モバPは新人プロデューサーの設定です
多分フリスクは出ません。ほぼ穂乃香しか出ないと思います
アイドルになる前の話を書こうと思います
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425192344
最初は小さな舞台だった
初めての舞台で、初めての賞状
今でも家に大切に保管してある
少し気恥ずかしくて、すごく嬉しかった
あの日からバレエは私の全てだった
あれから10年以上経った今日もレッスン場に向かい
穂乃香「よろしくお願いします」
代わり映えの無い練習をこなし
穂乃香「お疲れ様でした」
いつものように別れを告げる
自宅に帰り、母の作った料理を食べて、お風呂に入り
明日に疲れを残さぬようストレッチをして、寝る
バレエに限界を感じる。はっきり言ってスランプだ
私には何かが足りない。何かが足りないのは分かっているのに
今日もそれが何か分からないまま終わる
それはこのまま練習を重ねていけば分かるようになるのだろうか
少し疑問に思ったけれども、すぐに考えるのを止めた
今までも、そしてこれからもバレエを続けるのに無駄な疑問だから
積み重ねていけばきっと分かるようになるはずだと、不安な気持ちを押し殺した
-数日後-
いつもならレッスンをしている時間に私は駅前に来ていた
参考書の購入のためとは言えレッスンを休むのは、少し新鮮な気分だった
ここを右に曲がって、寂れた広場を抜ければ本屋はすぐ、のはずだった
いつもほとんど人のいない寂れた広場のはずが、少し違った
見慣れない簡易ステージがあり、そこに人が集まっていた
ステージの上に同い年くらいの女の子が立っていることに気づいた
ちょうど始まるようだ。曲が流れる。聞いたことは無い
いつもの私なら見向きもしないだろうが、スランプで疲れていたせいかもしれない
ジャンルは違えど、舞台の上の作品だ。何か得られるものがあるかもしれない
なんて言い訳を考えながら、足を止めて見ていく事にした
出だしから見て人並みと分かる、どう贔屓目に見ても私の方が上手く踊れるはずだ
それなのに、それなのに体が震えた。目が離せなかった。
そこには私の探していたものがあったと思った。ようやく、見つけた
あれからの記憶が曖昧だ。帰宅した私の手元には参考書と、DVDがある
CDもあったような気がするけど、ダンス映像も収録されているDVDを買っていた
参考書を袋に入ったまま机の上に置き、DVDレコーダーを起動させる
いつもはバレエのダンスが再生されるテレビには先ほどのアイドルが映っている
広場で聞いた曲と同じ曲だ。何度も再生した。何度も、何度も、覚えてしまうくらいに
それなのに探しものは分からなかった。ならばと思い、踊ってみた。
コンクールの課題曲よりずっと簡単だったため、すぐに覚えられた。
しかし映像よりどれだけ上手く踊っても、もしかしたらと思い歌いながら踊っても分からなかった
何度見返してみても、真似しても、結局あの時見つかったと思った探し物は見つけられなかった
今日はバレエの練習が無かったから、少し早めの夕飯だった
母は妙にニコニコしながら、私に話しかけてきた
穂乃香母「今日は何か歌っていたけど、良い事でもあった?」
何度も何度も歌っていれば聞かれるのも当たり前だ。
穂乃香「ちょっと、気になる曲があって・・・ごめんなさい」
隣家とは距離があるので、近所迷惑とまではいかないけれど、母には聞こえていたはずだ
穂乃香母「大丈夫。最近ずっと思いつめてた気がしたから、気分転換になったかしら?」
なんとなく気づかれていたのは分かっていた。黙って見守ってくれてた母の優しさにも
「それに穂乃香がバレエ以外の事に興味を持つなんて、嬉しいくらいよ」
バレエのためにやってみただけ、とは何故か言えなかった
「熱心に歌ってたみたいだし、お母さんに聞かせてほしいわ。ダメかしら?」
「ダンスならいいけど、さすがに恥ずかしいから・・・」
「じゃあダンスを見せてね。さっきの歌、踊りもあったのでしょう?」
いいと言った手前断れなかった。結局歌いながら踊ることになったけれども、悪い気はしなかった
そしてなんとなくうっすらとではあるが、バレエのスランプの原因が分かるような気がした
この一曲だけではあるが、アイドルの踊りの練習も続けていった
-数日後-
今日は文化祭の日だ。さすがに今日はバレエの練習は休みだ
自分はクラスの展示会の受付当番だったが、さっき時間が来たのでクラスメイトと交代した
特に見たいものはないので、時間をつぶすために各部屋の展示会を見ていくことにした
校内を歩いていると、何かを探しているようすの同級生と目が合った。こちらに向かってくる
同級生「穂乃香さん!お願いがあるの!」
どうかしましたか?と言おうと思った瞬間だった。いきなり何事かと思った。
穂乃香「え?えっと、どうしました?」
同級生「アイドル研究会を助けて欲しいの!」
穂乃香「え?えっと?」
今日の催し物でアイドル研究会がコピーライブを行う予定だったが、
リーダーが先ほどリハーサルで怪我をしたらしい。急遽調整をしたものの時間が余る
そこでバレリーナの私に時間をつないでほしいとのことだった。
同級生「歌わなくていいから、バレエを少し踊って欲しいの」
同級生「クラシック曲は何曲か部室にあるし、一曲だけでもいいからお願い!」
穂乃香「えっと・・・」
困った。いきなり言われても踊ることは出来なくもないが、今回は無理なのだ
学校用意した特設のステージは小さく、バレエを踊るには動きも制限される
バレエ・・・なら・・・?
穂乃香「あの、アイドルの曲はどんな曲がありますか?」
同級生「大体はあるよ。もしかして踊れるのがあるの?」
穂乃香「・・・えっと、曲名は・・・」
曲は問題なくあるそうだ。後は曲に合わせて踊るだけ、のはずだった
同級生「あるにはあるけど、オフボーカルしかない」
どうしてそうピンポイントで無いのだろうか
同級生「会長がオフボーカルを好む人だから曲によってそれしかなくて。歌は覚えてる?歌える?」
穂乃香「歌えるとかそういう問題ではなくて、後ろで代わりに誰か歌ってもらえれば・・・」
同級生「大丈夫!歌も上手いって聞いてるから、大丈夫!」
何が大丈夫なのだろうか。最初歌わなくていいと言っていたはずなのに・・・問題しかない
部室にあった適当な衣装を着せられて、マイクをつけられ、ステージの上に立たされた
了承をした記憶が無いが、押し切られていた。仕方ない、今は課題に集中しよう。
同級生「次はアイドル研究会が誇る隠し玉、綾瀬穂乃香のライブを見てください!どうぞ!」
私は部員でもなんでもないと言いたかったが、曲が始まってしまい集中せざるを得なかった
最近家で何度も踊り、歌った歌だ。難なく歌い踊りきった
ただ、踊っている時に違和感を感じていた。同じ踊ることなのにバレエと何かが違う
何かではない、分かっている。バレエで感じたスランプを感じなかったことだ
バレエのダンスより簡単な踊りだから?歌を歌っているから?
