「え、俺が死んだ!?」 (134)

夢で見ただけなので不定期更新

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1430454198

1章第1話 「仲間だね!」

和樹「…へ?」

女性「何惚けた顔をしてるの?黒本和樹君」

和樹「いやいやいや、意味わかんねぇし」

和樹「ってかあんた誰!?」

女性「ああ、自己紹介が遅れたわね」

紫「私は中原紫(ゆかり)。こう見えて霊界ではそこそこ古株よ?」

和樹「…わっかんねぇ」

紫「ざっくり説明しちゃえば、貴方は死んだ。そして私に選ばれた」

紫「OK?」

和樹「NO」

紫「あら、結構ノリは良いのね」

和樹「こう見えてクラスじゃ人気者だったからな…じゃねぇよ!」

和樹「何が何だかさっぱり分かんねぇよ!ジャンプだったら10周打切りコースだよ!」

紫「安心なさい。まだカラーが終わって白黒に移る前の広告位よ」

和樹「いまいちピンとこねぇ…」

紫「あら?分からない?大して面白くもない集英社原作のゲームとか紹介してる…」

和樹「もうジャンプの件はいいよ!」

紫「何よ、最近の若い子はすぐキレるんだから」

和樹「誰のせいだよ…」

紫「…さぁ?」

和樹「あんただよ!いいからとっとと説明しろ!」

紫「…」

和樹「…」

紫「あれ、今度は例えないの?」

和樹「いや俺フットボールアワーのツッコミの人じゃねぇし!」

紫「おお、きたきた。ちなみにその人の名前は後藤輝も」

和樹「いいから!ツッコミの人の名前とかどうでもいいから!」

紫「んー、まあ説明しろって言っても、どこから説明したらいいか…」

和樹「選んどいてそれはないだろ…」

紫「あ、じゃあまずここから」

紫「貴方は死んだ」

紫「これは確定事項。なんで死んだか覚えてる?」

和樹「覚えてるわけねぇだろ。そもそも死んだって事すら認識できてねぇのに」

紫「覚えてない」

和樹「は?」

紫「さてここで問題です」

和樹「問題?」

紫「親より早く死ぬとどうなるのか答えなさい」

紫「走って!」

和樹「え、あ、ちょっと」

和樹「ってフレンドパークじゃねぇか!」

紫「おー!今時の若い人がよく知ってたねぇ」

和樹「親が好きだったんだよ…おちょくってんなら帰るぞ」

紫「いやちょっと待ってちょっと待ってお兄さん!」

和樹「なんで急にラッスンゴレライ始めんだよ」

紫「あなた帰るとこないですや〜ん」

和樹「続けんのかよ…」

和樹「ってちょっと待て!」

紫「なんですのん?」

和樹「ラッスンゴレライはもう良い!話進まねぇわ!帰るところがないって…」

紫「あ・な・たとっおくぅに死っんでるかぁらぁ帰るところはありません♪」

和樹「ハチロク意地でも続けるのかよ…」

紫「お、伝わったー」

紫「で、さっきから言ってるけどあなたが死んでるっていうのは本当。じゃなきゃそもそも私と会話できないもん」

紫「私も死んでる。貴方も死んでる。仲間だね!イェーイ!」

和樹「…まあいい。百歩譲って俺が死んだとしよう。続き教えろ」

紫「そこでさっきの問題」

和樹「問題…?」

和樹「ああ、親より先に死ぬとどうなるかって」

紫「そうそう」

和樹「伝承だと…賽の河原がどうとかって奴か?」

紫「イエース。一つ積んでは親のため…でも鬼が来て崩しちゃう…ってやつだね」

紫「ブラック企業もびっくりだよ」

和樹「んで、それが正解なのか?」

紫「ノーット。正解は今の私達そのものだよ」

和樹「は?」

紫「だから、親より先に死ぬと私達みたいに霊体になってこの世界に住み着いちゃうの」

和樹「ちょっ…少し待て。理解が追いつかない」

紫「理解が遅いなぁ…適合しなさい?それがこの世界で生きていくための手段よ」

和樹「そのドヤ顔見る限り何かのネタをぶち込んできたみてぇだけど今俺それどころじゃないから」

紫「なんだー、つまんなーい」

紫「じゃあ続きね。と言っても生きてる内と変わったことはそんなにないよ」

紫「まず肉体的に変わったことと言えば空を飛べるようになったこと」

紫「あと霊能力…霊を呼べるとかそーゆーのじゃなくてどちらかと言うとゆーゆーはくしょ的な?」

紫「レイガーン!とかが近いかな?」

和樹「なんだそれ」

紫「あれ、それは知らないんだ」

紫「まあ超能力的なものが使えると思って差し支えないよ」

紫「肉体的にはそれぐらいかな?」

紫「私たちは怪我もするし頭と胴体が離れたり心臓をぶち抜かれれば死ぬ」

紫「まさに人間は二度死ぬって奴だね!」

紫「まあそんな甘っちょろいもんじゃないらしいけど」

紫「あ!あと怪我が治るのもすごい早いよ!足が千切れても生きてれば大体は全治3日!」

紫「そういう意味ではかなり頑丈だね」

紫「ここまではOK?」

和樹「…OKじゃねぇけど続けろ」

紫「はいはい」

紫「そして変わったこと外面的版!」

紫「私達は基本的に同類にしか見えない!」

紫「一般ピーポーは私達のことを認識すらできないって事だね!」

紫「まあたまに見える人もいるんだけど…」

紫「それでも浮いてない限り気づかないよ!」

紫「なにせ見えてもこんななりだからね。それこそ一般ピーポーと大差ないさ」

紫「さて、此処までが私達幽霊の基本知識ね!」

紫「さて、ここからが本題。君を呼んだのは私。それはわかるよね?」

和樹「さっき言ってたからな」

紫「それはね、君が中々に優れた霊的パワーを持ってたからなんだよね」

紫「そんで、その霊的パワーを使って助けてほしい子がいるんだ」

紫「お、ちょうどいい所にきたよ。あの子」

女の子「……」

和樹「…あれも俺らと同類か?」

紫「んー、半分正解」

紫「あれは悪霊…正確には悪霊の卵だね」

紫「見て、あのレイプ目、猫背」

紫「タイプ的には悪食型って奴だね」

和樹「悪霊?卵?悪食型?」

紫「悪霊…二種類あるんだけどそれは後で説明するね」

紫「その悪霊に成りかけてるから悪霊の卵」

紫「その悪霊にもタイプってのがあってさ」

紫「まあポケモンの水とか炎とかそーゆーの」

紫「で、あの子は悪食型」

紫「心に刻み込まれた悪意だけが行動理念なのさ」

紫「だから行動してないときはこうして無気力に彷徨ってる」

和樹「…はぁ」

紫「ピンときてない顔だね」

紫「まあそーゆーのは後で教えてあげる。まずはあの子助けてからね」

和樹「…了解」

紫「さて、私達がやらなきゃいけないことは彼女を解放させる事」

和樹「…解放?封印とかじゃなくてか?」

紫「あれがもう封印されてる状況だべさ」

和樹「はあ??」

紫「私達が言う封印っていうのは…まあ面倒くさいからざっくり言うと、掃除機のフィルターに鍵をかけるようなもんなのよ」

紫「フィルターに鍵かけてもゴミは吸える…けど」

和樹「溜まったゴミは捨てられないって事か」

紫「そゆこと」

紫「ピンときてない顔だね」

紫「まあそーゆーのは後で教えてあげる。まずはあの子助けてからね」

和樹「…了解」

紫「さて、私達がやらなきゃいけないことは彼女を解放させる事」

和樹「…解放?封印とかじゃなくてか?」

紫「あれがもう封印されてる状況だべさ」

和樹「はあ??」

紫「私達が言う封印っていうのは…まあ面倒くさいからざっくり言うと、掃除機のフィルターに鍵をかけるようなもんなのよ」

紫「フィルターに鍵かけてもゴミは吸える…けど」

和樹「溜まったゴミは捨てられないって事か」

紫「そゆこと」

紫「そんで、そのフィルターの鍵を開けるから」

和樹「解放って訳か」

紫「イエース」

和樹「んで、その解放とやらはどうすりゃ良いんだ?」

紫「あの子をボコボコにする」

和樹「おい」

紫「ちなみに手段は問わないよ?霊能力でダメージを与えるもよし」

紫「もちろんこの拳でぶん殴るもよし」

紫「霊体同士なら物理で殴ってもダイジョーブ!」

和樹「てい」

紫「痛い!」

紫「何故急に私を殴る!?」

和樹「試したくなって」

和樹「あとさっきからずっとムカついてたから」

紫「シット!自業自得だったか!」

紫「まあいいや」

紫「そしてボコボコにしたら…」

紫「術式を唱えて彼女を解放する」

紫「それでミッションコンプリート」

和樹「なるほど…つまり俺はあの子をボコボコにする役と」

紫「そのとーり」

和樹「やりたくねー」

紫「そんなこと言ってられないよ?あの子は悪食型。因みにその悪意の矛先は」

女の子「あー……んあ?」

和樹「ん…?あれは…小学生?いや、中学生か?こんな時間に出歩いてんじゃ…」

紫「12歳程の少女。見つけると死に至らしめるような状況に追い込む」

女の子「あああ!」

和樹「って言ってる場合じゃねぇ!」

女の子「うああお!」

和樹「ガッ…つぅ…」

紫「おお。幼女の身代わりに拳を受けるとはやるねぇ」

和樹「言ってねぇで手伝え!」

紫「あー、じゃあ時間稼ぎお願い」

紫「解放式練るから」

和樹「おい!素人一人で戦えってのか!」

女の子「あー!」

和樹「ったく…テメーは何やってんだ!」

パシィ!

