魔法使い「風属性で最強を目指す」(41)

(ある酒場)

勇者「すいません、魔法使いいますか?」ガラッ

案内娘「はい、今いるのは炎と風が一人ずつですね」

勇者「あっ、じゃあ炎で」

案内娘「じゃあ連れてきますね。50Gになります」

勇者「はい。おい、それでいいか?」

僧侶「いいんじゃないですか?風はありえませんし」

戦士「風は防御も攻撃もダメ、ただ素早いだけで足引っ張るからなぁ」

勇者「じゃ決定。はい50G」ジャラ

魔法使い(くそっ、またかよ!)

炎魔法「よろしくお願いします!」

勇者「こちらこそよろしく。魔法使いが欠けててね。助かったよ」

戦士「前の風魔法使いはすぐ死んじまったけど、お前なら大丈夫そうだな」

炎魔法「はい!殺られる前に殺るのが私たちの戦術ですから!」

僧侶「頼もしいですね。回復魔法も即死してしまっては意味が無くなってしまいますから」

勇者「じゃ、次の町へと出発しますか」ガラッ

炎魔法(次があるよ!ドンマイ!)チラッ

魔法使い(っ!!)

魔法使い「クソ!クソォォオオオオ!舐めやがって!」机ドン

案内娘「仕方ないでしよ。実際弱いんだし」ハァ

魔法使い「風魔法舐めんな!魔物の皮を切り裂き、高速移動や空中浮遊だってできんだぞ!」

案内娘「でも、炎は魔物の骨まで焦がすし、高速移動は時魔術でもできるし、
空中浮遊だってサイコが使える人なら誰でも……」

魔法使い「黙れよ!これが俺の才能なんだよ!チクショォォオオオォォン!」ダッ

案内娘「行っちゃった……」

(野原)

魔法使い「クソ!」ビュオン

スライム「」

魔法使い「ふざけんなよ!」バビュン

ゴブリン「」

魔法使い「どうして俺がこんな目に!」シュイン

ゴーレム「……」ムキズ

魔法使い「遭わなきゃなんねぇんだよ!」バヒュン

ゴーレム「オイ、オマエ」ムキズ

魔法使い「ゲッ!ゴーレムじゃねえか!うわあああ!ににに逃げろぉおお!」ダッ

ゴーレム「マテ!オマエ、コロス!マテ!」ドカドカ

魔法使い「へへ!逃げ足には自信があんだよ!」ダダダッ

(洞窟)

魔法使い「ハァハァ。ここまで逃げりゃ大丈夫だろ」

魔法使い「しかし何で野原にゴーレムがいんだ?
ゴーレムといえばドラゴンや精霊と並ぶ三大モンスターの一角じゃねえか」

魔法使い「それにしても、こんなところに洞窟があって助かったぜ。ちょっと探索してみっかな」

(最奥部)

魔法使い「ん?これは……ドラゴンの卵じゃねえか!
とりあえず割っておくか。帰ったら騎士団に報告だな」ガシャ

魔法使い「さて、さっさと逃げますかね」タッタッ

魔法使い「全く、ゴーレムにドラゴン、どうなってんだこりゃ?次は精霊でも来るんですか?」

闇精霊「はい。よくわかりましたね♪」

魔法使い「えっ?うわぁああああ!」バヒュン

闇精霊「ふふっ♪精霊に魔法は効きませんよ♪ここのヌシを召喚して差し上げますね♪」

ドラゴン「ガァアアアアアアアア!!」

魔法使い「た助けてください!許してください!死にたくない!」

ドラゴン「ガァァアアア!炎の息で燃え尽きろ!」ゴオオオオオ

魔法使い「ぐあああアアアアアァァァ…ァァ………ァ」

魔法使いは燃え尽き、灰も残らなかった。



炎魔法「炎属性で魔王を目指す」

>>2から

(野原)