そうであれば家で練習をしている時にも違和感を感じているはずだ。
結局悩みのタネが複雑になっただけで、スランプは解消されることは無かった
挨拶もそこそこに着替えの置いてある研究会の部室に向かって歩いていると
???「あの、すみません、よろしいですか!?」
後ろから聞こえた大きな声に振り向くと男性がこちらに向かってきているのが見えた
???「私、モバPといいます。単刀直入に言います。アイドルやりませんか?」
立ち止まっていると、私の目の前で止まり、男性はいきなり名刺を差し出してきた。
勢いで受け取ってしまった名刺にはシンデレラガールズプロのモバPと書いてあった。
穂乃香「あ、あの・・・」
答えに窮しているとモバPさんは何か察したのか謝罪をしてきた。
モバP「あ、引き止めてすみません。もし興味があれば名刺の電話番号に連絡をください」
質問でも何でもあれば受けますので、と言って一礼すると去っていった
なんというか・・・台風のような人だと思った
友人にそれとなく聞いてみると最近名前が売れ出したアイドルが所属しているらしい
出来たばかりではあるものの、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍をしている、とのことだった
アイドルに興味は無い。いや、バレエ以外には興味が無い
でも文化祭で踊った時に分かりかけた、私のバレエに足りないものが分かるかもしれない
ただただバレエの飛躍のためにアイドルを利用することに決めた
穂乃香「もしもし、モバPさんですか?綾瀬穂乃香です。はい、そのことなのですが・・・」
土曜日に駅前の喫茶店でお話しすることになった。初対面は時間も無かったので、
今回しっかり見る機会となったが、細身の長身で顔はどちらかと言えば可愛い人だと思った
モバP「先日の勧誘はいきなりですみませんでした。聞きたいことがあればなんでも」
穂乃香「いえ、特に質問はありません」
「綾瀬穂乃香。趣味、特技、どちらもバレエです。
これまでいくつも賞を取ってきましたが、自分の表現力に限界を感じています…。
自分自身に満足したいんです。ご指導お願いします!」
私はアイドルになった
もう少し続き書きます。
アイドルになって少ししてからくらいの話です。
視点はモバPに変更しました。
-事務所-
モバP「綾瀬さんの他にダンス能力を活かせる仕事は・・・」
バレエ経験者と言うこともあって、バックダンサーのエキストラなど踊る仕事が多い
ダンスについては非常に真面目で頭も良く、覚えもいいと評判もいい
しかしメインキャストの仕事はなく、人気どころか知名度が無いと言える状態だ
ちひろ「お疲れ様です。お茶どうぞ。先ほどから悩んでいる様子でしたが、どうしました?」
モバP「ありがとうございます。綾瀬さんなんですけど才能もある。度胸もある。場慣れもしている」
ちひろ「そうですね。バックダンサーとは言え、いきなり大勢の前に出たのにしっかりこなしましたからね」
モバP「はい。それなのに大きな仕事が持ってこれない、自分の営業能力のなさに頭を抱えていました」
ちひろ「そうだったんですか。そういえば先ほどもダンスがと呟いていましたが、一回試してみては?」
モバP「試すとは・・・例えば大きなバレエコンクールとかですか?」
ちひろ「逆ですよ。まったくバレエと無関係の仕事をです。前から思っていたのですが」
ちひろ「モバPさんがバレエに拘り過ぎなんじゃないですか?」
そのたった一言で本当に目が覚めたような気がした。
そういえば綾瀬さんは言っていた。アイドルになって表現力を高めたいと
ダンスやバレエに関係の無い仕事の方が良い影響を与えるかもしれない
モバP「ああ、どうしてそんな簡単な事を。ありがとうございます。目が覚めました」
ちひろ「そうですか。良いアドバイスが出来たみたいですね。よかったです」
モバP「ええ、ありがとうございます。心配させてすみませんでした」
ちひろ「いえいえ♪では、頑張ってくださいね」
先輩のCuPさんとPaPさんのおかげで仕事はすぐに見つかった
モバP「綾瀬さん、ちょうどいいところに」
穂乃香「モバPさん、どうしましたか?」
モバP「ああ、仕事の話なんだけど、5日後の13時から」
穂乃香「はい。時間が無いですが、頑張ります。ところで今回はどんな曲なんでしょうか?」
モバP「あー・・・今回はダンス関係じゃないんだ。とある料理番組の収録なんだ」
穂乃香「あ・・そうですか。いえ、アイドルですからそういうのもありますよね」
モバP「料理もバレエの表現力のヒントになる、かも・・・もしかしたら・・・多分・・・」
穂乃香「そうですね。確かに、試してみる価値はありますね。料理、頑張ります」
モバP「ところで綾瀬さんはチョコって作ったことはある?」
穂乃香「ありません。恥ずかしい話ですが、レッスンばかりで授業以外でお菓子を作ったことがありません」
モバP「大丈夫。話しを聞く限り、包丁とか使わないから怪我の心配はないし、結構簡単だから・・・多分」
穂乃香「練習とかしておいたほうがいいでしょうか?」
モバP「いや、いいよ。むしろ慣れてないほうがハプニングで良い絵が取れたりするから」
とは言え、綾瀬さんがそういう失敗しそうにはないだろうが
-キッチンスタジオ収録-
『第二回チャレンジクッキング!!』
司会者「それではさっそく自己紹介をお願いします。それでは、まゆちゃんから!」
まゆ「佐久間まゆです。料理は得意ですけど手加減はしませんよ♪」
司会者「趣味は料理とあって余裕の表情だぁ!」
司会者「前回の琴歌ちゃんと同じプロダクションからの出場ですし、期待できそうです」
審査員A「うん、琴歌ちゃんも美味かったし、期待してます」
まゆ「はぁい♪頑張りますね」
司会者「では、今回急遽審査員になったCuPさんからも一言お願いします」
CuP「え?本当に今日言われたんですけど、いいんですかね?審査員なんて」
司会者「はい、今回も346プロのアイドルと伝えたら審査員が『前回で懲りた』と」
CuP「あー・・・友紀ちゃんとありすちゃんの料理すごかったですもんね・・・うん・・」
CuP「まぁ、担当アイドルのまゆには特に厳しくいくと思いますが、それでも一番でしょうね」
司会者「おーっと!これはCuPさん強気の発言!料理の腕前は知り尽くしているのか!?」
CuP「ええ、趣味で作りすぎたからって毎日お弁当を貰ってます。本当に美味しいですよ」
観客席(BOO!BOO!)
司会者「ままゆファンからのブーイングの嵐!!後で楽屋に戻ったら覚悟してくださいね!」
CuP「ちょ・・・」
司会者「問答無用!!さて、次は友紀ちゃんのところから人気高騰中の未央ちゃんだー!」
未央「はーい!未央ちゃんだよ!今日はまっかせなさーい!」
司会者「今日も元気いっぱいだねぇ。そこまで言うには自信があると?」
未央「いや、全然」
司会者「って、おい!大丈夫かぁ!?友紀ちゃんもあれだったけど、今回もあの惨劇になってしまうのか!」
未央「だーいじょうぶ!ちゃんと食べれるものを作るから・・・・多分!」
司会者「すっごく不安なんですけど、ゲスト審査員のPaPさんどうでs、うお、まぶしっ!」
PaP「誰がハg」
司会者「PaPさん静かに!さて、『あの』ありすちゃんと同じプロダクションの新人、綾瀬穂乃香ちゃんだ」
穂乃香「はい、料理は得意と言うわけではないですがレシピ通りに失敗しないよう頑張ります」
審査員A「レシピ・・・通り・・・?」
司会者「更にありすちゃんと同じレシピ通り発言だー!これはある意味期待できるぞ!!」
審査員A「すみません、ちょっと調子が」
司会者「あ、CuPさんを押さえつけててください」
CuP「え?あ、はい。Aさん落ち着いてください。多分大丈夫ですよ。多分」
審査員A「何で多分を2回言ったの・・・?」
司会者「さぁ!バレンタインという事でお題は『チョコレート』!早速調理スタートだ!」
大きな番組が貰えて喜んでいたが、今更この番組は失敗のような気がしてきた
人目を引き付けるのが上手い本田さんと、料理がプロレベルの佐久間さんとの共演となると
会話を盛り上げる話術も料理も多分人並みな綾瀬さんでは華が無さ過ぎるか・・・厳しいな
司会者「ああっと!穂乃香ちゃん大丈夫かぁあああ!?」
叫ぶ司会者、ざわつく観客席。何事だ!?綾瀬さんの手元の映像がアップになる
いったいどうしたというのだろうか・・・あ、めちゃくちゃこぼれてる
レシピしか見ていない綾瀬さんは、計量カップのミルクをボールに入れている、つもりなのだろう
司会者「カップからミルクが大量にこぼれているぞ!大丈夫か!?」
騒ぐ司会者、ざわつく会場。今回もあれなのかと肩を落とす審査員A。そして
司会者「穂乃香ちゃん!?穂乃香ちゃーん!まったく気づいていない穂乃香ちゃん!大丈夫かぁ!?」
あれだけ名前を叫ばれても気づかない綾瀬さん。ひたすら零れるミルク。シュールである
あの量だと床もびしょびしょだろう。大丈夫かと思っていたら
穂乃香「きゃあ!」
レシピに夢中の綾瀬さんは足元の注意も怠ったようで、ミルクに滑ってこけたようだ
そして指を引っ掛けられたチョコの材料が色々入ったボールも一緒に消えていた。
穂乃香「す、すみません」
料理台に隠れてしまっているから見えないがマイクから謝罪が聞こえてきた。
ゆっくり立ち上がる綾瀬さん、そしてざわつく会場が一瞬沈黙に包まれ・・・爆笑の渦に包まれた
司会者「頭からチョコやらミルクやらをかぶったせいで全身ひどいことになってるぞー!」
ボールが落ちたのに金属音がしないと思ったらそういうことか
CuPプロの長富さんだったら、まるで出前のソバ屋さんが出来る匠の技だと言ってそうだ
近くにいた本田さんが駆け寄る。佐久間さんは布巾など片付けに必要そうなものを集めていた。
