後輩「あなたの皮膚を剥ぎたい」(7)

・加詞筆:後輩
――あなたがわからない

あなたはいつだって“優しい”

頼りがいがあって、気を使えて、顔も悪くない

まるで、そう、モデルのようで

あなたがわからない

・加詞筆
――皮を剥ぎたい

あなたが分からない

その笑顔の先に、何が埋もれているのか

私には見えない

血の通いを、あなたのきたないところを見たい

・加詞筆
――現実感

どこか空虚で、手ごたえがない

私たちのリアルはどこに行ったんだろう

薄皮の一枚向こうには、生々しいものがあるんじゃないかな、と

そこに血が通っているのを、この手で感じたい

私の本当を、返して

・詩認筆:後輩

後輩「先輩ー!先輩先輩先輩ー!」

後輩「ねっ、今日こそ一緒に帰りましょうよー……!」

後輩「先輩のせいで、私いつまで経っても駅前のクレープ屋さんに行けないんですからね!」

・詩認筆
後輩「開店フェア限定のクレープ、食べ損ねたら怨むんですからね」

後輩「あっ、ちょっとどこ行くんですかぁ!先輩ー!」

後輩「……あっ……乗れって……ぇと……」

後輩「……は、はい……こう、ですか……?」

・詩認筆
後輩「むー……そうやって、いきなり優しくするの、禁止です!」

後輩「……もう、格好良いんだから……」

後輩「…………。……べーつに、なんでもないですよーだ」

後輩「ほら、先輩っ!早く行かないと混んじゃいますから!」

後輩「先輩号、しゅっぱーつ!」ギュ

後輩「……えへへ……」スリスリ

・加詞筆:後輩
――ありったけのリアルをあなたに

あなたが、あなたのリアルを出し惜しむというなら

私は私のリアルを出し惜しまない

感覚のないこの両手でも

厚皮が張ったかのようなこの両足でも

あなたに届かない筈はないと思うから

そうでなければ、そこには敗北しかない

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