2スレ目です。
スレタイが長すぎてえらい事に……
よろしくお願いします。
1スレ目
いすず「唐突だけど鳴上くん。明日の休日、私と遊園地に行かない?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1420730446/)
―――――――――――
翌日の夜
占いの館 長鼻
イゴール「ようこそ、おいでくださいました」
イゴール「お客様、モッフル卿……」
モッフル「…………」
鳴上「…………」
イゴール「それでは、ラティファ姫君について詳しくお知らせしておきまする」
イゴール「まずきっかけは、やはり推測通り例の『儀式』による お客様との接触でございます」
鳴上「……それはもういい」
イゴール「ただ……先ごろ知らされた『呪い』の影響もあるのか……」
イゴール「ラティファ姫君にはペルソナ能力はおろか」
イゴール「モッフル卿の皆様に備わった『能力』すらも確認できませんでした」
モッフル「なっ……!?」
モッフル「そ、それじゃあ、ラティファは!?」
イゴール「……残念ながら、現状、変わり無いかと」
モッフル「そ……そんな……」
鳴上「…………」
イゴール「それからもう一つ」
イゴール「合理的な説明はできないのですが……モッフル卿の皆様の能力」
イゴール「あれは……もしかするとラティファ姫君の『願望』が働いたのやもしれませぬ」
モッフル「願望……?」
イゴール「ラティファ姫君の無意識下における願望……」
イゴール「意図したわけではないのでしょうが、長年【アニムス】欠乏症で」
イゴール「苦しまれた経緯を考えますると……」
モッフル「…………」
鳴上「…………」
イゴール「以上が、現段階で知り得た情報にございます」
イゴール「『呪い』については、これからもお調べしていきますので」
イゴール「続報をお待ちください」
モッフル「……わかったふも」
モッフル「ありがとう、イゴール」
イゴール「いえ……」
鳴上「…………」
―――――――――――
中央広場のベンチ
モッフル「…………」
鳴上「モッフル」つ(缶コーヒー)
モッフル「ん? ……ああ、すまないふも」
プシュ…
モッフル「…………」 グビッ
(肩を)トントン
モッフル「ん?」
鳴上「130円」つ
モッフル「ぶっ!?」
鳴上「冗談だ」 グビッ
モッフル「……お前の冗談は、わかりにくいふも」 グビッ
鳴上「…………」
モッフル「…………」
モッフル「……知らなかったふも」
モッフル「ラティファが、苦しんでいるとは思っていたけど」
モッフル「このパークをキャストごと消してしまいたい程、憎んでいたなんて……」
鳴上「……それは一面に過ぎない」
鳴上「誰もがすべての部分で、『そうである』事なんて無い」
モッフル「確かにそうふもけど……」
鳴上「ことわざに『可愛さ余って憎さ百倍』というものがある」
モッフル「…………」
鳴上「深く愛しているからこそ、憎しみも増す」
鳴上「愛憎は表裏一体だ」
モッフル「……昨日、女の子に取り囲まれてたお前が言うと」
モッフル「妙な説得力があるふも……」
鳴上「……忘れてくれ」
モッフル「そういえば、どうやってあれを切り抜けたふも?」
鳴上「……企業秘密だ」
モッフル「ふん……」
モッフル「…………」
鳴上「…………」
モッフル「僕も同じふも」
鳴上「…………」
モッフル「お前が来るまでは……何やってもダメ」
モッフル「もう諦めてラティファの命が尽きるまでひっそりと暮らし」
モッフル「そして静かに最期を迎える……」
モッフル「僕もそれに付き合おうと思っていたふも」
鳴上「…………」
鳴上「今はどうなんだ?」
モッフル「欲が出てきたふも」
モッフル「伯父とか、立場とか、関係ないふも」
モッフル「もっとラティファに……生きていて欲しいふも」
モッフル「その為なら、出来る事は何でもやって……あがいてやるふも!」
鳴上「そうか……」
モッフル「……ただ」
モッフル「僕にその才覚が無い事は思い知ったふも」
鳴上「…………」
モッフル「思いつたら何でも言って欲しいふも」
モッフル「僕は、全力でそれに答えるふも」
鳴上「……そうか、頼もしいな」
鳴上「頼りにしている」
モッフル「ふも。 それじゃ……僕はもう休むふも」
鳴上「ああ」
鳴上「また明日」
鳴上「…………」
鳴上「……出来る事は何でもやって」
鳴上「あがいてやる……か」
鳴上「…………」
鳴上(残り10日を切った)
鳴上(潤沢な資金が出来た事で、モグート族の全面協力により夜間設備が整い)
鳴上(今日から閉園時間を夜の9時まで延長したが……)
鳴上(動員数の伸びは期待したほどじゃなかった)
鳴上(…………)
鳴上(……やるしかない)
鳴上(かなり……彼女に迷惑をかけてしまうが)
鳴上(残された手段は……余りにも少ない)
ピッピッピッ……
ルルルルル…… ルルルルル…… ガチャ
鳴上「もしもし、りせか?」
鳴上「夜遅くにすまない」
鳴上「…………」
鳴上「……そうだったら良かったんだけどな」
鳴上「…………」
鳴上「ああ……また頼みたい事ができた」
鳴上「…………」
鳴上「……りせ、よく聞いてくれ」
鳴上「今回のは正直、頼みごとの範疇を超えている内容なんだ」
鳴上「ヘタをしたら、りせの芸能人生命だって終わらせかねない」
鳴上「その事を頭に置いて、よく考えてから返事をしてくれ」
―――――――――――
翌日の昼過ぎ
執務室
鳴上「…………」 ソワソワ
鳴上「…………」 (時計を)チラッ…
いすず「…………」
いすず「鳴上くん?」
鳴上「ん? なんだ? いすず?」
いすず「それはこっちのセリフよ」
いすず「さっきから落ち着きなく、時計ばかり見ているけど……」
いすず「どうしたの?」
鳴上「……気のせいだ」
いすず「……本当に?」
鳴上「本当だとも」
いすず「…………」
鳴上「…………」
いすず「……まあいいわ」
鳴上「…………」
―――――――――――
中央広場
ガヤ ガヤ
花村「問題です!」
花村「日本で一番大きな湖は何と言うでしょう?」
花村「…………」
花村「え? みずうみってどういう意味?」
花村「ん~と……どう言えばいいのかなぁ」
花村「…………」
花村「池はわかるかい? ……うん、そーそー」
花村「で、みずうみっていうのは、池がものすごーく 大きくなったモノをそう言うんだよ」
花村「……え? どうして?」
花村「どうしてって言われても……そ、そーだよね、おっきい池、でもいいよね」
花村「んじゃ、日本で一番おっきな池の名前はわかるかい?」
花村「…………」
花村「あー……わかんないかー……」
花村「残念だけど、また今度がんばっ」
花村「あー! 泣かないで~! お兄さんが泣いちゃうよー!」
花村「よ、よし! ヒントだ! ヒントあげる!」
花村「最初に『 び 』がついて『 こ 』で終わるんだけどなー??」
花村「聞いたこと無いかなー??」
花村「…………」
花村「おー! 正解! 大正解だ!」
花村「ほら、スタンプ押すよ?」
花村「ありがとうね~」
花村「…………」
花村「ふう……結構大変だな」
直斗「花村先輩」
花村「おう、直斗か」
直斗「お疲れ様です。 どうですか?」
花村「ま、客商売は慣れてるから、ある程度覚悟してたけど」
花村「思ってたより大変だな」
直斗「そうですか」
花村「直斗も大変だったんじゃないのか?」
直斗「ええ……想像以上に大変でした」
直斗「特にいたずらでスカートをめくる子供とか……そのっ」///
花村「くっ……その場に居たかったぜッ……!」
直斗「……花村先輩?」
花村「ははははは!」
花村「つーか、完二の奴、どこに行ったんだ? 直斗、知らね?」
直斗「彼なら例のぬいぐるみ……じゃなくて、あみぐるみ?」
直斗「あれをモッフルやマカロンで作って、それが予想以上に人気なので」
直斗「今、モグート族やその他、手の空いている人たちにレクチャー中です」
花村「マジか……」
直斗「材料はほとんど毛糸だけですからね」
直斗「彼なりに鳴上先輩を手助けするって張り切ってました」
花村「そうか……」
花村「まあそういう事ならしゃーねーか!」
直斗「ですね」 クスッ
タッ タッ タッ
雪子「た、大変だよ! 花村くん! 直斗くん!」
花村「おっ天城。 どうしたんだ?」
雪子「はあっはあっ……そ、それが」
雪子「りせちゃんがここに来てるの!」
直斗「お忍びで、ですか?」
雪子「違うよ!」
雪子「あそこを見て!」
ワー! ワー!
りせ「甘ブリのみんなー!」
りせ「りせちーだよー! 突然ごめんねー!」
花村「」
直斗「」
りせ「今日はね! 思いついた新曲を少しでも早く聞いて欲しくて」
りせ「ゲリラライブに来ましたー!」
ワー! ワー! リセチー!!
花村「ゲ、ゲリラライブ!?」
直斗「花村先輩、鳴上先輩から何か聞いていますか?」
花村「いや……全く知らねぇ」
花村「けど……」
直斗「けど?」
花村「なんつーか俺たち、りせと知り合いっつーか」
花村「ダチだっての、内緒にしとかねーとマズイかも知んねぇな」
直斗「なるほど……」
直斗「! もしかしたら」
直斗「鳴上先輩に何か一計があるのかもしれませんね」
雪子「一計?」
花村「後で聞いてみないとわからねーが」
花村「甘ブリの宣伝か何かの方法かもしれないって事だ」
ワー! ワー!
直斗「……なるほど」
直斗「彼女の知名度を考えれば、ありえそうな話ですね」
雪子「あ……ルルさんが走って行った」
雪子「どうする? たぶん止めに行ったと思うけど……」
直斗「…………」
花村「…………」
雪子「どうしたの? 二人共?」
直斗「……いえ。 ただ、このまま成り行きを見守るべきだと思いまして」
花村「だな」
花村「いくらりせでも こんなゲリラライブ1回でどうにかなる状況じゃないし」
花村「悠に何か考えがあるんだろう」
―――――――――――
その日の夕方
甘ブリ 管理棟応接室
M「りせ! どうしてこんな事をしたんだ!」
りせ「だって……いい歌だから早くみんなに聞いてもらおうと思って」
りせ「マネージャーさんだって新曲売れて欲しいでしょ?」
M「だからって私有地であるテーマパークでゲリラライブなんてむちゃくちゃだ!」
M「そのくらいの常識、持ち合わせてくれ!」
りせ「はいはい」
M「すみません、支配人代行さん」
M「とにかくよく言って聞かせますので、どうかご容赦を……」
ヤン上「と、言われましても……」
ヤン上「下手をすればゲストの皆さんに怪我人が出る可能性すらありました」
ヤン上「いかなトップアイドルといえど、菓子折りひとつで済む問題ではありません」
M「そ、そこは……は、はい、おっしゃる通りですが」
りせ「いーじゃない、ちょっとぐらい」
りせ「お客さんもたくさん来てくれるし、御の字でしょう?」
M「り、りせ!」
ヤン上「……少しも反省している様に思えませんが」
M「す、すみません!」
M「本当によく言って聞かせますので、どうか……どうか!」
ヤン上「…………」
ヤン上「……では、こうしていただけませんか?」
M「え?」
ヤン上「実は当パークで、もうすぐスタジアムが出来上がるんです」
M「はあ……」
ヤン上「その完成を祝して、りせさんに」
ヤン上「こけら落としコンサートを開催していただけないでしょうか?」
M「」
M「な――」
りせ「いいじゃない、それ!」
りせ「それで許してくれるのなら、やってあげましょうよ!」
M「簡単に言ってくれるな!?」
M「君のスケジュールは2~3ヶ月先までギュウギュウなんだぞ!?」
M「はいそうですか、なんて気軽に言えるか!!」
M「上になんて説明するんだよ!!」
ヤン上「……そうですか」
ヤン上「こちらとしては、精一杯の誠意を見せていただけるかと期待したんですが」
ヤン上「やむを得ませんね、警察に被害届を……」
M「お、お待ちください! 支配人代行さん!」
M「分かりました! 分かりましたから!」
ヤン上「お約束いただけるので?」
M「……もちろん断言はできませんよ」
M「ともかく、上に掛け合ってみます……少々お待ちください」
ヤン上「わかりました」
りせ「…………」
ヤン上(…………)
ヤン上(我ながら強引な作戦だ……)
ヤン上(だが、何としても、7月31日までに)
ヤン上(あのスタジアムでりせにライブを行ってもらう)
ヤン上(…………)
ヤン上(このままのペースで行けば、おそらく足りない動員数は3~4万人前後)
ヤン上(りせのアイドルとしての人気なら)
ヤン上(十分巻き返せる数字だ)
ヤン上(もう……これしか方法がない)
ヤン上(…………)
M「……お待たせしました」
ヤン上「……いかがでした?」
M「とりあえず、上はこけら落とし?のコンサートにりせを使う事を」
M「許可すると言ってます」
ヤン上「! そうですか」
りせ「さすがマネージャーさん!」
M「……おだてても何も出ないし、君は後で社長に怒られてもらうからね?」
りせ「……はぁ~い」
M「で、ですね……ひとつ問題なのがスケジュールなんです」
M「そちらのご希望の日時は……?」
ヤン上「今月中でお願いします」
M「む、無理ですよ!」
M「さっきも言いましたが、彼女のスケジュールは2~3ヶ月先までいっぱいなんです!」
M「せめて、8月に入ってからに……」
ヤン上「残念ですが、こちらにも事情がありまして」
ヤン上「どうしても7月中にしてもらいたいのです」
M「で、ですが……!」
ヤン上「では、ひとつひとつ問題を潰していきましょう」
M「問題?」
ヤン上「まず、スケジュールなのですが」
ヤン上「どこかをキャンセルするか、延期する事は不可能なのでしょうか?」
M「ふ、不可能ではないですが……」
M「その場合、当プロダクションにキャンセル料や違約金が発生しますので」
ヤン上「では、それをこちらが負担する、というのはどうでしょう」
M「!」
ヤン上「こちらも無理を言っているのは承知しています」
ヤン上「降ってきた幸運を無理やり掴み取ろうと」
ヤン上「あざとい行動を取っているのもわかっています」
ヤン上「しかし、りせさんの協力は是非とも欲しい」
ヤン上「いかがですか?」
M「…………」
M「お話を伺いましょう」
……話し合いの結果。
7月31日の夕方6時からコンサートを開く事で合意した。
りせのスケジュール調整のため発生する違約金
また、駅からのアクセスや、スタジアム使用料、宣伝費なども
こちらが負担する事になり、一応の決着がついた。
これで、何とか動員数の当ては出来た。
残り約一週間。
準備期間としては、あまりにも短い。
やることは山ほどある。 油断はできない。
―――――――――――
その日の夜
会議室
一同「」
一同「く、久慈川りせが、ブリリアントスタジアムでコンサート!?」
鳴上「ああ」
モッフル「……いったい どんなマジックを使ったふも」
鳴上「それは気にするな」