女の子「あ…うう?」

紫「おー、ビンタだよビンタ」

和樹「てめーに何があったか知らねーし心の底からどうでもいいけどよ」

和樹「俺らはどうやら死んじまったみてえで」

和樹「しかも最高に親不孝な形らしいぜ?」

和樹「そんな俺らが同じよーなの増やしちゃだめだろうよ」

女の子「あ…ああ」

女の子「お…兄…ちゃん」

和樹「あ?俺は一人っ子だが」

紫「もしかしなくてもその子が自分のお兄ちゃんのこと思い出してるだけだと思うよ」

女の子「なん…で…」

女の子「とー…じゃな…くて…」

女の子「あき……なの…?」

紫「おっとハートが弱っている!チャンス!」

和樹「え、ボコボコにするって心でも良いの!?」

紫「汝自ラ忠キ想イ魂ノ底ヨリ甦レ」

和樹「呪文はそれっぽいのな!」

紫「解放術、発動!」

和樹「魔法陣的なやつがあいつの周りを…」

紫「的なじゃなくて魔法陣だよ。正式には術式円って言うけど」

女の子「あああ!いやぁぁぁ!」

紫「おう…興奮するねぇ」

和樹「すんなボケ」

女の子「ああ…お兄ちゃん…」

和樹「だから俺は一人っ子だっつーの」

紫「あれ、私の話聞いてた?」

和樹「八割話半分」

紫「八割なのか五割なのか分かりづらいねそれ」

紫「あー、ねえねえ、私わかる?」

和樹「知り合いか?」

女の子「…あなた達、だれ?」

和樹「知り合いじゃねぇのかよ」

紫「取り敢えず、名前、言える?」

橙華「塩原…橙華」

紫「とーかちゃんね、なんで死んだか覚えてる?」

橙華「死んだ…?」

橙華「…お腹空いてて…でもご飯作る気なくて…出前も飽きちゃって…動く気もなくなって来て…」

橙華「だんだん眠くなってきて…」

紫「孤独死…かな?微妙に違うけど」

和樹「で、どうすんだよ。この調子じゃこの子二度目の孤独死迎えんぞ」

紫「それは大丈夫。私たち衰弱死はしないから。そもそもご飯食べようにもタダ飯食らいだよ」

和樹「…それもそうか」

紫「でも無視は出来ないねえ。今回は霊体になった瞬間から封印されてたんだろうけど、このままじゃ今度は悪霊に封印されちゃうよ」

和樹「悪霊?さっきのとは違うのか?」

紫「そういうのも、この子がもう少し落ち着いてからね」

和樹「あ、ああ」

紫「さて…忙しくなるなぁ」

第1章第1話「仲間だね!」 結

第2話に続く…

次回書き溜め出来次第投下

要望があったのでざっくりとしたものだけ

もう少し掘り下げたのは一章終了時に

黒本 和樹 (享年16)
主人公。故人
面倒事を背負い込んでしまう体質。死因は現在不明。若干口が悪い

塩原 橙華 (享年?)
故人
悪霊と化していた所を紫と和樹に解放される。外見的には11〜13歳くらい

中原 紫(享年28)
和樹を見出した?人。故人
和樹が死んでから初めて出会った人。和樹と共に橙華を解放する。

思ったより時間かかりそうだから一章だけ投下

第2話「戯れ?」

和樹「あれから3日経った訳だが…」

橙華「お兄ちゃん……」

和樹「こいつあれから「お兄ちゃん」しか言ってねぇんだけど」

紫「参ったなぁ…」

橙華「お兄ちゃん……」

和樹「いい加減ウゼェ」

紫「さて…二度も説明するのは面倒だしなぁ…」

紫「先にこの子を正気に戻そうか」

和樹「はあ?お前が三日三晩続けた1人ラッスンゴレライはなんだったの?」

紫「戯れ?」

和樹「何の!?」

紫「いや、この子、幼いなりに中々可愛かったからさ…」

紫「天岩戸的な考えだったんだけど…普通無理だよね」

和樹「じゃあこの三日間無駄じゃねぇか…」

紫「さて、まずはこの子のお兄ちゃんとやらを探そうか」

和樹「そっからどうすんだ?」

紫「臨機応変に対応する」

和樹「つまりノープランか。わーった」

紫「あ、ツッコんではくれないのね…ここら辺は和樹君の地元な訳だけど…塩原って名字に心当たりはある?」

和樹「…一人いたな」

紫「ビンゴ!」

和樹「いや、あいつに妹がいたなんて話聞いたことねぇぞ」

紫「なんだよー、使えないなあ」

和樹「殴るぞ」

紫「やめて和樹くんのパンチはマジで痛いから開けちゃいけない扉解放しちゃうから」

和樹「…取り敢えず行くだけ行ってみるぞ」

紫「そだね。ほら、行くよ橙華ちゃん」

橙華「お兄ちゃん……」

和樹「と言いながらついてくるのな」

ーー塩原家ーー

和樹「ここのはずだが…」

紫「そうだね。表札にもしっかり塩原と書いてある」

和樹「で、どうすんの」

紫「取り敢えず中を見てみようか」

和樹「不法侵入じゃねぇか」

紫「霊体だから人間の法は関係ないよ」

和樹「おい」

紫「もちろん倫理は守らなきゃいけないけどね」

紫「失礼しま〜す」

和樹「待てよ!」

紫「ほらほら和樹くん」

和樹「んだよ…あれは…遺影か」

紫「イエイ!」

和樹「倫理はどこに行った」

紫「…ごめん、調子乗った」

紫「あの写真は…橙華ちゃんだね」

紫「まだ遺骨もあるし、少なくとも発見されたのはここ最近って事かな」

紫「あの見るからに若い男の子が君の知ってる塩原くん?」

和樹「ああ、間違いない」

紫「へぇ…中々イケメンだねぇ」

紫「まああんな魂の抜けた様な面構えじゃ、寄ってくる女の子も居ないだろうけど」

紫「彼は君と同級生?」

和樹「一応な。いつ死んだかわかんねぇからはっきりとは言えないけど」

紫「それでも同級生だよ」

紫「あ、そうだ。物はついでに塩原くんの部屋も覗いてみようか。君がいつ死んだのかも分かりそうだ」

和樹「…まあここまで来たら仕方ねぇ」

紫「君は塩原くんの部屋を見てきな。私は他の部屋を見てくるよ」

和樹「おー」

ーー塩原兄の部屋ーー

和樹「まずは机か…」

和樹「上にあるのは…数Aの教科書、とノートか…学年は…一年か」

和樹「俺が死んだのもつい最近って事だな」

和樹「ってか今日は…7月15日…つまり俺と紫が出会ったのは12日…」

和樹「ん?なんだこの写真立て…伏せられてる」

バチィ!

