同僚女「なに、ついに好きな人ができたわけ!?」
新人女「えへへ……実は、まあ……」
同僚女「だれだれ?うちの会社の人?」
新人女「うん……」
同僚女「えーっ!誰なの?教えなさいよ!!」
新人女「うーん……」
同僚女「教えてってば!」
新人女「でもなぁ……」
同僚女「いいから」
新人女「恥ずかしいし」
同僚女「誰にも言わないから!」
新人女「実は……」
同僚女「……」ズイッ
新人女「……ううっ、やっぱりだめ」
同僚女「おい」
新人女「だって……」
同僚女「はぁ……。じゃあさ、当てるから、正解だったら教えて」
新人女「うん……」
同僚女「そうだなあ……営業のAさんとか?」
新人女「」フルフル
同僚女「じゃあ……総務のBさん?」
新人女「ちがう」
同僚女「うーん……係長?」
新人女「あの人彼女いなかったっけ?」
同僚女「じゃあ課長だ」
新人女「それはない」
新人女「そんな虱潰しに言ってたらあたっちゃうじゃん」
同僚女「じゃあ次最後」
新人女「はい」
同僚女「そうだな……」
新人女「……」
同僚女「……ヒント」
新人女「えー」
同僚女「えー、じゃないわよ」
新人女「ヒントって例えば?」
同僚女「……その人のどんなところを好きになったの?」
新人女「うーん……実はあんまり接点なくて、ほとんど話した事も無いんだけど」
同僚女「それで好きになるって……一目惚れとか?」
新人女「一目惚れとはちょっと違うんだけどさぁ……」
同僚女「そんなイケメンうちにいたかな」
新人女「だから一目惚れじゃなくて」
同僚女「じゃあなによ」
新人女「うーん……良い人オーラが凄いの」
同僚女「良い人オーラ……?」
新人女「あと笑顔が素敵……///」
同僚女「笑顔ねぇ……」
新人女「すごい優しそう」
同僚女「……」
新人女「真面目そう」
同僚女「……あー」
同僚女「開発グループの班長だ」
新人女「……///」コクッ
同僚女「なるほどねぇ……」
新人女「すごい素敵だと思う///」
同僚女「……言いにくいんだけど」
新人女「待って!!!」
同僚女「」ビクッ
新人女「ごめん……いやでもね、薄々感ずいてるのよ」
同僚女「……そっか」
新人女「あの人若く見えるけど、もう40だもんね……」
同僚女「うん……」
新人女「そりゃ……家庭だってあるよね」
新人女「いいの。私は見てるだけで」
同僚女「……いい人紹介しようか?」
新人女「ううん。今はいい。もうちょっと班長のこと見てたいから……」
同僚女「そっか……」
新人女「うん」
―夜・居酒屋―
新人女「というわけで失恋しました」
友人女「お、おう」
新人女「はぁ……辛い……」
友人女「そもそも好きな人がいる事さえ知らなかった私はどうすれば?」
新人女「今日まで誰にも言ってなかったからねー」
友人女「あんまり落ち込んでるように見えない」
新人女「うーん、予想はしてたからね。多分既婚者だって」
友人女「相手の人いくつ?」
新人女「40」
友人女「……あー、ね」
友人女「……いや、ないわー」
新人女「なぜ」
友人女「あんたいくつよ」
新人女「22」
友人女「だよねー、私と同い年」
新人女「年上大好き」
友人女「年上にも限度がある」
新人女「だって素敵なんだもん……」
友人女「40ってほぼ倍じゃん」
新人女「班長は若く見えるの。私だって最初に40って聞いたときはショックだったよ」
友人女「そこでやめておけばよかったのに」
新人女「………」
友人女「不倫はあかんよ」
新人女「わかってるって。そもそも望んでないし、望みもないし」
友人女「ほーん?」
新人女「そもそもほとんど話したことない」
友人女「まじか」
新人女「挨拶くらいしかない」
友人女「まじか」
友人女「そんなんでよく好きになったね?」
新人女「唐揚げ食べよっかな」
友人女「私串カツ」
新人女「……いつもニコニコしてて素敵なのよ」
友人女「そーかい」
新人女「めっちゃ優しいし」
友人女「挨拶が?」
新人女「……流石に挨拶しかしてないことはないからね?」
友人女「なんか話したの?」
新人女「うち総務だからさ、社用車の管理してるんだけど」
友人女「うん」
新人女「班長が車借りにくることあるよ」
