安価の内容はほとんどキャラの名前を決めてもらうくらいです。あと若干指定されています
ちょいちょい出てきます。
以下、本編。
――――裸体の女が目の前にいたらどうだろうか。
まず初めに何をするだろうか?
俺はそういう想像を今まであまりしたことはなかったが、とりあえずその女に何かしらのアレないたずらをするものだと思っていた。
だが、現実では違った。目が覚めて、洗面所に顔を洗いに行こうとしたとき、廊下に横たわっていた裸の女性を見て、俺はただ……戸惑いながらも毛布を壱枚かけてやっただけだった。
俺の名前は>>2(日本的な苗字と名前指定)。どこにでもいる普通の高校生だ。
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鷹司 宗一
↑すみません、読み方聞いてもよろしいですか?
中学生のころド田舎に住んでいた俺は、とにかく東京にあこがれ、親に無理言って東京で一人暮らししながら、東京の割と名門な高校に入学した。
高校3年になり、受験を前に控え、中学生の事にあったやる気もなくして勉強し、とりあえず大学に入ろうと思っていた俺に、謎の転機が訪れる。
それが今のこの状況というわけだ。しかし俺は女性の寝込みを襲ったりする趣味も全く無かったし、正義感は人並みにある方だと思っている。
だから戸惑いながらも、このままにしていたら彼女が可哀想だ、と思ったのだ。
しかし、彼女は俺より見たところ背が低い。ぶかぶかの服を着せるのもどうだろうか。そもそも裸の女性に服を着せるというシチュエーションは、健全な高校生のすることとは思えない。
だから毛布をとりあえず掛けて、何も見なかったことにしてもう一度洗面所を目指そうとしたその時だった。
「んぅ……」
女性の生々しい艶声を初めて聞いて、思わず体が固まる。振り返ると、その女性が毛布をはだけさせつつ、起き上がっていた。
眠い目を右手でごしごしとこすりながら、左手で肩あたりまである銀色の髪をくしゅくしゅと触る彼女。驚きながらも素っ頓狂な声で、俺は彼女に尋ねる。
「……御目覚めですか?」
「はい、おかげさまで……毛布も貴方が?」
「あ、ああ……えと、はい」
「ふふっ、ありがとうございます」
そういって正座してにっこりと笑う彼女。美しい顔立ちに礼儀正しい口調。いったい彼女はなんなんだ……?
「あー……すみません、ええっと……お知り合いでしたっけ?」
俺の問いに対して深くうなずき、彼女はこういった。
「ええ。鷹司宗一、17歳。ですよね?」
「あ、はい……」
……俺、こんな子と知り合いだったか? こんな現実離れしてる女の子なら、覚えててもよさそうなもんだが……。
「すみません、そちらのお名前を俺は覚えてないんですけど……どなたでしたっけ?」
その言葉を聞いて、彼女はクスクスと音を立てて笑った。
「大丈夫ですよ。初対面ですから」
「へぇ、そうなんですか……」
驚いたことに、俺はこの奇妙な現実を受け入れつつある。妙だ。とにかく妙だぞ。そう思いながらも俺に対して大事な話な気がしたんだ。
きっと、俺の将来にかかわってくるような……。
「私、>>6(特に制限なし)という者です。初めまして」
まっすぐな赤色の瞳で、彼女……>>6はそう言った。
イヴ・ダージリン
イヴ……その名前には特に聞き覚えがないし、そもそも俺にそんな外人の知り合いはいなかった。
だから、まず初対面なことは確実だった。しかし、すぐに新たな問題が出てくる。
「どうして俺の名前知ってるんだ?」
「私はあなたの事を知って、こちらに来たからです」
こちら……?
「じゃあ、ダージリンさんは」
「イヴでいいですよ?」
「分かりました。イヴさんは」
「もう、さん付は止めてください。貴方のパートナーなんですから」
「……は? パートナーって?」
頬を膨らませながら言った彼女の願いより、そのあとのセリフが気になった。パートナーっていうのはどういう事だ?
「いえ、段階を踏むのは大切です。まずは宗一さんの疑問にお答えいたしましょう」
「……え、でも俺はまだ」
「おそらく、私がどこから来たかが気になっているんですよね?」
したり顔でビシッとこちらに人差し指をさして決めてくる。何か妙にムカつくが、彼女だと許せてしまえるのはなぜだろうか。
「え、あ、はい、それはもう」
あと何で全裸なのかも。
「私は空気なんです。ほら、目には見えないけど……みたいなヤツ」
「……空気?」
「そうです。空気。すごいでしょ? 正確にいうと酸素です!」
「……はあ」
この人、意外とお茶目なのかもしれないな。
「まあ、この辺に漂っている普通の空気とは事情が違うんですけどね。宗一さんも、温暖化という言葉は一度は耳にしたことがあるでしょう?」
「あ、ああ……まあな」
環境の事については少し興味を持ってる分野だから、参考書買って読んでたりしたっけな。
「近年、私たちを脅かす存在が増えています……排気ガスだのなんだのかんだの……敵とかではないんですが、近寄りがたい感じですね。たとえば、コンビニにたまっている不良みたいな、避けがたい感じの」
「…………なるほど」
微妙に分かるような、分からないようなたとえだ。
調べたら鷹司で「たかつかさ」だと思われ
「まあそこまではよかったんです。何とか生きれる場所とかを探せたんで……ところが、そうもいかなくなってきました」
「どういう事ですか?」
「……地球を破壊するための組織が動き始めたんです」
地球を……破壊? それって……
「俺達人間の事か?」
「まさか、人間たちのせいで地球が滅びるのであれば、とっくに終わってますよ。近年急速に温暖化が進んでるのも、その組織のせいなんです」
「……その組織って?」
「……わたし達よりも先に、擬人化の能力を確立させた、C達の拡散です」
……は?
