【艦これ】提督「俺用の艤装?」 (314)

明石「はい!前から作ってたんですが、ようやく完成しました!」

提督「このゴツいの?」

明石「そうです」

提督「俺が背負うの?」

明石「そうです」

提督「これ着けて海に出るの?」

明石「そうです」

提督「これ着けて俺が闘うの?」

明石「そうです」

提督「アホかぁ!!」

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明石「えー、いやなんですか?」

提督「当たり前だ!そもそも、俺は人間なんだぞ!!に・ん・げ・ん!!」

提督「お前らみたいに砲雷撃戦とかできるわけないだろう!」

提督「そもそも、俺がこれ着けて出たところでどうしようもねえだろ!」

明石「お、落ち着いてください」

明石「提督が出撃する意味はあるんですよ?戦場に直接いるわけですから、指揮がとりやすいはずです」

提督「…まあ、そうかもしれんが…」

明石「それに、何もこれで戦えってわけじゃないです」

提督「何?」

明石「これ、海上を走れる機能と防御機能しかついてないんですよ」

明石「戦場に出ればいいだけですからね。戦闘機能は必要ないです」

提督「確かに、そういうことになるな…」

明石「その代わり、防御機能はすごいですよ!ちょっと試してみてください!」

提督「え…これ着けるの?すげー重そうなんだけど」

明石「大丈夫ですって!せいぜい通信機くらいです」ガチャガチャ

提督「うーん…重いけど…確かに何とかなるレベルだな」

明石「でしょう?じゃあ、早速防御機能を試してみましょう!」

提督「試すってどうやって」

明石「そうですね…じゃあ、提督」

提督「ん?」

ジャキン

提督「…え?」

明石「アディオス、アドミラル」バンッ

提督「え、ちょっ・・・」

ガキンッ

明石「おっと…ちゃんと防げましたね」

明石「反応速度もいい感じです。これなら大丈夫そうで・・・」

提督「何やっとんじゃゴラァ!」ポカッ

明石「あうっ」

提督「上官に銃を向けるとは何事か!」

明石「提督、ご存知ですかな?戦場における士官の死因の二割が、部下に殺されたものらしいですよ」

提督「そういうのいいから」

明石「アッハイ」

明石「まあ・・・唐突だったのは認めます、すみません」

提督「お前なあ…」

明石「で、でも!実銃じゃないですよ!?ゴム銃です!失敗しても大丈夫なように!ほら、ほら!」グイグイ

提督「あー、もう!わかったから!」

提督「で?今、何が起きたんだ?」

明石「えっとですね…簡単に言いますと、提督に向かってきた弾に瞬時に反応し…」

明石「それに対して、レーザービームで撃ち落としたってことです」

提督「何それすごい」

提督「そんなにすごい技術あったのか…それなら、艦娘の艤装に追加してやったらどうなんだ?」

明石「いえ・・・これは、艦娘の艤装には積めないんです」

提督「は?何で」

明石「艦娘の艤装はとても特殊でデリケートなもので…妖精さんがいる、特定のものしか積めないんですよ」

明石「でも、提督の艤装はそれとは別で、私の好きなようにできるので、このようにさせていただきました」

提督「へぇ…お前すげぇな」

明石「いえ、それほどでも」テレッ

提督「じゃあ、これ着けてれば深海棲艦に遭遇しても大丈夫だと?」

明石「はい、おそらく」

明石「水上スキーの練習がてら、ちょっと正面海域行ってきたらどうですか?」

提督「よし、行ってみるよ」ダダダ

明石「感想お願いしますねー」


十分後


明石「あ、提督。どうでした?」

提督「…」ボロッ

明石「…」

提督「…あのさあ」

明石「はい」

提督「確かにすごいよ、これ」

提督「こっちに向かってくる砲弾は、全部撃ち落としてくれるもん」

提督「でもさあ・・・」

明石「はい」

提督「…爆風、防げないじゃん」

明石「あっ・・・」

提督「これってさあ、結局撃ち落としてるだけじゃん?」

明石「はい」

提督「砲弾撃ち落とすってことは、爆風起きるじゃん?」

明石「はい」

提督「でもレーザーじゃ爆風防げないじゃん?」

明石「はい」

提督「…不良品ですね」

明石「ぐぬぬ・・・」

明石「わかりました…対策しておきます」

提督「頼んだよ本当に」

提督「俺マジでイ級に殺されそうになったんだからね」

明石「はい…」

明石「じゃあ、提督は入渠してきてください」

提督「はぁ?」

明石「え?」

提督「だから!俺は人間なの!!に・ん・げ・ん!!HUMAN!OK!?」

明石「お、おーけー・・・」

提督「お前らみたいに傷は簡単に治らないの!」

明石「不便ですね」

提督「やかましいわ!」

一週間後

提督「ふぅ・・・だいぶ傷は癒えてきたな」

明石「あ、提督!」

提督「ん?どうした、明石?」

明石「できましたよ、提督用の艤装の改装!」

提督「…大丈夫だろうな」

明石「大丈夫ですって!ほら、行きましょう!」

提督「ん…なんかさらにゴツくなったな」

明石「そうですね。実際ちょっと重くなりましたよ」

明石「その代わり、すごい機能が付きました!」

提督「何だよ」

明石「バリアが張れます!」

提督「何それすごい」

明石「爆風程度なら簡単に防げます!」

提督「じゃあ、これで問題はなくなるわけか」

提督「ん?バリアがあるってことは、前のレーザーはいらないんじゃないか?」

明石「あー・・・それがですね」

明石「このバリアは爆風には耐えられるんですが…一点に加わる衝撃に弱いんです」

明石「だから、砲弾をくらっちゃうとアウトなんです」

明石「なので、レーザーで砲弾を撃ち落して、爆風をバリアで防ぐようになるわけです」

提督「なるほど・・・」

明石「じゃあ、早速テストしてみましょう」ガチャガチャ

提督「そうだな…前みたいなことにならないように」

明石「えっと…じゃあ適当に私が装備できるの持ってきますね」

提督「いや、多分その必要はない」

明石「?どういうことですか?」

提督「おそらく・・・」

バンッ

吹雪「あ!見つけましたよ、司令官!」

提督「ほら来たよ」

吹雪「また仕事サボってー!今日という今日は逃がしませんよ!」

提督「すまんな吹雪、俺は何事にも縛られないんだ」

吹雪「何言ってるんですか!早く執務室に戻りますよ!」

提督「そうだ吹雪・・・お前に言わないといけないことがある」

吹雪「え、何ですか?」

提督「冷蔵庫のお前のプリン食っちゃった」

吹雪「…」

提督「ごめんね♪」テヘペロ

吹雪「…司令官の・・・」ジャキン

吹雪「バカーっ!!」ドーン

ガキン ドォォン

バチッ

提督「おぉ…これはすごい」

明石「ね、言ったとおりでしょう?」

提督「これなら大丈夫そうだな」

吹雪「…あれ?何で死んでないんですか?」

提督「殺す気だったのかよ」

吹雪「…司令官、その背負ってるのって・・・」

提督「ああ、これはな・・・」

──────────

──────

───

提督「というわけだ」

吹雪「へぇ…司令官用の艤装ですか」

提督「ああ。これでお前らに直接指示が出せるぞ」

吹雪「うーん…でも危なくないですか?」

明石「大丈夫です!私が保証します!」

提督「とか言って前あんなことになったんだろうが」

明石「ぐぬぬ・・・」

吹雪「確かに、さっきの私の砲撃にも耐えてましたからね」

提督「だろ?」

吹雪「・・・まあ、危険な海域には出なければいいんでしょうかね」

明石「計算上は、戦艦の砲撃にも耐えられますよ」

吹雪「それでも、何が起きるかわかりませんから」

吹雪「・・・そもそも、こんな危険なことしなくても、今のままで十分じゃないですか」

提督「ん…まあ、今でもお前らががんばってくれてるおかげで、十分に戦えてはいるが…」

提督「…その…直接やったほうが、指示が通りやすくて、お前らも戦いやすくなるかなーって…」

吹雪「…じゃあ、とりあえず私と正面海域で訓練しますか」

提督「ん?いいのか?」

吹雪「ええ。その代わり、帰ったら仕事ですよ」

提督「ぐ…まあ仕方あるまい」

明石「じゃあ帰ったら感想聞かせてくださーい」


正面海域


提督「よっ・・・と」ザァァァァ

吹雪「結構上手ですね」

提督「そうだろ?伊達に提督してないからな」

吹雪「関係ないでしょ、まったく・・・」

提督「ところで、何で正面海域?演習場じゃダメなのか?」

吹雪「えっとですね・・・演習だと、私たち艦娘が砲撃や雷撃をして、司令官がそれを受けてみることになると思うんですが…」

吹雪「やっぱり、私たちは司令官相手だと遠慮というか・・・手加減したり、攻撃がそれたりしてしまうんじゃないかなって…」

提督「さっき遠慮のない砲撃をした人のセリフとは思えないな」

提督「・・・それにしても、なんか深海棲艦がいないな」

吹雪「そうですね…全くいないってことはないと思うんですが…」

ドドドドド

提督「…!吹雪!下だ!」

吹雪「え?」

ドカーン

吹雪「キャッ!?」

提督「吹雪!!くそっ・・・一体どこから・・・」

提督(!あれは…潜水艦!?)

提督(何でこんなところに…)

提督「吹雪!大丈夫か!?」

吹雪「は、はい…何とか」

提督(くっ…見えてるのに、どうしようもねえ・・・)

提督(この艤装、明石も言ってたように戦闘用じゃない・・・対潜攻撃どころか、砲雷撃戦だってできねえ)

