伊織「こ、これ、アンタに!」 (23)
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アニマスしかかじっていないので1人称などずれる場合があります
伊織「いよいよ、明日、ねぇ……」
……あのお方に、ですね
伊織「アンタも察するようになれたじゃないの、って言いたいけど、まだ二つ足りないわね」
……材料なら用意してあります、"市販"の物を
伊織「ご名答、ただ追加で後一つよ」
……では私はこれにて失礼します
伊織「新堂喜びなさい、給料1.3倍にしておくわ!材料手配お疲れ様」
伊織「これで1人、材料も市販とね……」
伊織 (去年のような過ちは犯したくない、今年こそはアイツを……!)
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364日前
P「お疲れ伊織、今日もスケジュールキツかったな」
伊織「そうね……ところでアンタ、欲しいものがあるんじゃないの?」
P「給料の事か?伊織の頑張りもあって生活は安定してるよ」
伊織「そうじゃなくて!ほら、今日は?」
P「建国記念日は過ぎたしオフは暫く取れない……ごめんな、無能で」
伊織「……アンタ、わざと言ってるの?第一この伊織様が認めたプロデューサーなのよ、無能なわけないじゃない!」
伊織「でも女の子の気持ちには鈍感なのね全く、2月14日」
P「えと……バレンタイン、だっけ」
P「……それで」
伊織「……だからアンタにあげるって言ってるのよもう!」つチョコ
伊織「言っとくけど、義理だからね!勘違いしないでよ!」
P「いや逆に本命はアイドルの立ち位置として不味いんじゃないかな?」
伊織「っ……馬鹿っ」
P「馬鹿って……あ、トップアイドルとしてそれ位分かってるって事か」
P「お節介すまなかった、伊織」
伊織「そうじゃなくて!……いや、そうなんだけど!」
伊織 (そこはえ?何だって?じゃないの!?)
P「どっちなんだ……よし伊織、開けるぞ」
伊織「い、良いわよ見て驚きなさい!」
パカッ
P「……GORIRA?」
伊織「6334の63すら済ませたか怪しいわよアンタ!GODIVA!ゴディバ!」
P「あ、あのものすんごいぼったくりの……」
伊織「上 質 の ! 1つ1000円の特注品よ!」
提P「そうなのか……、まぁありがとな」
伊織「何よ、不満そうじゃない」
P「まぁ、実はな……」
伊織「……え?」
伊織「何よ、伊織様のプレゼントに文句があるとでも言いたい訳?」
提督「文句……ではないんだが、何というか……既製品か、みたいな」
提督「プロデューサーとしては、板チョコから作った伊織お手製のチョコが良かったかなーなんて」
伊織「でも味は確実にこれとは落ちるわよ」
提督「いいやそれは無いな、むしろ美味しくなるまでである」
伊織「天下のGODIVAより美味しい、とでも?」
提督「いいか伊織、相手に対する気持ちがあれば、例えどんなに安くたって美味しく作れる」
伊織「……」
提督「確かにGODIVAは旨い、だが何らかの形でのお返しだけを求める女の子に対して男はその形も求める物なんだ」
伊織「めんどくさいわね……」
提督「男はめんどくさいんだよ」ハハ
提督「だから伊織、来年手作り期待して待ってるぞ……材料は市販限定で、な?」
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伊織 (表向きにはしなかったけど、あの頃から既に私はアイツの事を……でも、去年はその気持ちが遠回しにすら伝わらなかった)
伊織(だから今年こそは絶対に成功させてみせる、そしてアイツに……)
伊織「とは言ったものの……料理自体殆どやったことないしどうしよう」
伊織「生チョコが一番、無難と言えば無難かなー」
伊織「一応レシピは新堂に添えてもらったから出来なくはないけど……そのままじゃつまらないわね」
伊織「よし、アレンジしちゃおう!ニヒヒ、ハバネロなんてどうかしら♪」
伊織「そうなればまずはチョコを溶かす所で……あれ、新堂のレシピに追記があるわ」
伊織「誰のためのチョコか考えて下さい、またもしアレンジなど血迷ったらこのURLを参考にしてください……URL先で判断するわ」
チラッ
伊織「」
伊織「確かに今私はアイツのためじゃなく、自分の欲を満たすためにチョコを作ろうとしてた」
伊織「それじゃダメよね、誰のためのチョコなんだかさっぱりわからないじゃない!」
伊織「そう、だから私は今からアイツの為にチョコを作る……………本命をね」
伊織 (それにしても新堂は本当にエリートね、後でアンタの分も用意してあげておくわ、感謝しなさいよね!)
