ハルオミ「今のムーブメントはな……」(ゴッドイーター2) (52)




ハルオミ「下乳、だ」

アリサ「……」




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ハルオミ「本来、胸と言えば人はどこを見る?」

ハルオミ「そう、谷間だ」

ハルオミ「どんなに露出度の高い衣服を着ようと、下着姿、水着姿だろうと、まず目が行くのは……その柔らかに押し上げられた山と山のぶつかり合い! 生命の故郷とでも言うべき、俺達を温かに包み込んでくれるそのっ、神秘の境目だ……」


ハルオミ「しかぁし!!」

ハルオミ「…………それには、例外が存在する……」

ハルオミ「そう、もう分かるだろう?」

ハルオミ「その例外こそが…………」


ハルオミ「下乳」ビッ

アリサ「…………」


ハルオミ「本来、乳房下部の丸みというものは、普段見えないものだ」

ハルオミ「見えない……それ故、なにか谷間以上にっ……!」

ハルオミ「見てはいけないものを見ているような……そんな気持ちに、させてくれる」




ハルオミ「つまりな、下乳ってのは俺達にとって禁断の楽園であり、そこに実る禁断の果実なんだよ!」

ハルオミ「さらに、谷間や横乳の露出はせずに首元まできっちりガードすることで、よりいっそう下乳が強調される!」

ハルオミ「人は誰もが思うだろう…………」


ハルオミ「『あれ? それ下着とかどうなってんの?』」

ハルオミ「と、」

アリサ「……///」


ハルオミ「『まさか……つけてな……いやいやそんなばかな、しかし……』想像力はやがて危険な妄想を孕みながら拡大し続けっそしてっっ!!」

ハルオミ「…………もう視線は、釘づけだ」


ハルオミ「ここまで言えば、解るだろ? 俺の言いたいことが」

ラケル「なるほど」



ラケル「私にケンカを売っているのですね」

パチンッ

神機兵『……』ガション

ハルオミ「まった!! まったぁあ! 落ち着け! 話せば分かる!!!」

ラケル「もう充分すぎるほど、待って差し上げましたよ……?」ニコッ



ラケル「話が終わるまで耐えただけ、感謝してほしいぐらいです」

ハルオミ「だから違うんだって、俺が言いたいのはさぁ……」

アリサ「……変態」

ハルオミ「! ……今の、もっかい」

アリサ「言いません」

ハルオミ「つれないな……」

アリサ「……ハルオミさん、どん引きです。そんなふうに……私を……私の、その」

ハルオミ「下乳」

アリサ「……///」ササッ

ハルオミ「ははっ今更隠すことないだろ?」

アリサ「急に呼び出されたと思ったら、こんな……。この件は、きちんと上に報告を」

ハルオミ「……待てよアリサちゃん」

アリサ「……」

ハルオミ「いやらしい目で見られることが、ショックか?」

アリサ「当たり前です! 私はっ」

ハルオミ「じゃあ……」


ハルオミ「いったいどんな目で見られると思ってたんだ……?」

アリサ「っ……!」


ハルオミ「その格好…………私服のみでなく、クレイドルの制服になってまで続ける理由……なにか合理的な理由があるのかい?」

アリサ「そ、れ……は」

ハルオミ「認めちまえよ。楽になるぜ」


ハルオミ「お前さん、見せたがりなんだろ……?」

アリサ「あぁああ! いやぁああ!」

ハルオミ「どん引きです、とか軽蔑の視線を浴びせながらも、心の底では『そう』見られることを望んでる」

ハルオミ「私は悪くない……悪いのは、えっちな目で見てくる向こうだと」

ハルオミ「そうすることでキミは、さらに相手を罵倒し蔑むというS的欲求をも満たしている…………違うか? アリサ・イリーニチア・アミエーラ……」

アリサ「ぁ……あぁ」ガクッ

ペタン……

ハルオミ「自分を受け入れたほうが、楽に生きられるぜ?」

ラケル「そろそろ撃っていいかしら……?」


ハルオミ「ごほん! ……というわけで、大きく話題は反れてしまったが……」

ハルオミ「俺が言いたかったのは、そう!!」



ハルオミ「ユニットの結成だ!!!」


ラケル「ユニッ……ト?」

アリサ「ごめんなさい……ごめんなさいオレーシャ……私はっ……ぁあっ」


ハルオミ「そう、ユニット……つまり、アイドルユニットの結成だ」

ラケル「……話を聞きましょう」

ハルオミ「……そう言ってくれると思ってましたよ」

ハルオミ「まず、ラケル博士。あなたは有人式神機兵の正式採用式典にて、シプレと同じ衣装で登場。そしてシプレの中の人であることを明かすと、『コイメカ』をとびきり可愛く歌いきり、ファンのメルシー!を得た」