友人女「うん」
新人女「……」
友人女「……え、それだけ?」
新人女「友ちゃんおかわりは?」
友人女「生中」
新人女「ウーロンにしよっと」
友人女「枝豆食べたいなぁ」
新人女「おけ。すみませーん」
新人女「……なんで結婚してるのかなぁ」
友人女「いい人だからじゃない?」
新人女「そう……すごいいい人なんだよねぇ」
友人女「まあ飲みなよ」
新人女「ウーロンだけどね」
友人女「既婚者はダメだわ」
新人女「……あの人の奥さんは幸せだろうなぁ」
友人女「そんな素敵なの?イケメン?」
新人女「イケメンとは言わないけど、私はすき」
友人女「写メとかないの?見てみたい」
新人女「写メとか持ってたら家宝にしてるわ」
友人女「無いのか」
新人女「明日は会えるかなぁ……」
友人女「同じビルでしょ?会えるんじゃない?」
新人女「挨拶出来るといいなぁ」
友人女「すればいいじゃん」
新人女「そんな簡単なもんじゃないの」
友人女「簡単だと思うけど」
新人女「……会えますように」ナムナム
友人女「……」
新人女「……なに?」
友人女「いや、好きなのは勝手だけどさ、ほどほどにしときなよ」
新人女「わかってるよ」
新人女(そもそも進展なんて望める間柄じゃないもんね……)
新人女(事務的な会話しかした事がなくて、一週間のうちで会えない日の方が多くて)
新人女(……自分で考えて辛くなってきた)
―翌日・会社―
新人女「おはようございます」
<おはようございまーす
新人女(今日も一日がんばるか)
同僚女「おはようー」
新人女「あ、おはよう……どうしたのそのマスク」
同僚女「ちょっと風邪ひいちゃってさ……電話なるべく出てもらえると助かる」
新人女「了解」
Prrr…
新人女(外線だ)
新人女「はい、○△工業新人女です」
新人女「はい、はい……」
新人女(今日は電話が多いなぁ……)
新人女(ほぼ一人で取ってるからか)
Prr Prr
新人女(今度は内線)
新人女「はい、総務課新人女です」
班長「開発グループ班長です」
新人女「! お、おはようございます」
班長「おはようございます。課長いますか?」
新人女「はい、少々お待ちください」
新人女「課長!開発の班長さんです!」
新人女「……」ニコニコ
同僚女「……」ゴホゴホ
新人女「……」ニコニコ
同僚女「……」クシュン
新人女「……」ニコニコニコニコ
同僚女「……笑顔がうるさい」
新人女「!?」
同僚女「いいことあった?」
新人女「えへへ……班長からの電話取り次いじゃった……」ニヘニヘ
同僚女「ああ……」
新人女「うふふ」ニヘニヘ
同僚女「幸せな頭してるなぁ」
新人女「内線取るの楽しみになってきた」
同僚女「そりゃよかった。どんどん取ってくださいませ」
新人女「あ、内線!」
新人女「はい、総務課新人女です♪」
新人女「あ、営業課長……」
同僚女(苦手な課長じゃん……)
新人女「……」カタカタカタカタ
同僚女「……」カタカタカタカタ
新人女「……」カタカタ ッターン
同僚女「……」カタカタカタカタ
新人女「ふぅ、ようやく一区切りついた」
同僚女「おつかれ」
新人女「午後に入ってからあんまり電話掛かってこないね」
同僚女「班長からもね」
新人女「はぁ……班長に会いたい」
ガチャ
班長「こんにちわー」
新人女「!?」
同僚女「こんにちわー」
新人女「こ、こんにちわ」
新人女(なぜ班長がここに!?)ヒソヒソ
同僚女(知らないわよ)ヒソヒソ
新人女(今の聞かれてないよね!?)ヒソヒソ
同僚女(知るか)ヒソヒソ
班長「? 課長いますか?」
新人女「ええっと……」
同僚女「課長ー!」
課長「なにー?」
班長「あ、課長」
課長「ああ、班長か。どうしたの?」
班長「13番倉庫に資材を取りに行くので社用車を貸してもらえますか?」
課長「あー、同僚女さん、今って社用車空いてるの?」
同僚女「16時までなら空いてます」
課長「だってさ。別に僕に言わなくても女の子たちに聞いてくれれば大丈夫だよ」
班長「はい、いつもはそうしてるんですけど」
班長「ついでに総務の方で必要な物があるなら一緒に取りに行こうと思って聞きに来たんです」
新人女(なんて気が利く人なの…!)
