【PSYCHO-PASS】#01 あんた…西暦何年だ?【攻殻機動隊】 (36)

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シュビラからの御案内です

社会アンケートにご協力ください。

No.004
あなたはゴーストの存在を信じますか?

□はい
□いいえ
□わからない
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423830976

公安局内、刑事課オフィスA
いわゆる大部屋
刑事課一係のメンバーが集う場所だ

時刻は早朝
当直に当たっている3人の刑事がいた

三人三様に出動待機している

一人は、キーボードを叩き
一人は、退屈そうに天井を見るように椅子にもたれかかっている
一人は、腕をくみながら自分の椅子に座っていた

腕に巻き付けた携帯端末にお知らせが着いた

キーボードを叩く腕を止めて確認してみると………

ゴースト…………つまり、幽霊

居るのか居ないのか、考えたこともない
アンケートにはわからないと答えよう。

携帯端末を操作しようとするとあくびが聞こえた。

「ふぁああ~~…………なぁ監視官、もう当直終わってもいいか?」

沈黙を破ったのは、退屈そうな
狡噛 慎也(こうがみ しんや)執行官である。

「ダ、ダメですよ狡噛さん ちゃんと時間までいないと」

透明なモニター越しに狡噛を諭すような視線を送る常守 朱(つねもり あかね)監視官

「けど、あと二分だぜ?もういいだろ」

「………コウ、やめとけ 「伸元」にバレたら大目玉だぞ。」

「………とっつぁんに言われたらしょうがねえか 確かに「ギノ」にバレたらめんどうだな」

「それに伸元のことだ もう部屋の前にいるかもしれんぞ」

「ハハッ違いねえ」

征陸 智己(まさおか ともみ)執行官を「とっつぁん」と呼ぶのは狡噛である。

二人が言っている「伸元」「ギノ」は、同一人物であり
常守の先任監視官にあたる

宜野座 伸元(ぎのざ のぶちか)である。

「おはよう」

……噂をすれば、だ

「おはようございます宜野座さん」

「当直勤務ご苦労、常守監視官」

「コウちゃんおつかれ~」

「みなさんお疲れ様です 引継ぎます」

狡噛が征陸を「とっつぁん」と呼ぶように

縢 秀星(かがり しゅうせい)は狡噛を「コウちゃん」と呼ぶ

六合塚 弥生(くにづか やよい)は事務的に挨拶をする

図らずも刑事課一係のメンバーが一堂に会した

………まるで図ったかのように緊急通報が入る

『渋谷区KHI第2ビル内部にて正体不明の移動物体を感知。廃棄区画であるため監視官は執行官を伴い、直ちに現場に急行してください。』

「………さて この場合は、どうしたらいいんだ?」
狡噛が茶化すように言う

確かに、引継ぎはまだ終わっていない
しかも、時間的にもまだ当直の担当時間だ。

一瞬の沈黙のあと、局内通信が入る

『禾生だ この事件は常守監視官に担当してもらう
また、狡噛慎也執行官と征陸智己執行官には常守監視官の警護及び必要に応じての執行任務に当たってもらう』

公安局局長の禾生 壌宗(かせい じょうしゅう)からだ。

「………さて、お仕事お仕事」
征陸が立ち上がり、その後ろに狡噛が着いていく。

『また』

通信はまだ続いていた。
出口に向かっていた二人が足を止め振り返らず耳だけを立てる

『狡噛慎也執行官は直ちに局長室に来るように』

「………お嬢ちゃん」

「は、はい」

狡噛が局長室から帰ってくるのを車で待っていたら
征陸が口を開いた

「あぁ………うまくは言えないんだがな…… 気をつけろ」

「?」

「今から行く現場なんて呼ばれてるか知ってるか?」

「いえ、知りません」

「不思議の国 ワンダーランドだよ」

「わんだーらんど?」

「そこの周辺では不思議なことが起こるらしい」

「そうなんですか…」

「例えば、周りのものが突然大きくなったとか、タイムマシンじみた機械を見たとか」

ガチャ

「例えば、幽霊を見た………とかな」

バタン
話を聞いていたのであろう。
狡噛が車に乗り込みながら話を引き継いだ。

「幽霊」

アンケートを思い出した。

「で、でも 所詮噂でしょう?」

「監視官 シュビラがある今現在、噂が出てくるという時点でそこで何かが起こっているのは疑いようのない事実だ」

「まぁ、これは刑事のカンってやつだ お嬢ちゃんも気を張っとけって事だ
 さながらアリスにでもならないようにな」

アンケートと関連しているように思うのは気のせいだろうか、
きっと気のせいだろう
考えている間に狡噛と征陸が会話していた

で、コウよ 局長殿はなんだって?

