前川みく「特別な日」 (27)

みくおめでと!ギリセーフですよね?

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「いらっしゃいませなのにゃ!」

「ふっふーん。どう?Pチャン。みくの部屋かわいいでしょー」


みくの部屋には年相応なかわいらしい小物がたくさんあった。もちろんネコ関連のものが多い。


「みくはやっぱり、ネコが好きなんだな」

「まーね。ネコチャンは前から好きだったからにゃ」


ふと気になるネコの置き物を見つけた


「みく。あの黒いネコの置き物はどこで手に入れたんだ?」

「あっ…あのネコチャンはね…」


彼女の顔が曇ってしまった


「ごめん。嫌なら話さなくていいんだ。秘密は誰にでもあるから」

「ううん。別に大丈夫なのにゃ。ただ、あのネコチャンには少し思い出があるのにゃ」






「Pチャン…少し話が長くなるけど、みくの話、聞いてくれる?」


彼女の顔は晴れない


「みくが話してくれるなら、聞かせてくれ」

「ありがと、Pチャン…」


そう言って、彼女は少し物寂しげな顔で話し始めた






あれはねみくが小学校に入る前のことなの。
パパとママが仕事でしばらく帰ってこれなくなったから、おばあちゃんの家に1週間程預けられたんだにゃ。
ちょうどみくの誕生日が重なっちゃったけど、大好きなおばあちゃんと過ごせるから寂しくは無かったの。


みくのおばあちゃんはね、少し前におじいちゃんを亡くしちゃったけど、1人で街の一軒家で暮らしてたんだにゃ。



「おばあちゃんは1人でさみしくないの?」

「みくちゃんが会いに来てくれるだけで嬉しいよ。みくちゃんがおばあちゃんのことを思っていてくれれば、おばあちゃんはちーっとも寂しくは無いよ」



そう言ってみくの頭を撫でてくれたの。とっても優しいおばあちゃんだったんだ。





それでね。1週間おばあちゃんの家にいることになったんだけど、家のこと中だけじゃ、ちょっとつまらなくなっちゃって。おばあちゃんと一緒に散歩しに行ったりしたの。


それで、みくの誕生日になったんだにゃ。その日もみくはお散歩したかったんだけど、おばあちゃんは


「みくちゃんの誕生日だから、夕飯はごちそうにしなきゃ。だから散歩はまた今度ね」


でも、みくがどうしても行きたい!って言ったら


「じゃあ、日が暮れる前までには帰ってくるんだよ」


って言ってくれたの。今思えばわがまま過ぎる子だったのにゃ。


今もそうだって?
うるさいのにゃ!


パンツ脱いどく

>>6
お客さん風邪ひきますよ。R18要素はありませんので、あしからず




それで話を戻すけど、1人で散歩してたのにゃ。よく行った公園にお花が咲いてて、それが目的だったの。


だけどその途中で、ネコチャンに会ったのにゃ!とってもかわいかったから、なでなでしたいとおもったのにゃ!
すると、そのネコチャンは逃げたしたの。全くひどいネコチャンだったのにゃ。


どうしても撫でたいって思ったから、みくはそのネコチャンを追いかけたの。


すると、いつの間にか知らない場所に来ちゃったのにゃ。まあ、当然なんだけどね。
それでどうしようと思ってたら、一軒の家の玄関が開いていたの。

道を聞こうと思ってその家に入ってみたのにゃ。



今思い出すと本当に不思議な場所だったの。2月の終わりなのに日向ぼっこしてるみたいな暖かさだったの。




それでね。その家に入ってみると、どうやらお店っぽい所だったの。いろんな物が置いてあったのにゃ。
ただ、よく分からないものが多かったの。



どんな感じだったか?
うーん。アンティークな物が多かったかな…あまり具体的には思い出せないの。


ただ、大きくてみくの身長と同じくらいの置き物や、とってもちっちゃい置き物まで色々あったにゃ。


たくさんあるなーって思ってたら、突然奥から声が聞こえてきたんだにゃ



「いらっしゃいませ。どのようなものをお探しですか?」



とっても落ち着ける不思議な声だったにゃ。
けど、みくは道を教えて欲しいだけだから道を尋ねたの。すると



「今日は特別な日。何があっても不思議ではないでしょう?」

「この店には東西南北。昔のものから新しいものまで何でもあります。あなたが欲しい物をお渡しできるでしょう」



確かに今日はみくの誕生日。特別な日だったけど、家に帰ればおばあちゃんがいるし。パパとママが帰って来た時は、4人でお誕生日会を開いてくれる。

だから、欲しい物はないって言ったの。



「そうですか…今あなたは満足しているのですね」

「それなら私があなたにお渡しできる物はありません」

「お行きなさい。あなたを待ってくれる人がいる処へ」



そう言われて、そのお店を出たのにゃ。
出た後すぐに、道を尋ねなきゃって思ったんだけど、そのお店は無かったの!