勇者「よし、じゃあここで実力を見せてもらう。いいな?炎魔法」

炎魔法「はい!わかりました!」

僧侶「この野原に生息している魔物は、主にスライムとゴブリンですね」

戦士「俺たちが手助けするまでもないだろう。MPも見たいしな」

勇者「じゃ、次の町までMPを切らさずに一人で行けたら合格ってことでいいかな?」

炎魔法「はい!頑張ります!」

炎魔法「はっ!」ボッ

スライム「」

勇者「思ったより優秀だな。火のついた魔物は暴れ回るから面倒なんだが、
一撃で灰にしてしまえばその心配もなくなる」

僧侶「この調子なら合格できますね」

炎魔法「いえ!炎属性は攻撃が命ですから!」

戦士「ん?あそこにいるのは……まさか!」

ゴーレム「……」

僧侶「こんなところにゴーレムがいるなんて……。勇者、どうしますか?」

勇者「相手はゴーレムだ。レベルがたりない。逃げて騎士団に報告しよう」

戦士「騎士に頼る駆け出し勇者様、ねぇ」

勇者「炎魔法使い!ここは一旦退却。町まで戻るぞ!」

炎魔法「は、はい!わかりました!」

ゴーレム「アレハ、ユウシャカ。コロシテオコウ」ドスドス

勇者「は、速い!追い付かれる!仕方ない、ここで応戦する!」

戦士「ちっ、風なら逃げれたのによぉ」

ゴーレム「マズ、マホウツカイカラ」ブン

炎魔法「火力全開!」ボボッ

ゴーレム「ミギウデ、ショウメツ。サイセイ、カイシ」シュイン

勇者「ゴーレムの再生能力か。厄介だな。戦士、炎魔法使いの盾になれ。
僧侶は戦士の防御強化と回復。炎魔法使いは全魔力を込めた一撃を放て。俺が増幅する」

炎魔法(この一撃に全てがかかっているのか……!)

ゴーレム「サイセイ、カンリョウ。コウゲキ!」ブン

僧侶「戦士!硬化魔法!」コキン

戦士「グゥゥウウウ!」ドゴッ

炎魔法「今だ!全魔力、開放!」ボオオオッ

ゴーレム「グァアァアアアア!」ボオオオ

勇者「よしっ!コアが見えた!トドメだ!」ブン

ゴーレム「グッ」パリ-ン

僧侶「戦士!回復魔法!」ポウ

戦士「ありがとよ。死ぬかと思ったぜ」ハァハァ

勇者「みんな、よくやったな。特に炎魔法!凄いじゃないか、ゴーレムのコアを露出させるなんて!」

炎魔法「いえ!皆さんの連携、勇者様の指揮があったからです!勇者様は魔力の増幅もできるんですね!」

勇者「はは、まあね。でも、ゴーレムに勝てるとは思わなかったよ」

戦士「こいつ、合格でいいんじゃねえか?」

勇者「そうだな。炎魔法、これからは俺たちの仲間だ!」

炎魔法「ありがとうございます!」

(最初の町)

勇者「騎士団に報告を済ませたらもう夜か」

戦士「もう、今日は休もうぜ。眠い」フワァ

僧侶「じゃあ、明日の朝集合で」

勇者「今日は解散!」

炎魔法(町では別々に過ごすのがこのパーティのルールなのか。酒場に行こうかな)

(ある酒場)

炎魔法「ただいま」ガラ

案内娘「あら、炎魔法じゃない。どうしたの?クビ?」

炎魔法「ちっ、違うよ!勇者パーティは夜は自由行動なの!」

案内娘「そう、よかった。ところで魔法使い見てない?店から走って出ていっちゃったんだけど」

炎魔法「いや、見てないよ。野原にはゴーレムがいたから、心配だなあ」

案内娘「あいつは逃げ足だけは超一流だから、大丈夫よ。ほら、帰ってきた」

魔法使い「ただいま」

案内娘「もう、どこほっつき歩いてたのよ!」

魔法使い「ああ、ドラゴンの巣を見つけて遅くなったんだ」

炎魔法「ドラゴンの巣!?大丈夫だったのか!?」

魔法使い「大丈夫じゃありませんよ♪」グサッ

炎魔法「えっ?あれ?え?」ダクダク

案内娘「いやぁあああ!炎魔法くん!」

炎魔法「に…逃げて……早く!」ガクッ

闇精霊「逃がしませんよ♪」ミョオオォオン

案内娘「ゴベッ」グチャグチャ

薄れゆく意識の中、「ソレ」は鮮やかに見えた。

赤いモノに黒いトゲが生えている。

赤く染まった視界は、暗闇に沈んでいった。



時の騎士「時魔術で騎士団長を目指す」

>>24から

(騎士団本部)