ラケル「ありがとうございます」

ハルオミ「さすがの俺もあれには驚いたぜ。会場のシプレファンならばなお衝撃的だったに違いない」

ハルオミ「天は割れ、地は裂け、正に天地開闢! あの日、アイドル界に文字通りの激震が走った。そう…………あなたはシプレの中の人としてのみでなく、」


ハルオミ「一人のアイドル! ラケル・クラウディウスとしてあの日! デビューした!!」

ラケル「研究だけでも忙しいというのに、ライブやイベントのオファーがやみません」

ハルオミ「あぁ、仕方ない。これまでシプレはバーチャルアイドルという性質上、そういう売り方、使い方をできなかったからな……」

ハルオミ「けれど、これからは違う」

ラケル「ユニットを組むことで負担を分散させると同時……本格的なアイドル活動を開始しろ、……と?」

ハルオミ「そのとぉおり! ……だがユニット結成にはそれ以外に、3つのメリットがある」

ラケル「3つ……? なんでしょうか……」


ハルオミ「ふっ……第一に、あなたが気にしていた……激しく踊れないという点!」

ラケル「……!」

ハルオミ「言い替えれば、ダンスイメージの弱さ。それを補うことができる」

ラケル「確かに……手の振り付けのみでは、限界を感じていました」

アリサ「あの……でも私も、そんな踊りとか」

ハルオミ「アリサちゃんの身体能力なら大丈夫さ。すぐ上達する。それに、実はアリサちゃんはダンスイメージよりもビジュアルイメージが高い」

ラケル「それが最初に言っていた……」

ラケル「下乳」

アリサ「ぁ……あぁっ」カタカタ

ラケル「そして痴女的素質の話ですか」

ハルオミ「その通りです!」

アリサ「あぁあああ……」ガクガク


ラケル「……しかしつまり、アリサがビジュアルイメージ要因ならば……」

ハルオミ「そう…………ユニットは、3人!!」

ハルオミ「ダンスイメージ担当のユニットメンバーはこの子だ!!」


ハルオミ「カモン! ナナ!!!」



ナナ「はーい! 香月ナナ! じゅうななさいでーす! おい、おい!」

アリサ「ナナさんはリアル十七歳でしょ……」

ラケル「なら誰がリアルじゃない十七歳だと言うのですか……?」

アリサ「い、いえ私はそんなつもりではっあのっ……」

ハルオミ「ぅおっほん! ……元気! 明るい! へそ! ふともも! けもみみヘアー! というわけで、抜群のダンスイメージを持つ、ブラッド隊所属の香月ナナちゃんだ。この3人のユニットで! あなた方をアイドルとして売り出していく」

ナナ「えへへー、よろしくね! ラケル博士! アリサさん!」

ラケル「ふふ……ナナと一緒にできるなんて、嬉しいわ」

アリサ「……言っておきますけど、歌もダンスも私が一番ですから!」

ハルオミ「キャラが昔に戻ってるぞー」

ラケル「あなたの精神攻撃(ことばぜめ)のせいでは……?」

ハルオミ「ふむ……まぁ基本はツンツンもありだが。アリサは属性で言えばクール。ナナはパッション。ラケル博士がキュート。だからな」

ナナ「で、ハルオミ先生、あと2つのメリットってなぁに?」

ハルオミ「それについては…………実際に体感してもらった方がいいだろう。よし、行くぞ! みんな俺についてこい!!」

ナナ「はーい!」テクテク

ラケル「ふふふ……」キュラキュラ

アリサ「私が、私が一番うまく……」フラフラ



……
-フェンリル極東支部、訓練場

ナナ「ここって……」

アリサ「神機使い用の……訓練場、ですね」

ラケル「えぇ、けれど今は」

神機兵A『うぉおおおお!』ダダダダダッ
神機兵B『でやぁああ!』ザシュッ!
神機兵C『ちぃっ! そこ!』バァン! バァン!

ダミアン「どうしたぁ! 動きがトロいぞ! そんなゴリラみたいな動きでアラガミを捉えられると思うな!!」

神機兵達『『はいっ!!』』


ハルオミ「神機兵第一部隊隊長、兼指導教官、ダミアン・ロドリゴ殿。真壁ハルオミ以下三名、訓練の見学に参りました!」

ダミアン「おぉ! ハルオミ。なんだ堅苦しい挨拶なんぞしおって、……って」

ラケル「お邪魔いたします……」

ナナ「わー……すごーい!」

アリサ「もうここまで神機兵運用の環境が整っているんですね……驚きました」


神機兵A『な、な……』

ナナ「?」

神機兵A『生シプレだぁあああーーーー!!』ドダダダダダダダダ!