ドドドドド

ドカーン

吹雪「ガハッ・・・」

提督「吹雪!あの野郎・・・!」

吹雪「し、司令官・・・」

提督「くっ!帰るぞ!つかまれ!」ザァァァァ

──────────

──────

───

提督「…」

明石「提督、大丈夫です。入渠させてます」

提督「そうか…ありがとう」

提督「…」

明石「…提督?」

提督「なあ、明石」

明石「はい」

提督「俺の艤装に、戦闘機能も付けてくれないか」

明石「え?どうして・・・」

提督「どうしてもだ。弱いので構わん。牽制程度でもいい」

提督「俺に…戦える力をくれ・・・」

明石「…もっと重くなりますよ?」

提督「大丈夫だ、鍛えておく」

明石「・・・わかりました」

今日はここまで
また来週

一週間後


明石「提督ー、って…何やってるんですか?」

提督「ん?明石か」ギッチョンギッチョン

提督「見ての通り筋トレだ」

提督「言っただろ?鍛えておくって」

明石「…暑苦しいです」

提督「うるせえな」

提督「それより、何か用か?」

明石「あ、そうでした。提督用の艤装の改装、できましたよ」

提督「お、できたか。じゃあさっそく見てみるか」

工廠


明石「こちらです」

提督「ほう・・・」

明石「とりあえず、駆逐艦の装備を参考に、主砲と魚雷、爆雷を追加してみました」

明石「できるだけ軽くしてみましたよ」

提督「ふーん、いいんじゃないか」

明石「ただ、問題点もありまして・・・」

提督「え?何だよ」

明石「まず、これらの装備は、艦娘のように自動で動いたり撃ってくれたりするわけではありません」

明石「使うときは全て手動になります」

明石「あと、威力がかなり弱いです。イ級もまともに殺せないでしょう」

明石「本当に牽制程度にしか使えないと思います」

提督「おいおい・・・今まですごい技術だったのにどうしたんだ?」

明石「軽くするためには、こうするしか・・・」

明石「もし駆逐艦並の威力にしたり、手動じゃなくしたりするんだったら、扶桑型みたくなりますよ」

提督「Oh・・・なら仕方ないな」

明石「とりあえず着けてみましょう」ガチャガチャ

提督「ふむ、確かに思ったよりは軽いな」

明石「じゃあ早速テスト及び練習を…」

提督「待て」

明石「え?どうしました?」

提督「奴が…来る」

バンッ

吹雪「司令かーん!!」

提督「来たな…!」

明石「またですか」

吹雪「また執務室勝手に模様替えしてー!!」

提督「いいじゃん、別に」

吹雪「よくないです!なんですか、あの部屋は!筋トレマシーンばっかりじゃないですか!」

明石「え、あれ模様替えの結果だったんですか?」

提督「そうだけど?」

吹雪「あと温泉と脱衣所までついて!」

提督「筋トレの汗流すのにちょうどよくてさあ」

提督「あ、脱衣所といえば、吹雪」

吹雪「あ?何ですか?」

提督「脱衣所の雰囲気出すためにさ・・・」

提督「お前の服、勝手に持ってきて置いちゃった。下着も」

吹雪「…」

提督「ごめんね♪」テヘペロ

吹雪「うらぁ!!」ドーン

バチッ

提督「フフフ・・・無駄無駄無駄ァ!」

吹雪「チッ・・・すでに艤装を着けてやがりましたか」

提督「それだけじゃないぞ!」ジャキン

吹雪「!まさか、攻撃もできるようになったんですか!?」

提督「その通りだ…」ニヤリ

提督「今までの恨みの分だ、喰らえぃ!」ドーン

吹雪「キャッ!?」チュドーン

提督「勝った、艦隊これくしょん完!」

吹雪「ほーお、それでだれがこの吹雪の代わりをつとめるんだ?」シュウウウ

提督「・・・あれ?」

明石「だから言ったじゃないですか…威力弱いって」

吹雪「さて、司令官・・・」スタスタ

提督「は、はい…?」

吹雪「前に聞いた話だと、そのレーザーって…弾丸や砲弾みたいな飛び道具にしか反応しないんですよね?」スタスタ

提督「あの、吹雪さん?顔が怖いんですが…」

吹雪「あと、そのバリア・・・一点の攻撃に弱いとか」スッ

提督「えっと…そのバールのようなものは何でしょうか…?」

吹雪「仕事はサボる、勝手に執務室の模様替えをする、私のプリンを食べる、私の服を持っていく・・・」

吹雪「司令官には、お仕置きが必要みたいですね…」ゴゴゴゴ

提督「ヒィッ!?」

吹雪「そー、れっ!!」ブンッ

バリンッ ゴスッ

提督「ゴファッ!?」ドタッ

明石「なるほど・・・いいデータが取れました」メモメモ

吹雪「まあ、近接攻撃をしてくる深海棲艦はいないので大丈夫だと思いますがね」

提督「お、お前ら・・・」ピクピク

吹雪「ほら、もう懲りたでしょ。もうあんなことしないでくださいね」

提督「くっ…仕方ねえな、わかったよ」

提督「ところで吹雪、また練習に付き合ってもらっていいか?」

吹雪「またですか?・・・まあいいですけど」

寝落ちしますた…また今晩(日曜)やります

演習場


提督「よっと!」ドーンドーン

吹雪「うーん…撃つとき、もう少し脇しめたほうがいいですよ」

提督「こうか?」

吹雪「そうそう、そんな感じです」

吹雪「というかこの主砲とか、私のに似てますね」

提督「お前の参考にしたのかもしれんな」

提督「にしても、あんまり反動ないんだな…ショットガンくらいはあると思ってたんだけど」

吹雪「まあ、反動が強いと踏ん張りが利かなくなるので。水上だと滑りやすくて・・・」

提督「なるほどな…」ドーンドーン

提督「ってかやっぱ威力かなり弱いな」

吹雪「そうですね、的に二、三発当ててようやく壊せるくらいですからね」

提督「こんなんで本当に戦えんのかな…」

吹雪「まあ明石さんの言う通り、牽制程度にしか使えないと思いますが…大丈夫なんじゃないですか?」

提督「ずいぶん投げやりなことを言うな」

吹雪「だって、正直なところわかりませんからね」

吹雪「こんなこと、考えたこともありませんから」

提督「そうだけどさぁ…」

提督「ほーれほーれ」ドーンドーン

吹雪「いい感じですね。だいぶ慣れてきましたか?」

提督「そうだな。まあ、的が動かないからっていうのもあるが…」

吹雪「じゃあ、実戦してみますか」

提督「お、行くか?」

提督「…あ、でも前みたいなことになるかもしれんぞ」

吹雪「そうですね…」

吹雪「…じゃあ、他の人にも頼んでみましょう。人数は多い方が危険は減るはずですから」

提督「えー・・・」

吹雪「む、何ですかその嫌そうな顔は」

提督「いや、この艤装のことって、今のところ俺とお前と明石しか知らないんだよ」

吹雪「それがどうかしたんですか?」

提督「説明めんどい」

吹雪「ぶっ飛ばしますよ」

提督「ごめん」

提督「…で、結局メンバーは…」

長門「なるほど、最近よく訓練していると思ったら、これを着けるためか…」

陸奥「ずいぶん重そうね」

夕立「ちょっとゴツすぎっぽい?」

提督「…こいつら?」

吹雪「そうです」

提督「何でこいつら?」

吹雪「近くにいたので・・・」

提督「…夕立はともかく、長門と陸奥は燃費が…」

吹雪「まあいいじゃないですか。何回も行くわけでもないし」

提督「うーん…まあいっか」

長門「で、どこまで行くんだ?」

提督「俺としては近海でよかったんだけど…」

吹雪「このメンバーですし、もうちょっと遠出しても大丈夫だと思います」

提督「じゃあどのへん?」

吹雪「そうですね…南西方面に行きますか」

提督「えー・・・戦艦とかはさすがに怖いんだけど」

吹雪「大丈夫ですって。いっても重巡くらいにしか当たらないようにしますから」

提督「じゃあいいけど・・・」

吹雪「もし死んだら骨くらいは拾ってあげますよ」

提督「えっ」

吹雪「じゃあ、行きますよー」ザァァァァ

提督「大丈夫かよ、本当に・・・」

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__________


明石「あ、提督おかえりなさ───」

提督「…」ガタガタガタ

明石「何があった」

吹雪「ただいま戻りましたー」

明石「あ、お帰りなさい」

明石「提督、どうしたんですか?」

吹雪「あー、それがですね…」

提督「コワイ・・・アイツラ・・・メッチャコワイ・・・」ガタガタ

吹雪「ちょっと怖い思いしただけですよ」

明石「何があったんですか…」

吹雪「いやー、重巡と遭遇したんですが…」

吹雪「司令官、とりあえず撃ってみたんです」

吹雪「まあ、当然ダメージはほとんどなかったんですよ」

吹雪「それで敵はまったくひるまないものですから、ガンガン司令官に向けて撃ってくるんですよ」

吹雪「ちゃんと艤装が守ってくれたのでダメージはなかったんです」

吹雪「でも、それからどうしようもなくて・・・司令官も撃ち返そうとしてたんですが、なかなか隙がなくて、撃ててもダメージが通らなくて・・・」

吹雪「そんな感じのことがありました」

提督「何でお前ら助けてくれないんだよ!ガンガン撃たれまくってるあたりで助けてくれてもよかったじゃん!」

吹雪「だって、司令官のための実戦でしたし、それに・・・」

提督「それに?」

吹雪「見てて面白かったので」

提督「この野郎・・・」

提督「とにかく明石!駆逐艦とかすぐに倒せる相手なら問題ないが、重巡クラスになるとだめだ!」

提督「牽制どころか、まったくひるまんぞ!意味がない!」

明石「そうはいってもですね…やはりこれ以上威力を上げると、かなり重くなりますよ」

提督「そこを何とか!」

明石「うーん…」

明石「…あ、何とかなるかもしれません」

提督「本当か!?」

明石「はい、とりあえず準備してみますので、また待ってください」

提督「ああ、わかった」

一週間後 執務室


提督「ほら、どうだ?吹雪・・・」

吹雪「そ、そんなところ・・・」

提督「ほらほら、さっきまでの威勢はどうした?」

吹雪「うぅ…」

提督「今やお前は俺の思い通り・・・何か言ったらどうだ?」

吹雪「な、なめないでください・・・うぅ、そんなとこ、攻められたら…」

コンコン

明石「失礼します」ガチャッ

明石「…何やってるんですか?」

提督「ん?将棋」

吹雪「くぅ…っ!」

明石「できましたよ、艤装の改装」

提督「お、じゃあ早速行くか」

吹雪「待ってください!勝負はまだ・・・!」

提督「はいはい、さっさと行くぞ」


工廠


明石「こちらです」

提督「…ん?何かえらくコンパクトになったな」

明石「さて、提督・・・」バシッ

提督「ん?なん、だ…」ガクッ

明石「…少し、眠っててもらいます」

──────────

──────

───


提督「…ん、うぅ…」ムクリ

明石「あ、起きました?」

提督「…なんかお前に殴られた気がするんだけど…」

明石「気のせいです」

提督「そうか…気のせいか」

明石「ところで、気分はどうですか?何か変わったこととか・・・」

提督「ん?そういえば、首の後ろに違和感が…」カンッ

提督「…なんか付いてんだけど。肌触り的にメカニックな奴が」

明石「痛みとかはないですか?」

提督「一応・・・っていうか、お前俺に何したの?」

明石「まあまあ、それは今から説明しますよ」

明石「じゃあ、まずは艤装つけましょうか」ガチャガチャ

提督「ん、やっぱり軽いな。ずいぶん違う」

明石「それはよかったです。で、提督・・・」

提督「ん?」

明石「ちょっと、覚悟してくださいね」

提督「え、それはどういう───」

バチッ

提督「アヒィッ!?」ビクン

明石「大丈夫ですか?」

提督「だ、大丈夫だけど…何今の?痛いというか、衝撃というか…」

明石「ちょっと鏡で見てください」スッ

提督「どれどれ・・・へぁっ!?」

明石「どうですか?」

提督「な、なんか攻殻機動隊みたいになってんだけど…」

明石「はい。今、提督と艤装はつながってる状態にあります」

提督「マジかよ…」

提督「で、何でつないだんだよ?」

明石「まあ、簡単に言いますと…艤装の電気的な処理的なアレを提督の脳で行ってもらうために」

提督「え、何それこわい」

明石「別に大丈夫ですよ。危険はないはずです」

明石「実は、艤装で一番重量とってたのは、その処理部分だったんですよ。そこを提督に肩代わりしてもらって・・・」

提督「尚更怖いわ!」

明石「大丈夫ですって。確かにちょっと疲れるとは思いますが、そこまではないですよ」

提督「本当だろうな…」

明石「なので戦闘機能もかなり充実しましたよ!」

明石「ご希望の威力も向上して、駆逐と軽巡の中間くらいにはなりましたし、手動で動かさなくてもいいようになりました!」

提督「ほう・・・」

明石「さらにさらに!もう一つ、すごい機能が付きました!」

提督「何だ?」

明石「この艤装、学習用AIを搭載しています!」

明石「戦闘を重ねることによって、戦闘データを収集し、より優れた戦闘技術、戦略を提督の脳に送り込みます!」

明石「つまり、提督の脳に干渉して、戦いやすくするということです!」

提督「何それすごい」

明石「じゃあ、早速テストしてみましょう!」

提督「よし、やってみよう」

吹雪「呼びました?」バンッ

提督「呼んでない」

吹雪「え、でもテストするんですよね?」ジャキン

提督「そうだけど・・・っていうかそんな迷いなく構えるな」

吹雪「まあそういわずに」ドーン

提督「君、楽しんでない?」バチッ

明石「ん、大丈夫ですね。防御機能は問題なし・・・っと」

明石「じゃあ、次は戦闘機能確認してみましょうか」

提督「おう、じゃあ吹雪、演習場行くぞ」

吹雪「わかりました」ドーン

提督「なんで今撃ったの?」バチッ

演習場


提督「そぉい!」ドーン

吹雪「おお、本当に威力上がってますね」

提督「よし、これでリ級の野郎をギッタギタにできるな!」

吹雪「いや、それはどうでしょう…駆逐以上軽巡未満の火力で」

提督「うぐっ・・・確かに微妙だな」

吹雪「まあ、ちゃんと牽制くらいはできるようになりましたね」

提督「そうだな…あとはうまく使いこなせればいいが…」

吹雪「大丈夫ですよ、私が練習に付き合ってあげますから」

提督「…そっか、ありがとうな」

吹雪「…別に心配だからとかじゃないですからね」ドーン

提督「ははは、こやつめ」バチッ

今日はここまで。また土曜日に
このペースだといつ終わるかわからんな…

工廠


明石「あ、提督。どうですか?」

提督「ああ、いい感じだ。前よりは役に立ちそうだ」

明石「それならよかったです」

提督「で、そろそろこれ外したいんだけど…」

明石「あ、はい。わかりました」

明石「…えと、いいんですか?」

提督「え?いや、いいも何も、ずっと着けとくわけにもいかないし…」

明石「…じゃ、あっち向いてください」

提督「?あっち?」クルッ

明石「えいっ」ブチッ

提督「んほぉ!?」

提督「あいだだだだだだだだだだだ!!」ゴロゴロ

吹雪「し、司令官!どうしたんですか!?」

明石「あちゃー、やっぱりこうなりましたか」

吹雪「明石さん!?やっぱりって…」

明石「いや、今この提督と艤装をつないでた管を抜いたんですが…」

明石「その時にこの艤装の副作用といいますか、そんなものが出たようですね」

吹雪「副作用…ですか?」

明石「はい」

明石「先ほど言ったように、この艤装の電気的な処理は提督の脳で行われています」

明石「つまりその分、提督の脳はオーバーワークになるわけでして」

明石「艤装を着けている間は、それに耐えられるようになっているんですが…」

明石「外した瞬間に、このように蓄積された脳へのダメージが原因で体に異変が起きるんです」

明石「今回の場合、ちょっとした筋肉痛が来たみたいですね」

吹雪「ああ、なるほど」

提督「お前ら見てないで助けてくれよおおおおお!!!」ゴロゴロ

明石「落ち着いてください。もうあんまり痛くないでしょ?」

提督「…あれ?本当だ…」

明石「ね?ちゃんと考えてあるんですよ」

明石「できるだけ副作用が出ないように、脳にかかる負荷を減らしてるんですから」

明石「副作用が出ても、短時間で終わるようにしてたんですよ」

提督「そうなのか…」

提督「それにしても、これ外すたびにこの痛みを伴わないといけないと思うと、憂鬱だな…」

明石「いえ、たぶん大丈夫です」

提督「え?何で?」

明石「おそらく、着けているうちに脳が順応していって、負荷を減らしてくれるはずですから」

明石「つまり、そのうち慣れるってことです」

提督「なんかやだな…」

提督「まあ、何はともあれ、これで十分安全に戦場に出ることができそうだな」

吹雪「…調子に乗って遠くの海域に行かないでくださいね」

提督「え、ダメ!?」

吹雪「そりゃ危険ですよ…」

明石「そうですね、私もお勧めしません」

提督「うーん…でも、俺の指揮が通りやすいって理由でこの艤装作ったんだろ?」

吹雪「そうですが…」

提督「だったら遠くの危険な海域じゃないとあんまり意味がないと思うんだが…」

吹雪「そうかもしれませんが、ダメったらダメです」

提督「えー…」

明石「まあそのことについてはまた今度考えましょう」

提督「…わかったよ」

今日はあんまり時間が取れなかったので、また明日やります
明日は多分それなりに取れるかと

後日  以前行った海域


提督「そろそろあのリ級の野郎が出てくる頃か…」ザァァァァ

吹雪「またガンガンに攻められないといいですけどね」

提督「火力も上がったし大丈夫だと思うんだけどなあ…」

吹雪「前言ったとおり、微妙な火力なんですから」

吹雪「無茶はしないでくださいね」

提督「わかってるよ」


提督「むっ、奴がいたぞ!」

リ級「…」

提督「前のようにはいかんぞ、このやろー!」

吹雪「はいはい、喧嘩売らないでくださいね」

吹雪「じゃあ司令官、指示をお願いします」

提督「よーし、任せておけ!」

提督「じゃあ、まずは索敵だ。長門、陸奥、周囲に他の敵がいないか、偵察機を飛ばして確認してくれ」

長門「了解した」ブーン

提督「吹雪と夕立はその間に敵の動きを見ておいてくれ」

吹雪「はい、わかりました」

提督「索敵が終わり次第、長門と陸奥は砲撃を開始、吹雪と夕立は俺と突入だ」

夕立「え?提督さんも行くっぽい?」

提督「不満か?」

吹雪「…司令官、さっきの私の話聞いてましたか?」

提督「別に無茶はしねえよ。それに、お前らを信頼しているのさ」

吹雪「…調子のいいこと言って、まったく…」

吹雪「わかりました、いいでしょう。はぁ…」

提督「ほらほら、ため息つくと幸せが逃げるぞ」

吹雪「うるさいです」

提督「ごめん」

陸奥「…周囲には他の敵は見当たらないわ」

長門「こっちもだな。やはり奴らだけだ」

提督「そうか…ならいい。予定通り、砲撃と突入を…」

夕立「!!敵が動き出したっぽい!」

提督「何、気づかれたか!?」

吹雪「司令官、どうします?」

提督「…いや、問題ない。予定決行だ!」

提督「砲撃・突入開始!」

一同「了解!」

ドカーン ドカーン

提督「おお・・・やっぱり戦艦の砲撃はすごいな」ザァァァァ

提督「ずいぶん遠くまで届く」

吹雪「そうですよ。私たちとは比べ物になりませんから」

吹雪「とても頼りになりますね」

提督「へー、やっぱりそうなのか」

吹雪「…ただ」

提督「ただ?」

吹雪「…駆逐艦ばっかり狙うのが…」

提督「…」

夕立「そろそろ砲撃が止んできたっぽい?」

提督「そうか…」

提督「よし、じゃあもっと肉薄して、一気に畳みかけるぞ」

吹雪・夕立「了解!」


吹雪「ってー!」ドーン

ホ級「…!」ジャキン

夕立「遅いっぽい!」ドーン

ニ級「…!」ジャキン

吹雪「こっちですよ!」ドーン

へ級「…!」ドーン

吹雪「うわっ危ない!」シュバッ

夕立「吹雪ちゃん、大丈夫っぽい!?」

吹雪「大丈夫、それより気を付けて!狙われてるよ!」

夕立「え?…って、っぽいー!?」シュバッ


提督「おお…さすがだな」

提督「うちの艦隊の中でも、練度が高い駆逐艦だからな…やはり強い」

提督(そして敵から見事に駆逐艦だけが消えている…)

提督(…それにしても…)

提督(…リ級の奴は一体どこに…?)

吹雪「当たってください!」ドーン

二級「…!」チュドーン

吹雪「ふぅ…」

吹雪(これで何とか…)


リ級「…」ジャキン

夕立「!!吹雪ちゃん、後ろ!」

吹雪「え?」

ドーン

吹雪(撃たれた…?)

吹雪(そんな…重巡の攻撃が直撃なんかしたら…)

吹雪「っ…」


吹雪「…ってあれ?痛くない…」

夕立「吹雪ちゃん、大丈夫っぽい?」ザァァァァ

吹雪「うん…」

吹雪「あれ?私今、撃たれたような気がしたんだけど…」

吹雪「砲撃音も聞こえたんだけどな…」

夕立「ああ、それは…」

夕立「あれっぽい」クイッ

吹雪「あれ…?」


提督「うおおおおおおお!!」ドーンドーン

リ級「…!」チュドーン

提督「お前の相手は俺だああああああああ!!!」ドーンドーン


吹雪「司令官…!」

提督「吹雪!今だ、魚雷を撃て!」ドーンドーン

吹雪「え?」

提督「俺がこいつを砲撃で抑えておく!隙を見て魚雷で仕留めろ!」ドーンドーン

吹雪「…」

吹雪「…はい!」


吹雪(落ち着いて…よく狙って…)ガコン

提督「おらああああああ!!!」ドーンドーン

リ級「…!」

吹雪(…今!)

