イシュマリク「導かれし者達」(ドラゴンクエストⅣ&蒼天のソウラ) (27)


登場人物

イシュマリク
人間(魔族)、男、魔法戦士
魔公子、いずれ魔王となる男

ゴオウ
ドワーフ、男、バトルマスター

ライセン
オーガ、男、賢者

シュナ
エルフ、男、スーパースター


エストリス
魔族、三魔博士、傀儡匠

ゾフィーヌ
魔族、三魔博士、死霊博士

プラクゥ
魔族、三魔博士、魔工技師



ピサロ
魔族、男、魔剣士

ロザリー
エルフ、女




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蒼天のソウラ・前回までのあらすじ
竜の娘奪取に失敗したイシュマリク一行は、次の手を打つため一旦魔界へと帰還することとなった。


山奥の洞窟~

キュィィン……パシュッ

ゾフィーヌ「あ~、ひどい目にあったである…」

エストリス「くそ…くそっ……太古龍さえ出てこなければっ」

プラクゥ『…出てこんかったら、あのまま竜の娘を踏み潰し、全てを台無しにしたかったか?』

エス「ぐっ……そ、それは」

ゾフィ「お、落ち着くであるエストリス。エストリスはちゃんと彼らを足止めして、しっかり役目を果たしたのである」

プラ『そうじゃな…結果的には、竜の娘も無事じゃったし』

エス「けど…僕は、若様の命令に背いた…あの御方との盟約にも……」

プラ『確かにのぅ…プクク……最悪、死罪じゃな』

エス「!」

プラ『もしくは、実験材料にまわされて…廃人になるか、魔物になるか…』

エス「…」

ゾフィ「おおおおおお落ち着くであるエストリスすすす」

プラ『お前がな』

ゾフィ「き、きっとそんなことないである!あの若様がっ」

プラ『若様はそうでも、あの御方はどうかのぅ……もしとあれば、この魔族の肉体を』

エス「うるさいっ!」



エス「うるさいっ!」

ゾフィ「エ、エストリス…」

エス「分かってる…!分かってるさそんなことっ」

プラ『……どのみち我らに、他に寄る辺もない。…………魔界に戻るぞい。その爪の先程度でも反省しておるなら…平に平に頭を下げ、許しを乞うことじゃ…』

エス「…くっ」

プラ(やれやれ…これだけ言っておけば、一応はエストリスから謝罪できるじゃろう。狛犬に喉を咬まれて即死だけは、避けられそうじゃな…)

ゾフィ「だ、大丈夫であるか…?」

エス「うるさい……いいからさっさとゲートを開け」

ゾフィ「…ふぅ、やれやれである。しかし、一々こうして転移場所まで足を運ばねばならんのは、面倒臭いであるな…。どこからでも魔界に直接転移できればよいのに」

プラ『プクク……それでは争い事となったとき、すぐに地上から攻め込まれてしまうわい。こうして魔力を打ち消す地に転移門があるからこそ、外敵の進攻を防げる』

ゾフィ「それはそうであるが……にょわっ!?」

エス「どっ、どうした!」

ゾフィ「ゲ、ゲートが、変であるっ」

エス「変?安定しないのかい?」

プラ『プクク…閉め出されてしまったかのぅ』

エス「そ、そんなっ」



エス「そ、そんなっ」

ゾフィ「違うである……ゲート内部の魔法粒子に僅かに歪みが出て…おそらく、魔界ではない……どこか別の場所と繋がってしまっているのである」

エス「じゃ、じゃあっ若様達は」

ゾフィ「我輩達のような研究者でなければ、どんなに腕の立つ魔導士でも気づかない程、微細な変化である…いくら若様が魔法力に長けていても……」

プラ(…それに、若様自身のせい、という可能性もある。なにしろ龍脈を本格的に発動させてから、初の魔界転移じゃからのぅ…)