神機兵B『オゥ! メルシー』シュバッスタッ

神機兵C『ラケルちゃーーーーーん!!』ブンブンブン!

ラケル「……ラケル、ちゃん……?」

ハルオミ「お気に召さないか? その呼び方」

ラケル「…………いえ、生シプレ、なんて面妖な呼び名よりは」フリフリ

神機兵C『うぉおおお! ラケルちゃんが俺に手を振ってくれたぁあああ!』ビョーン

ダミアン「こらお前ら! その機敏な動きを訓練で発揮せんか!! そもそも休んでいいとは言ってないぞ! 訓練を再開しろ!!」

神機兵達『『さ、サー! イエッサー!』』

ダミアン「ラケルちゃんが見てくれている! いいとこ見せろよ!!」

神機兵達『『イエッサー!!』』


アリサ「すごい……さっきより数段キレのある動きに……」

ハルオミ「さ、もう分かるよな。これが二つ目のメリットだ」

ナナ「えっと、つまり……」

ラケル「士気の向上、ですね……?」

ハルオミ「ご名答」


ナナ「でも、今はわたし達、関係ないよね? 士気の向上とユニットを組むこと、関係あるの?」

ハルオミ「もちろんあるさ。神機兵パイロットに志願したやつらの動機は、その大部分が、家族を、家を、この手で守りたい。そういう思いだ」

ハルオミ「そしてさらに言うなれば、これまで自分達を守ってくれていたゴッドイーター達を、今度は自分達が助けたい」

ナナ「……!」

ハルオミ「そういう気持ちだ。だから、」

ラケル「自分達の守るゴッドイーターがアイドルに加わることで、『この子を守っているのだ』という具体的な感覚を抱くことができ、士気の向上を図れる……と」

アリサ「なるほど……」

ハルオミ「そうだ。3人の歌が、ダンスが、応援の気持ちが! ……彼らに力をくれる」

ナナ「そっか……わたしたちの応援で……!」

アリサ「これも、戦いなんですね……」

ハルオミ「あぁ。で、三つ目のメリットだが」


カツ……カツ……カツ…………

サカキ「それは、私から説明しよう」

アリサ「!」

ナナ「支部長さん!」

ハルオミ「ミスターペイラー・サカキ。今回のユニット企画、出資者の一人だ」

ラケル「まぁ……そうだったのですか。ありがとうございます」

サカキ「いやいや、ラケル博士らの神機兵、そしてラケルちゃん達のアイドルユニットは、これからの世界の行く末を左右しうる存在だからね。当然のことだよ」

アリサ「世界の……行く末を?」

サカキ「そう。それが、三つ目のメリットにも繋がってくるわけだ」

ナナ「どーいうことですか?」


サカキ「ふむ……現在、各地で降っている赤い雨と、それに接触した者に高確率で発症する不治の病……黒蛛病」

サカキ「その赤い雨は、アラガミにもある変化を起こしている」

ラケル「感応種……」

サカキ「そう。周囲のアラガミを活性化させ統率する厄介な存在だ。……しかし、変化は、それだけに留まらない」

アリサ「それって……」


サカキ「感応種が、さらに感応種を喰らい……もしくは赤い雨を浴び続けてか……とにかく体内に特殊な偏食因子を貯め続け…………とうとう、」



サカキ「人型のアラガミが現れた」

アリサ「っ……!」

ナナ「人型の……アラガミ? 人の姿をしてるってこと……?」

サカキ「その通りだ。そしてそれは、特異点になりうる存在だと思われる」

サカキ「この結果から、赤い雨は特異点を生み出すための地球の意志が……っと、これは今、関係なかったな」

ナナ「人の姿をしてるなら、仲良くなれないかな! そしたらアラガミともう戦わずに済むかも!」

サカキ「……そう、なればいいけどね。この人型のアラガミは、ある特性を持っている。見たまえ」ピッ



……
-危険区域


フォックス『こちらフォックス、目標を確認。地上部隊を展開した』

ツルギ『……なんだこいつ……』


金髪の少女『……あふぅ』

ツルギ『どう見ても、ただの女の子じゃねぇか!』

ルカ『だがアラガミ反応は確かにその地点から出ている』

金髪の少女『……むにゃむにゃ、おにぎり……』

ツルギ『……寝ちまった。今の内に捕獲するか!?』

フォックス『待て! アラガミ反応多数!!』

ドォオン ドダッドダッ

ツルギ『うおっ!? 油断した! こいつらどこからっ……!』

