しちゃうよっ!」ガタタッ
海未「こ、ことりっ!?ちょ――」
ことり「さ、先行ってるね~っ!!」ピューッ
海未「ことり……」
――――更に数日後の放課後:音ノ木坂学院廊下にて
真姫「ダメじゃない…………ダメじゃない」ハァァ
ことり「に、二回言わなくてもぉ~」ヘナヘナ
真姫「いや、そこまで行っておいて肝心の――ああもうっ!そんな泣きそうな顔しないのっ!」
ことり「ううぅ~っ」グスン
真姫「……それで?結局この数日、海未から何の返事も貰えなかったの?」
ことり「う、うん……どうにもタイミングが合わなくて……海未ちゃん、最近は部活の後もすぐに帰っちゃうし……」
真姫「そっか……」
ことり「――でも、その気になればいくらでも二人きりになれる機会は有ったし、電話で話そうと思えば出来たんだよね……」
真姫「ことり……」
ことり「それをしなかったのは、ことりに勇気が無かったから――もし断られて、今の関係が壊れちゃったら?――そんなことばかり考えちゃって……」
真姫「……」
ことり「でも決めたのっ!今日こそ、海未ちゃんときちんとお話するっ!」
真姫「そっか……ちゃんと自分一人で決心できたのね」
ことり「うん!これまで真姫ちゃんが相談に乗ってくれたおかげだよっ♪」
真姫「そうねぇ~お返しは何がいいかしら?」
ことり「あ、じゃあ今度トマトを使ったスイーツでも――」
真姫「……なんだか私、トマト出しとけば満足するって思われてないかしら?」
ことり「でも好きでしょ?トマト♪」
真姫「まぁ……ね」////
ことり「フフッ、じゃあその話はまた今度にして……真姫ちゃん、最後にお願い!海未ちゃんと二人きりになれるように協力してくれる?」
真姫「そうね♪――――と、思ったけど、その必要は無いみたいよ?」クイッ
ことり「え?――あっ!」
海未「…………」
ことり「海未……ちゃん……」
真姫「じゃあ私、先行ってるわね~」ヒラヒラ
ことり「あ、真姫ちゃ――」
海未「ことりっ!!」
ことり「ひゃいっ!」ビクッ
海未「あの……この前ことりが作った曲の事なんですが……」
ことり「う、うん……」ドキドキ
海未「……」
ことり「……」
海未「…………ダメですね、私は。スクールアイドルを初めて、少しは度胸が身に付いたかと思いましたが、やはりここ一番という時は――震えてしまいます……」フルフル
ことり「海未ちゃん……?」
海未「まず、これを受け取ってほしいんです……」スッ
ことり「赤い……アネモネの花?」
海未「はい。さすがに季節外れで生花が用意できなかったので、私が造花で作ったコサージュなんですが……」
ことり「海未ちゃんの手作り!?」
海未「ことりが私に聴いてほしいと作詞までしてくれたんです。それに応えるには、これくらいしないと……」
ことり「じゃあこれが……」
海未「…………これが、私の正直な気持ちです。受け取ってもらえますか?ことり……」////
ことり「~~っ!うん、モチロンだよ!!」////
海未「そうですか……そういう経緯であの歌を……」
ことり「うん……でも良かったぁ♪この間は、逃げるように弓道場出て行っちゃったから、海未ちゃんにキチンと想いが伝わってないかもって思ってて……」
海未「あの時は確かに驚きましたが……その程度でことりの気持ちを察せない程、私は鈍くありませんよ?」
ことり「そっかぁ♪」
海未「……想いを言葉にする代わりに歌を贈って、返事を言葉にする代わりに花を贈って――――なんだか似た者同士なのかもしれないですね、私達……」
ことり「そんなっ!?だって海未ちゃんは小さい頃から何でも出来るし、真面目で公平公正で――ことりなんかとは全然違うよっ!!」
海未「……ことりは私を完璧超人かなにかと思っているみたいですが、それは違います」
ことり「でもぉ……」
海未「もし――勉学やスポーツの事を指しているのでしたら、それは――ことりのおかげです」
ことり「私の……?」
海未「……私が厳しい鍛錬や難しい勉学に励むことが出来たのも、全て『ことりに幻滅されたくない』という思いがあったからなのですよ?」
ことり「えっ!?そう……なの?」
海未「はい。ことりときたら、私が何かしら良い成績を残す度に、やれ『凄い』だの『流石』だの一心に褒め称えてくるのですから、幼心にも頑張らずに入られなかったんですっ!!」////
ことり「そ、そうだったんだぁ~」////
海未「それに――――私がこれまでラブソングを作らなかったのだって……」
ことり「それは……海未ちゃんに恋愛経験がないからじゃ?」キョトン