未央「だ、大丈夫!?」
穂乃香「すみません。チョコまみれになってしまいましたが、怪我とかは大丈夫です」
チョコまみれではあるが、確かに怪我はなさそうだった
未央「うん、大丈夫そうだね。怪我はないみたいでよかった~って、そうだ!」
未央「カメラさん!こっちこっち!穂乃香ちゃん映ってる?おっけー」
未央「甘くて美味しい穂乃香チョコ、完成です!みんな穂乃香を食・べ・て」
真っ赤になる綾瀬さん、したり顔の本田さん。そこに布巾やら何やらを持った佐久間さんが来た
まゆ「はいはい、未央ちゃんはそこまで。穂乃香ちゃんは早く着替えてきたほうがいいわよぉ」
未央「あはは、ごめん。奇跡的に美味しい場面だから思わず。さぁ着替えよっか」
本田さんの言うとおり奇跡的においしい、良いアクシデントだった。あれは起用されない訳が無い
失敗でも注目を集めれば成功だ。あの程度では大してマイナスイメージはつかないだろう
少し抜けてる子だと思われただろうが、得たものと比べれば比較に出来ないほど小さいことだ
とは言え、本人は失敗したことを悔やんでいたので慰めておいた
とまぁ、先の料理番組で綾瀬さ・・穂乃香の知名度が一気に上がった
言い忘れていた。パートナーなのだから、名前で呼んで欲しいと言われたが、少し慣れない・・
さて、あれだけの失敗しても萎縮せず、しっかり話すことが出来る娘だと評価されたようで、
とある番組の内の一つの企画として「穂乃香チャレンジ」と言う企画に抜擢された
穂乃香が色々な体験取り組むという単純な企画であるが、無邪気に真面目に取り組む姿は好評だ
バレエばかりであまり世間を知らない箱入り娘っぽさも人気の理由だ
頻度も放送時間も最初は短かったが、視聴率とファンの増加に比例して頻度と放送時間が増えていった
しかしこの番組で個人的な大誤算が発生した。
原因は穂乃香がゲームセンターの企画でとった「ぴにゃこら太」だ
穂乃香のセンスを疑われたが一躍有名になり、CMの仕事も貰えたりしたからそれはいい
問題は穂乃香が「モバPさんに似ている」と発言したせいで、僕に一瞬カメラを向けたことだ
・・・たった一瞬だったのに、僕の問合わせや再登場の要望が殺到したらしい
試しにコンビチャレンジを企画を行ったところ、異常と言えるほど反響を呼んだため
それ以降全てコンビチャレンジに企画に変わってしまった
大体僕がひどい失敗をして場を盛り上げ、穂乃香は僕の失敗を苦笑しつつ1~2回で成功させる
ブサイクで不器用なプロデューサーと才色兼備のアイドルとして名を広めていった
まぁ、穂乃香も楽しそうだし、番組も盛り上がるし・・・別にいいか
そんな中、思いもしないところから仕事の話が来た
バレエ協会から大きなコンクールの前座をやってほしいとのことだ
元バレリーナの穂乃香のおかげでバレエに興味を持った人やバレエ教室に通う人が増えたそうだ
そこで感謝の意味も込めてコンビチャレンジに起用してほしいと要望だった
バレエの広報の一環として、と言う下心は丸見えだったが断る理由はない
シンデレラのパドドゥと言うダンスが希望らしい。専門用語で難易度も分からないが、穂乃香なら大丈夫だろう
-事務所-
穂乃香「おはようございます」
モバP「来たばかりですまない。今大丈夫か?」
穂乃香「はい、問題ありませんが・・・」
モバP「穂乃香に朗報だ。バレエ協会から仕事の依頼が来た。勿論、バレエの企画だ」
穂乃香「え?でも・・・」
モバP「穂乃香はアイドルの道を選んでくれた。それでも昔の自分と向き合う良い機会だとも思うんだ」
穂乃香「・・・はい。その企画、受けたいと思います」
モバP「3ヶ月前では流石にコンクールの枠には入れられないから、特別に作った前座に出演となるらしい」
穂乃香「3ヶ月後・・・まさかあのコンクール!?」
モバP「バレエ経験者なら誰もが知ってるもの、らしい。多分穂乃香の想像通りだと思う」
穂乃香「どのような形であれ、あの会場でなんて夢みたいです。頑張ります」
穂乃香「ところでテーマはもう決まっているのでしょうか?」
モバP「えっと、シンデレラの一部のシーンでパドドゥと言っていたけど、どのシーンか分かる?」
穂乃香「パ・ド・ドゥ!?」
モバP「まさかそこまで驚くってことは、もしかしてとても難易度が高いところなのか?」
穂乃香「いえ、難易度はそれほどでは。もしかしてこれ、チャレンジの企画ですか?」
モバP「そうだけど流石に今回はサポートに回るよ。穂乃香は思う存分やってくれてかまわない」
穂乃香「いえ、違うんです。パ・ド・ドゥと言うのは一言で言えば男女二人で踊ることなので」
モバP「ああ、なるほど。だからコンビチャレンジなのか・・・・・・・ん?」
穂乃香「はい、よろしくお願いします」
モバP「・・・・・えええええええ!?」
~4ヵ月後の番組収録~
司会者「さぁ今日はなんとコンビチャレンジスペシャルだ!今回のチャレンジはどうでしたか?」
穂乃香「今回で節目の30回とのことですが、本当に色々経験させていただいて感謝してます」
モバP「いやぁ、色々きつかったり痛かったりで中々つらいものがありましたが、楽しかったです。多分」
司会者「今回は準備期間に3ヶ月とのとでしたが、やはり一番辛かったですか?」
穂乃香「確かに辛い企画でしたが、今までで一番楽しかったです。良い思い出にもなりました」
モバP「さっきも言いましたが、過去一番きつかったですね。痛かったのは第6回のあれでしょうけど」
司会者「不死身と言われる由縁の元となったあれは流石に超えないと思いますけど」
司会者「さて、今回のを見る前に節目と言うこともありまして、チャレンジ名(迷)場面集を用意しました」
司会者「まずは穂乃香ちゃんの名場面集と言うか名言集から。穂乃香ちゃんの名言と言えば・・・こちらです!」
中央の巨大モニター『バレエに通じるものがありますね』
穂乃香「!?」
司会者「もう何も言うことは無いでしょう!バレエに通じるをノンストップでどうぞ!」
--VTR開始-----------------------------------------
- 第1回 ~陶芸チャレンジ~【講師 藤原肇】-
藤原肇(以下:肇)「はい、そうやって焦らずゆっくりと」
穂乃香「はい」
~中略~
肇「さすが穂乃香さん。初めてとは思えない出来ですね」
穂乃香「いえ、先生の教え方が良かったからです。しかし陶芸は」
穂乃香『自分の思い描いた形を作っていくということが、バレエに通じるものがありますね』
- 第2回 ~水彩画で写生チャレンジ~【講師 成宮由愛】-
成宮由愛(以下:由愛)「描き方にも色々ありますが…最初は…目の前の風景をそのまま写すように…」
穂乃香「はい、成宮さん。初心者にはどのような風景がオススメでしょうか?」
由愛「えっと…難しさを考えずに、自分が気に入ったものがいいです…その方が…楽しい…です…」
穂乃香「なるほど。参考にします」
~中略~
由愛「穂乃香さんは…本当に初めてなんですか?…すごい…です…」
穂乃香「授業で絵を描くことはありましたが、本格的なのは初めてです。しかし水彩画の写生と言うものは」
穂乃香『目に見える風景を自分の手で描いていく、バレエに通じるものがありますね』
- 第3回 ~弓道チャレンジ~【講師 水野翠】-
水野翠(以下:翠)「今日はよろしくお願いします」
穂乃香「よろしくお願いします」
翠「まず弓道と言うのは心身の鍛錬を(中略)と言うことで基本姿勢からいきましょう」
穂乃香「はい」
~中略~
翠「流石ですね。元々素質はあるような気がしていましたが、ここまでとは」
穂乃香「ありがとうございます。まだ未熟ではありますが」
翠「いえ、一日でこの距離の的に当てれるようになるのは、全国を探してもそういないでしょう」
穂乃香「ありがとうございます。」
穂乃香『弓道は心技ともに精練された鍛錬を要する、バレエに通じるものがありますね』
- 第4回 ~アクセサリー作りチャレンジ~【講師 関裕美】-
穂乃香『人によって色や形が合うものをイメージする、バレエに通じるものがありますね』
- 第5回 ~ゲームセンターチャレンジ~【講師 工藤忍】-
穂乃香『欲しいものは自分の力で勝ち取る、バレエに通じるものがありますね』
- 第6回 ~乗馬チャレンジチャレンジ~【講師 浜川愛結奈】-
穂乃香『馬と気持ちを通じさせ、力を合わせて目標を達成する、バレエに通じるものがありますね』
- 第7回 ~編み物チャレンジ~【講師 佐久間まゆ】-
穂乃香『一つの物事に集中して一歩一歩編み上げる、バレエに通じるものがありますね』
~中略~
- 第29回 ~ジグソーパズルチャレンジ~【講師 日下部若葉】-
穂乃香『全体画を想像して一つ一つのピースを繋げて完成させる、バレエに通じるものがありますね』
--VTR終了-----------------------------------------
司会者「29回のチャレンジ全てバレエに通じているとのことですが、この時の経験は活かせてましたか?」
穂乃香「あの、私こんなに言いましたっけ?・・・言いましたよね。なんとなく記憶にあります」
司会者(「バレエに通じる何かってありましたかね?」って言わせてた日もあるんだけど、気づいてないのか)
司会者「さて、実はここからモバPさんの名場面集になるんですが、最初は何チャレンジだったか覚えてます?」
モバP「忘れるわけがありませんよ。先ほども一瞬出ましたが第6回の浜川さんが講師の乗馬ですよね」
司会者「はい。モバPさんが初回にして有名になるきっかけの回です。理由は分かりますか?」
モバP「自分で言うのもなんですが、派手な失敗をしていたのが面白かったのかと」
司会者「それはそれで評判なんですが、実は人気の出た理由はそこじゃないんですよ。こちらをどうぞ」
