・加詞筆:後輩
――あなたがわからない
あなたはいつだって“優しい”
頼りがいがあって、気を使えて、顔も悪くない
まるで、そう、モデルのようで
あなたがわからない
・加詞筆
――皮を剥ぎたい
あなたが分からない
その笑顔の先に、何が埋もれているのか
私には見えない
血の通いを、あなたのきたないところを見たい
・加詞筆
――現実感
どこか空虚で、手ごたえがない
私たちのリアルはどこに行ったんだろう
薄皮の一枚向こうには、生々しいものがあるんじゃないかな、と
そこに血が通っているのを、この手で感じたい
私の本当を、返して
・詩認筆:後輩
後輩「先輩ー!先輩先輩先輩ー!」
後輩「ねっ、今日こそ一緒に帰りましょうよー……!」
後輩「先輩のせいで、私いつまで経っても駅前のクレープ屋さんに行けないんですからね!」
・詩認筆
後輩「開店フェア限定のクレープ、食べ損ねたら怨むんですからね」
後輩「あっ、ちょっとどこ行くんですかぁ!先輩ー!」
後輩「……あっ……乗れって……ぇと……」
後輩「……は、はい……こう、ですか……?」
・詩認筆
後輩「むー……そうやって、いきなり優しくするの、禁止です!」
後輩「……もう、格好良いんだから……」
後輩「…………。……べーつに、なんでもないですよーだ」
後輩「ほら、先輩っ!早く行かないと混んじゃいますから!」
後輩「先輩号、しゅっぱーつ!」ギュ
後輩「……えへへ……」スリスリ
・加詞筆:後輩
――ありったけのリアルをあなたに
あなたが、あなたのリアルを出し惜しむというなら
私は私のリアルを出し惜しまない
感覚のないこの両手でも
厚皮が張ったかのようなこの両足でも
あなたに届かない筈はないと思うから
そうでなければ、そこには敗北しかない
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