赤DQNちゃん (156)
母「この荷物をちゃんと届けてね」
赤DQN「うん、おばあちゃんの所までちゃんと持って行くよ」
母「それじゃお願いね」
赤DQN「まかせて、いってきまーす!」ガチャ バタン
赤DQN「…」
赤DQN「だいぶ離れたし、そろそろいいかいいかな」
赤DQN「あーだるぅ…またあの死にぞこないの老いぼれの所かよ」ユルユル
赤DQN「行くのはかまわねーけど毎回同じもん届けて意味あんのか?」プラプラ
赤DQN「自分で行こうとしねーし、自分の親としてどうよ?」
赤DQN「あーあ、ボサりながら適当に終わらせっかな」
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赤DQN「さーてここらで一服っと…」ゴソゴソ
赤DQN「しまった、火がねぇ!!」
赤DQN「この咥えたタバコどうしろってんだよ!?」
ダァーーーーン!!
赤DQN「!?」ポッ
猟師「火がほしかったんだろ、嬢ちゃん」シュゥ…ゴトリ
赤DQN「あ、あぁ……」スゥー プカー
赤DQN(まさか猟銃でこの小さなタバコに火をつけるとは…この猟師パネェな)
赤DQN「かぁーうめぇ!!」プハァ
猟師「ワシが言うのもあれだがおっさん臭いな」
赤DQN「あぁ?」ギロリ
猟師「そんな大きく可愛い目で睨まないでくれ、惚れる」
赤DQN「なんでだよ!? キメェんだよボケェ!!死んで消え失せろ!!」
猟師「そのロリ顔ロリボイスから放たれる罵倒!最高だよ!」
赤DQN「ぇ…ぁ…」
猟師「もう終わり?もっと言っておくれよ、もっと!!」ジリジリ
赤DQN「近づくな生ゴミフェイスがぁぁぁ!!」ダッ
赤DQN「やっと撒いたか…ふぅ~」
赤DQN「このあたしが相手に恐怖して背を向けて逃げるなんて…屈辱だ…」orz
狼「キミキミ」チョンチョン
赤DQN「あぁ?」
狼「こんな所で何してるんだい?」
赤DQN「気安く話しかけんじゃねぇよ、獣が!!」
狼「ごめんね、女の子がこんな所で一人だから気になって」
赤DQN「女だからって何もできないと思ってバカにしてんのか?!」バシッ
狼「いたっ!ごめんねごめんね…」
狼「これあげるからもう怒らないで」スッ
赤DQN「お?木の実と果実じゃねぇか!もらってやんよ!!」バッ
狼「あぁよかった…それじゃあね…」トコトコ
赤DQN「結局、何がしたかったんだアイツ?」
赤DQN「これうめぇな」モグモグ
赤DQN「もっと脅してやりゃ大量に出してたかもしれんな」
赤DQN「もったいないことしたか…あ?」
狐「くぅーん…」カシャン
赤DQN「猟師の罠にかかったバカ獣か」
赤DQN「ふん、自分の注意力のなさを後悔しながら力尽きたらいいさ」テクテク
狐「く、くぅーん…」カシャンカシャン ドクドク…
赤DQN「じゃあな、はっはっは!」
赤DQN「…」テクテク
赤DQN「あー…なんかすっきりしねぇ…クソ…」
赤DQN「……もぉ!ボケが!?」ダダッ
狐「!?」ビクッ
赤DQN「罠が食い込んでるのに無駄に暴れてんじゃねぇよ!?」グイッ ガシャン
赤DQN「ちっ…服がもったいねぇが…」ビリィ
赤DQN「ほらよ、しばらく傷触んじゃねぇぞ」キュッ
狐「…」クンクン
赤DQN「ほれおまけだ、持ってけ」ヒョイ
狐「はぐ」テテテ
赤DQN「もうあんな分かりきった罠にかかるんじゃねぇぞ!次は助けねぇからな?!」
狐「…」チラチラ テテテ
赤DQN「くそ…せっかくの食いモンが獣ごときで減っちまった…」
赤DQN「中途半端に食ったせいで腹減っちまったな」
赤DQN「そういやカゴの中身ミートパイとか入ってたっけか」ゴソゴソ
赤DQN「どうせババァ一匹じゃ食いきれるかも分かんねぇし、いっちょいただいちまうか」
赤DQN「うほ、うめぇ!!」モシャモシャ
赤DQN「うちのは文句言えないほど飯はうめぇんだよな」
赤DQN「四分の三ぐらい食っちまっても分かりゃしねぇだろ」モシャモシャモシャ
幼女「…」クイ
赤DQN「あん?」
幼女「…」ジー
赤DQN「どこから来たんだガキ、目障りだからあっち行け」シッシッ
幼女「…」クイ
赤DQN「触んじゃねぇよ!」バシッ
幼女「ぁ…」ドサッ
幼女「ぐす…」ジー
赤DQN「気持ちわりぃんだよ!消えろっつってんだろうが!!」ゲシゲシ
幼女「ぅ…うわぁぁぁぁん!!」
赤DQN「泣いて許されるとでも思うんじゃねぇぞ、ダニが!!」テクテク
幼女「あぁぁぁぁぁん!!」
赤DQN「…」
赤DQN「…何にもねぇな」ゴソゴソ
赤DQN「ちっ…あたしの食いかけでいいか」テクテク
赤DQN「おい」
幼女「ぐす…ひっく…」
赤DQN「…怪我、なかったか?」
幼女「うぅ…」コクリ
赤DQN「そうか…ほれ」グイ
赤DQN「食えよ、超うめぇぞ」
赤DQN「さっきこれ見てたんだろ?」
幼女「…」
赤DQN「いらねぇのならあたしが食っちまうぞ」
幼女「…もぐもぐ」
赤DQN「…」
赤DQN「なんというか、悪かったな」
幼女「もぐもぐ」
赤DQN「食うのに夢中かよ…まぁいいや」
赤DQN「色々あって虫のいどこが悪かったんだよ」
赤DQN「お前は何もしてないのに蹴るのはいけなかったな」
幼女「…」クイ
赤DQN「あ?」
幼女「おいしかった」
赤DQN「ミートパイの感想かよ…」
赤DQN「ほれ、家まで連れてってやるからちゃんと歩け」
幼女「…ん」ギュ
幼女母「わざわざすみません」ペコペコ
赤DQN「心配するぐらいなら野放しにすんな」
幼女母「はい…すみませんすみません…」ペコペコ
赤DQN「いつまでもペコペコしてんじゃねぇよ!もう行くからな!」
幼女「おねちゃん」クイ
赤DQN「あ?なんだよ」
幼女「おいしかった」
赤DQN「また飯の感想かよ!?もういいっての!!」テクテク
幼女母「あなた、何か食べ物もらったの?」
幼女「みぃとぱい」
幼女母「ミートパイ?」
名前は響きだけで付けた。
今は公開している。
ではまた明日。
狼「やぁ」
赤DQN「てめぇはさっきの獣じゃねぇか」
狼「さっき聞き忘れたんだけどどこか行く途中なのかな?」
赤DQN「あぁ、ばあさんの所にコレ届けにな」
狼「あ、そうなんだ」
赤DQN「それより他に何か食いモン持ってないか?」
赤DQN「腹減ってんだよな、あたし」ポンポン
狼「はぁ」
赤DQN「『はぁ』じゃねぇよ、とっとと食いモンよこせって言ってんだ!」グイッ
狼「ひぃ!?これならあるけどこれは…」スッ
赤DQN「あるならさっさと出しとけよ!」バッ
赤DQN「蜜付けのパンか…うめぇな」モシャモシャ
狼「女の子にしてはワイルドだね…」
赤DQN「あぁ?」
狼「な、なんでもないよ…」
狼「えとねちょっとだけ残してて…」
赤DQN「あーうまかった」
狼「うぅ…」
赤DQN「そんじゃなー」テクテク
狼「ボクのおやつが…ぐすん」
赤DQN「思ったより遠いなババアんち…」
赤DQN「さっきの獣にパシらしゃよかったか」
ドスン!!
赤DQN「でっ!?」
少女「ご、ごめんなさい…ぼーっとしてて…」
赤DQN「気をつけろタコ坊主!」
少女「坊主じゃないんですけど…タコでも…」
赤DQN「んなのどうでもいいんだよ!いてぇだろがよ?!」ドンッ
少女「すみません!」ペコペコ
赤DQN「大体小娘がこんなあぶねぇところで一人とか馬鹿じゃねぇの!」
少女「あ、あなたもわたしと年が変わらなさそうだけど…しかもかわいいし」
赤DQN「うるせぇ!テメェよりは防衛手段持ってるわ!!」
赤DQN「大体テメェみたいなひよっこがウロチョロできる所じゃねぇよここは」
赤DQN「変なのに捕まって○○○されてもしらねぇぞ」
少女「その○○○何が入るんですか?」
赤DQN「メタ発言してんじゃねぇ!!」
赤DQN「さっさと消えろよ、てめぇの身のためにもな」
少女「あ、わたし白雪って言います」
赤DQN「名前なんか聞いてねぇ!?さっさとどっか行け!!」
白雪「迷子なんです」ニッコリ
赤DQN「笑顔で迷子宣言してんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
赤DQN「…」
白雪「♪」
赤DQN「何ついて来てんの?」
白雪「あなたなら帰り道知ってそうだったので」
赤DQN「あたしは町の方へ帰るでもないし、ついてきたってお前は帰れない」
白雪「きっとあなたなら何とかしてくれるかと」
赤DQN「無理、これ以上ついてくるなら盗賊あたりにお前を引き渡す」
白雪「わたし売ってもお金になりませんよ?」
赤DQN「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
白雪「どうしました?カルシウム不足ですか?お魚とか食べたほうがいいですよ」
赤DQN「てめぇが刺激与えてるだけじゃぁぁぁぁぁぁ!!」
一方その頃――
狩人「…女の子なんかどこにもいねぇじゃねぇか」
狩人「崖に落ちてたことにして帰るか…」トボトボ
白雪「?何か歌が聞こえてきませんか?」
赤DQN「あん?」
小人1「かっわいいこはいっねーがー♪」
小人2「かわいい子と言っても皮が健康的とかじゃないよー♪」
小人3「お前アホだろ♪」
小人4「アホの塊♪」
小人5「塊魂って言うのが昔あったよね♪」
小人6「やったことないわー♪」
小人7「お前ら帰って来い、現状を把握しろ」
赤DQN「なんだこれ…」
小人(以下略)「なんだおみゃーは、ってかぁ♪」
小人「そうです、私が変な小人さんです♪」
小人「変な小人はただの小人♪」
小人「キミたちは変な人♪ただの人♪」
小人「せめて疑問形は語尾に?つけろよ」
赤DQN「てめぇらよりはまともだボケ」ジロリ
小人「あら怖い♪おしっこちびりそう♪」
小人「2、3滴ちびったなんて言える筈がない♪」
小人「とりあえずパンツ洗って出直せ」
赤DQN「明らかに一匹だけ空気が違うヤツがいるな…」
小人「時に迷子か、お嬢さん方」
白雪「そうなんですよ、町へ帰る道知ってますか?」
小人「ここを南へー♪893歩でー♪」
小人「こいつらの話は聞くな、適当しか言ってない」
小人「町なら案内できる……が、条件がある」
赤DQN「ダルそうだな」
小人「そう言うな、世の中ギブアンドテイクなのだ」
白雪「帰れるなら何でもしますから案内してください!」
赤DQN「おい…」
小人「じゃあついてこい」
赤DQN「…どうしてこうなった」トントントン
小人「ご飯まだー?♪」
小人「?と♪同時は違和感バリバリー♪」
小人「メメタァ♪」
赤DQN「見てねぇで手伝えよ!?」ゲシッ
小人「あぅぅん♪何もしてないのにご褒美とはこれいかに♪」
小人「自分たちでやるとキッチンが暴発するのさ♪」
赤DQN「なんだそりゃぁ!?だからってあたしに食事作らせんなよ!!」
白雪「でもお上手ですね」サッサッ ←掃除中
赤DQN「普段猫かぶってるからこういう事はやってるフリしてたから覚えたんだよ…」
白雪「いつでもお嫁さんにいけますね?」
赤DQN「行く気ねーよ!気持ち悪りぃこと言うな!!」
小人「ほら、もっと早く作って私たちの腹を満たさせてくれ」
白雪「結局、お掃除・洗濯とか色々やっちゃいましたね」キラキラ
赤DQN「何充実したって顔してんだよてめぇは!!」
赤DQN「道ぐらいでここまでしなくていいだろ!あたしまで巻き込みやがって!!」
白雪「でもすごく手際が良かったです」
赤DQN「そんな事はどうでもいいんだよボケが!!」
小人「ふむ、これでしばらくは怠惰に過ごせる」
赤DQN「自分らでやれよこの程度?!あと怠惰と言ったか!?」
小人「こちらの白いお嬢さんだけ案内すればいいのだね?」
白雪「はい、よろしくお願いします」
赤DQN「あたしはもう知らんっ」テクテク
小人「口は悪いがしっかりと仕事してくれたな」
白雪「きっといい人なんですよ」
赤DQN「くそっ…無駄な時間かけた」
赤DQN「って、いつの間にか町まで着てやがるし!?」
幼女「あの…マッチ買ってくれませんか?」
赤DQN「誰だテメェ?」
幼女「マッチ売りです…マッチを…」
赤DQN「今時そんなモンが売れると思ってるのか?」
マッチ「でもライターより安価で手に入るし…」
赤DQN「そういう問題かよ!?」
マッチ「それにほら…すごく暖かい…」シュッ ボゥ
赤DQN「おいやめろ!そんな死んだ魚のような目で火を見るな!!」
マッチ「あぁ…おばあちゃん、迎えに来てくれたのね…」
赤DQN「幻覚見てんじゃねぇよ!?しっかりしろ!!」ユサユサユサ!!