吹雪「お願い、当たってください!」シュパーン

ドカーン

提督「ふぅ…」

吹雪「司令官、大丈夫ですか?」

提督「吹雪…」

提督「大丈夫だ。撃ち疲れただけさ」

吹雪「そうですか…」

提督「…それにしても、よくやったな」

吹雪「…いえ、それほどでも」テレッ

夕立「提督さん、夕立は褒めてくれないっぽい…?」ウルウル

提督「ああ、夕立も頑張ったな」

長門「私は?」

陸奥「私は?」

提督「お前らいつ来た」

提督「よくやったけど、お前らいい大人だろ…そうやってねだるのはやめなさい」

長門「何を言っている提督」

長門「艦娘に年齢はないぞ?」

陸奥「年も取らないのよ?」

提督「ん?そうなのか?」

長門「艦齢で例えてもいいが…」

提督「いや、それはいいや…」

吹雪「それにしても司令官、火力あげた効果ありましたね」

提督「ん?ああ、そうだったな…」

提督「確かに、ちゃんとひるむようにはなったが…」

提督「…」

吹雪「…司令官?」

提督「…ん、いや、何でもない」

提督「じゃ、帰ろうか」

吹雪「はい」

工廠


提督「おっす明石ー」

明石「あ、提督。お疲れ様です」

明石「どうでした?実戦は」

提督「ああ、効果はあったよ」

提督「リ級くらいならひるませられるようになった」

明石「じゃあ、いい感じですね…っと」ブチッ

提督「痛ぁ!?」

提督「ぐ…抜くなら先に言えよ」

明石「すみません」

明石「私はPCからUSBを抜くとき、ハードウェアの安全な取り外しの確認をしないタイプでして…」

提督「それ関係なくない?あとそれわりと誰でもするよ?」

明石「何はともあれ、援護はできるようになったんですね」

提督「まあ、そうだな」

明石「じゃあ、火力は十分…っと」メモメモ

提督「あー、それなんだが、明石…」

明石「はい?」

提督「あのさ…」

提督「…火力、まだ上げられないか?」

明石「…え?」

明石「な、何でですか?」

提督「いや、今回は相手が重巡だったけど…」

提督「ゆくゆくは戦艦も相手しないといけないと思うし、もっと強力な…鬼や姫クラスも出てくると思う」

提督「その時にも、できるだけのことはしたいからな」

明石「うーん、言い分はわかりますが…」

明石「まず、要望に応えるとしたら重巡クラスの火力は要りますね」

提督「ああ、そうだな」

明石「そうなると、やっぱり重くなりますし、それに・・・」

提督「それに?」

明石「…脳への負担も、大きくなります」

提督「ん、そうなのか?」

明石「当然ですよ」

明石「そしたら、体への負担、つまりさっきみたいな痛みがさらに強くなるということです」

提督「そっか…そういえばそうだな」

提督「うーん…」

提督「…」

提督「…いや、大丈夫だ。やってくれ」

明石「いいんですか…?」

提督「ああ。脳は徐々に慣れていくんだろ?」

提督「だったらいいだろう」

明石「しかし…」

提督「いいからやってくれ。頼む」

明石「…」

明石「…わかりました」

明石「…あ、防御機能は変えなくていいんですか?」

提督「ああ、とりあえず火力優先で頼む」

明石「…はい」

その夜  岬


提督「うーみーはーひろいーなーおおきーいーなー」

吹雪「何音痴な歌歌ってるんですか」ザッ

提督「む、吹雪か」

吹雪「こんなところにいたんですね」

吹雪「何やってたんですか?」

提督「いや、夜風に当たりたかっただけだ」

吹雪「…そうですか」

提督「吹雪こそどうしたんだ?」

吹雪「はい?」

提督「さっきの口ぶりからすると、俺を探してたみたいだが…」

提督「何か用か?」

吹雪「あー…えっと…」

提督「?」

吹雪「まだ、お礼を言ってなかったので」

提督「え?」

吹雪「昼間に、出撃したときの話ですよ」

吹雪「司令官がリ級を引き付けてくれたおかげで、私、撃たれずに済んだんです」

吹雪「そうじゃなかったら…もしかしたら、轟沈してたかもしれないし…」

吹雪「だから、その…」

吹雪「…ありがとうございました、司令官」

提督「…」

吹雪「…何ですか、その顔は」

提督「いや・・・」

提督「珍しく吹雪が素直だと思ってな」

吹雪「はぁ!?」

提督「だってお前…若干ひねくれてるじゃん」

吹雪「私は元々素直です!司令官のせいですよ、こうなったのは!」

提督「そうだったな…初めて会ったころは素直だったよなぁ」

提督「今ではこんな…叢雲みたいになっちゃって…」

吹雪「何言ってるんですか!」

提督「こんな子に育てた覚えはないぞ!」

吹雪「育てられた覚えもないです!この…」ジャキン

提督「え?待て待て、俺今艤装してな」

吹雪「司令官の、バカー!」ドーン

提督「ゴホッゴホッ…」

提督「…あれ?痛くない」

吹雪「まったく…」

提督「吹雪?今、お前俺を撃たなかったか?」

吹雪「撃ちましたよ?」

吹雪「ただし、威力はほぼ無いに等しいです」

提督「え?何で?」

吹雪「私たち艦娘は、艤装による攻撃の威力をコントロールできます」

吹雪「戦闘時は基本的に最大火力ですが…今みたいに、威力をなくすこともできるんです」

提督「じゃあ、もしかして、俺が艤装を着けてお前に撃たれた時…」

吹雪「はい。あの時も威力はなくしていました」

吹雪「その後、艤装を着けてからも何回か撃ちましたけど…」

吹雪「万が一を考えて、どれも威力は少なくしています」

吹雪「当たっても大事には至らない、死なない程度の、ね」

提督「そうだったのか…」

提督「…ん?じゃあ、何であの時『何で死んでないんですか?』って言ったんだよ?」

吹雪「あれはただの冗談ですよ」

提督「ずいぶんブラックな冗談だな」

吹雪「何にせよ、司令官を殺す気なんてありませんよ」

提督「ふーん…」

提督「…そうか」

今日はここまで
もしかしたら明日もやるかも?ダメだったら土曜です

一週間後


提督「できたのか?」

明石「はい。これで重巡並みの火力になったはずです」

提督「よし。早速試してみよう」

提督「明石、着けてくれ」

明石「わかりました」ガチャガチャ

バチッ

提督「ぐっ…」

提督「この感覚地味に嫌なんだよ…」

明石「我慢してくださいねー」ガチャガチャ

明石「…っと。できましたよ」

提督「ふむ…」

提督「確かに少し重いな」

提督「まあ前ほどじゃないけど」

明石「仕方ないですよ。そればかりはどうしようもないです」

明石「では、演習場に行きますか?」

提督「いや…」

提督「もう実戦に行ってみるよ」

明石「え?さすがにそれは危険だと思いますよ」

明石「何かトラブルが起きたら…」

提督「大丈夫だって。じゃあな」

明石「あっ、提督!」

明石「…」


提督「吹雪ー。出撃するぞー」

吹雪「またですか?いいですけど」

提督「今日はちょっと遠くに行くから、しっかり準備しておけよー」

吹雪「ん、はい」

提督「…なんかメンバー変わってない?」ザァァァァ


金剛「提督ぅー!その艤装very coolネー!」

羽黒「し、司令官さん…重くないですか?」

雷「司令官、大丈夫、?困ったら、私を頼っていいのよ?」


吹雪「長門さんたちから話が広まったそうで…」

吹雪「鎮守府のみんなのほとんどが知ってるらしいですよ」

提督「マジかよ…」

提督「まあ、別に隠してるわけでもないし、いいけどな」

吹雪「で、今日はどこまで行くんですか?」

提督「そうだな…」

提督「とりあえず、戦艦や空母が出るようなところまでって思ってるんだけど…」

吹雪「え?大丈夫なんですか?」

吹雪「前はあんなに戦艦に遭遇することを恐れてたのに…」

提督「いつまでもそうも言ってられないだろう」

吹雪「それに、この間もリ級をひるませるのがやっとだったじゃないですか」

提督「ああ、その点は大丈夫だ」

提督「明石に改装してもらったからな」

吹雪「そうなんですか?」

吹雪「…確かに少し大きくなった気がします」

提督「重巡並みの火力なってるはずだが…どうだろうな」

提督「…なかなか遭遇しないな」

吹雪「今日はオフなのかもしれないですね」

提督「なに那珂ちゃんみたいなこと言ってんの?」

提督「うーん…空母がいたら索敵させるんだけど…」

提督「なんで毎回空母がいないんだよ…」

吹雪「その辺にいた人に声をかけてるので、仕方ないです」

提督「ぐぬぬ…」

提督「仕方ない。金剛、羽黒、偵察機は持ってるか?」

金剛「Yes!」

羽黒「は、はい…」

提督「じゃあ、飛ばして索敵を…」

吹雪「!司令官、見てください!」

提督「どうした!?」

吹雪「敵の艦載機です!」

提督「何だと!?」

提督「見つかったか…!一体どこから…?」

吹雪「司令官、どうしますか?」

提督「…このままでは分が悪い」

提督「仕方ない、離脱するぞ!」

一同「了解!」


提督「…敵影はないか?」ザァァァァ

吹雪「いえ、見当たりません」

雷「こっちも見当たらないわ」

提督「そうか…」

提督「なら、このまま逃げ切れるかもしれんな」

羽黒「…あ、あの…司令官さん…」

提督「ん、どうした?羽黒」

羽黒「…前方に、敵艦隊発見です!」

提督「何!?くそっ…」

金剛「見たところ・・・駆逐艦二隻、軽巡二隻、戦艦二隻ってところデスネー」

提督「空母はいないか?」

金剛「見当たりマセン」

提督「ということは…空母がいる艦隊とは別の艦隊に遭遇しちまったってことか…」

提督「ふむ…」

吹雪「どうしますか?」

提督「…ええい、仕方ない!空母がいる艦隊に遭遇する前に、あの艦隊をぶっ潰すぞ!」

提督「勝てない相手じゃないんだ、問題ない!」

吹雪「じゃあどんな作戦で…」

提督「突っ込んでボコる!以上だ!」

吹雪「雑すぎやしませんかね…」

雷「でも、実際これしかないと思うわ」

金剛「細かいことゴチャゴチャ言うよりも、さっさと突っ込んで殲滅させた方がいいデース!」

羽黒「わ、私も、いいと思います」

吹雪「…まあ、いいんじゃないですか?」

提督「よーし、危なくなったらすぐに下がるんだぞ!」

提督「全員、突撃ー!」


金剛「よーし、いきますヨー!」ザァァァァ

金剛「全砲門、Fire!」ドカーン

提督「おお…さすがだな、金剛」

金剛「フフフ…見直しましたカ?提督!」

提督(やっぱり駆逐艦狙ってるけど)

ル級「…!」ドカーン

提督「ぐおっ!?」バチッ

吹雪「司令官!大丈夫ですか!?」

提督「あ、ああ」

提督「大丈夫だ。戦艦の砲撃も耐えられるみたいだ」

吹雪「そうですか…よかった」

ヒュルルルル…

提督「…って、吹雪!避けろ!」

吹雪「うわぁ!?」バシャァ

提督「吹雪!」

吹雪「だ、大丈夫です…至近弾です」

提督「俺のことは気にしなくていいから、お前は自分の身を守れ!」

吹雪「で、でも…」

提督「いいから!」

吹雪「…はい」

雷「ってー!」ドーン

ホ級「…」シュバッ

雷「くぅ…当たらないわね」

提督「雷!どいてろ!」ジャキン

雷「!」シュバッ

提督「オラァ!」ドカーン

ホ級「…!」チュドーン

提督「よし来た!」

雷「す、すごいわね司令官…」

提督「ああ。重巡並みの火力だからな」

提督「…それにしたって、想像以上だな」

ル級「…」ドカーン

提督「って、うおっ!?」バチッ

ル級「…」ドカーンドカーン

提督「くっ…」バチッバチッ

雷「司令官!」

ル級「…」ドカーンドカーン

提督「…この野郎」バチッバチッ

提督「…なめんじゃ…」ジャキン

提督「ねぇー!!」ドカーンドカーン

ル級「…!」チュドーン


提督「ふぅ…」

提督(今のが、クリティカルヒットってやつか?)

提督(重巡並みの火力でも、戦艦を一撃で屠ることができたのは…)

提督(この装置の、学習用AIってやつのおかげなのか?)

提督「…これはすごいな」

吹雪「司令官、お怪我はありませんか?」

提督「ああ。バリアはちゃんと機能してくれてたよ」

吹雪「それならよかった…」

吹雪「…あ、敵は全て殲滅しました。早く離脱しましょう」

提督「…いや、まだだ」

吹雪「え?」

提督「まだ、空母を含む艦隊を撃退してない…」

吹雪「し、司令官?」

提督「奴らも、倒さないと…」

吹雪「ちょっと!司令官!」

提督「…ん、ああ、何だ?」

吹雪「そんな必要はないでしょう!追いつかれる前に、早く離脱すべきです!」

提督「…あ、ああ。そうだな。早く帰ろう」

吹雪「…」

工廠


提督「ただいまー」

明石「おかえりなさーい」

吹雪「こんにちはー」

明石「あら、吹雪ちゃんも」

提督「明石、よかったぞ、艤装」

提督「問題もなかったし、火力もいい感じだ」

明石「そうですか…」

明石「それならよかったです」

吹雪「確かにすごかったです…戦艦も沈めちゃうくらいですから」

提督「じゃ、外してくれ」

明石「あ、はい」

ブチッ

提督「…ッ!!がっ…!!」

吹雪「!司令官!」

明石「ほら、やっぱり…」

提督「ぐっ…あがっ…!!」

吹雪「明石さん、なんか、司令官前より辛そうなんですが…」

明石「改装した分、脳への負担が大きくなって、ダメージも大きくなるんです」

明石「前もって伝えておいたんですが…」

提督「…だ、大丈夫だ…」

吹雪「ほ、本当ですか?」

提督「ああ…このくらい」

吹雪「…」

今日はここまで
また土曜日に

数日後  演習場


提督「よっと!」ドカーン

吹雪「…またやってるんですか」

提督「お、吹雪か。いや、練習しておかないといけないと思ってな」

提督「まだあまり慣れてないから…」

吹雪「…あまり無理はしないでくださいね」

提督「わかってるって」ドカーン

吹雪「…司令官、変な癖ありますね」

提督「え、そう?」

吹雪「はい。照準を合わせて、撃とうとするときに、若干肩をひねってます」

吹雪「結果的に照準はぶれてないみたいですけど…隙ができますよ」

提督「そうだったのか…自分じゃわからんな」

吹雪「まあ、このくらいなら特に問題はないと思いますけどね」

提督「ふーん、ならいいけどさ」ドカーン

吹雪「ほらまた」

提督「おうふ」

提督「さて、今日も出撃するぞ、吹雪」

吹雪「え?今からですか?」

提督「そうだが」

吹雪「少し休んだ方が…」

提督「大丈夫だって。ほら、行くぞ」

吹雪「え、あの…」

提督「もう戦艦まで倒せるようになったからな~。大抵の海域は行けるな」

吹雪「確かにこの間倒せてましたが…」

吹雪「それでもあんまり戦艦なんかとは戦わない方がいいんじゃないですか?」

提督「いいからいいから。行くぞ」スタスタ

吹雪「あ、ちょっと…」

吹雪「…」

南西方面


提督「オラァ!!」ドカーン

ル級「…!」

チュドーン

吹雪「うわぁ…また戦艦沈めましたね」

提督「うむ、なかなかの手ごたえだった」

提督「…だったんだけど…」

吹雪「司令官?」

提督「…」

吹雪「司令官?どうしたんですか?」

提督「…いや、何でもない。そろそろ帰ろうか」

吹雪「?はい…」

工廠


提督「よー明石」

明石「あ、提督。お疲れ様です」

明石「艤装外しに来たんですか?」

提督「あー、それもあるけどさ」

提督「一つ相談があって…」

明石「はい?何でしょう?」

提督「…まだ火力あげられるか?」

明石「…え?」

明石「ま、まだ上げるんですか?」

提督「いやー、戦艦沈められるようにはなったけどさー」

提督「それも結局クリティカルが起こった時じゃないとだめなわけじゃん」

提督「艤装のおかげで、クリティカル率は高いと思うよ。でも、それも毎回じゃない」

提督「だったらもっと火力あげて、安定させた方が…」

提督「いっそ、戦艦くらいの火力に…」

明石「何言ってるんですか!」

明石「牽制できるくらいの火力でいいんでしょう?」

明石「だったら今のままで十分じゃないですか!」

提督「でもあるに越したことはないだろ?」

明石「それに、脳や体への負担がまた大きくなるんですよ!?」

明石「いくら順応していっているとはいえ、このままでは…!」

提督「それなら別に問題ない」

明石「でも…!」

提督「うるさい」

明石「…!」

提督「できないわけじゃないんだろう?」

明石「…できるとは思いますが…」

提督「だったらやるんだ。いいな?」

明石「…」

提督「上官命令だ。しっかりやっておけよ」

明石「…はい」

一週間後  工廠


提督「明石、できたか?」

明石「…はい、できました」

提督「おお…さすがにでかいな」

明石「お望み通り、戦艦クラスの火力のはずです」

提督「すごいな、それほどの火力があれば…」

明石「…提督?」

提督「ん?…いや、何でもない」

提督「それより、テストしてみたいから、早速着けてくれないか?」

明石「わかりました」ガチャガチャ

提督「おーい吹雪ー」

吹雪「あ、司令官…って、また艤装大きくなってませんか!?」

提督「ああ。明石に頼んで戦艦並みの火力にしてもらった」

吹雪「ま、また上げたんですか?」

提督「ああ。これで戦闘が捗るぞ」

吹雪「でも、司令官…負担が大きくなるんじゃ…」

提督「そんなこと気にする必要はない。じゃ、出撃するぞー」

吹雪「え、司令官…」

提督「今日はそうだな…北方海域に行ってみようか?寒そうだけど」

提督「それとも西方海域かな…装甲空母鬼に挑戦するのもアリだな」

吹雪「…」

吹雪(大丈夫、なのかな…)

西方海域


提督「結局装甲空母鬼に挑戦することにしたぜ」ザァァァァ

吹雪「じゃあ初めての鬼クラスですね」

提督「そうだな…どんな相手か楽しみだ」

長門「提督、そろそろ来る頃だ…」

提督「む、そうか…」

提督「っていうか、またこのメンバーか」

陸奥「あら?」

夕立「ぽい?」

加賀「やりました」

提督「違った、一人増えてた」

提督「加賀も来たのか」

加賀「はい」

吹雪「司令官が空母がほしいっていうからお願いしたんです」

加賀「航空支援と索敵ならお任せください」

提督「そうだな、ありがたい」

提督「で、索敵はしたのか?」

加賀「はい、しました」

加賀「もうすぐ来ます…」

提督「そうか…じゃあ、航空戦の準備をしておけ」

加賀「はい」

提督「さて、今回は…」

提督「装甲空母鬼の相手は、俺一人がする」

吹雪「…え?」

提督「他のみんなは、随伴艦の相手を───」

吹雪「ちょ、ちょっと待ってください、司令官!」

提督「ん?何だ?」

吹雪「いくらなんでも、危険じゃないですか?」

吹雪「大体、何でそんなこと…」

提督「いや、一人で戦ってみたくて」

吹雪「な…!」

吹雪「そんな理由で…!」

提督「大丈夫だって言ってるだろ」

提督「さ、そろそろ来るんじゃないのか?みんな準備しとけー」

吹雪「…っ」

装甲空母鬼(…?見慣レナイ奴ガイル…)

装甲空母鬼(新入リカ…?イヤ、ソモソモ…)

装甲空母鬼(…人間?)