和樹「痛ぇ!」

和樹「なんだこれ!お札でも貼ってあんのか?」

紫「そんなもの一般家庭にあるわけないだろう?」

和樹「紫…随分と早かったな」

紫「すぐ終わることだったからね」

紫「と言うより私は年上で先輩だよ?様とは行かなくともさんくらいはつけてもいいんじゃない?」

和樹「尊敬できない人に敬称と敬語は使わない主義なんだ」

紫「うわー、絶対仕事できないよその主義」

和樹「もう死んでるんだから関係ねえだろ?」

紫「あら、受け入れたの?」

和樹「橙華に言っちまったからな…納得は出来ねぇけど、諦めるしかねえだろ」

紫「なるほど、発言の責任は取ると」

和樹「そういうこった。そんで、これはなんなんだ?持ち上げようとしたら電気が走ったんだが」

紫「それはその写真立て…ないし中に入っている写真が塩原くんの強い想いがこもった物なんだろうね」

紫「持ち主が強い想いを込めているものは私たち霊体が触れることは出来ない」

紫「なんでかは知らないけど」

和樹「…じゃあこれの中身は分からずじまいって事だな」

紫「そうだねぇ」

橙華「お兄ちゃん…」

和樹「ところで」

和樹「なんであんたは橙華にだーれだ?してんの」

紫「ついでに親指で耳も塞いである」

紫「急にお兄ちゃんの部屋を見たらどうなるか分かんないから」

和樹「なるほど…」

和樹「あんたの収穫はあったのか?」

紫「もちろん!」

紫「そもそもこのザ、一般家庭で孤独死…まあ厳密には違うと思うけど…そんな状況になると思うかい?」

和樹「…いや、ないな」

紫「だからおかしいとは思ってたんだ」

紫「だからこの部屋以外を見て回ってたんだよ」

紫「結果はここの家主…まあお父さんとお母さんの寝室、書斎、あとは物置部屋が二部屋あった程度」

紫「最後の可能性…限りなく低いけど…それはこの部屋が兄妹共用って事だったんだけど」

和樹「この部屋を見る限りそれは無いな」

紫「そうだねぇ…」

和樹「つまりこいつは…」

紫「一人暮らしだったって事になるね」

橙華「お兄ちゃん…」

和樹「紫、耳栓外せ」

紫「いいの?」

和樹「いいも悪いも後はこいつの口から聞くしか無いだろうが」

紫「それはそうだけど…」

和樹「いいから外せよ」

紫「う、うん…はい」

和樹「おい橙華、よく聞け」

橙華「…」

和樹「今、お前の兄ちゃんの部屋に来てる」

橙華「お兄ちゃん!?」

橙華「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

和樹「聞け!」

橙華「!」

和樹「お前は最悪に兄不幸者だな」

和樹「お前の兄ちゃんは俺のダチだったよ」

和樹「普段はあんなイキイキして色んなことを自慢げに話す奴だったのにさ」

和樹「あいつ、死んだような面してたぜ」

橙華「…!」

和樹「お前に何があったのか」

和樹「教えてみろよ」

和樹「あんたの兄貴を少し救うくらいは出来るかもしれないぜ?」

橙華「…お、お兄ちゃん…」

和樹「…」

橙華「お兄ちゃんに…」

紫「!!」

お兄ちゃんに、彼女が出来た。

どうやら私と同い年。と言うか同じクラスの女の子だった

橙華「なんで!なんで付き合っちゃったの!」

塩原兄「別にいいだろ?俺が好きになったからだよ」

橙華「…お兄ちゃんなんて大っ嫌い!」

塩原兄「あ、橙華!」

私は次の日から学校に行かなくなった。

前に読み終わった本をひたすら読み直す日々。

ただお兄ちゃんに会いたくなかった。

小学校に行かなくても中学に進学出来るらしい。

塩原父「橙華、お前には中学進学を機に一人暮らしをしてもらう」

塩原母「あなた…」

塩原兄「親父!橙華はまだ小学生だぞ!」

塩原父「だからなんだと言うのだ」

塩原兄「無茶に決まってる!」

橙華「…別にいいよ」

塩原兄「橙華!」

塩原父「月に一度は俺も様子を見に行く」

そう言ってお父さんは席を立ち、居間を出てこうとした。そして私の横を通り過ぎる時に

塩原父「今は兄と距離を取りなさい」

橙華「…!」

お父さんに見抜かれてた。それは少しビックリしたけど…

私は一人暮らしを始めた。

と言っても実家から徒歩10分。学区も変わらず。お兄ちゃんと同じ中学。

結局引きこもったのは当たり前かもしれない。

お兄ちゃんに会うことを避けてるうちに色々な事をしなくなった。

最初は部屋の掃除だった。次は洗濯、次は皿洗い、次は…

一年も経てばシャワーとベッドを往復する生活に違和感を感じなくなっていた

食事は喉を通らなくなった。お腹が空かない。

でも胃は空腹を訴える…

もう動く気も…ない。

ああ、でもお兄ちゃんはもう高校生かな…

彼女さん…秋葉ちゃん、だったっけ。仲良くしてるのかな

なんか…悲しいな…