課長「気が利くねー!」
新人女「……」
課長「新人女さん」
新人女「はい」
課長「次の資材当番確か新人女さんだったよね」
新人女「えーっと……あ、そうです」
課長「班長と一緒に行ってきてくれる?」
新人女「!!!」
課長「A3のコピー用紙と、ラミネートフィルムと、クリアファイルね」
課長「これリスト」
新人女「わ、わかりました」
同僚女「ファイト」ニヤニヤ
班長「じゃ、行きましょうか」ニコ
新人女「よよよよろしくおねがいします」
新人女(笑顔が素敵すぎ……///)
班長「13番倉庫の場所は分かりますか?」
新人女「いえ、まだ行ったことがなくて……案内してもらえると助かります」
班長「よし、じゃあ僕が運転するんで、覚えてくださいね」
新人女「お願いします」
新人女(これって助手席乗っていいんだよね)
班長「シートベルトしましたか? では行きましょう」
新人女「はい!」
班長「まず、県道を東に向かって走ります。しばらくは道なりです」
新人女「わかりました」
新人女(丁寧だなぁ)
班長「今4ヶ月目でしたっけ」
新人女「そうですね、15日で丁度4ヶ月です」
班長「仕事にはもう慣れましたか?」
新人女「おかげさまで、ちょっとずつですけど」
班長「よかった」ニコ
新人女(……///)ポケー
班長「ここ左折です」
新人女「はい……」
班長「で、右折して……」
新人女「はい……」
班長「見えてきました。あれが10~15番倉庫です」
新人女「はい……」
班長「……新人女さん?」
新人女「あっ、ご、ごめんなさい……」
班長「大丈夫ですか?」
新人女「はい、すみません……」
班長「手前から3番目の建家が13番倉庫です。それで……」
新人女「……」
新人女(……班長は素敵な人だ)
新人女(班長は素敵な人で、だから結婚してて奥さんがいて)
新人女(真面目な人だからきっと家庭を大事にしてて)
新人女(私のことなんか見向きもしなくて)
新人女(……だからこんなにも好きで)
新人女「わたし、班長が既婚者だから好きなのかも」
同僚女「帰ってきて開口一番がそれかい」
新人女「班長はやっぱり素敵な人だったよ……」
同僚女「何話したの?」
新人女「倉庫までの道程を教わりました」
同僚女「……」
新人女「……」
同僚女「……え、それだけ?」
新人女「デジャヴ」
同僚女「既婚者だから好きって……危険思想なんじゃない?」
新人女「変な意味じゃないよ」
同僚女「言葉通り以外にどんな意味があると」
新人女「うーん……だからね、他人の物を奪いたいとかじゃないのよ」
同僚女「うん?」
新人女「大切なものがあって、それをちゃんと守ってる人だから好きなの」
同僚女「ふむ……」
新人女「私もあんな人と結婚できたらなって……」
同僚女「やっぱさぁ……」
新人女「なに」
同僚女「いい人探そうよ」
新人女「えぇ……」
同僚女「わたし紹介するし。どんな人が好みなの?」
新人女「班長みたいな人」
同僚女「ああ……」
同僚女「うーん」
新人女「……」
同僚女「うーん……」
新人女「……」
同僚女「……うん、いないわ。班長みたいな人は」
新人女「ダメじゃん」
新人女「別にいいよ、紹介なんて」
同僚女「いやー、私が心配なのよ」
新人女「心配されるような事は何もないです」
同僚女「だといいんだけどねぇ」
新人女(何もない何もない、起こりっこない)
新人女(何も……)
―翌日―
課長「新人女さーん」
新人女「はーい」
課長「4階にこの書類持ってってくんない?」
新人女「4階ですか?」
