セフィロス「学園都市…ククク」 (63)

ライフストリーム。

それは、この星をめぐる、すべての命の源。


魔術においても、星の脈―――地脈などと解釈してよく用いられる。

かつて、とある別の世界で2度、世界を手中に収めようとした元英雄がいた。
森羅カンパニーという世界的な大企業は、このライフストリームをエネルギーとして使う技術を開発した。

この森羅カンパニーの実験によって生み出されたというおぞましい自らの出生を知ってしまった英雄は、森羅カンパニーを、いつしか全てを憎むようになってしまった。

一度はクラウド達の活躍によって打ち倒された元英雄だったが、2年後に自らが創りあげた思念体のリユニオンによって復活し、世界を手中に収めようとした。

しかし、これもまた新たな英雄―――クラウドによって止められた。

しかし、彼は何度でも蘇り、世界に災いをもたらそうとする。

そして、再び復活しようというとき―――

世界に異変が起きた。

魔神オティヌスによる、世界のフィルター操作。

この操作は、同時に存在するいくつかの並行世界同士の関係に僅かな影響を与えた。

その僅かな影響が、ライフストリームを通じ―――

災厄(エイユウ)を、科学と魔術の世界へ導いてしまったのだった。


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元英雄―――セフィロスは、再び自力で世界に像を結び、思念体を生み出してリユニオンしようと考えていた。

ところが、上手く像が結べなかった。
そればかりか、従来とライフストリームの流れが少し異なっているような気さえした。

これは、何事か。

そして何より、あの古代種の少女。
名をエアリスというが、かつて彼の目論見にいち早く気がつき、クラウド達をライフストリームから支えた―――早い話が、セフィロスの邪魔をした少女の存在を感じなかった。

「……」

これは好都合なはずなのだが、いかんせん像が結べない。まるで、なにかに邪魔をされているように。

その時だった。

彼の意識の中に、男とも女とも、若者とも老人とも、大人とも子供ともつかぬ、ただの人間が現れたのは。

「―――ようこそ、この世界へ」

セフィロスの意識は混濁し、深い闇へ堕ちていった。

気がつくと、そこはミッドガル1番街のような都市の一角だった。
時間は夜。あたりは光もあまりなく、人もいない。
まず、思考を働かせ、状況を理解しようと試みる。
あの人間が、自らの意識に侵入してきたこと。
それだけでも彼にとってこの上ない異常事態なのに、何らかの力を干渉させてきた。
彼は、自分でも驚くほどにその鑑賞を受け入れ、意識を失った。

そして目覚めたら、地上らしき場所にいる。
だが―――彼の知る世界と、まるで感覚が違う。
まるで―――実際そのとおりなのだが、異世界に来たようだった。

自らの姿を確認すると、ソルジャー時代の服装ではなく、黒い装束のようなものに身を包んでいた。


「…」

ここはどこか。
何が起きたのか。
あの人間は何者なのか。

疑問は複数あったが、彼の野望はそのままであった。

一番驚いたのは、そのチカラだった。
今までで最も力に溢れている実感がある。
リユニオンしたわけでもなく、この身は完全体。

以前のようにセフィロス・コピーに行動させて、その間チカラを蓄える必要もない。
どうやらこの世界は以前の世界とは違うようなので、まずは情報を集める必要がある。

「…森羅カンパニーは……」

無いのだろうなと薄々確信しながら、彼は都市の暗闇へと姿を消していった。

セフィロスは、ライフストリームを通じてこの世界の知識を集めた。
第三次世界大戦、科学と魔術、天使と魔術師、学園都市、超能力者、グレムリン、オティヌス、アレイスター・クロウリー…