装甲空母鬼(…マサカ、ソンナハズハ…)

提督「ハロー」

装甲空母鬼「!!」

装甲空母鬼(イツノ間ニ…!?)

提督「早速だけど、始めようじゃないか」ジャキン

装甲空母鬼(コイツ…艦娘ジャナイ…!ヤハリ、人間…?)

装甲空母鬼(ジャア、コノ艤装ハ…?)

装甲空母鬼(!ソレヨリモ、攻撃ガクル!)

提督「オラァ!!」ドカーン

装甲空母鬼「グ…!」

提督「む、少し外したか…」

提督「やっぱり重い分、少し反動が大きくなったりしてるのかな…」

装甲空母鬼(ア、危ナカッタ…)

装甲空母鬼(見タトコロ、戦艦並ミノ火力ダ…当タッタラカナワン)

装甲空母鬼(ダッタラ、撃タレル前ニ…)ジャキン

ドカーン

装甲空母鬼「…!」

装甲空母鬼(砲塔ガ…ハジカレタ…!?)

提督「よーし、さっきよりは上手く狙えたな」

提督「おい、おかしな真似するんじゃねえぞ」

提督「次は当てる」ジャキン

装甲空母鬼「…!」

装甲空母鬼(クッ…コノママデハ危険ダ…)

装甲空母鬼(一旦引イテ随伴艦ニ…)ザッ

ドカーン

装甲空母鬼「…!」

提督「どこへ行く気だ?」

装甲空母鬼(ダメダ…逃ゲラレナイ!)

提督「…さて、そろそろ…」

ドカーン

装甲空母鬼「グガ…!」

提督「…終わりにしようか」

提督「そーれそーれ」ドカーンドカーン

装甲空母鬼「グ…!」

装甲空母鬼(強イ…!コンナノ、スグニ…!)

提督「そろそろ限界か?」

提督「ふーん…鬼クラスとは初めて戦ったんだが…大したことなかったな」

装甲空母鬼「…」

装甲空母鬼「…ナメルナァ!」ジャキン

ドカーン

装甲空母鬼(ドウダ…!イクラ火力ガ高クテモ、先ニ沈メテシマエバ…!)

バチッ

装甲空母鬼(…エ?)

提督「残念だったな」ジャキン

装甲空母鬼(ソ、ソンナ…)

装甲空母鬼(圧倒的、スギル…)

提督「あばよ」

ドカーン

提督「…」

吹雪「司令官、大丈夫ですか?」

提督「…ああ、大丈夫だ」

提督「それにしても、鬼クラスも大したことないな」

吹雪「まあ、装甲空母鬼は弱い部類に入るので…」

吹雪「もっと強い相手になると、やっぱり手強いですよ」

提督「ほう…」

提督「そいつは…ぜひとも戦ってぶっ殺したいな」

吹雪「な、何言ってるんですか?」

提督「…い、いや、何でもない」

提督「さあ、帰ろうか」

吹雪「?…はい」

工廠


提督「おい、明石」

明石「あ、提督。どうしました?」

提督「火力あげろ」

明石「…またですか」

提督「いいから」

明石「はぁ…」

明石「できません」

提督「…あ?」

提督「何だと?命令無視か?」

提督「ずいぶんと偉くなったものだなぁ、明石」

明石「違いますよ。聞いてください」

明石「無理なんです。限界なんですよ、それが」

提督「何?」

明石「私の技術力では、それが限界です」

明石「もう火力を上げることはできない、ということです」

提督「そうか…」

提督「…すまなかったな」

明石「い、いえ、いいんですが…」

明石「じゃあ、艤装外しましょうか?」

提督「…いや、あとでいい」

明石「え?そうですか?」

提督「お前、忙しいんじゃないのか?」

明石「…確かにいつもよりは忙しいですけど」

提督「仕事が片付いてからでいいよ」

明石「わ、わかりました…」

明石(何か…調子狂うな)

明石「あ、提督はどうするんですか?」

提督「俺はここで待ってるよ」

明石「そうですか…では、待っててください」


明石「これをこうして…」カーンカーン バチッ

提督「…」

その夜


吹雪(はぁ…今日も疲れちゃった)スタスタ

明石「吹雪ちゃん、ちょっと」クイクイ

吹雪「明石さん…?」


吹雪「どうしたんですか?」

明石「ちょっとご相談…っていうのもなんですが…」

明石「最近、提督の様子が変じゃないですか?」

吹雪「…変、ですか?」

明石「ええ。何というか…若干危険な感じに…」

吹雪「…そういえば、そうかもしれません」

明石「提督の艤装、また変わっていたでしょう?」

吹雪「はい…火力も戦艦並みになって…」

明石「そうです。それで、今日も帰ってきてから、また言われたんです」

吹雪「え!?」

明石「さすがに断りました。もう技術の限界だって言って」

吹雪「そ、そうなんですか…」

吹雪「…改修すると、脳や体への負担が大きくなるんですよね?」

明石「ええ。実際、今日も外したらひどいことになりました」

明石「一応順応していくとは思うんですが、あまりにも危険そうなら…」

吹雪「艤装は、もう着けさせない方がいいですね」

明石「そうです」

吹雪「それにしても…どうして司令官はそんなにも火力を?」

明石「わかりません…ただ」

明石「…何かあるような気がします」

吹雪「…そうですか」

吹雪「わかりました。私もよく見ておきますので、何かあったら知らせます」

明石「はい、お願いします」


明石「…このまま何もないと、いいんだけどね」

夜中  工廠


明石(いけない…工廠に工具忘れちゃった)スタスタ

明石(ちゃんと自分の部屋に持って帰らないとね)

明石「…ん?」

カーン…カーン…

明石(何?この音…)

明石(誰かが工廠使ってるのかな?)

明石(こんな夜中に…夕張さんとか?)


提督「…」カーンカーン


明石(提督…?工廠で一体何を…?)

今日はここまで
また来週

翌日 執務室


提督「ふぅ~…書類仕事は疲れるな」

吹雪「お疲れ様です」コトッ

提督「おっ、気が利くじゃないか」ズズズ

提督「ゴグファッ!!」ブッー

提督「ゴホッゴホッ…な、何だこのお茶…何入れた?」

吹雪「すっぽん汁です」

提督「何で!?」

吹雪「疲れたっていうから…」

提督「そういう効果ないから!むしろ疲れるから!」

吹雪「それにしても、今日は出撃したいって言わないんですね」

提督「そりゃ書類仕事もあるしな」

吹雪「…まあ、それならいいんですけどね…それなら」

提督「あ、そうだ吹雪。これ、明石のところに持って行ってくれ」ペラッ

吹雪「はい、わかりました」

吹雪「では」ガチャッ

提督「…あ、吹雪…」

吹雪「はい?」

提督「…いや、何でもない」

吹雪「はあ…そうですか」

バタン

提督「…っ」

工廠


吹雪「あ、いたいた。明石さーん」

明石「ああ、吹雪ちゃん。どうしたんですか?」

吹雪「司令官からこれを明石さんに渡すように言われて・・・」ペラッ

明石「ん?ああ、これですか…はい、わかりました」

明石「…提督といえば」

吹雪「はい?」

明石「気になることが二つほど…」

吹雪「え、昨日の今日でですか?」

明石「そうなんです」

明石「まず一つ目」

明石「昨日の夜中に、提督が工廠で一人で何かをしていました」

吹雪「夜中に一人で…ですか?」

明石「そうです」

吹雪「それはまた奇妙ですね」

吹雪「で、何をしてたんですか?」

明石「それが、よくわからなかったんです」

明石「後ろから覗いただけで、よく見えなくて…」

明石「それに、何だか声もかけづらくて…」

吹雪「そうなんですか…」

明石「でも、実は工廠には監視カメラが設置してあります」

吹雪「えっ」

明石「それを見れば何をやってたかわかるんですが…」

明石「見る前に、二つ目の気になることが飛び込んできまして」

吹雪「はあ…それでその二つ目とは?」

明石「その、提督の艤装のことなんですが」

吹雪「え、何かあったんですか?」

明石「…無いんです」

吹雪「え?」

明石「いつも、艤装をはずしたら私が預かって工廠に置いておくんですが…」

明石「いつも置いてある場所に、艤装がなかったんです」

吹雪「ぬ、盗まれたってことですか?」

明石「そうとは言い切れませんが…」

明石「とりあえず、提督に何か知らないか聞いてみようと思います」

吹雪「そうですね…じゃあ、行きましょうか」

執務室


吹雪「しれいかー…ってあれ?」

明石「いませんね」

吹雪「何も聞いてないので、すぐ戻ってくると思うんですが…」

明石「じゃあ、待ちましょうか」

明石「…それにしても、筋トレグッズが増えましたね」

吹雪「でしょう?狭くなって困ってるんですよ」

吹雪「温泉と脱衣所はさすがに撤去させましたけどね」

明石「まああれは色々問題ありますからね…」

明石「…ん?」

吹雪「どうしました?」

明石「あの布がかかってるもの…何ですか?」

吹雪「新しい筋トレグッズじゃないですか?」

明石「それにしては大きいし、形も…」

明石「ちょっと見てみますか」

吹雪「え、勝手に見て大丈夫ですかね?」

明石「大丈夫でしょう、多分」バッ


明石「…え?」

吹雪「これって…」

吹雪「司令官の…艤装?」

吹雪「ど、どうしてここに?」

明石「さあ…それはわかりませんが」

明石「昨日の段階よりも、さらに強化されてるみたいです…」

吹雪「え、明石さんがしたわけじゃないですよね?」

明石「当然です。それに、昨日言ったとおり、私の技術ではあれ以上無理です」

吹雪「ということは、明石さん以上の技術を持った人ってことになりますね…」

吹雪「でもそんな人、どこに…」

ガチャッ

吹雪・明石「!!」

提督「お、吹雪。戻ってたか。明石も来たのか」

吹雪「し、司令官ですか…どこ行ってたんですか?」

提督「トイレだよ。大した用じゃないって」

提督「で、お前ら何してんだ?」

明石「いや、その…」

吹雪「司令官、これ…」

提督「ん?ああ、それか」

提督「俺が改修したんだ」

吹雪・明石「え!?」

提督「いやー、大変だったね。でも一晩でできてよかったよ」

明石「ひ、一晩で、あれを…」

吹雪「司令官、そんな技術あったんですか?」

提督「ん…まあな」

提督「だから、これからは俺が管理するから、明石はもう管理しなくていいぞ」

提督「着脱も自分でできるからな」

明石「…そうですか」

吹雪「…」

吹雪「失礼しました」

バタン

吹雪「…どう思いますか?」

明石「おかしいですよ!提督にあんな技術があるなんて、聞いたことありません!」

吹雪「そうですね…私も今まで、そんなそぶり見たことありませんでした」

明石「どういうことなんでしょうか…」

吹雪「それにしても、さらに改修したってことは…」

明石「!…そうですね」

吹雪「気を付けないと、いけませんね」

翌日


吹雪「しれいかーん、しれいかーん?」

吹雪(どこにもいない…どこ行ったんだろう?)

金剛「oh、ブッキー!どうしたデース?」

吹雪「あ、金剛さん。司令官を探してるんですが…」

金剛「提督?さっき長門や大和たちと一緒にサーモン海域に行ったヨー」

吹雪「サーモン海域…ですか?」

金剛「しかも北方に行くって言ってマシタ」

吹雪「サーモン海域北方…って言ったら、戦艦レ級が出る海域じゃないですか!大丈夫なんですか!?」

金剛「ブ、ブッキー?落ち着いてくだサーイ…」

吹雪「…はっ、す、すみません…」

金剛「提督も大丈夫って言ってたし、大丈夫ダヨ!」

吹雪「…だといいんですが」

吹雪「はあ…」スタスタ

明石「おや、吹雪ちゃん。どうしたんですか?」

吹雪「あ、明石さん…実は、司令官が…」

明石「?提督がどうかしたんですか?」

吹雪「私に黙って、勝手に出撃したんです…」

明石「え…」

吹雪「もう心配で…」

明石「ま、まあ、大抵の海域なら大丈夫ですよ」

明石「あのレーザーとバリア、戦艦の砲撃にも耐えられますから」

吹雪「でも、戦艦レ級の出る海域で…」

明石「あー、なるほど、レ級ですか…」

明石「…ってレ級!?」

明石「ど、どうしましょう」アワワ

吹雪「あ、明石さん?どうしたんですか?急に慌てて」

明石「だって、さっき戦艦の砲撃にも耐えられるって言いましたけど…」

明石「戦艦レ級は別ですよ!?」

吹雪「え!?」

明石「レ級くらいの火力となると、あのバリアではもう…」

吹雪「ど、どうしてそんな大事なこと早く言ってくれなかったんですか!?」

明石「だってまさかあそこまでいくとは思わなくて…」

吹雪「と、とにかく、大淀さんに言って通信してもらいましょう!」

明石「そ、そうですね!」

司令室


明石「大淀ー!」バンッ

大淀「明石さん?な、何ですか?急に」

明石「長門さんに通信つなげて!」

大淀「え?」

明石「早く!」

大淀「は、はい…」ピッ

ガガー ガガー

長門『はい、こちら長門』

大淀「大淀です。明石さんと吹雪さんがつなげてくれと…」

吹雪「長門さん!レ級と遭遇しましたか!?」

長門『え?ああ、既にしたぞ』

明石「て、提督は無事ですか!?」

長門『ああ、無事だ』

吹雪「よ、よかった…」

明石「狙われなかったようですね」

長門『いや、真っ先に狙われたが』

吹雪・明石「ええ!?」

長門『な、何を驚いている?』

明石「だって…」

長門『お前が作ったんだろう?あのバリア』

明石「えっ…」

長門『まさかレ級の攻撃をも弾くとはな』

明石「いや、その…」

長門『攻撃もすごいことになっていたな。流石といったところか』

明石「あの…」

長門『ああ、そろそろ進まんといかん。じゃあな』

ブツッ

吹雪「…どういうことですかね?」

明石「…さあ?」

数時間後


提督「ただいまー」

吹雪「し、司令官…お帰りなさい」

明石「ぶ、無事でしたか…?」

提督「おう。改修したかいがあったぜ」

吹雪「あの、レ級の砲撃が当たったって聞いたんですが…」

提督「ああ。バリアも強化してたからな」

吹雪・明石「あっ」

提督「かなり丈夫にしたから、レーザーはなくして、バリアだけで防げるようにした」

提督「弱点だった一点の衝撃にも耐えられるようにした」

提督「戦艦水鬼くらいの砲撃にも耐えられるぜ」

吹雪「…明石さん」

明石「その可能性を、考えてませんでした…」

長門「やあ、二人とも」

吹雪「あ、長門さん…」

長門「どうしたんだ?通信なんかしてきて」

明石「ちょ、ちょっと様子が聞きたかっただけなので…」

長門「?そうか」

長門「それにしてもすごいな、あの提督の艤装は」

吹雪「そ、そうですか?」

長門「ああ。防御もすごいが、攻撃はもっとすごい」

長門「まず普通の砲撃で大和型並みか、それ以上だったからな」

明石「そ、そんなにですか!?」

長門「なんだ、お前が作ったんだろう?」

明石「あ、その…」

明石(隠す必要はないはずだけど…なんとなく言いづらい)