ルカ『後退しろ、ツルギ!』

ツルギ『バカ言うな! 斥候がビビってどうする!』

フォックス『ルカの言う通りだ、合流ポイントまで後退しろ!』

金髪の少女『……あふぅ、なんだかうるさいの……』

フォックス『偏食場パルス増大っまずいぞ!』

ルカ『周辺の全アラガミ、活性化!!』

ツルギ『なんだ……なんなんだこいつはっ!! うわぁああああああああ!!』



……

サカキ「……映像はここで途切れている。そして、録音に残されたその後の音声が、」

カチッ


しゃーなりしゃなりおじょおさまぁ~~♪

アリサ「これは……」

ナナ「……歌?」

サカキ「そう。この歌声が聞こえだすと同時、偏食場パルスはさらに異様な増大を見せ、周囲のアラガミは本来考えられない活性化率と、統率された動きで襲い掛かっている」

アリサ「そんなっ……じゃあ、この歌が」

サカキ「アラガミの感応現象を、強化している。そう考えられるね」

ナナ「でも……歌声。三人ぶん聞こえない……?」

サカキ「情報によれば、今の金髪の少女以外に、危険地域内で月を見上げる銀髪に赤い目の女と、アラガミの背に乗って駆け抜ける黒髪の少女がいるという」

ラケル「なるほど…………ようやく話が見えました」

ナナ「えっ、え? どゆこと?」

ラケル「つまり…………私達三人で、その人型アラガミに対抗しろ、と」

サカキ「そう。さすがラケル博士。呑み込みが早くて助かるよ」

アリサ「私達が、まさか……あの歌に、歌で」

サカキ「歌で感応現象を強化する……感応現象を心の響き合いだとすれば、理論上は可能なことだ。そして、それを相殺し、打ち消すことも」

ハルオミ「っと、あのパツキンのかわいこちゃん含め、人型の感応種アラガミのことを、本部は『偶像種』と名付けたそうだ。…………そこで!」

ハルオミ「その偶像<IDOL>を喰らうアイドル……そう、三人のユニット名は!!」


ハルオミ「『IDOL E@TER』だ!!」



……数週間後
-フライア、エントランス


ナナ「ふぅ……お疲れー」

アリサ「お疲れ様でした。では、また」

ナナ「うん、またねー!」

スタスタスタ

ジュリ「ナナ、訓練の方はどうだ?」

ナナ「あ、ジュリウス隊長。みんなも。訓練って、レッスンのことだよね? えーっとね、すっごく大変だけど、すっごく! 楽しいよ!」

シエル「ラケル先生が指導してらっしゃるんでしたよね……さぞ苦労なさって……」

ジュリ「あぁ……先生の訓練はスパルタだからな……」

ナナ「疲れるけど、言うほどじゃーないってー。おでんパンいっぱい食べれば大丈夫! ラケル博士もアリサさんも、みんなおでんパン食べて頑張ってるよ!」

ギル「……まったく。よくそんな時間があるな」

シエル「ラケル博士は、神機兵に関してはレア博士とクジョウ博士に任せ、自らの研究は黒蛛病治療に絞っているそうです」

ナナ「アリサさんも、サテライト地区の支援を、信頼できる人にある程度任せてるから大丈夫だって。確か同じクレイドルの……」

ギル「そう言や、お前らのユニット。フライアに黒蛛病患者を集めて、大規模なライブをやるらしいな」

ナナ「うん! 一般の人も入れるけど、最前席は黒蛛病の患者さん全員で埋まるよ。みんなも見に来てよねー?」

ジュリ「あぁ、もちろんだ」

シエル「必ず行きます」

ロミオ「……」

ナナ「……? ロミオ先輩、元気ない?」

ロミオ「えっ、いや……そんなことないって」


ギル「……寂しいんだろ?」

ロミオ「なっばっそんなんじゃっ」

ナナ「??」

ギル「ナナがアイドルになって、なんだか遠くなったように感じてるんだ。こいつ」

ロミオ「だかっちがうって!」

ナナ「えへへ……なぁんだ!」ギュッ

ロミオ「わっ!!? な、ナナ!?」

ナナ「大丈夫! ずっと一緒だよ! だって、ブラッドは家族だもん!!」

ロミオ「ナナ……」

ジュリ「フッ……そうだな」

ナナ「ロミオ先輩も、わたし達のライブ見に来てよね!」

ロミオ「お、おぅ、あ、当たり前だろっ!?」

ナナ「えへへっよかったー」

シエル「……ふふ」

ギル「はははっ」



アハハハハハ!
フフフ エヘヘヘ
ワーワー


その金髪の少女はビッチですよ、ビッチ!!