赤DQN「大体そんな格好でウロウロしてると○○○されても知らねぇぞ」
マッチ「その○○○何が入るんですか?」
赤DQN「お前もかよ!?いい加減にしろ!!」
マッチ「すみません、失礼しました……マッチいりませんかぁ…」トボトボ
赤DQN「待てよ」
マッチ「?」クルッ
赤DQN「そんなもん売ってるってこたぁ貧乏なのか?」
マッチ「はい…少しでもお金を稼ぐためにマッチ売ってます…」
マッチ「それにやらないと父に怒られますし…売らないと帰れない…」
赤DQN「…んな寒さで死にそうな格好させてゴミ売らせてる親って興味あるな、会わせろ」
マッチ「え?えぇ…!?」
マッチ「父も忙しいので…」
赤DQN「どうせ家で飲んだくれてんだろうが、連れて行け」
マッチ「でも…」
赤DQN「い い か ら 会わせろや!ぶん殴るぞ?!」
マッチ「は、はいぃ?!こここちらです…」
赤DQN「おう…っと、タバコタバコ」スッ
赤DQN「あ、火がねぇんだった…くそが!!」
マッチ「ど、どうぞ」シュッ ポゥ
赤DQN「お?わりぃな」スゥ…プハァ
マッチ「これぐらいしか取り柄がないので…」
赤DQN「そうか?」
マッチ「え?」
赤DQN(ツラは悪くねぇから服装なんとかすりゃ絵描きのモデルとかできそうだが…)
赤DQN「ここか」
マッチ「はい…でもわたしは…」
赤DQN「来ねぇでいい、あたし一人で十分だ」コンコン ガチャ
マッチ「何をする気なんだろうあの人…」
『…あぁ?!金のためだぁ!?あんなゴミでまともな金なんか作れるか!!』
『やらせるなたぁ言わねぇけどあんな格好だとアイツどうかなっちまうぞテメェ!あぁ?!』
『はぁぁぁぁ?!それでも親か!このゲロナマズがぁ!!』
『こんな豚小屋なんかに帰さすか!あの娘はうちの家族にするからな!!』
『ってぇなおら!テメェが何度殴り倒そうが文句言おうがアイツはうちのもんだボウフラが!!』
『警備隊でも騎士団でももってこいや!負けるのはテメェのほうだがなぁ!!』
マッチ「…」ポロリ
赤DQN「あーいてぇ…」グイッ
マッチ「ごめんなさい…うちの父が…」サスサス
赤DQN「あたしが殴られるのなんて大したこたぁねぇ」
赤DQN「話聞く限りじゃ、お前なんかずっとしばかれてたんだろうが」
マッチ「…」
赤DQN「もうお前をあんなトコに帰さねぇよ」
マッチ「本当にわたしを家族なんかに…」
赤DQN「なんだ聞こえちまってたのか」
赤DQN「お母さんに相談しないといけねぇけど大丈夫だろ」
赤DQN「これでも家ではチョー真面目なんだぜ?まかせとけ、な?」
マッチ「うぅぅぅぅ…」ポタポタポタ
赤DQN「あーもう、こんな場所で泣くなよ…目立つだろうがボケが…」ナデナデ
赤DQN「ただいまお母さん!」ガチャ
母「あらおかえり、早かったわね」
赤DQN「今日から家族が増えるって言ったらビックリする?」
母「…どこで産んできたの?」
母「場合によっちゃその相手には○のプレゼントを送らないといけないことになるけど…」ゴゴゴ…
赤DQN「へ?いや、ちょっと事情があってこの子をさ…」
マッチ「…」モジモジ
母「あぁ、何だ…ソウイウコトじゃなかったのね」
赤DQN(どういう想像してたんだ…産んできたってなんだよ…)
マッチ(このおばさまも怖い人なのかな…)
赤DQN「かくかくしかじかであまりにもひどいからあたしが保護しちゃったんだけど…」
母「なるほどね……ねぇマッチちゃん?」
マッチ「は、はい…」
母「私のことはお母さんと呼んでくれてかまわないわ」
赤DQN「…」
マッチ「わ、わたしなんかが家ぞ…」
母「そんなこと言っちゃダメよ?私達があなたを守ってあげるから」ギュ
マッチ「あ…ぅ、うわぁぁぁぁ…」ポロポロポロ
母「もう辛い思いなんかしなくていいんだからね?」ナデナデ
赤DQN(ほらな?心配なんていらなかったんだって)
赤DQN「結局また行くことになっちまったな…だりぃ…」
狼「あ」
赤DQN「お?」
狼「!!」ダッ!!
赤DQN「おい!待てよゴルァ!!」
赤DQN「はえぇ…なんだありゃあ…」
赤DQN「まぁいいか、さっさと用事終わらせて今度こそ帰ろ」テクテク
狼「あー怖かった…」
狼「あの子ちょっと苦手だなぁ…つい全速力で逃げちゃったよ」
狼「でも言わないといけないことがあるのに…どうしようかな…」
猟師「…」
狼「あ…」
タァーーーーーーン!!
赤DQN「くそ…まだ着かねぇ…」
赤DQN「それに喉がカラカラだ…水ないか…」フラフラ
赤DQN「……水の流れる音!川か?!」ダッ
赤DQN「よっしゃぁ!これで喉を…」ガブガブ
赤DQN「ぷはぁ!こんなに水がうめぇとは思わなかったぜ」
?「どこまで流されるんだろう…」プカプカ
赤DQN「あん?」
赤DQN「葉っぱに何か乗ってやがる」ヒョイ
?「ひゃぁぁぁぁぁ!?」
赤DQN「何だこのちっこいの……人?」
?「食べられるぅぅぅ!!」
赤DQN「しかもしゃべってやがる…」
?「偶然とはいえ助けてくれてありがとうございました」ペコリ
赤DQN「それよかテメェ何モンだよ?親指サイズの人間なんて聞いたこともねぇぞ」
?「自分でも何でか分かりかねますが、どうやら生まれた時からこの姿のようで」
赤DQN「ふぅん…売り飛ばしゃかなりの金が稼げそうだな」ニヤリ
?「ひゃぁぁぁぁぁぁ!?」
赤DQN「冗談だよ、ちんまいくせにうるさいヤツだ」
?「小さいからってなめてかかると怪我なさいますよ?!」
?「この世界には小型の方でも鬼に勝てるほどの猛者がおります」
赤DQN「ふーん」ボリボリ
?「なんという聞く気のなさ…完全に馬鹿にされてますね、私…」
赤DQN「よく分かったな豆小僧」
?「私は女の子です、小僧ではありません」
赤DQN「豆についてはツッコまないのかよ…」
赤DQN「で、豆はどうしたいんだ?あたしゃ暇じゃないんだ」
豆「では、私を我が家へ帰してくださいませんか?」
赤DQN「家知らん、以上、じゃあな」テクテク
豆「こらぁぁぁぁぁぁ!!お待ちなさぁぁぁぁぁぁい!!」
赤DQN「うるせぇな…すり潰して鳥に食わせんぞ」
豆「…大変お忙しいのは承知ですみませんが、道案内をお願いしたいのですけど…」
赤DQN「断る」
豆「丁寧にお願いしてもそれですか!?」
赤DQN「暇じゃないと言っただろうがチビナス」
豆「少し安全な場所に連れて行く配慮もなしとかどうかしてます!」
豆「放置とかどうなのですか!?」
赤DQN「あー分かった分かった!どこへ連れてきゃいいんだ?!」
豆「えとですねぇ…」
赤DQN「…」イライラ
豆「……ここはどの辺りなのでしょう?」
赤DQN「森の中」イライラ
豆「では、町の方へご案内させていただけると助かるのですが…」
赤DQN「また町かよ…うげぇ…」
豆「?」
赤DQN「はぁ…行くぞ」ガシッ
豆「ちょ…もうちょっと優しく掴んでください!痛いです!」
赤DQN「…なぁ?」
豆「…私も気になっていました」
赤DQN「そこの泉に何か立っているよな?」
豆「えぇ、見た感じだと女性のようですけど」
赤DQN「水面に立っている気がしてならねぇんだが…」
豆「明らかに立っていますね…何をすればあんな芸当ができるのでしょうか…」
?「あぁこれですか?」クルリ
赤DQN「うお!?何の前触れもなくいきなり振り返りやがった!!」
?「声は聞こえてましたからね」ニコニコ
豆「結局、何者ですか…?」
?「そちらこそ何者か知りたいですね、おちびさん」
赤DQN「泉の性?」
女神「字が違います」
女神「正確には泉の女神ってところですかね」
豆「神様がここで何をなさっておられるので?」
女神「この辺りは木こりが多くてですね、しょっちゅう斧をこの泉に落とすのですよ」
女神「それを光り物にしてお返しするのがお仕事なのです」
赤DQN「何の意味があるんだそれ…」
女神「売ればそれなりに儲けますよ?」
赤DQN「だったらそんなものより金渡せよ、それかあたしによこせ」
女神「恩恵が受けられるのは木こりのみでした~残念♪」
豆「思ったより軽いノリの神様ですね…」
女神「まぁ冗談はさておき、実際は落とした斧を研磨してお返ししてるだけなんですけどね」
豆「普通にいい人ですね」
赤DQN「それなら本当に何かやればいいんじゃないか?」
赤DQN「質問して正直なヤツにだけ光りモンやるとか」
豆「そんなのできるはずが…」
女神「ふむ…それは悪くないですね、今後その方向でやってみましょう」
豆「できちゃうんだ!?」
女神「金の斧と銀の斧を見せびらかして、どっちがお前のだーってのはどう?」
赤DQN「悪くないんじゃね?」
女神「よっし-、では早速準備してこよっと」ゴポゴポ
豆「結局あの人何がしたかったのでしょうね…こんな浅い泉に沈んでいったし」
赤DQN「ほれ、着いたぞ」
豆「わぁ、予想以上に廃れてますねぇ」
赤DQN「廃れてるとか言うな」
赤DQN「それじゃあたしは行くからな、あぁこれやるよ」チョン
豆「米粒…?」
赤DQN「お前にとっちゃ十分食いごたえある大きさだろ?」
豆「あ、ありがとうございます…」
赤DQN「じゃあな、潰されんなよ」テクテク
豆「口調はすごく悪いけど優しい人でしたね」
豆「お次はツバメさん辺りに道でも聞いてみましょうかね」チョコチョコ
赤DQN「げ、道草食いすぎてもう夕方じゃねぇかよ…」
赤DQN「今度こそババアんとこ行って帰――」ドンッ
少女「いたっ」バラバラ!