長門「それに、特殊な攻撃も追加されてたな…あれは驚きだ」

吹雪「特殊な攻撃…?どんなのですか」

長門「こう…ヒューッドーンって感じのと、キュィィィィビィーッって感じの奴が…」

吹雪「わかりづらい!」

吹雪「もっと何とかならないんですか!?言語能力低すぎないですか!?」

長門「う、うるさい!私にだってよくわからんのだ!」

明石「まあまあ、落ち着いて…」

吹雪(…それにしても、そんなに改修されたってことは…)

執務室


提督「さーて、報告書終わりー」

吹雪「…司令官、艤装、いつ外すんですか?」

提督「ん?後でな」

吹雪「…」

提督「さて、仕事も終わったし、今日はもう部屋に戻っていいぞ」

吹雪「え、大丈夫ですか?」

提督「何が?」

吹雪「いや、その…疲れてないかなって…」

提督「大丈夫だ。ほら、帰った帰った」

吹雪「…わかりました」

バタン

吹雪(…怪しい)

吹雪(少し扉の前で待ってみよう)


「ぐっ…あああああああああ!!!うあああああああああああ!!!」

吹雪「!司令官!」ガチャッ

提督「はぁ…はぁ…」

吹雪「司令官!大丈夫ですか!?」

提督「…吹雪…戻れって…行ったろうが…」

吹雪「だって…!」

提督「別に、心配ない…いつものことだ…」

提督「艤装の、副作用だ…」

吹雪「もう…もうやめてください!」

吹雪「これ以上は、もう…!」

提督「うるさい」

吹雪「だって、このままだと、司令官が…!」

提督「黙れ!!」

吹雪「…っ」

提督「お前には関係ない…!」

吹雪「…司令官…」

提督「…あ、いや、その…」

吹雪「…」

提督「すまない、吹雪…」

吹雪「…いいんです」

吹雪「…失礼します」

提督「お、おいっ!吹雪!」

バタン

提督「…っ」

工廠


吹雪「明石さん…」

明石「ふ、吹雪ちゃん!?どうしたの!?」

吹雪「実は…」



明石「やっぱり、かなりの負担が…」

吹雪「もう、もう私は嫌です!」

吹雪「あんなに、司令官が苦しそうにしているのを見るのは…」

吹雪「このままじゃ、司令官は…!」

明石「…吹雪ちゃん…」

明石「…わかりました」

吹雪「明石さん…?」

明石「終わらせましょう」

その夜  執務室


ギィ…

吹雪「…」キョロキョロ

吹雪(中には誰もいない…司令官も)

吹雪(よしっ)


吹雪『終わらせるって…どうやって?』

明石『簡単な話です。艤装をなくしてしまえばいいんです』

吹雪『なくすって…』


吹雪(…あった)

吹雪(よし、じゃあこのバールのようなもので…)


明石『つまり、艤装を壊してしまえばいいわけです』


吹雪「そー、れっ!!」ブンッ

ガキィィィィィン

吹雪「えっ…?」

吹雪「何で…」

吹雪「何で…バリアが張られてるの?」

ガチャッ

吹雪「!!」

提督「何をしている、吹雪」

吹雪「え、その…」

提督「…ん?俺の艤装がどうかしたのか?」

吹雪「えっと…バールのようなもの、忘れちゃってて…取りに来たら、転んじゃって…」

提督「ふーん…それで艤装にぶつかったと」

吹雪「そ、そうです…」

提督「何でもいいが、それは俺以外は触れられないようになってる」

提督「他の物が近づくと、自動的にバリアが張られて守られるようになっている」

吹雪「…そう、ですか」

提督「じゃあな。気をつけろよ」

吹雪「…はい」

翌日


明石「そうですか…失敗しましたか」

吹雪「壊すのは無理みたいです…」

吹雪「…そういえば、補給ってどうしてるんですかね?」

明石「えーっと、私が管理してた頃は、普通に燃料とか弾薬とか補充して充電をしてたんですが…」

明石「たぶん今は、提督が同じことをしてると思いますよ」

吹雪「ということは…補給を止めることは難しそうですね」

明石「ええ、そういうことになります」

吹雪「…破壊もできない、補給も止められない」

吹雪「一体どうしたら…」

明石「…」

一週間後


提督「さあ、明日からは大規模作戦が始まるぞ!」

提督「みんな、気合入れて行けよ!」

ハーイ

吹雪「…あの、司令官」

提督「ん?何だ吹雪?」

吹雪「司令官も、出撃するんですか?」

提督「そのつもりだが?」

吹雪「…やめてください」

提督「…何だと?」

提督「なぜだ?吹雪」

吹雪「大規模作戦は、あまりにも危険すぎます」

吹雪「どんな敵が出るかもわかりません…」

吹雪「戦艦水鬼以上の敵だって出るかもしれないんですよ」

吹雪「そんな危険なところに、司令官を向かわせるわけにはいきません」

提督「ふむ…」

吹雪(何て言われても、引き下がらないんだから!)

提督「なるほど、一理あるな」

吹雪「…え?」

提督「じゃあ、今回俺は出撃しないから、みんな頑張ってくれ」

ハーイ

提督「そういうわけで、お前の言うとおりにするよ、吹雪」

吹雪「…」

翌日 早朝 岬


提督「…」スタスタ

吹雪「お待ちください」

提督「…吹雪か。どうした?こんな朝っぱらから」

吹雪「それはこっちのセリフです」

吹雪「なぜ、艤装を着けて岬に?」

提督「…さあ、何でだろうな」

吹雪「とぼけないでください!」

吹雪「一人で、出撃するつもりだったんでしょう?」

提督「…ああ、その通りだ」

吹雪「どうして…!」

提督「お前を説得するのは、難しそうだったからな」

提督「こうして黙って行けばいいだけの話だ」

吹雪「…どうしても行く気ですか」

提督「ああ、一人でも行くね」

吹雪「…絶対に行かせません」

提督「…どけ、吹雪」

吹雪「どきません」

提督「どけ!!」

吹雪「どきません!!」

提督「…」

吹雪「絶対に、引き下がりません…!」

提督「…どうしても、俺の邪魔をする気なら…」

提督「お前でも、容赦しないぞ…?」ギロッ

吹雪「…ッ!」

今日はここまで
また来週

ドカーン

長門「な、何の音だ!?こんな朝早くから!」

陸奥「岬のほうからよ!」


提督「どうした吹雪!?かかって来い!」ドカーンドカーン

吹雪「くっ…!」ザァァァァ

長門「吹雪!提督!何をしている!?」タタタタ

陸奥「やめて、危険よ!」

吹雪「長門さん、陸奥さん!来ないでください!」

長門「し、しかし…」

吹雪「危険です!巻き込まれちゃいます!」

提督「よそ見してていいのか!?」ドカーン

吹雪「キャァッ!?」

長門「吹雪!!」

陸奥「な、長門!どうする!?」

長門「…私たちだけではどうしようもない」

長門「陸奥、大和たちを呼んでくるぞ!」

陸奥「ええ、わかったわ!」


吹雪「撃てぇー!!」ドーンドーン

バチバチッ

吹雪(ダメ…やっぱり全部あのバリアで弾かれちゃう)

吹雪(戦艦レ級の砲撃も防ぐバリア…一体どうしたら?)

提督「オラァ!!」ドカーン

吹雪「うわぁっ!?」シュバッ

提督「ほう…避けるか。なかなか頑張るじゃないか」

吹雪(それに、大和型以上の火力…)

吹雪(直撃したら、絶対沈んじゃう…)

吹雪(どうしたら…どうしたら、司令官を止められるの?)

提督「なあ、吹雪」

吹雪「…何ですか?」

提督「お前、さっきから俺に直撃しないように撃ってるだろう」

吹雪「…それが何か」

ドカーン

吹雪「っ!!」シュバッ

提督「それがダメなんだ!」ドカーンドカーン

吹雪「な、何がですか!?」ザァァァァ

吹雪「だって、もしも当たったら、司令官が…」

提督「死ぬかもしれないってか!?」ドカーン

吹雪「ぐっ…」シュバッ

吹雪「…そうです!」

提督「…以前、お前は俺を殺す気はないといったな?」

提督「だが、今はそんなことを考えてはいけない」

吹雪「え…?」

提督「本気で俺を止める気なら…」ガシャン

提督「殺す気で来い、吹雪…!」シュパーン

吹雪(…!魚雷!)


吹雪(落ち着いて…ちゃんと避ければ当たらない)ザァァァァ

提督「ほう…やはり避けるか。流石だな」

提督「だが…」ガシャン

提督「次は確実に当てるぞ?」シュパーン

吹雪(…違う発射管から?)

吹雪(しかも、少し大きい…当たったら中破以上は免れられない…)

吹雪(でも、所詮魚雷。軌道が読めてれば、避けられる…!)ザァァァァ

吹雪(そして、肉薄して…こっちからも!)ガシャン

吹雪「お願い、当たってください!」シュパーン

バチバチバチッ

吹雪「くっ…」

吹雪(魚雷で連続攻撃してもだめ…)

吹雪(やっぱりあのバリア、無敵なの…?)

提督「吹雪、俺はちゃんと言ったはずだぞ?」

吹雪「…え?」

ゴォォォォ

吹雪「…!」

ドカーン

提督「次は確実に当てるってな」

吹雪「ぐぁっ…!」

吹雪(どうして…?確実に避けたはずなのに…)

吹雪(まるで、自動追尾されてたような…)


長門『それに、特殊な攻撃も追加されてたな…あれは驚きだ』


吹雪(…まさか、さっきのが長門さんが言ってた『特殊な攻撃』!?)

吹雪(自動追尾する、魚雷…?)

吹雪(…そんなものを作るなんて…)

吹雪「はぁ、はぁ…」ボロッ

提督「どうやら耐えたようだが、満身創痍だな」

提督「あきらめるか?吹雪」

吹雪「…あ、あきらめません…!」

吹雪「絶対に…司令官を止めます…!」

提督「…そうか、残念だ」

提督「では、とどめを刺してやろう」

キュイィィィィィ

吹雪(…何?司令官の艤装が、光って…)

吹雪(…!そういえば、長門さんの話では、まだ特殊攻撃はある!)

吹雪(きっとあれがそう…避けないと)

フラッ

吹雪「あっ…」

吹雪(ダメ…体がうまく動かない…!)

吹雪(避けられな…)

提督「…終わりだ、吹雪」

ズドオオオオオオオン

吹雪「…あれ?」

吹雪(当たってない…軌道がそれた?)

提督「…」

提督「…外したか」

吹雪(あ、危なかった…)

吹雪(今の、光線みたいな攻撃…当たったらきっと、轟沈どころか…)

吹雪(…体が、無くなってたと思う)

提督「だが、吹雪」ジャキン

吹雪「…!」

提督「俺の勝ちには、変わりないな」

ドカーン

吹雪(砲撃…!避けないと…)グググ

吹雪(…避け、ないと…)グググ

吹雪「はぁ…はぁ…」

吹雪「…ダメ…!」

吹雪「やっぱり、動けない…!」

チュドーン

吹雪「…」

吹雪(まだ沈んでない…けど、もうほとんど動けない…)

提督「…」ザァァァァ

吹雪(ああ、司令官が…来てる)

吹雪「…しれ、い、か…」

提督「…」

──────────

──────

───

吹雪「…」

吹雪(あれ…ここ、どこ…?)

吹雪(…入渠ドック…?)

長門「気が付いたか?」ガラッ

吹雪「…長門さん…」

長門「動けなくなって海に浮かんでいたお前を曳航してきた」

吹雪「…そうですか…」

吹雪「…そうだ、司令官!司令官は!?」

長門「…大和たちを連れて戻ってたら、提督がお前に砲撃をしていて、そこから見ていたんだが…」

長門「お前が攻撃を喰らって動けなくなっている姿を見て、急にどこかへ行ってしまったぞ」

長門「私たちも追いかけ、探したが、見当たらなかった…」

吹雪「そ、そんな…」

長門「入渠が終わったら執務室に来い」

長門「…話がある」

吹雪「…はい」

執務室


長門「む、来たか吹雪」

吹雪「はい」

長門「では、早速始めるが…」

長門「…どういうことだ?明石」

明石「…」

明石「…わかりません」

長門「わかりません、で済むと思っているのか?」

長門「今回の事態、お前の作った艤装が少なからず関係している」

長門「原因は、お前にあるんじゃないのか?」

明石「…」

陸奥「…提督、一体どうしちゃったのかしら」

長門「おそらく、強大な力を手に入れてしまったが故の暴走だろう」

長門「こう言っては何だが、思い上がり、のようなものだな」

長門「いきなりあんな力を手に入れてしまったんだからな…」

明石「…最初は、戦闘能力なんてなかったんです」

明石「でも、提督に頼まれて・・・」

長門「言い訳はいい。なぜあんなものを作った」

明石「私は、艦隊のためを思って…!」


吹雪(…ん?)

吹雪(何、これ…)

吹雪(…!)