……
-フライア、局長室

レア「……このフライアでの大規模ライブが、目前に迫ってまいりましたわ」

グレム「ふん、本部め。グッズ販売に口出ししてきおって」

レア「まだグッズ生産の一括受注にこだわってらしたの?」

グレム「アイドルイーターの内二人は我がフライア所属だぞ。利益を上げれるときに上げて何が悪い。……それに本部は、グッズの質を落として原価を下げる傾向にある。それではファンは納得せん」

レア「どうやら……もう少し綿密な打ち合わせが必要なようですね……?」

グレム「…………同感だ」


……

レア「ですから、衣装代をケチってはいけません!」

グレム「これはケチっているから布地が少ないのではない! もっとこう大胆に露出した方が客も喜ぶと」

レア「見せればいいというものではありませんわ! それよりも二重に着込めるタイプの衣装にして、舞台上で脱ぎ、素早く着替えることでスムーズに次の曲へ」

グレム「その曲の次はダンスナンバーだろう! 休憩もとらずにはっ」

レア「ノリのいい曲だからこそ勢いを殺さずにっ」

コンコン

グレム「誰かね、こんなときに」

レア「私が呼びましたの……」

グレム「なに……?」

レア「ラケル本人と、そのプロデューサーを」

グレム「!」

ラケル「……お邪魔致します……お久しぶりですわね、グレム局長……」

グレム「ラケルちゃ……じゃない、ラケル博士。お忙しい中、わざわざ」

ラケル「いいえ、……私の研究も、一定の目途が立ちましたから」

グレム「そうか。それはなにより。……ところでラケルちゃ……博士、一つ頼みが」

ラケル「……なんでしょうか?」

グレム「この色紙にサインを貰えると……あ、いや、娘がどーしても欲しいって言うもんだから! わはははは!」

レア(じゃあなんで色紙が二枚あるのかしら)

ラケル「もちろん、構いませんわ……」

キュポンッ サラサラサラ

グレム「いやーありがたい! わははは!」

レア「さ……それじゃあ聞かせてもらうわよ。あなたの方針を。ブラッドの副隊長さん……いえ、今は」


レア「アイドルイーターの、プロデューサーさん……?」



……ライブ当日
-フライア特設会場


ザワザワ ガヤガヤ


ムツミ「ナナさんやアリサさんが、アイドルかぁ……すごいなぁ」

アスナ「たのしみだね! わたしグッズいっぱい買ってもらっちゃった!」

ロミオ「おでんパンキーホルダーとかシプレ仕様神機兵フィギュアはともかく、三人特製のナンクルナイザーって……ほぼ外れのロシアンルーレットじゃん!」

コウタ「いやーこないだの復刻ゲロゲロキッチンでの三人の料理すごかったよな、まさにゲロゲロって感じでさー!」

シエル「審査員の方が、倒れるほどでした」

ジュリ「あの後緊急搬送され、どうにか助かったそうだ」

ギル「……ナナはともかく、アリサさんやラケル博士まで、アレとはな……」

ワーワー!

ジュリ「始まったか……!」



……

~~♪

ジュリ「最初の曲は、やはりコイメカか……」


ラケル『じしんーだけはいっちょまえ♪ だけどこたーえーが分からぁなーいーの☆』


サツキ「敵情視察に来てみたけど……なるほど。なかなかのものね」

フラン「……神機兵のバックダンサー、生で見るとすごいインパクトです……」


ワーワー! オゥメルシー!
パチパチパチパチ

ラケル『ありがとうございますっ! それでは、次はアイドルイーターの三人で』

アリサ『アラガミ出現以前のヒット曲をカバーします』

ナナ『アタシポンコツアンドロイド! いってみよーーー!!』

オォー! ワーキャー!


グレム「うぉおお! ラケルちゃーん!」

クジョウ「はいっ! はいっ! はいっ!」ブンブン!