赤DQN「どこに目ぇつけとんじゃバラすぞミソ煮込みがぁ!!」
少女「す、すみませんでした…」ブルブル
赤DQN「…なんで震えて土下座までしてんの?」
少女「どうか叩くのだけは許してください…」
赤DQN「やめろ」グイッ
少女「許してください!許してください!!」ペコペコ
赤DQN「…」
赤DQN「何もしねぇからとりあえず落ち着け」
少女「ホント…ですか…?」
赤DQN「それとも嫌と言いながらそういうの求めてる変態なら知らん」
少女「い、いえ…ホントに嫌…です…」
赤DQN「そうか」ヒョイヒョイ
少女「あ、すみません…荷物を拾っていただいて…」
少女「急いでいますのでこれで…」テクテク
赤DQN「待て」
少女「!?な、なんですか…?」
赤DQN「なんてーかお前……少しだけ話しないか?」
少女「いいですけど…」
赤DQN「……継母と姉達からひどい扱いを、ねぇ」
少女「はい…」
赤DQN「今のままでいいのか?」
少女「どうにもなりませんから…ずっとこのままでも…」
赤DQN「じゃあお前はかわいいドレス着たりしたくないのか?」
赤DQN「舞踏会でイケメンと踊ったりしたくないのか?」
赤DQN「そんな夢のひとつぐらい持ってもいいんじゃないか?」
少女「でも…」
赤DQN「でもじゃない、質問してんだ」
赤DQN「答えろ」
少女「できるなら…そういう事…してみたいです…」
赤DQN「そうか」
赤DQN「お前はいいヤツそうだから、きっといつかできるんじゃないか」ニッ
少女「そうでしょうか…?」
赤DQN「見てくれてるやつは見てくれてると思うぜ?」
赤DQN「悪い事の後には良い事は基本だろ」
少女「そう…ですね…希望は捨てないことにします」ニコリ
赤DQN「ふん、いい顔になったじゃないか」
赤DQN「頑張れよ」ドン
少女「ぅあ…」ドテッ
少女「が、頑張ります!では…」タタタッ
赤DQN(また無駄な時間をすごした…)
赤DQN「薄暗くなってきやがった…急ぐか!」タタッ
男の子「!?」
赤DQN「…なんでこんな時間にガキが森にいる?」キキーッ
女の子「あ……おねーちゃんに聞きたいんだけど…」
赤DQN「はぁ?何をだよ?」
男の子「町ってどっちにあるの?」
赤DQN「………知らん」
赤DQN(もう面倒事はコリゴリだ)
女の子「ぐす…帰れないのかなお兄ちゃん…」
男の子「大丈夫だって!ちゃんとパンくず落としながら来たんだからそれを辿れば…」
赤DQN「よくは知らんがそんなモン落とせばすぐ動物に食われてなくなるぞ」
女の子「ひっく…やっぱり帰れないんだぁ…」ポロポロ
男の子「…」プルプル
赤DQN「いや…えと…悪かった…」
赤DQN「こちとら急いでいたんだが、ここで無視すりゃさすがにヒトデナシだわな…」
赤DQN「来いガキ共!しょうがねぇからこの赤ずきんさんが案内してやる!」
女の子「ホント?」
赤DQN「あたしゃ一度決めたことは死んでも覆さねぇ!!」
男の子「ありがとう!」ガバッ
赤DQN「うお!?いきなり二匹そろって抱きつくんじゃねぇよ!蹴飛ばすぞ?!」
赤DQN「ここでいいか?」
男の子「うん!ここまでだったら帰れるよ!ありがとう!」
女の子「ありがとおねーちゃん」ギュ
赤DQN「お、おう…足元に気をつけろよ暗いんだから」バシバシ
女の子「いたた…はーい」
男の子「ほら行こう」
女の子「ばいばーい!」ブンブン
赤DQN「…子供は穢れ知らずでいいな」 ←自分もまだ未成年
赤DQN「はぁ…なんかもう急ぐ気にもならなくなってきた…」トボトボ
赤DQN「もう少しだ…」
ガサガサ
赤DQN「あ?何かいるのか?」
赤DQN「……気のせいか」
赤DQN「森入ってからえらい気配がするんだけどな…」
赤DQN「もう面倒事はやめろよ…あータバコ吸いたい…」
赤DQN「もう必要なかっただろうし、アイツの持ってたマッチガメときゃよかったか」
赤DQN「今日はホント厄日だな…」
ガサガサ
ガサガサガサ
ガサガサガサガサ
赤DQN「着いたか…けど何で明かりついてないんだ?」
赤DQN「ババア寝てんのかもな」
赤DQN「すぅ…おばおちゃん!あたしだよ!」
赤DQN「……おばあちゃん?」
婆「おぉ、よく来たね赤ずきんや」
赤DQN「なーんだ、ちゃんといたんだ?明かり点けるね?」
婆「そのままでいいよ、おばあちゃん光ですぐ目が痛くなってねぇ…」
赤DQN「分かったよ、このままでそっち行くね」トコトコ
婆「あぁ…よーく近づいておいで…」
赤DQN「あれ?おばあちゃん大きくなった?お腹がすごいよ?メタボ?」
婆「…ちょっと食べ過ぎたのかもねぇ」
赤DQN「それに髪の毛がすごくふわふわしてるような…ヅラ?」
婆「この年のわりに多いほうでねぇ…」
赤DQN「それにその口元…」
婆「それはね…赤ずきん…」
「お前を一口で食べるために大きくなってるんだよ!!」
バグゥン!!
赤DQN「…」ズサーッ!
婆?「…む?」
赤DQN「…殺気ぐらい消せよ、クソ獣」
赤DQN「これでもあたしゃ、荒れ事には慣れてるんでね」パキパキ
獣「なんだと…赤ずきんがそんなヤツだなんて聞いてないぞ…」
赤DQN「多分テメェが知ってるのは表側のあたしだけだろ」
赤DQN「本来のあたしはこっちだ」
獣「ふっ…食ってしまえばそんなの関係ないね!!」ガバッ
赤DQN「甘い!」サッ ドスッ!
獣「ふげっ!?」ズサー
赤DQN「立てよ、ババアに成りすましてた罰を与えてやるよ」クイクイ
獣「ふひっ、ババアは骨と皮ばかりでまずくてしかたねぇ」
獣「やはり若い女に限る!」バッ
赤DQN「テメェ、ババア食ったのか!?」サッ
獣「さぁな」バグッ
赤DQN「いっ!やりやがったな!?」ググ…
獣「ははぁ!本気のオレにかなうと思ってるのかぁ?」グジュグジュ
赤DQN「ぐぅぅぅ…!?」ボタボタ
獣「この狼様に人間ごときが動きでかなうとでも思っているのか?!」
獣(以後、狼)「このまま食って味をじっくり味あわせてもらうぜぇ!!」ブチッ!
赤DQN「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」ブシュッ
狼「しかしバカなヤツだ、わざわざ道案内してくれるとはな」
赤DQN「テメェか!ずっとついてきてたのは?!」
赤DQN「しかもあの時とはえらい態度が違うじゃねぇか、態度も体もでかくなりやがって」
狼「ふん、お前だって二面性持ってるじゃねぇか」
赤DQN「うるせぇ…くっ、血ぃ流しすぎた…」ボタ…ボタ…
狼「そんじゃそろそろお食事タイムといこうかね」ガチンガチン
赤DQN「ちっ…このあたしがこんな所で…」
狼「いっただっきまーす!!」ガバッ
ドンッ!!