気がつけば目的の公園に来てたんだにゃ!
けど、いつの間にか夕方になっていたの。
よく分からなかったけど、急いでおばあちゃんの家に帰ったのにゃ。




そのあと、みくとおばあちゃんの2人きりのお誕生日会をして、パパとママが帰って来た時はもう一度、お誕生日会をしたのにゃ。

それでその時におばあちゃんから貰ったのがこのネコチャン。






けど、このお話には続きがあるのにゃ…

ちょっとここまで。夕方に更新します





みくがね、小学校に入る前の週におばあちゃんが突然、倒れちゃったの……


病気はがん。実は末期でもう長くはなかったらしいの…

入学式の前にお見舞いに行ってね…



「みくちゃん。大丈夫。みくちゃんの笑ったランドセル姿をみたら、元気になるから」


「ほんと…?」


「ほんとだよ。ただ、おばあちゃんから一つお願いしていい?」


「なに?なんでもする!」


「時々でいいから、おばあちゃんのことを思い出してくれる?」

「たとえ、みくちゃんがどんなに辛くても、悲しいことがあっても、おばあちゃんはいつでも、みくちゃんのそばにいるから…」


「時々じゃなくて、ずーっとおばあちゃんのこと思い出す!だから、早く元気になってね!」


「ありがとう…じゃあ指切りしよっか」

「うん!」


ゆびきりげんまん、うそついたら………











……それがね。大好きなおばあちゃんとの最後のやりとりだったの………









入学式も終わって、写真は送ったけど本物のランドセル姿を見せに行こうって話し合っていた時、天国のおじいちゃんのところへ行っちゃったの……



とっても…悲しいかった……


元気になるって言ってたのに………





みくのことを撫でてくれたり、ほめてくれたり、時にはおこってくれた、おばあちゃんに会えなくなったの…







それから何日も泣き続けた。ずっと1人自分の部屋で泣いてた…



パパもママも辛かったはずなのに…みくのことをね、励まし続けてくれた……

けど、その時のみくはひどいことしちゃった……




そんなある時ね、泣き疲れて眠っちゃったの。そしたら、夢を見てたの。



場所は分からなかったけど、暖かくて優しいところだった…



ここはどこだろう?って思っていたら、人影が表れたの。


おばあちゃん!って思わず叫んでた。するとね




「やはり、あの時の少女はあの老婦人のお孫さんでしたか」

えっ?だれ?

「私は、ネコの日。すなわち、あなたの誕生日にあなたが迷い込んだ店にいるものです」

「実はあの日、あなたと出会う前に1人の老婦人と出会いました」

「その方に伝言を頼まれましたので、お伝えしに来ました」

おばあちゃん…から?

「はい…あの日、かの老婦人はとても悲しげな顔をしていました」


ーー

ーーー

ーーーーーー



「いらっしゃいませ。どのような物をお探しですか?」

「ここには古今東西、色々な物があります。あなたの欲しい物をお渡しできるでしょう」


「実はね…私には1人の孫がいるの。ただね、おばあちゃんっ子でね。いつまでもそばに居てあげたいけど、そう長くはなさそうなの」

「だから孫にね、いつまでもそばに居るよっていう証が欲しいの。お願いできるかしら?」


「そうですね……


ーーーーー

ーーー



「そう言ってお渡ししたのが、その黒い猫の置き物です」

誕生日にくれたもの…?

「はい。お渡しした時に、最高のプレゼントを見つけられたと、喜んでおられました」



「その時に、もし私がいなくなった後、孫が悲しんでたら私の言葉を思い出して欲しいと、おっしゃっておられました」

おばあちゃん……



「これは私からのプレゼントです。この猫の置き物には、オルゴールが付いているんです。知ってましたか?」

えっ?

「聴いてみてください」


…っ!知ってる!きらきら星だ!


「はい。あなたのおばあさんはいつも、あなたのそばに居ます」

「曇っていて星がみえなくても、雲の向こうには必ず星がある。見えなくても、ずっと見守っているよ…そのような思いが込められてるのではないでしょうか」


……うん。ありがとう…おばあちゃ…ん






気がつけば、自分の部屋に居たの。


確かに、そのネコチャンの置き物にはオルゴールが付いていたんだけど、夢で言われるまで気が付かなかったの。

もちろん、パパもママも知らない…


本当に不思議なゆめだった……






そのあと何年か経って、そのお店の人にありがとうって伝えに行きたかったけど、そのお店は無くて。

地元の人に聞いても分からないって…





あとで気が付いたんだけど、オルゴールの曲はきらきら星じゃ無くて、坂本九さんの、見上げてごらん夜の星をだったの。

よくね、おばあちゃんが子守唄として歌ってくれたの…



だから、今でもこのネコチャンは大切なの。どんなに辛くても、苦しくても、おばあちゃんがそばで見守ってくれるって思えるから。



あっ別に、今のアイドルのお仕事がツライわけじゃないのにゃ。とっても楽しいよ。

いつかは、あの時ひどいことをしちゃったパパとママに恩返ししなきゃいけないし。
もし、みくのことを見て、1人でも頑張ろって思ってくれるなら、みくは頑張るのにゃ。



べ、べつに、泣いてなんか……

Pチャン…ありがと……



これからもみくのことよろしくね、Pチャン。


ということでおしまいです。

どんなにツライことがあってもめげない子だと信じてます

それではご縁があればまた

乙です

目から汗が……

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