騎士「大変です!勇者パーティの一人、炎魔法使いが酒場で殺されているのが発見されました!」

騎士団長「なに?酒場だと?町中に魔物の侵入を許したのか!」

騎士「申し訳ありません。門番の恐らく闇魔法による死体が発見されました」

騎士団長「闇魔法といえば魔法の中でも最弱。魔法から魔術に引き下げる声もあるほどだが?」

騎士「闇魔法であの門番を倒せるのは闇精霊しかいません!」

騎士団長「精霊か……駆け出しの勇者には荷が重いな。よし、討伐隊を組め。私も出る」

騎士「はっ、了解しました」

(沼地)

騎士A「精霊狩りなんて久しぶりだよな」ハハハ

騎士B「全くだ。こんな僻地にまで精霊が出るなんてよぉ」ハハ

騎士団長「緊張感を持たんか!この沼地に精霊がいるんだぞ!」

騎士A「役立たずの風魔法使いからの情報ですよ。スライムを精霊と見間違えたのかも」アハハ

騎士B「しかも闇“魔術”の精霊でしょう?我々騎士の敵ではありませんよ」クックックッ

騎士団長「ん!伏せろ!」ササッ

騎士A「いましたか?」

騎士団長「いや、ドラゴンだ。なぜここに?」

ドラゴン(全く、闇精霊の奴、俺に押し付けやがって)

騎士団長「まずい!気づかれている!散開!」

ドラゴン「ファイアブレス!」ゴオオオッ

騎士A「アアアアアアァァァァァ…ァ」ボッ

騎士B「ヒッ!騎士Aが一瞬で!」

騎士団長「くっ!騎士剣奥義“驚天動地”!」キュイイン

ドラゴン「土魔法で足場を奪い、風魔法で羽を封じ、氷魔法でトドメをさす。対ドラゴンの必殺技か」パリ-ン

騎士B「なに!?“驚天動地”をかき消した!」

ドラゴン「俺は対魔のドラゴンなんだ。残念だったな」ゴオオオッ
騎士団長「グッ………ッ」ボッ

騎士B「団長!嘘だろ!?」

ドラゴン「これが現実だ」ゴオオオッ

(騎士団本部)

時の騎士「ええっ、全滅!?」

上級騎士「ああ。討伐隊は全滅した」

時の騎士「つまり、団長も?」

上級騎士「ああ。そうだ」

時の騎士「次期団長は誰ですか?」

上級騎士「ドラゴンを倒した者だ」

時の騎士(これはチャンスだ!)

時の騎士「僕が団長の仇を取ります!」

上級騎士「ああ。今回はそれを言いにきたんだ。頼んだぞ」

時の騎士「はい!」

上級騎士「……行ったか。馬鹿な奴だ」

暗黒騎士「全くだぜ。騎士団長の座は魔王軍幹部である俺様の物になるってのによ!」

上級騎士「最早、勇者では魔王にはかてん。ならば私は魔王に寝返るだけだ」

暗黒騎士「“魔術”でありながら“魔法”をも凌駕する時魔術。その最後の使い手である時の騎士には死んでもらわねえとな!」

(最初の町)

時の騎士「とはいえ、普通のドラゴンならまだしも、魔法を無効化するんじゃ単独で倒すのは無理だな」

友騎士「じゃ、勇者パーティに協力してもらうってのはどうだい?」

時の騎士「勇者?たかがゴーレムを倒すのに命をかけるような初心者集団だぜ?」

友騎士「あれでも騎士を除けばこの町で最強なんだし、ないよりマシだろ」

時の騎士「そうだな。あいつらも丁度一人欠けてることだし、行ってみるかな」

友騎士「ああ。頑張れよ」

(勇者の宿)

勇者「まさか、町の中で精霊に襲われるとは思わなかった」

僧侶「これからは単独行動は控えましょう」

戦士「そうだな。町の中でも油断はできない」

勇者「でも、こんなところにゴーレム、ドラゴン、精霊が揃うとは」

時の騎士「おい、勇者いるか?」トントン

勇者「はい、なんの御用でしょう」

時の騎士「勇者にはドラゴン討伐に協力して頂きたい」

僧侶「ドラゴン!?私たちがですか?無理だと思いますが……」

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