狼「うおぉぉ!?」ゴロゴロゴロ
赤DQN「なん…だ…?」
?「ま、間に合った…今明かり点けるね」シュボッ
赤DQN「お前は…」
?「大丈夫?噛まれたところ見せて」
赤DQN「暗いから見分けがつかなかったが……それにアイツとは仲間じゃないのか?」
狼「ぐぅ…」フラフラ
?「仲間だけど考え方が嫌いなんだ」ペト
赤DQN「いっ…薬草か」
?「ごめんね、慌ててたからこれぐらいしか用意できなかったんだ」
赤DQN「そんなのどうでもいいが…」
赤DQN「あれだけ怖がらせたあたしの前によく姿を現せれたな」
小狼「はは、本当はこの事を教えようと思って話しかけてたんだけどね」
小狼「コイツがキミを狙っているのは知ってたんだ」
小狼「だから先回りして教えようと思ってたんだけど…」
赤DQN[悪かったな、邪魔ばかりして…]プイ
小狼「でもおばあさんを安全な場所へ移せたから被害は抑えられたんだ」
赤DQN「じゃあババアは…」
小狼「もちろん食べられてなんかいないよ、事前にお家調べておいてよかったよ」
狼「おい…どういうつもりだ小僧が…」
狼「家を調べろとは言ったが、守れとは言ってないんだが?」
小狼「お前なんかに人間は襲わせない!」ブルブル
赤DQN「言ってる事と体が一致してないぞ」
小狼「怖いものは怖いんだもん…」ブルブル
狼「仲間を食うのは初めてだが…」ガチンガチン
小狼「ボクが止めてる間に逃げて!?」ドクドク…
赤DQN「!?お前、背中の傷…!!」
小狼「途中で出会った猟師さんに撃たれちゃった…」
小狼「何とか逃げられたけど急いでたから傷そのままだけどね…」
赤DQN「そんなので勝てるわけねぇだろうが!!」
小狼「ボクはキミを助けられたらそれでいいんだよ…」
狼「よそ見してるとすぐ終わっちまうぞぉ!!」シャッ
小狼「ぐっ!?早く逃げて!!」
赤DQN「お前…くそっ!!」ダダッ
小狼「お前だけは絶対ここから出さないからな!!」ダッ
赤DQN「どうしてあたしなんかをかばうんだあの獣は…」
赤DQN「…」
赤DQN「逃げろって言ったが…あたしが逃げるとでも思っているのか?」ウロウロ
赤DQN「テメェの言うことなんざ誰が聞くかよ」ゴソゴソ
赤DQN「裏側のあたしをなめるとどうなるか教えてやるよゲス獣が…」グイッ
赤DQN「敵前逃亡なんて雑魚のすることだ」ガチャ
赤DQN「食われて腹ん中に入ろうがこじ開けて出てきてやるよ」ガシャコン
赤DQN「まぁもっとも…」
赤DQN「一瞬で勝負は決まるがな、ゲロ以下の存在にしてやんよ」ダダッ
小狼「うあ…」ガクッ
狼「ふん、あっけなかったな」
狼「安心しろ、お前の後にあの人間も一緒に胃の中に収めてやるから」ニヤリ
小狼「させ…ない…」ズルズル…
狼「あばよ!」グイ ガパァ
ダァーーーーーーーーーーン!!
赤DQN「ぐぅ…猟銃ってこんなに使いにくいのか…」ビリビリ
小狼「赤…ずきん…ちゃん?」
赤DQN「おうおう!うちのパシリいじめてんじゃねぇよ!」
狼「くっ……パシリ?」
小狼「ひ、ひどいよぉ…」
赤DQN「悪いがテメェが食えるものはねぇ!」ジャコ
狼「はっはっはっ…そんなへっぴり腰で当てれるのかぁ?」
狼「猟師のほうが数倍怖いな!」
赤DQN「うるせぇゴマ団子がぁ!!」ダァーーーン!!
赤DQN「ガタガタ抜かしてっと……すぐ死ぬぞ?」ビリビリ
狼「すぐ終わるのはお前だがなぁ!!」ガバッ
赤DQN「ふん…」ヒュン
狼「げぇ!?何だこれベトベトしやがる!!」ベチョ
狼「あ?動け…ない…」ネバーネバネバ
赤DQN「猟師が罠として使う粘着トリモチだ、道具なしで剥がすことはまず無理だ」コツコツコツ
狼「こんなもの使うなんてズルいぞ!?」
赤DQN「あ?どういう手を使おうがあたしの勝手だろ」
赤DQN「秒殺だったな?」ジャコ ズボッ
狼「ひゃは!?ゆるひへふははい!!」
赤DQN「ダメだ、あたしはひねくれているからヒトの言うことはきかねぇんだ」ガチャ
狼「ゆる…」
赤DQN「あばよ」
ダァーーーーーーーーン!!
赤DQN「無茶しやがって、ほれ!」ベチョ
小狼「いたい!?…キミが無事ならそれでいいよ」
赤DQN「だからなんであたしなんかを助けたんだ!」ビターン!
小狼「いたいって!?もっと優しくしてよ…」
小狼「あのね、キミは悪い人じゃない」
小狼「おばあさんの所へ出かけてる時いつも見てたんだ」
小狼「困ってる人を放っておかないとてもいい人だった」
小狼「暴言吐いたり色々ひどい事はするけどね」
赤DQN「ただの気まぐれだ…」プイ
小狼「ずいぶん多い気まぐれだね」ニコ
赤DQN「うるせぇ!テメェも鉛玉食いたいのかぁ?!」ジャコ ズボッ
小狼「ひゃんでひょうなりゅのぉ!?」
小狼「その姿を見てるとつい応援したくなったんだ」
小狼「さすがにボクのおやつ奪われたのは悲しかったけど…」
赤DQN「ちゃ、ちゃんと大事にしまっておかないからいけないんだろうが!」
小狼「そうだね」ニコ
小狼「あ、おばあさん迎えに行かないと」
小狼「お部屋も荒らしちゃったから掃除してあげなきゃ…」
赤DQN「あたしが掃除しておくからババア連れてきてくれ」カチャカチャ
小狼「うん!」ダッ
赤DQN「変なヤツだよ…ホント」
赤DQN「そういえば獣の癖にどうやってババア説得したか気になるな…」
小狼「それじゃこれで」
赤DQN「あぁ」
小狼「ボクね、もうこの辺には来ないことにするよ」
小狼「これ以上人間に嫌われたくないしね」
赤DQN「…何でだよ」
小狼「え?」
赤DQN「暇ならいつでも遊びに来いよ」
赤DQN「猟師のおっさんにはあたしが話つけとくからよぉ」
小狼「赤ずきんちゃん…」
赤DQN「いつもじゃなくてもいい、たまにでもいいから遊びに来い」
小狼「うん………遊びに来るね!」
赤DQN「だが、うまいモン持参して来いよ?それが条件だ」
小狼「結局たかられるんだね…」
赤DQN「すっかり月が出るほどの時間になっちまったな…」
赤DQN「さすがにお母さんに怒られるか」
赤DQN「それに…もう一人いるからな、今は」
猟師「おや、こんな時間まで散歩かい?」
赤DQN「げ、変態……消えろゴミ豆腐!!」
猟師「うふぅ~、いいねそのロリ罵倒……すごくそそる」
赤DQN「あ、そだ」
赤DQN「この界隈に小さい狼いるの知ってるだろ?」
猟師「あぁ、今日見かけたが逃げられちまったよ」
赤DQN「悪いがもう手を出さないでやってほしいんだ」
赤DQN「あのな…」
赤DQN「よっしゃー、やっと帰っ…て?」
マッチ「あ、帰ってきた」
赤DQN「えっと、人が来てるけど…これは?」
母「あなたに親切にしてもらったお礼に来てくださったのよ」
幼女母「この説はどうもありがとうございました」
幼女「おねちゃーん」
幼女母「娘がミートパイをいただいたと聞いてここではと思いまして伺いました」
母「うーん、私のミートパイって何でかみんなに人気なのよねぇ…」
赤DQN「そうだったんだ…」
幼女「おねちゃんおねちゃん」グイグイ
赤DQN「ん?」
幼女「おいしかった」
赤DQN「またそれかよ!?もういいだろガキ!!……ぁ」
赤DQN「えっと今のは…」
母「あなたが元々口が悪いのは知ってたわよ」
赤DQN「うそ…」
母「お礼に来る人が口をそろえて口は悪いけどいい子だって言ってたからね」
マッチ「わたしも普通におば…お母さんに話しちゃった」
赤DQN「……お前あとで裏な?」
マッチ「ひぃ!?」
母「でも、そんなのは些細なことよ」
母「寄り道してたのは感心しないけど優しさを忘れないのはお母さん嬉しいわ」
赤DQN「そう?」ポリポリ
母「ほらほら、そんな事よりもうすぐ晩御飯できるわよ」
幼女母「それでは私達はこれで…」トコトコ
幼女「またくるね」ポテポテ
赤DQN「ミートパイ食いに、だろ?」
マッチ「あはは」
赤DQN「準備手伝うよ」
母「よろしくね」
マッチ「わたしも!」
赤DQN「結局、口調どっちがいいんだろう…」
母「実はお母さんも元はそういう口調だったのよ?昔すっごく荒れててねぇ…」
マッチ「完全に遺伝だったんだ…」
赤DQN「どうでもいいよ…」
第一部 終わり
続きまして第二部の始まり~
赤DQN「え?またババ…おばあちゃんの所に?」
母「うん、少しだけ家事をしてきてあげてほしいの」
赤DQN「まぁ…風邪で寝込んでるのなら仕方ないけど…」
マッチ「ホントは『だるっ、コイツにでも行かせときゃいいだろ』って思ってる?」
赤DQN「んー…右手と左手、どっちでドタマ掴まれてほしい?」ペキペキ
マッチ「ひぃ!?」
母「何言ってるの?二人で行ってくるのよ?」
赤DQN「えぇ!!」
マッチ「ほら、行きましょ?」グイ
赤DQN「イヤだ!一人のほうがいい!!」
母「わがまま言わないの、いってらっしゃい」
赤DQN「くそっ…どうしてこんなことに…」
マッチ「いいじゃないですか、二人のほうが楽しいよ?」
赤DQN「こっちは自由が聞かなくて楽しくなんかないわボケ!」
赤DQN「そうだ、あたしが行って来るからお前どこかで適当に時間潰して帰れ」
マッチ「えぇ~!?そんなの楽しくないよ…」
赤DQN「うるせぇ!言うこときかねぇと裸にひん剥いて変態猟師に売り飛ばすぞ!!」
マッチ「変…?それ誰?」
猟師「呼んだ?」ガサガサ
赤DQN「いるのかよ!?帰れ!!」
猟師「君は勘違いしている」
赤DQN「は?」
猟師「ワシが好きなのはロリ顔でロリ罵倒してくれる君以外アウトオブ眼中なのだよ」
赤DQN「知るかぁぁぁ!!消えろキチガイスープがぁぁぁ!!」
赤DQN「もういい…さっさと終わらせよう…」テクテク
マッチ「一緒に行ってもいいの?」
赤DQN「勝手にしろ…」ゴソゴソ
赤DQN「げ、タバコがねぇ…今日は厄日だ…」
マッチ「あるよ」ヒョイ
赤DQN「お?やるじゃねぇか」
マッチ「多分忘れてるんだろうなって思って持ってきておいたの」
赤DQN「んっ」クイクイ
マッチ「?」
赤DQN「火だよ火!さっさとしろ!!」
マッチ「えっと…はい」シュッ シュボッ
赤DQN「ふぅ~…思ったより役に立つなお前」
マッチ「えへへ」
赤DQN「おい…なんだありゃ?」
マッチ「わぁ、お菓子のお家だぁ」
赤DQN「趣味わりぃ家だな…行くぞ」
マッチ「えぇ?もうちょっと興味持ってくれてもいいんじゃないですかぁ?」
赤DQN「菓子でできた家とかきめぇだけだろ」
マッチ「おいしそうなのに…ちょっと味見してみよっと」
赤DQN「おい!寄り道すんな!?あたしは早く帰りたいんだよ!!」
マッチ「あ、すごくおいしい!」ポリポリ
赤DQN「そんなものよく食え――」グゥー
マッチ「一緒に食べよう?お腹すいてるのなら」ニコニコ
赤DQN「ちっ…少しだけだぞ…」
赤DQN「こりゃクソうめぇ!」ガツガツ
マッチ「女の子がクソとか言っちゃだめだよ…」
赤DQN「しっかしよぉ、これ絶対罠だろ?」モシャモシャ
赤DQN「こんな都合のいいもん転がってるはずねぇよ」バクバク
マッチ「とか言いながらすっごい食べてるし…」
赤DQN「こんなチャンス人生でそうないだろ?今のうちに堪能しとかねぇと」
魔女「おやおや、誰だい?人のお家を食べてるのは」ガチャ
マッチ「あっ!?」
赤DQN「やべぇ!ずらかるぞ!!」
魔女「お待ち、別に怒ってるわけじゃないの」
魔女「そんなに気に入ったならいくらでも食べておいき」ニコニコ
マッチ「え?いいの?」
魔女「あんなにおいしそうに食べてくれてると作ったかいがあったって思えるさね」
赤DQN「よっしゃー!なら遠慮なく食っちまうぜ」ガツガツ
魔女「あぁ、たーんと食うがいいさ…ヒヒッ」
赤DQN「んむ…腹いっぱいになっていつの間にか寝ちまってたな…」ムクリ
赤DQN「あ?何でこんなに暗いんだ?何も見えねぇ…」
赤DQN「ここは倉庫か何かか?」サワサワ
赤DQN「おい!誰かいないのか!?ここから出せ!!」ガンガン
赤DQN「出せやゴルァ!!」ドゴォンドゴォン!!