~~♪


アリサ『はーだーかーになっちゃおっかっなー♪』

ナナ「なっちゃえ!」

ラケル『はーあーとーみぃせちゃおっかっなー☆』

ナナ「みせちゃえ!」


ロミオ「ナナー! がんばれー!」ブンブン

コウタ「いいぞアリサー!!」ブンブン


アリサ『きょおから厄介なこーいっするー』

3人『『女の子なんです♪』』

ナナ「じゃんじゃん!」


アスナ「わー! すごいすごい!」ブンブン

リッカ(黒蛛病患者に無料で配られたサイリウム……何か細工されてる。でもいったいなにを……)


ナナ『ね、が、おーにちゅっなななんちゃってー♪』

ラケル「てへぺろ!」

アリサ『だ、だ、だーいたんすぎちゃったあわわぁ』

ラケル「ばかばか!」


ムツミ「あ! ラケルさんが神機兵のてのひらに乗って」

アスナ「ロボットもラケルさんも、赤く光ってる……きれい……」


ラケル『きょうから不条理でーきゅーとっな』

3人『『女の子なんです♪』』

ラケル「じゃんじゃん?」


ワーワー! キャーー!

ラケル「みなさん……これからもアイドルイーターの三人を、どうか」

3人「「しるぶぷれ!!」」



……後日
-フェンリル極東支部、病室


ヤエ「はい、これでおしまい。明日には退院できるわ」

アスナ「ありがとう!」

ヤエ「いえ……私たち医療スタッフはなにも……」

ユノ「……黒蛛病の患者達が、こんなに急激に回復するなんて」

アスナ「アイドルイーターのお歌を聞いてから、みんなどんどんよくなっていったんだ!」

ユノ「そう……やっぱり歌には、不思議な力があるのね。私も負けてられないわ。サテライト地区にも、フェンリル居住区にも、いっぱい歌を届けて、みんなを笑顔にしないと!」

