男「台風だなぁ」幼馴染「そ、そうだね」(66)

男「こんな日に限って、なぁ」

幼「そ、そうだよね」

男「よりにもよって、お互いの両親が旅行に出かけてる日に」

男「台風直撃なんて、なぁ?」

幼「見事に直撃だねぇ」

幼「…飛行機、明日も全便欠航だって」

男「まぁ、オヤジ達の事だ」

男「旅行が一日延びたーとか言ってそう」

幼「ふふ。そうだね、言ってるかもね」

幼「あ、台風速報!」

幼「…今、暴風域に入ったって」

男「今まで入ってなかったのかよ!って位、外、風つえぇ!」

男「こりゃ、今夜は停電するかもなー」

幼「えー」

男「こればっかりは、どうにもならないさ」

幼「…えー」

男「…」

幼「…お」

男「ん?」

幼「お、男が怖いって言うんなら…」

幼「と、泊まっていってあげてもいいんだけど?」

男「ぷふっ」

幼「な、何よ?」

男「怖いのは幼の方だろ?」

幼「ち、違うわよっ!」

男「高校生にもなって、台風が怖いんだろー?」

幼「違うっ!別にこんなの、大雨と変わらないじゃないっ」

男「わかったわかった」

幼「わかってない!私は怖くなんてないんだからねっ?」

男「もう、外はかなり風も強いし」

男「隣とは言え、一人で歩かせるのも怖いしな」

幼「そ、そうよね。何が飛んでくるか、わからないもんね」

男「それに、俺も停電は怖い!」

幼「!」

男「だから、幼さん。今日ウチに泊まっていってください」

幼「ま、まったく!し、仕方ないわねー」

幼「男はいつまでたっても子供なんだから!」

幼「私が善人で良かったわね、男!」

男「…本当に、なぁ」

男「あー、泊まるんなら、先に風呂入ってこいよ、幼」

幼「えっ?」

男「ウチ、オール電化だから、停電したらお風呂入れないぞ」

幼「そ、そうだよね。まぁウチもそうだけど」

男「あ!でも着替え!着替えがないか…」

幼「あ!あの…実は…」

男「ん?何?」

幼「おばさんの部屋に、私の着替えが…あるのよ」

男「は?」

幼「ウチのお母さんと、おばさんから言われてね?」

男「…何を?」

幼「いざ!って時の為に、着替えを置いておけって」

男「へぇ…準備が役に立って良かったな、幼」

幼「う、うん。あはは。転ばぬ先の杖だよねっ」

幼「…ふぅ。台風サマサマーだなぁ」

幼「まさかこんな展開になるなんてね…」

幼「…でも、これはチャンスですよ、チャンス」

幼「18年間、進展の無かった私達への…」

幼「天からの応援メッセージですよっ」

幼「はー、しかし良い湯だなぁ」

幼「…」

幼「セッガール拳法、だーいさーくれーつ♪」

幼「ラッスボスーさえも一瞬だー♪」

幼「『でも、ラブロマンスだけは勘弁な!』」

幼「セッガール、セッガール!無敵のセガール!」

幼「セガーーーーール、音頭っ♪」

男「おーーーい、幼ーーーーっ」

幼「ひゃ!な、なにっ?おとこっ?」

男「この後、俺も入るんだから、なるべく早くなー」

幼「あ、わかったわよっ」

男「あと、タオル、ここに置いておくからなー」

幼「あ、ありがと、男」

幼「…」

幼「…さっきの、聞かれてないわよね?」

幼「っていうか、ちょろっと覗きに来るくらいしなさいよっ」

幼「いっつでも大丈夫なように、ピッカピカに磨いてるんだけどなぁ…」

幼「…はぁ、そろそろ上がろっ」




男「やべー」

男「幼の脱ぎたての下着とか、ヤバすぎるだろ」

男「洗濯カゴじゃなくて、洗濯機に入れとけってんだ…」

男「可愛いの履いてるんだなぁ…」

男「変な歌、歌ってたな」

男「幼、セガールが好きなのか。初めて知ったこの事実」

男「ま、俺も大好きなんだけど」

幼「ふいー。先にお風呂頂きましたー」