エス「…」

ゾフィ「!?エストリス!近づくと危ないである!どこに飛ばされるかっ」

エス「若様はそこにいるんだろう?」

ゾフィ「そ、そのハズであるが」

エス「なら、僕達がお迎えに上がらなくてどうする」

ゾフィ「!…エストリス」

エス「若様を無事に、魔界へと導く…この異変に気づいた僕らにしか……それはできないんじゃないのか」

ゾフィ「……分かったである。我ら天才とうたわれし魔界の三魔博士、死なば諸共。一緒に若様をお救いするであ~る」

プラ『プクク……汚名返上、名誉挽回となるかのぅ…』

エス「いくぞ!!」


ギュウィイイイィ…ン……パシュッ


……



……

イシュマリク「ぅ……ここは」ムクリ


マリク(…森の中、か。魔界ではない。転移に失敗したのか…?)

マリク「シュナ、現在地を…」

……

マリク「…いない」

マリク(シュナ、ゴオウ、ライセン…狛犬らは、別の場所に転移してしまったか)

マリク「さて……幼き頃には、迷子はその場で待つのが基本、と言われていたが……フッ、どうするかな」



「きゃああああ!」

マリク「ム…女の声。何かあったのか」

ザッザッザッ…



エルフ?「いやっ……やめて、やめてくださいっ」

男A「あぁん?口答えするんじゃねぇ!」グイッ

エルフ?「ひっ」

男B「てめぇは黙ってひんひん泣いてりゃいーんだよ」

男A「そうそう、エルフなんて魔物と変わりゃしねぇ……どんなに美しい見た目だろうが、化け物よ」

男B「化け物は退治しなきゃなぁ……おらぁ!」パシン!

エルフ?「ぅっ!…や、やめて」


マリク(エルフ…と言ったか?しかし五種族のエルフとは容姿が異なる……あれはまるで)


男A「ちっ…強情なやつだ」

男B「もっと痛いことしなきゃ、分かってくれないみたいだなぁ…」

エルフ?「ひぃっ…な、なにを」



エルフ?「ひぃっ…な、なにを」

男A「お前が悪いんだぜ…素直に泣いてくれねぇから…」

エルフ?「ぃ……いやっ…いやぁ!」

男B「おらぁ!ルビーの涙出せ!!」

スライム「やめたげてよぉ!」

男A「あ?なんだこいつ」

スライム「ぷるぷる…ロザリーちゃんを、いじめないでよぉ」

男B「…ぷっ」

男A「ぎゃはははは!魔物ごときが何か言ってるぜ!」

男B「おめーら化け物は、人間様に狩られるためにいるんだよ。俺らの金と経験値のためになぁ」

スライム「ぷ、ぷるぷる…ぼく、わるいスライムじゃないよ……人間に、なにもしない…」

男A「ははははは!…いい悪いじゃねーんだよ。死ね。カス」

ロザリー「やめてぇ!!」


キィ…ン

男A「な、なにっ、俺の剣を止めやがった!?」

男B「誰だてめぇ!!」


マリク「確かにな。いい悪いではない」

ズガッ

男A「ぐえっ」バタッ…

男B「や、やろぅ…やりやがったな!」

ドガッ

男B「うげぇ」ドサッ…


マリク「敵だから倒す。それだけだ」

ロザリー「……ひ、ひどい。なんてことを」

マリク「殺してはいない」

ロザリー「え…?」



マリク「殺してはいない」

ロザリー「え…?」

マリク「気絶させただけだ。縛って森の外へ放り出しておけばいい」

ロザリー「あ……ありがとうございますっ助けていただいて…」

マリク「いや…感謝の必要はない。私は」

バシッ

マリク「…?」

スライム「に、人間めっロザリーちゃんから離れろ!」

マリク「…」

ロザリー「や、やめて!もう大丈夫だから」

スライム「いいえロザリーちゃん、こういう、いい顔してくるやつのが一番危ないんです」

ロザリー「大丈夫よ。確かに顔はいいけど」

スライム「違うそうじゃない」

ロザリー「私はあの人一筋だから」

スライム「ぷるぷる…」

マリク「……ロザリー、と言ったか」

ロザリー「え?…えぇ、そうです。それが私の名前です。……名前のあるエルフなんて、珍しいですよね」

マリク(そうか……やはり)