鳴上「それよりもこれから7月31日まで、あと一週間しかない」
鳴上「各自、やる事は山ほどあるという事を覚悟してもらいたい」
鳴上「わかったか?」
一同「…………」
一同「わかりました」
鳴上「よし」
鳴上「まず、広報に人員を割く」
鳴上「急ピッチでトリケンにチラシをデザイしてもらい、印刷会社に依頼してある」
鳴上「後は、先のチラシ配りのやり方で広報してもらいたい」
鳴上「各アトラクションからマスコットキャラを一名選出して広報活動に加わってくれ」
モッフル「わかったふも」
鳴上「次にスタジアムの方だが……タラモ、どうなっている?」
タラモ「一部、問題があって少々遅れるモグ……」
タラモ「だけど、あと5~6日くらいでかならず終わらせるモグ!」
鳴上「よし、必要な資材と資金はアーシェの方に言って万全を期してくれ」
タラモ「わかってるモグ!」
鳴上「いすず、バス会社との交渉は一任する」
鳴上「多少こちらが赤字になっても構わない」
鳴上「コンサート当日、駅からの臨時便を出せるだけ出してもらえるよう要請してくれ」
いすず「わかったわ」
モッフル「…………」
鳴上「次にフードサービスだが……」
ニック「ニク」
鳴上「こちらは予測が難しい。 経験を活かして、仕入れ量を一任する」
鳴上「食材をダメにしてしまう可能性もあるが、多めに考えて発注してくれ」
ニック「わかったニク」
鳴上「次にアーシェ」
アーシェ「はい」
鳴上「できればベアをしたかったが……資金も無限にあるわけじゃないからな」
鳴上「そこで、キャスト全員に臨時ボーナスを支払ってやってくれ」
一同「……!?」
アーシェ「……金額は、どのくらいに?」
鳴上「そこは一任する。 経理部として、無理のない程度で頼む」
アーシェ「……難しい判断ですが、わかりました」
モッフル「…………」
鳴上「最後に残り全てのキャストは、パーク内での広報活動を徹底してくれ」
鳴上「久慈川りせの名前を全面的に使うようにな」
モッフル「……ちょっと待って欲しいふも」
鳴上「…………」
鳴上「なんだ、モッフル?」
モッフル「ナイター設備の時から疑問に思ってたふも」
モッフル「そして、この会議でさらに強まったふも……」
鳴上「…………」
モッフル「さっきから気前のいい文言が飛び交っているけど」
モッフル「お金はどうやって工面したふも?」
鳴上「…………」
ザワ… ザワ…
鳴上「……わかった。 その疑問に答えよう」
鳴上「南エリアの第二パークの土地を売却した」
一同「!!」
モッフル「…………」
未来くん「な、なんだって!?」
ミュース「本当なんですか!?」
ミュース「第二パークの敷地面積は、ここと同じくらいあるんですよ!?」
鳴上「わかっている……が」
鳴上「背に腹は代えられない。 どうしても多額の資金は必要だった」
マーちゃん「で、ですが……!」
鳴上「ラティファの許可は得ている」
一同「!!」
鳴上「……俺としても迷ったが」
鳴上「今、このパークに広大な土地を遊ばせておく余裕はない」
鳴上「苦渋の決断だったが……出来うる限りの善処は行った」
モッフル「善処……とは?」
鳴上「条件付きだが……売却した土地にはジュネスが来る予定だ」
一同「!」
鳴上「大型ショッピングモールが甘ブリの目の前にできる」
鳴上「相乗効果が期待できる状況になる……という感じだ」
モッフル「……で、条件とは?」
鳴上「ジュネス開業前に甘ブリが閉園した場合」
鳴上「莫大な違約金が発生する」
一同「!!」
モッフル「いくらふも?」
鳴上「知らなくて いい事だ」
モッフル「……それもそうふもか」
モッフル「パークが存在し続ければ、何の問題ないという事ふも」
鳴上「そういう事だ、モッフル」
鳴上「その為にも、今回のコンサートは絶対に成功させなければならない」
鳴上「みんなも腹をくくってくれ」
一同「…………」
ミュース「……そうですね」
ミュース「元々は3ヶ月で閉園するという状況だったんですから」
未来くん「それから考えたら、もう少しで存続ってところまで来れたんだし」
未来くん「あと一回、頑張るのなんて何でもないよね」
マーちゃん「しかし……後がないという状況は変わりません」
モッフル「韓信の兵法……背水の陣ふも」
モッフル「兵は危機的状況で追い詰められると」
モッフル「いつもより力を発揮するふも」
レンチくん「追い詰めらた兵……か」
レンチくん「わーったぜ、大将! 一つ、盛大に暴れてやろうじゃねーか!」
鳴上「ああ、期待している」
鳴上「7月30日閉園後、一度リハをやる」
鳴上「みんな、そのつもりで事に当たってくれ」
鳴上「泣いても笑ってもあと残り一週間だ」
鳴上「よろしく頼む」
一同「はい!」
鳴上「では、今日の会議はこれで終了する」
鳴上「疲れているところ、夜遅くまですまなかった」
―――――――――――
居酒屋さべーじ
ティラミー「タカミちゃ~ん、生おかわりだミー」
タカミ「は~い」
マカロン「こっちも生とつまみの枝豆おかわりだロン」
タカミ「はい、わかりました」
モッフル「…………」
マカロン「モッフル、どうしたロン?」
マカロン「暗い顔して」
モッフル「ん? ……ちょっと悔しいんだふも」
ティラミー「悔しい?」
モッフル「結局……最初から最後まで小僧に頼りっぱなしだふも」
モッフル「自分にその辺りの才覚が無かったと頭で分かっていても」
モッフル「もっと何か出来るんじゃないか……」
モッフル「自分たちで出来ることは、他にあるんじゃないか……」
モッフル「そんな事を考えてしまってるふも」
マカロン「…………」
ティラミー「…………」
マカロン「言いたい事はわかるロン」
マカロン「僕も鳴上くんに頼ってばかりだな、とは思ってたロン」
ティラミー「ボクは最初からそれでいいと思ってたミー」
モッフル「……お前はもう少しプライドを持てふも」
ティラミー「何でミー?」
ティラミー「仕事や職場の調和を乱す気持ちなんて邪魔なだけだミー」
ティラミー「ボクは全てにおいて『好きか嫌いか』で判断しているし」
ティラミー「『今』が自分にとって心地いいなら、それでいいんだと思ってるミー」
ティラミー「物事はもっと単純に考えた方が、人生楽しいミー♪」
マカロン「……はあ」
マカロン「ティラミーを見ていると、悩むのがバカらしくなるロン」
ティラミー「うふふ~それほどでも♪」
マカロン「褒めてないロン」
モッフル「……まあ、言いたい事はわかったふも」
モッフル「ティラミーはそれでいいんだふも」
モッフル「タカミちゃん、冷やしトマトおかわり」
タカミ「はーい♪」
―――――――――――
鳴上の部屋
花村「……なるほど、そういう事か」
花村「かなり強引な方法をとったな」
鳴上「ああ。 りせには足を向けて寝られないな」
里中(……これって)
雪子(……もしかしなくても)
直斗(……かなりアドバンテージをつけられた?)
クマ「りせちゃんにも会いたかったクマ」
完二「……それに比べて」
完二「俺、役に立って無いっスね……」
鳴上「そんな事はない、完二」
鳴上「お前のあみぐるみは、人気だぞ?」
完二「そ、そっスか……」///
完二「なら、いんスけど」
里中(……ヤバイ)
里中(今の鳴上くんにとって、あたし完二くんより評価低いかも……)
雪子(せっかく鳴上くんの部屋に来れたのに……)
直斗(喜び半減です……)
鳴上「みんな、これから一週間、さらに忙しくなる」
鳴上「今まで以上に頼りにさせてもらうが……構わないだろうか?」
一同「!」
花村「へへっ! あったりまえだぜ! 相棒!」
花村「遠慮なくこき使ってくれ!」
完二「お、俺も頑張るっス!」
里中「もちろんだよ、鳴上くん!」
雪子「精一杯頑張るから!」
直斗「言われるまでもなく、そのつもりです!」
クマ「センセイと イっちゃん ミュっちゃん サーちゃん ラっちゃん……」
クマ「とにかく、甘ブリの(女の子の)為に頑張るクマ!」
花村「お前は相変わらずだな……」
鳴上「こんな時間だが……おにぎりを作った」
鳴上「ささやかなお礼だけど、良かったら食べてくれ」
花村「おー、美味そうなおにぎりだな!」
花村「遠慮なくもらうぜ!」
完二「いただきますっス!」
クマ「ウッホホーイ!」
里中「ありがとう、鳴上くん!」
雪子(鳴上くんが握ったおにぎりっ)///
直斗「いただきます」
鳴上「ああ、遠慮なくどうぞ」
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7月31日 パーク開園直前
中央広場
ザワ… ザワ…
鳴上「あーあー……みんな、よく聞いてくれ」
一同「…………」
鳴上「とうとうこの日が来た」
鳴上「この一週間、みんなよく頑張ってくれた」
鳴上「出来うる限りの準備と、やれるだけの事はすべてやり尽くした」
鳴上「だが、そこで終わりじゃない」
一同「…………」
鳴上「目指す目標は、今日一日にかかっている」
鳴上「疲れが抜けてないかもしれない」
鳴上「不安で仕方ないかもしれない」
鳴上「けど……いずれの答えが出ても、ここにいるみんなは」
鳴上「最高のキャストだ。 それだけは胸を張って言える」
一同「…………」
鳴上「では……そろそろ開園の時間だ」
鳴上「ゲストの皆様にとっても、俺たちにとっても、最高の一日にしよう!」
オオ―――――――――――!!
パーク閉園期限まで
あと残り 11 時間
必要来園者数
46219 人
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―――――――――――
鳴上「追求」
いすず「考察」
鳴上・いすず「二次創作ー」
パチパチパチ
いすず「前回の投下から約一ヶ月ね」
鳴上「開口一番、言葉のナイフで>>1の心をえぐるな」
いすず「モン○ンSSを書いてる段階で何を言っても説得力がないわ」
鳴上「すまん>>1。 今回は俺も擁護できそうにない」
いすず「あと今回、私の出番少ない気がするのだけど」
鳴上「展開上仕方ないだろう……それを言ったらラティファはどうなるんだ?」
いすず「いよいよラストが近づいてきたわね」
鳴上「この流れなら、おそらく原作アニメの通りになりそうだな」
いすず「……そのツッコミは私のセリフだと思うのだけど?」
鳴上「俺もいつもやられてばかりじゃない、という事だ」
いすず「さて、せっかくジュネス御一行が来てくれたのに」
いすず「大した活躍もギャグ表現もなく、残念な扱いで終わりそうだけど」
鳴上「やめろ……その辺りのツッコミは陽介達に致命傷になる」
いすず「噛ませヒロイン枠なのかしら」
鳴上「踏み込みすぎだ!!」
鳴上「ともかく、長かったこのクロスSSも終わりが近づいてきた」
いすず「寂しくも何ともないのが、どうもね」
鳴上「一応メインヒロインの一人なのだから、発言には気をつけておけ」
鳴上「>>1の機嫌を損ねて、触手に襲われる描写をされるかもしれないぞ?」
いすず「そんな扱い、>>1でなくても同人誌で慣れてるわ」
鳴上「…………」
いすず「それより、菜々子ちゃんも加えて計13人もの女の子に迫られ」
いすず「刺される描写をされる可能性の方が高いと思う」
鳴上「待て。 そんな人数になるのか?」
いすず「私、ラティファ様、ミュース、サーラマ、アーシェ、中条さん、土田香苗、寺野睦美」
いすず「里中さん、天城さん、直斗くん、久慈川りせ、そして菜々子ちゃんよ」
鳴上「」
いすず「次回に乞うご期待」
鳴上「何にだ!?」
という所で今日はここまでです。
エタらさん、エタらせはせんぞー!!
―――――――――――
正面ゲート警備室
ガヤ ガヤ キャッ キャッ
鳴上「…………」
コン コン
鳴上「どうぞ」
ガチャ…
鳴上「! ……あなたは」
鳴上「クリ」
栗栖「クリスマスでも、栗きんとんでも、栗饅頭でも、クリス○ル・キ○グでもない」
栗栖「栗栖隆也だ」
鳴上「クリ○タル・○ングまでは考えてませんでした」
栗栖「……やっぱりわざとだったか」
鳴上「それで? 何かご用ですか?」
栗栖「一応の最終確認だ」
栗栖「閉園を午後9時まで延長した様なので」
栗栖「その時間までは待ってやろう」
鳴上「…………」
栗栖「だが、その時間までに一人たりとも規定人数に達していなければ」
栗栖「このパークの経営権は甘城企画に移るから、そのつもりで」
鳴上「……はい」
栗栖「どうやったのか知らんが、随分頑張ったな」
栗栖「学生の身分でこの健闘ぶりは評価に値する」
栗栖「褒めてあげよう」
鳴上「結果も出ていないのに、もう勝利宣言ですか?」
鳴上「それとも……何か妨害工作でも?」
栗栖「こんなダメパークにそんな労力をかける必要などないさ」
栗栖「じゃあな。 夕方くらいにまた来るよ」
栗栖「せいぜい残り時間を楽しみたまえ」
栗栖「ふふふ……」
スタ スタ スタ…
鳴上「…………」
メープル城 臨時のラティファの部屋
トリケン「お加減はいかがですか? ラティファ様」
ラティファ「……はい、大丈夫です」
ラティファ「いよいよ……今日一日で、このパークの運命が決まるのですね」
トリケン「左様でございます。 しかし」
トリケン「鳴上様のご采配は見事の一言につきます」
トリケン「このトリケン、思わず前かがみしっぱなしでございまして」
トリケン「必ずや目標を達成なさる事と存じます」
ラティファ「……そうですね」
ラティファ「鳴上様なら、きっと……」
トリケン「はい。 どうぞ吉報をお待ちください」
ラティファ「ええ……」
ラティファ(…………)
ラティファ(……私は)
ラティファ(最後まであなたにご迷惑をおかけしてしまうのですね)
ラティファ(…………)
ラティファ(ううん……そんな事は支配人をお願いした あの時に分かっていたはず)
ラティファ(結局は、私の責任を彼に転嫁しただけ)
ラティファ(なのに……鳴上様は)
ラティファ(無責任な私の願いを聞き届け、全力でそれに答えてくれました)
ラティファ(…………)
鳴上「俺は……君の事をもっと知りたい」
鳴上「ラティファの綺麗な部分だけじゃなく、君自身が醜く思っている部分もすべて」
ラティファ(…………)
ラティファ(……女神リーベラ様)
ラティファ(虫のいい事なのは分かっています)
ラティファ(そんな資格なんて、私には無いのかもしれません)
ラティファ(でも……それでも)
ラティファ(ひとつだけ、お願いを聞いてください)
ラティファ(叶えてください)
ラティファ(どうか……どうか……)
ラティファ(お願いします……)
どうか、私の――
―――――――――――
中央広場
ガヤ ガヤ
花村「はい、何でしょう?」
花村「…………」
花村「エレメンタリオですね」
花村「それなら、ここをまっすぐ行って、突き当たりを右に曲がればありますよ」
花村「はい! どうぞ楽しんで来てください!」
花村「……ふう」
里中「は、花村!」
花村「おう、里中。 どうし……」
ビエーン! ビエーン!
