キバ「これが落ち着いてられっか！！　ちゃんと分かってんだぞ？　俺をこんな所に縛り付けたのはお前だろうが！」

ヒナタ「だって、こうでもしないとキバ君は私の言う事なんて聞いてくれないし……」

キバ「俺をどうするつもりだ？　エロ漫画みたいな事しようたって、そうはいかねぇぞ！」

ヒナタ「……」

シノ「キバ……いくら何でも今のはないぞ。俺は今、ドンビキというのがどういう心理状態なのかを身をもって学ばせて貰った気分だ」

キバ「シノ！！　お前いつの間に！？」

シノ「……俺は今とても落ち込んでいる。何故なら俺は最初からずっとここにいたからだ」

キバ「影が薄いんだよ、お前はよ……つーか、お前らグルかよ？！」

シノ「お前は何か勘違いをしている。俺達は別にお前に危害を加えるつもりはない」

キバ「こんな事しといて、よく言うぜ」

ヒナタ「ごめんなさい……でも、中忍になってナルト君の背中に追いつくチャンスは今しかないの。ナルト君が修行に出てる今しか……」

キバ「ならライバルになりそうな、ネジやらリーを狙えば良いだろ！　試験はスリーマンセルだぞ！　チームメイトの俺を縛ってどうすんだよ！」

シノ「……お前は自分が里でどういう評価を受けているか分かるか？」

キバ「あん？　里の地理に詳しくて、リーダーシップと忍術の才能を持ち合わせた将来の火影候補ってところか？」

ヒナタ「……」

シノ「ヒナタ、やはりキバはもうダメだ。諦めてサクラをチームに誘おう。何故ならキバがいると俺達の予選落ちが確定的だからだ」

キバ「てめぇシノ！　喧嘩売ってんのか！！」

ヒナタ「落ち着いてキバ君、そうじゃないの。キバ君の強さや実力は私達が一番、分かっているから」

キバ「なら何でこんな……」

ヒナタ「私達は十分、理解してる。でも他の人達はそうじゃないの」

キバ「はぁ？」

シノ「最近、俺達の世代は周囲からナルト世代と呼ばれ、ナルトが徐々に里から認められるに合わせて、その実力が評価され始めている」

キバ「へっ、ナルト中心なのは気に食わねぇが、まぁ悪くはないな」

ヒナタ「でもね、ただひとつ問題があるの」

シノ「お前だ。キバ」

キバ「へっ？」

ヒナタ「あのね、何故かキバ君だけ、その……」

シノ「……」

キバ「俺だけ何だよ？」

ヒナタ「えっと、その……落ちこぼれ扱いされてるの」

シノ「今、里でのお前の評価は、虎の威を借る狐だ。もちろん、この場合の虎は赤丸だ」

キバ「……」

ヒナタ「ショックなのは分かるけど嘘じゃないの」

シノ「アカデミーでも『俺にも赤丸さんみたいな立派な相棒がいれば簡単に卒業できるのになぁ』という冗談が流行っている」

ヒナタ「本当に何故か分からないの。でも成果は全て赤丸君のおかげ、失敗は全てキバ君の責任って事になってるから……」

シノ「最初は、ほんの冗談だったはずなんだ。だが今ではキバの実力を認める事は自分の見る目の無さを認めるかのような空気になってしまっている」

ヒナタ「ほら、木の葉の里って、そういうところあるから……」

キバ「俺がいると自分達が中忍になれないから俺をリタイアさせようってか？　見損なったぜお前等！」

シノ「お前がそう言って勘違いをし、俺達を軽蔑してしまう事は予測済みだ。だから拘束させて貰っている」

ヒナタ「キバ君！　ナルト君を思い出して。昔はチョウザさん達に命を狙われるぐらい嫌われてたのに、今は実力で皆を黙らせてるんだよ」

シノ「今からお前を鍛えなおす。周りの評価を覆すレベルで強くなって貰う。出来ないという事はないはずだ。何故ならナルトに出来たのだからな」

キバ「……」

>>10
シノが推薦する師匠

>>11
ヒナタが推薦する師匠

赤丸

カカシ

シノ「問題は師匠だな。何故なら闇雲に自主トレをしていても限界があるからだ」

キバ「何を言ってんだ？　先生なら紅先生がいるだろうが」

ヒナタ「キバ君……何て純粋なの」

シノ「……お前は紅先生に何か技の指導をして貰った記憶はあるか？」

キバ「そう言えばないな……あれ？　何でだ」

ヒナタ「キバ君は、その……げ、幻術の練習で幻術に掛かる役にされてるから……」

キバ「えっ？」

シノ「紅先生は木の葉でも最高レベルの幻術使いだ。しかし幻術の練習には相手が必要となってくる。何故なら手裏剣練習のように木を相手にしても全く成果が分からないからだ」