紫「…」

橙華「お兄ちゃん…会いたいよ…」

和樹「橙華、泣いても兄ちゃんには何も伝えられねぇぞ」

和樹「紫」

紫「な、なにかなー?私は中々のヘビーさにハートがブレイク寸前だよ?」

和樹「俺たちは普通の物なら持てるんだよな」

紫「う、うん…それに思い入れがなければ」

和樹「例えば、シャーペンを持ったとして」

和樹「ノートに物をかけたりするのか?」

紫「ま、まあ…不可能ではないよ…あまり褒められた行為ではないけど」

紫「まさか和樹くん…?」

和樹「橙華、お前手紙書け。兄貴宛のな」

橙華「へ…?」

和樹「兄ちゃんに伝えたいことがあんだろ?」

和樹「泣いて逃げてるだけじゃ意味ねえよ」

橙華「…」

和樹「あの様子じゃ彼女と別れんのも時間の問題だな」

和樹「ああ、でもそっちの方がいいのか」

和樹「お前どう見てもお兄ちゃん大好きっ子だもんな」

紫「か、和樹くん?」

和樹「兄貴が自分に囚われてる方がいいよな?」

橙華「…め…」

和樹「え?ああ、やっぱり手紙書くのはやめるか」

紫「ちょ、ちょっと」

和樹「お前の"大好きなお兄ちゃん"が"ずっとお前の事を考えてくれる"方がいいもんな?」

橙華「ダメ!」

和樹「…」

紫「…橙華…ちゃん」

橙華「そんなの…ダメだよ…」

橙華「また…橙華のせいで、お兄ちゃんに迷惑かけちゃう」

橙華「そんなの…嫌…!」

和樹「じゃあ泣いてねぇでやる事があるよな」

和樹「鳴いてるだけならインコでも出来るぞ」

橙華「…ん」

塩原母「もう夜遅いわよ。もう寝なさい」

塩原兄「うん…」

塩原兄「あれ、ノート開いてる…」

塩原兄「勉強なんてしてないのに…っ!」

大好きなお兄ちゃんへ

とうかの大好きなお兄ちゃん、最後にお別れも言えなくてごめんなさい。

いつも自身満々で、だけどすっごく怖がりなお兄ちゃん。

でも、いつでもとうかを守ってくれたお兄ちゃん

とうかはそんなお兄ちゃんが大好きです。

もうお兄ちゃんとお話しすることはできないけど

たまにお兄ちゃんの様子を見に行きます。

その時元気じゃなかったらおこるからね!

bs.かのじょさん…秋葉ちゃんとなかよくしてね

秋葉

>>54修正


大好きなお兄ちゃんへ

とうかの大好きなお兄ちゃん、最後にお別れも言えなくてごめんなさい。

いつも自身満々で、だけどすっごく怖がりなお兄ちゃん。

でも、いつでもとうかを守ってくれたお兄ちゃん

とうかはそんなお兄ちゃんが大好きです。

もうお兄ちゃんとお話しすることはできないけど

たまにお兄ちゃんの様子を見に行きます。

その時元気じゃなかったらおこるからね!

bs.
かのじょさん…秋葉ちゃんとなかよくしてね

とうか

塩原兄「これ…親父?お袋?」

塩原兄「でも、橙華の字だ…」

塩原兄「自信…まだ間違えてたのか…」

塩原兄「橙華…」

塩原兄「うっ…ああぁ…」

塩原兄「橙華ぁ…」

和樹「あんな文で良かったのか?誤字ひでえぞ」

橙華「ん…」

紫「あれが橙華ちゃんの精一杯書いたお手紙だよ」

紫「それを否定するのはノットだよ」

和樹「…チッ」

紫「なんで舌打ち!?君が橙華ちゃんにやらせたんだろう?」

和樹「そこじゃなくてお前が正論言うのが気に食わねぇ」

紫「なんてこった!」

紫「そんなんじゃ君には解放式を教えてあげないよ?」

和樹「そいつは悪かったな」

紫「心にもないことを言っちゃダメ」

和樹「わかってるじゃん」

紫「…まあ、今回は君の功績だし、この子に免じて教えてあげるよ」

和樹「お、いいことはするもんだな」

紫「全く…」

橙華「スゥ…」

紫「あら、この子は寝ちゃったのか」

和樹「霊体も寝るのか」

紫「まあこの子は霊体になって日が浅いからね」

紫「…所で君、橙華ちゃん説教してる時、何かいいかけてたよね?」

和樹(ばれてねぇと思ったのに…)

紫「何て言おうとしたのかな?」

和樹「俺、あいつとそこそこ話、してたんだ」

和樹「あいつの口から出るのは自慢話ばっかりだったのに」

和樹「妹の話はしなかったなぁって…」

紫「…ああ、なるほどね」

紫「それはきっと偶々だよ」

和樹「偶々か」

紫「フフッ、偶々偶然」

和樹「…そうだな」

第1章第2話「戯れ?」 結

第2章第1話に続く…

ここまで。次回まじで未定

第1章登場人物

黒本 和樹 (享年16)
主人公。故人
面倒事を背負い込んでしまう体質。死因は現在不明、少なくとも4月中旬から7月12日の間らしい。

塩原 橙華 (享年14)
第1章かつ全編通してのメインヒロイン(予定)。故人
重度のブラコンだが、兄に彼女(橙華と同い年)が出来たショックで引きこもる。結果父親に一人暮らしさせられ衰弱死。悪霊となっていた所を和樹と紫に助けられる。