花村「あ~……迷子か」
里中「悪いけどお願いしていいかな?」
里中「ちょっと急いでるのよ……」
花村「おう、わかった。 任せてくれ」
里中「ごめんね!」
タッ タッ タッ
花村「おーよしよし」
花村「すぐ迷子センターに連れて行くからな」
花村「お母さんやお父さんには、すぐ会えるぞ~」
ビエーン! ビエーン!
花村「ほらほらこっちだぞ~」
ビエーン! ビエーン!
花村「とにかく、お兄さんに付いて来てくれ。 な?」
迷子センター
花村「すみませーん、映子さん」
花村「迷子をお願いしまーす」
映子「はい」
ビエーン! ビエーン!
映子「あらあら、元気のいい子だね~」
映子「どこでパパやママとはぐれたのかな~??」
……モッフルノトコ
映子「モッフルのところか~」
映子「お名前は何ていうのかな~??」
花村(……さすがだぜ、映子さん)
ブリリアントマーケット
キャー! モッフルダー!
毛糸ノモッフルー!
完二「手作りのあみぐるみだぜ!……です」
完二「新発売だ!……につき、今日だけ50%オフの特売だ!……です」
直斗「どうぞ見ていってください」
直斗「甘ブリマスコット達のあみぐるみです。 記念にお一ついかがですか?」
直斗「毛糸ですので、洗濯も簡単ですよ」
直斗「あ、はい。 お買い上げありがとうございます!」
直斗「……え? 色違いのモッフル?」
直斗「巽くん、あるかな?」
完二「いや……作ってねえな」
直斗「そうですか……」
直斗「すみません、作ってないそうです」
直斗「はい、ティラミーですね?」
直斗「どうぞ」
完二「色違いか……考えて無かったぜ」
完二「けど、確かにあったら面白いかもしんねぇな」
直斗「そうですね」
直斗「こういうのに色違いがあったら、全部集めたくなるかも」
完二「今度、鳴上先輩に提案してみるぜ」
直斗「きっと許可してくれるでしょう」 クスッ
完二「へへっ……」///
メープルキッチン
ヤン「はい、4番と7番テーブルの注文上がりました」
椎菜「4番テーブル行ってきましゅ!」
椎菜「あわわ……」///
ヤン「大丈夫、落ち着いて」
雪子「7番テーブル行きますね」
ヤン「お願いします」
ヤン「ニックさん、3番と8番テーブルのオーダーをお願いします」
ニック「任せるニク!」
雪子「1番と6番テーブルのオーダー入りました!」
ヤン「そいつは一大事」
ヤン「……ふむ、2番テーブルの注文がやや遅れそうだね」
ヤン「天城さん、悪いけど少々遅れると2番テーブルに伝えてください」
雪子「分かりました」
ニック「3番テーブルのオーダー出来たニク!」
ニック「8番ももうちょっとニク!」
ヤン「了解です」
ヤン(次は1番と5番テーブルのオーダーか……?)
ヤン(いや、天城さんの動きなら9番テーブルを先にした方がいいか)
ヤン「ニックさん、次は1番と9番テーブルのオーダーをお願いします」
ニック「わかったニク!」
ニック「3番と8番、出来たニク!」
椎菜「私、行きます!」
ヤン「お願いします」
雪子「2番テーブル、追加オーダー入りました!」
ヤン「やれやれ、こいつは予想外」
ヤン「厨房(ちゅうぼう:調理場の事)にもっと人手が欲しいね……」
鳴上「なら、俺が手伝いましょう」
雪子「! 鳴上くん!」
ヤン「支配人代行さん。 いいんですか?」
鳴上「ええ。 こんな事もあろうかと」
鳴上「ここの料理は一通り作れるようになっています」
鳴上「ニック、隣りいいか?」
ニック「助かるニク」
ヤン「では2番テーブルの注文をお願いします」
鳴上「わかりました」
―――――――――――
午後
管理棟 休憩室
ティラミー「あ゛あ゛あ゛ー……疲れだぁ……」
マカロン「ここ始まって以来、初めての忙しさかもだロン……」
ティラミー「ホントだミーねぇ……」
ティラミー「誰かマッサージをしてくれないかミー……<●><●>」
ミュース「……こっちを見ないでください」
モッフル「…………」
モッフル「……いつか」
ミュース「え?」
モッフル「いつか、このくらいのゲストを」
モッフル「僕たちだけで呼べるようになりたいふも」
一同「…………」
ミュース「……そうですね」
マカロン「ホントにそうだロン。 今日で鳴上くん、居なくなるし……」
ミュース「!?」
サーラマ「ど、どういう事!?」
マカロン「元々3ヶ月だけって契約ロン。 なあ? モッフル」
モッフル「……ふも」
ミュース「……そうだったんですか」
サーラマ「…………」
ピン ポン パン ポン
キャストの皆様、午後の部を始めます
各自、配置に戻ってください
ティラミー「あ゛ー……もう休憩おわりかミー……」
マカロン「ぼやくなティラミー」
マカロン「鳴上くんの頑張りに応えるロン」
ミュース「……そうですね」
ミュース「行こう、サーラマ!」
サーラマ「うん」
―――――――――――
夕方
正面ゲート 警備室
コン コン ガチャ…
鳴上「オークロ」
鳴上「どんな感じだ?」
オークロ「支配人代行。 今、ゲートを通っているのが、最後のバス臨時便のゲストです」
ゾロ ゾロ ゾロ ゾロ…
鳴上「そうか……」
ゾロ…
鳴上「今のが最後の一人……」
鳴上「!?」
来場者数カウンター
本日
44170 人
年間累計数
497951 人
鳴上「な……!?」
バンッ!!
いすず「鳴上くん! 大変よ!」
いすず「スタジアムの席が……3分の1くらい空席になってるわ!」
鳴上「くっ……どうして!?」
バンッ!
サーラマ「鳴上くん! これを見て!」つ(スマホ)
鳴上「え?」
鳴上「…………」
鳴上「!!」
鳴上「コンサートチケットが……オークションに出品されている!?」
サーラマ「これたぶん……転売目的だと思う」
サーラマ「ネット販売されたチケット、何人かの買い占めが起きてて……」
サーラマ「今スタジアムにいるゲストは、当日券の人がほとんどみたい」
鳴上「く……なんて事だ……!」
サーラマ「中にはチケット自体を保存目的で買っている人もいるかも……」
鳴上「着券率は俺も予想していたが……くそっ!」
いすず「…………」
ワー! リセチー! ワー! ワー!
いすず「コンサート……始まったみたいね」
いすず「残り3時間で、あと2000人ものゲストを呼ぶなんて……」
栗栖「おや? 立て込んでいるみたいだな」
いすず「! あなたは……!」
栗栖「どうしたんだい? 何か問題でも発生したのかな?」
栗栖「ふふふ……」
いすず「まさか……あなた、妨害工作を!?」
栗栖「なんの事だい?」
いすず「この……!」
鳴上「やめろ、いすず……」
いすず「で、でも鳴上くん!」
鳴上「たとえ妨害工作であったとしても……」
鳴上「この現状は変えられ」
バンッ!!
モッフル「諦めるなふも!」
鳴上「モッフル……しかし」
モッフル「僕は最後まで諦めないふも!」
モッフル「みんな! 誰でもいいふも! 家族や友人……」
モッフル「知り合いでも何でもいいから、声をかけて、とにかく一人でも呼ぶんだふも!」
鳴上「!」
いすず「!」
サーラマ「!」
栗栖「…………」
鳴上「……そうだな、モッフル」
鳴上「まだ、諦める時間じゃない!」
いすず「各員に業務連絡として飛ばすわ!」
鳴上「頼む」
サーラマ「あたしもフォロワーに呼びかけてみる」
鳴上「よし……」つ(ケータイ)
鳴上「もしもし、陽介か?」
鳴上「緊急事態が起こった!」
鳴上「そこの仕事はもういいから、今すぐみんなを集めて正面ゲートまで来てくれ!」
鳴上「呼び込みを頼みたい!」
鳴上「急いでくれ!」
―――――――――――
花村「」
花村「あと2000人!?」
鳴上「そうだ」
鳴上「陽介たちの知り合いは、数時間でここに来ることはできない」
鳴上「だから、そこら辺を歩いている人に声をかけまくって」
鳴上「ゲートをくぐるだけでもいいから、と呼びかけてくれ!」
花村「分かったぜ、相棒!」
雪子「私、駅の方で呼び込んでみる!」
里中「雪子、あたしも行く!」
直斗「巽くん!」
完二「おう! そうと決まったら、早いとこ声かけまくるぜ!」
クマ「センセイ! クマに任せるクマ!」
鳴上「頼んだぞ! みんな!」
―――――――――――
一般キャスト休憩室
ラオウ「なんと……!」
ラオウ「このままでは ここが閉園になってしまうというのか!」
ヤン「あと2000人ですか……」
ヤン「やれるだけは、やってみましょう」
ルル「」
ルル(そ、そんな事情があったなんて!)
ルル(知っていればギアスを……いや、今からでも!)
ルル(…………)
ルル(さすがに難しいか……仕方ない)
ルル(正攻法で行く!)
ラオウ「……うむ、ラオウだ」
ラオウ「頼みたい事がある」
ラオウ「北斗、南斗、問わずにな」
ヤン「もしもし……ユリアンかい?」
ヤン「実は頼みたい事があってね」
ヤン「できれば、友達なんかにも伝えてくれるとありがたい」
ルル「……カレンか?」
ルル「至急メンバーを集めて伝えて欲しい。 緊急事態だ」
ルル「とにかく時間がない、頼む!」
タラモ「あーもしもしモグ。 甘ブリのタラモモグ」
タラモ「いやいや、今日は仕事の話じゃなくて、ちょっと頼みたい事が……」
ドルネル「もしもーし。 マルゲリータピザを頼むネル」
ドルネル「ただ、届ける際に甘ブリの正面ゲートを……」
テツヒゲ「こんばんはだゾウ。 ちょっと頼みたいんだゾウ」
テツヒゲ「無理を言うけど、できるだけ多人数で甘ブリの正面ゲートを……」
未来くん「そうなんだよ。 地球の危機……いや、甘ブリの危機なんだ」
未来くん「地球を救う延長線上だと思って、正面ゲートを……」
ニック「ニックニク。 いつもいい物仕入れてくれてありがとうニク。 助かってるニク」
ニック「けど、もう一つお願いを聞いて欲しいニク……」
オークロ「……いまさら昔のよしみを言うのはルール違反だと思う」
オークロ「けど、この通り頭を下げる。 助けると思って来てくれないか?」
レンチくん「おう、俺だ! すまねぇが緊急事態だ!」
レンチくん「何も言わず、とにかく集められるだけ人数集めて、甘ブリまで来てくれ! 頼む!」
トリケン「あ、いつもお世話になっております。 甘ブリの広報部長トリケンです」
トリケン「それで、ですね、ぶしつけで申し訳ないのですが……」
トリケン「お暇なら甘ブリの方へ一度お越し願えないでしょうか?」
??「……あ、リュウシさん。 ちょっと頼みたいんだけど」
??「商店街も都会も関係なく声をかけて、甘ブリに来て欲しいんだ。 頼めないかな?」
???「もしもし、俺だけど……兄ちゃん!? ……日本に帰ってたのか」
???「そうだ、兄ちゃん含めて頼みたい事があって……聞いてくれ」
????「ケンイチ氏。 少々困った事になったでござる」
????「ぜひ、お願いを聞いて欲しいのでござるが……」
マカロン「ようし。 僕もなりふり構わず声かけるロン」
マカロン「もしもし……ああ、いつもどうも。 ちょっと頼みたいんだけど……」
ティラミー「しょうがないミー。 ボクもとっておきを使うかミー」
ティラミー「もしもし。 あーちょっと伝えたいんだけど……」
モッフル「もしもし、タカミちゃんふも? お願いしたい事があるふも」
モッフル「今夜9時までにそこに居るお客さん含めて甘ブリに来て欲しいふも!」
鳴上「…………」
鳴上(なりふり構わず……か)
鳴上(…………)
鳴上(…………) ピッピッピッ…
鳴上「……もしもし、睦美か?」
鳴上「こんな時間にすまな……え?」
鳴上「…………」
鳴上「……分かった。 じゃあ今後は寺野と……は?」
鳴上「…………」
鳴上「どっちなんだ……」
鳴上「…………」
鳴上「……睦美、でいいんだな?」
鳴上「…………」
鳴上「じゃあ、本題に入るが……睦美にこんな事を頼める立場じゃないのは分かっている」
鳴上「だが、それでもお願いをしたい」
鳴上「睦美の知り合いや友達、とにかく声をかけて、できるだけたくさんの人で」
鳴上「甘ブリに来て欲しい。 頼む、睦美」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――
―――――――――
―――
―
甘ブリ 閉園一時間前
一同「…………」
いすず「……残り1時間を切ったわ」
マカロン「後は、来てくれる事を祈るのみだロン……」
ミュース「大丈夫……きっと来てくれます」
ミュース「きっと……」
花村「すまねぇ、悠……俺たちも出来るだけ頑張ったんだが」
花村「もう人通りが全く無くてな……」
鳴上「いや、謝らなくていい」
鳴上「陽介たちの頑張りで50~60人は来てくれた」
鳴上「感謝こそすれ、責めるなんて出来ない」
鳴上「よくやってくれた。 みんなありがとう」
花村「悠……」
ブロロロロロ…… キキィ
サーラマ「誰か来た!」
ミュース「! おばあちゃん!」
祖母「ふふふ、久しぶりね」
祖母「出来るだけ声をかけたんだけど……ごめんね、私だけで」
ミュース「ううん、そんな事ない」
ミュース「来てくれて、ありがとう!」
ゾロ ゾロ ゾロ…
タカミ「モッフルさーん!」
モッフル「タカミちゃん!」
タカミ「言われた通り、お客さんも連れてきましたよ~」
モッフル「ありがとう、ありがとうふも!」
モブ美「サーラマさーん!」
モブ子「いつも炎上、楽しませてもらってます~」
サーラマ「あたしのフォロワーキター!!」
ゾロ ゾロ ゾロ…
パンチパーマ「よーう」
マカロン「おー! 来てくれたかロン!」
いすず「あれは……どういう人なの?」
マカロン「普段よく行ってるパチ○コ店の店長と従業員ロン」
……ドドドドドドドドドドドッ!!