陸奥「でも、長門が言ったことが正しいとすると、提督を連れ戻したとしてもどうすれば…?」

長門「そうだな…そうなると、提督には辞職してもらうことになるだろうな」

長門「元に戻すことは難しいし、下手したらもっと攻撃的になるかもしれないからな」

明石「そんな…!」

陸奥「…吹雪、何見てるの?」

吹雪「…長門さん、その考え、多分違います」

長門「ん?何故だ?」

吹雪「これを読んでください」

長門「…これは?」ヒョイッ

吹雪「司令官の、手記です」

○月×日

明石に艤装を改装してもらった

重巡並みの火力が望めるらしい

戦艦までも倒せるようになった

これで以前より艦隊戦で役に立てるようになったと思う

○月×日

明石に艤装をさらに改装するよう迫った

もう十分だと自分でも思っているが、なぜかもっと強化した方がいい気がするので頼んだ

若干強引になってしまった…要反省だ

○月×日

艤装が戦艦並みの火力になった

装甲空母鬼にも勝てるようになった

しかし、何故かもっと火力を上げるよう明石に頼んでしまった

もう十分だし、脳への負担も気になる…

明石は順応していくといったが、あまりにも大きいと順応もへったくれもない

だが、明石は技術の限界だと言って断った

残念な気もしたが、安堵も覚えた

その後、なんとなく明石の仕事を見たくなったので、艤装を付けたまま見学した

○月×日

どういうことだろうか

気が付いたら、自分で艤装を改装していた

俺は特に技術力が高いわけでもない

なのに、明石以上のことを軽々としてみせた

そして、今まで明石に預けていた艤装を、執務室に持ってきてしまった

悪いことではないが、どうしてこのようなことをしてしまったのか全く分からない

まるで、誰かに支配されてしまったかのような気分だ

吹雪に相談しようとも思ったが、なぜか言葉が出なかった

本当に、どういうことなんだろうか…

○月×日


戦艦レ級と戦ってみた

本当はあんな奴と戦いたくはなかったが、そんな気持ちとは別に、どうしても戦いたい気持ちもあった

自ら改装した艤装はすごい性能だった

しかし、当然脳への負担も大きく、外したとたんにとてつもない痛みが走った

吹雪に心配されたが、何故だろうか、邪魔だと思う気持ちが表れて、傷つけるようなことを言ってしまった

どうしたらいいのかわからない…

この手記には思ったことが書けるが、誰にも見せようとしない自分がいる…

もしも誰か、この手記を読んだならば

取り返しがつかなくなる前に、俺を止めてほしい

長門「…何者かに支配されているような感覚?」

吹雪「思えば…最近の司令官は、様子がおかしかったです」

吹雪「艤装や戦闘のことになると、語気が強くなったりしましたし…」

長門「…明石、何かわかるか?」

明石「いえ、何も…」

明石「艤装には、そんな、人の行動を支配するものは…」

明石「…!まさか…!」

吹雪「…何か、思いあたるんですか?」

明石「…あくまでも仮説ですが」

長門「言ってみろ」

明石「…あの艤装には、学習用AIが着いていました」

明石「本来、あれは戦闘から得た経験から学習し、より良い戦闘方法を脳に送るものです」

明石「より良い戦闘をするために、どんな情報も送ります」

明石「そしてそれは…」

明石「…戦闘のための、『最善の一手』を行います」

陸奥「どういうこと?」

明石「より良い戦闘のために、最も効果的であることを行う、ということです」

明石「今回の場合、『最善の一手』は…」

明石「…おそらく、提督の戦闘意欲、破壊衝動…」

明石「そういったことを助長する、ということだと思います」

吹雪「…!」

明石「そのための情報を送り、結果的に提督はそれに支配されるようになってしまって…」

明石「艤装をしてない時でも、火力を増すよう言ったり、積極的に出撃したりして…」

明石「艤装の改装を提督がした時も、私の仕事を見て、AIが学習して技術を得て、そこから…」

ガッ

明石「えっ?」

陸奥「ちょ、ちょっと!長門!?」

長門「何故・・・」

長門「何故そんな危険なものを作ったぁ!!」

長門「聞けば聞くほど、危険な代物じゃないか!」

長門「どうしてそんなものを取り付けた!」

長門「やはり原因はお前にあったじゃないか!」

明石「…そんなの」

長門「あ?」

明石「そんなのわかるわけないでしょう!?」

長門「!」

明石「私だって、こんなことをしたかったわけじゃないです!」

明石「こんなことになるなんて、思いもよらなかったですよ!」

明石「あれが、そんなことを引き起こすなんて、予想外でした…!」

明石「それで私に、どうしろっていうんですか…!」

吹雪「二人とも!やめてください!」

長門・明石「!」

吹雪「…今は、そんなことを言っている場合じゃないです」

吹雪「…明石さん、司令官は、元に戻せますか?」

明石「え、ええ…」

明石「…そうですね。適切な処置をすれば、元通りになると思います」

吹雪「じゃあ、司令官を連れもどす方法を考えましょう」

吹雪「今は、喧嘩してる場合じゃありません」

長門「そうだな…明石、すまなかった」

明石「いえ…こちらこそ、すみません」

陸奥「見つけること自体は、何とかなりそうよね」

吹雪「そうですね…問題は、見つけた後ですね」

長門「戦艦レ級の砲撃にも耐えるバリアに、大和型以上の火力…」

吹雪「それと、超強力な特殊攻撃…」

長門「正面から戦ったんじゃ、とても敵わないな」

明石「そうですね…やはり一番厄介なのは、バリアですかね」

明石「以前のバリアならどうにでもなったんですが、あそこまで丈夫になると…」

陸奥「弱点はないの?」

明石「ありましたけど…それも改良されてました」

長門「やはり、総攻撃を仕掛けるしか・・・」

陸奥「でも、勝算もないのに…そんなことしたら、被害が甚大になるのは確実よ?」

明石「ではどうしたら…」

吹雪「…」

吹雪「…あの、いいですか?」

長門「何だ?吹雪」

吹雪「司令官のあの艤装の力に対抗できるのは…」

吹雪「…やはり、同じ力しかないと思います」

長門「!」

長門「…つまり」

吹雪「はい」

吹雪「明石さん、もう一度、艤装を作ってください」

明石「ええ!?」

吹雪「できますか?」

明石「つ、作るだけならできますが…」

明石「問題がいくつか…」

吹雪「何ですか?」

明石「まず一つ。技術の問題です」

明石「以前言ったとおり、現在の提督の艤装は、私より高い技術によって作られています」

明石「当然、アレに対抗するには、同じか、それ以上の技術は必要です」

明石「せめて提督が艤装を作っている場面を見ていたら…」

吹雪「…じゃあ大丈夫じゃないですか?」

明石「え?」

吹雪「カメラで撮ってたって、言ってたじゃないですか」

明石「…あ」

明石「そうですね…」

明石「…で、二つ目の問題ですが…」

明石「以前提督に入ったんですけど、私たち艦娘は妖精さんの乗った、特別な装備しか使用できません」

明石「だからあれは、提督しか装備できなかったわけで…」

長門「私たちは装備できないってことか…」

明石「そういうことです」

長門「だそうだが、どうする?吹雪」

吹雪「…普通の人間なら、装備できるんですよね?」

明石「そ、そうですけど…」

吹雪「だったら、私を解体してください」

一同「!」

吹雪「解体されると、普通の人間になるんですよね?」

明石「た、確かにそうですけど…」

長門「しかし吹雪。それだとお前が艤装を着けて提督と戦うことになるんだぞ?」

吹雪「わかってます」

長門「…命を失うかもしれない、危険な役割だ」

長門「何故、お前がやるのか、理由はあるのか?」

吹雪「…あります。三つ」

吹雪「まず、戦うとなった時、単純に戦闘の経験が重要になります」

吹雪「経験が多い方がいいわけですから、練度がこの艦隊で一番高い私がいいと思ったんです」

長門「…二つ目は?」

吹雪「司令官と戦って、連れ戻した後も、艦隊は運営されます」

吹雪「その時、長門さんたちのような強力な艦娘は、いたほうが当然いいです」

吹雪「私みたいな駆逐艦なら、一人くらいいなくても大丈夫ですから…」

長門「…そうか」

吹雪「そして、三つ目ですが…」

吹雪「…個人的な理由で申し訳ないのですが…」

吹雪「…司令官がああなった責任は、私にもあります」

明石「…」

吹雪「司令官のそばに、ずっといたのに…気づいてあげられなくて、止められなくて…」

吹雪「だから・・・だから、司令官を連れ戻して、責任をとりたいんです!」

吹雪「このままじゃ…私は…」

長門「…そうか」

長門「お前の言いたいことはよくわかった」

長門「…提督を連れ戻す、重要な任務…」

長門「…頼めるか?吹雪」

吹雪「…はい!」

長門「で、明石。艤装は作れるんだな?」

明石「はい…しかし、問題は時間です」

明石「こうしている間にも、提督の破壊衝動や戦闘意欲はどんどん向上しています」

明石「深海棲艦に向いているうちはいいですが…」

明石「そのうち、人や艦娘も襲うようになると思います」

長門「なるほど。早く連れ戻さないと被害が出るということか」

明石「そうです」

長門「…そうだな、可能な限り早く作ってくれ」

明石「わかりました、では三日で」

陸奥「み、三日!?」

吹雪「無茶じゃないですか!?」

明石「いえ、大丈夫です」

吹雪「…本当ですか?」

明石「ええ、任せてください」ニコッ

明石「…それにしても気になる」

吹雪「明石さん?どうしたんですか?」

明石「いえ、提督の艤装のことで気になることが…」

吹雪「何ですか?」

明石「いくらなんでも、提督の戦闘意欲の向上が著しかったと思いまして」

明石「もっと時間かかってもよかったんじゃないかと」

吹雪「というと?」

明石「提督には、もともとある程度の戦闘意欲があったんじゃないかと…」

吹雪「え…?」

明石「まあ、今考えてもどうしようもないことですからね」

明石「じゃあ、早速艤装づくりに取り掛かります」

吹雪「あ、はい…」

吹雪「…」

その夜 工廠

吹雪(明石さん、まだやってるからちょっと様子を見に来ちゃった…)

吹雪(…あれ?他にも誰かいる)

吹雪(あれは…長門さん?)


長門「明石、大丈夫か?」

明石「何がですか?」カーンカーン

長門「さすがに三日は…技術を習得しながら一から作るんだ」

長門「かなり厳しいと思うんだが…」

明石「…」カーンカーン

明石「…長門さん、私も責任を感じてるんです」

明石「吹雪ちゃんはああ言いましたけど、結局のところ、私にも責任はあります」

明石「気づかなかったとはいえ、あんなものを作ってしまったんですから…」

明石「…だから、私も責任をとりたいんです!」

明石「私は、こんなことしかできないから…」

明石「より早く、よりよいものを作って、責任をとりたいんです…!」カーンカーン

長門「…ふっ、そうか」


吹雪(明石さん…!)

翌朝 工廠

明石「ふぅ…」

吹雪「明石さん、お疲れ様です」

明石「あ、吹雪ちゃん。もうちょっと待っててください」

明石「もうちょっとで…」

吹雪「…まだ、かかるんですよね?」

明石「…はい、すみません」

吹雪「そういうと思って…」


夕張「どーもー」ヒョコッ

妖精「ドーモー!!」ワラワラ

吹雪「助っ人を連れてきましたよ」

明石「…吹雪ちゃん…!」

吹雪「私にお手伝いできることがあれば、言ってくださいね」

吹雪「…いいもの、お願いしますよ」ニコッ

明石「…はい!」ニコッ

艤装製作開始から三日後


吹雪(司令官がいなくなってから三日…)

吹雪(…大丈夫かな、司令官…)

バンッ

明石「ふ、吹雪ちゃん…」ゼーハー

吹雪「あ、明石さん!?大丈夫ですか!?」

明石「できました!!艤装!!」

吹雪「!!ほ、本当ですか!?」

明石「はい!早速工廠に来てください!」

吹雪「わかりました!」

工廠

吹雪「こ、これですか…」

明石「ちょっと重いかもしれませんが…大丈夫だと思います」

長門「…おい明石、ちゃんと学習用AIとやらは抜いたんだろうな?」

明石「もちろんですよ!軽量化のための脳との結合はやりますけど!」

吹雪「え、あれやるんですか…」

明石「いや、あれ自体は危険なものじゃないですよ?」

明石「ほら、早速つけましょう!」

吹雪「でも解体しないと…」

明石「あ、そうでした…」

夕張「じゃあ艤装の準備は私たちがしておくので、明石さんは吹雪ちゃんの解体をしてあげてください」

明石「わかりました。じゃあ、行きましょうか」

吹雪「はい」

数十分後


吹雪「うーん…」

長門「お、終わったか吹雪。気分はどうだ?」

吹雪「何か…変な感じですね」

吹雪「多分そのうち慣れると思うんですが…これが、普通の人間なんですか…」

明石「じゃあ、次は艤装の装着ですよ、ほら早く!」

吹雪「なんか明石さんテンションおかしくないですか?」

夕張「すごく無理してたからね、その人」

妖精「メッチャヤバカッタヨー」

明石「じゃあ、接続しますよーっと」バチッ

吹雪「ひゃぁっ!?」ビクンビクン

夕張「…何かエロい」ハァハァ

吹雪「こ、興奮しないでください…」

明石「どうですか?」

吹雪「うーん…ちょっと重いけど、何とか動き回れるくらいには…」

明石「じゃあ大丈夫ですね」

明石「では、演習場に行って、艤装の説明と練習を行います」

吹雪「説明って…司令官のと、何か違うんですか?」

明石「チッチッチ…吹雪ちゃん、提督と同じものを作ったって、勝てるとは限りません」

明石「この艤装は、対提督用艤装なんですよ!」バァーン

明石「なので、提督の艤装とは異なる点がいくつかあります」

吹雪「なるほど…」

明石「じゃあ、行きましょう」

──────────

──────

───

明石「とまあ、こんな感じですかね」

吹雪「…すごいです!明石さん!」

明石「そ、そんなに?」

吹雪「はい!これなら、大丈夫です!いけますよ!」

明石「そうですか…それならよかっ…た…」

ドサッ

吹雪「!?明石さん!?」

長門「…気絶してるな」

夕張「無理もないです…三日三晩、ほとんど休みなしで作ってましたから」

夕張「『よりいいものを吹雪ちゃんのために作らないと』って」

吹雪「明石さん…」

吹雪「…ありがとう、ございます…!」

大淀「あ、いたいた!!長門さーん!!」タッタッタ

長門「大淀?どうした?」

大淀「先ほど他の鎮守府から連絡があったのですが…」

大淀「…航海中に、何者かから襲撃を受けたそうです」

大淀「深海棲艦とも、艦娘とも違う雰囲気の艦が一隻現れた、と…」

長門「…まさか!」

吹雪「司令官!?」

長門「吹雪!出れるか!?」

吹雪「はい!今から行ってきます!」

長門「…本当にお前だけで大丈夫か?」

吹雪「大丈夫ですよ。それに、他の人を巻き込ませられませんから」

長門「…そうか」

夕張「吹雪ちゃん、これを持って行って」ポイッ

吹雪「?これは?」

夕張「明石さんが言ってたんだけど、提督を連れ戻すにはやっぱり艤装を外すしかないわけ」

夕張「でもそのまま艤装を外したら、かなりの負担が提督の脳にかかってると思うから、下手したら死んじゃうんだって」

夕張「そこで艤装を引き抜いた直後にそのバッテリーみたいなのを首筋に差し込めば、一時的に負担の影響をなくせるから、帰ってから適切な処置をすれば大丈夫ってことになるらしいよ」

吹雪「なるほど…わかりました、ありがとうございます」

長門「じゃあ、吹雪…」

吹雪「はいっ」

長門「…気を付けて行け」

長門「絶対にあのバカを連れ戻してくるんだ。いいな?」

吹雪「…」

吹雪「…はい」

吹雪「行ってきます」ビシッ

数時間後  某海域


艦娘1「キャァッ!?」チュドーン

艦娘2「だ、大丈夫!?」

艦娘3「なんなの、あいつ…」


提督「…」ゴゴゴ


艦娘1「二人とも、逃げて!あいつ、ただ者じゃない!」

艦娘2「でも…!」

艦娘3「!!攻撃来るよ!避けてっ!!」

ドカーン

艦娘1(っ!間に合わな…)

バチッ


艦娘1「…あれ?」

艦娘2「…平気、だね」

吹雪「…大丈夫ですか?」

艦娘3「え?あ、あなた確か、他の鎮守府の…」

艦娘2「い、一体何が?」

吹雪「ここは私に任せて、皆さんは撤退してください」

艦娘1「じゃ、じゃあ援軍を呼んできますね」

吹雪「いえ、大丈夫です。巻き込んじゃいますから」

吹雪「さあ、早く!」

艦娘1「は、はい…」

艦娘2「ありがとう…」

吹雪「さて…」クルッ

吹雪「そこまでです、司令官」

提督「吹雪か…」

提督「何をしに来た?」

提督「…俺を連れ戻しに来たってところか…」

ドカーン

提督「!!」バチッ

吹雪「連れ戻す?何言ってるんですか?」ドカーン

提督「っ!」バチッ

吹雪「…あなたを、殺しに来ました」

提督「…へぇ」

今日はここまで
また来週
次回の更新で最後の予定

吹雪「はっ!」ドカーン

提督「ッ!」バチッ

提督「…?」

提督(…殺しに来た、と言ったにしては…)

提督(砲撃はそこまで強くないな。せいぜい金剛型くらいの火力だ…)

提督(レ級の砲撃にも耐えられるような、俺のバリアを貫けるとは考えにくい…)


提督「オラァ!!」ドカーン

吹雪「くっ…!」バチッ

提督(バリアは備わっているようだが…これもさほどの強度はなさそうだ)

提督(普通の砲撃にギリギリ耐えているだけ…俺の自動追尾魚雷や光線には到底敵わないだろう)

提督(…あの艤装、恐らく明石が作ったんだろうが…)

提督(結局、明石もその程度しか作れなかったってことか…?)

吹雪「はぁっ!」ドカーンドカーン

提督「…」バチバチッ

提督(まあいい。それなら早く終わらせてしまおうか…)

提督「確実に当てて、沈めてやる…!」ガシャン

シュパーン

吹雪(…!来た!)

提督(通常の魚雷よりもかなりの威力を誇る自動追尾魚雷…)

提督(ある程度はバリアで防げるかもしれんが、ダメージは必至だろうな)


吹雪(落ち着いて…タイミングをはからって)

ゴゴゴゴゴゴ

吹雪(…今!)バッ

バチィッ

提督「…何?」

吹雪「ふぅ…」シュゥゥゥ

提督(今、確実に当ったはず…だが傷一つないだと!?)

提督(バリアが発動したようには見えたが…まさか、耐えたのか?)

提督(それほどの強度を持っていたのか?)

提督(…さっき現れたバリア、今までとは違う感じがしたが…)

吹雪「はぁっ!!」ドカーンドカーン

提督「ッ!」

提督(まあ、いいだろう…)

提督(どちらにしろ、あの光線には耐えられないはずだ)

提督(俺のバリアですら、耐えられないと思うからな…)キュィィィィ

吹雪(…!あれは…!)