中原 紫(享年28)
和樹と橙華を見出した?人。故人
和樹が死んでから初めてあった人。実は死んでから13年くらい立っているため精神的にはアラフォー。ふざけるのが大好きで会話が進まないことが多々ある。ガチの重い話は苦手。

第2章第一話投下していきます。

説明回なのにびっくりするくらい説明しません。

第2章第1話「変態ロリサキュパス」

和樹「くぁ…」

橙華「あ、またサボってます」

和樹(あれから2週間がたつ)

和樹(橙華はすっかり元気になった)

和樹(と言うより一周回って落ち着いてきやがった)

和樹「お前、もう少しガキだった気がしたんだけどな」

橙華「何言ってるんです?」

和樹「いや、なんでも」

和樹(まあお別れ言って少し吹っ切れたんだろうな)

和樹「それにサボってるわけじゃねぇ。ホレ」

橙華「霊球がこんなに大きく…」

橙華「どんな形にするか決めたんです?」

和樹「いや、全く考えつかん」

橙華「ダメじゃないですか…」

和樹「まあおいおい決まるだろ」

橙華「あ、紫さんが和樹さんを呼んでこいって言ってましたです」

和樹(手紙の時から思ってたが…こいつちょっとアホだ)

和樹「あいよ」

紫「さて!君達には霊球を作ること、そして霊球から霊器に変換することの練習を命じたわけだけど…」

紫「霊球に関しては二人ともすでに完璧!優等生だ!」

紫「霊器のほうは…まあこれは個人の発想の問題もあるからね」

紫「さて、ここからは君達に私たちの基礎知識を教えてしんぜよう!」

紫「名付けて!【紫先生の、霊体基礎講座】!わー!ドンドンパフパフ!」

橙華「わ、わー!」

和樹「口でドンドンパフパフとか言う奴初めて見た」

紫「こらそこ!私語は謹め!ついでに死語も謹め!」

和樹「言ったことないけど」

橙華「しご?しご?私語のついでに私語もつつしむのですか?…つつしむってなんです?

和樹「アホの子が一人ついてけてないから進めろ」

紫「橙華ちゃんには後で教えてあげるからねー」

紫「さて、まずは私達はなんて言うか!はい黒本くん!」

和樹「え、当ててくスタイル?…【霊体】だろ」

紫「そう!私達は親より先に死んでしまった罪により、この現代世界に取り残されてしまったのだよ!」

和樹「…」

橙華「ふむふむ…」

紫「…そこは「な、なんだってー!」が欲しかったなぁ」

橙華「紫さんナンが食べたいのですか?」

和樹「続き」

紫「むー、じゃあその霊体には大きく分けて二種類ある」

紫「それはなんでしょうはい橙華ちゃん!」

橙華「え、えっと…とこれーとあくりょーです?」

紫「その通り!舌ったらずがまた可愛うぃーねー!」

紫「【常霊】と【悪霊】見分け方は単純で自意識があるかどうか」

紫「まか細かく言うと悪霊にも深層には意識があるんだけど」

紫「それが封印されてる状態が悪霊」

紫「悪霊はその無意識化の中で一番強い気持ちが唯一の行動理念になる」

紫「ちなみに橙華ちゃんの場合は」

和樹「兄の彼女に対する嫉妬」

橙華「う…」

紫「まあそういうことだね。ただこれが兄に対する恋慕とかじゃなくて良かったよね」

和樹「そうなのか?」

橙華「れんぼ?」

紫「悪霊は細かい事がどうでもよくなっちゃうからね」

紫「恋慕…お兄ちゃんが好き!って気持ちが勝ってたら中学生から高校生にかけてをひたすら夢の中で食べまくる変態ロリサキュパス辺りになってたかもよ?」

橙華「さきゅ…それはよくわからないですが、橙華は変態じゃないのです!」

和樹「橙華が変態でもどうでもいいから早く進めろよ」

橙華「どうでもよくないです!」

紫「じゃあ次は封印式と解放式についてね」

紫「解放式は鍵、封印式は錠前だと思ってくれて問題なし」

紫「式の内容はこの前教えたからすっ飛ばして」

紫「封印式って言うのは錠前なんだけど、錠前にも種類があるのは当たり前だよね?」

紫「橙華ちゃんみたいな霊体になった時からの悪霊は単純かつもろい錠前でね」

ーー数時間後ーー

紫「…とりあえずこんなもんかな?」

和樹「長えよ…」

橙華「Zzz...」

紫「あれ?途中から真面目にやったんだけど」

和樹「補足が多すぎ、頭に入ってこない」

紫「橙華ちゃんにいたっては熟睡!?」

和樹「一皮向けたっつっても元ひきこもりだからな」

和樹「いきなり数時間に渡る授業はしんどかったんだろ」

紫「あらら…」

紫「ま、まあ和樹くんは大丈夫だよね!橙華ちゃんに教えてあげてね!」

和樹「解放式のあたりから覚えてない」

紫「ちょっとぉ!」

ーー数日後ーー

橙華「ほら!早く行くですよ!」

和樹「なんでそんなにノリノリなんだよ」

橙華「お兄ちゃんの通っている学校…気にならないわけないです!」

和樹「ブラコンは変わらず…か」

橙華「おっにいっちゃん♪おっにいっちゃん♪」

和樹「ウゼェ…」

橙華「それにしても、学校の…バンビ?ですか。えっと…マスター?アニ?あたりにでも任せておけばいいと思うですよ。とーかは普通に見学したいです」

和樹「警備な。小鹿一切関係ないからあと警備員な」

橙華「それです、うっちーですよ」

和樹「お前14歳っての嘘だろ。警備員な…警備員は俺らのこと見えねぇだろ」

橙華「え、そうなんですか?」

和樹「紫の授業完全に抜け落ちてんな…」

橙華「あ、あと紫さんは何処へ?」

和樹「別件だとよ。なんかきなくせぇ」

橙華「きなくさい?きなの臭いなんかしませんよ?」

和樹「そういう意味じゃねぇよバカ」

橙華「バカとはなんですか!…そもそもきなってなんですか?」

和樹「着いたぞ…ん?」

橙華「きなってなんですかー?」

和樹「静かにしろ。誰かいる」

橙華「ぶっさんじゃないんですか?」

和樹「仮にぶっさんだとしてぶっさんが忍者みてぇな格好で空飛ぶかボケ。十中八九俺たちの同類だ」

和樹「少し様子みるぞ」

橙華「叩き潰しちゃった方が早いですよ!行ってきまーす!」

和樹「あ、バカ!」

橙華「やっ!」

忍者「…!」

ガキィン!