アスナ「うん! ユノさんならできるよ! あと、アイドルイーターとのジョイントコンサートとかも、いつかやってね!」

ユノ「えぇ、私も、彼女達とはいずれ共演したいと思ってるの。楽しみに待っててね」

アスナ「わーーい!!」



……
-極東支部、支部長室

サカキ「……配備された神機兵、そして神機兵乗り達の活躍はめざましく、各支部の状況は好転……サテライト拠点の増設や、生活環境の充足も、徐々にだが進んでいる」

ハルオミ「あぁ、ダミアンさんみたいな歴戦の神機使いが、各部隊をまとめてるんだ。強いハズだぜ」

ラケル「そうですね……」

サカキ「うむ、引退したゴッドイーターにとって、新たな活躍の場があるのはいいことだ」

ラケル「……神機兵の運用は、例えるなら戦車。既存のゴッドイーターは、歩兵ということになります」

ハルオミ「……ようやく、人類も……互角のとこまで来た、ってことか」

サカキ「…………だが、楽観視はできない」

ハルオミ「……偶像種」

サカキ「そう……通称『フェアリー』と呼ばれる3体の偶像種アラガミが、ここ極東を目指し進軍している。……大量の、アラガミを引き連れてね」

ラケル「……」

サカキ「……あなた自身の提案とはいえ、この作戦で本当にいいのかい? この作戦は」

ラケル「もちろんですわ。……そのための、IDOL E@TER……でしょう?」

サカキ「……そうだね」

ハルオミ「さて、そんじゃあ……俺達ゴッドイーターも準備にかかりますか」


ハルオミ「この……決戦の」




……


ソーマ「見えたぞ……あれだな」

リンドウ「ありゃあ……また随分な大群だ。……呼び戻された途端これとはなぁ」

ソーマ「……」

リンドウ「なぁソーマ。あれを指揮してるアラガミは、人型をしてるそうだぞ」

ソーマ「…………それがどうした」

リンドウ「……ま、お前が大丈夫ならいーんだけどな。とにかく、」

ソーマ「生きて帰ること」

リンドウ「そういうこった。……行くぜぇ!」



……

コウタ「よし! お前ら! 絶対にこの極東を守るぞ!!」

エリナ「はいっ!」

エミール「ふっ……この私の騎士道がある限り、ねずみ一匹通れないと知れ!」

エリナ「ねずみなんて見逃していいから! ちゃんとアラガミを倒してよね!」

コウタ「というか、神機兵が全面に展開しての戦いだから、前に出すぎるなよ? 神機兵部隊と連携して敵を叩くんだ。いいな!」

2人「「はいっ!!」」



……

ハルオミ「こいつぁ……!」


ルフス・カリギュラ「ガァアアアアアアアアアッ」


ギル「赤いっ……カリギュラ!? 確かに、あの時」

ハルオミ「ケイトをやったのとは、別の個体だろうよ。ちっ……偶像種、こんなもんまで引き連れてくるとは、たいした人気だぜ」

ギル「っ……」

ハルオミ「ヘタレるなよ、ギル。今の俺らなら……このぐらい余裕でやれる!」

ギル「……はいっ! やりましょう、ハルさん!!」



……

ヒバリ「第一部隊、第二部隊、第三部隊、アラガミとの交戦を開始しました!」

サカキ「神機兵の部隊は?」

ヒバリ「そちらも全部隊が交戦中! 今のところ、こちらが押しているようです」

サカキ「……よし。このまま……」

ヒバリ「! 特殊な偏食場パルスを観測……! アラガミが一斉に活性化します!」

サカキ「来たか……!」


……

フラン「偶像種アラガミの偏食場パルスです。発信源を探知」

グレム「よぅし! フライア、全速前進!! 突っ込むぞぉ!!」



……

ラケル「っ……く、……はぁ」

アリサ「ラケルさん、大丈夫ですか?」

ラケル「えぇ……神機兵に運んでもらいますから、ご心配なく」

アリサ「……そういうことでなく」

ナナ「いっちにっ……あーあー」

ラケル「さぁ、とうとう……直接対決です。私達の歌で、この戦いに……人類に勝利を」

ナナ「よぉーし! アラガミにも声を届けちゃうぞ!」

アリサ「……はい! がんばりましょう!」



……

神機兵A『見えるっ……そこっ!』ダダダダダ!

神機兵B『ライフル、ダブルファイア!』バキュンバキューン!

神機兵C『ただ、撃ち貫くのみ!!』ズガァアン!

ダミアン『うぉおおおおおっ……一刀両断!!』ブォオオン!

ズバァアアアアアアアッ!!


……

ジュリ「来るぞっ……周囲のアラガミを引きつけるんだ!」

シエル「了解!」

ロミオ「ナナ達には指一本ふれさせない! おさわり禁止ってな!」



……

カッコ悪いわよ アタシを堕とすの バレてるの~~♪


ナナ「聞こえてきた……!」

アリサ「はい! 私達もっ」


――煌めく思い出は風に流されて~~♪

ラケル(あと少し……少しだけ、)

フラン『反位相の偏食場パルス発生! アラガミ側と干渉し合っています』

ヒバリ『アラガミの活性化、収まっていきます! 成功です!!』


「あふぅ……うるさいの。きみたち、邪魔なの」

アリサ「! ……偶像種っ」

金髪の少女「みんな、消えちゃえばいいって思うな」

アリサ「私が行きます! お二人は続けて下さい!!」ダッ

ガキィイン!


――この道照らし別れは言わず
――お願い抱きしめて


「自分もいるぞ」

黒髪の少女「……せっかく連れてきたアラガミたちを倒しちゃうなんて、ゆるさないからな」

ナナ「っ! ラケル博士、私も行くね。……後、任せていいよね?」

ラケル「……えぇ、ナナ。こちらこそ、頼みましたよ?」

ナナ「……うん!!」ダッ


……

アリサ「やぁああっ!」ブォンッ!

金髪の少女「あふぅ……なーんかめんどくさいって感じ。なにムキになっちゃってるの?」

アリサ「必死にもなります……仲間のためなら!」

金髪の少女「あはっ、そういうの、くだらないって思うな」

アリサ「あなたには分からないかもしれないけどっ……みんな、神機使いも、神機兵乗りも、フェンリルも、サテライト拠点の人も、それ以外で暮らす人たちも!」

アリサ「みんなっ……みんな必死に生きてるんです!」

アリサ「それを、あなた達なんかに奪わせはしない!」


……

黒髪の少女「いっけぇガル美! シユ助!」

ガルム「グォオオオッ」
シユウ「キィイイイッ」

ナナ「わわっ! アラガミが出てきた!?」

ザシュッ! ドガァッ!!

ジュリ「無事か! ナナ」

ナナ「隊長!」

ロミオ「俺達もいるぜ!」

ナナ「みんな! 来てくれたんだ!」

黒髪の少女「ふん……そうやって傷をなめ合うしか能のない人間が。完璧な存在であるアラガミにかなうはずないぞ」

ナナ「違うよ! 誰も完璧になんてなれない……だから助け合って生きていくの!」

黒髪の少女「ばかばかしい……王者は常に孤高でなければならないんだ!!」

ナナ「あなたにだって……仲間はいるでしょ!!」


……

「……あなたでしたか、わたくしたちの邪魔をしているのは」

ラケル「……」~~♪

銀髪の女「あなたも、アラガミではないのですか? わたくしは、ただ星の意志に従い、新たなる世界への扉を開こうとしているだけです。なぜこんなことを。……あなたのしていることは、いたずらに滅びを加速させているだけ」

ラケル「……それでも」

銀髪の女「……」

ラケル「今を、捨てられない。例え今を選ぶことで…………全てが滅ぶことになったとしても」

――避けられない運命よ

ラケル「それが、人間です」


銀髪の女「…………それが答えですか」ジャキン……

神機兵『……』グォオオッ

――愛され痛みさえも感じない
――怖くない少しでも時戻るなら

銀髪の女「このような傀儡などに!」ビュンッ

ガシュッ! バァン!