………
魔女「やかましい娘だねぇ」
マッチ「うぅん…」
魔女「やっと起きたかい?ヒヒッ」
マッチ「もうちょっと寝させて…」ゴロン
魔女「再び寝るんじゃないよ!あんたには働いてもらわなくちゃいけないんだ!」
マッチ「一人でやって…」Zzz
魔女「今、あんたの立場分かってんのかい!?起きな!!」ユサユサ
マッチ「よいしょっと…」コネコネ
魔女「そうそう、おいしいものを作ってあんたのお姉ちゃんに食べさせるんだよ」
魔女「そうしてどんどん太らせるのさ、ヒヒッ」
マッチ「あ、そうか…赤ずきんさんって今はわたしのお姉さんになるんだよね」
魔女「ヒヒヒ、もっとおいしそうになってから食べるんだよ」
マッチ「ん?おばあさんって変態なの?」
魔女「そういう意味ではないわ!!食料的な意味のほうだよ!!」
マッチ「あ、そうなんだてっきりわたしは…」
魔女「いいから早くお作り!」
魔女「そしてあの子に食べさせるんだよ!」
マッチ「ご飯食べるなら一緒に食べたほうがおいしいのに…」
魔女「いや、だからそういう問題では…」
赤DQN「出せやぁぁぁぁぁぁ!?」ドゴォンドゴォン!!
赤DQN「くあー、軟禁されたままだが飯付きってのは悪かないねぇ」
魔女「どれどれ、そろそろいい感じに太ってきているか指を見せておくれ?」パカッ
赤DQN「ほれ」シュッ ブシッ
魔女「ぎゃぁぁぁ?!目が!目がぁぁぁぁぁ!?」ゴロゴロゴロ
赤DQN「顔近づけてくるのが悪い、こちとら見えてねぇんだ」
マッチ(絶対わざとだ…)
魔女「くぅ…変な子ばかり連れてきてしまったのぉ…」
魔女「目をつけてた兄妹が森へ来なくなってしまったのが誤算だったわい」
魔女「ほれ、もっと作って食べさせな!」
マッチ「もう材料ないよ?」
魔女「は?」
マッチ「お姉ちゃんよく食べるから全部使っちゃった」
魔女「なん…じゃと…」
マッチ「もう帰りたいんだけど…まだ用事も終わってないし…」
魔女「帰れると思っているのかい!あんた達はワタシに食われると言ったろう!」
マッチ「そ、それじゃあおばあさん倒して帰っちゃうんだから!」
魔女「ヒヒッ、あんたみたいなヒョロヒョロの小娘に何ができるってんだい」
マッチ「わたしは…魔法が使えるんだ!」
魔女「ふぅん、だったら見せておくれよ?その魔法とやらをね!」
マッチ「よぉし、いくぞぉ…ファイアスティック!!」シュボッ ポイ!
魔女「……ただマッチ擦って投げつけてるだけじゃないのかい?」
マッチ「くらえ!えいっえいっ!!」シュボシュボポイポイ
魔女「もういいわ…あんたを先にいただこう、この釜の中に放り込――」
グシャァァァァァァァン!!
赤DQN「さすがにもう付き合いきれねぇよ人食いババァ」ガラガラ
魔女「ひっ!?あの頑丈な鉄の扉を壊したじゃと…」
赤DQN「あたしが普通の少女じゃなくて残念だったな?覚悟しろよ」バキベキ
魔女「」グツグツ
赤DQN「ババァ鍋の完成だ、誰も食わねぇけどな」パンパン
マッチ「頭から突っ込むなんてかわいそう…」
赤DQN「じゃあお前が代わりになってみるか?」
マッチ「やだよ!?」
赤DQN「それじゃ行くぞ」ヒョイヒョイ
マッチ「何拾ってるの?」
赤DQN「あ?高そうな宝石とかゴロゴロ転がってやがるからもらってやるんだよ」
マッチ「それドロボーじゃ…」
赤DQN「もう持ち主は鍋の材料だから問題ないだろ」
マッチ「確かにそうだね、わたしも拾う!」ヒョイヒョイ
男の子「あ」
赤DQN「あぁ?」
マッチ「いきなり小さな子を睨みつけるのはどうかと思うよ…」
女の子「この前のおねえちゃんだ」
赤DQN「誰だっけか…」
女の子「迷ってる時助けてくれたでしょ」
赤DQN「あぁ、そんな事あった気もするわ」
マッチ「ホントに色んな人助けてるんだね」
赤DQN「うっせぇ!」バシッ
マッチ「いたい!?」
赤DQN「で、今度はどういう面倒事抱えてんだ?ガキども」
男の子「べ、別に何も…」
女の子「そうだよ、お腹すいてるわけじゃないよ…」
赤DQN「家に帰って食え、以上」テクテク
マッチ「も、もうちょっとお話聞いてあげようよ…」
マッチ「それじゃあお家も貧乏で食べるものもちゃんと買えないんだね」
女の子「うん…」
男の子「だから森で何か食べられるもの探してたんだ」
赤DQN「…親はどうした?」
男の子「お父さんはお仕事、お母さんは…」
女の子「でもでもお父さんもすごく疲れた顔してたの…」
赤DQN「もってけ」ドサッ
男の子「これ…宝石?」
赤DQN「それだけありゃ当分は飯に困らないだろ」
男の子「でも…」
赤DQN「どうせあたしのですらない物だ、気にせずとっておけ」
マッチ「じゃあわたしの持ってるのも…」スッ
赤DQN「それは持っとけ」ドスッ
マッチ「おえぇ…なんでお腹…殴るの…」
マッチ「どうしてあそこまでしてあげたの?」
赤DQN「あの顔見ただろが、あのまま放っておいたら飢え死んでいたぞ」
マッチ「でもお父さんが仕事してるって…」
赤DQN「頭悪いのか?仕事しててもガキがああなるってこたぁ」
赤DQN「収入だけじゃやっていけてねぇんだよ、ボケ」
マッチ「そうだったんだ…あれ売っていっぱい食べられるといいね」
赤DQN「あとはあれ売るなりしてどうにかするだろう」
赤DQN「じゃあ今度こそババァんとこ行くぞ」
マッチ「うん、こっちだよね?」
赤DQN「違う、こっちだ」
マッチ「そうだっけ?」
赤DQN「こっちから歩いてきただろうが、てめぇの頭はボケ老人以下か」
マッチ「そこまでひどくないよ…」
マッチ「ホントにこっちで合ってたんだよね?」
赤DQN「…」
マッチ「海が見えるんだけど…」
赤DQN「んな顔するんじゃねぇ!間違えたんだよ!悪いか?!」
マッチ「そりゃ悪――」
赤DQN「よし、来い」ガシ
マッチ「いたいいたい!どこ行くの!?」ズルズル
赤DQN「お前を砂浜の海水が浸るギリギリの所に埋める」
マッチ「やめて!?」
??「やめなさい!」
赤DQN「あぁん?誰だ?」
??「こっちです!」
赤DQN「今度はどんな面倒なヤツだ…カニか?」キョロキョロ
??「カ、カニじゃありません!こっちだと言ってるでしょう!」
マッチ「お姉ちゃんあっち」
赤DQN「あ?」
人魚「弱い者をいじめてあなたには心がないのですか!」
赤DQN「魚じゃねぇか、カニと何が違うってんだ」
人魚「全然違います!!」
赤DQN「あといじめではなく躾だ」
マッチ「躾で砂浜に埋められるって…」
人魚「躾だかしば漬けだか知りませんが許せません!」
人魚「そこを動かないでくださいよ!」バシャン ズリズリ
赤DQN「おい、人魚が地上を這って出てきたぞ」
マッチ「動くなって言ってるけど動けないのこの子じゃ…」
人魚「んーっ!んんーっ!!」ズリズリ
人魚「はぁ…ひぃ…」グッタリ
赤DQN「ただのアホの子だったか」
人魚「誰がアホの子ですか!?」ガバッ
赤DQN「そもそも出てきてあたしになにするつもりだったんだよ?」
人魚「二度といじめができないように説教…を…」ガクッ
赤DQN「おい、動かなくなったぞ」
マッチ「ホントだ、大丈夫?」チョンチョン
人魚「み、水を…」ピクピク
赤DQN「所詮魚か…行くぞおら」
マッチ「でもこの子が…」
マッチ「せめて海に浸かれる所まで行かせてあげなきゃ…」ズリズリ
赤DQN「そんなの放っておけ!こちとらゆっくりしてる暇じゃないだろうが!」
マッチ「で、でも…」
人魚「ひから…びる…」ピクピク
人魚「すみません…助かりました…」
赤DQN「無駄な手間かけさせやがって…」
マッチ「なんだかんだで手伝ってくれたね、お姉ちゃん」
赤DQN「さっさと行きたかっただけだ!」
人魚「あの、失礼ですけどあなた達は姉妹ですか?」
赤DQN「家族だが血はつながってない」
人魚「はぁ、複雑な事情があるようですね」
人魚「でも乱暴は良くないと思います」
マッチ「いつものことだから…」
人魚「でも家族ならもっと仲良く…」
赤DQN「放っとけ、行くぞ」
人魚「もうちょっとお話しましょうよー」
マッチ「ごめんね、しなきゃいけないことがあるんだ」
人魚「ふぇぇぇぇぇぇ!?」
赤DQN「何で海岸沿いを歩かないといけねぇんだよ…」
人魚「だって、そうじゃないとお話できないじゃないですか」パチャパチャ
赤DQN「これじゃ遠回りになるんだよ化け魚が!」
人魚「誰が化け魚ですか!」
マッチ「ま、まぁまぁ…あれ?雨?」ポツ…ポツ…
ザァァァァァ…
赤DQN「マジか!?もうコイツ放っていくぞ!!」
マッチ「え?でも…」
人魚「結局置いてけぼりですか!?まってぇ!?」
マッチ「今度また遊びに行くから!」
人魚「絶対ですよぉ!?」
赤DQN「…」
マッチ「結局雨しのげる場所なかったね…」ビショー
赤DQN「てめぇがトロトロしてるからいけねぇんだよ!!」
マッチ「道間違えたくせに!!」