課長「そうそう、技術部」
新人女「はぁ……」
課長「開発の男社員くんに渡しといて」
新人女(開発……)
新人女(4階に行くの久しぶりだな)スタスタ
新人女(……班長、いるかな)スタスタ
新人女(いたら挨拶しよ)スタスタ
新人女(4階か……エレベーター使お)スタスタ
新人女「あ」
班長「ん?……あ、こんにちわ」
新人女「こ、こんにちわ!」
班長「エレベーターですか?」
新人女「はい」
班長「僕もです」
新人女「4階ですもんね」
班長「新人女さんは何階へ?」
新人女「4階です」
エレベーター「チーン」
新人女(誰も乗ってない……)
新人女(二人きり……)
班長「……」
新人女「……」
新人女(……なんか気まずいなぁ)
班長「……」
新人女「……」
新人女(背、高いな……)
新人女(姿勢もいいし、すらっとしてるし)
新人女「……はぁ」
班長「……どうかしました?」
新人女「えっ」
班長「ため息ついてるから」
新人女「あ、いや、なんにもないです」
班長「ならいいんですけど」
新人女「はい……」
班長「……僕で良かったら話聞きますからね」
新人女「えっ」
班長「僕じゃなくても、課長でも同僚女さんでも」
班長「みんな聞いてくれると思いますよ」
新人女「……はい、ありがとうございます」
エレベーター「チーン」
班長「じゃ、また」
新人女(……優しい人)
新人女(あの人は知らないから言えるんだ)
新人女(話を聞くだなんて)
新人女(……あなたが好きで悩んでます、なんて)
新人女(…………言ったらどんな顔をするんだろう)
―技術部―
新人女「男社員さん」
男社員「はーい」
新人女「課長からラブレターです」
男社員「えー、何その言い方……ラブレターなら女の子からのが嬉しいなぁ」
新人女「いいじゃないですか。うちの課長は男社員さんのこと気に入ってるみたいですよー?」
男社員「えぇ……」
男社員「あー……こりゃある意味ラブレターだな」
新人女「?」
男社員「ありがとう、わざわざ持ってきてくれて」
新人女「いえいえ」
男社員「ついでに悪いんだけどさ、これ課長に渡しといて」ピラ
新人女「はーい」
―数日後―
同僚女「まだ火曜日か……」
新人女「一週間長いねぇ」
課長「みんなちょっといいかな」
課長「今週末の金曜日さぁ、開発と飲みに行くんだけど、予定空いてる?」
新人女(開発だと……)
同僚女「まじか」
先輩社員「なんでまた開発と」
課長「いやー、最初は男社員くんと飲みに行く話してたんだけど」
課長「いつの間にか開発グループと飲みに行く事になってたんだよねー」
先輩社員「それ多分警戒されてますよ」
課長「えっ」
同僚女「で、なんで私達まで?」
課長「開発の中に総務一人ってアウェイじゃん」
課長「てなわけで、金曜日空けといてねー」
同僚女「……強制じゃん、まったく」
先輩社員「奢りかな」
同僚女「まさか」
新人女「……」
新人女(……班長も来るのかな)
―金曜日―
先輩社員「新人女ちゃん、今日俺飲むからさー、帰り送ってってよ」
新人女「えー、先輩社員さんの家逆方向じゃないですか」
先輩社員「いいじゃーん」
新人女「仕方ないですねぇ……」
先輩社員「やったー」
新人女「同僚女ちゃんは?」
同僚女「私は彼氏が迎に来るからいい」
新人女「リア充め」
同僚女「……そんなことよりさぁ」
新人女「?」
同僚女「あんた今日気合い入ってるね」
新人女「……ばれましたか」
同僚女「いやー……わかるよ」
新人女「お恥ずかしい……」
同僚女「私さぁ」