そして。

世界を救った英雄、上条当麻。

世界のすべてを知り、学園都市の闇までを知り尽くした彼は、学園都市にその身を弄ばれた者達の心の闇を利用しようと考えた。

別に、これについては大した野望はない。

クラウドのいない世界など、簡単に掌握できる。

だが、せっかく異世界に来たのだ。

少し、遊んでもいいだろうという気になった。
ただそれだけのことだった。

とりあえず一旦ここまで
仕事終わったら続けます

今更ですが禁書×FF7のクロスです
禁書×KHのクロスと迷ったけど壮大になりそうだからとりあえずこちらを書きます

更新は不定期ですが早めの完結を目指します

事情はそれぞれであった。
親に捨てられ、チャイルドエラーとなった子供が、成長するにつれて憎しみと共に能力を昇華させたもの。

高位能力者に狩られ、怒りに打ち震え、いつしか学園そのものを憎むようになった無能力者。

なんらかの事件に巻き込まれ、そのまま闇堕ちし、全てに絶望しながらただ光の無い世界を歩む者。

そういう者たちのもとに現れては、彼は決まってこう言った。

「その絶望は幻想だ。憎しみと力さえあれば、お前の手で世界なんてどうにでもできる」

私についてくるがいい。幻想などではない、真の絶望を世界に贈ろうではないか。


その言葉を聞くと、失せろと立ち去ろうとする者、否応なく襲いかかる者、二つ返事で彼についていく意志を見せた者ーーー三者三様であった。


しかし結果的に、彼は、目をつけた者全員を手中にした。
その過程は、この先明らかになる。


まず初めに起きたことは、などという順番はなかった。

それは、唐突に起きた。


「…なによ、あれ」


唖然とした顔でそう呟いたのは御坂美琴だった。

彼女の目で捕らえたのは、紛れもなく。
この星より一周りか二周り程度小さい、隕石だった。
まっすぐ向かってくる。
まだ衝突まで1週間はあるだろうが、その目で捉えられる程度には大きかった。

はじめに気がついたのは、学園都市の宇宙開発機構だった。

なんの前触れもなく、突如として現れた大隕石。

都市どころか、世界が混乱に陥った。

どうにか軌道をそらそうと、各国、学園都市もあらゆる手を尽くした。
まず戦争には使えない破壊兵器。
学園都市のみが保有する機械。
大魔術の限りを尽くす魔術師。


しかし、どれも効果は無かった。


後に、この1週間は「終焉への七日間<ハルマゲドン>」と呼ばれる。

「ってなわけで、残念ながらこの星は終わりだにゃー」

そう、あっけらかんとした顔で言うのは土御門だった。

「いやいやいや冗談じゃねえぞ、だいたい、いきなり出現した時点でおかしいだろ!?なんかこう、とんでもない魔術師の仕業とか、そういう系の大事件だったってのが事の真相で、元凶さえ突き止めればあの隕石は消えるとかそんな感じのものじゃないのか!?」

そう騒ぎ立てているのは、かつて世界をーーーたった一人の少女のために戦う過程で救った、黒髪ツンツン頭の少年。上条当麻だった。

「そうであって欲しいんだけどにゃー。俺もあらゆる手を尽くしたが、仮にあんだけの隕石を生み出すような大魔術を使用したらどう考えても気づくはずの魔術の痕跡が、世界中のどこにも見当たらないんだぜい。聖人や他の国の魔術師たちも躍起になっているが、手がかりなし。詰んだとしか言いようがないにゃー」

「だったらお前はこのままあの隕石と地球の衝突に巻き込まれて、他愛もなく死ぬのかよ!?」

「気持ちはわかるぜいカミやん。けどな、どうしようもないものはどうしようもないんだぜい」

「土御門ーーー」

「ま、俺も最後まで諦めはしないぜい。やれるだけのことはやってやる。俺はともかく、舞夏が死んじまうのは納得いかないからな」

「どっちだよ!?」

とは言いつつも、上条はほっとしていた。
彼は、親友の土御門が、いつも自分を導いてくれた(あらぬ事件に散々巻き込んでくれたけども)土御門が絶望してしまったら、本当にダメなのかも知れないと自分も思ってしまうだろうことを直感していた。

だから、強く頼りになる男が諦めていないというのは、彼にとっても大きいのである。

ーーーその心の深淵が、絶望に染まっていようとも、見えなければ問題はないのだから。

「で、魔術でもどうにもならなかったってのはどういうことだ?」

「まず一つは、単純に火力の問題だぜい。一言で言ってしまえば、歯が立たないんだにゃー。大質量、超高速の物体ってのは、小賢しい技なんぞ通用しないのかもしれないぜい」

「本当にそうか?今まで、とんでもない力の持ち主なんてたくさんいた。それこそ、星なんて簡単に潰せるような。なのに、歯が立たないなんてことあるのかよ?」

「まあまあ、あくまで仮説だ。他にもいくつか理由はある。例えば、距離がありすぎることだ。ねーちんなら直接破壊できるかもしれないが、まず近づけない。が、破壊できるところまで近づいて来ちまったら、衝撃波や熱でこの星とはおさらば。八方塞がりってのはこういうことだぜい」

「遠距離攻撃は?」

「届かない。とはいっても、距離、空間を無視した攻撃ももちろんあるし、ビームみたいなのもあるが、それについてくる問題はさっきの単純な火力。困ったもんだぜい」

「…」

御坂の超電磁砲もあの射程距離じゃまず突破はできないはず。アクセラレータならどうだ?反射できるんじゃないか?