赤DQN「なんだとチリサンドが!?」ガシッ
マッチ「…」
赤DQN「…随分と反抗的になってきたじゃないか」バッ
マッチ「お姉ちゃんのおかげでね」ニコ
赤DQN「ふん…元の道に戻ったからこのままババァんとこ急ぐぞ」
マッチ「うん」
マッチ「ところで向こうに光ってるのなんだろう?」
赤DQN「あ?」
マッチ「ほら、あそこの泉」
赤DQN「まさか…」
女神「そのまさかよお嬢さん!!」バッ
女神「久しぶりね、元気してた?」
赤DQN「見てのとおりだ、そっちはどうなんだ?」
女神「聞いてよー、あれからまた斧落とすきこりいたんだけどさー」
女神「例の質問しかけてみたわけよ?」
赤DQN「で、結果は?」
女神「正直に落とした斧を選んだから金と銀の斧あげようとしたんだけどさぁ」
女神「『そんなもんいらんからあなたをくれ』って言われちゃったわ」キャッ
赤DQN「はぁ?」
女神「高価なものよりこの可憐な私を選んだのよその男!すごくない!?」
マッチ「えっと…おめでとうございます…?」
赤DQN「答えるな、行くぞ…」テクテク
女神「こらぁ!話を聞いてよー!!」
赤DQN「はいすごいすごい…これでいいか?」パチパチ
女神「むきーっ!!」
赤DQN「……おい」
女神「ん?」
赤DQN「何で出てきてんだよ、泉に沈んで二度と出てくんなや」
女神「例のきこりさんのところに遊びに行くんだぁ」
マッチ「でもなんでわざわざわたし達の行く方向へ?」
女神「ほら、この純白で清楚な私を変な虫から守ってくれるかなと?」
赤DQN「自分の身は自分で守れ」
赤DQN「女に守らせるな」
マッチ「悪いお婆さんを鍋に放り込めるほど強いくせに…」ボソッ
赤DQN「あ?何か言ったか?」ズドッ
マッチ「おえぇ!?今度は鳩尾をぉぉぉ…」デロデロ
女神「あら鬼畜」
赤DQN「鬼畜言うな!コイツが悪りぃんだよ!」
赤DQN「さっさと行くぞおら!」ゲシッ
マッチ「あぅ、ひどいよぉ…」
女神「それじゃあお家こっちだから、じゃあねー」パタパタ
赤DQN「結局ずっと着いてきやがったなあのアマ…」
マッチ「でも街まで来れたからもうすぐじゃないの?」
赤DQN「普通に来るよりは遠回りしてるがな」
マッチ「それじゃ急がないと真っ暗になっちゃうね」
赤DQN「走るぞ」ダッ
マッチ「待ってよ!」ダッ
マッチ「ところでお姉ちゃんって何でいつもサボらずやることはしっかりやってるの?」
赤DQN「ったりめーだろ、表向きは明るく真面目な少女演じてんだから」
マッチ「もうずっと裏のままな気も…」
赤DQN「あ?」スッ
マッチ「ごめんなさい!もう変なこと言わないからお腹だけは!?お腹だけはぁぁぁ!!」
赤DQN「ふん…行くぞ」クルッ
マッチ「あ、あれ?殴られなかった…」
赤DQN「…」ジー
マッチ「どうしたの?」
赤DQN「近くに何かいやがる」
マッチ「え?動物さんとかじゃなくて?」
赤DQN「分からん…ちょっとそこ動くな」トトト…
マッチ「う、うん…」
赤DQN「こっちか…誰だ!出て来いやゴルァ!!」ドガッ!!
??「おぉ!?な、何事じゃ!?」
赤DQN「そこでコソコソ何やってんだジジ…ィ…」
??「ふむ、こんな所に娘とは珍しいのぅ」ムクリ
??「どれ、私の話を少しでもいいので聞いてくれぬか?」プラプラ
赤DQN「ぎぃぃぃえぇぇぇぇぇぇ!?!??」ドタドタドタ!!
マッチ「どうしたのお姉…」
??「おぉ、また別の娘もおったか、少し話をしようぞ」ピタンピタン
マッチ「へ、変態だぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!!!?」ドタドタドタ!!
??「…すまぬ」ボロボロ…
赤DQN「テメェ…女でしかも子供の前でふざけた格好してんじゃねぇよ!?」
マッチ「悪気がなくても全裸で迫られたら怖いよ…」
??「これには訳があるのじゃ…」
赤DQN「ほぉ~、一応言い訳ぐらい聞いてやるよ」
赤DQN「その後そのきたねぇモンぶっ潰してやるけどな」
??「本当にすまんかった…!!」ペコペコペコ
マッチ「何だか可哀相になってきた…話ぐらい聞いてあげようよ」
赤DQN「ちっ…しゃあねぇな」
??「まず私はある国の王なのじゃ」
赤DQN「ぷー!いきなり大ボラかよぉ?!」
王様「いや、本当じゃ」
マッチ「ボラって何?魚?」
赤DQN「それがマジボケなら今度は殴るわ」バキバキ
マッチ「えぇぇぇっl?」
王様「私は服が好きでな、毎日何着も着替えては皆に見せびらかしておった」
王様「だがある日、世界一美しい服を作るという男が現れてだな」
王様「そやつにまぬけには見えない服とやらを作らせ着てみたのだが…」
王様「そんな服なかったのだよ!服を着たと思っておった私は裸であったのだ!」
赤DQN「で?」ホジホジ
マッチ「また適当に話聞いてる…」
王様「その後しばらく城に閉じこもっておったのだがある日あることに気づいたのだ」
王様「裸でいるのって気持ちいいものだと!!」
赤DQN「結局変態じゃねぇかよ!?」バキャ!
王様「ぐふ…そうして隙を見て裸のまま城から抜け出し今に至るというわけじゃ」
赤DQN「付き合いきれんな」テクテク
マッチ「ごめんなさい、わたし達行きますね…」テクテク
王様「ま、待ってくれ!本当はこのままはイヤなのじゃ!!」
赤DQN「こっちはテメェの存在がイヤなんだよハゲ!!」
王様「頼む!服を!服をくれないか?!」
王様「外に出てさすがにやってることがおかしいのには気づいたのじゃ!!」
マッチ「どうする?服買うなら町に戻らないといけないけど…」
赤DQN「んな金あると思うか?」
マッチ「さすがにないね…」
赤DQN「荷物にババァが裁縫するために持ってきた布ならあるが」ゴソゴソ
マッチ「さすがにわたしはお洋服なんて作れないよ…」
赤DQN「できないこたぁないが時間も道具もなさ過ぎる」ポイッ
マッチ「できるんだ…お姉ちゃんってこんなでも女子力半端じゃないね」
赤DQN「なんだ女子力って?」
マッチ「そ、そんなことよりどうしよっか?」
赤DQN「どうしようもあるかよ…無駄に面倒事引き受けたお前が悪いんだぞ」
マッチ「だって可哀相だったし…」
赤DQN「くそっ、こうポンッと叩いたらできたりすりゃいいの…な…?」ポフン
マッチ「あ、服だ」
赤DQN「なんだかよく分かんねぇけど服あったぞ」ピラッ
王様「おぉぉぉ!よくやった娘よ!!」ガバッ
赤DQN「こっちくんなブタダルマが!?」バキャ
王様「げふ…これで帰れるわい…」ゴソゴソ
マッチ「向こうで着替えてください!?」
王様「おぉ、すまぬな…」ガサガサ
赤DQN「結局あの服はどこから出てきたんだ?」
マッチ「そういえば持ってきてた布が半分ぐらい減ってたよね?」
マッチ「もしかして小さい小人さんが現れて一瞬で作ってくれたとかかな…」
赤DQN「お前がバカなのは知ってたがそこまでだとは思わなかったよ」
マッチ「えぇっ!?でも普通じゃ考えられないことだもん!」
赤DQN「あーはいはい、小人さんが作ってくれたことにしましょうね」ポンポン
マッチ「もぉ…!!」
王様「着替えたぞ…って、なんか嫌な空気になっておる…?」
赤DQN「もう何があっても関わらんぞ」
マッチ「分かってるよ、さすがに時間がなくなっちゃうしね」
赤DQN「と、言ってももうババァんちは目の前だがな」
マッチ「ここだったんだ…」
赤DQN「そんじゃ入るか…おばあちゃーん、あたしだよ!」
婆「おぉ赤ずきんや、よく来たね」
婆「お客さん来ているけど気にしないで入っておいで」
赤DQN「はーい…って!?」
小狼「やぁ」
赤DQN「何でここに!?」
小狼「何でって言われてもね…」
婆「この前以来よく家に遊びに来てくれるんだよ」
赤DQN「そうだったのか…じゃないや、そうだったんだ」
婆「赤ずきんも知っているじゃろ?この子はいい子なんじゃ」
赤DQN「いや確かに悪いヤツ…悪い子じゃないのは知ってるけど…」
マッチ「あの…」モジモジ
婆「おや?この子は?」
赤DQN「おばあちゃんに紹介してなかったね、この子うちの家族になった子なんだ」
婆「おやおやまぁまぁ…こっちへおいで」
マッチ「はい…」トコトコ
赤DQN「…」ガチャ
小狼「ボク、そろそろ帰るね…」パタン
婆「おやおや、いきなり二人きりにされちまったね」
マッチ「わ、わたし…」
婆「どういう理由でそうなったかは聞かないわ」
婆「あの子の家族である以上、あなたも私の孫だよ」ギュ
マッチ「おばあちゃん…」
婆「遠慮なんてしなくてもいいんだよ?」
赤DQN「最近猟師に襲われてないか?」スッ
小狼「うん、見かけても何もしてこなくなったよ」
赤DQN「そうか」パタパタ
小狼「たまに食べ物もくれたりしてすごくいい人もいるんだ」
赤DQN「ふーん」ブンブン
小狼「…ところでその手は?」
赤DQN「おらぁ!!」ゴチン!!
