忍殺◆フジキド・ミーツ・ホーリーグレイル◆Fate/SN (32)

このSSは、忍殺としてもFateとしても中途半端です
失踪したときはケジメされたと思ってください

備えよう

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「ミタセ、ミタセ、ミタセ……」

フユキの街から外れた館の地下室
そこに呪文めいたコトダマが響く
否、実際呪文なのだ!
魔法陣の中央に立つツインテールの少女は可憐であったが、胸は平旦である

時計は午前二時を示しているが
おぉブッダよ!この少女は時計が1時間進んでいることをすっかり忘れているのだ!なんたるアワレ!

「天秤の護り手よーっ!!」

ともかく、魔術は発動した!眩い光の中から現れたのは赤黒い忍者装束に忍殺と禍々しく漢字でレリーフされたメンポ!
殺戮者、我らがニンジャスレイヤーのエントリーだ!!

「ドーモ、マイマスター。アーチャーのサーヴァントです」

ニンジャスレイヤーの奥ゆかしいアイサツ!己の真名を隠しながらの自己紹介だ!ワザマエ!

「ニ、ニンジャ?!どーしてニンジャがアーチャーなのよ?!?!」

少女は、一瞬ニンジャリアリティショックを起こしかけるも、なんとか踏みとどまった
その精神力は流石魔術師といった所だろう

「ニンジャはあまり手の内を明かさぬ物だ、マスター」

一部の隙もないオジギの姿勢を1ミリたりとも動かさずに返答する

「で?あんたの真名は?忍者ってことは服部半蔵かしら?猿飛佐助もアリね」

「私はそんなに高尚なものではない、取り敢えずはニンジャスレイヤーとでも読んでくれ」

「嘘?!だって召喚は完璧で……」

少女はふと何かに気づいて頭を抱える
ついに気づいたのだ、己のうっかりに

「バカ!ウカツ!ウッカリ!」

口汚く自分を罵る少女を傍目に、ニンジャスレイヤーは戦いを予感していた

「安心しろ、サーヴァントもマスターも殺す。慈悲はない」

フユキの夜に、戦いの風が吹く!

時は経ち翌日

「学校は良いのか?マスター」

起き抜けのアンブッシュ、少女のフートンは引きはがされる!

「アイエ?!いいのよ、アンタ召喚するので疲れたから今日は昼まで寝るの!」

ニンジャスレイヤーは昨日の装束の代わりに、茶色いトレンチコートと帽子を着用している

「アンタ、そんな服も持ってたんだ……」

「あの装束とメンポはホウグ・アームズだ、私が私たる所以の格好……とでも言ったところか……」

「ふーん……それじゃ、オヤスミ」

「昼になったら起こすぞ、イヤサレヤ」

だらしないようだが、魔術の行使、それも英霊召喚ともなれば多大な体力を消費する。この程度の怠惰で済んでいる彼女は、テンサイ級の魔術師なのだ!

「随分優秀なマスターに付けたものだな……ウカツさえなければヤバイ級になる日も近いだろう」

一時間ズレでイメージカラー:赤黒が召喚されるなら天狗が来る可能性も有ったのでは?ボブは訝しんだ。

昼の12時となった!

ズルズル~

あたりに漂うのはカツオダシの香り、少女が匂いに釣られて階下を覗くと
そこにはおいしそうにインスタント・ソバをすするニンジャスレイヤーの姿が!傍らにはスーパーで購入したオーガニック・スシまで並んでいる

「自分で起きられたか、マスター」

ズルズルズー

「ひとつ聞くけど、そのオスシとソバはどこから手に入れたのかな~?って」

少女は笑顔を、完璧な作り笑顔を浮かべてニンジャスレイヤーを見る、コワイ!

「サイフの金を使わせてもらった、ソバとスシしか買っていない。マスターのぶんもある」

「勝手に人のサイフの金を使うな!!まったく、気が利くんだか利かないんだか……」

「次はきをつけよう」

イナリ・スシを口にほおりこみながら答える
少女も湯を沸かしに行ったようだ

「さて、これからどうするんだ?マスター早速今日から戦うというのなら、相応に備えよう」

「そうね……これから街を見回りましょう、狙撃できそうなポイントとかは……」

「不要だ、私のアーチャーたる技能はスリケン・ダートのワザマエだからな、それに、街はだいたい見て回ってきた」

「そ、そう……それじゃあどうしようかしら……」

「いつまでも寝巻きのままなのはどうかと思うぞ、マスター」

「それもそうだけど……じゃあどうするのか、アンタの意見を聞かせてちょうだい」

「街を歩く、僅かに殺気と魔力を振りまきながらな……愚か者が釣れたらそれでよし、釣れねばそれはそれでよし」

口元に、シャキンと音を立ててメンポが装着される
おびき寄せてから倒す。危険なようだが、実力者であることをアピールすることで臆病者への牽制にも、愚かな自信家を引っ張り出すこともできる策である