--VTR開始-----------------------------------
- 第6回 ~乗馬チャレンジ~【講師 浜川愛結奈】-
浜川愛結奈(以下:愛結奈)「乗馬は大怪我につながるケースもあるから気をつけてね」
穂乃香「はい!」
モバP「何で僕も・・・」
愛結奈「まぁまぁ、良い経験だと思って。しかし一躍人気だね、ぴにゃデューサー!」
モバP「その呼び方は勘弁してください」
愛結奈「結構いいと思うんだけどね。さっそく乗り方から教えるね」
~しばらくして~
モバP「痛たたたた・・・」
愛結奈「落ちてばかりだけど、大丈夫?何度も派手に落ちた割には全然怪我してないね」
モバP「頑丈さが自慢なので。ところで穂乃香は?」
愛結奈「相変わらず難なくこなしちゃう子だからね。ほら、まったく危なげなく乗ってるでしょう?」
モバP「本当だ。今回も問題なく終わりそうだな」
愛結奈「そういうあなたは全然乗れてないけど、大丈夫なの?」
モバP「不器用ですから諦めます。穂乃香がメインで僕はおまけですから。番組的にも問題ありません」
愛結奈「なるほどねー」
モバP「さ、そろそろいい時間だ。おーい!穂乃香ー!こっちこっち」
穂乃香「はーい!」
穂乃香「ふぅ、楽しかったですね。モバPさんはどうでしたか?」
モバP「見てたとは思うけど落馬だらけで散々だったよ」
愛結奈「毎回言われてるけど、穂乃香ちゃんは本当に何をやっても初心者とは思えない出来だよね」
穂乃香「そんなことないですよ。ありがとうございます」
モバP「さて、乗馬体験は終わろうか。浜川さん、ありがとうございました」
穂乃香「ありがとうございました」
愛結奈「はぁい!ワタシも楽しかったし、ありがとうね」
モバP「さて、帰ろうかって・・なんだ!?」
字幕『いきなり騒がしくなった方を見ると、三人に向かってくる興奮状態の馬が!』
モバP「穂乃香!逃げっ・・・!」
穂乃香「っ!?」
字幕『急な出来事に体が固まってしまう穂乃香。逃げるのは無理だと判断したモバPは次の瞬間!』
モバP「くそっ!うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
字幕『なんと雄たけびをあげ、馬に向かって走り出した!』
モバP「させるかぁあああああ!」
ナレ『走る馬と正面衝突。激しくも鈍い音が響く。しかしモバPはそのまま馬をつかんだ!』
モバP「止まれぇ!ぐっ!」
ナレ『なんとモバPの気合が通じたのか馬を止めてしまったのだ』
モバP「・・・う・・穂乃香・・穂乃香!?大丈夫か?」
穂乃香「私は大丈夫ですが、ってモバPさん血が!」
モバP「こんなの大丈夫だよ。穂乃香が怪我しなくて本当によかった」
穂乃香「でもたくさん血が!」
モバP「大丈夫だから。とりあえずロビーに行こう。そこで応急処置もしてもらうから」
愛結奈「・・・ワタシも戻ろう」
--VTR終了-----------------------------------
司会者「失敗シーンも反響はあったんですけど、やはり最後の馬を止めるシーンが非常に注目を集めました。
『明らかに重症なんだけど?』『あれは普通に会話できる状態じゃない』『不死身か?』と言った驚きの声の他に
『体を張って馬を止める必死さが凄い』『かっこいい』などモバPさんに感心する意見も。
また『あの二人はどういう関係なのか?アイドルとそのプロデューサーだって?』と二人の関係も注目されました」
モバP「不死身って言われてますけど、あの後すぐに運ばれたんですよ。骨も何本か折れてました」
穂乃香「そうなんです。あの日の閉めの挨拶はいつも傍にいてくれるモバPさんがいなくて少し不安でした」
司会者「普通にしてたけど折れてたんですか、あれ。それとお二人の関係って正直なところどうなんですか?」
穂乃香「え?モバPさんがプロデューサーで私はアイドルですよ?」
モバP「ええ、僕も穂乃香をバレリーナではなくアイドルだと思ってますよ」
司会者「あ、はい」
穂乃香・モバP「?」
司会者「ああ、いや、何でもないです。しかし本当に不器用ですね。ワザとじゃないんですか?」
モバP「真剣なんですが、自分でもひどいと思います。一回くらい一発成功させたいですね」
司会者「一応失敗シーンをまとめたものを準備したんですが、見送ることになりました」
モバP「理由は見ているこっちが体中痛くなると不評で、お茶の間に流せないとカットされました」
司会者「編み物チャレンジは棒針が体に刺さってましたからね。どうやったら、ぐさーっと刺さるんですかねぇ」
司会者「さぁ今日のメインはここからだ!第30回チャレンジ企画はこれだ!」
中央モニター『第30回 ~バレエチャレンジ~【講師 綾瀬穂乃香】』
穂乃香「今回の講師は私なんですね」
司会者「トレーナーさんが『穂乃香くんに教えたことはほとんどなかった』と」
司会者「また『モバPくんに教えていたのは穂乃香くんだ。今回の講師は穂乃香くんだろう』と言伝だったので」
司会者「では、さっそくいきましょうか。第30回は、バレエチャレンジ!」
--VTR開始-----------------------------------
- 第30回 ~バレエチャレンジ~【講師 綾瀬穂乃香】-
モバP「はぁ・・・」
穂乃香「どうしたんですか?」
モバP「本当に好きなんだな、バレエ。声も顔も凄く嬉しそうだ」
穂乃香「ええ、色々考えましたが本気でバレエが出来ると聞いてやはり嬉しいです」
モバP「しかし自分が」
穂乃香「悩んでも仕方ないですよ。さぁ早くレッスン場に行きましょう♪」
モバP「お、おい。手を引っ張らないでも大丈夫だって。行く、行くから」
~中略~
トレーナー「ふむ、一時はどうなるかと思ったけどこれなら間に合いそうだな」
モバP「足の豆が全部つぶれて血だらけになるくらい頑張りましたからね」
トレーナー「すまないな。本来なら基礎からゆっくり教えていくものなんだが、時間が時間なのでな」
モバP「分かってます。僕はいいですけど、穂乃香に失敗させるわけにはいきませんから」
トレーナー「噂どおり、穂乃香くんを大事にしているんだな」
モバP「ええ、当たり前じゃないですか」
~さらに中略~
-本番20分前のとある控え室-
ちひろ「お二人はどうですか?」
トレーナー「あれだけ練習したんだ。まぁ・・・失敗はしないだろうな」
ちひろ「失敗はしない、と言いますと?」
トレーナー「結局モバPくんの技術は一般人に毛が生えた程度しか身につけられなかった」
ちひろ「ふむふむ」
トレーナー「自分を支えたりするパートナーが未熟だったら、君は全てを委ねられるかい?」
ちひろ「あ・・・」
トレーナー「リハーサルもそうだったが、穂乃香くんは縮こまってしまっていた」
トレーナー「まぁ、無難に収めてくれることで良しとしよう」
モバP「よし、練習どおりやれば大丈夫だ」
穂乃香「はい」
モバP「少し顔色が・・・っ!」
穂乃香「・・少しだけ不安です。今までこんなことなかったのに・・・モバPさん?」
モバP「穂乃香、今更だけど今までごめん。でも、今は僕を信じてほしい」
穂乃香「え?モバPさん?・・・・・・・・・・はいっ!」
『綾瀬さん、モバPさん、スタンバイお願いします!』
モバP「行こう」
穂乃香「行きましょう!」
ちひろ「すごい・・・あれが失敗しない程度の出来、なんですか?」
トレーナー「いや、驚いた。あのリハーサルでこの演技。短時間で何があったんだ?あの二人は」
ちひろ「流石ですね。きっとモバPさんがシンデレラに魔法をかけたんですよ」
トレーナー「シンデレラに魔法か。ふっ、そうなるとモバPくんは魔法使いのはずだが?」
ちひろ「それこそ無粋と言うものですよ♪」
インタビュア「お疲れ様です。お二人とも大成功だったと思いましたが、今のお気持ちは?」
穂乃香「夢の舞台で最高のパフォーマンスを見せることが出来たと思います。とても楽しかったです」
モバP「人生で最初で最後の最高のバレエが出来たと思います。ありがとうございます」
インタビュア「練習よりもずっと良い演技だったと思います。綾瀬さん秘策はなんだったんですか?」
穂乃香「秘策はありません。バレエに秘策は、ありえません。だからこそ自分でも驚いています」
インタビュア「モバPさんはどうですか?」
モバP「恥を話すことになるんですけど。直前に穂乃香が鏡に目を向けた時、僕も鏡を見たんです」
モバP「その時、慣れてるはずの穂乃香がなんでこんなに不安なのか分かりました」
モバP「顔色が悪く、震えてる僕が見えました。これがパートナーじゃどんなベテランだって不安になる」
モバP「何をしてるんだって思いました。体の震えを止め、笑顔を穂乃香に見せて安心させなきゃと思いました」
インタビュア「なるほど、そして信じて欲しいと。綾瀬さんは気づいていましたか?」
穂乃香「いえ、そんな・・・でも、モバPさんが言うなら無意識のうちに頭の中で考えていたのかもしれません」
インタビュア「モバPさんは綾瀬さん自身でも気づかなかったことがよく分かりましたね。どうしてですか?」
モバP「理由ですか?そうですね、(プロデューサーの)僕が一番穂乃香のことを分かってるからだと思います」
インタビュア「いつものことですが・・・お熱いセリフありがとうございます」
--VTR終了-----------------------------------
司会者「いやぁ、今回も見せ付けてくれますね。と言うか、今回一発成功じゃないんですか?」
モバP「今回は穂乃香のおかげですから。僕だけの力だけで一発成功したいと思ってます」
司会者「なるほど。ところで穂乃香さん、VTR最後のモバPさんのコメントには何か思うことありましたか?」
穂乃香「流石だと思いました。誰より私のことを分かってくれる人がプロデューサーでよかったです」