小狼「いだぁ!?」
赤DQN「あたしへの貢物は!?さっきから合図してただろうが!!」
小狼「そ、それで手を出してたんだね…」
小狼「来るって聞いてたからおばあちゃんに渡しておいたよ」
赤DQN「ババァじゃなくあたし専用の持って来いや!!」
小狼「今度キミ用の持ってくるよ、それじゃ帰るね」タッタッ
赤DQN「あ、おい!?」
赤DQN「やっと帰れるか…」
マッチ「えへへ…」
赤DQN「いつまで異世界に飛んでんだ!戻って来いや!」ドスッ
マッチ「えはぁ!?よ、横腹…」
赤DQN「ババァに好かれんのは自由だがきめぇツラしてんじゃねぇよ」
マッチ「だ、だって…えへへ…」
赤DQN「…」イラッ テクテク
マッチ「お姉ちゃん待ってよ!?」タタッ
マッチ「あのね、おばあちゃんにあなたも孫だって言われてね」
マッチ「すごく嬉しくて…」
赤DQN「あっそう」
マッチ「うぅ…ちゃんと聞いてくれない…」
赤DQN(よかったじゃないか…なんて言えるはずもなく…な)
マッチ「あれ?」
赤DQN「…」
マッチ「ねぇお姉ちゃん、どこかから悲鳴みたいなのが聞こえた気がしたんだけど…」
赤DQN「家でガキが騒いでるだけだろ」
マッチ「なんか『助けて』って聞こえる…」
赤DQN「そんな気になるならお前が行け、もう面倒事に関わらんと言ったはずだ」
マッチ「でもでも…!!」
赤DQN「…」
マッチ「うぅ…やっぱり放っておけないよ!」ダッ
赤DQN「おい……マジで行きやがった…」
赤DQN「…」ウロウロ
赤DQN「あたしはもう関わらないと言った…もうあんなヤツ知るか!」
赤DQN「…」ウロウロウロ
赤DQN「はぁぁぁ…早く帰りたいのに…」
赤DQN「今度はゲロじゃすまないぐらいボッコボコにしてやるぞアイツ!!」ダッ
………
マッチ「確かここから声したはず…失礼します」ガチャ
マッチ「あれ?誰も…いない?」
マッチ「荒らされた跡もないしどうなってるんだろう…」キョロキョロ
ガタガタ ガタガタ
マッチ「!?」
子ヤギ「来ちゃダメ!!」ガチャ
マッチ「え?柱時計から子ヤギ…?」
子ヤギ「ボクの兄弟が今さっき狼に食べられたんだ!まだこの辺にい…」
狼「みーつーけーたーぞーっ!!」バァン
マッチ「!?」
狼「お?人間がいるじゃねぇかぁ、全部食えるかなぁ?」
子ヤギ「逃げてーっ!?」
最初の頃は童話絡めるつもりじゃなかったので…
>>21ぐらいまではオリジナルです
マッチ「さっきの悲鳴はそういう事だったんだ…」ジリジリ
狼「ヤギ食う前に人間っつーのも悪くないかなぁ」ガチンガチン
マッチ「この子達が何したっていうの!!」
子ヤギ「…」ガタガタ
狼「うまそうだからいけねぇんじゃねーのぉ?」
マッチ「最低だね!絶対許さないから!」
狼「お前に何ができるってんだぁ?」
狼「何かする前にオレの胃の中だろうけどなぁ!」ガバッ
マッチ「えいっ!」シュッ ポイッ
狼「んぐ…あじゃぁぁぁぁぁ!?」ゴロゴロゴロ
狼「てっめぇぇぇぇ!!」ゲシッ
マッチ「うっ…」ドテッ
狼「マッチなんぞ口に放り込みやがって…頭から食ってやるぜぇ!!」ガシッ クワッ
マッチ「お…おねーちゃぁぁぁぁん!!」
ガシャアァァァァァァァァァァァン!!
赤DQN「おらぁ!!」ズドォ!
狼「ぐへ!?」ズサー
マッチ「あっ…!!」
狼「なっ…なんだてめぇ…?!」
赤DQN「こいつの『姉』だが?」
狼「見た目に反して随分と荒っぽいヤツだなぁ…てめぇから食われたいかぁ!?」
赤DQN「その胃袋に二度と食いモンが入らないように矯正してやんよ」バキバキ
狼「んなことやれるもんならやってみ…ぐぼぇ!?」ズドッ
赤DQN「まず一発」
子ヤギ「うぁ…あ、あれ?食べられたはずなのに…」ドチャ
赤DQN「二発!三発!四発!五発!」
子ヤギs「うわ…」ドチャチャチャチャ
狼「おえ!?げぼぉ!?がふぅ!?」ドスッドスッドスッドスッドスッ
赤DQN「終わりだ……六発!」
狼「っ!?」ドボォ!! ドサッ
子ヤギ「あうっ…」ドチャ
子ヤギ「みんな無事でよかった!ありがとう知らない人!」
赤DQN「これどうするよ?」
マッチ「二度と悪さできないように罰与えておきたいね」
赤DQN「そうだな、じゃあヤギ共!石持って来い!なるべくでかいヤツだ!」
子ヤギs「はーい!」ドタドタドタ
赤DQN「おい、こいつの口を広げるから反対持て」
マッチ「うん」グイー
子ヤギs「持ってきたよ!」
子ヤギs「これどうするの??」
赤DQN「よっしゃ、じゃあこの口にガンガン放り込め」
赤DQN「恨みをこめて叩きつけるように放り込めよ?」
子ヤギs「えいっ!」ゴキャ「えりゃ!」ドスッ「そぉい!」ベキョ
マッチ「うわひどい」
赤DQN「本気でそう思ってないだろ?」
マッチ「えへへ」
赤DQN「じゃああとは川にでも放り込んで終わりだな」
赤DQN「おら、お前らコレ引きずり出すぞ!」
赤DQN「…」ザッザッ
マッチ「…」トコトコ
マッチ「あのね…色々とごめんなさい」
赤DQN「もういいよ」
マッチ「え?」
赤DQN「お前が良かれと思って行動したならそれでいいんじゃね?」
マッチ「お姉ちゃん…」
赤DQN「ほら、帰るぞ」ポン
マッチ「うん!」ギュ
赤DQN「んだよ暑苦しいな、離れろ」グイグイ
マッチ「うわひどい!」
赤DQN「また殴られたいのか?」グッ
マッチ「それはやだよ…」
マッチ「ねぇあれさっきの人魚さんじゃ…?」
赤DQN「いや、どう見ても人間だろあれは」
マッチ「あ、こっちに気づいたみたい」
人魚「!!」タッタッタ
マッチ「やっぱり人魚さんだよ、どうしたのこんなところで」
人魚「…」パタパタクイクイ
赤DQN「おい何しやがる!?引っ張るなボケ!」ゴチン
人魚「…?!」ジワ…
マッチ「すごく痛そう」
赤DQN「用があるなら何とか言えや!」
人魚「…」パクパクパク
赤DQN「てめぇは魚か、何のつもりだ?」
マッチ「もしかしてだけど…しゃべれないの?」
人魚「!!」コクコク
赤DQN「ありえねぇだろ、あの時間に何すりゃしゃべれなくなるんだっての」
人魚「…」バッバッ クイクイ
マッチ「何か訴えようとしてるみたいだけど…」
赤DQN「まったく分からんな」
人魚「!?」ガーン
赤DQN「行くぞ、相手にしてられん」テクテク
人魚「!!」フルフル!
赤DQN「話したいとか言いながらおまえ自身無口とかふざけすぎだろ」
人魚「!!」フルフルフルフル!!
マッチ「首が取れるんじゃない勝手ぐらいに振ってる…」
赤DQN「もう知らん、あたしは帰る…離せ!!」バシッ
人魚「!?……」ズサー ポロポロ
マッチ「おっ、お姉ちゃん…さすがにそれは酷いよ」
赤DQN「ひどいのはそっちだろうが!相手するならてめぇがしろ!」ドカドカ
マッチ「…行っちゃった」
人魚「…」クイクイ
マッチ「うーん…やっぱり伝わらないよ」
人魚「…」シュン
マッチ「じゃあこっちが言うことに答えて?」
人魚「…」コクリ
マッチ「その足は何か特別なことしてそうなったの?」
人魚「…」コクリ チョンチョン
マッチ「えっと…首?あ、声の代わりにってこと?」
人魚「!!」コクコク!!
マッチ「それはどうやって?」
人魚「…」ムーン
マッチ「あー結局先が伝えられないのかぁ…」
人魚「…」ガクリ
赤DQN「…まだやってたのか」テクテク
人魚「!?」ビクッ
マッチ「あれ?帰ったんじゃ…」
赤DQN「ほれ」ポイ
人魚「?」パシッ
赤DQN「魚でも字ぐらい書けるだろ」
マッチ「そっか、それならちゃんと伝わるね」
人魚「…」カリカリカリ
人魚『ガノトトス』
赤DQN「なんだそりゃ?」
人魚『ちゃんと書けるかなって確認を♪』
マッチ「そんなことよりどうしてそうなったかの説明をしてよ」
人魚『ごめんね、説明していくよ』
人魚『199X年、地球は核の炎に包まれた』
赤DQN「真面目にする気ないだろ?」ガシッ グリグリ
人魚「!?」ペコペコ
人魚『と、いうことなんだよ』
マッチ「じゃあその王子様のために声の代わりに足を…」
人魚『そうだよー、どうしても一緒になりたくてね』
人魚『でも王子様は…』
赤DQN「今から行っても間に合わねぇかもな」
人魚「…」グスグス
赤DQN「ちっ…ここで待ってろ」ダッ
マッチ「どうするんだろう…」
「不法侵入者だー!?」 「何か叫びながら城の中へ入って行ったぞ!!」
「王子様の所へ行く気だ!止めろ!? 「もう50の兵士がなぎ倒されたぞ!!」
「この娘…何がしたいんだぁ!?」
赤DQN「どこだ王子ぃぃぃぃ!!」ドタドタドタ!!
赤DQN「も、戻ったぞ…」
マッチ「あ、お帰りおね…誰?」
王子「」ズルズル
赤DQN「抵抗しやがるから気絶させてきた」ポイ
王子「」ベチョ
人魚「!!」
赤DQN「こいつだろ?探してたの」
人魚『うん、間違いないよ』
赤DQN「だが思ったが、本当にこれでいいのかよ?」
人魚『え?』
赤DQN「もし人魚の時助けたと伝えられても信じてくれるかどうかって所だな」
人魚「!?」
マッチ「じゃあどっちにしろ…」
赤DQN「多分な、どう足掻いても結末は散々な結果だろうな」
赤DQN「まぁどうするかは自分で決めろ」
人魚「…」トボトボ
マッチ「あ、王子様とお話終わったの?」
人魚『うん、一応は信じてくれたみたい』
赤DQN「だが帰って行ったようだが?」
人魚『帰ってもらったんだ』
マッチ「でも全部話したんでしょ?なのに何もなかったの?」
人魚『もういいんだ…』
赤DQN「お前がいいならあたしは何も言わねぇ」
人魚『無駄なことさせてごめんね』
赤DQN「いい運動になったからかまわねぇよ」
人魚『キミは面白いねホント』ニコ
マッチ「これからどうするの?」
人魚『お姉さん達に迎えに来てもらおうかな』
人魚『帰れるかどうかも分からないけどね、ちょっと呼んでくるよ』トコトコ
マッチ「え!?王子様をナイフで殺さないと人魚に戻れない!?」
人魚「…」コクリ
赤DQN「そういうオチだと思ってたわ」
マッチ「そんなの酷すぎるよ!?」
人魚『そうしないと魔女にかけてもらった魔法が解けないんだって』
赤DQN「あーあーよくできた魔法だな」
赤DQN「で、王子やっちまうのか?」
人魚『できるわけないよ』
マッチ「じゃあ人魚さんは…」
赤DQN「助かるかもしれない方法がひとつあるって言えばどうするよ?」
人魚『教えて!?』
赤DQN「『かもしれない』だぞ?いいのか?」
人魚『もう他にできることはないんだ!だからお願い!!』
赤DQN「てめぇの覚悟は分かった、ついて来い」
マッチ「森の奥まで来たけどここは…」
赤DQN「ここだ」
人魚『ただの小さな泉に見えるよ、ここでどうするの?』
赤DQN「こうするんだ」ドガッ
人魚「!?」ドッボーン!!