新人女「うん」
同僚女「見守っていようと思ったのよね、最初は」
新人女「うん?」
同僚女「好きって言っても、既婚者だって知ったら冷めるか、そのうち諦めがつくと思ってたから」
新人女「……うん」
同僚女「でも違った」
新人女「……」
先輩社員「いえーい新人女ちゃぁん、飲んでるぅー??」ウィック
新人女「……始まって30分でもうベロベロじゃないですか」
先輩社員「ほらほらー、お前も飲め飲めー」
新人女「私車なんですぅー。先輩社員さんを送ってかなきゃいけないんでー」
先輩社員「おぅ!そうだったなぁー!」ワッハッハッ
新人女「これだから酔っ払いは」
課長「おーい、先輩社員ー!」
先輩社員「なんすかぁー?」
課長「開発の女の子たちにお前の武勇伝聞かせてやれよー」
女の子たち「クスクス」
先輩社員「おっ!今行きまーす!!」
先輩社員「じゃあな新人女ちゃん!お前ももっと飲めよ~」フラフラ
新人女「……だから車なんですって」
新人女(飲み会参加者は総務から課長、係長、先輩社員、同僚女ちゃん、私の五人と)
新人女(開発グループから女係長、班長、男社員さん、女社員さんの四人)
新人女(これだけ人数がいたら、中々班長とはお話できないな……)
新人女(先輩社員さんなんかは結構動き回って色んな人と話してるけど)
新人女(…………話、できなくて丁度良かったのかも)
新人女「……」チラッ
同僚女「……」モグモグ
新人女(同僚女ちゃん話しかけてこないな……)
男社員「それで、その時女係長が――」
女係長「男社員くん、その話はもういいから!」
先輩社員「俺の伝説ベスト10!」
女社員「きゃははは!」
新人女(盛り上がってるなぁ……)
係長「そう言えば同僚女さん」
同僚女「なんですか?」
係長「例の案件だけど……」
新人女(係長はこんな所でも仕事の話か)
同僚女「その件でしたら……課長!」
課長「なに?」
同僚女「例の案件なんですけど」
課長「えー、今先輩社員くんの話が良いところなんだけどなぁ」
課長「別に今その話しなくてもさぁ……別にいいけどさぁ……」ブツブツ
係長「ちょっと気になったもんで」
同僚女「あれって最終的に――」
新人女(……いよいよ本格的に孤立してきた)
新人女「……」ゴクゴク
新人女(ウーロンじゃ酔っ払えないしなぁ……)
ワイワイガヤガヤ
新人女「……」
係長「案件が――……」
男社員「女係長が――……」
先輩社員「武勇伝が――……」
新人女(……どこにも混ざれない)
新人女(……いや)
新人女(混ざりたくないのか)
男社員「……と、まぁ、女係長のおかげで俺が総務課長に目をつけられまして」
女係長「それは私のせいではないわよね!?」
班長「ははは」
男社員「いーえ、女係長のせいです!!責任取ってください!!」
班長「責任って(笑)」
女係長「えぇ~……。ちょっと班長、笑ってないでなんとか言ってよー……」
班長「……頑張ってください!」ニコ
女係長「まじかぁ~」
男社員「総務課長が絡んで来たら女係長がなんとかしてくださいね」
女係長「いや別にいいけどさぁ……」ブツブツ
男社員「その喋り方課長に似てます」
女係長「えっ……ショック……」
班長「……」ニコニコ
班長「……あれ」
女係長「どうかした?」
班長「いえ……ちょっと外しますね」
班長「……隣、いいですか?」
新人女「」ビクッ
新人女「ははは班長!?」
班長「? はい、班長です」
新人女「……どうぞ」
新人女(思いっきり吃っちゃった……恥ずかしい……)