和樹「橙華の霊術に対応した!?」

橙華「てーこーは無駄です!とっとと叩き潰されてください!」

和樹「抵抗しないやつはいないと思う」

忍者「そのとーりですよ。成長なしですか」

和樹(女…?それに若干舌ったらず…橙華と同い年かもう少し下か)

橙華「私の何を知ってるですか!」

忍者「よぉく知ってます…だって」

和樹(そう言って忍者は口元を隠していたマフラーを取っ払った)

橙華「…!?」

忍者「…私は彼を愛してましたから」

橙華「どうしてあなたがここにいるですか…!」

忍者「久しぶりだね…とーかちゃん」

橙華「秋葉…!」

第1話 結

第2話に続く…

ここまで。もちろん次回も未定。

最後の>>74-75の部分を夢で見たがために考えた。

と言うわけで新キャラ登場

書いてたら分けたほうがよさげだったから前半戦だけ投下

第2章第2話「プリキュア気取り」

秋葉「まさかとーかちゃんもこっちに来てるなんて…」

橙華「それはこっちのセリフなのですよ…和樹さん」

和樹「…なんだ」

橙華「セリフってどう書くですか」

和樹「台座の台にごんべんの司」

橙華「ごんべんがわからないです」

和樹「後で紫に聞け」

橙華「わかりましたです」

秋葉「とーかちゃん、元々頭は良くなかったけど、そんなにおバカさんだったっけ?」

橙華「お生憎様、誰かさんのせいで学校にも行けなかったので」

和樹(十割自業自得だろ)

秋葉「その誰かさんとは、自分自身のことでは?」

橙華「うるさい!それよりも答えて!」

和樹(逃げたな)

秋葉(逃げましたね)

橙華「なんであなたが…」

橙華「"十二歳の時の姿のまま"ここにいるです!」

和樹「…は?」

和樹「どういう事だよ、それじゃまるで…」

秋葉「簡単なことですよ。おバカなとーかちゃん」

橙華「誰がおバカですか!」

秋葉「私が死んだのは、二年前です」

橙華「…嘘」

秋葉「嘘じゃありません」

秋葉「あ、でも引きこもってたとーかちゃんは知らなかったんですね。納得です」

秋葉「でもお兄さんは来てくれましたよ、私のお葬式」

和樹「ちょっとまて…こいつの兄貴って」

和樹「妹が理由もわからんまま引きこもりになってその直後に彼女が死んでやっと傷が癒え始めたところで妹が死んだの?」

秋葉「そうなります」

和樹「ふ…不憫すぎる…」

和樹「塩原…お前は強いよ…」

秋葉「なんなんですかこの人」

橙華「気にしないでくださいこーゆー人です」

和樹「おい待てやコラ」

和樹「…まあ俺からしたらお前が塩原の彼女とか心の底からどーでもいいわ」

秋葉「なっ私の愛をどうでもいいなんて」

和樹「それよりも、なにしてんだ」

和樹「まさか、"封印"しようとしてた。とかじゃねぇよな?」

秋葉「ふふふ…どうしてそう思うんですか?」

和樹「見るからに危ねぇツラと言葉使いじゃねえか。今時"ふふふ"なんて笑い方聞いたことねぇよ」

和樹「大方塩原のことが好きすぎてしかたねぇとかそんなところ」

和樹「そーゆう奴がやりそうな事を考えてみろや」

橙華「…わからないです」

和樹「…学校を中心に封印式を巡らして、好きな奴、今回は塩原を殺す」

橙華「私はもう死んでますよ?」

和樹「おめーじゃねぇ。兄貴の方な」

橙華「なんですと!和樹さんはお兄ちゃんを殺す気ですか!」

和樹「あーもうウゼェ!」

和樹「話戻すぞ。塩原を親より先に殺せば俺らと同じ存在になる」

和樹「家を中心にしなかったのは親が先に死ぬのを防ぐため、ってところか?」

秋葉「案外鋭いんですね…」

和樹「生憎、テメーみてぇのはこれで慣れてんだよ」

秋葉「心外ですね。とーかちゃんと一緒にしないでください」

橙華「なんだか馬鹿にされた気がします」

和樹「実際馬鹿にされてるから」

和樹「でもそれは他の生徒も、先公すらも巻き込むって事だよな?」

秋葉「お兄さんの親御さんさえ生きてればお兄さんはこっちに来てくれます」

秋葉「そのためならそれくらいの犠牲はつきものじゃないですか?」

和樹「…うっし」

和樹「決まったぞ橙華」

橙華「なんですか?」

和樹「俺はあいつを止める。手伝え」

橙華「よくわからないけどわかりました!」

秋葉「なんですか?正義の味方気取りですか?プリキュア気取りなんですか?」

和樹「そこは歳相応だな…せめて仮面ライダーって言って欲しかったが…」

和樹「そこじゃねえんだよ馬鹿」

秋葉「とーかちゃんと一緒にするのはやめてってさっき言いましたよね?」

橙華「あれ、一緒にしてないです?」

和樹「それは悪かったな自己中幼女」

秋葉「それもとーかちゃんですよね」

橙華「なんで私を…えっと…けなす?流れですか!」

秋葉「とーかちゃん、知識がなくて追いついてないね」

和樹「違うな。こいつは自己中学生だ」

橙華「ちょっと待ってくださいなんですかよくわからないけど馬鹿にされてるです?」

秋葉「なるほど、では百歩譲って幼女は認めましょう」

橙華「譲るんです!?」

秋葉「ですが、自己中呼ばわりは納得できませんね。やっぱり正義の味方気取りじゃないですか」

和樹「違うな。俺はシンプルにお前が気に食わないからゲンコツをぶち込みたいだけだ」

秋葉「…そうですか」

秋葉「なら、せいぜい止めてみてください」

和樹「言われなくても止めてやるよボケ」

和樹「行くぞ橙華!フォロー頼む!」

橙華「かしこまり!」

和樹「お前マジで歳いくつだ!」

第2章第2話 結

第3話に続く…

ここまで。自分は橙華タイプなので説明に無理があるかもしれないけど見逃してな

現在書き溜め中…

さあ、始まるぜ!