「気配遮断と単独行動もある、個人で動くことも可能だ」

「けっこう忍者っぽいこともできるんだ……」

>>8
SS作家・ニンジャクランのユニーク・ジツ、ゴツゴウシュギ=ジツだ、備えよう

◆◇
「で、街を夕方まであるいてみたわけだけど……」

結局、愚か者は居なかった
それどころか、魔力の残滓さえみつけられなかったのだ

「皆賢明な強者ということだろう、備えねばなるまい」

フユキ・センタービルの屋上で、赤いコートの少女と赤い装束の男が下界を見下ろしている

「それにしても、高いビルだな……」

「何?実は高所恐怖症とか?」

「シツレイだぞマスター……私が英霊になったきっかけの出来事を思い出しただけだ」

ネオンや街灯で輝く町並みは、フユキもネオサイタマも変わらぬ景色だ……などと感傷にひたりハイクを読もうかと思ったその時だった

「あれ……?」

「どうしたマスター?敵か?」

「ううん、なんでもない……」

そして翌日

「今日は学校へ行くのだな」

「そう毎日も休んでられないしね、アタシこれでも優等生なんだから」

「わかった、ならばついて行こう。昼間でも油断はならん」

ニンジャ第六感は感じていた、学校に何かがあると
ニンジャスレイヤーは姿を消し、少女と行動を共にすることにしたのだった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「それでは、ホームルームを終了する」

「キリーツ!レイ!」

『アリガトウゴザイマシタ!』

毎朝恒例のホームルームがいつもどおりに終了する
いつもとの違いを認識していたのは、少女とニンジャスレイヤーだけであった
いや、それだけではない、ニンジャスレイヤーは担任のセンセイから溢れんばかりのカラテ・アトモスフィアを感じていた

「あーっ!こんなところにまで!」

日も暮れて屋上
少女は学校中の魔法陣を探して回っていた

「謎の言語で記された陣か、おそらくはサーヴァントの仕業であろうな」

「嘘?!うちの学校に魔術師は私ともう一人、そっちは参加していない筈な
よ?!」

そう言いながらも陣を無力化する術式を上書きしていく少女
そして、不意にサツバツとしたアトモスフィアを察知する!

「おいおい、消しちまうのか?勿体ねえ」

青い獣、そんな印象を持った、槍使いであろう男
手に持った獲物は、どこまでも朱い

「サーヴァント……」

「……ほう、アンタも参加者ってワケか……」

迸る殺気!

「~~……アーチャー!着地お願い!」

と、同時に床を蹴る少女!とっさの判断で屋上から飛び降りる!

「了解した!Wasshoi !」

合わせてニンジャスレイヤーも跳躍、空中で少女を抱えて落下する!

グラウンドに降り立ち、落下点から距離をとる!
おぉ!刹那の後、着地点に寸分の誤ち無く槍使いが槍をしたに向けて着地!!

「マスター……」

「えぇ、あなたの力を見せて、アーチャー」

「承知した!」

少女を置き、一歩前に進み出るニンジャスレイヤー、メンポを静かに装着し、青い男に向き直る

「弓兵にゃあ見えねぇな」

「そういう貴様は分かり易い」

一瞬の静寂

「ドーモ、ランサー=サン、アーチャーです」

アイサツとともに一分の隙もないオジギ!ワザマエ!

「ご丁寧にどーも、見てのとおりランサーのサーヴァントだ……で、獲物を出せよ弓兵擬き」

「案ずるな、戦えば解る……サーヴァントは殺す、慈悲はない」

カラテの構えをとるニンジャスレイヤー

「徒手空拳で槍に勝つつもりか?いいぜ、やってやるよ!」

「そらそらそら!どうしたぁっ!」

一見すれば、ニンジャスレイヤーは防戦一方で不利に見えた
槍の一突き一突きを大きく後に跳んで躱す様は、臆病な戦闘に見えた

が、実際はそうではないのだ
ニンジャスレイヤーが名乗った『アーチャー』という言葉が、ランサーを攻めきらせずにいた

(クソっ!一体何を飛ばすつもりだ?!)

何らかの飛び道具、それが宝具だとすると、回避にうつるしかない……が、もしそれが『当たるまで止まらない』武器であったとしたら……
いつでも防御にうつれるように、かつ回避にも気を配りながら攻める。それは、流石のランサーといえども難しいことなのだ

「そろそろ行くぞ!イヤーッ!!」

ニンジャスレイヤーの手から放たれた5枚のスリケン!全てがランサーの正中線を捉えている!

「チィッ!」

が、ランサーもそれを回避

「イヤーッ!!」

再びのスリケン!倍の10枚がランサーを襲う!