ウオオオオオオオッ!!
マカロン「……あっちは、どういう連中だロン? 血相変えた年増女ばかりだけど」
ティラミー「ウヘヘヘ……旦那に浮気をバラしたミー(震え声)」
オラァッ! ナンテコトシテクレンノヨー!!
ドカ!ドカ!ドカ!
ティラミー「あぎゃあああああああああああああああっ!!」
マカロン「……お前、すごいけど、イマイチ感心出来ないロン」
ティラミー「まだまだぁぁぁぁぁぁぁッ!! これからだミィィィィィッ!!」
…ドドドドドドドドドドドドッ!!
アイツカー! マオトコハー!!
ティラミー「これで倍になるミィィィィィィィぎゃあああああああああああああっ!!」
マカロン「……後で骨は拾ってやるロン」
ズシャ…
いすず「ん? あれは……誰かしら?」
バアアアアアアアンッ!!
ラオウ「待っていたぞ、ケンシロウ!」
ケンシロウ「ラオウ……」
ケンシロウ「またそんなコスプレを……」
ラオウ「い、今は仕事でやっておるのだ!」///
ケンシロウ「……いちおう声をかけて、来られるだけは連れてきた」
トキ「兄さん。 いい仕事をしているみたいだね」
ジャギ「兄者……いい加減卒業をした方が」
レイ「よっ、久しぶり」
シン「……ユリアの頼みだからな」
ユダ「ふふ……なかなか楽しそうな職場じゃないか」
シュウ「いきなり声をかけられた時は驚いたが」
シュウ「たまにはいいだろう」 クスッ
サウザー「ふん……なんだこの茶番は。 私は忙しいのだ」
お師さん「フォッフォッフォッ。 声をかけられて喜んでおったではないか、サウザー」
サウザー「お、お師さん!」///
ユリア「まあまあ。 せっかく来たのだから、みんなで楽しみましょう?」
バッド「だな。 行こうぜ、リン!」
リン「うん!」
リハク「うむ。 子供達の喜ぶ顔はいつ見てもよい」
フドウ「全くですな、リハクどの」
ヒューイ「お前が居るのは珍しいな、ジュウザ」
シュレン「俺も驚いたぞ」
ジュウザ「ふ……ただの気まぐれってやつだよ」
…ドドドドドドドドドドドドッ!
モヒカン「拳王様!」
モヒカン「お声をかけていただき……ありがとうございます!」
ラオウ「うむ。 うぬらも息災で何よりだ」
いすず(……暴走族でもやっていたのかしら?)
モヒカン「野郎ども! ゲートを通るぞ!」
モヒカン「ヒャッハー!!」
ヒャッハー!!
モッフル「……なんか、世紀末になってきたふも」
鳴上「考えたら負けだ」
いすず「人数的には大歓迎よ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
モッフル「な、何事ふも!?」
いすず「!」
いすず「モッフル卿! 上を!」
モッフル「上?」
モッフル「」
モッフル「あ、あれは、何ふも!? 宇宙船ふも!?」
ヤン「ああ、気にしないでください」
ヤン「ただの旧式の強襲揚陸艇ですよ」
モッフル「いろいろ突っ込みたいけど、あんたの知り合いふも!?」
ユリアン「提督!」
ヤン「やあ、ユリアン。 来てくれてありがとう」
ユリアン「いえ、こんな事くらいなら別に……それよりも戻ってきてくれませんか?」
ヤン「いいんだ、ユリアン。 今の状況も結構楽しいしね」
カリン「……こんばんは」
ヤン「お、これが噂のガールフレンドか。 ポプラン中尉から聞いているよ」
ヤン「ユリアンをよろしく」 クスッ
カリン「は、はいっ」///
ユリアン「もう……フレデリカさんも怒ってますよ?」
ヤン「う……黙ってここに来たからなぁ」
アッテンボロー「ははは! 先輩にも弱みがあるんですね」
キャゼルヌ「その辺にしておいてやれ」
キャゼルヌ「釘は刺しておいてやってくれ、と言っていただけだよ、ヤン」
ヤン「キャゼルヌ先輩!」
ヤン「まさか、先輩に来ていただけるなんて……」
キャゼルヌ「なぁに。 ユリアン坊や……おっと、この言い方は良くないな」
キャゼルヌ「ともかく、彼に頼まれたら嫌とは言いにくいよ」 クスッ
ビュコック「ふふふ、この老いぼれにまで足を運ばせおって」 クスッ
メルカッツ「……この場に私がいてもいいのだろうか?」
メルカッツ「どうも場違いな気がする……」
ムライ「……まったくですな」
パトリチェフ「まあまあ、いいじゃないですか。 お祭りですよ、お祭りだと思えばいいんです」
シュナイダー「その通りだと思います、メルカッツ提督」
ポプラン「そうそう。 硬いこと考えずにパーッと楽しめばいいだよ!」
コーネフ「お前はいつもハメを外しすぎるだろうが」
シェーンコップ「ふふふ。 まあ、とりあえずゲートをくぐりましょう」
シェーンコップ「積もる話は、その後でも出来るってね」
シェーンコップ「リンツ」
リンツ「はっ!」
リンツ「ローゼンリッター連隊!」
リンツ「甘ブリ正面ゲートを通過するぞ!」
オオー!!
モッフル「……あの人、マジで何者なんだふも」
いすず「気にしたら負けです。 考えないようにしましょう、モッフル卿」
鳴上「かなりの人数だな……ありがたい」
カレン「ルルーシュ」
ルル「カレン!」
カレン「言われた通り連れてきたけど……」
カレン「いったい何なの?」
ルル「詳しい事は また今度話す」
ルル「とにかく、来てくれてありがとう」
カレン「……ふん」///
シャーリー「いったい何を話してるの?」
ミレイ「まあまあ。 なかなか楽しそうじゃない♪」
リヴァル「そーそー。 楽しけりゃいいんだよ♪」
リヴァル「というか、あっちのコスプレ連中は何なんだ?」
ゾロ ゾロ ゾロ…
ゼロ?A「私がゼロだ!」
ゼロ?B「いいや、私がゼロだ!」
ゼロ?D「何を言う! 俺がゼロだ!」
ゼロ?E「あたしがゼロよ♪」
ゼロ?C「まったく……こんな茶番を私にまでやらせるなんて」
ゼロ?C「後で5枚はいただくからな……」
オレガー ワタシガー アタシヨー
モッフル「……もう何でもいいから、早いとこ通ってくれふも」
いすず「……どうしてみんな同じコスプレしてるのかしら」
鳴上「……何となく宗○団体にも思えてしまうな」
ムッタ「おーい、ヒビトー」
ヒビト「兄ちゃん! それにとーちゃんと、かーちゃんも!」
とーちゃん「うむ……まあ……たまには、な」
かーちゃん「あらやだヒビト、その制服、似合ってるわ~」
かーちゃん「とーちゃんの若い頃そっくりよ!」
ヒビト「へへっ」
ムッタ「悪いな、ケンジ。 それにセリカさん」
ムッタ「こんな事に突き合わせちまって……」
ケンジ「ムッくんの頼みごとじゃ断れないよ」 クスッ
ケンジ「夜の遊園地もたまにはいいものさ」
セリカ「そうですよ。 気にしないで南波さん」 クスッ
流子「丹羽く~ん」
エリオ「イトコー!」
真「リュウシさん! エリオ!」
流子「リュウコやっちゅーに!」
前川「私もいるぞー」
真「……相変わらず、すごい格好で来ますね」
前川「遊園地といえば着ぐるみでしょ?」
真「普通お客さんは着ませんよ……」
女々「まあまあ、硬い事は後でいいじゃない♪」
女々「さあ! 夜の遊園地に突撃ー!」
商店街組・都会組「オオー!」
ケンイチ「ハットリくん!」
ハットリ「ケンイチ氏!」
ハットリ「かたじけのうござる。 拙者、この恩義を忘れないでござる」
ケンイチ「ううん。 僕の方こそいつもお世話になってるし……気にしないでよ」
ケムマキ「けっ、何か知らないけど、こっちはいい迷惑だ」
ユメ子「迷惑?」
ケムマキ「う、ううん、何でもないよ、ユメ子ちゃん!」
シンゾウ「早く入ろうよ~」
獅子丸「全くだワン!」
影千代「同じくだニャア」
ピザ屋「えーっと、ここを通って……」
ゼロ?C「っ!?」
ピザ屋「ちわーっす、マルゲリータピザ、お持ちしました」
ドルネル「あ、ご苦労様~」
ドルネル「……ん?」
ゼロ?C「…………」
ドルネル「な、何ネル?」
ドルネル「これは僕の注文したピザネル」
ゼロ?C「……じゅるっ」
ルル「こらっ! C……レイヤーさん!」
ルル「意地汚い真似はするんじゃない!」
ゼロ?C「ち、違う! あのピザが……私を呼ぶのだ!」
ルル「なわけあるか! 諦めろ!」
ゼロ?C「あああああああ……」 ズルズルズル…
大学生「コボリー、おまたせー」
コボリー「わあっ!」
コボリー「みんな来てくれてありがとう!」
コボリー「私の通う大学のサークル仲間です!」
ドドドドドドドドドドドドッ!
シルコサーン!!
シルフィー「しる子、オンステージ!」
ワー!! ナマシルコダー!!
モッフル「……あれはどういう事だふも?」
いすず「どうも……シルフィーは」
いすず「ネットで人気のダンサーなのだそうです」
??「……鳴上くん」
鳴上「!」
鳴上「睦美! 来てくれたのか!」
雪子「え……」
里中「誰なの?」
直斗「……さあ」
サーラマ「それよりも睦美って、下の名前だよね?」
ミュース「……けっこう可愛い娘ですね」
アーシェ「……そうですね」
いすず「彼女は同じ学校の女生徒というだけよ」
いすず「特に親密というわけでは……」
寺野「とりあえず声かけて見繕って来たけど……」
土田「こ、こんばんは、鳴上先輩」///
木村「……こんばんは」
山本「…………」
佐々木「…………」
寺野「これでいいの?」
鳴上「ああ、本当にありがとう、睦美」
寺野「こ、このくらい、何でもないわよっ」///
いすず「……ないはずなのだけど」
いすず「なぜか腹が立ってきたわ」 ゴゴゴ…
アーシェ「奇遇ですね……私もです」 ゴゴゴ…
ミュース「私も……」 ゴゴゴ…
サーラマ「同じくー」 ゴゴゴ…
直斗「……分かります」 ゴゴゴ…
雪子「……ホントだね」 ゴゴゴ…
里中「……うん」 ゴゴゴ…
椎菜「……私も加えてください」 ゴゴゴ…
クマ「オ、オヨヨ……ヨースケ……」
花村「触れてやるな、クマ……」
完二「直斗……どうしちまったんだ?」
マカロン「こりゃタダじゃ済みそうになさそうロン♪」
コボリー「……何か嬉しそうですね」
モッフル「…………」 チラッ…
PM 20:55
モッフル「あと残り5分ふも!」
鳴上「来園者数はどうなっている!?」
来場者数カウンター
本日
46216 人
年間累計数
499997 人
鳴上「あと3人か……!」
いすず「…………」
いすず「鳴上くん……」
いすず「さっきの……寺野さん達で、キャストが呼んだゲストは……最後よ」
一同「!!」
鳴上「な……」
いすず「あとたったの3人なのに……!」
ティラミー「もう呼べる人居ないミー……」 ボロッ…
サーラマ「えーい! もう一度 拡さーん!」
シルフィー「同じくー!!」
ミュース「お願い、誰か……誰か来て!」
鳴上「くそっ……ここまで来て!」
ラオウ「ぬうううううう……」
ヤン「お手上げ……ですね」
ルル「…………」
ルル(くっ……やはりギアスを使うべきであったのか)
ルル(くそっ……!)
モッフル「残り3分ふも!」
栗栖「やれやれ……」
栗栖「どうやら、悪あがきもここまでの様だな?」
栗栖「鳴上くん。 ふふふ……」
鳴上「……っ」
……ダダダダダダ
オイッ! イソゲ!
オクレタノ トーチャンダロー!?
鳴上「……ん?」
親父DQN「うっせえ! 上司がなかなか離してくれなかったんだよ!」
母親DQN「とにかく急がないと閉まってしまうわ!」
ガキDQN「今週はまだ行ってないんだから! 早く早く!」
ルル「!!」
ルル(あれは……前スレ510レス目の話に出てきた)
ルル(俺がギアスをかけた親子!!)
モッフル「残り1分ふも!」
いすず「何で来てくれたのか分からないけど、急いで!」
親父DQN「ひいっ、ひいっ!」
カシャッ
499998 人
母親DQN「はあっはあっ!」
カシャッ
499999 人
ガキDQN「うおおおおおおおっ!」
カシャッ
500000 人
一同「…………」
モッフル「…………」 チラッ
PM20:59
パッ
PM21:00
モッフル「…………」 ワナワナ…
モッフル「……や、やったふも」
モッフル「50万人、達成したふも―――――――――――!!!」
ワ―――――――――――!!!
鳴上「は……はは……は……」
鳴上「や、やった……か」
ミュース「鳴上さんっ!」 抱きっ
サーラマ「やったね!」 ギュムッ
シルフィー「あはははは!」 ギュッ
コボリー「ありがとう!」 ギュッ
アーシェ「支配人代行っ」 ギュッ
雪子「ちょ!? みんなずるい!」 ギュッ
里中「鳴上くん!?」 ギュム
直斗「このくらいの出遅れなんてっ!」 ギュウウウ
椎菜「椎菜だって負けませんっ」/// グイッ
寺野「あ、あんた達! 何やってるの!?」
寺野「鳴上くんから離れなさいよ!」
土田「そ、そうですよ!」
鳴上「く、苦しい……」
花村「どうして!? なんで悠ばっかりー!!」
完二「……さすがッス」
クマ「クマにも抱きついてよくってよ~??」
モッフル「……なんかちょっと屈辱ふも」
マカロン「鳴上くんは本当にすごいロン」
ティラミー「ちょっと分けて欲しいミー」
モッフル「……でも」
キュム キュム キュム
モッフル「……悠」つ
鳴上「! ……モッフル」
モッフル「本当にありがとう。 悠は、甘ブリの大恩人ふも!」
鳴上「モッフル……」
メープル城 臨時のラティファの部屋
トリケン「ラティファ様!」
トリケン「ご覧下さい、この映像を!」
トリケン「奇跡です! 奇跡が起こりました!」
ラティファ「はい……本当に素晴らしいです」
トリケン「このトリケン、本当に、本当に前かがみでしてっ……!」
ラティファ(…………)
ラティファ(鳴上様……ありがとうございます)
ラティファ(…………)
―――――――――――
ワー ワー ガヤ ガヤ
ピーガガー(マイク音)
鳴上『あーあー……』
鳴上『みんな、そのままでいいから聞いてくれ』
一同「…………」
鳴上『本当に今日までよく頑張ってくれた』
鳴上『正直、最初、ここの支配人を頼まれた時』
鳴上『絶対に無理だろうと思っていた』
一同「…………」
鳴上『だが……もう言うまでもなく、それは俺の思い上がりだった』
鳴上『最後の最後で、俺はとんでもないミスをして』
鳴上『もうダメだと諦めた。 かけたんじゃなく、本当に諦めてしまったんだ』
一同「…………」
鳴上『だけど……みんなはそれでも諦めなかった』
鳴上『それが、大きな力となって、今日の奇跡を生んだのだと思う』
……ソレハチガウゼー
鳴上『え?』
レンチくん「おい、大将。 こう言っちゃなんだが」
レンチくん「お前さん、自分を過小評価しすぎだぜ?」
ミュース「そうですよ」
ミュース「3ヶ月前、支配人になってくれてから今日まで」
ミュース「私達に希望を見せ続けてくれたのは鳴上さんですよ!」
ソウダ ソウダ!