司会者「ああ、うん。二人とも流石ですね」
この放送を見た視聴者がバレエに興味を持ち、更にバレエを学ぶ人が増えたと協会に感謝された
そしてバレエの企画が増え、僕も穂乃香と一緒に踊ることが多くなった。
仕事が増えて嬉しいけれど、体は毎回悲鳴を上げることとなった
あれから2年、更に69回のチャレンジが行われたがついに僕は一度もミスなしでの達成は出来なかった
今日が記念すべき第100回目の収録となったわけだが
穂乃香「きょ、今日は最後までは問題なくできたじゃないですか!」
モバP「もうあれは失敗だよ。100回目だからきっちり決めたかったんだけどなぁ。最後の最後で」
今回の講師は上田鈴帆と市原仁奈の二人で、着ぐるみ裁縫をチャレンジしたわけだが、
少し小さかったようで、自分で着て会場に出た瞬間、着ぐるみが弾け飛んだ
着ぐるみを着るために服を脱いでいたため、下着姿を会場に晒してしまったのだ
良い体してますね!良い画が取れました!って言ってたからカットはしてくれないんだろうなぁ・・・
穂乃香「ぴにゃこら太の着ぐるみも可愛かったんですけどね」
モバP「ああ、うん・・・残念だったね」
まぁ、穂乃香の希望によりぴにゃこら太の着ぐるみだったし、着れていたとしても結構惨事だったりもする
穂乃香「ところで今日はどうしましょうか?」
モバP「今日は直帰と伝えているし、直接店に行こうと思う。大丈夫かな?」
穂乃香「大丈夫です。でも100回目の記念とは言え、ドレスが必要な店なんて緊張しますね」
モバP「ちひろさんの紹介なんだけど、僕も少し緊張してるんだよね」
今日は収録後の食事を約束していた。ちょっとどころか結構良いお店だ
いわゆる雰囲気の良いお店をちひろさんに紹介してもらったのだ
そして100回目の記念は建前だ。ポケットには小さな箱を忍ばせている
ウェイター「お待ちしておりました、モバP様ですね。どうぞこちらに」
案内された部屋はいくつもテーブルが置けるほどの広さなのに、窓際に一つのテーブルと2つの椅子しかなかった
よく知らないがこれはまさかVIPルームなどと呼ばれる部屋なのでは?
モバP「すみません、あの、案内間違えていませんか?」
ウェイター「いえ、千川様のご紹介ですから。大変ご贔屓にしていただいておりますので」
あの人はどれだけ凄い人なんだ・・・今日はちひろさんの御好意に甘えることにしよう
穂乃香「こんなに素晴らしい場所を用意していただいてありがとうございます」
モバP「うん、正直僕も驚いている。明日ちひろさんにお礼を言っておくよ」
穂乃香「そうですね、私からも・・・夜景も綺麗ですね。こんなところで食事が出来るなんて夢みたいです」
いつも一緒に食事をするときもあまり多くは話さないけど、今日はいつも以上に言葉が少ないような気がする
穂乃香「ワインも美味しいですね」
モバP「そうだね、うん」
嘘だ。味なんて何も分からない。いつも通り穂乃香が目の前にいるだけなのに
穂乃香「・・・今日はどうしたんですか?様子が少しおかしいように感じます」
モバP「え!?ああ、うん。こんなところで食事をしているから緊張しちゃって・・・」
穂乃香「?」
話してる途中で言葉をつまらせた僕を穂乃香が怪訝そうな顔で見てくる。何を言っているんだ、僕は
モバP「違うんだ。そうじゃないんだ。穂乃香、聞いてほしい」
穂乃香「・・・はい」
僕が真剣な顔をしているからだろう。真剣な顔で見つめ返してきた
ちひろさんのアドバイスの通り、一言でいいんだ。僕の口よ、一言くらい言えるだろ!
モバP「・・・穂乃香、結婚してくれ!」
穂乃香「はい。不束者でありますが、よろしくお願いします」
沈黙になるだろう空気をどうしようか考えていたら、即答だった。
モバP「いや、え?いいんですか?綾瀬さん?」
穂乃香「どうしたんですか。そんな昔みたいに他人行儀にならないでください」
モバP「OK貰えるとは思わなくて。僕が言うのもなんだけど、内容が内容だからもう少し考えても・・・」
穂乃香は視線をこちらから外す。そして夜景の更に向こう側を見つめながら言った
穂乃香「モバPさんに出会ってから三年間のあいだ、色々魔法をかけてもらいました」
穂乃香「今も鮮明に思い出せます。二年前のコンサート。夢だった舞台で夢のような演技が出来ました」
あの頃を思い出しているのだろうか。僕にだって色々な意味で忘れられないコンサートだった
穂乃香「今日は夢のような食事が出来ました。モバPさんには他にもたくさん、色々、本当に夢を叶えてもらえました」
穂乃香「モバPさんはいつも私の夢を叶えてくれます。今もまた一つ私の想いを叶えてくれました」
穂乃香「今日はもしかしたらプロポーズしてくれるのかも、なんて思ってました」
穂乃香の視線がこちらに戻ってくる。少し困ってるような、それでも嬉しいような泣きそうなような、そんな顔で
モバP「はは、僕はそんなに分かりやすいかな。ってそうだ・・・ちょっと渡すタイミング遅れちゃったけど、これ」
穂乃香「これは・・・」
モバP「受け取ってくれるかな?」
穂乃香「勿論です。ありがとうございます」
モバP「よかった。喜んでくれて」
ウェイター「すみません」
モバP「あ、飲み物はまだ大丈夫ですよ?」
少し空気を読んで欲しい気もしたが、心遣いによる行動だと自分を納得させる
ウェイター「いえ、千川様からモバP様に言伝を預かっていたので・・・こちらをどうぞ」
モバP「ちひろさんからメモ?・・・・・・・・・・・・・やられた・・・」
穂乃香「どうしました?え?私も読んでいいんですか?・・・・・・・・・あ・・・・」
メモ『モバP特別企画 第1回 プロポーズチャレンジ【講師:千川ちひろ】』
頭を抱えていると、ちひろさんと先ほどのチャレンジ企画の撮影者の方々がぞろぞろ出てきた
ちひろ「いやー♪どきまぎさせられましたよ。どうでしたか?チャレンジ初の一発成功でしたけど♪」
そうだった。こういう人だ。お店もプレゼントも、相談する人を間違えていた。今更になって後悔する。
モバP「・・・・本当に最高の気分ですね」
ちひろ「お店の紹介依頼を受けた時に、準備しておきました。指輪を買ってるところも撮影しておきました♪」
モバP「・・・優秀なアシスタントで本当に助かりますね」
ちひろ「さぁ、せっかくの指輪のプレゼントなんですから、渡すだけじゃなくてちゃんとつけてあげましょうよ♪」
穂乃香「あ・・・」
顔を赤らめながら両手で抱えた小箱をテーブルに置いた。穂乃香もやってほしいと思ったのだろう
ちひろ「ゆっくりですよ。番組的にも、おほん・・・穂乃香ちゃんのためにも余韻が残るように♪」
~以下ダイジェスト~
ちひろ「指輪もぴったりですね。モバPさんセンスいいですねぇ♪二人で指輪が見えるようにしてこっち向いてください♪」
ちひろ「せっかくですし、キスとかどうですか?せっかくですし♪初めて?知ってますよ♪いい記念になりますね♪」
ちひろ「企画からのケーキプレゼントです♪食べさせあいをお願いしますね♪まずはモバPさんから♪」
ちひろ「さすがにこれ以上幸せなお二人を邪魔するのは気が引けるので、撤収しますね♪」
ちひろさんは考えうる限りの邪魔をし尽くした後、満足した顔でお供と一緒にぞろぞろと部屋から出て行った
ちひろさんのお供「『あー、いい画が撮れた』『どっきりした上であんな無茶なお願い普通出来ないわ』『流石ちひろさん』
『しかしいきなり結婚してくれは流石にないよな・・・』『いいんだよ』『無粋ってやつだ』『ちひろさんの予想通りだもんな』
『あれはちひろさんが仕向けたらしいぞ。まずプロポーズだって』『え?それ信じたの?』『見ての通り信じたんだろ』
『俺も嫁さん欲しいなぁ』『バレ(エ)婚パーティーが最近流行らしいぞ』『参加条件の足が180度上げれるってのが無理だ』」
ウェイター「心身ともにお疲れのお客様にオススメのワインが入っているのですが、いかがいたしましょう?」
モバP「・・・・貰おうかな」
僕のプロポーズは全国放送されることになった。
ちひろさんは番組内で当時のことを「二人は周りが積極的に行かないと駄目なタイプだと思ったので♪」と語っていたが
絶対に嘘だ・・・でも、あながち間違っていないから心の片隅で少しだけ感謝しておく
元々ファンの間では今更かと驚かれた程度で、仕事に影響は無かった
一応アイドルはよろしくないとして、穂乃香はタレントに転向した。
モバP「すまない、僕のせいで・・・」
穂乃香「ふふっ、確かにシンデレラガールにはなれなくなりましたね」
アイドルを辞めたのだ。もう目指すことが出来なくなってしまった
モバP「うっ」
穂乃香「冗談です。それにシンデレラになれなかったのはモバPさんのせいじゃありません」
モバP「でも僕が」
穂乃香「もし私がお城で王子様に見初められても私は断っていましたから。シンデレラにはなりません」
穂乃香「私にたくさんの魔法をかけてくれた魔法使いさんが好きになってしまいましたから」
モバP「穂乃香・・・」
穂乃香「さぁ、今日の映画の撮影ですよ。たくさん踊るみたいですから、頑張りましょう」
モバP「何で僕が主役に抜擢されてしまったのか。ダンスも上達したとは言え・・・」
穂乃香「私はモバPさんと踊るの好きですよ。だからこれからもずっと、一緒に」
モバP「・・・穂乃香姫、これからもずっと僕と一緒に踊っていただけませんか?」
穂乃香「はい!」
>>12と>>13の間くらいの追記
穂乃香視点です。
バレエのために始めたアイドルだったけど、楽しいし、充実している。やってよかったと思う
スランプの原因はすでに分かっていた。正確に、間違えないように踊ることばかりを考えていたせいだ
まるで機械のように踊る姿は、誰の心を打つことも出来なかっただろう・・・今なら・・・?