そう考えていたところで、土御門はそれを知っていたかのように話を進める。

「ちなみに、アクセラレータもアレには困っちまったみたいだ。あいつの全力が出せる時間は限られてる。その時間内にアレを破壊できる距離を考えると、やはりかなり近づかなければ試みることも出来ない。が、その距離はアウトだ。星は悲惨なことになる」

「第2位とか、第4位とかは?」

「カミやんはその辺と知り合いじゃないはずだが?」

「そんなことは関係ねぇよ、破壊できるならしてもらいたいだろ」

「結果から言うと、第2位には可能だ。アレの能力はハチャメチャだ、まるでなんでもできる神様みてーなもんだぜい。触れたものを完全に消滅させる物質とか、そういう常識はずれなモノを生み出せるからな」

「じゃあ…!」

「ただ問題は、この星全土を多い尽くせる、あるいはあの隕石の直径以上の大きさのそういうめちゃくちゃな壁を生み出し、宇宙空間にキープし続けるだけの演算能力があるかどうかだ。結論から言えば、ない。第2位なのは、第1位に比べて演算能力が低いとか、そんな理由だとも言われてる。真相は知らないがにゃー」

「だ、第4位は!?」

「破壊しきる前に力尽き果てて死ぬんじゃないか?というか、あいつの力は一点破壊型だ。隕石を粉々にできたとしても、そんなことをしたら凄まじい数の、とんでもない威力の流星群がこの星を襲う。力のある魔術師や能力者が何人いても足りないし、確実に星のほとんどは荒野と化すぜい」

「…ちくしょう」

ことごとく手立てが消えていく。

本当になす術ないのか。

世界のあちこちを、希望と絶望の螺旋が覆っていた。

「7日後には、この星が完全に終わるカウントダウンが始まる距離まであの隕石は近づく。つまるところ、あと七日間しか人類は行動できない。俺様の右手でもどうにもならん。オッレルス、お前はどうだ?」

紅茶を悠々と飲みながら魔神になり損ねた男ーーーオッレルスに問いかけるのは、かつて救いのために世界を滅ぼそうとした男、フィアンマ。

「率直に言えば、魔神じゃないと無理だ」

困ったなあ、という顔でそう告げるオッレルス。

「なんだ、もう諦めてしまったのか?魔神に最も近いと謳われた男が、なんとも情けないことだな」

「別に諦めちゃいない。ただね、アレを止める方法はわかるんだ」

「…なんだと?」

「まず一つ目。気合で破壊する。…魔神にしか破壊できないなら、魔神相当の力を得ればいい。今から魔神へ昇華することに僕が全力を尽くすか、あるいは全ての魔術師の命と引き換えに膨大な魔翌力を集めてアレにぶつけるかだ」

「それで破壊できる見込みは?」

「ある。がーーー実行しようにもそうはいかないだろうね、容易には」

「他には?」

「こちらの方が早いかもしれない。ーーー術者を見つけ出し、倒す」

「アレは魔術だと?」

「少し違う」

「ではどういうことだ。言ってることが無茶苦茶ではないか」

「僕たち魔術師は、地脈などを利用し、つまり星の力を借りて魔術を行使することが多々ある。アレはね、星の力そのものだ。つまり、魔術的な意味も大きく含んだもののはずなんだよ」

「あれが星の力だと、なぜ断定できる?」

「おいおい、僕が魔神のなりそこないなのを忘れたのかな?感じるんだよ、この距離でもーーーそういう、魔術に近からず縁のある力をね」

「フン、世迷言だ」

「まあとにかくだ、突然現れたんだから、突然現れるだけの何かがこの世界にはある。それを残り、今日を抜いて6日間で見つけ出す。そして止める、これが最善だろうね。並行して、僕も魔神により近づくことを試みる」

「だろうな。ならば早速行こう、時間が惜しい」


遠く離れた世界の果て。
二人の魔術師が、世界を救うために動き出した。

実を言えば、このことはインデックスにも分かっていた。
だが、上条に伝えるかどうか、決断ができずにいた。
言えば、またどこか遠くへ行って、死にかけるかも知れない。
でも、言わなかったとしても、このままではみんな死ぬ。