提督(…これには、若干の溜めがいるが…)

提督(あいつの砲撃は通らない。問題はないはずだ…)

提督(狙いを定めて、撃てばいいだけの話…!)


吹雪「…」チラッ

吹雪(…よし、大丈夫)

吹雪(これもさっきと同じ…タイミングが大事)

吹雪(司令官が撃つ瞬間を狙って…!)


提督「…終わりだ!」スッ

吹雪「!!」

カチッ

ズドォォォォォォン

提督「…ふむ」

提督(撃つ瞬間まで狙った先にいたから…当たったはずだ)

提督(何も残ってないが…跡形もなく消え去ったか?)

提督(それにしては、あまりにも…)

ドカーンドカーン

提督「!!」バチバチッ

提督(砲撃!?どこから!?)

提督(いや、それよりも…)

提督「あのタイミングで、避けたというのか…!?」

ドカーンドカーン

提督「くっ…」バチバチッ

提督(この砲撃…後ろからか!)クルッ

提督「!!」


吹雪「…」ザッ

提督(いつの間に、ここまで接近して…!?)

吹雪「はぁぁぁぁぁ…」キュィィィィ

提督「!?」

提督(な、何だ!?吹雪の右腕に…)

提督(赤い、オーラのようなものが…!?)

提督(この感じ…とてつもないエネルギーが、集まっているのか…!?)

吹雪「はぁぁぁぁぁぁ!!」キュィィィィ

──────────

──────

───

吹雪『うーん…』

明石『ん?どうしました?』

吹雪『明石さん、確かにこの艤装、すごいんですけど…』

吹雪『砲撃もバリアも、司令官のには及ばないし…』

吹雪『とても勝てるとは思えないんですが…』

明石『ちっちっち』

明石『言ったでしょう?「異なる点」があるって』

吹雪『え…?』

明石『今からそれについて、説明しますよ』

明石『まず、艤装の右の部分を見てください』

吹雪『右?』クルッ

吹雪『…ん?ゲージみたいなのがついてますね』

明石『そうです!それこそがこの対提督用艤装のミソ!』

明石『これをうまく利用すれば、提督にも負けません!』

吹雪『へぇ…どういうものなんですか?』

明石『まず、そのゲージを貯める方法からですが…』

明石『砲撃や防御、移動などの、艤装の基本的な機能を使うことによって増えていきます』

明石『早く貯めたければ砲撃を連発すればいいです』

明石『そしてある程度ゲージがたまったら…』

明石『そのゲージを使用して、艤装の特殊機能を使うことができます』

明石『まあ、格ゲーのゲージ技みたいなものです』

吹雪『特殊機能…?それって、司令官の特殊攻撃みたいな…?』

明石『まー似たようなものですが…この特殊機能は、その特殊攻撃の対策として作られました』

吹雪『つまり、それを使えば、あの魚雷や光線に対抗できると?』

明石『そういうことになります』

明石『では、その特殊機能の説明をしましょう』

明石『まずは一つ目、「強化バリア」です』

明石『ゲージを少しだけ消費して、基本機能のバリアよりもさらに強力なバリアを出現させます』

吹雪『強力って…どのくらいまで耐えられるんですか?』

明石『そうですね…レ級の砲撃にも耐えられますよ』

吹雪『そ、そんなにですか!?司令官のバリアにも匹敵するじゃないですか!』

明石『はい。吹雪ちゃんの話からでしか考えられませんが、自動追尾魚雷にも耐えられると思いますよ』

吹雪『それじゃあ…』

明石『ただ、ずっと出していられるわけではありません。ほんの数秒です』

明石『さらに、出せる範囲が限られています』

明石『基本機能のバリアは、全方位カバーできますが、強化バリアはある程度の範囲しかカバーできません』

明石『しかし、出す方向は自分で決められるので、タイミングや攻撃が来る方向をしっかり見極めれば、問題ないはずです』

吹雪『なるほど…わかりました』

明石『二つ目は、「超高速移動」です』

明石『使用している間、徐々にゲージが減っていきます』

明石『その間、目にもとまらぬ速さで移動が可能です』

吹雪『へぇ…』

明石『この機能、いろいろと汎用性は高いですが…何といっても、光線の対策となります』

明石『話によれば、光線は一方向…しかも溜めもあると聞きます』

明石『つまり光線を撃つタイミングを計らって、この高速移動を使えば、避けられるうえに隙を付けるかもしれない、ということです』

やっぱり今日はもうやめて、明日にします
明日こそ最後…だと思いたい

>>429
ありゃりゃ…突っ込まれたので解説します

まず、別に長門たちは傍観してたわけではありません
自分たちで止めるよりも、大和たちを呼んで人数を増やしてから止めたほうが良いと判断したため、その場にはいませんでした
戻ってきたときに、ちょうど吹雪がやられそうになっていた、ということです
一応書いてあるんですが、わかりづらかったですかね…すみません

次に、提督の変貌に気付くとか気づかないとかについてですが
提督の変貌は、「戦闘狂になる」「戦闘を止めようとすると気性が荒くなる」の二つでした
艤装の副作用について知っていたのは吹雪と明石だけだったので、戦闘を強く止めようとするのはその二人くらいのもんです
出撃するときも、基本的に吹雪に言ってましたから、出撃を止めようとするのは彼女くらいだと思います
さらに言えば、心配だから軽く止める、くらいのことはするかもしれませんが、作中にあったように提督が強引に行くくらいなんで、変貌には気づきにくいでしょう
というわけで、他の艦娘たちは「戦闘狂になる」という変貌しか気づかないわけですが、もともと戦地で指揮をとるために艤装は作られたものですから、出撃を繰り返すくらいはすると思いますし、これも変貌としては気づきにくいと思います
よって、気づける要素がないため、気づけなかったと言えます

次に、長門さんの決めつけについてです
長門は提督と一緒に何回か出撃してるわけですから、「戦闘狂になる」という変貌には気づけるか気づけないかくらいはあったと思います
「なんとなーく戦闘狂になってる気がする」というくらいに思ってたということです
で、そこに提督の暴走が来たもんですから、
「提督が暴走しちゃった」→「そういえば最近戦闘狂になってた気がする」→「もしかして調子に乗っちゃった?」
ということを考えていて、吹雪入渠中にこの考えがまとまっていたため、可能性の一つとして、ああいうことを言った
…というつもりだったのですが、見返したら結構決めつけっぽい言い方ですね
本来は「こうなんじゃない?」っていう可能性を示したつもりでした。これは私のミスですね、すみません

で、最後に長門が明石に詰め寄るシーンですが
はい、これは長門が早とちりしてしまいました
これは無能と言われても仕方のないことだとは思います
このシーンについては特にいうこともないので、適当に笑っといてください

結論として、別に無能にしたかったわけじゃありません
基本的に私の文章力のなさが生んだ誤解です
お恥ずかしい限りですが、ご指摘ありがとうございます

では、最後の更新をしたいと思います
昼のうちに書きだめしておいたので、一気にいきます

明石『そして三つ目。これがこの機能の最大の利点です』

明石『最大までたまったゲージをすべて消費することになりますが…』

明石『使い方は、ゲージが最大まで貯まったら、意識を右腕に集中してください』

吹雪『右腕、ですか?』

明石『すると、赤いオーラのようなものが右腕に出てきます』

明石『これは、たまりにたまったゲージ、つまりエネルギーをすべて右腕に集中させる機能です』

明石『ゲージは、燃料や弾薬とは別の、艤装を使うことによってできていくエネルギー…』

明石『そのエネルギーを集中させています』

明石『集中させるのに若干時間はかかりますがね』

吹雪『それで・・・これをどうしたらいいんですか?』

明石『このたまったエネルギーは、どんな砲撃や雷撃よりも強い攻撃を繰り出します』

明石『バリアですら、壊すことができます』

吹雪『!ということは…』

明石『はい』

明石『これで、提督のバリアを破壊し、直接的な攻撃が可能となるということです』

明石『本当は、提督みたいに放出できたらよかったんですけど…』

明石『私の技術力では、これが限界で…』

明石『拳で殴るという、超近接攻撃しかできません…』

明石『さらに言うと、この技、ゲージのあるなしにかかわらず、3回しか使用できません』

明石『色々厳しくなってしまって、ごめんなさい…』

吹雪『いえ、十分です』

明石『ああ、そうだ。バリアを突き破ったら、そのまま提督の艤装をの後ろの部分を殴りぬけて破壊してください』

明石『艤装全部を壊しちゃだめですよ。艤装と脳が繋がってる状態ですから、機関部を壊したら提督は死んでしまうと思いますからね』

明石『映像を見たところ、バリアの機能はその後ろの部分に備わってるみたいです』

明石『ですから、そこを破壊すれば、勝ったも同然です!』

──────────

──────

───

吹雪「はあああああああ!!!」キュィィィィ

提督(っ!よくわからんがまずい!)シュバッ

ブンッ

吹雪(くっ…外しちゃった…)

吹雪(あと、2回…)


提督(危なかった…ギリギリかわしたが…)

提督(もしかしてあれは、バリアを壊せるほどの威力を持っているのか?)

提督(…だったら…近づけさせなければいい)

提督(…いや?)

吹雪(おそらく今の攻撃でバリアを壊しにかかってることがばれた…もう簡単には近づかせてくれないと思う)

吹雪(でも、これしか方法はないんだもの…)

吹雪(やるしかない!)グッ

吹雪「はぁっ!」ドカーンドカーン

吹雪(まずはゲージを貯めないと!また特殊攻撃されたらやられちゃう!)ドカーンドカーン

提督「…」バチバチッ


吹雪(…よしっ!もう少しで最大までゲージが…)

吹雪(…何で何もしてこないんだろう?)

提督「…」ガシャン

シュパーン

吹雪(!砲撃に夢中でよく見えなかったけど、魚雷を撃った!?)

吹雪(自動追尾!?それとも、普通の…?)

吹雪(どっちにしろ、強化バリアで防げば…!)スッ

バチッ

吹雪「よしっ…って、え!?」

ドカーン バチッ

吹雪(ほ、砲撃…このタイミングで?)

吹雪(連撃して仕掛けてきてる…?)

提督「…」キュィィィィ

吹雪「!!」

吹雪(も、もう光線の溜めに入ってる!?)

吹雪(畳みかけてきてる…不味い)

吹雪(とにかく、さっきと同じで加速して背後に…!)

カチッ

ズドォォォォォォン

吹雪(よしっ!)シュバッ

吹雪(あとは減った分のゲージを砲撃で溜めて…)ドカーンドカーン

提督「…」バチバチッ

吹雪(…気づいてない?そんなまさか…)

吹雪(学習用AIを積んだ司令官が、同じ手を喰らうかな…?)

吹雪(…迷ってる暇はない!とにかく当てればいいんだもん!)ザァァァァ

吹雪(接近して…)

吹雪(右腕に意識を集中!)キュィィィィ

吹雪「今度こそ…!」

提督「…芸がないな、吹雪」

吹雪「…え?」

提督「二度も同じ手が俺に通用すると思ったか?」

ゴゴゴゴゴゴ

吹雪「…!」

提督「俺を甘く見すぎたな…」

バリンッ ズドォォォン

吹雪「がっ・・・」

吹雪(な、何で…?)

吹雪(何で、自動追尾魚雷が、後ろから…?)

吹雪(いつ撃ったの…?)

吹雪(…!まさか、あの時?)

吹雪(雷撃や砲撃をしてきて、私が防御に専念してた時…)

吹雪(砲撃時の音や光に紛れて、魚雷を撃ってたの?)

吹雪(そしてその直後に光線を放って、さっきと同じように動かせて…)

吹雪(私の意識がバリアを破ることに行って、ゲージがなくなった時に魚雷が自動追尾してくるよう仕向けた…?)

吹雪(そんな、距離やタイミングがとてつもなく難しいことを…!)

吹雪(やっぱり、強い…!)

吹雪「はぁ…はぁ…」

吹雪(いてて…吹っ飛ばされちゃった)

吹雪(結構バリアが防いでくれたみたい…体も傷はないし、艤装も…)

吹雪(…!いけない、艤装のバリアの機関が壊されちゃった!)

吹雪(しまった…強化バリアは別の機関だから張れるけど、普通のバリアがもう…)

吹雪(…って、それどころじゃない!司令官はどこ!?)キョロキョロ

吹雪(早く体制を立て直して、距離をとらない、と…)

ジャキン

吹雪「あ…」

提督「王手だ、吹雪」

吹雪「…」

提督「その艤装、俺のと基本は同じだからなんとなくわかる…」

提督「バリアはもう張れないんだろう?」

吹雪「…っ」

提督「バリアが張れなければ、攻撃はたやすく当たる…」

提督「ましてやこの距離ならな」

提督「なかなか頑張ったが、残念だったな」

提督「これで、おしまいだ…」グッ

吹雪「…」

吹雪「…どうしてですか?」

ピタッ

提督「…何?」

吹雪「どうして、戦おうなんて思ったんですか…?」

提督「…何のことだ?」

吹雪「明石さんが言ってました…」

吹雪「こんなに早く司令官がおかしくなったのは、もともとある程度の戦闘意欲があったからじゃないかって…」

吹雪「艤装に蝕まれただけじゃないんじゃないかって…!」

提督「…俺の戦う意志、か…」

提督「…」

提督「…ずっと、嫌だったんだ」

吹雪「…え?」

提督「自分が無力であることが…」

提督「あの艦隊で…俺は提督、指揮官という立場に当たっていた」

提督「そこで、俺がやってきたことは何だ?」

提督「毎日毎日、お前たちを死地へ送り、ボロボロになって帰ってきたお前たちを迎える…」

提督「そこで俺ができるのは、労いの言葉をかけてやれるくらい…」

提督「そんなことしかできない自分が、嫌でたまらなかった…!」

提督「自分の無力さが、惨めだった…!」

提督「だから、この艤装があれば、お前らと一緒に戦えると思った…」

提督「お前らを、守ることができると思ったんだ…!」

提督「あの時…俺が艤装を着けてお前と初めて海に出た時…」

提督「あの時だって、俺に戦う力があれば、お前を傷つけずに済んだ!」

提督「お前を、守ることができた…」

提督「だから・・・だから俺は…」

吹雪「…司令官」

提督「…今となっては、それも戯言に過ぎないな」

提督「何で、こんなことになっちまったのか…俺にもよくわからん」

提督「でも、もう、止められないんだ…」

吹雪「…」

提督「…話が長くなったな」

提督「これで、終わりだ…!」ジャキン

クイッ

吹雪「!!」ジャキン

ドカーン ザバァ

提督「!?」ドカーン

提督「な、何だ!?」

提督(くっ…思わずあらぬ方向に撃ってしまった…)

ドカーンドカーン ザバァザバァ

提督「くそっ!水柱でよく見えん!」

提督「どこにいる!吹雪!」

ドカーンドカーン

提督「くっ…」

提督(何故だ?隙はなかったはずなのに…)

提督(…)

提督(…隙?)

提督(…まさか!)


吹雪『…司令官、変な癖ありますね』

提督『え、そう?』

吹雪『はい。照準を合わせて、撃とうとするときに、若干肩をひねってます』

吹雪『結果的に照準はぶれてないみたいですけど…隙ができますよ』

提督『そうだったのか…自分じゃわからんな』


提督(まさか、俺の癖を狙って…!?)

提督(学習用AIでは、癖までは治せない…)

提督(その一瞬の隙を、突かれるとは…!)

ドカーンドカーン

提督「くっ…」ザァァァァ

提督(移動しても状況は変わらん…周りが見えない)

提督(だが、次の動きは読めている!)

提督(俺の背後に回って、あの拳で攻撃だろう!?)

提督(いずれ砲撃は止む…その時に背後を向けば、砲撃でもなんでも食らわせて…)

ドカーン ザバァ…

提督(…砲撃が止んだ!)