ロザリー「あの…?」

マリク「私はマリクと申します。旅の吟遊詩人なのですが…道に迷ってしまって」

ロザリー「まぁ」

マリク「行き倒れそうになっていたところです。どこか、この近くに休める場所は…」

ロザリー「それならいい場所があります。ついてきて下さい」



スライム「信じちゃだめだよ!よくある手口さ!」

ロザリー「もう、助けていただいたのに、失礼ですよ?」

スライム「でも…」

マリク「おい、お前」

スライム「な、なんだよ」

マリク「こいつらを片付けておけ。ここで目覚められては、また襲ってくるやもしれん」

スライム「なんでぼくが…」

マリク「…できるな?」

スライム「ぅ…」

ロザリー「私からもお願い。みんなと協力して、この人達を安全なところへ。このままでは、森の魔物に食べられてしまうわ」

スライム「はいっ!…人間を助けるのはシャクだけど、ロザリーちゃんがそう言うなら」

ぷるぷるぷる…


ロザリー「ではこちらへ」

マリク「…」


ザッザッザッザッ……

……



……


ロザリー「ここがロザリーヒルです」

マリク(やはり…)


ホビット「あ!ロザリーだ!」
犬「わんわん!戻ってきた!よかった!」
馬「ヒヒーン!生きてる!」
イエティ「うおーん!オイラ心配したんだぞー!」


ロザリー「みんな……勝手なことをしてごめんなさい」

ホビット「無事だったんだ。それでいいって」

ロザリー「えぇ…ありがとう」


マリク(言葉を話す動物、魔物に、プクリポとは異なる小さき種族…)