「訳が分からないって顔してますね……まあそうでしょう。理解には時間がかかります。とにかくそれで私たち酸素はどんどん数を失って行きました。生きる場所を失い、死にかけの状態です」
「それが温暖化につながった、本当の理由……とおっしゃるんですか?」
「そうなんです! さすがは成績中の下の宗一さん!」
言うなよ、すげぇ微妙だろうが。
>>10さん
ありがとですっ
「こうして、人間たちの知らない見えないところで、CとOによる戦争がはじまりました。とは言ってもどちらもある程度地球に必要な物質ではあるので、正確に言えば、あるべき数に戻すための戦い、でしょうかね。そのために生まれたのが、この擬人化する力なんです!」
擬人化する力……ねぇ
「私たちはこの力の事を固体化と呼んでいます」
なるほど、気体が固体に変わったからだ。でも……
「そんな見えないところでバトルしてたような人が……何故俺の前に? しかも裸で?」
「裸なのはわざとではありません! 気体が服を着て歩くわけないじゃないですか!」
それもそうだけどさ。
「今現在、酸素が押し負けてきてるんです……理由は簡単。元あったバランスに戻すための、送り込める数が少ないからです」
「送り込める数?」
思わず俺は言葉尻を捕らえる。
「ほら、言ってるでしょ? バランスが崩れてるって。これは今の現状を元あったパーセンテージに戻すのが大事なんです。つまり……」
「Cの数が多すぎるのに対して、Oは少数派……ってことか?」
「そう、それに向こうの方が固体化を持つ技術が早いせいで、私たちは未だに彼女たちに苦戦しています……そこで、私たちの軍、オキシゲンは新たな方法を考えつきました!」
「……それは?」
「私と合体しましょう!」
「はっ!?」
これは割と大きな声が出た。今までで一番の強烈な驚きと戸惑い、そしてワクワク感だった。
「ほら、とあるマンガにあるじゃないですか! 強い人と強い人が合体して、さらに強い人になる! アレです!」
「ちょっと待った! が、合体ってなんだ?」
「合体は合体ですよ? 私を抱いてくれたらそれでいいんです」
こいつ本気かよ?
「……ど、どういう事だ?」
「試しに私をぎゅーって抱いてみてください」
「…………」
言われるがままに、イヴに近づき、そっと抱き寄せてみる。裸の女性だからか、それとも彼女が酸素だからか、どちらにせよ初めての気分だ。
「あ、もっときつく。私を体の中にギュッと押し込む感じですね」
当の本人はそうでもないみたいだが……。
「そりゃっ!」
とりあえず言われたとおりに、イヴを体に押し込んでみる……すると……。
体中に何か力のようなものがあふれ出て、心がさわやかな気分になる。今の俺は強い。そんな感じの気分だった。
「ご気分はどうですか?」
俺の体の中にいるのか、イヴはそういってきた。
合体ってこのことだったのか、がっかりというかなんというか。
「今の私と、宗一さんは一心同体です」
「へ?」
「貴方の考えてる事が今私にも伝わってるってことですよ。結構恥ずかしい方ですねぇ」
うわ、マジかよ……変なこと考えないようにしなくちゃな。
「別に年頃の男の子なんだし、気にする必要ないじゃないですかー!」
「うるせぇ!」
「とりあえず今のあなたならものすごい速さで動き回れるはずです! 全身の血液が普段よりも活発に動いてるんですからね!」
なるほど……さすが酸素って感じだな。
「ところでこれ、解除の仕方はどうするんだ?」
「やっと砕けた口調になってくれました。それに飲み込みも早い人類です。もっと戸惑うかと思いましたよ~」
それは俺でもびっくりしてるよ……ふつうありえない話だよな。
なんて感心してる間に、彼女は続ける。
「解除は思いっきりため息をついてくれれば、そこから抜け出ていきますよ」
「……ふぅ」
俺は言われたとおりに息を吸い込んで、それを吐いた。
体が元の感覚に戻っているのが、なんとなく分かる。
と同時に、イヴがまた出てきた。
「こうして人間に憑依し、力を貸し与えることで、Cの軍、カーボンと対峙して行こうというのが、オキシゲンの考えた秘策です! もし死んでも、死ぬのは人類であってオキシゲンの数は減らないってことですね!」
「さらっとすごい事言ったな」
でも確かにそうだ。彼女たちの数が減らずにカーボンだけ減れば温暖化は少なくとも進行が遅くなるのは間違いないだろう。
「こうすることで私たちの生活が安定するんです……」
「そのために俺に犠牲になってくれ……ってことだよな? 何で俺なんだ?」
「あなたが一生懸命に生きてないからです」
「なっ!?」
「私はこのあたりをずーっとうろついて、化合することなく過ごしていた空気中の酸素なんですよ? だからわかります。ここに来たの頃のあなたはもっと輝いていました。ずっとずっと東京にあこがれて、ここにやってきて、一生懸命やったるでー! みたいな気持ちがありました。勉強も頑張っていました」
「た、確かにそうだけどでもそれは」
俺が言い訳しようとしたのを遮って、彼女は続ける。
「ところがどうでしょう。成績はだんだんと落ちていき、いつの日かバイトも週3から2週間に1度に変わり、ただの平々凡々な大学に行こうとする始末!! ああ、なんてことでしょう……」
「……つまり、何が言いたいんだ?」
「酸素で擬人化できる資格をもった優秀な私が、貴方くらいなら犠牲になってもいいと、そう思ったという事です」
……嘘だろ?
今日はここまで。また次回。
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