男「はいよ、麦茶」

幼「あ、ありがとう、気がきくねぇ、男」

男「褒めてもアイスくらいしか出ねぇよ」

幼「え?アイス出るの?やったー!」

男「冷凍庫に入ってるから、好きなの一つ食べてろよ」

男「次、俺、風呂入ってくっから」

幼「はいはーい」

男「…さっきまでここに、全裸の幼が…」

男「これは意識せざるを得ない!」

男「いつものウチの風呂なのに…」

男「心無しか、いい匂いがするような気がする不思議!」

男「それにこのお湯…」

男「信じられるか?さっきまで幼が入ってたんだぜ?」

男「やっべー。俺のテンション超やべー!」




男「…ふぅ。良い湯だった」

幼「あ、男。待ってたんだよー」

男「ん?どうした?何を待ってたんだ?」

幼「アイス、一緒に食べようと思ってね」ニコ

男「…俺のライフポイントはゼロだ!」

男「もう止めたげてー」

男「かわいそうやわー」

幼「どうしたの、男。何をぶつぶつ言ってるの?」

男「…何でもない。アイス食べるか!」

幼「おー!私、オレンジシャーベットね!」

男「幼、それ好きだもんな」

幼「男は、レモンシャーベット…でしょ?」

男「な、なぜバレた!まさか超能力?」

幼「ふふっ。付き合い長いですからねー」

男「さ、食べよう!」




幼「ゴミ箱に捨ててきたー」

男「ありがと、幼」

幼「さて。ご飯も済んだし、お風呂も入ったし、アイスも食べた」

男「うん」

幼「…あとは…?」

男「テレビテレビっと」

幼「えー。何かお話しとかしようよー」

男「いや、台風情報見ようかと思ってさ」

幼「なるほど!地デジバンザイだよね!」

男「データボタン、ポチっとな」

男「…」

幼「…ねぇ、これって」

男「あぁ、これって直撃コースだなぁ」

男「しかも、この台風、おっそいな!」

幼「ね、これ、明日学校休みかな?」

男「まぁそうなるだろうなー」

男「電車も止まるだろうし」

幼「何か、テンションが変な方向に!!」

男「おいおい。もうそろそろ寝る時間だぞ?」

幼「えー。もうちょっと起きてようよー」

男「…ま、たまには良いか」

幼「やった!何する?何する?」

男「dvdでも見る?」

幼「えー?dvd?何の?」

男「沈黙の聖戦」

幼「!」

幼「はぁ…セガール、超カッコよかった!」

男「超カッコイイよな。男の中の男だぜ!」

幼「無敵って言葉はセガールの為にある言葉だよねっ」

男「完全に同意する!セガールこそ、無敵の男だ!」

幼「ふふっ」

男「ははっ」

男「あー、もう本当にそろそろ寝ないとな」

男「明日…っていうか、もう日付的には今日だけど」

男「もし学校だったら、完全アウトだな」

幼「その時はその時だよ!一緒に遅刻しよう!」

男「そうだな、ははは」

幼「…それじゃ、そろそろ、ね、寝る?」

男「ん。寝るか!」

男「客間に布団敷くから…」

幼「えっ?」

男「えっ?」

幼「…」

男「…幼さん?」

幼「やだ!」

男「え?」

幼「停電怖いし!一人で寝るのやだ!」

男「えー。そこはちょっと我慢してもらわないとー」

幼「男の部屋で布団敷いて寝る!」

男「えー。それはちょっとー」

幼「何よ、何か問題あるの?」

男「そりゃ、あるだろ」

幼「何?私の事、そういう目で見るって言うの?」

幼「このダイナマイトボディを目の前に、ケダモノになっちゃう?」

男「アホか。小学生みたいな体型のくせに。何がダイナマイトだ」

幼「その事実、今は聞きたくなかった!」

男「…でもまぁ、停電したら不便だし」

男「俺の部屋で寝るか」

幼「…うんっ」





男(我慢っ!我慢っ!)

幼(男、来るかな?来るかな?)