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部屋外
新堂 (今恐らくお嬢様は嫁のメシが不味いの過去スレを読んでいる頃……)
新堂 (これを見て、誰に向けてのバレンタインか再認識してください、お嬢様)
新堂 (応援していますよ……!)
伊織「まずはチョコを溶かすのよね」
伊織「湯せんしないといけないって書いてあるけど、湯せんって何よ……おーい新堂!」
伊織「あ、全部一人で作るんだったわ……こんなの、やよいなら簡単に出来るのかなぁ」
伊織「幸い手元にはスマホがあるわ、聞いてみようかしら」
伊織「あーもしもし、やよいかしら?」
やよい「分かるけど、説明するくらいなら調べた方が早いかなーって」
伊織「あ、スマホで調べられたんだった!」
やよい「つい最近自慢してきたよね伊織ちゃん……でも、私にはあんなこと出来ないなぁ」
伊織「やよいは料理出来るじゃん、私なんて……」
やよい「そんなこと言っちゃダメだよ!プロデューサーに渡すんでしょ?」
伊織「なななな何を」
やよい「この時期に湯せんってチョコ関係しかないと思うけど」
伊織「……あはは」
やよい「最初から隠さなくていいのに」プー(半角)
伊織「もしかして、やよいも?」
やよい「うん、でも事情はちょっと違うかなーって」
伊織「え?」
*前レスプー(半角)→プー
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春香「美希ちゃんそれはごま塩!」
美希「だっておにぎりに見えてきたんだもん……あふぅ」
雪歩「あわわわ、私なんて生クリームみたいな色しててだめだめで……」
春香「雪歩ちゃんまだ何も穴掘るような出来事ないよ!?」
千早 (生クリームみたいって……っぷ!)
やよい「皆さんと協力して作ってるんだ!」
伊織「それ、皆に妨害されての間違いじゃないかしら……」
やよい「うーん、確かに自分一人の方がすぐ作れるけど、やっぱりこっちの方が楽しいかなー」
伊織「なるほどね、やよいが楽しければいいんじゃない?」
やよい「うっうー!」
伊織「元気そうで良かったわ、ところで私何の用だったっけ?」
やよい「うーんと……湯せんの意味、じゃなかった?」
伊織「ああそれだわ!でも電話越しの春香達の会話で何となく分かったし、もう大丈夫よ」
やよい「何も説明してないのに!?」
伊織「要は直接チョコを火に掛けなければいいんでしょ?」
やよい「す、すごいです伊織ちゃん!合ってる!」
伊織「ま、実力よ♪」
やよい「じゃもう大丈夫だよね!」
春香「助けてやよいちゃんー!ヘルプミー!」
やよい「皆さんにも呼ばれてるし切るねー、伊織ちゃん頑張って!」
伊織「え、えーっ!?」
ガチャ
伊織「……切れちゃった」
伊織 (でも、今ならなんだか出来そうな気がする)
伊織 (やよいとの電話で、少し緊張がほぐれたから……ありがと、やよい)
伊織「さてと、湯せんするにはまず鍋が必要よね」
伊織「こんな感じでいいかしら、温まってきたら余熱で行けるわよね?」
伊織「チョコが溶けたら……えっと、生クリームを板3枚に対し100ml」
伊織「計量カップは小さいの……えと、これが200mlだから2分の1でこれくらいかしら」ザー
伊織「後は固めれば……♪」
1時間後
伊織「」
伊織「しまった……」
伊織「ラップ、敷いてなかった……」
伊織「ラップを敷かないと、チョコが上手く容器から剥がれない……」
伊織「せっかくのプロデューサーへのチョコが……そんな………」
伊織「あっ……」
ボロッ
伊織「もう、全ておしまい」
伊織「悲しいわね、ここまで頑張ったのがミス一つで消し飛ぶなんて」
伊織「……涙一粒、出てこないわ」
伊織「………もうこんなもの!!!」グッ
バタン!