ヒナタ「それ以外は殆ど自主練習と、それに対するアドバイスだけだからね」

キバ「……」

シノ「思えば、その訓練の様子を見た事で お前を馬鹿にする者が増えたのかもしれないな。何故なら幻術に掛かっている人間は周りから見ると、とても滑稽だからだ」

キバ「何だよそれ……ひでぇよ紅先生……信じてたのに」

ヒナタ「……ごめんね。いつもありがとう」

キバ「大体、そういう役は別に準備しといてくれよ……俺には最初から幻術を教えるつもりがなかったってのかよ」

シノ「安心しろ。代わりに赤丸が覚えている」

キバ「えっ……」

シノ「丁度良い。赤丸に修行をつけてもらえ。どうせ今のお前にまともに指導してくれるような大人はあまりいない。何故なら今の木の葉にとってキバの師匠という立場はとても不名誉だからだ」

ヒナタ「最近は紅先生も『早く結婚して忍者辞めたい』って言ってるしね。あ、ゴメンなさい。それはきっとキバ君が原因じゃない、よね。多分……」

キバ「……」

キバ「じゃあ赤丸に幻術を教わるから、どっちか幻術に掛かる役になってくれ」

ヒナタ「それだけは絶対無理」

シノ「俺達は知っている……。赤丸の幻術の才能を。赤丸の幻術を受けるのは嫌だ。何故なら赤丸の幻術に掛かったキバは……いや、これ以上は敢えて言うまい」

キバ「どういう事だよ？」

―――――数ヶ月前

紅「それじゃあ次は赤丸。キバに幻術を掛けてみて」

赤丸「おうよ！」

………………

キバ「ぬほぉぉぉ！！　おてぃんちぃんきもちぃぃのぉぉぉ！！」ﾋﾞｸﾝﾋﾞﾝ

紅「……」

シノ「……」

ヒナタ「……」

――――――

キバ「」

シノ「分かるか？　赤丸の手本を受けた時点で俺達は社会的に死ぬ。お前のようn……いや、何でも無い」

ヒナタ「……」

シノ「だが、やはり幻術練習の相手にはなれない。諦めろ」

キバ「お前が勧めたんだろが……」

シノ「大体、赤丸に教わってるのを見られたら、ますます里の人々から馬鹿にされるぞ」

キバ「いや、だからお前の発案だっただろうが！」

ヒナタ「そんな事どうでも良いでしょ」

シノ「他にキバの先生になれそうな人と言えば……」

キバ「……」

ヒナタ「カカシ先生はどうかな？」

シノ「カカシ先生か……。逃げ出したくなるぐらい指導が厳しいのだろうな。何故ならカカシ班の三人は今ではそれぞれ違う師匠に教わっているからだ」

ヒナタ「でも、カカシ先生なら周りの評価なんて気にせず面倒見てくれる気がするの。ヒマそうだし」

シノ「どうするキバ？」

キバ「詳しい事は分からねぇが、もしナルトが逃げ出したような修業なら好都合だ！　やってやるぜ！」

赤丸「わん！」

>>18
×　赤丸「おうよ！」
○　赤丸「わん！」

カカシ「悪いね、待たせちゃって」

キバ「本当に遅ぇよ！　噂には聞いてたけどビックリしたぜ」

ヒナタ「今日は宜しくお願いします」

カカシ「で、何で俺は呼ばれたわけ？」

***********

カカシ「なるほどねぇ……」

キバ「頼む！　カカシ先生！　あんたしか居ないんだ！」

ヒナタ「お願いします！」

カカシ「よし、それじゃあ一つ問題だ。この問題に正解したら君達を忍と認め、一つ技を授けよう」

キバ「よしっ！　どんな問題だろうがドンとこいだ」

カカシ「実は今日の昼飯が三人分しかない。どういう事だと思う？」

ヒナタ「……」

シノ「……」

カカシ(仲間を大切にしないやつはクズだ。さて、どうする？)

ヒナタ「誰か一人だけお昼ご飯抜きって事かな……」ﾁﾗｯ

キバ「つまり、俺だけ昼飯抜きって事か」

カカシ(即答ね……やるじゃない)

キバ「……あんたもそっち側かよ。畜生……分かったよ。俺の分もシノとヒナタを鍛えてやってくれ」

カカシ「ちょいちょい、何でそうなるの？　合格だよ。文句無しだ」

ヒナタ「えっ？」

カカシ「ちゃんと昼ご飯は全員分ある」

シノ「どういう事だ？」

カカシ「ちょっとした冗談だよ。それにしてもキバ君……キミにはナルト達をも越える立派な忍になる資質があるのかもな」

キバ「！」

カカシ「君は赤丸との連携技が得意だったね。なら、そうだな……影分身なんてどうかな？」

シノ「影分身か。ナルトのイメージが強いが立派な高等忍術だ」

ヒナタ「カカシ先生が勧めるぐらいだから、何かキバ君の技に応用出来るのかも！」

キバ「お願いします！　資質だけじゃダメなんです！　俺自身やコイツ等の為にも、実際にナルトに勝てるぐらいにならなきゃダメなんです！」