第2章第3話

和樹「ハッ!オラッ!」

ブオンッ

橙華「それそれそれ!」

ヒュンヒュンヒュン

秋葉「…そんなものですか?止めると大口叩いた割にはまだまだ霊力の扱いが甘いですね!」

和樹「チッ!橙華の銃鞭(ガンウィップ)でもダメか」

秋葉「なんですかそのダサいネーミング」

橙華「ダサくないです!」

秋葉「確かに鞭状の弾丸にはビックリしましたけど」

秋葉「挙動が単純すぎます。避けるのにそこまで頭を使いませんでしたね」

和樹「やっぱり橙華の頭じゃ使いこなせねぇよな…」

秋葉「それに貴方はただの物理攻撃」

秋葉「年季が違う所を見せてあげます」

パリッバチチッ

秋葉「くらいなさい!」

和樹「カミナリ!?うおおあぶっ!」

橙華「ひい!」

秋葉「…あれ、生きてましたか」

和樹「なんとかな…」

橙華「きゅ〜」

秋葉「なるほど、私の攻撃を避けてすぐにとーかちゃんを担いで逃げた…と」

秋葉「その反応の速さは褒めてあげますが」

秋葉「それがいつまで持ちますかね!」

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

和樹「うおっ!あぶっ!っと!」

秋葉「ちょこまかと!」

和樹「くっそがぁ!」

秋葉「なっ!砂埃!?」

秋葉「はあっ!」

秋葉「…いない」

和樹「はぁっ…はぁっ…危ねえな…」

橙華「じゅうまんぼるとみたいな攻撃でしたね…」

和樹「みたいな、じゃなくて十万ボルトだろうな」

和樹「あいつは霊力を電気に…とかそんなところだろうよ」

橙華「それで、ここからどうするんですか?このまま隠れてても…えっと…ゼリービーンズ?です」

和樹「ジリ貧な」

和樹「安心しとけっつーの」

和樹「40秒で終わらしてやるよ」

秋葉「とーかちゃーん?どーこでーすかー?」

和樹「橙華じゃなくて悪かったな」

秋葉「ああ、あなたですか」

和樹「そろそろ決着つけようぜ?」

和樹(紫が言ってたのは…)



ー数日前、修業中ー

紫「相変わらず霊器生成は難しい?」

和樹「…エモノ使った喧嘩なんかした事ねえからな」

紫「和樹くんって結構ヤンチャしてた感じ?」

和樹「そこまでじゃねえけど売られた喧嘩は買ってた」

紫「へー…じゃあさ、喧嘩するときどんな敵がウザかった?」

和樹「どんな…ね…

和樹「遠くから石とか投げてくる奴とか」

紫「そんな小学生みたいな不良いるの…?」

和樹「いた。意外と痛えし、そういうのは近づくと逃げるから面倒なんだよな」

紫「へー、じゃあそーゆーのはどう?」

和樹「石投げるってことか?」

紫「うん。遠距離砲撃」

和樹「そういうのは性に合わえねぇんだよ」

紫「んー…じゃあ逆転の発想でこう言うのは?」

ー現在、学校ー

和樹(霊力で相手を…)

秋葉「どうするんですか?あなたは至近距離での物理攻撃しかないから私には近づけない。とーかちゃんの変化する弾丸もとーかちゃんの知力では使いこなせない。将棋でいう詰みって奴ですね」

和樹「よく知ってるな。それなりにお勉強は出来るようで」

秋葉「小学生でも将棋くらいしってます。とーかちゃんがおバカさんなだけです」

和樹「…」

和樹「…くはっ」

秋葉「なんですか、急に笑って」

和樹「お前は二つほど勘違いしてるんだよ」

秋葉「…そんなことあるわけないでしょう」

和樹「片方は後でたっぷりお説教してやるから、まずはもう片方の方だな」

和樹「お前はさっき近づけないとか言ったけどな…オラッ!」

秋葉「…!?体が引っ張られ」

和樹「お前から近づいてくれりゃ…なんの問題もねえんだよ!」

ベコッ!

秋葉「アダッ!?」

秋葉「い…痛い…」

和樹「よし、目標達成」

橙華「…いやいやいや、やりすぎじゃないです?ゲンコツで"ベコッ"なんて音聞いたたことありませんよ?」

橙華「秋葉はのしてますし」

和樹「…多分『のびてる』。のしてるのは俺の方」

和樹「ま、大丈夫っしょ。さて、連れて帰るか」

橙華「連れて帰って何するです?」

和樹「決まってんだろ」

和樹「お説教タイムの始まりだよ」

始まるといったな。あれは本当だが嘘がある。全話でバトルっぽい雰囲気を出したが漫画でいうと5ページで終わる。そんな展開もいいと思うんだ。

あと今回は新しい試みで擬音を入れてみたがどうだろうか。

好評ならバトル展開の際には積極的に使っていきたい所存。

と言うわけで次回はまだ未定。二章三話はまだ終わらない!