男「さぁ、布団敷いたぞ」

幼「ありがと、男」

男「それじゃ、寝るか!」

幼「う、うん。あ、豆球だけは付けておいてね」

男「あいよー。それじゃお休み、幼」

幼「おやすみ、男」




男「…」

幼「…男、起きてる?」

男「…」

幼「…せが~る、アクションっ!」

男「ぷっ」

幼「やっぱり起きてたんだね、男」

男「急に変な事言うなよ、幼」

幼「ちょっとお話ししようよー」

幼「全然眠れないー」

男「まぁ、俺も風の音がうるさくて眠れないから、良いけど」

男「何の話しするー?」

幼「んー。そういえば、私、来月誕生日だよー?」

男「そだね。ちゃんと覚えてるよ」

男「何か欲しい物とかある?」

幼「えー。そこは察してよー」

幼「誕生日当日にサプライズでしょ?」

男「そうは言ってもなぁ」

男「幼、欲しいものは大体自分で買うじゃん」

幼「まぁねぇ」

男「俺からセンス悪いカバンとかもらっても、扱いに困るだろ?」

幼「それもそうね」

男「去年は…手帳をプレゼントしたんだよな」

幼「良い手帳をありがとうございました」

男「あれも、幼が手帳買おうかなーって言ってたから、先に買えたんだ」

男「今年はどうする?」

幼「うーん。正直、欲しいもの、一つあるんだけどなー」

男「お?何?俺が買えそうな物?」

男「さすがに船一隻とか言われたら困るけどな」

幼「うーん、値段はつけられないものだよー」

幼「ズバリ!プライスレス!」

男「むー?なぞなぞ?」

幼「なぞなぞじゃないけどね」

男「なんだよ、もったいぶらずに、言えよ」

幼「その…私、18歳になるんだよ?」

男「あぁ、18歳だなぁ」

幼「…」

男「…」

幼「…」

男「…何?永遠の17歳が欲しいとか、そう言うの?」

幼「違うよバカっ!」

男「なんだよ、怒鳴るなよ」

幼「わからない?」

男「…まぁ一つだけ、心当たりがあるっちゃあ、あるな」

幼「マジで!?」

男「正解かどうかは、半々くらいだけどな」

幼「…さてどうでしょう」

男「答え合わせは、来月の幼の誕生日で良いかな?」

幼「…今日、でも良いよ?」

男「幼…」

幼「男…」


バツンっ

幼「きゃあああああああああ!停電だぁぁぁぁぁ!」

幼「暗い!怖い!きゃあああああああ!」

男「お、落ち着け、幼!暴れるな!」

幼「男!どこ!?どこっ!?」

男「携帯のライトで…」

幼「うわぁぁぁぁん」
ゴトッ

男「あ、携帯床に落ちたか…」

幼「男ぉ…どこー…うわぁぁぁぁん」

男「幼、落ち着け!俺はこっちだ!」

幼「男っ」
ゴンッ!

男「」バタッ

幼「いたっ!」

幼「頭打った…痛い…クラクラする…」バタッ

男「…朝か」

男「いや、周囲が暗いだけで、もう昼前だ」

幼「むにゃむにゃ…」

男「…まさか、頭突き食らって気絶とはな」

男「昭和のラブコメか!」

幼「…男、うるさいぃ」

男「おい、起きろ、幼。もう昼だぞ?」

幼「んんー?なにがー?」

男「いい加減、俺のベットから出ろよ、幼」

幼「あとちょっと良いじゃんかぁ…」

幼「たんじょうびだしぃ…」

男「お前の18の誕生日は来月だ、バカモノ!」
ビシッ!

幼「あいたっ!」

男「…おはよう、幼」

幼「…おはよう、男」

男「…」

幼「!!!!!」

幼「な、な、なんで男が私の部屋に居るのよっ!」

男「落ち着け、周りをよく見ろ」

幼「あれ?ここ、男の部屋?」

男「そうだ。その通り!」

幼「あっ!そうか、昨日泊まったんだ…」

男「良かった、記憶喪失とかじゃなくて」

幼「ねぇ」

男「ん?」

幼「…答え合わせ、してないわよね?」

男「してないなぁ」

幼「来月、楽しみにしてるからね?」

男「俺もだよ、幼」

男「さて、電気は復旧してるかな?」

幼「…」

男「停電、復旧してないな」

男「あ!やばい!」

幼「な、何が?」

男「冷蔵庫の中身が!」

幼「!」

男「急げ、幼!食べ物を…食べ物を救うんだ!」

幼「了解っ!」
バタバタ

男「少なくともアイスだけは…溶ける前に食べるんだ!」
バタバタ

1ヶ月後
男「台風だなぁ」

幼「そ、そうだね」

男「今年は台風の当たり年だなぁ」

幼「本当にね」

男「しかもオヤジ達がそろって出張中になぁ」

幼「あの4人、何か持ってるよねー」

男「ははは、嵐を呼ぶ力とか?」

幼「ふふっ。そんな感じっ」

男「風、強くなってきたなぁ」

男「せっかくの幼の誕生日なのになぁ」

幼「そ、そうだねぇ」

男「こんな強風の中、幼を外に放り出す訳には…いかないよなぁ」

幼「そ、そうね。わかってるじゃない、男」

男「夜中に停電したら、怖いしなぁ」

幼「て、停電は怖いし、困るわよね」

男「そんな訳で、幼、今日ウチに泊まっていってよ」

幼「し、仕方ないわねぇ、男は」

男「ヘタレですみませんねぇ」




男・幼(こ、今夜こそは…)



おわり

これでおわりです
読んでくれた人ありがとう

皆様、台風には十分警戒してお過ごしください

次スレは
男「俺、ずっと前から幼馴染の事が…」幼馴染「いいわよ」
ってタイトルで立てたいと思います

では。

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