アンタガ イナカッタラ ヤバカッタンダゼ!
ワー ワー
鳴上『……ありがとう、みんな』
花村「へっ、そうだよな。 八十稲羽でだって」
花村「悠はいつだって俺たちに希望を見せてくれてたぜ!」
雪子「うん!」
里中「そうだね!」 クスッ
直斗「同感です」 クスッ
鳴上『ともあれ、俺としても本当にギリギリだったと思う』
鳴上『もう一度やれ、と言われてもたぶん無理だ……』
ドッ! アハハハ…
鳴上『今日は本当に疲れただろう。 みんなお疲れ様』
鳴上『これからも甘ブリは続いていく』
鳴上『明日以降に響かない程度に喜んで、ゆっくり休んでくれ』
鳴上『そして……俺の役目はここまでだ』
エ……
鳴上『俺はあくまで臨時の支配人』
鳴上『本来なら……俺無しでもやっていける様になっていないといけない』
一同「…………」
鳴上『契約で、あと5年の余裕ができた』
鳴上『きっと今の甘ブリキャストのみんななら、それだけの時間があれば』
鳴上『十分にやっていけると思う』
一同「…………」
鳴上『3ヶ月という短い間だったけど……本当に貴重で楽しかった』
鳴上『ありがとう』
一同「…………」
モッフル「…………」
…パチ パチパチパチ
モッフル「悠。 今までありがとうふも」
ミュース「モッフルさん……」
…パチパチパチ パチパチパチパチパチパチ!
ワー!
レンチくん「大将! これでさよならは言わねーぜ!」
レンチくん「困った事やここに来たい時は、遠慮なく来てくれ!」
アーシェ「そうです! 必ず来てください!」
ミュース「約束ですよ!?」
サーラマ「来なかったら、許さないんだから!」
ワー ワー ワー
花村「……これは辛ぇーなぁ」
雪子「うっ……ぐすっ……」
完二「気持ち……スゲー分かるッス……」
里中「私たちだって……鳴上くんと離れ離れになるの」
里中「辛かったもんね……」
直斗「ええ……そうですね」
クマ「クマはここで働き続けるクマよ~」
カラ カラ カラ…(車椅子)
ラティファ「鳴上様……」
鳴上「ラティファ……」
ラティファ「改めてお礼を言います。 本当にありがとうございました」
鳴上「いや……危ないところだった」
鳴上「期待に何とか答えられて良かったよ」
ラティファ「ふふっ」
ラティファ「……それで、ですね」
ラティファ「少し……鳴上様のお時間をいただけないでしょうか?」
鳴上「時間?」
ラティファ「はい」
ラティファ「今夜の12時まで……出来れば一緒に過ごしていただけると嬉しいのですが」
鳴上「…………」
鳴上「わかった、ラティファ」
ラティファ「ありがとうございます」
ラティファ「それでは、メープル城のテラスでお待ちしていますね……」
カラ カラ カラ…(車椅子)
鳴上「…………」
鳴上(ラティファ……)
鳴上(…………)
鳴上(……ん?)
栗栖「…………」
スッ…
鳴上「…………」
鳴上(……もうここに居ても意味は無いと思うが)
鳴上(皮肉めいた一言でも言いたいのだろうか……?)
―――――――――――
管理棟裏手
栗栖「やあ、鳴上くん」
栗栖「わざわざ来てもらってすまないね」
鳴上「いえ」
鳴上「それで、何の用ですか?」
栗栖「何……少し話をしたいと思っただけだよ」
栗栖「まず、見事な手腕だった。 褒めてあげよう」
栗栖「さすがは神託で選ばれただけの事はあるね」
鳴上「……運が良かっただけの」
鳴上「っ!?」
鳴上(今……『神託』で選ばれたと言った!?)
栗栖「どうしたのかね? 鳴上くん」
栗栖「随分警戒している様だが?」
鳴上「…………」
鳴上「……あなたは、いったい何者なんですか?」
栗栖「おや? 君にしては珍しく察しが悪いな」
栗栖「まあすぐに見当はつくんじゃないかい?」
鳴上「…………」
鳴上「……!」
鳴上(ラティファに呪いをかけた、魔法使いか!?)
栗栖「その顔。 やっと気がついたみたいだな」 ニヤ…
鳴上「……何が目的だ?」
栗栖「くくく……知れた事」
栗栖「呪いをかけたラティファが、苦しみ歪んでゆく様は」
栗栖「甘美にして我が喜び!」
栗栖「それを眺め続ける事こそ、我が望みよ!」
栗栖「フハハハハハハハ!」
鳴上「…………」
栗栖「どうした? 君の持つ力、ペルソナを使わないのか?」
栗栖「私を倒したくはないのか?」
栗栖「フフフ……」
鳴上「…………」
鳴上「……なるほど」
栗栖「……?」
鳴上「よくわかりました」
鳴上「それほど望むのなら……」
鳴上「特等席で彼女の苦しむ姿をお見せしましょう」
栗栖「……何を言っている?」
鳴上「ラティファが苦しむ姿を間近で見させてあげる、と言っている」
栗栖「バカか……お前」
栗栖「俺がラティファに危害を加えないとでも思っているのか?」
鳴上「ええ」
鳴上「ラティファを死なせてしまったら、あなたの望みは永遠に叶わなくなりますから」
栗栖「…………」
栗栖「……新たな呪いをかけてやるぞ?」
鳴上「ご自由に」
鳴上「もし、妨害が入るようなら俺が手助けしましょう」
栗栖「…………」
栗栖「お前……自分が何を言っているのか」
栗栖「分かっているのか?」
鳴上「ええ」
栗栖「…………」
栗栖「……いいだろう」
栗栖「その口車に乗ってやる」
鳴上「では、ついてきてくれ」
―――――――――――
メープル城 テラス
いすず「」
モッフル「」
いすず「な、何をやっているの!? 鳴上くん!!」
モッフル「よりにもよって、魔法使いをラティファに会わせるなんて!!」
モッフル「許せるわけ無いふも!!」
鳴上「イザナギ!」
モッフル「!!」
いすず「!!」
鳴上「……すまないが黙って見ていてくれ」
鳴上「何かあれば、俺の命を奪ってくれていい」
いすず「くっ……」
モッフル「いったい……悠はどうしたんだふも!」
イゴール「モッフル卿……」
イゴール「お客s……鳴上様には、何かしら考えがあるのでしょう」
イゴール「ここは静観すべきではないかと……」
モッフル「…………」
いすず「…………」
鳴上「……すまないな」
栗栖「話はすんだのかい?」
鳴上「ええ」
鳴上「ラティファ」
ラティファ「はい」
栗栖「…………」
ラティファ「あなたが、私に呪いをかけた魔法使いさんですね?」
ラティファ「初めまして」
栗栖「…………」
栗栖「ふ、ふふふ……苦しいだろうな、我が呪いは」
ラティファ「はい……とっても苦しいです」
栗栖「そ、そうだ……もっと……苦しめばいい」
栗栖「お前の父親が俺にした仕打ちは、そんな物ではなかったのだからな!」
ラティファ「…………」
ラティファ「……魔法使いさん。 一つ聞かせてください」
栗栖「……なんだ」
ラティファ「なぜ……私なのですか?」
栗栖「……なに?」
ラティファ「私のお父様が与えた仕打ちの仕返しなのに……」
ラティファ「なぜ、私がそれを受けなければならないのですか?」
栗栖「…………」
ラティファ「お答えください」
栗栖「……そ」
栗栖「その方が、お前の父親も苦しむと思ったからだ!」
ラティファ「……なるほど」
ラティファ「確かにあなたのおっしゃる通り、お父様も苦しむ私を見て」
ラティファ「苦しんでおられます」
栗栖「ふふふ……そうだろう」
栗栖「狙いは正しかったな」
ラティファ「私はあなたを恨みます」
栗栖「っ!?」
ラティファ「あなたがお父様から受けた仕打ちも」
ラティファ「全てはあなたの脅迫めいた要求に原因があります」
栗栖「…………」
ラティファ「その腹いせにお父様本人ではなく」
ラティファ「私を選んだ事を……私は恨みます」
栗栖「…………」
栗栖「ふ……」
栗栖「ふは……ふははははははははっ!!」
栗栖「いいぞ……もっと憎め」
栗栖「俺を憎んで憎みまくれ!」
栗栖「それこそが我が望み……」
鳴上「望みが変わったな?」
栗栖「!」
鳴上「どうした?」
栗栖「……貴様、何が言いたい?」
鳴上「俺は、あなたの『本当の望み』が何なのか」
鳴上「分かっている、という事だ」
栗栖「…………」
鳴上「あなたの本当の望み」
栗栖「やめろ……」
鳴上「それは――」
栗栖「やめろと言っている!!」
鳴上「僕を忘れないで……だ」
栗栖「違う!!」
栗栖「私はそんな事など望んでいない!」
鳴上「ラティファは、見ての通り」
鳴上「誰かを恨む様になってしまっている」
鳴上「あなたのかけた呪いによって、心が歪み……もう」
鳴上「あなたの知るラティファではない」
栗栖「だ、黙れ!」
鳴上「あなたはラティファに自分の存在を受け入れて欲しかった」
鳴上「あなたの望む、あなたのラティファのままで」
鳴上「だから呪いをかけた」
鳴上「苦しみを与え、記憶と成長を無かった事にし」
鳴上「追い詰められた自分にできる、最後の手段として」
栗栖「違うと言ってるだろう!!」
鳴上「しかし見ての通りラティファは変わってしまった」
鳴上「あなたが呪いをかけたせいで歪んでしまった」
鳴上「いくら記憶や成長を無かった事にしても、ラティファは歪んでいく」
鳴上「呪いをかけている限り、永遠に貴方の望むラティファは『居ない』」
栗栖「き……きさまああああああああああああああああああああっ!!」
鳴上「俺たちに危害を加えても同様だ」
栗栖「っ!!」
鳴上「あなたはラティファに呪いをかける事で、自分を忘れられない様にできたが」
鳴上「同時に自分の望むラティファを変えてしまった」
鳴上「だから『それが自分の望みだ』と自分を騙したんだ」
栗栖「う……ぐっ……」
鳴上「…………」
鳴上「さあ、よく見ろ」
鳴上「自分のしてきた結果を……」
鳴上「好意を寄せていたラティファに自分が何をしたのかを!」
ラティファ「…………」
栗栖「う……ぐ……」
栗栖「ぐああああああああああああああああああああああっ!!」
ボフンッ!