手入れをしてあるトゥシューズが目に入る。前に履いたのは、すでに4日前だ
少し前までは自主トレとは言え、ほぼ毎日バレエの練習はしっかり出来ていたのに
アイドルかバレエか、選ぶ時なのかもしれない
そして私の出した答えは・・・
今までありがとうトゥシューズ。私の気持ちがブレないようにさよならするね
ゴミ箱にトゥシューズを持ってきた。捨てよう・・・捨てなきゃ・・・忘れなきゃ・・・
トゥシューズを持つ手が震える。少し力を抜くだけでゴミ箱に落ちるはずのそれは手から離れなかった
結局私はトゥシューズを抱えて、たからものを捨てられそうな子供みたいに泣いてしまった。
穂乃香「おはようございます」
モバP「穂乃香おはよ・・・う・・?」
穂乃香「どうしました?」
モバP「あ、ああ、ちょっと元気ないかなって思ってね。大丈夫?今日はゆっくり休んでも」
穂乃香「大丈夫です。少し疲れてますが、これが終わったらゆっくり休みますから」
モバP「ああ、うん、分かった。ちょっと待って、ちょっと準備してくる」
穂乃香「・・・あの、モバPさん、話しをしたいことがあるのですが」
モバP「うん、じゃあ打ち合わせでその話しもしようか」
穂乃香「私はアイドルを続けます」
モバP「・・・穂乃香?」
穂乃香「バレエはやめます。これからはアイドルの頂点を目指して頑張っていきます」
モバP「・・・えっと?」
穂乃香「これからもプロデュースをお願いします。モバPさん」
モバP「それはいいけど・・・まずは泣き止んで欲しいかな」
もうダメだった。モバPさんに気持ちを伝えて、モバPさんの顔を見たら涙があふれ出てしまった
泣き顔を隠せて、安心できる場所がそこにあったから。モバPさんの胸でまた泣いてしまった
気づいたら仮眠室だった。モバPさんの胸で泣いて、撫でられていたら寝てしまったようだ
違和感のある自分の右手の方を見ると手を握ったままのモバPさんが寝ていた
ずっと握っていてくれたんだろう。嬉しいような恥ずかしいような、手に力が入ってしまったようだ
モバPさんが目を覚ます。寝ていたことを恥じたのか少し慌てて、それでも私に気をかけてくれた
モバP「おはよう。気分は落ち着いた?」
穂乃香「はい、ありがとうございます。取り乱してすみませんでした」
モバP「よかった。ところで」
穂乃香「さっきのは言ったとおりです。これからはアイドル一筋で」
モバP「穂乃香」
穂乃香「・・・はい」
モバP「いきなりどうしたんだ?相談してくれてもいいだろ?」
穂乃香「アイドルとバレエのどちらかを選ぶ時期だと思い、昨日悩みました」
モバP「それで、アイドルを選んだと」
穂乃香「はい。だからバレエと決別するためにも、トゥシューズを捨てようと思ったんです」
モバP「そうか、なるほど。穂乃香らしいな。でも嬉しいよ、アイドル続けてくれるんだ」
モバP「確かに忙しくなったけど、出来なくなるわけじゃない。バレエも続ければいい」
穂乃香「・・・でも中途半端は良くないです」
モバP「中途半端にはならない。そんなこと、しないだろ?穂乃香は良くも悪くも真面目だから」
モバP「悪い真面目は選ばなきゃと思ったこと。良い真面目はどんなことでも妥協しないこと」
モバP「二兎追って、二兎とも得ればいいじゃないか。少なくとも片方を諦めるには今はまだ少し若い」
穂乃香「それほど歳が離れていないと思うんですけど・・・でも、ありがとうございます。」
モバP「よし、大丈夫そうだな。もう少し休んだら帰るといい。打ち合わせはまた明日に。じゃあ」
穂乃香「はい、あ、あの、もう少し・・・もう少し手を握っててくれませんか」
手を解いて立ち上がろうとしたモバPさんは、何も言わずに座りなおして手を握り返してくれた
仕事が残っているだろう事は分かっていたが、今はモバPさんの優しさに甘えさせてもらうことにした
疲れていたせいかすぐに眠ってしまった。起きた時にはモバPさんはいなかったけれど心は暖かいままだった
>>24のちょっと前くらいの話
入れようか迷ったのですが、入れなかったので最後に
~~~回想~~~~~~~~~~~~~~~~
モバP「ちひろさん、ちょっとご相談が」
ちひろ「どうしました?穂乃香ではなくて私にですか?」
モバP「穂乃香には相談できないというか、そんな感じなのですが」
ちひろ「そうでしたか。私で答えられればいいんですけど、どうしました?」
モバP「あの、そうですね。気になる女性と食事に招待するようなお店って詳しくないですか?」
ちひろ「そうですね。・・・すぐには無理なんですけど、少し時間をいただければ」
モバP「今月20日のお昼の収録をした後になるんですけど」
ちひろ「多分大丈夫だと思います。二人での予約でよろしいですね?」
モバP「はい。僕はそういうのに疎いので、よろしくお願いします」
ちひろ「せっかくですから、気になる女性に思いの丈を伝えてみてはいかがですか?」
モバP「そ、そうですかね?」
ちひろ「そうですよ♪良いお店用意しますし、チャンスですって」
モバP「なるほど。そうですね、頑張ってみたいと思います」
ちひろ「モバPさんは最近の流行の告白の仕方とか大丈夫ですか?」
モバP「流行とかあるんですか?そのまま気持ちを伝えようかと」
ちひろ「ダメですよ。流行の方が女性も喜ぶと思いますよ」
モバP「でも勉強不足で・・・」
ちひろ「簡単ですよ。流行はまずはプロポーズすることなんです」
モバP「うぇええ!?あの、付き合ってもいないんですよ?」
ちひろ「考えが浅いですよ!例えばこのエナドリ、10本1000円ですが買いませんか?」
モバP「う~ん、10本1000円ですか」
ちひろ「そんなモバPさんには1本おまけをつけて11本1000円でお売りします!」
モバP「買います!・・・はっ!?」
ちひろ「お買い上げありがとうございます♪と言うことなんです」
ちひろ「女性もいきなりプロポーズでは断りますが、その後付き合って欲しいと言われたら?」
モバP「付き合うならいいかな。と思うわけですね!流石です!!参考にします」
ちひろ「その時指輪を渡すと、更に好印象ですよ!指輪はここのお店がオススメです。」
モバP「何から何までありがとうございます・・・あ、指輪のサイズが・・・」
ちひろ「そういえば穂乃香ちゃんの薬指は5号らしいですよ?参考にしてみてください」
モバP「何から何までありがとうございます」
ちひろ「そうそう、指輪のお店は12日の14時くらいにシークレット割引があるとか?」
モバP「ちょうど休暇日ですね。穂乃香に申し訳ないけど、一人で買い物行ってみます」
ちひろ「え?予定あったんですか?」
モバP「感じの良い喫茶店があったので、午後に穂乃香と一緒に行く予定だったんですよ」
ちひろ「ああー、間違えました。確か10時にやってるの思いだしました」
モバP「それなら良かった。最近喫茶店で話しをするの好きになったみたいで」
ちひろ「それはまた珍しいような。ああ、加奈ちゃんが講師だったあれですかね?」
モバP「そうなんですよ。結構気分転換になるみたいで」
ちひろ「(穂乃香ちゃん積極的ですねぇ)そうでしたか。では12日の10時です」
モバP「ありがとうございます。そろそろ穂乃香が来るので、戻りますね」
ちひろ「はい♪」
Prrrrr・・・・
ちひろ「もしもし、チャレンジ企画の監督さんですか?あの二人の面白いネタあるんですけど」
ちひろ「はい、12日の10時にそこで買い物を。割引すると言ってあるので、口裏を・・・」
ちひろ「お店は紹介すると言ってあるので、撮影しやすい個室の・・・え、そこのお店取れます?」
ちひろ「いいお店ですねぇ♪千川ちひろの紹介と言う設定でお願いします。はい・・・はい、では」
ちひろ「お二人とも羨ましいですね・・・邪魔者が入らなければ、ですけど♪」
以上書き溜め分になります。
読んでいただき、ありがとうございました。
- 第70回 ~おしゃべりチャレンジ~【講師 今井加奈】-
加奈「今日のチャレンジはおしゃべりですよ!」
モバP「はぁ・・・」
穂乃香「あの・・・」
加奈「どうしましたか?お二人ともそんな顔して」
モバP「あの、おしゃべりってチャレンジするものじゃないと思うんですが?」
穂乃香「ただ話すだけですよね?おしゃべりって」
加奈「そうですね、お話するおしゃべりですよ?」
モバP(いや、おしゃべりと言っても何か理由があるはずだ・・・そうか!)