マッチ「お姉ちゃん何してるの!?人魚さんが!!」
赤DQN「そろそろくるぞ」
マッチ「え?」
女神「…まさか生き物放り込まれるとは思わなかったわ」バシャン
マッチ「あ、途中で会った人だ」
女神「で、何が目的でこの子落としたの?」ヒョイ
人魚『…』プラーン
女神「さすがに生き物はチェンジできないわよ?」
赤DQN「そのものじゃなく部分だけ変えたりはできねぇのか?」
女神「無理」
赤DQN「変えろや」ヒョイ
女神「ちょ!?話聞くからその岩投げ落とそうとするのやめてよ!?」
女神「確かに人間とは違うオーラは出てるわ」
マッチ「そんなの分かるの…?」
女神「一応女神って名前は伊達じゃないわよ」
赤DQN「で、解決できんのか?」
女神「無理」
赤DQN「…」
女神「やめってって!?そんな生ゴミどこから持ってきたの!?」
女神「私ができるのは二つの選択肢を選ばせるだけ」
女神「と、いうわけでお嬢ちゃん」
人魚『はい?』
女神「あなたがほしいのは愛する王子様?それとも人に伝えることのできる声?」
人魚『…いいえ』
人魚『元の何もなかった日常です』
女神「…そう、あなたは正直ですね」
女神「だからあなたに『元の日常』をあげましょう」カッ
人魚「…え!?」グニョーン
マッチ「それじゃ海へ帰るんだね?」
人魚「うん」
赤DQN「まったく人騒がせな魚だったな」
人魚「いやぁめんごめんご」ピチピチ
赤DQN「三枚におろしてポン酢かけて食うぞ……こいつが」
マッチ「えぇぇぇ!?何でわたしが!そんな事しないから!!」
人魚「やっぱりキミ達最高!また話しに来ていいかな?」
赤DQN「うっせぇ、帰って死ぬまで海の中で幸せの絶頂で死ね!」
人魚「あはは、そうするよ」
マッチ「また遊びに来てねぇ」
人魚「うん!まったねぇ!!」ジャポン
赤DQN「はぁ~あ、帰るか」
マッチ「そうだね」
マッチ(お姉ちゃんは相変わらずだなぁ)
マッチ「すっかり暗くなっちゃったね」
赤DQN「しゃあねぇだろ、あれだけ寄り道してりゃな」
マッチ「急いで帰らないでいいの?」
赤DQN「もう諦めた」
赤DQN「ちょっと町のほうに寄るぞ」
マッチ「え?何かいるものでもあるの?」
赤DQN「なんか食って帰ろうぜ」
マッチ「でも帰ったらお母さんが晩御飯作って待ってるよ?」
赤DQN「そんな重いもん食うつもりはねぇ、普段食わないヤツ食ってみたいだろ?」
マッチ「お姉ちゃんがやけに優しい…」
赤DQN「…悪いか?」
マッチ「うぅん、なんだか嬉しい」
赤DQN「じゃあ行くか……?」ピタ
マッチ「お姉ちゃん?」
赤DQN「あのガキ、何してると思う?」
マッチ「え?…うわ、裸だよ!?」
赤DQN「最初の頃のお前よりひどいな」
マッチ「う…あの時は…ごにょごにょ」
赤DQN「ちょっと話してくるわ」
マッチ「え、ちょっと待ってよ!」
赤DQN「おい、ガキ」
少女「え…?」フラフラ
赤DQN「何でこんな所で裸なんだ?」
少女「ほしいって人がいたのであげちゃいました」ニコ
赤DQN「は?」
マッチ「でもそれだとキミが…」
少女「大丈夫です、それじゃ行きますので」テコテコ
赤DQN「そういう問題じゃねぇよ…おい待てこら!?」
赤DQN「この先は丘だが…」
マッチ「あの子に一体何が…」
赤DQN「たまにいるんだよ周りの他人が良ければ自分はどうでもいいってヤツが!」ダッ
赤DQN「はぁはぁ…思ったより足速いな…どこ行った?」
マッチ「お姉ちゃんあそこ!」
少女「…」
赤DQN「おい、ちょっと聞け」
少女「あ、何か降ってきた…」
赤DQN「は…?」
マッチ「何も降ってないけど…」
少女「銀貨だよ!わぁ…いっぱい!!」
赤DQN「い、いやいや!てめぇは何を言ってるんだ!?」
少女「これもらっていいのかな…?」ゴソゴソ
赤DQN「おい…やめろ…おい…」
マッチ「この子…」
少女「こんなにあったらわたしお金持ちになっちゃうなぁ」
赤DQN「やめろっつってんだろ!!」グイッ
少女「…え?」
赤DQN「お前には何が見えているんだ!」
赤DQN「空からは何も降ってねぇし、拾ってるそれは銀貨なんかじゃねぇ!」
赤DQN「ただの枯れ葉だ!よく見てみろ!?」
少女「…銀貨だよ?ほら」カサ
赤DQN「違うっつってんだろうがぁ!しっかりしろ!?」ユサユサ
赤DQN「目を覚ませぇ!!」
バシン!!
少女「あ…」
赤DQN「ここに来るまで何があったかこの赤ずきんさんに話してみろ」
赤DQN「今だけ何でも聞いてやる」グイ
少女「あ…あぁ…」
少女「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ…」ポロポロポロ
マッチ「じゃあお父さんとお母さん死んじゃってからずっと一人で生きてきたんだね」
少女「…」グスグス
赤DQN「頼れる大人はいなかったのかよ?」
少女「…」フルフル
赤DQN「それで壊れかけていたのか…」
マッチ「ちょっとでも遅かったら取り返しのつかないことになってたね…」
マッチ「どうしよっか…」
赤DQN「どうするったってお前…」
少女「…」グスグス
赤DQN「とりあえず家に帰るぞ」
マッチ「え!?この子は!?」
赤DQN「連れて行く」
母「なるほどね」
赤DQN「どうしても放っておけなかったんだ」
母「一度ならぬ二度もよその子連れてくるとは思わなかったわ」
赤DQN「ごめん…」
マッチ(あのお姉ちゃんが小さくなって謝ってる…)
母「…ねぇお嬢ちゃん?」スッ
少女「え?」
母「うちの子になる?」
赤DQN「お母さん…」
母「今なら優しいお姉ちゃんが二人ついてくるわよ」
マッチ「お姉ちゃんは優しいかといえば微妙かなぁ」
赤DQN「おい!」
母「ものすごい猫かぶりですものねぇ」
赤DQN「お母さんまで!?もぉ!!」
少女「…」ポカーン
赤DQN「これが我が家だよ」
赤DQN「ちょっと騒がしくてうるさいかもしれないけど」
赤DQN「家族になってみない?」
少女「…」
マッチ「わたしも最近家族になったばかりなんだよ」
マッチ「この家の人はいい人ばかりってわたしが保証するよ!」
少女「わ、わたし…」
母「あなたは優しい子だからずっと人のために頑張ってきたのよね?」
母「だったらこれは今までの分が自分に返ってきたと思えばいいのよ」
少女「ほっ…本当に…わたしが…」ポロポロ
マッチ「いいんだよ、ね?」ギュ
赤DQN「いなくなったお父さんやお母さんの分まで生きよう?」ポン
少女「うん…二人とも見てくれてるよね…?」ポロポロ
少女「わたし生きていく…」ギュー
母「よっぽど疲れてたのね、すぐ寝ちゃったわ」パタン
赤DQN「そっか」
母「ホント誰に似たんだか優しすぎるんだから」
赤DQN「あんただあんた」
母「こら!お母さんに向かってあんたって言わない!」ゴチーン!
赤DQN「でっ!?どれだけ本気で殴ってんだよ!?」
母「もうあなた、その乱暴な口調やめなさい」ガシ グイ
赤DQN「えぇぇぇぇぇっ!?」
母「私だってお婆ちゃん…お母さんに散々それで怒られてきたのよ」
マッチ「そうだったんだ…」
母「まったく、昔の私見てるようで恥ずかしくて仕方ないのよ」
赤DQN「そんなのお母さんに関係ないでしょ…」
母「あるわよバカ娘!!」ドスッ
赤DQN「おえっ!?モロにレバーに…」
マッチ(お姉ちゃんは間違いなくこの人の子供だなぁ…)
母「これからみんなにちゃんと聞いてくからちゃんと直すのよ?」
赤DQN「そこまでする!?」
母「影で使ったりしてたら……分かるわね?」キラーン
赤DQN「卑怯だ…」
マッチ「わたしもちゃんと監視してるよー」
母「えぇ、お願いね」
赤DQN「あ!てめぇまで――」ドガシャァァァァン!!
母「気をつけなさいね?」フリフリ
マッチ「キックだけであそこまで飛んでくなんて…」
少女「ん、何が…」ゴシゴシ
母「あら、起こしちゃった?ごめんなさいね」
赤DQN「…もうそいつらいるんだからあたしは必要ないだろ!」
赤DQN「出て行ってやるよっ!!」ダッ
マッチ「あっ!?お姉ちゃん!!」
母「『今までの分が自分に返ってきた』のよ、うふふ」
マッチ「どうしよう…」
母「大丈夫よ、すぐ帰ってくるから」
母「あの子は私の娘なのだから――」
―――
親「『その後、お母さんに連れ戻されてまたいつもの楽しい日常に戻りましたとさ』」
親「これでお話はおしまいよ」
子「おもしろかったよー」
子「でも、なんで赤DQNちゃんって言うの?」
D Q N
親「赤いずきんをかぶったどうしても腐ったミカンになれない女の子だからよ」
子「へー」
子「こんな子が本当にいたらあたし一緒に遊んでみたいー」
親「ん?これ、実は本当にあったお話を元にお話書かれてるのよ?」
子「えー?そうなんだぁ!じゃあその子に会いたいって言ったら?」
親「会えるかもしれないわね」
親「ほーら、そろそろご飯食べる時間よ」
子「わーい、お腹ペコペコー!」
親「それにそのずきんはちゃんとしまってきなさい」
子「うん!ご飯早くね!」
親「はいはい大人しく待っててね」
親「あなたの大好きなミートパイ作るから、ね?」
おしまい
もうなんか色々とゴメンナサイ
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