新人女「……何飲んでるんですか?」
班長「麦焼酎です。新人女さんはお酒飲まないんですか?」
新人女「私は車なので」
班長「なるほど」
新人女「先輩社員さんを送らないといけないし」チラッ
先輩社員「だから俺は言ってやったね!部長の頭頂部が眩しすぎて直視できません!ってな!!」
班長「……先輩社員くんはいい感じに酔ってますね」
新人女「あの酔っ払いを送ってかなきゃと思うと……」ハァ
班長「ご苦労様です」
新人女「人ごとだと思って……」
班長「まあまあ……」
新人女「……」
新人女(……指輪、してないんだ)
班長「先輩社員くんとは長い付き合いなんですけど」
新人女「えっ、そうなんですか?」
班長「もう四年になりますね。彼が本社勤務になってからなので」
新人女「へぇ……」
班長「ああ見えて、先輩社員くんはいい奴ですよ」
新人女「うーん……悪い人ではないと思いますけど」
先輩社員「ぶえっくしゅ!!」
新人女「ちょっと図々しいとこありますよ」
班長「はは、確かに」
新人女(ああ、班長が笑ってる……)
新人女(……いつもニコニコしてるけど)
班長「でも、ちょっと意外です」
新人女「え?」
班長「新人女さんって、結構はっきり言う人なんですね」
新人女「えっ、あ……すみません……」シュン
班長「いやいや、謝らないでください」アセアセ
班長「いつも大人しいから、意外な一面が見られてよかったな、と」
新人女「え……///」
新人女(なにこれ照れる)
新人女(班長に他意は無いんだろうけど……)
班長「新人女さん?」
新人女「はい……」
班長「顔赤いですけど……大丈夫ですか?酔いました?」
新人女「いや、私は飲んでないので……」
班長「そうでしたね。酔ってるのは僕の方かぁ」ハハハ
新人女(……可愛い)
―――
課長「さてと、それじゃそろそろお開きにしますか」ヨッコイショ
全員「はーい」
先輩社員「二次会しないんすかぁ?」ヒック
課長「もうでろんでろんじゃん。今日は解散」
課長「あ、男社員くんはちょっと残ってね」
男社員「!?」
新人女(……夢のような一時だった)
新人女(班長と一緒にご飯できただけでも奇跡的なのに)
新人女(向こうから話し掛けてくれて、隣に座って)
新人女(仕事以外の話を、しかも長時間して)
新人女(近くで笑顔も見れたし、それからあと……)
同僚女「新人女」
新人女「!」ビクッ
新人女「同僚女ちゃん……」
同僚女「……」
新人女「あの、わたし……」
同僚女「……班長の家さ、先輩社員さん家の近くらしいよ」
新人女「えっ」
同僚女「送ってあげたら?」
先輩社員「うーん、むにゃむにゃ……」
班長「すみません、僕まで送ってもらっちゃって……」
新人女「いえ、こちらこそ、先輩社員さんを運ぶの手伝ってもらって……」
班長「女の子一人じゃ大変でしょう」
新人女「ありがとうございます……」
新人女「まずは先輩社員さんの家に行きますね」
―先輩社員宅―
先輩社員「うーん……」
班長「先輩社員くん、鍵持ってる?」
先輩社員「ポケット……右……」
班長「……」ゴソゴソ
先輩社員「うぅーん……」
班長「あった」
新人女「よかった」
班長「僕が担ぐんで、扉開けて貰えますか?」
新人女「はい」
ズルスル
カチャカチャ…ガチャリ
班長「先輩社員くん、ついたよ」
先輩社員「うーん……」
新人女「……」
班長「仕方ない、ソファーに寝かせていきましょう」
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