いすず「!?」
モッフル「くっ……!?」
鳴上「…………」
鳴上「ラティファ、体に何か変化は?」
ラティファ「…………」
ラティファ「……いえ、特に何も」
鳴上「そうか……逃げただけ、か……」
いすず「鳴上くん……説明して」
いすず「ラティファ様を危険にさらしてまで、何をしたかったの?」
鳴上「…………」
鳴上「あいつの良心に賭けてみただけだ」
モッフル「何を言ってるふも!?」
鳴上「少々端折るが、あいつとの会話で少し本心が垣間見えた」
鳴上「いすず達が話してくれた いきさつと、その会話から」
鳴上「ラティファに好意を寄せていると確信できたんだ」
いすず「でも、それだけで……」
鳴上「要はこうだ」
鳴上「ラティファに呪いをかけたのは追い詰められた末の結果で」
鳴上「本人はそんな事をしたくなかったのだと思う」
鳴上「だから、自分を騙す必要があった」
いすず「…………」
モッフル「…………」
鳴上「そして俺は、それを指摘した」
鳴上「自分の行いを直視させ……できれば」
鳴上「ラティファの呪いを解いてくれないものかと期待したんだ」
鳴上「あいつの良心に」
いすず「…………」
モッフル「……そうふもか」
モッフル「でも悠。 言いたい事や確信があったのは分かったけど」
モッフル「いたずらにラティファを危険にさらす様な真似はやめてくれふも」
鳴上「……悪かった」
いすず「…………」
いすず「モッフル卿……そろそろ時間が迫ってきました」
モッフル「!!」
モッフル「もう……そんな時間ふもか」
ラティファ「……はい」
ラティファ「もうすぐ7月31日が終わります」
モッフル「ラティファ……」
ラティファ「私にとっては、いつも初めての事なのですが」
ラティファ「やっぱり……辛いですね」
鳴上「…………」
ラティファ「去年は伯父様にいきさつを教えていただきました」
ラティファ「いいえ……もしかしたら、これまでずっとだったのかもしれませんね」
モッフル「…………」
ラティファ「毎年同じ事を言っているのかもしれませんが……」
ラティファ「記憶を無くしてしまった私の事をよろしくお願いします、伯父様」
モッフル「……気にするなふも。 分かっているふも」
ラティファ「いすずさん」
ラティファ「記憶を無くした後も、よろしくお願いします」
いすず「……心得ております」
ラティファ「イゴールさん、マーガレットさん」
ラティファ「呪いの事……どうかお願いします」
イゴール「はい。 必ず解く、という約束はできかねますが……尽力致しましょう」
マーガレット「これから起こる事、しっかりと観察し記録しておきます」
ラティファ「期待してます」
ラティファ「…………」
ラティファ「……鳴上様」
鳴上「何だ?」
ラティファ「鳴上様は私の事を歪んでいるとおっしゃいました」
ラティファ「それは……”嫌い”だという意味ですか?」
鳴上「全く違う」
鳴上「歪んだラティファも、ラティファの一部にすぎない」
鳴上「それを含めた全てが”ラティファ”という存在なんだ」
鳴上「嫌ってなどいない」
ラティファ「ふふっ。 何だかずるい言い方ですね?」
鳴上「そうとも。 俺にだって『ずるい自分』が居る」
ラティファ「あはは……やっぱりずるいです」
ラティファ「…………」
ラティファ「みなさん。 少しだけわがままを聞いてください」
ラティファ「しばらく……いえ、その瞬間までは」
ラティファ「鳴上様と二人だけにして貰えないでしょうか?」
モッフル「!」
モッフル「ラティファ、それは……」
いすず「……モッフル卿」
モッフル「いすず……」
モッフル「…………」
モッフル「……っ」
モッフル「…………」
モッフル「……わかった……ふも」
スッ…
キュム… キュム… キュム…
イゴール「では……わたくし共も少し離れましょう」
イゴール「問題はないな? マーガレット?」
マーガレット「はい。 我が主」
スッ…
スタ スタ スタ…
ラティファ「…………」
鳴上「…………」
ラティファ「鳴上様」
鳴上「何だ?」
ラティファ「…………」
ラティファ「私……本当は……」
ラティファ「記憶を無くしたくありません……!」
鳴上「…………」
ラティファ「今夜、こんなに素敵な奇跡が起こったのに」
ラティファ「力を合わせて、頑張ってきて素晴らしい一日だったのに……!」
ラティファ「そんな思い出や、いすずさんや伯父様達」
ラティファ「そして鳴上様と過ごしてきた毎日の事まで無くしてしまうなんて……」
ラティファ「私……私っ……」
ラティファ「ううっ……ぐっ……ひっく……」
ラティファ「……ぐすっ……ひぐっ……うあっ……」
鳴上「…………」
ギュッ…
ラティファ「!!」
鳴上「……すまない、ラティファ」
鳴上「呪いって奴が、姿形のある存在なら」
鳴上「ペルソナでも何でも使って何とかするんだが……」
鳴上「今の俺にしてやれる事は……このくらいしかない」
ラティファ「…………」
PM 11:58
ラティファ「……いいえ」
ラティファ「とても……嬉しいです」
ラティファ「とても……」
鳴上「…………」
ラティファ「…………」
鳴上「…………」
PM 11:59
ラティファ「…………」
ラティファ「鳴上様」
鳴上「うん」
ラティファ「私……嘘をつきました」
鳴上「……え?」
ラティファ「本当は……今日起こった奇跡より」
ラティファ「いすずさんや伯父様との思い出よりも……」
鳴上「…………」
ラティファ「あなたと……鳴上様と過ごしてきた思い出を無くす事の方が――」
AM 00:00
ラティファ「」
鳴上「…………」
鳴上「……ラティファ」
ラティファ「」
鳴上「…………」
鳴上(気を失った……みたいだな)
鳴上「…………」
鳴上「……っ」
マーガレット「…………」
マーガレット「!」
マーガレット「我が主……これをご覧下さい」
イゴール「ふむ……」
イゴール「…………」
イゴール「!」
イゴール「ほう……これは……!」
マーガレット「いったいどの様な事柄が起こったのでしょう?」
イゴール「分からぬ……が」
イゴール「これで謎は一つ解けたな……」
イゴール「ふふふ……」
―――――――――――
テラス脇付近
鳴上「……みんな」
ラティファ「」
いすず「ラティファ様……」
モッフル「ラティファ……」
モッフル「……っ」
モッフル「ともかく、ラティファを臨時の寝室へ運ぶふも」
モッフル「……例年通りなら、朝まで目を覚まさないふも」
鳴上「……そうか」
ラティファ「…………」
ラティファ「……ん……」
モッフル「!?」
いすず「え……」
鳴上「ラティファ。 気がついたのか……」
ラティファ「…………」
ラティファ「……鳴上……様?」
一同「!?」
モッフル「なっ!?」
いすず「お、覚えておられるのですか!? ラティファ様!!」
ラティファ「……?」
ラティファ「いすずさん、伯父様、何を言って……」
ラティファ「!!」
ラティファ「…………」
ラティファ「……覚えています。 何もかも」
ラティファ「辛かった事も、苦しかった事も……」
ラティファ「嬉しかった事も、楽しかった事も……この一年間にあった出来事、全部!」
ラティファ「ぐすっ……ひっく……ううっ……」
モッフル「ラ……ラティファ……!」
モッフル「よ……良かった……良かったふも!」
鳴上「ああ……その通りだ」
いすず「でも……どうして……?」
イゴール「それについて、わたくしが少々ご説明いたしましょう」
モッフル「イゴール!」
モッフル「もう呪いを解いてくれたふも!?」
イゴール「残念ながら、そうではありませぬ」
モッフル「じゃあ……どういう事ふも?」
イゴール「先日、ラティファ姫君の【シャドウ】の一件」
イゴール「あの時は、従来のペルソナ能力はおろか」
イゴール「モッフル卿の皆様に起こっている能力すら備わっておりませんでした」
一同「!!」
鳴上「じゃあ……ラティファは」
鳴上「記憶を忘れない、という能力を備えている……という事か!?」
イゴール「詳しくお調べしないとわかりませぬが……おそらくそうではないかと」
モッフル「おおおおおおおおおおおっ……!」
モッフル「ラティファ……!」
いすず「理屈はどうあれ……」
いすず「本当に良かったわ……ラティファ様」
鳴上「ああ……」
ラティファ「本当に……本当に……ありがとうございますっ」
ラティファ「鳴上様……みなさん……!」
ラティファ「私……私っ……ぐすっ……」
―――――――――――
深夜
甘ブリ 従業員出入り口付近
鳴上「それじゃ……いすず」
いすず「ええ……」
鳴上「…………」
鳴上「なあ、いすず」
いすず「え? 何?」
鳴上「改めて言うが……いすずのサポートはありがたいものだった」
鳴上「おかげで助かったよ」
いすず「いえ……こちらこそ」
鳴上「…………」
いすず「…………」
いすず「ねえ、鳴上くん」
鳴上「ん?」
いすず「……あなたには、あなたなりの人生設計があるのかもしれない」
いすず「でも」
いすず「もし……ほんの少しでも、ここに……」
いすず「甘ブリに思う所があるのなら……!」
鳴上「…………」
いすず「…………」
いすず「……ううん、何でもない」
鳴上「…………」
鳴上「そうか……」
鳴上「じゃ……またな」
いすず「…………」
いすず「うん……また」
スタ スタ スタ…
いすず「…………」
いすず(…………)
いすず(正直に……なれたらいいのに……)
鳴上「…………」
花村「よう」
鳴上「! ……陽介」
鳴上「待っててくれたのか?」
花村「まあな」
テク テク テク
花村「……いいところだな」
鳴上「ん?」
花村「甘ブリ」
鳴上「ああ」
花村「…………」
花村「正直言うと。 俺達からしたら、悔しい気持ちはあるが」
花村「ここで……やってみるのもいいんじゃねーか?」
鳴上「……陽介?」
花村「何て言うか、さ……」
花村「俺たちに気を使って、自分の気持ちに嘘はつかないで欲しいんだ」
鳴上「…………」
花村「さっきも言ったが、もちろんしこりが無いわけじゃない」
花村「けど……悠の思う通りに行動してもらいたいんだ」
花村「俺や里中達は、受け入れるのに少々時間がいると思うが……」
花村「きっと、お前の選ぶ道を応援すると、できる様になると、はっきり言えるぜ?」
鳴上「陽介……」
花村「ははっ。 らしくない話、しちまったな」
花村「ま……ゆっくり考えてくれ」
鳴上「ああ、分かった。 陽介」
花村「俺、甘ブリのバイトは、もうしばらく続けさせてもらうつもりだ」
花村「お盆くらいに八十稲羽へ帰るけどな」
鳴上「女の子か」 クスッ
花村「おおよ!」
花村「ぜったい一人はゲットする!」 ゴオオッ!
鳴上「ははは」
花村「じゃ、俺こっちだから」
花村「またな!」
鳴上「ああ、またな」
タッ タッ タッ
鳴上「…………」
鳴上(……俺の選ぶ道……)
鳴上(か……)
―――――――――――
8月1日 午前中
甘ブリ 管理棟 休憩室
ティラミー「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」
ティラミー「飲みずぎだぁ……」
マカロン「頭……超痛いロン……」
ミュース「おはようございまーす」
サーラマ「あはは、ダッサー!」
コボリー「もうすぐ開園ですよ」
シルフィー「シルフィー選手、華麗にコーナー回ったー!!」
キュム キュム キュム
モッフル「ティラミー、マカロン」
ティラミー「おはよう、モッフル」
マカロン「ロン」
モッフル「さ、早く広場へ向かうふも」
ティラミー「……は?」
マカロン「今日はいつも通りって聞いてるロン?」
モッフル「ラティファから挨拶があるんだふも」
ティラミー「ああ……そういう事ミー」
マカロン「じゃ……そろそろ行きますかロン」
―――――――――――
甘ブリ 中央広場
ザワ ザワ
ラティファ『あーあー……』
…………
ラティファ『皆さん、昨日はお疲れ様でした』
ラティファ『皆さんの頑張りのおかげで、今日からも営業できる運びとなり』
ラティファ『改めてお礼を言います』
ラティファ『本当にありがとうございました』
…………
ラティファ『…………』
ラティファ『……今日から、また通常の営業となり』
ラティファ『ゲストの来園が減る事が予想されますが』
ラティファ『ここにいる皆さんなら、きっと乗り越えられる問題だと思います』
…………
ラティファ『ですが……』
ラティファ『やはり不安は拭いきれないと思います』
…………
ラティファ『そこで……新しい支配人さんを雇う事にしました』
……エ!?
ラティファ『それでは、ご紹介いたしましょう』
ラティファ『甘城ブリリアントパークの新しい支配人に就任してくれた……』
ラティファ『鳴上悠様です!』
!?
鳴上『あーあー……』
鳴上『……おはよう、みんな』
…………
鳴上『ちょっと気恥ずかしいが……俺なりに考えた結果』
鳴上『このまま去っていくのは無責任だし、俺に出来る事もまだあると思って』
鳴上『再びここに来よう、という結論を出した』
鳴上『構わないだろうか?』
アッタリマエダー! オレノソウシツカンカエセー!
ヨクカエッテキテクレター!!
ワー! ワー!
鳴上『ありがとう』
鳴上『……それでは、挨拶としては短いが』
鳴上『これからもよろしく頼む』
アア! コッチコソナー!
鳴上『では、これから開園する』
鳴上『みんな、今日も一日、精一杯ゲストをもてなそう!』
オオ――!!
ようこそ! 甘城ブリリアントパークへ!
パーク閉園期限まで
あと残り 0 日
必要来園者数
0 人
目標達成!!
リセット!
パーク閉園期限・条件まで
あと残り 365 日
必要来園者数
500000 人
―――――――――――
―――――――――――
鳴上「追求」
いすず「考察」
鳴上・いすず「二次創作ー」
パチパチパチ
鳴上「……やっと終わったな」
いすず「何を言ってるの?」
鳴上「え? 最終回じゃないのか?」
いすず「だってまだあなたが刺されてないし」
鳴上「その必要はないだろう!?」
いすず「訂正するわ」
いすず「菜々子ちゃんに刺されてないし」
鳴上「もっとダメだ!!」
いすず「しかし色々と詰め込んだ回だったわね」
鳴上「……今回も臨時で雇ったバイトの皆さん、大活躍だったな」
いすず「銀○英○伝説の戦艦一隻なら2000人はおろか」
いすず「5000人は乗っているらしいし……10000人でも何とかなりそう」
鳴上「あの作品は人数インフレが激しいからな……」
鳴上「だが○河○雄伝説、北○の拳、コー○ギ○ス、宇○兄弟」
鳴上「電○女と○春男、忍者ハッ○リくんなど」
鳴上「そうそうたる、いろんな人たちが応援に駆けつけてくれて楽しかった」
鳴上「二次創作ならではの醍醐味と言えるな」
いすず「おかげでジュネス達の影が薄い薄い」
鳴上「真面目に陽介たちの前で言うのは、止めてやってくれ……」
いすず「そういえば」
鳴上「ん?」
いすず「>>1は臨時のアルバイトを代替キャラとして描いたのよね?」
鳴上「ああ」
鳴上「アニメでは政治家→○リュー○ヒト→心情的に使いたくないからヤン」
鳴上「マスクマン→筋骨隆々→ラオウ」
鳴上「高校球児→中の人繋がり→ルル」
鳴上「宇宙飛行士→宇○兄弟→ヒビト」
鳴上「忍者→世代の関係でハッ○リくん」
鳴上「という事らしい」
いすず「歌舞伎の人と、○波女と青○男に何の関係もないわね?」
鳴上「…………」
いすず「歌舞伎の人と、○波女と青○男に何の関係もないわね?」
いすず「大事な事なので2回言いました」
鳴上「それについては、入れたかっただけ……かな?」
いすず「本当に抜けているわね」
鳴上「…………」
鳴上「それよりも真面目に次回があるのか?」
いすず「ええ」
いすず「私が掴んだ情報によると……」
いすず「菜々子ちゃんが夏休みを利用して甘ブリに来るそうよ」
鳴上「楽しそうだな」
いすず「それと同時に、女の子のフラグ回収もするとか」
鳴上「……キャ○ジン用意しておこう」
本当にお待たせしました……今日はここまでです。
―――――――――――
数日後
鳴上の部屋
ピピピ…… ピピピ……
鳴上「はい。 もしもし?」
堂島『悠か? 俺だ、悠』
鳴上「叔父さん! 久しぶりですね」
堂島『ははは。 本当にな』
堂島『それでな、悠。 ようやく俺の休みが取れたんで』
堂島『それを利用して、そっちへ菜々子と一緒に行こうと思っているんだ』
鳴上「分かりました。 もちろん大歓迎です」
堂島『そうか。 それで日にちなんだが……』
堂島『お盆前の8月9日~12日の3泊4日でいいだろうか?』
鳴上「はい。 大丈夫です」
鳴上「親には俺から伝えておきますので」
堂島『すまんが頼む』
堂島『それから……ほら、菜々子』
鳴上「!」
菜々子『……もしもし、お兄ちゃん?』
鳴上「ああ、菜々子。 久しぶり」
菜々子『うん!』
菜々子『菜々子、もう夏休みの宿題 終わらせたの』
鳴上「すごいな」
菜々子『えへへ……だから、いっぱいお兄ちゃんと遊びたいな』
鳴上「ああ。 いっぱい遊ぼう」
鳴上「今こっちには陽介たち、八十稲羽のみんなも居るんだ」
鳴上「だからみんなとも遊べるぞ」
菜々子『…ふうん』
鳴上「菜々子?」
菜々子『! な、何でもないよ、お兄ちゃん』
菜々子『お姉さん達やクマさんとも会えるんだね!』
菜々子『菜々子、楽しみにしてる!』
鳴上「うん、俺も楽しみだ」
鳴上「じゃあ、叔父さんと代わってくれるかな?」
菜々子『うん! お父さ~ん』
鳴上「…………」
堂島『……という事で、よろしく頼む』
堂島『父親としては、正直ショックだが……菜々子のあんな嬉しそうな顔』
堂島『久しぶりに見たよ』
鳴上「叔父さん……」
堂島『ははは、すまん。 愚痴ってしまったな』
堂島『俺も出来るだけ菜々子の傍に居てやろうと思っている』
堂島『どこか遊園地とか、水族館とか、案内をしてくれると助かるんだが』
鳴上「それなら任せてください」
鳴上「ぜひ、紹介したいテーマパークがあります」
堂島『そうか。 それじゃまた当日連絡する』
鳴上「はい」
ブッ… ツー ツー
鳴上「…………」
鳴上「菜々子がこっちに来るのか」
鳴上「甘ブリ……気に入ってくれると……」
鳴上「いや」
鳴上「今の甘ブリなら、きっと菜々子も気に入ってくれるだろう」
―――――――――――
翌日の朝
甘ブリ 執務室
鳴上「いすず」
いすず「何かしら?」
鳴上「実は……お盆前に休みを取りたい」
いすず「休み……分かったわ」
いすず「具体的に取りたい日にちは あるのかしら?」
鳴上「8月の9日~12日のいずれか」
鳴上「できれば全部休みたいんだが……さすがに無理だよな」
いすず「全部……4日間も?」
いすず「!」
いすず(……でも、その休み中に)
いすず(こっそり鳴上くんと会って……親密になれるかもしれない)///
いすず「……差し支えなければ、理由を聞いてもいいかしら?」
鳴上「以前言ってた従姉妹」
鳴上「菜々子がお父さんと一緒に、夏休みを利用してこっちに来るんだ」
鳴上「それで……」
いすず「なるほど。 そういう事」
鳴上「…………」
いすず「分かったわ。 何とかスケジュールを詰めてみる」
鳴上「!」
鳴上「本当か?」
いすず「その代わり、今週一杯は かなり忙しくなると思うけど……」
いすず「それでもいいかしら?」
鳴上「ああ、菜々子の為なら頑張れる」
いすず「そう」
いすず「では、その方向で進めておくけど……」
いすず「もしかして、菜々子ちゃんをここに連れてくるつもり?」
鳴上「そうだが……何か問題があるか?」
いすず「……いえ」
いすず「でも、できれば把握しておきたいと思って」
鳴上「そうか」
鳴上「なら、行く日にちが決まったら、いすずに連絡する」
いすず「待ってるわ」
いすず「…………」
―――――――――――
昼
甘ブリ 社員食堂
ガヤ ガヤ
花村「へえ! 菜々子ちゃん、こっちに来んのか!」
花村「きっと喜ぶだろうな!」
鳴上「ああ。 最高の思い出を作ってやりたいと思ってる」
鳴上「それで、みんなには悪いんだが……」
鳴上「菜々子がこっちに居る間は、休みを取ってな」
花村「休み? と言うとどれくらいだ?」
鳴上「9日~12日の4日間だ」
里中「…………」
雪子「…………」
直斗「…………」
完二「へえ……それはずいぶん長く取ったっスね」
鳴上「いすずに無理を言ってな」
鳴上「そんな訳で、陽介達には迷惑をかけるが……すまない」
花村「へへっ! 気にすんなよ、相棒!」
クマ「そうクマ! 安心してクマたちに任せて欲しいクマ!」
クマ「あ! でもでも、ナナちゃん、甘ブリに連れてきて欲しいクマ!」
鳴上「もちろん連れてくるつもりだ」
鳴上「いち客として、甘ブリを菜々子と楽しもうと思ってる」
ハハハ…
里中(これは……)
雪子(チャンス……!)