モバP「なるほど、僕達がコミュニケーションがしっかり取れてるか確認の企画ってことなのか」
穂乃香「確かに。仕事上の表面だけの付き合いではないと言うことを証明するチャレンジですね!」
ディレクター(以下:ディレ)(二人のおしゃべりを見てみたいと視聴者の要望があっただけなんだけど・・・)
加奈「・・・・はい!そんな感じです!」
ディレ(あ、特に考えてなかったな。良い感じで勘違いしてくれて助かった)
と言うわけでチャレンジ開始!(※ 加奈ちゃんとディレは別室で二人を見てます)
モバP「うーん、目標は何でもいいから2時間おしゃべりをすること、か」
穂乃香「喫茶店内なら何注文してもいいとのことですね」
モバP「とりあえず注文しようか」
穂乃香「はい。あ、すみません注文よろしいですか?」
モバP「えっと、コーヒーとカフェオレを一つずつ」
加奈『あれ?二人とも事前に決めてたんですかね?』
ディレ『多分違う。一瞬アイコンタクトしてたから、多分それだと思う』
加奈『え?』
モバP「さて、どう足掻いても二時間ここにいなきゃ駄目な訳だし」
穂乃香「そうですね。まずはスケジュール確認しましょうか」
モバP「そうだな、あと今後の方針も考えようか。まず明後日のレッスンなんだけど・・・・」
加奈『何か打ち合わせが始まったんですけど?』
ディレ『・・・仕事の話は禁止って言ってないからセーフ』
~20分後~
モバP「一通り終わったけど、どうしようか?うーん、後90分くらいか」
穂乃香「まだまだ時間ありますね。どんな話をしましょうか」
モバP「そうだなぁ。うーん・・・天気の話とか?」
穂乃香「晴れてますね」
モバP「そうだね」
穂乃香・モバP「・・・・」
加奈『おしゃべり終わっちゃいましたね』
ディレ『うん。今のおしゃべりですらなかったけどね』
モバP「話題、話題・・・こうやって考えてみるとおしゃべりって難しいな。穂乃香は何かないかな?」
穂乃香「そうですねぇ・・・・・・あっ♪」
モバP「すごい僕のこと見てるけど、何かついてる?」
穂乃香「いえ、あまりお互いがどう思っているのか話をしたことは無かったような気がしたので」
モバP「なるほど。確かに人から見た自分を知るのは良い発見があるかもしれないな」
穂乃香「そうですね。まずはどうしましょうか?」
モバP「うーん、漠然と考えると難しいね。一つずつ見ていこうか。まずは顔から、かな?」
穂乃香「なるほど・・・まずは顔ですね」
加奈『お互いすごく顔が近づいているんですけど』
ディレ『これこそ放送出来な・・くないな。いつもこんな感じだった』
モバP「うん、まずは僕から。やっぱり穂乃香の顔は綺麗だ。文句のつけようがない」
モバP「まずは目。穂乃香の真面目さが垣間見える力強さ、それでも純粋な優しさを感じる」
モバP「眉もそう。穂乃香の控えめな性格を表現しつつも、秘かにそれでも存在感は忘れていない」
モバP「髪も申し分ない。穂乃香は少しクセがあることを気にしているけど、正直に言うと僕は好きだ」
モバP「最近手入れのアドバイスを貰っているらしいけど、十分可愛いと思う。いや今の方がいい」
モバP「後は口かな。穂乃香は感情が一番出るのが口だと思う。穂乃香の口を見ているだけで楽しい」
モバP「特に真面目な時の口元は、美しさと可愛さを兼ね揃えた一級品と言っても過言ではない」
モバP「それらを全て具有する穂乃香をプロデュースできる僕は本当に幸せ者だと思う」
モバP「勿論顔だけじゃない。顔だけでも素晴らしいってことで、他にも」
穂乃香「あの、その・・・」
モバP「ああ、すまない。そうだね、まずは顔からって話しだったね」
穂乃香「いえ、それもそうですけど・・・」
ディレ『くっ、長時間のぴにゃタイムか。慣れてても厳しいな・・・』
加奈『』
ディレ『加奈ちゃん?加奈ちゃんっ!?・・・素人には濃すぎたか』
ぴにゃタイムとは:ぴにゃこら太のように不思議な空気を出している時間
一説によると新婚も裸足で逃げ出すほどの甘い時間だが本人達は無意識である。
先日発売されたぴにゃタイム総編集を見た独身が救急搬送された噂は有名な話だ
穂乃香「もう、それを言うならモバPさんだって・・・」
ディレ『まずい!これは隙のないぴにゃタイム波状攻撃が来るぞ!!一旦逃げるぞ!!』
加奈『』
ディレ『加奈ちゃん・・・骨は拾いに戻ってくるよ』
~ダイジェスト①~
モバP「やっぱり穂乃香の髪は綺麗だな」
穂乃香「そうですかね?・・・あの、触ってみます?」
モバP「いやそんな。女性の髪を触るなんて悪いからいいよ」
穂乃香「大丈夫です。むしろ触って欲しいって」
モバP「え?」
穂乃香「いえ!違うんです!・・・そう!見るだけじゃなくて髪を触った感想も聞きたくて」
モバP「なるほど、それも一理あるような気がするかもしれない。ちょっと失礼させてもらおう」
穂乃香「は、はい。どうぞ」
モバP「うん、やっぱり見た目通りしっとりしていて・・・穂乃香?」
穂乃香「き、気にしないでください。モバPさんに頭を撫でられてるので」
モバP「やっぱりあまり良い気分ではないよね。ありがとう、もう十分触ったから」
穂乃香「違います!まだお願いします。・・・モバPさんの手で撫でられるの、気持ち良いですから」
モバP「そうかな?僕の手なんてガサガサして気持ち悪くないかな?」
穂乃香「そんなことないです。大きくて硬くて、少し荒れてるかもしれませんけど」
穂乃香「それは私のために頑張ってくれた証拠でもありますし、すごく気持ちいいです」
モバP「それならもう少し」
穂乃香「はい・・・・・・・んっ♪」
~ダイジェスト②~
穂乃香「服の上からじゃ分かりづらいですけど、厚くて硬いですね」
モバP「結構自信あったんだけど、そう言われるとやっぱり嬉しいな」
穂乃香「本当にガッチガチですね・・・胸」
モバP「うん。木場さんの筋トレチャレンジの後もそれなりに頑張ってたからね」
穂乃香「そうだったんですか?それでしたら誘ってくれてもよかったのに」
モバP「穂乃香はほぼ毎日レッスンしているしね。変に筋肉をついちゃうのもあれだからね」
穂乃香「そうですか。でも体を鍛えるなんてどうしてですか?楽しいからですか?」
モバP「それもあるけど、チャレンジは結構体力使うのも多いしね。鍛えて損はないと思って」
穂乃香「なるほど。確かに腕も多分昔よりは大分太くなってるみたいですね」
モバP「あー、そこはちょっとくすぐったいかな?」
穂乃香「あ、すみません。ちょっと夢中になっちゃいました」
PiPiPiPi・・・・
モバP「あれ?もう二時間か。結構早いな」
穂乃香「そうですね。まだ話し足りない気がします」
モバP「そうだなぁ。確かに物足りないような気がするね。ところで時間だよね?」
穂乃香「そうなんですけど、誰も来ませんね?・・・・と思ったら来ましたね」
モバP「あれ!?加奈ちゃんが担がれてるように見えるんだけど、大丈夫かな?」
穂乃香「本当ですね・・・体調が優れないのでしょうか」
モバP「体調不良なのに来てくれてたのか。悪いことをしたな」
ディレ「少し待たせたね。じゃあ今回のチャレンジの総評について、まずはモバPさんから」
モバP「いや、なんか普通にスルーしてますけど、後ろの加奈ちゃんですよね?」
ディレ「気にしない気にしない、大丈夫だから。じゃあちゃっちゃと総評いこうか」
モバP「大丈夫って・・・まぁ、加奈さんも早く休ませたいですし、いきますか」
モバP「今回のチャレンジは久しぶりにゆっくり出来ました。大体翌日筋肉痛になるのばかりだったので」
モバP「それと最近仕事で休みが取れてないと思ったので、調整したいと思います」
モバP「穂乃香も仕事ばかりでは疲れてしまうと思うので・・・ってこれ総評じゃないですね」
ディレ「いや、いいんじゃないですかね。むしろいつも通りです!じゃあ次は穂乃香ちゃん」
モバP「うっ、いつもこんな感じですかねぇ・・・」
穂乃香「はい。モバPさんも仰っていましたがのんびりできました」
穂乃香「でもモバPさんと仕事している時間も好きなので、特に休みを作ろうとしなくても大丈夫ですよ」
穂乃香「それでももし二人で休みが重なった時は、またこんなお店でおしゃべりしたいと思いました」
ディレ「うーん、いつも通りの締まりの無いちょっとピンク色の空気で閉めましょうか」
加奈「う・・・うう・・・」
ディレ「あれ?加奈ちゃん起きた?もう収録終わっちゃうよ?最後一言くらい言っておきましょうよ」
加奈「あ・・・あああ・・・心がぴにゃぴにゃするんじゃ~・・・・がくっ」
- 第71回 ~長電話チャレンジ~【講師 島村卯月】-
卯月「今日の長電話頑張りましょうね!」
モバP「はぁ・・・」
穂乃香「あの・・・」
卯月「どうしましたか?お二人ともそんな顔して。って何かデジャブが」
モバP「あの、長電話ってチャレンジするものじゃないと思うんですが?」
穂乃香「ただ電話で話すだけですよね?長電話って」
卯月「そうですね、電話でお話しすることですね」
モバP(いや、前回に引き続き何か理由があるはずだ・・・そうか!)