マリク「なかなか面白い場所のようだな」

ロザリー「あ、みんな、紹介するわ。この人は…」


ホビット「!に、人間だ!」
犬「うぅ~わんわん!ロザリーから離れろ!」

ロザリー「違うの!聞いて!この人は私を助けてくれたの!」

ホビット「…ほ、ほんとに?」
馬「ヒヒーン!人間うそつく!」

マリク「…」

ロザリー「お願いみんな、私の話をっ」


シスター「ロザリー」

ロザリー「あっ…シスターさん」

シスター「おかえり」

ロザリー「た、ただいま」

シスター「さ、後は私が聞くから、みんなは夕食の用意を手伝ってあげて?」

ホビット「はーい」
犬「わん!」
イエティ「オイラはらへった~」
馬「ヒヒーン、働かざるもの食うべからず」



シスター「…ロザリー」

ロザリー「ごめんなさい…でも私どうしても」

シスター「怒ってなんかいないわ。だいたい分かるもの。あなたの考えてること」

ロザリー「…ありがとう」

シスター「さて、そっちの…旅人さん?」

マリク「マリクです」

シスター「ここに泊まっていくの?」

マリク「既に日も傾いていますし、そうさせて頂けるのであれば…」

シスター「そう。みんなには私から、信用できそうって伝えておくわ。打ち解けるとはいかなくとも、少しはマシになると思うから」

マリク「…感謝します」

シスター「それじゃ、私もみんなのところへ戻るから。あなた達もすぐ来なさいね」

スタスタスタ…

……


ロザリー「…ごめんなさいマリクさん、気を悪くしないでね」

マリク「いえ……皆、貴方のことが大切なのですね」

ロザリー「けど、普段はあの塔から出してもらえないの。外は危ないから…って」

マリク「…では、どうして今日はあのような場所に」

ロザリー「それは……」

マリク「…」

ロザリー「あの子に手伝ってもらって」

マリク「あの子?」

ロザリー「青くてぷるぷるした」

マリク「スライムか」

ロザリー「あの子、よくのびるから」

マリク「?」

ロザリー「塔の窓から、こうスルスル…って」

マリク「まさか」

ロザリー「ぐにょーんてのびるの。それをつかんで下まで」

マリク「……」

ロザリー「……」


マリク「なるほど」

ロザリー「はい」



マリク「しかし私は、あの場に来た方法を聞いたのではなく、危険を冒してまであの場にいた理由を」

ロザリー「それは…」



シュナ「ごはんの支度ができましたよーロザリーさ……!?」

マリク「……」

シュナ「ぁ……ぇと」

ロザリー「ありがとう、すぐ行くわ」

マリク「先に行って下さい」

ロザリー「?…そう?なるべく早くね」

スタスタスタ…



マリク「シュナ」

シュナ「わ、若様、ご無事で」

マリク「あぁ、しかしお前は」

シュナ「昨日、倒れていたところをここの人達に助けられて…」

マリク「そうか…」

シュナ「あ、あの…」

マリク(…昨日、か。すると私は、1日以上、気を失っていたのか?)

シュナ「…若様?」

マリク「どうりで空腹なハズだ。さぁ、我々も夕食に御相伴預かろう」

シュナ「は、はいっ」

マリク「ところでゴオウとライセンは」

シュナ「それが…どこにいるのかまるで分からず…」

マリク「ふむ…お前に感じとれぬとは……よほど遠くに転移したか、あるいは」

シュナ「若様…」

マリク「心配はしていない。彼らならば大丈夫だ。それはお前がよく知っているだろう」

シュナ「はい…!」

マリク「…とにかく今は、情報を集めながら、彼らを待とう」

シュナ「分かりました」



ロザリー「あ、やっと来たのね」

シュナ「いただきます」

マリク「戴こう。…ふむ、これは」

ロザリー「お口に合いますか?」

マリク「えぇ、とても。森の食材が非常に食べやすく調理されている…いい料理です」

ロザリー「よかった。その子も手伝ってくれたの。聞いた?あなたと同じ迷子さんなのよ」

マリク「えぇ、実は、彼は私の…旅の仲間なのです」

ロザリー「まぁ、そうだったの。…彼?」

シュナ「若様と再会できてよかったです」

ロザリー「若様…?もしかして、どこかの王子様なの?おしのび?」

マリク「いえ…単なるあだ名のようなもの……私のお坊ちゃん育ちをからかっているのですよ」

シュナ「そんなっ」

マリク(話を合わせろ。ここは我々の知るアストルティアとは勝手が違う)

シュナ(は、はい…)

ロザリー「うふふ、仲がいいのね」

シュナ「あ、あはは…」

マリク(さて……なるべく長居はしたくないのだが…。どうしたものかな……)