「クソッ!」

ランサーはそれを槍で打ち払う!

「イヤーッ!!」

10枚のスリケンがランサーを襲う!

「オラァっ!」

ランサーはそれを槍で打ち払う!

それを繰り返すほど10回!ニンジャスレイヤーはジリジリと間を詰め、カラテの間合いにランサーを捉えた!

「イヤーッ!イヤーッ!!」

左手でスリケンを投げ、即座に右手でポン・パンチを繰り出す!

「グワーッ!」

どちらも防御されたものの、ランサーは大きく吹き飛び、校舎の壁に激突!大きなヒビを作る!

「徒手空拳と手裏剣か、ニッポンのニンジャってやつかい……厄介だねこりゃ」

「ランサー=サン、これで終わりだ」

「へっ、人に隠し玉さえ使わさずに勝った気かよ……」

ニンジャスレイヤーのニンジャ第六感(直感A相当)が警笛を鳴らす!

ランサーは静かに槍を構える

「さぁ、受けるか!我が必殺の一撃を!!」

「これが……宝具……!」

少し離れたところで、少女は恐るべき魔力の奔流に驚愕していた
まともに当たれば死ぬ。まさにヒサツ・ワザ!

が!

「あ、アイエエエエエ?!」

突然の悲鳴めいた声!
学校の玄関に立つ少年!

「嘘?!まだ人が居たなんて!」

校舎へと逃げ込む少年、それを追う青い閃光

「ッ…!追って!アーチャー!!」

「ヨロコンデー!Wasshoi!!」

少し遅れて駆け出すニンジャスレイヤー!さらに遅れて少女も後を追う!

◆◇ーーーーーーーーーーーーー◇◆

「どうして……よりにもよってアンタなのよ……」

悔しそうに呟く少女の後ろで、ニンジャスレイヤーは静かに佇んでいた

「行って、アーチャー……とりあえずランサーを探してみてちょうだい……」

「わかった……」

すっとニンジャスレイヤーの体が虚空へ消える。霊体化によって、無駄なエネルギーを使わずに単独行動するつもりらしい

少女はポケットから大きな宝石のついた首飾りを取り出す

「父さんには悪いけど……」

命の灯火の消えかけた少年の傷に宝石をかざし、魔翌力を練る

うーむ、Fateに引っ張られてニンジャ・アトモスフィアが不足してる気がするなあ
ヤンナルネ

かろうじて生きてます
現在Fateのプレイし直し中です

◆◇

「アーチャーは……まだ帰ってないか……」

スゥーハァーと深呼吸によって精神を落ち着けるチャドーほどではないにせよ、深呼吸には精神安定作用があるのだ

「覚悟はしてたのに……いざとなると甘いんだから……ヤンナルネ」

どさっとソファーに腰掛け、うっすらと微睡む、時計は八時を差している

「マスター、ランサーを逃したようだ」

少女の傍らに、私服に戻った男が立っていた

「そう、まぁしょうがないわね……明日から頑張りましょう」

「ところで、あの少年はどうなった?記憶処理は施したのか?」

「え?ナンデ?」

「神秘は秘匿するものではないのか?」

「……アイエエ?!バカ!ウッカリ!!」

コートを羽織りなおし、少女は全力で少年の家へ走る
いろいろあって、少年の家は知っていた、確か奥ゆかしいブケ=ヤシキだ

「マスター、急ぐのなら抱えて行くが」

「それじゃあお願い!あっちの方の武家屋敷よ!絶対に間に合わせて!」

「ヨロコンデー!」

少女をダッコして、赤黒の殺戮者が駆ける!

「サーヴァントの気配、ランサーだな」

「あーっもう!ほんとうにアタシのバカ!」

だがその時である!
おぉブッダよ!あの光と魔翌力の奔流を見よ!
新たな、そして最後のサーヴァントのエントリーである!

「イヤーッ!!」

「グワーッ!」

白銀の可憐なる少女、その手には不可視の武器!
油断していたランサーはあえなく吹き飛ばされる!

「アイエ?!?!嘘、ナンデ?!」

咄嗟に身を隠したニンジャスレイヤーの腕の中で少女は困惑していた
あの少年は魔術師などではなかった筈だ

「だが、実際召喚されているのだ。マスターである以上殺すしかあるまい」

「う……取り敢えず様子を見てみましょう」

屋敷から響く激しい剣戟の音

「ちっ!武器を見せぬとは卑怯な!」

「そっちは分かり易い武器だな、ランサー!」

「ぬかせセイバー、もう5回も打ち合えば自然と読める」

「なら、早々に決着をつけるとしよう」

「ああ、それにゃ賛成だ……さっきはアンタのマスターのせいで出しそびれたが……さっさと決めさせてもらう」

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