新堂「お待ち下さい!」
伊織「新…堂?」
新堂「お嬢様はチョコが崩れただけであのお方に気持ちが伝わらないとでもお思いなのですか!」
伊織「でも……!」
新堂「相手に対する気持ちがあれば美味しくなる、そう言ったのはあのお方自身じゃないですか!」
伊織「!」
新堂「気持ちさえあれば喜んでくれるはずですよ!!」
伊織「……根拠は」
新堂「渡し手が伊織様だからですよ」
伊織「ふふ、いい事言ってくれるじゃないの、ありがと」
新堂「いえいえ、では引き続き……といっても包装だけでしょうが、頑張って下さい」
伊織「ええ、頑張るわ、なんせこの伊織様ですもの!」
伊織「……出来た」
伊織「出来た!新堂いるんでしょ?出来たわよー!」
新堂「ええ、おめでとうございます……ところで、何故二つも?」
伊織「新堂、片方はアンタの分よ」
伊織「いつもお世話になっているから……明日のスケジュールが過密だから今渡すわ、いつもありがとう」
新堂「お嬢様、新堂は誠に光栄でございます」グス
伊織「新堂、泣くなんてみっともないわよっ」
新堂「不覚、感極まってしまったものですから」
新堂「一生の思い出とさせて頂きます」
伊織「思い出にすると言っても、ちゃんと食べてよ?」
新堂「勿論ですよ」クス
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当日
春香「これ、私達からです!受け取って下さい!」
美希「実際殆どやよいがやったような物なの」
やよい「うっうー!」
春香「」
千早「全くです」
春香「」
雪歩「天海さん、穴掘って埋まるレベルに恥ずかしいですよ」
春香「」
P「ま、まぁ……やよいが頑張った事は分かった」
春香「」
P「でも皆で作ったんだろ?ありがとな」
春香「ヴァイ!」
美希「春香は少し黙るべきなの」
春香「」
伊織「ね、ねぇプロデューサー」
P「おっとすまない、今日は1日伊織のバレンタイン特番で出ないと行けないから俺はもう出るわ」
P「伊織、行こうか」
伊織「え、うん……」
その後、私はスケジュールに追われてろくに渡すタイミングも無いまま……
ディレクター「生放送、お疲れ様でしたー」
伊織「お疲れ様でした」
P「伊織、そのまま家まで送るよ」
伊織「お願い、ところで今何時……」
P「23時54分だ、朝からなら疲れるのも無理はない」
P「ゆっくり休むんだ」
伊織「……良かった」
P「ん、何が?」
伊織「あ、あのね、私……アンタに渡す物があるわ」
P「なんだ?」
伊織「こ、これ!」サッ
伊織「ちゃんと1から、頑張って作ったわ……アンタのために」
伊織「う、受け取らないって言ったらどうなるか分かってるわよね!」
P「……」
伊織「な、何よ……」
P「……」
伊織「もしかしてまた駄目、なの?」
P「……」
伊織「黙ってたら分からないじゃないの!」
P「……」
伊織「な、何か話しなさいよ!!」
伊織「ね、ねぇ……」
伊織「!?」
P「伊織……」ギュッ
見てくださっている方がいるか分かりませんがPC固まりました
復旧までしばらくお待ち下さい
提督
P「嬉しいぞ、伊織」
伊織「うぅ……最後までアンタは、不安にさせて………」
P「いや、抱きついていいのか葛藤してたんだ」
伊織「いいに決まってるじゃない……」
伊織「だって私、アンタの事が……アンタの事が………す、す」
P「伊織、それ以上はアイドルとして個人に発してはいけない言葉だ」
伊織「でも……っ」
P「分かってるよ、そしてそれは俺もだ」
伊織「……!」
P「でも今は、Pとアイドルの関係でいないといけない」
P「だから……いや、その代わり一つお願いがある」
伊織「?」
>>14
完全にミスです
P「俺のホワイトデー、期待してくれ」
伊織「……ん、精々この伊織様を退屈させない事ね!」
俺は一つ、嘘をついた。
勿論伊織は女の子として好きだし、ホワイトデーも張り切るつもりだ。
じゃあ何か?
実はあの時、間に合って無かったんだよ。
既に15日になってたんだ。でも……
伊織「お願い、ところで今何時……」
あんな不安そうな顔で箱を隠している伊織に、真実は告げられないだろ?
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今日もステージで輝く伊織。
それを監督する俺。
……さて、ホワイトデーまでに料理できるようにしないとな……ますます寝れないな………
と言うわけで一個人の脳内妄想の掃き溜めとして短編ですが投稿させていただきました
お付き合いいただき、ありがとうございましたー
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