神機兵『……!』

――あなたを独りにして逝けないよ
――もしこれが証でも

銀髪の女「……所詮は、ヒトの造りし紛い物。……さぁ、始めましょう。月に持っていかれてしまった…………破壊と再生を」


ヒバリ『!? 終末捕食特有の偏食場パルスを感知!! そんなっ!』

サカキ『やはり……』




――明日は二度と来ない永遠に
――知らない世界へと今旅立つの

ラケル(……お願い。今だけ……もう少しだけ保って……)

ラケル(黒蛛病の偏食因子を寄せ集めた……擬似的な特異点……)

――輝く日大切に祈ってる
――もし何が起こっても


ヒバリ『ど、同一のポイントで、もう一つの偏食場パルス! これっ……こっちも終末捕食の……!?』

サカキ『始まったようだね……終末捕食同士の、……対消滅が』



――神様もう少しだけ温もり感じたい
――これが定めだと受け止めるまで

銀髪の女「こんなばかな……わたくしの力と拮抗している……ならば直接っ」

バシュンッ

銀髪の女「!? 傀儡からっ……神機使いが!?」

ガキィイイン!!

ラケル(……こんなところまで付き合わせてしまい、申し訳ありません。けれど……)

ラケル(終末捕食を目指すあまり、多くの犠牲を生んできた私が……)

ラケル(せめてその犠牲を無駄にしないため、最後にできること……)


――命の灯が儚く朽ちていく

ラケル(それが)

銀髪の女「こんなっ……終末捕食同士が喰らい合って……!!」


グォオオオオオオオオオオオッ



――夢は終わりを告げて……




……

リンドウ「なんだぁ!? ありゃあ!」

ソーマ「……終末捕食だ」

リンドウ「なんだとっ」

ソーマ「喰い合ってやがる……天に伸びながら」


……

シエル「これはっ」

ジュリ「アラガミが、逃げていく……」

ロミオ「終わった……のか?」


……

ヒバリ「これはいったい……」

サカキ「まるで、神話の世界樹……生命の樹。終末捕食のぶつかり合いが、拮抗しながら螺旋を描いている……!」


サカキ「…………螺旋の樹……!」




……


この世の終焉に 我が身を委ねましょう


死が私を迎える前に 唯一つ是を誓います


この命は全て主の為に捧げました


彼の腕に抱かれて 我が罪は赦されるでしょう




I am home

I am home



……


ナナ「……ラケル博士、おでんパン。ここに置いとくね」

ナナ「ちゃんと食べてよね。じゃないと……元気でないよ」

ジュリ「……先生」

シエル「こうなることを……知っていたのでしょうか」

ギル「くっ……馬鹿野郎っ」

ロミオ「ぅう……二人共、勝手すぎるだろ……!」


ハルオミ「……あんた、確かにアイドルだったよ。間違いなくな……」

サカキ「赤い雨は止み……黒蛛病も消えた。そして二つの終末捕食は、螺旋の樹の中で喰い合っている」

サカキ「これがベストな結末かは分からないが……これだけは言える」

サカキ「あの二人によって、世界は救われたのだとね」




生きなさい……


この世界で…………




私の、

大切な子供達……






END




前回
ラケル博士「始まった、どきどき」(ゴッドイーター2)

前々回
ラケル博士「オンッナッノコハ コイッノキカイ……」(ゴッドイーター2)


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虚言癖 国士舘 中退 ウンフェ 飲酒運転 うつ病 長谷川亮太 無能 イジメ 詐欺 キッズライク 誘拐 ガイジ 自分語り チンフェ なかよし学級 ハッセ 恒心 前科 ストーカー 懐妊 不謹慎 アフィ 洋 犯罪 万引 尊師 逮捕 唐澤貴洋 韓国人 無差別開示 性病 ラブライ豚 盗撮
法律事務所クロス ドルオタパッカマン ニート ネトウヨ 虚カス 法廷 バックれ ドタキャン 神聖六文字 ○○○○

こんな話になるとは


RB編も楽しみだ



このままRBに突入してあの展開になることを期待

このスレタイから予想外な展開に
乙、面白かったわ


まさかまさかの展開
最後に出てきた神機使いはブラッド1でおk?
喚起が持ってかれたのは痛いけど統率と対話があれがRBのストーリー上の役目は代用できるかな

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