モバP「なるほど、前回は一挙一動全てが見れたから相手の状態が見えてたけど」
穂乃香「確かに。声だけでもお互い意思疎通が出来る二人だと言うことを証明するチャレンジですね!」
卯月「・・・はい!頑張りましょう!」
ディレ(想定通りなんかよく分からない間に納得してくれた)
ディレ「お二人にはこちらの部屋にそれぞれ入ってください」
ディレ「置いてある電話の短縮ボタンを押すと、お互い繋がるようになっています」
卯月「予定では二時間なので、頑張ってくださいね!」
穂乃香・モバP「はい!」
~それぞれの個室にて~
モバP「部屋に入ったはいいものの、どちらがかけるか決めてなかった」
穂乃香「私からかければいいのでしょうか?」
穂乃香・モバP「「とりあえずかけますか」」短縮ボタンポチッ
穂乃香・モバP「「・・・あれ?話し中?」」
卯月『電話壊れてるんですかね?どちらも話し中じゃないんですけど?』
ディレ『うん、壊れては無い。でもお互い同時にボタン押した場合だけは話し中になっちゃうかな』
卯月『・・・7回くらいやってますけど?』
ディレ『コントか!あの二人だとこれで終わる可能性があるから穂乃香ちゃんに電話待つように指示を』
卯月『なんというか息ぴったりですね♪』
モバP「お、ようやく繋がった。もしもし、穂乃香かな?」
穂乃香「はい、穂乃香です。ようやく繋がりましたね」
モバP「どうしたんだろうね?機械の故障かな?」
穂乃香「いえ、同時に発信をしてたみたいで、そのせいだったらしいです。待つように言われました」
モバP「そうだったのか。まぁ問題なくてよかった」
穂乃香「そうですね」
モバP「しかし、うーん・・・なるほど」
穂乃香「どうかしましたか?」
モバP「いや、こうやって声だけに集中することが今までなかったけど穂乃香は声もいいね」
穂乃香「そ、そうでしょうか?」
モバP「うん。人の好みにもよるだろうけど、僕は好きだよ」
穂乃香「あ・・ありがとうございます」
モバP「今まであまり視野に入れてなかったけど、歌の仕事もいいかもしれないな」
ディレ『出ぴにゃ(タイム)じゃねーか!一分も経ってないぞ!』
完全に同じ内容っぽくなるので割愛します。最後に
卯月「二人ともとっても仲がいいんですね!」
ディレ(あれを普通に2時間見続けて、普通に感想言いやがった・・・普通じゃないっ!)
って展開を予定していました。
- 番外編 授賞式-
モバP「あー・・・今日も疲れたなぁ」
穂乃香「でも以前に比べてとても上達していますよ。バレエの道は日々の修練ですから」
モバP「そうなんだろうけど、練習では穂乃香に迷惑かけてばかりだし、やっぱり不安だ」
穂乃香「初めてのときも最高な演技出来ましたから。大丈夫ですよ」
有名な映画監督からオファーが来たので即承諾した結果がこれだ
監督が初めて手がけるミュージカル映画の主役で穂乃香は喜んだが、僕はうな垂れていた。
出演者リストにパートナー役として僕の名前が当たり前のように載っていたためだ。
出演者リストを見て慌てた僕は直談判しようとしたのだが・・・
「君達のあの時の演技にティンときて、ミュージカルに挑戦しようと思ったんだ。
ずっと感動が忘れられなくてね。私に力を貸してくれないだろうか?」
と監督に言われたら、代役の提案をするのも
あの時の演技とはチャレンジ30回のパ・ド・ドゥのことだ
また穂乃香は穂乃香で「モバPさん、また一緒に最高の舞台にしましょうね!」
と僕がパートナーであることを微塵も不安に思っていないどころか喜んでくれていた
結局僕には断る道など無かったのだ
モバP「まぁ、なんだかんだで僕も穂乃香の迷惑にならないくらいには成長できたかなぁなんて?」
穂乃香「技術もそうですが、私が求める動きに何も言わずに動いてくれるのはモバPさんだけです」
モバP「それなら穂乃香のパートナーとして認めてもらえそうかな?」
穂乃香「そんなっ!認めるどころか、最高のパートナーだと思ってます」
長年仕事もレッスンもずっと一緒にやってきておかげだと思う
穂乃香の一挙一動が穂乃香の欲しているものが分かるようになったのだと思う
僕が付き添えないロケなどは穂乃香の元気とキレと、そして視聴率が悪いとジンクスがあるくらいだ
しっかり者の穂乃香に助けられる事もあり、お互い良いパートナーだと思っているつもりだ
そしてその映画で息のあったコンビとして注目され、僕らは一つの賞を受賞することが出来たのだ
記者「モバPさん、穂乃香さん、『パートナー・オブ・ザ・イヤー』受賞おめでとうございます!」
記者「今回の受賞について、お二人から一言ずついただけないでしょうか?」
モバP「えーと、その、喜んでいいものなのか少し悩みますが、嬉しいです。ありがとうございます」
穂乃香「良い連携が取れてる二人だとの評価を貰えたのですね。少し気恥ずかしい気がします」
この反応、穂乃香は多分この賞について知らないんだろう。だから受賞の知らせを純粋に喜んでたのか
記者「では次の質問伝。今回の受賞は前代未聞と言われていますがどう思いましたか?」
モバP「嬉しいですが心中複雑です。歴代の受賞者を考えると対象者は夫婦のみと思っていたので」
穂乃香「え?なるほど。だから前代未聞なのですね。」
穂乃香「夫婦のように意思の疎通が出来てると思われていることは何と言うか晴れがましいですね」
モバP「でも、結婚どころか付き合ってもいないのに・・・ちょっと違和感があるかな」
記者「そうですか。では今後そのような関係になるということは考えられますか?」
モバP「ないでしょうね。アイドルとプロデューサーですから」
穂乃香「ないでしょうね。プロデューサーとアイドルですから」
記者「息ぴったりでお似合いだと思うのですが」
穂乃香「私が言うのもあれですが、そう思います。ずっと一緒に(仕事をして)いたいと思ってます」
モバP「そうですね。一緒に(仕事をして)いて楽しいですし、やる気も出ますから」
穂乃香・モバP「お互い(仕事の)『パートナー』としてこれからも頑張りたいと思います」
記者「・・・最後に、一応確認なんですが、お二人とも結婚の予定などはありますか?」
モバP「彼女がいないので予定は無いです。いい人がいれば結婚したいと思ってます」
穂乃香「相手もいないことに加えて立場上難しいですが、いい人がいれば結婚したいと思っています」
記者「(もうお前ら結婚しろよ・・・)ありがとうございました」
だらだら続けて書くのもあれなので、HTML依頼をしてきます。
字の文が入ったり入らなかったり書き方変えたりで読みにくかったと思いますが、
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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