ほむら「まどかは至って平穏です」 (11)


世界を改変してから一ヶ月が経った。

改変当時は世界が崩れてしまわないかヒヤヒヤしていたものの

平穏な生活を築ける程に状態を維持できるようになり、無事世界は安定して平和になった。

インキュベーターは私の手のひらの上で転がっているし、円環の理が再発するようなことも私を悪魔呼ばわりする者もいなくなり、私一人を差し置いて世界は完全に新しいものへと生まれ変わった。

今日もいつも通り学び舎へと向かいあの子の監視を行う。

教室に入ると赤いリボンを髪に結びつけたあの子、まどかが席に腰を下ろしていた。



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可愛らしい顔はニコニコしていて今日は上機嫌な様子。

周りには誰も居ないみたいだし声をかけてみようかしら…

そう思い、私はまどかの元へと歩いていった。

「おはよう、まどか」

髪がフワッと揺れてまどかが私に目を合わせた。

私を見るなりまどかは花が開いたような笑顔を見せて、こう言う

「おはよう、ほむらちゃん」

改変当時はまた一からやり直しだったけれど、今ではすっかり仲良くなれたわね。

「今日はいい天気ね」

「そうだね、今日は目覚めが良かったかも」

まどかはちら…ちら…と腕を見ながら微笑んでいる。

その腕には紅葉色のキラキラした輪っかが通っていて、その時私はまどかが嬉しそうにしていた理由がわかった。

「その腕輪はどうしたの」

そう聞くと、恰も聞かれるのが分かっていたと言わんばかりの反応の速さでまどかは応える。

一体どこで手に入れた物なのかしら

「さやかちゃんに貰ったの」

…なるほど。

「昨日、一緒にショッピングに行ってその時に買ってくれたんだ」

そう…美樹さやかが

当時私に人を寄せ付けないような目を向けていたあの子も、今では一人の女子生徒と化して日々を過ごしている。

「…綺麗ね」

「うん、ありがとう」

まどかは綿にそっと触れるように腕輪を撫でてみせる。

…それでいいのよ

あなたはそうしてただ笑って過ごす女子生徒のままでいい

佐倉杏子も巴マミも至って普通な女子生徒。

私の邪魔をする者はいない。

あとは、この子の幸せを静かに守るだけ…

「…そうだ、今度ほむらちゃんも一緒にお出かけしようよ」

まどかはじっと私の目を見つめていた。

「私も…?」

「うん。ほむらちゃんともお出かけしたいなって思っていたから」

まどかは即答で応えた。

まるで私が居て当たり前かのように

……

……………

「えぇ、いいわ」

偶には関わってもバチは当たらないわよね。





「あなたがそれで幸せなら」


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