【艦これ】清霜は戦艦になった (29)
私は清霜。
とうとう私は戦艦になった。
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【注意】
※グロシーン有り
※話が意味不明
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ある日、私は戦場で大腿部に被弾した。
大腿部に装備した魚雷が誘爆し、
両足を吹き飛ばした。
腰から下がグチャグチャだった。
誰が見ても、もう助からない状態だった。
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そんな死にぞこないの私をかかえて、
武蔵さんは全速力で撤退していた。
清霜 「私を捨てて……」
清霜 「先に行って…… 下さい……」
清霜 「もう、助からない……」
武蔵 「喋るな」
武蔵 「任せろ」 ニコッ
武蔵さんは短く言った。
清霜 (大好きな武蔵さんに抱かれて死ぬなら……)
清霜 (悪くないかも……)
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ドンッ
物凄い衝撃のあと、
武蔵さんは動きを止めた。
ゆっくりと速度が落ちて、
やがて止まった。
そして、
まるで赤子を抱くように私をかかえたまま、
ゆっくりと膝を付いた。
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清霜 「武蔵さん!!!」
あの武蔵さんが膝を付くなんて、
私は想像できなかった。
清霜 「あ…… あ……」
武蔵さんが少し笑ったように見えた。
そして、
武蔵さんの鼻と口から、
滝のように血が流れ出した。
武蔵さんの後頭部に、
敵戦艦の主砲が直撃した。
砲弾は頭部装甲を貫通し、
ミキサーの様に
頭部の機関を破壊した。
清霜 「あ…… あ……」 ポロポロ
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武蔵さんが、つぶやいた。
武蔵 「今度は……」
武蔵 「一緒に帰ろう……」
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気付くと私は光あふれる部屋にいた。
清霜 (私…… 轟沈したのかな……)
清霜 (でも…… ここ……)
清霜 (見覚えがある……)
武蔵さんが向かいにいた。
少し戸惑っているようだった。
武蔵さんは私に気付くと
近づいてきた。
そして、私を抱きしめた。
清霜 (あ、思い出した……)
清霜 (近代化改修だ……)
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気付くと私は海に戻っていた。
違和感があった。
水面を見ると、
武蔵さんの顔があった。
私は武蔵さんになっていた。
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その後、私は援軍と合流し、
鎮守府に帰った。
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瀕死の艦娘二人が一体になる現象は、
全く前例が無いそうで、
私は精密検査を受けた。
しかし、詳しい理由は分からなかった。
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工廠技官 「近代化改修と似た現象が起きて」
工廠技官 「武蔵さんの船体と」
工廠技官 「清霜さんの頭部機関が統合された……」
工廠技官 「と、推測しますが」
工廠技官 「それ以上は分かりません」
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人類にとって艦娘はブラックボックスに近く
分かっていることは、ほとんど無いそうだ。
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私は戦艦になった。
でも、全然、嬉しくなかった。
武蔵さんと引き換えだったからだ。
私は会わなくてはいけない人がいた。
大和さんだ。
私は意を決して、
大和さんに会いに行った。
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清霜 「大和さん」
清霜 「大和さんの大切な妹さんの……」
清霜 「武蔵さんの代わりに……」
清霜 「私が……」
清霜 「武蔵さんのお体を借りて……」
清霜 「生きて…… 帰ってきて……」
清霜 「すみません…… ずびばぜんでした……」 ポロポロ
清霜 「ずびばぜん…… ずびばぜん……」 ポロポロ
大和さんは私を抱きしめた。
大和 「あなたが」
大和 「生きて帰れて良かった……」
大和 「悲しくないと言ったら嘘になるわ」