……



……

ロザリー「お願い!ね?今日だけだから」

シスター「……う~ん」

ロザリー「この人、すっごく強いの。それに優しい。ちゃんと守ってくれるわ」

マリク「…」

シスター「でもねぇ…」

犬「わんわん!人間は信じられない!」

シュナ「若様に無礼なことを言うな!」

犬「う~!」ガルルルル
シュナ「う~!」ガルルゥ

シスター「……分かったわよ、」

ロザリー「ほんと!?」

シスター「言い出したら聞かないんだから。今回だけよ」

ロザリー「ありがとうっ」

シスター「ただし、少しでも危険を感じたらすぐ帰ってくること。無茶はしない。いいね?」

ロザリー「はーい」

シスター「そっちの兄ちゃんも」

マリク「マリクです」

シスター「いいね?」

マリク「えぇ、決して無茶はさせません。必ず無事に返しますよ」

シスター「…じゃなくて、あなた自身のことなんだけど」

シュナ「若様!お供します!」

マリク「いや、いい」

シュナ「そんなっ」

マリク「お前には別にやってもらうことがある。いいか、…………」ゴニョゴニョ

シュナ「!…はいっお任せ下さい!」


ロザリー「それじゃあ、行ってくるわね」

シスター「気をつけるんだよー!」


……


……


ザッザッザッ……

マリク「貴方も懲りない人だ」

ロザリー「え?」

マリク「昨日あんな目にあったばかりだというのに」

ロザリー「それは、もう慣れてしまっていますから」

マリク「人に、狙われることに?」

ロザリー「……仲間のエルフ達が息絶えるのを、何度も見ました。私もあの人がいなければ…」

マリク「エルフ狩りか…悪趣味なことをする」

ロザリー「生き残っているエルフは、この世界に、もうそんなに多くはないでしょう」

マリク「…だが貴方は生きている」

ロザリー「もちろん無意味に命を捨てるつもりはありません」

マリク「……よほど、大事な用なのですね。その瞳に、ルビー色の覚悟が見える」

ロザリー「えぇ…どうしても」

マリク「みなまでは聞きません。私はただ、一宿一飯の恩義に報いるまで」

ロザリー「…マリクさん」

マリク「しかし、こんな森の奥深くへ来て、大丈夫なのですか」

ロザリー「ふふ、森で迷うエルフはいないわ」

マリク「それは…確かに」

ロザリー「森のみんなは、お友達だし」

マリク「……」

ロザリー「あ!見えたわ!あそこに…」


ピロリロリ…ボボォオウ!

マリク「ぬぅっ!」バッ


ロザリー「マリクさん!?」

マリク「何者だ!!」





ピサロ「…………ロザリーから、離れろ」

ロザリー「ピサロ様!」

マリク「…」

ピサロ「……人間は、殺す…!」スラッ…

マリク「…来るか」スッ…

ロザリー「ピサロ様やめて!この人は」

ピサロ「はぁああ!」

マリク「くっ…!」

ガキィイン!

マリク(ぅぐっ……なんという重い一撃)

ピサロ「私の剣を受け止めるか…」

マリク(だがっ)

マリク「闇の理力(ダークフォース)…!」バチバチバチッ…

ピサロ「なにっ」

マリク「ふんっ!」ズガァッ!

ピサロ「ぐぉっ!…弾いただとっあの体勢から…!」

ロザリー「ピサロ様!マリクさんも!やめて!2人が戦う意味なんてないわっ」

ピサロ「ロザリー、お前は離れていろ」

マリク「…やるしかなさそうだな」

ダッ

ピサロ「…逃がさんっ」

シュダッ…


ロザリー「待って!ピサロ様!ピサロ様!!」

……



ピサロ「はぁあ!」ピロリロリ…ゴォオオオッ…!

マリク「!…バギマ!」ビュゴォッ

ドガァアアァアアアッ!


ピサロ「ほぅ…風圧でイオナズンの爆風を散らし、減殺するとは」

マリク「やはり…詠唱なしで呪文を使うか…!」

ピサロ「危険な男だ……ここで確実に殺す!」ビュッ

マリク「私とて、黙って死ぬわけにはいかない!」

ガキィン!

マリク「炎の理力(ファイアフォース)!!」ボォオッ

ピサロ「っ!」ヒュンッ

ズガァアアッ!

ピサロ「ちぃっ…やつめ、妙な技を」

マリク「こちらの戦術に対応される前にっ」

ピサロ「はぁああああ!」ビュオォオオオ!

マリク「ピオリム!」シュバッ…!

ピサロ「速いっ…今の真空波をかわしただと!」

マリク「バイキルト…!」グググッ…


ビュオンッ!

ピサロ「ぬぅっ!?」

マリク「これでっ…」

ピサロ「まだだ!」

マリク「!」

ピサロ「この距離では逃れられまいっ……魔神斬り!!」グオォッ

ズギャァアアア!

マリク「ぐぁああっ!」

ピサロ「ぬぅん!」

ヒュオオオ……

マリク(くっ……ほとばしる波動に、かけた呪文が打ち消された…!)