神に祈るしかないと思った。

だが。

かつて魔神であった、今やただの小人であるオティヌスが、不意にこんなことを言ってしまった。

「どうも、アレは私には人為的なものに見える。今まで世界を操作しまくったが、その過程で星の力のようなものにもなんども触れた。それをほんの少し、利用するーーーといっても、滝の近くの水蒸気に触れる程度がせいぜいだが、その力を利用する魔術師もいる。魔術で生み出したとしたら相当だが、そんなことができるやつなんて魔神以外にはおるまい。だが、それでも私には生み出されたものに見える。得体の知れない何かだ。何かが、アレを創り上げた。だから、そいつを止めればーーー」

元魔神の、信頼に値する発言。

上条当麻が奔走するには、十分だった。

セフィロスは、眠りについていた。
あるはずのない黒マテリアの力を使い、黒魔法メテオを発動した後、自身のコピーを複数残し、星の内部へと入っていった。

あるはずのない、黒マテリアの力。

うっすらと感づかれたのは、単純にライフストリームの影響だけではない。
黒マテリアの力を別世界から呼び起こすのに、魔術を行使したからである。

セフィロスが、ではない。

世界最悪の魔術師、アレイスター・クロウリーが、である。

圧倒的なライフストリームの前に、魔術の「匂い」などかき消される。

セフィロスは、自身に魔術を重ねられたことを知らない。
使えるようだから、使った。

ただそれだけだった。

今日はここまで。

神羅だった、ミスった。
次からは直す、ありがとう

「設定雑すぎワロタ」とか言われんのかなと思ったらマジレスだった
なんか適当だなって思ったところは適当に脳内補完しといてつかぁさい

やっぱ暇だから続ける


ーーーセフィロス・コピーは5体いた。

一体は学園都市に留まった。
一体は、ロシアへ。
また一体は、ある目的のために世界各地を巡る。
次の一体は、イギリスに。
そして、最後の一体は消息不明となった。


学園都市に留まったセフィロス・コピーは、学園都市を襲撃する使命をオリジナルに与えられた。

心を闇に染め上げた少年少女を使った、学園都市襲撃。



ーーーーーー世界の終焉まで、あと6日。

「…で、世界が終わるっつーのに、なんだこの緊張感のなさは」

「世界が終わるからなんだってんですか?あんな、麦野でも超どうしようもないものなんて、考えるだけ無駄でしょう。大人しくB級映画を見ていた方が超得策です」

「きーぬはたぁ、少し黙っとけ」

「ひぃ!?」

「はまづら。あと6日間、どうする?」

「どうってそりゃまあ、俺は最後の瞬間まで滝壺と一緒にいるよ。死ぬときも一緒だ」

「はまづら…」

「滝壺…」

「あー、超砂吐きそう」

「まったくだわ、一足早く地獄に送ってやろうかしら、浜面だけ」

「いや待てそれはおかしい!?どうせ死ぬってのになんでわざわざ幸せの最中で殺されなきゃいけないんだ!?」

「そりゃ、浜面だからでしょ」

「説明になってねえんだよ!!」

「あーもーうるせぇな、ぐちぐち抜かすと本当にあの隕石に向かってテメェをぶん投げさせるぞ」

「麦野、それやるのって確実に私ですよね?浜面なんかに体力を超使わせないでくださいよ」

「まーそれもそうだな。おい、やっぱり滝壺を残してさっさと隕石に突っ込め馬面ヒーロー」

「浜面だ!!それとなくディスってんじゃねえ!!」

「お前いつからそんなに気がでかくなったよ?殺されてぇのか?」

「もうどうせ死ぬから何も怖くねぇんだよ、ざまぁみ…いや、あのほんと冗談なんでやめてくださちょっとあのまじでギャゥアアアァァァっ!?」

光線が浜面の頬をかすめた。

冷や汗を書いていることにすら自分で気づかない。

「あ、ああああぶねーだろ!!」

「いいだろどうせ死ぬんだから今死んだって」

「よくねーよ!?話聞いてたかよ、俺は滝壺と添い遂げるんだーーー」



「いいや。お前ら"アイテム"はここで終わりだよ」


「…あ?」


声のした方へ麦野が向くと、そこには。

黒いコートを身にまとい、フードを深く被った男ーーー声から察するにーーーがいた。

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