提督(今だ!)クルッ

提督「…」

提督「…いない?」

キュィィィィ

吹雪「同じ手は、二度と通じないんでしたよね?」

提督(しまっ…)グッ

吹雪「遅い!!」ブンッ

バチバチバチバチィッ

提督「そんな…馬鹿な…!」

吹雪「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」ググググ

バチバチバチバチッ  バリィィン

ドゴォォォォォォン

──────────

──────

───

提督「…」

吹雪「…」ザァァァァ

提督「…完敗だ」

提督「見事、お前の勝ちだ…吹雪」

吹雪「…」

提督「もうバリアは張れない…攻撃は通るはずだ」

提督「俺を、殺しに来たんだろう?」

提督「だったら早く…」

ギュッ

提督「…!?」

提督「どうした…?殺すんじゃなかったのか?」

吹雪「殺す気でしたよ?…さっきまでは」

吹雪「正確に言うと、バリアを突き破る瞬間までです」

吹雪「そのまま殺す気だったら、そのまま拳で艤装なり本人なり攻撃しますからね。バリアの機関部だけ狙いましたよ」

提督「へっ…そんな器用に気持ちを変えることできんのかよ」

吹雪「ふふ、意外とできるものですよ」

吹雪「私は、司令官に『殺す気でこないと止められない』って言われたから、そうしただけですから」

吹雪「…口では殺す気と言っても、心のどこかでは、殺したくないという気持ちがあったんでしょうかね」

提督「…」

吹雪「…ねえ、司令官…」

吹雪「司令官は、さっき自分が無力だって、言いましたよね」

吹雪「それは、間違いです」

提督「…!」

吹雪「私たちは、大切なものを守るために戦っています」

吹雪「大切な仲間、大切な場所、大切な人…」

吹雪「その大切な人の中には、当然司令官もいます」

吹雪「そんな大切なあなたが、指揮をとって…」

吹雪「労いの言葉もかけてくれて…」

吹雪「私たちのために喜んでくれたり、悲しんでくれたりして…」

吹雪「そして…一緒にいてくれる」

吹雪「それだけで…それだけで、私たちは戦えるんです」

吹雪「司令官のおかげで、戦えるんです…」

吹雪「それだけで、十分なんですよ…」

提督「…っ」

提督「吹雪…!」

提督「すまない…!本当に・・・!」

提督「俺は…なんてことを…!」

吹雪「…正気に、戻ったんですね」

吹雪「いいんです…いいんですよ」

吹雪「…さあ、帰りましょう」

──────────

──────

───

吹雪「大丈夫ですか?」

提督「ああ。問題ない」

吹雪「走行機能だけ独立してたんですね、この艤装」

提督「ああ。だから艤装本体に接続しなくても海上は移動できる」

吹雪「…で、その本体は、どうするんですか?」

提督「持って帰るしかないだろう。深海棲艦に見つかって利用されたりしたら大変だ」

提督「壊してもいいが…今は方法がないからな」

吹雪「そうですね…じゃあ、そのまま持っててください」

吹雪「じゃ、帰りますか」

提督「ああ。早くみんなに謝って、この首についてるバッテリーみたいな装置も外したいしな」

吹雪「ふふ、そうですね」

ザァァァァ

バチッ

提督「…?」

提督(今、艤装から何か音が…?)

バチバチッ

提督「…!まさか!」

提督「くそっ!」ポイッ

ザバァ

吹雪「し、司令官!?何してるんですか!?」

吹雪「艤装を捨てるなんて…!」

提督「吹雪!バリアを張れ!」

吹雪「え?」

提督「早く!」

吹雪「は、はい!」スッ

ドカーン バチッ

吹雪「キャッ!?」

提督「吹雪、大丈夫か!?」

吹雪「だ、大丈夫です、驚いただけです。防御はちゃんとしました」

吹雪「それより、今のは!?」

提督「ああ。おそらく…」

ザパァ

吹雪「…え?」

ドカーン

吹雪「くっ…」バチッ

吹雪「な、何で…」

吹雪「何で、艤装がひとりでに動いてるの?」

提督「…おそらく、暴走状態にある」

吹雪「ぼ、暴走!?」

提督「ああ。さっきまでは俺の残った理性で何とか抑えられていたようだが…」

提督「あれだけ改装して、あれだけ学習し、あれだけ酷使したもの…」

提督「暴走してもおかしくない…」

吹雪「そんな…!」

ドカーン

吹雪「!!」シュバッ

提督「気をつけろ!!俺が使ってた時よりも容赦はないはずだ!」

提督「だが、バリアはもうない!攻撃を当てれば壊せる!」

吹雪「了解です!」ジャキン

ドカーン

ドカーン  ズドォォォン

吹雪「なっ…!」

提督「砲撃を砲撃で弾いた…!?」

提督「そんな馬鹿な…!」

ドカーンドカーン

吹雪「うわぁっ!?」

提督「吹雪っ!」

吹雪(くっ…もう、艦娘じゃなくて、普通の人間なんだから…)

吹雪(当たったら、間違いなく死ぬ!)

吹雪「はぁぁぁ!!」ドカーンドカーン

ドカーン ズドォォォン

吹雪「くぅ…!」

提督「吹雪…」

提督(…しかし、何で吹雪しか狙わないんだ?)

提督(俺だって狙われてもおかしくは…)

提督「…」

提督「…」グッ

吹雪「このっ!!」シュパーン

シュパーン ズドォォォン

吹雪(魚雷もだめ…どうしたら…?)

ガシャン シュパーン

吹雪(…!自動追尾魚雷!)

吹雪(でも大丈夫。バリアを張るくらい…)

バチッ

吹雪「よしっ…」

吹雪「…え?」

キュィィィィ

吹雪(こ、光線の準備を!!しまった!!今の隙に!?)

吹雪(い、急いで高速移動を…)

キュィィィィ

吹雪(…ダメ!間に合わない!!)

キュィィィィ

吹雪(ああ…そんな)

吹雪(…司令官、せめて、あなただけでも…)

吹雪「…」

吹雪「…?」

吹雪「あれ?発射寸前だと思ったんだけど…」

吹雪「…!」


提督「ぐっ…」ズキズキ

吹雪「し、司令官!?」

吹雪「何、して・・・」

提督「はぁ…はぁ…」

吹雪(手に持ってるのは…首につけてた装置…)

吹雪「…まさか、艤装をつなげて…!?」

提督「ああ…その通りだ」

提督「装置を外した瞬間に副作用が一瞬出たから、ちょいと頭と体が痛むがな…」ズキズキ

吹雪「な、何でそんなことを…」

提督「…こいつは、今のところは俺を攻撃対象としてみていないみたいだ」

提督「だから、お前とこいつが闘っているうちに、近づいて…」

吹雪「そんなことを聞いてるんじゃなくて…!」

吹雪「艤装を着けて、どうするんですか!?」

吹雪「…まさか、まだ正気に戻ったわけじゃ…!!」

提督「…そうじゃない」

提督「吹雪!!」

吹雪「!!」

提督「こいつを、俺ごと壊せ!!」

吹雪「…」

吹雪「…え?」

吹雪「な、何言ってるんですか!?」

提督「さっきの戦いの様子からして、お前じゃこいつには勝てない!!」

提督「だったらこうして動きを止めるしかない!!」

提督「今なら、俺の理性で抑えられる!!」

提督「だから、やるんだ!」

吹雪「そんな…!」

吹雪「だ、だったらそのまま帰って明石さんに解体してもらった方が…」

提督「ダメだ」

吹雪「!!」

提督「わかるんだ…」

提督「こうして艤装を着けてたら、また支配されちまう」

提督「今度こそ、どうにもならないかもしれない…」

提督「いや、どうにもならないんだ…」

吹雪「嘘…」

提督「…仕方のないことなんだ」

提督「今、お前がこいつを止めないと、間違いなく多大な被害が出る!!」

提督「下手したら、誰にも止められなくなるかもしれない…」

提督「そうなるくらいなら、俺の命一つくらい…!」

吹雪「ダメです!!」

提督「…吹雪」

吹雪「…ダメ、なんです」

吹雪「だって…せっかく、連れて帰れると思ったのに…」

吹雪「司令官と、また一緒にいられると思ったのに!!」

吹雪「なんで、司令官が死ななくちゃいけないんですか…!!」

提督「…」

提督「今回の事件には、俺に責任がある」

提督「力を求めた結果、力に支配された俺にな…」

提督「だから、今回のけじめは俺がつけないといけない!!」

提督「他人に迷惑はかけられない…!」

吹雪「司令官…」

ドカーン

吹雪「!!」シュバッ

提督「ぐ…」

提督「抑えが利かなくなってきた…」

提督「早くするんだ!!吹雪!!」

吹雪「でも!!」

提督「やれぇ!!!」

吹雪「…っ!」

提督「さっきまでできていたことをやるだけだ!!」

提督「俺を…」

提督「俺を殺せぇ!!!!」

吹雪「…」

提督「…こんなこと、お前にだから言えるんだ」

吹雪「…っ!」

吹雪「司令官…」

吹雪「…っ」ギリッ

ジャキン

提督「そう…それでいい」ニヤリ

吹雪「…」

提督「…吹雪」

吹雪「…はい」

提督「止めてくれて、ありがとうな」

吹雪「…!」

提督「お前のおかげで、俺は誰も殺さず、正気に戻ることができた」

提督「お前らにも、他所にも迷惑はかけちまったがな、ははっ」

提督「…もし、お前が止めてくれなかったら、俺は死んでも後悔し続けただろう」

提督「…だから」

提督「ありがとう、吹雪」ニコッ

吹雪「…っ」ポロポロ

吹雪「司令、官…っ」

吹雪「大好き、でした…っ!」

提督「…俺もだよ」


ドォォォォォォォォォォォン

──────────

──────

───

長門「…そうか」

吹雪「…」

明石「あ、ああ…」

明石「私は、なんてことを…!」

長門「明石…」

吹雪「明石さんのせいじゃないです…」

吹雪「私が…私の力が足りなかったから…っ」

長門「…」

長門「陸奥。明石を部屋まで送ってやってくれ」

陸奥「わかったわ」

吹雪「長門さん。明石さんのこと、責めないであげてください」

長門「わかってるさ」

長門「あいつはよくやった・・・それはわかっているつもりだ」

長門「あいつの頑張りがなければ、事態はもっとひどいことになっていたはずだ」

長門「あんなに責めておいていうのもなんだがな…」

吹雪「…」

吹雪「…これから、どうしましょうか」

長門「大本営には、私から言っておく」

吹雪「…そのまま言う気ですか?」

長門「いや、そんなことはしない」

長門「事実の隠蔽は気が引けるが…真実を言ったら、鎮守府は閉鎖、なんてことになりかねないしな」

長門「一応被害はそんなに出てないし、提督の正体もわかられていないわけだから、何とかなるだろう」

長門「ここの皆の居場所は、ちゃんと守るつもりだ…」

吹雪「…そうですか」

長門「どうした?」

長門「提督の尊厳のためにも、こうした方がいいと思ったんだが…」

吹雪「いえ…」

吹雪「私もそうしてもらうよう、お願いしようと思っていたので」

長門「ふっ、そうか」

長門「…で、吹雪」

長門「お前はどうする気だ?」

吹雪「え…?」

長門「もうお前は艦娘ではない。軍にも属していない」

長門「少しの期間ならまだこの鎮守府にいてもいいと思うが…」

長門「いずれは出ていかないといけないだろう」

吹雪「…」

長門「お前は、これから何がしたい?」

吹雪「…」

吹雪「…私は」

──────────

──────

───

十年後

夕立「長門さん!」

長門「どうした?夕立」

夕立「今日、新しい提督さんが来るっぽい!?」

長門「ああ、そうだ」

夕立「どんな人?」

長門「そうだな…資料によると、士官学校を首席で卒業したそうだ」

夕立「え!?エリートっぽい!?」

陸奥「しかも女性よ」

夕立「女の人っぽい!?」

夕立「何歳くらいの人っぽい?」

長門「と、歳?」

長門「歳か…」

夕立「…?」

陸奥「そうねぇ…24?くらい?」

夕立「くらい…?どういうこと…?」

長門「まあ、気にするな」

夕立「ふーん…」

夕立「それにしても、どんな人か気になるっぽい!怖い人じゃないといいっぽい!」

長門「あー…それは多分大丈夫だ」

夕立「ぽい?」

長門「だって…」

コンコン

長門「む、来たようだな」

陸奥「どうぞー」

ガチャッ

女性提督「こんにちはー」

長門「やあ」

陸奥「よく来たわね」

女性提督「あ、夕立ちゃん!こんにちは」

夕立「こ、こんにちは!」

夕立(ほ、本当に女の人っぽい!)

夕立「…ってあれ?何で夕立の名前知って…」

女性提督「ふふふ」

長門「ふっ」

陸奥「あらあら」クスクス

夕立「…そういえば、どこかで会ったことがあるような…」

女性提督「もう十年になるもんね…懐かしいなあ」

夕立「十年…?」

夕立「…!も、もしかして!」

夕立「吹雪ちゃんっぽい!?」

吹雪「はは、久しぶりだね、夕立ちゃん」

夕立「え!?新しい提督さんって吹雪ちゃんっぽい!?」

吹雪「そうだよ、頑張ったんだから」

長門「それにしても…でかくなったな」

吹雪「十年もたてば、それなりには」

吹雪「長門さんや陸奥さんにはかないませんがね」

夕立「こ、これからは吹雪ちゃんと目線を上げてお話ししないといけないっぽい?」

吹雪「そういうことだね」

夕立「な、なんかショックっぽい…」

吹雪「そんなこと言われても…」

夕立「…はっ!もしかして、吹雪ちゃんのこと、提督さんって呼ばないといけないっぽい!?」

吹雪「うーん、そうだねぇ…」

吹雪「別に気にしなくていいよ、今まで通りで」

吹雪「立場上は私が上司になるけど、そんなの気にしないもん」

夕立「…うんっ!」ニコッ

陸奥「そういえば吹雪、なんで提督になろうと思ったの?」

吹雪「…それは…」

長門「…」

吹雪「十年前の、あの事件の時…」

陸奥「…!」

吹雪「あの人…司令官は、最後まで、他の人を守りたいという意志がありました」

吹雪「自分を犠牲にしてまで…」

吹雪「だから・・・その意志を、受け継がないといけない」

吹雪「無駄にしてはいけないって、思ったんです」

吹雪「そしたら、同じ道を選んでいました。ははは」

陸奥「ふーん…そうなの」

陸奥「いいと思うわ」ニコッ

長門「…」ニヤリ

コンコン

明石「失礼しまーす。長門さん、例のそう、び…」

吹雪「…明石さん」

明石「ふ、吹雪ちゃん?」

吹雪「そうです」

明石「ほ、本当にここの提督になったんだ…」

吹雪「…そうですよ」

明石「…」

明石「あのっ」

吹雪「はい」

明石「十年前は、ほ、本当に…」

明石「ごめんなさ…」

吹雪「明石さん」

明石「!!」

吹雪「司令官は、最期に私に、止めてくれてありがというと言いました」

吹雪「私が彼を止められたのは、明石さんの働きあってのことです」

吹雪「きっと、司令官は明石さんにも感謝していると思います」

吹雪「だから、明石さんが謝る必要なんてないんですよ」

明石「吹雪ちゃん…!」

吹雪「もうあんなもの作っちゃだめですけど…」

吹雪「これから、よろしくお願いしますね」ニコッ

明石「うわーん!」ダキッ

明石「ありがとう吹雪ちゃーん!!」

吹雪「うわっ!?あ、明石さん!?」

長門「おいおい明石、せっかくの新品の提督服なのに、汚したら…」

長門「ん?」

長門「なあ吹雪、何で帽子だけボロボロなんだ?」

吹雪「え?ああ、これですか?」

吹雪「これは…」

吹雪「…拾ったんです」

長門「…拾った?」

吹雪「ええ、拾いました」

吹雪「…海の上で」

長門「…!」

吹雪「とても…とても、大切なものです」

長門「…そうか」

長門「さて、早速だが吹雪、働いてもらうぞ」

吹雪「え?」

長門「南方に有力な深海棲艦の泊地が発見された。これから叩きに行く予定だったんだ」

長門「指揮、とれるな?」

吹雪「…もちろんです」ニヤリ


吹雪「では、皆さん、出撃準備をしてください!」

吹雪「旗艦は長門さん、お願いします!」

長門「ああ、わかった」

吹雪「陸奥さんと夕立ちゃんはは支援艦隊、明石さんは修理の準備を!」

陸奥「了解よ」

夕立「ぽいっ!」

明石「了解です!」

吹雪「行きますよ!」


吹雪「暁の水平線に、勝利を刻みましょう!!」




提督「俺用の艤装?」終わり

以上です。見てくださった方、ありがとうございました
まあ、正直アレな部分もあると思いますが、とにかく終えることができました
やはり長いのはいかんですな…疲れるし、ぐだるし、矛盾点や突っ込みどころは出てくるし…
次やるとしたら短いのにしよう、そうしよう

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