まる子(14)「たまちゃん、ウソでしょ!?」 (7)

14歳のまる子は、ずっと仲良しのたまちゃんと初めての音楽ライブに行くことになった。

まる子「あたしゃ、バンドのライブなんて初めてだから緊張するよ……」

たまえ「私は何回も行ったことがあるから大丈夫だよ」

まる子「そうだよね、たまちゃんにお任せするよ」

たまえ「うん、今日ははりきっていこうね」

たまちゃんの選んだアーティストは、まる子の想像していたのと180度真逆だった。
ホンワカとした音楽を想像していたまる子は、演奏の始まりと同時に度胆を抜かれることとなる。

まる子「え、え、え、あ たまちゃん!」

たまえ「聞こえないよ! まるちゃん」

まる子「ああああああああああああ」

たまえ「(気に入ってくれたみたいで良かった)」

まる子の呼びかけは轟音と暴徒のような観客にかき消され、ライブの終わりを待つしかなかった。
たまちゃんの意外な趣味を知ってしまったまる子は、何とも形容しがたい気持ちに包まれるのであった。

まる子「たまちゃん、ウソでしょ!?」

たまえ「今日は、すっごく楽しかったねぇ! まるちゃんもノリノリだったし」

まる子「はは……そうだね、はは……」

帰り道、ノリノリのたまちゃんに対して、あれはただパニくってただけとは言い出せず、まる子は苦笑いするしかないのであった。

たまえ「あの上手のギターがさ……」

その刹那であった。そばにいたはずのたまちゃんの声が途切れ、さきほどの轟音と同じような音がした。

まる子「……え?」

地面にはたまちゃんが……いや、たまちゃんだったものが無残に横たわっていた。
自動車に轢かれ、ぐっちゃぐちゃになった赤い体。人々のざわめきが、おだやかだった通りを埋め尽くした。

まる子「たまちゃん、ウソでしょ!?」

たまちゃんのお葬式が開かれた。
遺体の入った棺桶の窓は決して開かれず、事故の衝撃を弔問客たちは察したのであった。

まる子「たまちゃん……なんで」

まる子は涙こそ流さなかったが、たまちゃんの血に染まった真っ赤な体が脳裏に焼き付いて離れないでいた。

たまえ父「まるちゃん、今までありがとう……終わったら家にも来てくれ」

たまちゃんの父はカメラを3台持ち、シャッターを足の指でも押しながら、まる子にそう告げた。

たまちゃん・家

まる子「たまちゃんの部屋……私たち、いつもここで遊んでたっけ」

まる子は、たまちゃんがひょっこり出てくるような気がしてた。

たまえ父「たまえの……たまえのナイショの箱があるんだ。まるちゃん、それを一緒に見てくれないかな」

なんでそんなことを知っている、とまる子は一瞬思ったが、このお父さんならたまちゃん本人より
たまちゃんに詳しくても不思議ではないのだった。

たまちゃんの父によって棚の裏から取り出されたたまちゃんのナイショの箱は、女の子らしい感じはしなかった。

たまえ父「開けるぞ……それっ」

まる子「な、な、なにこれ!?!?」

そこには、BLの同人誌が山のように詰まっていた。

たまえ父「たまえにこんな趣味があったとは……」

まる子「たまちゃん、ウソでしょ!?」

-END-

まるこ『ゴルァー!くだらねぇ短編小説書いてんじゃねぇーよ!長編にしな、長編に』

>>5
読んでくださってありがとうございます。
一発ネタみたいなものなので、完成度はご勘弁ください。

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