海馬「トイレに紙がないだと!?」 (28)

海馬「何故だ!何故トイレに紙が無い!」

海馬「紙が無くなったら新しく補充するのがトイレのルールではないのか!?」

海馬「クソッ…便器の周りにも紙らしきものが無い…」

海馬「おのれぇ…こんなことなら会場のトイレなど使うのではなかった…」

海馬「ここで大規模なデュエル大会を開くためにやって来たというのに…」

海馬「主催者の俺がこんな無様な醜態を…屈辱だ」

海馬「どうする…早くしないと開会式が始まってしまう…」

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海馬「止むを得ん…こうなったら磯野に頼むしかない」

ピゥポッパッ

磯野『はい、磯野です』

海馬「磯野か?俺だ!」

磯野『瀬人様?どうかされましたか?』

海馬「大至急紙を持ってトイレに来い!」

磯野『えっ?』

海馬「トイレの紙が無いと言ったんだ!何度も言わせるな、急いで持ってこい!場所は第三エリアのトイレだ!」

磯野『か、かしこまりました!』

ガチャ

海馬「よし、これで一先ず紙の用意はなんとかなった」

海馬「しかしまさかこの俺が腹を壊すとは…冷たいものは食すべきではないな」

ガチャ

海馬(!?誰か入ってきた!?)

王様「ヤバイって!早く入らないと!」アタフタ

遊戯(もう一人の僕、落ち着いて!)

海馬(この声…遊戯か!?)

バタン

ブリュ!!!!ブリュミチミチィ!!!!ブリュ!!!!ミチミチュリュリュリュ!!!!ブリュブリュ!!!ミチミチミチミチィ!!!!!ビチャビチャビチャビチャ!!!

海馬(くっ…なんて下品な音だ!)

王様「ふぅ~…何とか間に合った、すっきりしたZE☆」

遊戯(出したなら早く戻ろうよ、みんな待ってるよ)

王様「わかってる、今拭くからさ」

海馬(遊戯…奴も用を足しにここへ来たのか)

海馬(しかしこの俺を差し置いて一人でトイレから出るつもりか…)

海馬(この俺が今苦渋の思いをしているというのに…遊戯めぇ…)

王様「うわあああああああああああああああああああ!!!!!」

海馬(!?)

王様「紙がぁ…紙があああああああああああああああああ!!!!!」

遊戯(落ち着いてよもう一人の僕!)

王様「落ち着いていられるか!紙が無いんだぞ!」

王様「このままじゃ外にもでれないぜ!どうするんだよ相棒!?」

遊戯(僕に聞かれても…)

海馬(紙が…ないだと?)

海馬「フフフフフ…」

王様「!?」

海馬「せっかく用を足したのに紙が無いとは随分無様だな遊戯…」

王様「この声…海馬か!?」

遊戯(えっ、海馬君?)

海馬「どんな気分だ?ケツを拭けなくて外にまともに出れない状態は?」

海馬「さぞかし屈辱的だろうな…、そのままズボンを履いて外に出てもいいんだぞ?誰も困らんからな」

王様「海馬…何でお前がここにいるんだ?」

海馬「愚問だな、俺も用を足しに来たに決まっている」

王様「そうだ!海馬、お前のところにもトイレットペーパーがあるはずだ!」

王様「それを俺にくれないか?」

海馬「ふぅん…そんなものがあるはずないだろ、仮にあったとしても貴様には渡さん」

王様「海馬…貴様ァ!」

王様「…ん?ちょっと待て、今紙が無いといったよな」

王様「つまりお前も俺と同じ状況ということか?」

海馬「……………」

王様「なんか言えよ」

海馬「ふぅん…だからどうした?」

海馬「確かに今は紙が無くてここで座っている状態だ、だがな…」

海馬「もうすぐ磯野が俺のところに紙を持ってきてくれる、そうすれば俺はこの状態からおさらばだ」

海馬「そして貴様は情けなくそこで座り続けるのだ遊戯!」

王様「くっ…」

海馬「さて、俺としては早くこの場から消えたいな…臭いがきつ過ぎる」

王様(まずい…このままじゃ…俺はトイレからでることはできない…)

王様(紙らしきものも持ってない…ダメだ…俺はここでずっと座り続けるのか?)

遊戯(諦めないで!もう一人の僕!)

王様(相棒?)

遊戯(僕にいい考えがあるよ!)

王様(いい考え?)

数分後

ガチャ

磯野「瀬人様!紙を持ってきました!」

磯野「急だったので簡単なものしか手に入りませんでしたが…」

海馬「いいぞ磯野!急いで俺のところに持って来い!」

磯野「わかりまし…」

ガチャ

磯野「ん?」

王様「マインドクラッシュ!」

ピキピキパリーン!

磯野「」

ドサリ

王様「よし!」

海馬「磯野?どうした磯野!?何があった!?」

王様「悪いな海馬、紙は俺が貰っておくぜ」

海馬「何!?」

王様「早く拭かないと…ってこれポケットティッシュじゃないか」

王様「足りるかな?とりあえず拭こう」フキフキ

海馬「やめろ!遊戯、俺の紙を返せェ!」

王様「あっ、すまない海馬…」

海馬「ん?」

王様「もう紙は…ない」

海馬「な…何ィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!?」

ジャアアアアアアアアアアアアアア

王様「ふぅ…何とかなった…」

海馬「返せ!俺の紙を返せェ!」

王様「安心しろ、俺が代わりに持ってきてやる」

海馬「ふざけるなァ!誰が貴様なんぞに助けられるものか!」

海馬「貴様に助けられるくらいならここで座っているほうがよほどマシだ!」

王様「そうか…なら俺はそろそろ戻るぜ、じゃあな海馬」

海馬「何!?」

遊戯(うまくいってよかったね!)