海未「そ、それもあるのですがっ!」////
ことり「う、うんっ――」
海未「……歌の中だとはいえ、ことりに『誰かを想う歌』を歌ってほしくなかったからなんですっ!私、結構嫉妬深いんですっ!!」////
ことり「海未ちゃん……」////
海未「とにかくっ!私は決して完璧なんかじゃありません。だから私の事を持ち上げる必要はありませんし、ことりも自分の事を卑下しないで下さい。でないと――」
ことり「……でないと?」
海未「…………私のす――好きな人の事をそのように低く言われてしまうと、悲しくなってしまいます」////
ことり「海未ちゃん、今『好き』って――」パアァ
海未「わ、私ばかりズルいです!ことりもほらっ!」////
ことり「う、うん…………海未ちゃん、大好き♪」////
ギュッ
海未「~~ッ!?は、ハレンチですっ!!」////
ことり「ええ~っ、海未ちゃんが言ったんだよぉ~?」
海未「そ、それはそうなのですが……というか、抱きついていいとまで入ってません!」
ことり「ええ~っ、じゃあいつなら抱きついていいの?」
海未「それは――もっとお付き合いを重ねてから……」
ことり「もう十数年来の付き合いだよ?」
海未「それはそうですが!もっとこう……節度というものを持たないと……」
ことり「はぁ~い」スッ
海未(ほっ……これでは心臓がいくつ合っても足りません)
海未「……そういえばことり、相談なのですが」
ことり「相談?……なぁに?」
海未「良かったら、二人でこの花を付けて歌って頂けないでしょうか?」
ことり「二人で……?」
海未「はい……二人で……」
ことり「う、うん。ことりは構わないけど……でもどうして?」
海未「折角真姫にいい曲を作ってもらいましたし、何より……初めての恋に苦しんでたのは、ことりだけではない――ですから」////
ことり「――!海未ちゃん」////
ギュッ
海未「~~ッ!?ああもうっ、近いです!そんなに見つめないで下さい!さっきからまるで穂乃果の好きな少女漫画のようではないですかっ!!」////
ことり「海未ちゃんが格好良いのが悪いんだよぉ~」
海未「私のせいなんですか!?」
ことり「そうだよ~」グリグリ
海未「んもうっ!ことり!!」
ことり「フフフ♪」
ことり(海未ちゃんは『私の事持ち上げるな』って言ったけど、やっぱり今も昔も、海未ちゃんはことりの王子様だよ♪)
ことり「……そういえば、ことり達の事、μ’sの皆には話した方がいいのかなぁ?相談に乗ってくれた真姫ちゃんには報告しなくちゃいけないけど……」
海未「ああ、それでしたらあともう一人にも――」
ことり「もう一人……?」
――――同時刻:アイドル研究部部室
ガチャッ
真姫「あら、にこちゃん一人?」
にこ「……そうよ」
真姫「ふ~ん」カタン
にこ「……」
真姫「……」
にこ「……」
真姫「ねぇ、にこちゃん……」
にこ「なによ……」
真姫「……もしかしてにこちゃん、海未の相談に乗ってたりした?」
にこ「…………どうしてそう思うの?」
真姫「さっき海未が部室の方から出てきたから、もしかしてって思っただけ……」
にこ「…………まぁね――って言っても、ショップの案内をしたくらいだけど。『にこなら手作りアクセサリーにも詳しいかと思いまして』……って聞かれてね」
真姫「ふ~ん……優しいんだ?」
にこ「ま、部員の面倒を見るのは部長の務めだからね、当然よ!……そういうあんたはことりの相談に乗ってたの?」
真姫「うん……一曲、曲を書いたくらいだけど……」
にこ「『書いたくらい』って軽く言うけど、作曲って結構手間かかるもんなんじゃないの?」
真姫「かからない――って言ったら嘘になるけど、好きだからね……音楽」
にこ「ふ~ん……」
真姫(好き……か――)
真姫「ねえにこちゃん、『赤い』アネモネの花言葉って知ってる?」
にこ「花言葉?……知らないけど、何なの?」
真姫「……ウチってほら、病院だからお見舞いに色んなお花が届くじゃない?小さい頃にちょっと興味があって花言葉の本を読んで調べたりしてたんだけど……」
にこ「もったいぶらずに教えなさいよ」
真姫「――――『君を愛す』よ」
おわり
以上です。
何とか劇場版上映までに間に合いました!
今回はラブライブ!で一番好きなカップリングでかかせていただきました。
ライブで中の人達が付けていた花の色も赤だったことから思いついた作品になります。
劇場版もこの二人の仲の良い様子が見られれば幸いです!
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