大和 「でも」
大和 「武蔵も私も」
大和 「戦場で轟沈する覚悟は」
大和 「していたから……」
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清霜 「私は」
清霜 「戦艦に憧れていました」
清霜 「凄い馬力」
清霜 「大きい船体」
清霜 「大口径の大砲」
清霜 「でも」
清霜 「本当は違いました……」
清霜 「戦艦の体になったら気付きました……」
清霜 「武蔵さんは」
清霜 「捨てて当然の」
清霜 「死にぞこないの駆逐艦を」
清霜 「自分の危険を顧みず」
清霜 「助けようとしてくれました……」
清霜 「本当に憧れていたのは……」
清霜 「武蔵さんの」
清霜 「大きい心だったんです……」 ポロポロ
清霜 「ウワーーーーーン」
私は号泣した。
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大和 「あの子は……」
大和 「武蔵は、少し変わっていたというか……」
大和 「大雑把というか……」
大和 「ウフフ」
大和 「細かいことには、こだわらない子だった」
大和 「多分、自分の心が轟沈したことは」
大和 「気にしてないわ」
大和 「清霜ちゃんが助かったら」
大和 「それで良いって」
大和 「思ってる」
清霜 「うう……」
清霜 「武蔵さん……」
清霜 「やっぱり心が大きいです……」
清霜 「……」
清霜 「大き過ぎますーーーーー!!!」 ビエーーーーーン
大和 (慰めるつもりだったけど……)
大和 (逆効果だったかしら……)
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大和 「そういえば……」
大和 「武蔵は、時々……」
大和 「清霜ちゃんのことを話していた」
大和 「前世でお世話になったって」
大和 「今度は私が守るって」
大和 「そして」
大和 「一緒に帰るって」
大和 「武蔵は」
大和 「清霜ちゃんの心を助けられて」
大和 「体だけでも一緒に帰れて」
大和 「とても喜んでいると思うわ」
清霜 「うう……」
清霜 「武蔵さん……」
清霜 「……」
清霜 「武蔵さんは」
清霜 「あの時」
清霜 「『今度は一緒に帰ろう』って」
清霜 「言ってくれました……」
清霜 「こんな私に……」
清霜 「……」
清霜 「やっぱり武蔵さんが生きて帰るべきでしたーーーーー!!!」 ビエーーーーーン
清霜 「私なんか、私なんかがーーーーー!!!」 ビエーーーーーン
大和 (慰めるつもりだったけど……)
大和 (どんどん泥沼にハマッているかしら……)
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大和 「ウフフ」
大和 「武蔵は、時々……」
大和 「私と二人きりの時に」
大和 「私に甘えていたわ」
大和 「私が膝枕して……」
大和 「ナデナデして……」
大和 「清霜ちゃん!」
大和 「来て!」
大和 「膝枕!」
大和 「慰めてあげる」
大和さんは私に膝枕をしてくれた。
清霜 「あ……」
清霜 「とても懐かしい気分です」
清霜 「前にも膝枕をしてもらった感じがします……」
大和 「武蔵の心が」
大和 「まだ、その体に」
大和 「残っているのかもね」
清霜 「武蔵さんの……」
清霜 「心が……」
清霜 「まだこの体に……」
清霜 「……」
清霜 「武蔵さーーーーーん!!!」 ビエーーーーーン
大和 (慰めるつもりだったけど……)
大和 (いくら注水しても傾斜復元できない感じかしら……)
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ヤレヤレという顔で、大和さんは言った。
大和 「清霜ちゃん……」
大和 「今晩」
大和 「ずーーーっと、お姉さん、付き合ってあげる」
大和 「思いっきり泣いていいのよ」
清霜 「武蔵さーーーーーん!!!」 ビエーーーーーン
私は一晩中泣いた。
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私は戦艦になった。
でも体だけだ。
武蔵さんのような大きい心には、
まだなっていない。
清霜 (私の体の中の)
清霜 (武蔵さん、お元気ですか?)
清霜 (武蔵さんみたいな、大きい心になれるよう)
清霜 (私、頑張ります!)
いつの日にか、心も戦艦になるよう
私は頑張る。
- 完 -
これで終りです。
妄想が降りてきてしまい、
思わずスレ立てしてしまいました……。
スレ汚し、失礼いたしました。
皆様、乙、レス、サンクスです。
html化申請しました。
なお、この作品は、かの有名な「ウルトラマン」にインスパイアされました。
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