直斗(いくらなんでも、全部を菜々子ちゃんに割く事は無いはず……!)
サーラマ(いいこと聞いた)
ミュース(ちょうど定休日と重なるし……)
アーシェ(上手くすれば、きっと……)
椎菜(せせせせ、先輩とっ)///
二人きりになれるかも……!
里中(さっそく後でメールして予定を聞いておかないと)
雪子(きっと……早い者勝ちになる!)
直斗(今の内に予定を組んで、ねじ込んでおかないと!)
サーラマ(鳴上くんの性格からして、後から来たモノは正直に断るわねー)
ミュース(そ、それとも、直接言った方が効果的かな!?)///
アーシェ(夜ならば……私の方に部があるはず)///
椎菜(アピール! ととと、とにかく! アピールしないとっ!)///
ゴゴゴ…
マカロン「……何か部屋の空気が重いロン」
ティラミー「ボクは温度が上がった様に思ったミー」
モッフル「おばちゃん、カツ丼おかわりふも(棒)」
―――――――――――
夕方
甘ブリ 従業員出入り口付近
テク テク テク
鳴上「さて、明日から忙しくな……」
直斗「鳴上先輩!」
鳴上「直斗? どうしたんだ?」
直斗「あのっ! 今度の休み……お願いしていた服のショッピングに」
直斗「つ、つつつ、付き合って欲しんですがっ!」///
鳴上「ああ……そうだった」
鳴上「いつだったかの報酬、まだだったな」
鳴上「今度の休み、というと……」
直斗「8月の10日になります」
鳴上「8月10日……」
鳴上(ちょっと抜けるくらいなら菜々子も許してくれるだろう)
鳴上「分かった、直斗」
鳴上「何時がいい?」
直斗「!」
直斗「そ、それでは……朝の10時くらいからお願いします」
直斗「あ、場所は甘城駅前のバス停あたりでどうでしょう?」
鳴上「分かった」
直斗(よしっ!)///
直斗「楽しみにしてますね!」///
鳴上「ああ」
直斗「それじゃ!」///
タッ タッ タッ…
鳴上「…………」
鳴上「さて、帰るか」
スタ スタ スタ
アーシェ「あの、支配人代行……」///
鳴上「アーシェ?」
鳴上「こんな所で珍しいな。 何かあったのか?」
アーシェ「その……」///
アーシェ「今度のお休み、夕食を一緒にどうか、と思いまして」///
鳴上「夕食? 俺と?」
アーシェ「は、はい」///
鳴上「…………」
鳴上「まあ、俺でいいのなら」
アーシェ「!」///
アーシェ「あ、ありがとうございますっ」///
鳴上「それで、いつ?」
アーシェ「は、はい。 今度の10日の夜8時くらいにレストラン甘城で……」///
鳴上「レストラン甘城って……あの高層ビルの?」
鳴上(場所も値段も高いと聞いたことがあるんだが)
アーシェ「料金の事なら、ご心配なさらないでください」
アーシェ「ちょっとコネがありまして、格安で食べさせて貰えるんです」
鳴上「そうなのか」
鳴上「そういう事なら、分かった」
アーシェ「!」///
鳴上「ええと、レストラン甘城で夜の8時だったかな?」
アーシェ「はいっ」///
鳴上「忘れないよう、手帳に書いておく」
アーシェ「楽しみにしてます」///
アーシェ「では……」///
スタ スタ スタ…
鳴上「…………」
鳴上「さて、帰」
ピピピッ… ピピピッ…
鳴上「……もしもし」
鳴上「…………」
鳴上「りせ?」
鳴上「…………」
鳴上「10日の夜?」
鳴上「……あいにくとちょっと予定があってな」
鳴上「翌日のよ……」
鳴上(いや……トップアイドルのりせに そんな余裕はない)
鳴上「分かった、りせ」
鳴上「そうだな……夜の9時くらいに何とか戻ろ……」
鳴上「え? 遅すぎる?」
鳴上「うーん……それじゃあ、逆に7時はどうだろう?」
鳴上「…………」
鳴上「そうか、良かった」
鳴上「じゃ、10日の夜、7時に」
ブッ… ツー ツー
鳴上「…………」
ピピピッ… ピピピッ…
鳴上「……今度はメールか」
鳴上「…………」 ピッ
Re:天城
鳴上くん。 私、お盆くらいには帰らないといけないから
最後の思い出に一緒に遊べないかな?
予定としては10日がいいんだけど……お返事待ってます。
Re:里中
鳴上くん。 あたし、お盆には帰らなくちゃいけなくて……
それで出来たら、最後の思い出が欲しいって思ったんだ。
10日、空いてないかな? 良かったら一緒に過ごしたの。
どうかな?
Re:椎菜
10日、空いてないですか? 1時間でもいいんです。
会ってお話したいです。
Re;睦美
この前は鳴上くんのお願い聞いてあげたんだから
こっちのお願いも聞いてよね。
10日、時間作って。特別に1時間で許してあげるから。
Re:香苗
こんにちは、土田香苗です。 名前、覚えてくれました?
私、10日、暇なんですが。 良かったら会えないですか?
できれば会いたいです。
Re:サーラマ
ちわー。 10日、会いたいんだけど。
返事よろしくー
Re:ミュース
鳴上さん、10日、何かご予定はあるのでしょうか?
無ければ、お会いしたいのですが。
鳴上(…………)
鳴上(何故みんな10日なんだ……)
鳴上(…………)
鳴上(あ……)
鳴上(そういえばこの前、毎週は無理でも)
鳴上(隔週で定休日を儲けよう、という事になって)
鳴上(それが10日だった……そういう事か)
鳴上(それにしても睦美や香苗まで同じ日になるなんて……)
鳴上(…………)
鳴上(どうする? どうすればいい?)
鳴上(…………)
―――――――――――
夜
鳴上の部屋
鳴上「…………」
鳴上(……とりあえず、全員に会うと仮定して)
鳴上(時間と場所を約束した3人は固定)
鳴上(となると……)
AM10:00 直斗と服選び
PM19:00 りせと自宅で食事
PM20:00 アーシェとレストラン甘城で食事
鳴上(となるな)
鳴上(…………)
鳴上(ともかく、1人一時間として予定を組んで打診してみよう)
―――――――――――
鳴上(…………)
AM10:00 直斗と服選び
AM11:00 ミュースと服選び
PM12:00 昼食(休憩)
PM13:00 睦美とショッピング
PM14:00 香苗と小物選び(ショッピング)
PM15:00 サーラマと喫茶店で話
PM16:00 椎菜と公園で待ち合わせ
PM15:00 里中と天城を自宅に招待
PM19:00 りせと自宅で食事
PM20:00 アーシェとレストラン甘城で食事
鳴上(…………)
鳴上(真面目に不安になって来た)
鳴上(唯一の救いは、みんな快く了承してくれた事だが)
鳴上(タイムスケジュール通りに行くかどうか……いすずの大変さが良く分かる)
鳴上(…………)
鳴上(菜々子……)
鳴上(いや、菜々子なら、きっと許してくれる)
鳴上(その翌日は思い切り、菜々子と遊ぼう)
―――――――――――
翌日の朝
甘ブリ 執務室
鳴上「いすず」
いすず「何かしら?」
鳴上「菜々子とは、定休日後の11日に行こうと思う」
いすず「分かったわ」
いすず「甘ブリ、気に入ってくれるといいわね」
鳴上「大丈夫だ」
鳴上「きっと楽しんでもらえると思う」
いすず「私達も全力でお迎えするわ」
―――――――――――
ラティファの部屋
いすず「――という訳で」
いすず「鳴上くんは、早めの夏休みを取る事になりました」
ラティファ「まあ、鳴上様の従姉妹様がいらっしゃるのですか」
いすず「はい」
ラティファ「確か、小学2年生なのですよね?」
いすず「その通りです」
ラティファ「うふふ。 これは気合を入れて、おもてなしをしないといけませんね」
いすず「ラティファ様?」
―――――――――――
8月9日 夕方
鳴上の家
ピンポーン
鳴上「!」
ガチャ
鳴上「伯父さん、菜々子。 いらっしゃい」
菜々子「お兄ちゃん!」
堂島「久しぶりだな、悠」
鳴上「ええ。 さ、どうぞ。 上がってください」
堂島「姉さんは?」
鳴上「もうすぐ帰ってくると思います」
堂島「そうか」
菜々子「…………」
堂島「菜々子、疲れただろう」
堂島「しばらく休んでいるといい」
菜々子「だ、大丈夫だよ」
鳴上「菜々子、無理は良くないぞ?」
菜々子「無理なんてしてないよ、お兄ちゃん」
鳴上「そうか」
鳴上「なら、夕飯までゲームでもするか?」
菜々子「うん!」
鳴上「伯父さんも一緒にどうですか?」
菜々子「!」
堂島「俺も? あいにくゲームとか、やった事が……」
菜々子「大丈夫だよ! お父さんも一緒にやろう!」
堂島「あ、ああ、分かった。 分かったよ、菜々子」
堂島「悠、教えてくれ」
鳴上「ええ。 任せてください」
ハハハ…
―――――――――――
菜々子「…………」 zzz
堂島「……やっぱり疲れていたんだな」
鳴上「ええ」
鳴上「…………」つ(タオルケット)
ファサ…
鳴上「そっとしておきましょう」
堂島「そうだな」
堂島「俺も一休みするとしよう」 クスッ
鳴上「どうぞ」 クスッ
―――――――――――
翌日 8月10日の朝
鳴上の家
菜々子「お兄ちゃん、おはよう!」
鳴上「おはよう、菜々子」
菜々子「今日は何して遊ぶ?」
鳴上「……それなんだが、菜々子」
鳴上「今日はちょっと用事があるんだ」
菜々子「え……」
鳴上「夕方には帰ってくる」
鳴上「それに八十稲羽のみんなも来てくれるんだ」
菜々子「…………」
鳴上「あと、明日」
鳴上「明日は遊園地に行こう」
菜々子「…………」
菜々子「みんなで?」
鳴上「ああ、伯父さんと俺とで一緒に回ろう」
菜々子「…………」
菜々子「うん! 分かったよ、お兄ちゃん!」
菜々子「菜々子、楽しみにしてるね!」
鳴上「ああ、俺も楽しみだ。 菜々子」
堂島「よし、菜々子。 今日はお父さんと一緒にゲームでもするか?」
菜々子「そうだね! お父さん、一緒に遊ぼう!」
堂島「ようし。 お父さん負けないぞ~」
菜々子「うふふ!」
鳴上「…………」
鳴上「それでは、伯父さん」
鳴上「俺、出かけてきます」
堂島「ああ。 悠も何かと忙しいのは分かっている」
堂島「気にしないで出かけてくれ」
鳴上「すみません……」
鳴上「じゃ、菜々子。 夕方にな」
菜々子「うん!」
―――――――――――
午前中
甘城市 都心部
直斗「…………」
スタ スタ スタ
鳴上「直斗」
直斗「!」
直斗「鳴上先輩!」
鳴上「すまない、待たせたか?」
直斗「いえ、そんな事ありませんよ」
直斗「時間通りです」
鳴上「それじゃ、さっそくブティックへ行くか?」
直斗「は、はい!」
―――――――――――
鳴上「直斗はどんな感じの服を買おうと思っているんだ?」
直斗「そ、そうですね……」
直斗「…………」
直斗「やっぱり……その、す、スカート、とか」///
直斗「数が少ないので……」///
鳴上「スカートか」
直斗(よし、ここだ! ここで聞くんだ! 白鐘直斗!)