王様「だがちょっとやりすぎじゃないか?」

遊戯(でもああしないとでれなかったでしょ?)

王様「まあな!」

アハハハハハハハハハ!

海馬「クッソオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

海馬(おのれ遊戯…おのれ…おのれぇ…)

海馬(くっ…遊戯の復讐は後で考えるとして…まずはこの状況をなんとかするしかない…)

海馬(だがどうする?今呼んでも間に合うかどうか…もうすぐ開会式が始まってしまう…)

海馬(主催者権限によりいくらでも伸ばすことができるが、そんなことしたら俺の信用が落ちる)

海馬(何よりこの俺が紙が無くてトイレに閉じこもっていたとばれたら、間違いなく笑いものだ!)

海馬(クソッ…何か紙になるものは無いのか!?)

海馬(ハンカチ…ダメだ)

海馬(財布は…くっ、全部カードだ、これからは現金も持ち歩くとするか…)

海馬(うぅ…なんということだ!紙らしきものがまったく無い!)

海馬(このままでは俺は…本気で永遠にトイレに閉じこもることになってしまう)

海馬(こうなったら誰かに連絡に…)

カチャ

海馬「ん?これは…」

海馬「俺の…デッキ?」

海馬(デッキ…カード…)

海馬(カードは…紙!)

海馬(いや待て…俺の魂のデッキをこんな粗末に扱ってもいいのか!?)

海馬(だが今紙はこれしかない…これを使わないとこのまま座り続けることになる)

海馬(しかしカードでケツを拭くなどとデュエリスト失格…そんなことが許されるのか!?)

海馬(…いや、背に腹は変えられん!俺はこの状況を脱出しなければならんのだ!)

海馬(カードなど腐るほどある!べつに今臭くなろうが関係なかろう!)

海馬(俺は何とかしてこの状況から脱出する!たとえカードを犠牲にしてまでも!)

カチャ

青眼の白龍「」

海馬「ブルーアイズ…」

海馬「ダメだ…いくらなんでもこれだけは許さん、俺の魂を粗末に扱うようなことは俺自身が絶対に許さん!」

海馬「もっと別のカードは無いのか?」

青き眼の乙女「」

海馬「問題外だ!ほかのカードは…」

ブラッド・ヴォルス「」

海馬「ブラッド・ヴォルス…」

海馬「最近使ってないからいいか」

フキフキフキフキフキフキフキフキフキフキフキフキフキ

海馬「だめだ、まだ足りん…」

闇・道化師のサギー「」

海馬「ああ、あったなこんなカード」

フキフキフキフキフキフキフキフキフキフキフキフキ

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―――――
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ジャアアアアアアアアア

「磯野…おい起きろ磯野!」

磯野「うっ…んん?」

海馬「しっかりしろと言ったのだ磯野!」

磯野「せ…瀬人様…一体何が?私は…」

海馬「お前はここで気を失っていたんだ」

磯野「そうですか…はっ、そうだ!紙は!?」

海馬「その心配はもう大丈夫だ、全て終わった」

海馬「そう…終わったのだ」

磯野「そ、そうですか…それはよかった」

海馬(20枚も使ってしまった…まあまた新しく用意すればいい話だ)

海馬「さて、行くぞ磯野…」

磯野「はい!」



王様「おっ、海馬じゃないか」

海馬「ふん…遊戯か」

城之内「よう海馬、その様子だと紙はもう手に入れたみたいだな」

海馬「何!?」

本田「しかしまさかあの海馬が紙が無くてトイレに引きこもっていたなんてな!」

杏子「こら二人とも!あんまり大きな声で言わないでよ!海馬がかわいそうじゃないの!」

海馬「き、貴様ら…何故それを知っているんだ…?」

海馬「まさか遊戯!?」

王様「そのまさかだぜ!」

海馬「うっ…うぁ…」ワナワナ

海馬「うわああああああああああああああああ!!!」パリーン

王様「おいおい、マインドクラッシュしてないのに心がクラッシュしちまったぜ」

城之内「なっさけねぇな海馬!」

「アハハハハハハハハハ!!!!!」

海馬「ぁ…ぁぁ…」

海馬は痛感した、自分の情けなさと罪深さに

海馬は経験した、紙が無いという崖っぷちの状況に

海馬は反省した、もう二度とあの過ちを繰り返さないと…

そして海馬はあの日を境に海馬コーポレーションはカード部門だけでなくトイレ部門も設立した

海馬はあの屈辱をばねにしてトイレ部門の責任者となり、神を使う必要が無い理想のトイレを作り上げた

もう誰も紙が無いという理由で苦しむ必要が無い、そんな最高なトイレを作ることにした

そして時は流れ数十年後

ジャアアアアアアアアアアア

ジャック「ふぅ…やはりこのトイレは使い勝手はいい、紙を使う必要が無いからな」

遊星「ああ、モーメントを利用して紙が無くても尻の洗浄を行えるようになっているからな」

クロウ「しかも紙を使うときより綺麗にできるってスゲェよな!」

遊星「これも海馬コーポレーションのおかげだ、海馬コーポレーションがこれを作ったから俺たちは満足に用を足せる」

ジャック「だな」

海馬の強い鉄の意志によって完璧なトイレが作られ、世界は平和になった

もう誰も紙が無いという理由で悲しむ必要は無い、閉じこもって苦しむ必要が無い

世界のトイレ事情はこうして解決したのだ、もうカードを使って拭くことも無いだろう

トイレでみんなに笑顔を…

終わり

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