普通に酉忘れたけど>>1です

秋葉「ん…」

紫「おろ?おきたん?」

紫「おーい!和樹くーん!この子起きたよー!」

和樹「やっとか…寝すぎだっつの」

橙華「絶対和樹さんのせいです」

和樹「うっせ」

秋葉「…何をするつもりなんですか」

和樹「言ったろ?お説教タイムの始まりだよ」

橙華「なんかジャノメですー」

紫「え?蛇の目?」

ー数時間後ー

秋葉「」

紫「すっげー…人ってここまで心折れるんだね…」

和樹「そうか?これぐらい普通だろ?」

橙華「途中から何話してるかわからなかったです」

紫「いいんだよー、橙華ちゃんは知らなくていーんだよー」

橙華「は、はい…あ、紫さん」

紫「なにー?」

橙華「ごんべんってなんですか?」

紫「え、どこからその質問にたどり着くの?」

秋葉「…なによ」

和樹「あれ、まだ話す気力残ってたのか」

秋葉「なんなのよ!私の愛が間違ってるっていうの!?」

和樹「間違ってるわボケ」

和樹「あんな、紫の言葉を借りれば俺たちは罪を犯したんだとさ」

橙華「罪?」

紫「橙華ちゃん、完全に忘れ去ってるね」

紫「……?」

紫「和樹くん、ちょとまった」

和樹「あ?」

紫「なーんか様子がおかしくないかい?」

和樹「いや知らねえよ。初対面だし」

紫「んー、なんと言うか…目の色が濁ってるというか、病んでるというか…」

和樹「…いや、よくわからん」

紫「…ごめん、ちろっとバトンタッチしてくれない?」

和樹「別にいいけど」

紫「ありがと」

紫「じゃあ今度は私から質問させてねー」

秋葉「…なんですか、あなたも間違っているとでも言うんですか」

紫「いやいやー、愛の形は自由ですから」

紫「お互いが良いなら良いんじゃない?」

秋葉「そうですよね!」

紫「まあもう確かめる手段はないわけなんだけど」

橙華「…あれ?私が前にもぐっ!?」

和樹「少し黙ってろ」

橙華「んーっ!んーっ!」

秋葉「確かめる必要なんかない!私と彼は以心伝心一蓮托生無我夢中!」

和樹「一蓮托生ではない」

秋葉「うるさい!黙れ!」

橙華「ぷぷ、怒られてます」

和樹「ぁあ?」

ガシッ

和樹「もう一回死なしてやろーかー!」

橙華「く、くびー!首が苦しいですー!」

紫「あー、そこの兄妹、いちゃついてるとこ悪いけどー」

和樹「誰が兄妹だ!」
橙華「いちゃつくってなんです?」

紫「この子、封印されてるよ」

和樹「あ?封印ってあれか?」

紫「うん。あれ」

橙華「…?」

和樹「わかってないバカがいるな」

紫「うん、もういいや」

和樹「んで、なんで分かったんだよ」

紫「ほら、今和樹君に怒鳴ったじゃん?」

紫「その時に瞳に術式が見えた」

紫「深層心理に引っ掛ける類のやつってさ、感情が高ぶると見えやすいのよさ」

紫「つまりこの子は誰かに封印されてるって事さね」

和樹「なるほど…じゃ、とっとと解放させようぜ」

紫「んー、それがそうもいかないんだよねー」

和樹「は?」

紫「どーも見る限りかーなーりー、複雑な出来になっててさー」

紫「リーディングからフラッシュ…いや似てるけどストレート?4級…かな…ちょっと厄介かな…」

和樹「…よくわからん」

紫「この前説明したでしょー?種類とレベル分けと階級」

和樹「覚えてねえよ」

紫「君も大概だねー…さて、何となく組んでみるけど、成功させるのに暫くかかりそうだね…どうしたもんか」

和樹「しらみつぶしでいいだろ」

紫「やるのは私じゃん!」

緑川「いえいえ、やるのは僕ですよ」

和樹「ほら、ならしらみつぶ…っ!?」

紫「っ!!」

橙華「??」

緑川「初めまして。僕は緑川と申します」

緑川「その子には少し期待してたんですが…」

緑川「迷いが出た時点で彼女の愛は真実ではない」

緑川『強制解錠』

秋葉「うあっ…ぐぅ…」

紫「!?」

紫「この子に何をした!」

緑川「なにって…解放してあげただけですよ?」

緑川「ああ、ご安心を。別に記憶が混濁したり暴走したりなんてことはありませんから」

緑川「きっちり全てを覚えたまま解放されます。100%ではありませんが」

和樹「…嫌に素直だな」

緑川「私の愛は嘘を嫌いますので」

和樹「何が言いてえのかさっぱりだが…あと一個だけいいか」

緑川「答えられる範囲であれば」

和樹「こいつを夜のガッコで何さしてたんだよ」

緑川「試験です」

和樹「試験…ねえ」

緑川「ええ。試練と言い換えてもいいですね」

緑川「これで宜しいですか?愛する人が待っているので」

和樹「ああ。悪かったな」

緑川「では」

紫「ちょっ…なに勝手に逃がしてるの!?」

和樹「いや、あの状態でやんのはキツイだろ」

紫「だとしても!時間を稼ぐとかさ…あるじゃん!」

和樹「それやんの俺じゃん」

紫「そうだよ!…あ、とにかくこの子を連れてかないと」

紫「あいつもああ言ってたし、大丈夫だと思うけど一応ね」

和樹「連れてく?どこに」

紫「私たちの仲間のところに」

二章三話 終

投稿してから気づいたけど後半戦の方が長かったね。 これで第2章はお終い。次から第3章にはいります。

次回はまたもや未定。ちまちま書いてはいる。

なかなか書き上がらないので二章キャラ紹介でごまかします

黒本和樹(享年16)
主人公
面倒事をふっかけられる体質。死因は現在不明だが特定する気もない模様。口が悪く自己中な性格、コミュ障疑惑あり。
能力「ワイヤー・プル」(橙華命名)で相手を引き寄せ物理で殴る戦法が得意。

塩原橙華(享年14)
重度のブラコン、兄に彼女が出来たのが遠因で孤独死。悪霊になってたのを和樹と紫に助けられる。
「銃鞭(ガンウィップ)」は鞭を感じさせる特殊な軌道を描く弾丸を放つことが出来るがまだ十全に扱えていない

白石秋葉(享年12)
橙華の兄と真剣なお付き合いをしていたが事故で亡くなる。何者かによって「封印」され和樹と橙華の前に現れる。絶賛気絶中。

中原紫(享年28)
和樹と橙華に霊術の基本を教えた師匠。最近は和樹と橙華に振り回されつつある。精神的にはアラフォー。

緑川
突如現れた青年。橙華に何かして去っていった。

三章第一話「運命の域」

東京都北部、廃ビル内部

紫「ついたよー」

和樹「ついたよー…って、徒歩五分じゃねえか」

和樹「てか今更だけど空は飛ばねえのな」

紫「空飛んでたら自分が霊体ですって言ってるようなものだからね」

紫「敵対組織が無いわけじゃないし」

和樹「あー…そういうことか」

橙華「…あれ?秋葉は普通に飛んでませんでした?」

紫「私はそこ見てないけど、教えてもらわなきゃ気にしないよ」

和樹「まあ…俺たちも飛んでたしな」

紫「それもおいおいね。とりあえず…」

紫「冬夏さーん!」

橙華「フユナ?」

冬夏「はいはい…ゆかりんどしたの」

紫「急患!」

和樹「それだけじゃ通じねえよ」

冬夏「敵対勢力に操られてたっぽい女の子を保護したけど相手に何かしらやられて不安だから私の所に来たと」

橙華「凄いです!大体合ってます!」

紫「そ、緑川とか名乗る奴に無理やり解放させられたっぽいんだよね」

冬夏「…私は医者じゃないよ」

紫「それでも!解放式関係に詳しいの冬夏しか居ないのよさ!」

冬夏「はあ…わかった。背負ってる少年、とりあえずここに寝かせて」

和樹「おう」

トサッ

冬夏「取り敢えず見てみる。治す必要があるならそのまま治療に移すから一時間ほどを目処にもう一回来て」

紫「りょーかい!」

冬夏「待ってる間暇なら隊長に挨拶しておくべき」

和樹「隊長?そんなのがいんのか」

紫「あー、そだね。ついでに挨拶行っとくかー」

紫「二人の紹介もあるし」

紫「和樹君も橙華ちゃんもついといで」

橙華「はーい!」

和樹「おう」

生きてるよー

葵「中原、随分と久しぶりだな」

紫「やほー」

葵「おい…私はこれでも一応隊長だぞ。敬語を使わんか」

紫「いや、そういう組織じゃないじゃん?」

葵「まったく…それで、報告に来たのか」

紫「そうそう。新メンバーの和樹君と橙華ちゃん」

和樹「おい、入るとは言ってねえぞ」

橙華「新メンバー?」

仁「紫さん、確認はしたのですか?」

紫「すると思う?」

仁「でしょうな」

紫「あー、二人とも。ここにいるのが我等が人類保護隊(仮)の篠原葵(シノハラアオイ)たいちょーと、副官…だっけ?まあ幹部的な人の太田仁(おおたひとし)さん」

仁「上司の役職くらいは覚えておいてほしいものですな」

和樹「あんた、随分と老け顔だな」

橙華「和樹さん!?会って最初の発言がふけがおって…」

橙華「ふやけた顔してますけど!」

紫「橙華ちゃん?老け顔ってそういう意味違う」

仁「はっはっは。老け顔ではなく老けております」

葵「太田は享年73歳だ」

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