直斗「そ、そうだ!」///
直斗「せ、先輩は、どういった感じのスカートが、こ、好み、ですか?」///
鳴上「俺の?」
鳴上「うーん……」
直斗「…………」 ゴクッ
鳴上「どれかと言えばミニだが……」
直斗(ミ、ミニ! やっぱり男性だから、ですね!?)///
鳴上「でも直斗」
鳴上「いきなりミニはきついだろう?」
直斗「い、いえ! そんな事は!」///
鳴上「いいんだ、無理しなくて」
鳴上「直斗は直斗らしく、自然体の服装で過ごせばいい」
直斗「で、ですが……」
鳴上「俺は無理して背伸びしている直斗より」
鳴上「自然体で普通にしている直斗の方が好きだな」
直斗「」///
直斗の方が好きだな
直斗が好きだな
直斗好きだ
直斗(鳴上……先輩)///
鳴上「直斗?」
直斗(…………)/// ボー…
鳴上「直斗!」
直斗「!」 ハッ!?
直斗「す、すみません、鳴上先輩!」///
鳴上「大丈夫か?」
直斗「は、はい! 大丈夫です!」///
鳴上「良かった」
直斗「で、では……適当に選んでみます」
鳴上「ああ」
―――――――――――
アリガトウゴザイマシター
直斗「先輩、今日はありがとうございました」
鳴上「いや……俺が役に立てたのなら光栄だ」
直斗「…………」
直斗「……そろそろ時間ですね」
鳴上「ああ。 すまない、直斗」
鳴上「今日は予定が立て込んでいてな」
直斗「いえ」
直斗「お忙しいのに付き合っていただいて嬉しかったです」
鳴上「今度はもっと時間を作ろう」
直斗「……え?」
直斗「でも、今回は以前の仕事の報酬でしたし……」
鳴上「何を言っているんだ、直斗」
鳴上「このくらいの事なら、またいつでも付き合う」
鳴上「報酬とか、そんな他人行儀なことを言わないでくれ」
鳴上「俺達の仲だろう?」 ニコッ
直斗「」///
ロロロロロッ… キキィ
鳴上「おっと、バスが来た」
鳴上「じゃ、またな」
直斗「は、はい!」///
直斗「また!」
プシュー パタン
ブロロロロロッ…
直斗「…………」
直斗「また……いつでも」
直斗「…………」///
直斗「鳴上先輩……」///
―――――――――――
甘城市 ショッピングモール付近
ミュース「…………」
ミュース「あ」
タッ タッ タッ
鳴上「すまない。 少し遅れてしまった……」
ミュース「いえ、大丈夫ですよ」
ミュース「私もついさっき来たところですから」
鳴上「そうか。 じゃ、服選びに付き合おう」
―――――――――――
ミュース「う~ん」
ミュース「鳴上さんはこれとこれ。 どっちがいいと思います?」
鳴上「そうだな……こっちはスポーティだし」
鳴上「そっちのは薄手で動きやすそうだ」
ミュース「答えになっていませんよ……」
鳴上「ミュースに似合のか?という問いなら、両方とも似合うと思う」
鳴上「甲乙付けがたいな」
ミュース「じゃあ……」
ミュース「鳴上さんの好みだと、どっちですか?」
鳴上「俺の?」
鳴上「だったら……薄手のこっちの服だな」
ミュース(鳴上さんの好みは、こういう服かぁ)///
ミュース「じゃ、じゃあ、せっかくなので、この薄手のやつを買いますね!」
鳴上「あ、ああ」
鳴上「ミュースが(その服を)好きになってくれると嬉しいな」
ミュース「」///
ミュースが好きになってくれると嬉しいな
ミュースが好きになって
ミュースが好き
ミュース(も、もう、すでに好きですよ……鳴上さんっ)///
スタ スタ スタ…
鳴上「?」
―――――――――――
ミュース「お時間、大丈夫ですか?」
鳴上「ああ、大丈夫だ」
ミュース「すみません……はしゃいじゃって」
鳴上「いいんだ」
鳴上「ミュースの新たな一面が見られて、俺も嬉しい」 ニコッ
ミュース「~~~ッ!」///
鳴上「?」
ミュース「…………」
ミュース「……あのっ、鳴上さん」
ミュース「今度は……もっとたくさんご一緒してもらいたいんですけど」
ミュース「いいですか?」
鳴上「もちろん構わない」
ミュース「!」///
鳴上(ミュースはエレメンタリオのリーダー的存在だからな……)
鳴上(本当は込み入った話がしたかったのだろう)
鳴上「時間が取れそうになったら連絡する」
ミュース「は、はい! お待ちしてます」
ロロロロロッ… キキィ
鳴上「おっと、バスが来た」
鳴上「それじゃ、ミュース。 またな」
ミュース「はい、鳴上さん」
プシュー パタン
ブロロロロロッ…
ミュース「…………」
ミュース「私、本気ですから」///
―――――――――――
鳴上「睦美のそういう姿。 似合ってて好きだな」
寺野「」///
―――――――――――
鳴上「香苗はいつもいいセンスを持ってて好きだな」
土田「」///
―――――――――――
鳴上「サーラマの私服。 始めて見たけど、俺は好きだな」
サーラマ「」///
―――――――――――
鳴上「椎菜は(以下略)」
椎菜「」///
―――――――――――
夕方
鳴上の家の前
花村「……はあ」
クマ「元気出すクマ、ヨースケ」
花村「何故だ……あれだけ可愛い娘がフリーで居るのに」
花村「どうして俺には なびかないんだよぉ……」
完二(断られてすぐ、次の女の子に声を掛けてるからじゃねーのかなぁ……)
クマ「ささ! センセイのお家に着いたクマ!」
クマ「ナナちゃんと遊ぶクマよ~」
花村「そーだな……」
花村「菜々子ちゃんは将来有望そうだし……」
完二「花村先輩……考え方が最低っスよ?」
クマ「ピンポン押すクマ!」
ピンポーン
インターホン『……はい?』
クマ「やっほー! ナナちゃん! クマクマよ~!」
花村「おいクマ吉。 ちょっと黙ってろ」
花村「すみません。 花村って言うんですが……悠は居ますか?」
インターホン『陽介?』
花村「お? 悠なのか?」
インターホン『今、玄関を開ける』
ガチャ…
鳴上「陽介、よく来てくれ……」
鳴上「どうした? 元気が無いみたいだが」
花村「ハハハ……だ、大丈夫だって」
花村「気にしないでくれ」
クマ「ヨースケは女の子にフラレまくっただけクマ」
完二「ッス」
花村「うっせーよ!?」
鳴上「ははは。 まあ何でもいいさ」
鳴上「ちょっと騒がしいけど、来てくれて嬉しい。 菜々子も喜ぶと思う」
鳴上「上がってくれ」
花村「おう! お邪魔しまー……ん?」
クマ「およ? ゲンカンが靴でいっぱいクマ」
完二「しかも……これって女モノばっかじゃねースか?」
花村「……そこはかとなく嫌な予感がする」
クマ「ヨースケ何言ってるクマ! 女の子がいっぱいクマ!」
完二「先輩、お客が来てんのなら……」
鳴上「いや、構わないから。 上がってくれ」
三人「…………」
花村「じゃ……行くか?」
クマ「クマ!」
完二「お邪魔しまーっス」
直斗「…………」
里中「…………」
雪子「…………」
ミュース「…………」
サーラマ「…………」
寺野「…………」
土田「…………」
椎菜「…………」
菜々子「…………」
花村「」
完二「」
クマ「おお~! みんな来てたクマか~♪」
花村(やべぇ……めちゃくちや帰りてぇ)
花村(どうしてこうなったのか さっぱり分からんが)
花村(噴火寸前の火山の火口に居る様なもんだろ!? ここ!!)
鳴上「じゃ、陽介、完二、クマ」
鳴上「俺は夕食の準備があるんでな」
鳴上「しばらく みんなとくつろいでいてくれ」
花村(絶対くつろげねーよ!!)
花村(でも恐ろしくて声に出せねぇ!!)
花村「お、おう。 夕食の準備か」
花村「す、すまねぇな」
鳴上「ああ、大丈夫だ」
クマ「それにしても~サーちゃんやミューちゃん達まで居ると思わなかったクマ」
クマ「センセイに呼ばれたクマ?」
ミュース「……そういう訳じゃないんだけど」
サーラマ「……どんなところに住んでるのかな、って思って来てみたら」
寺野「……鳴上くんに見つかって」
土田「……良かったら上がって、と言われて」
椎菜「……お邪魔させてもらいました」
クマ「そういう事だったクマか~」
クマ「さすがセンセイクマ。 懐が深いクマ!」
花村(悠らしいけど、明らかにしちゃ駄目な事だろ!? それ!)
完二(直斗……元気ねぇな)
堂島「…………」
堂島「……なあ、花村くん」
花村「……はい?」
堂島「悠の奴……大丈夫なのか?」
花村「…………」
花村「……たぶん」
堂島「…………」
花村「…………」
堂島「……末恐ろしい奴なんだな。 悠は」
花村「……ですね」
その後。
PM19:00に りせも加わり、盛大な夕食パーティとなった。
……俺としては心をこめて、精一杯料理を作ったのだが
なぜか、みんなの反応はイマイチだった。
ただ、美味しいと みんな言ってくれたのだが。
クマだけが唯一、はしゃいで盛り上げてくれて助かった。
宴も終わり、ふと時計を見ると
PM20:00前になっている事にようやく気がつき
本日最後の約束の場所へ 俺は慌てて家を飛び出した。
―――――――――――
レストラン甘城 店内
アーシェ「…………」
アーシェ「…………」 チラッ…
PM20:32
アーシェ「…………」
アーシェ(支配人代行……どうなさったのかしら)
ザワッ…
アーシェ「? 何の騒ぎ……」
アーシェ「!」
ボーイ「何度も言いますが、そんな泥だらけでのご入店は遠慮ください」
鳴上「すぐに済みますから、そこを何とか……」
アーシェ「支配人代行」
鳴上「!」
ボーイ「!」
鳴上「アーシェ……」
ボーイ「……お客様のお知り合いですか?」
アーシェ「はい」
ボーイ「その……大変失礼なのですが」
アーシェ「では……12番テーブルの予約はキャンセルで」
アーシェ「シェフにすみません、と、お伝えください」
ボーイ「承りました」
鳴上「…………」
―――――――――――
近くの公園 ベンチ
鳴上「本当にすまない、アーシェ」
アーシェ「いえ。 それよりもその有様……どうなさったのですか?」
鳴上「ちょっと慌ててしまって……うっかり転んでしまって」
アーシェ「それでそんな泥だらけに?」
鳴上「近道しようとしたのがいけなかった……」
鳴上「おまけにケータイも泥水で壊れるし」
鳴上「急がば回れ、ということわざを身にしみて理解した……」
ア-シェ「まあ……」
鳴上「この埋め合わせは……」
アーシェ「そんな気を使わなくてもいいですよ」
アーシェ「それよりも支配人代行」
鳴上「え?」
アーシェ「夏風邪を引いた時も思いましたが……」
アーシェ「あまり無理をなさらないでください」
鳴上「…………」
アーシェ「幸い、見たところ服がボロボロになるだけで済んだ様ですが」
アーシェ「もしこれでお怪我をなさったら……私も責任を感じてしまいます」
鳴上「す、すまない。 これからは気をつける」
鳴上(本当は左足が折れてペルソナで直した、なんて言えないな……)
ア-シェ「約束ですよ?」
鳴上「分かった」
アーシェ「安心しました」
アーシェ「それでは……今日は残念でしたが」
アーシェ「また、今度」
鳴上「ああ、恥ずかしい所を見せたな……」
鳴上「今度は、アーシェにいいところを見せて高感度を上げたい」
アーシェ(こ、高感度を上げたい!?)///
アーシェ(そんな心配、無用ですよっ)///
アーシェ「し、失礼しますねっ」///
スタ スタ スタ…
鳴上「?」
―――――――――――
鳴上の家
鳴上「ただいま」
堂島「お、帰って来たか、悠……ん?」
堂島「どうしたんだ? その姿は?」
鳴上「急いで近道しようとして、つまずいて泥水の中へ転んでしまいました」
堂島「おいおい、大丈夫なのか?」
鳴上「はい、大丈夫ですよ」
鳴上「……ふう」
堂島「……さすがに疲れているようだな」
堂島「菜々子も悠の帰りを待って起きていたんだが、さっき寝てしまった」
鳴上「!」
鳴上「菜々子が……」
鳴上「すみません、伯父さん」
堂島「……謝る事はないさ」
鳴上「でも……」
堂島「いいんだ。菜々子も悠の事情は分かっている」
堂島「そのかわり、明日はよろしく頼むぞ? 悠」
鳴上「はい、伯父さん」
―――――――――――
客間
菜々子「…………」zzz
鳴上「……菜々子」
鳴上(…………)
鳴上(ごめん、菜々子)
鳴上(明日は思い切り楽しもうな……)
鳴上(…………)
鳴上(おやすみ、菜々子)
―――――――――――
―――――――――――
鳴上「追求」
いすず「考察」
鳴上・いすず「二次創作ー」
パチパチパチ
いすず「実に一年ぶりの投下ね」
鳴上「しかも一話で終わらせるつもりが、まさかの前後編だ」
いすず「……いつもは>>1を擁護するのに」
いすず「珍しく攻撃的ね」
鳴上「いや、もうフラグという名の爆弾を仕掛けまくっている状況だし」
鳴上「>>1は俺に何か恨みでもあるのか?と思ったくらいだ……」
いすず「私としては非常にワクワクしているわ」
鳴上「帰る」
いすず「まあまあ」
いすず「ハーレムの可能性もあるのだし、きっと大丈夫よ」
鳴上「何の根拠もないじゃないか!」
いすず「骨は拾ってあげる」
鳴上「真面目に帰らせてくれ……」
いすず「さて、時間が経ちすぎて忘れている人も多いでしょうけど」
いすず「アニメでは、謎PVを作成して大団円を迎えていたわ」
鳴上「もう明らかに原型を留めていない」
いすず「菜々子ちゃんが絡んでくるから仕方ないわね」
鳴上「もっと……こう、静かで、穏やかな終わり方だってできたはずだろうに……」
鳴上「どうしてこうなった……」
いすず「受け狙いでしょう」
鳴上「笑いを取るために俺を犠牲にしないでくれ……」
いすず「なら」
いすず「逆に某『学校の日々』みたいに」
いすず「○血の結末という終りを……」
鳴上「絶対に止めてくれ!?」
いすず「乞うご期待」
鳴上「ペルソナァァァァァァァァァァッ!!」
エタらせないぞっ!
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