悪いなとっつぁん 口止めされてんだ
必要と判断したら話すように とのことだ

そうかい、わかった
必要なければいいんだがな

違いねえ

現場は、KHI第2ビル 剣菱重工株式会社の関東支社だったビルだ。
廃棄区画とは、つまるところ無法地帯。
シビュラシステムの整備が行き届いていない為
街頭スキャナを逃れようと逃げてきた犯罪係数の高い人物が潜むこともある。
要するに危険人物が潜むにはうってつけな区域なのだ。


「ここ………ですね」

白兎、懐中時計、猫、トランプ

様々な落書きが施された廃墟ビルが建ち並ぶ奥に目的のビルは存在した

廃棄区画でありながらそのビルは威厳的風格を醸し出す

まるで昨日掃除されたかの様に汚れ一つない窓
純白という言葉以外に表しようのない壁
室内に見える蛍光灯もどれ一つ割れていない
奇妙な建物がそこにあった

灯りの一つもついていないビルの前に着いた3人は、引き連れてきた装備運搬ドローンから特殊拳銃ドミネーターを引き抜く。

探索の準備をしながら朱が無線機に話しかける。

「通信チェックします こちらシェパード2」

『ハウンド3感度良好』
『ハウンド1同じくよく聞こえるよ』

外周をぐるっと一周
朱と狡噛は右周り
征陸は左周りで探索することになった


『お嬢ちゃん、見つけたぜ。不思議の国の入口』

ビルの入口を見つけた征陸から連絡が入り朱と狡噛が合流する。

通信チェックを兼ねて最終確認

「状況を」
『ハウンド3突入準備OK』
『こちら、ハウンド1 こっちもOK』

「了解しました 突入します」

朱の突入命令を受け執行官二人が突入する。

監視官は基本的にバックアップに当たる。
執行官二人を盾にするようにして、周りを警戒する。

「クリア」
『クリア』
『クリア』

一階に脅威は発見できなかった
身の安全を確保してから見渡してみる。

一階は受付だろうか。今ではホログラムで賄うような大きな噴水が鎮座している。

「アラームの鳴った場所は二階らしい」

狡噛が声を潜めながらいう

「禾生局長殿からのご進言だ」

「そうかい………行こうか、監視官殿」

「はい」

探すまでもなく階段は見つかった

再び警戒しながらゆっくりと階段を上る

階段からは雰囲気が変わり手すりが外れ、壁には傷跡があった

二階に上がると月明かりが差し込んでいた

どうやら壁が崩れているらしい

なぜ外から見て分からなかったのか

「ホログラム………か」
狡噛が思案を口に出す

外壁にホログラムを投影
倒壊した事実を隠していた

三人とも直感的に感知する

なにかある

三人の刑事のカンがそう告げる

その事実に気を取られ
もう一つの事実に気づくのが遅れた。

三人の前に何かが居た。
背中を向けられているのだろうか。
向こうは、多分気づいていない。

背中を向けられているのだろう と思うのは理由がある

どこを向いているのかわからないのだ

その何かはホログラムが崩れ、まるで砂嵐のような姿になっていた。

ホロコスの変換状態が連続しているかのようだ。

「監視官」

狡噛が指示を仰ぐ

「待って下さい、私が行きます。」

「お、おい」

征陸が手を伸ばし制止しようとするが
既に手の届かない距離にまで朱は進んでいた。

息を潜め
足音に気をつけて、相手に呼吸を合わせ同化する。

一歩………また一歩

ドミネーターの照準を合わせ近づいていく。

ドミネーターの射程範囲に対象を入れる。



「動かないで」

対象が一瞬驚いたように体を硬直させた。

しばらくの間があった後、観念したように両手と思われる部分を挙げる

ここまで来たら後はいつもどおりだ
トリガーを引いて犯罪係数を算出
そして係数が一定以上なら執行

いつもどおり………
『対象に照準を合わせてトリガーを引いてください』

トリガーを引く
『……………対象を捕捉できません』

『対象に照準を…………』


「え?」

朱の動揺を見逃さなかった対象は
一瞬の隙をみて射線外に逃れる。

ドミネーターが効かない?
そんなことありえない
シビュラシステムでそんなことはありえない

シビュラのシステムにハッキング?
ありえない
シビュラのバグ?
ありえない
頭の中で様々な憶測が飛ぶ
いや、飛ぶように錯覚した。

最初から自分が出す答えは見えていた
見たくなかった

まさか、まさか

幽霊

声が聞こえた

あなたたちはなにもの?

聞き慣れた声が応答した

公安局刑事課一係 狡噛慎也だ

知らない声

公安局……… つまり、警察よね?

知ってる声

あぁそうだ

知らない声

そう、安心したわ

知ってる声

事情はだいたい察している。あんたに聞きたいのは二つだ。

あんたはどこの誰だ?

「公安9課 草薙素子」

あんた…西暦何年だ?

「そう、全部分かってるのね 有難いわ」



続く

短くてすいませんが今日はここまでです
読んでくれた方ありがとうございます

三人称基準なんだろうけど不自然な主語の省略のせいでたまに訳わからなくなるところがある

あと三人称でも個人の主観を文として入れることがあるのは分かってるが
>>1の文章中だとそれが唐突すぎてん?ってなる

などといろいろ言いましたが期待しております
文章に関してはできる範囲で気にしてみたら?

>>30
指摘ありがとうございます
気を付けていきます
感謝です

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