ピサロ「とどめだ……地獄の雷に、その身を焼かれるがいい!」バヂッヂヂヂィ…

マリク(ジゴスパーク…!?…もはや、これまでか…!)



「きゃああああああ!!」

ピサロ「なにっ…!?」

マリク「まさか……!」


……


……


男A「やったぜ!あいつの言うとおりだった!」

男B「ここに来りゃあ、また捕まえられるってなぁ!」

ロザリー「は、離してっ…離して下さいっ」


ピサロ「貴様らっ…!生きては返さんぞ!」

マリク「やつらは昨日の…しかしっ」

男A「昨日のようには行かねぇぜ!なぁ!」

山賊A~Z「「おう!!」」


マリク「賊を引き連れてくるとはな…」

ピサロ「愚かな……羽虫がいくら群れようと、全て焼き尽くしてくれる!!」



デビルプリンス「そうはいかぬぞ、デスピサロ殿」

ピサロ「むっ…貴様は」

デビルプリンス「やれぃ!」

だいまどうA「マホトラ」
だいまどうB「マホトラ」
だいまどうC「マホトラ」
だいまどうD「マホトラ」
だいまどうE「マホトラ」

ピロリロリロリ……ギュワァアアアン


ピサロ「ぐぉおっ……魔法力が!おのれぇ…裏切ったか!」

デビルプリンス「ぬははははは!我は元々、おぬしのような若輩には仕えておらぬわ!」

男A「こりゃあいい!この戦力差なら、なぶり殺しにできるぜ!!」

男B「ざまぁみやがれ!ぎゃははは!」



マリク「…エルフを化け物と罵っておきながら、魔物と組むか」

男A「なぁんとでも言うがいいさ。俺らはこのエルフの女が欲しい、こいつらぁお前達を始末したい」

男B「利があれば協力し合う!そーいうもんだろぅが世の中よぉ!」


マリク「……だ、そうだが」

ピサロ「…………いいだろう。ロザリーを助け出すまで」

マリク「…」

ピサロ「一時的に…お前と組もう…!」


男A「やっちまえぇえ!」
デビルプリンス「かかれぇえ!」

山賊ども「「うおぉおおお!!」」
だいまどう達「「メラゾーマ」」

ドドドドドドドド!!
ボボォオオオオオッ!

マリク「…フォースブレイク!」キィン…

ピサロ「はぁあああ…」タッ…

マリク「氷の理力(アイスフォース)!!」

ピサロ「ムーンサルト!!」ヒュゥン!

ザシュッ!
ズガッ!バギッズガァッ!

男A「あ、あいつ!メラゾーマを斬り落としたぞ!」

男B「あっちは飛び上がって山賊どもを蹴散らしてやがる!」

デビルプリンス「えぇいひるむな!取り囲み全方位から攻撃するのだ!」

だいまどう達「「メラゾーマ」」

ボボォオオオ……

マリク(っ!捌ききれないっ…)

ピサロ「ちぃっ…!」




シュナ「若様ぁーっ!」

マリク「シュナ!」

シュナ「若様!これをー!」ブンッ


マリク「!」パシッ

ピサロ「それはっ」

マリク「よくやってくれた……この『静寂の玉』があれば!!」ピカッ


ボボォオオオオッ……シュウゥウウ…

デビルプリンス「な、なぁにぃ!?呪文が消えた!?」

マリク「呪文を封じる古の宝だ。…この時代、この場所にならあると思っていた」

デビルプリンス「ば、ばかな」

マリク「さて……呪文の使えない魔導士を並べて、どうするつもりかな」

デビルプリンス「く、くぅううおのれぇ…こうなったら……」


デビルプリンス「先生ぇー!先生方!お願いします!」

ピサロ「やつめ…まだ戦力を隠していたかっ」



ゴオウ「やっと出番か!ようし一丁暴れまくっ…て…」

ライセン「やれやれ、小童の1人や2人、我らが軽く捻ってくれましょ…う…ぞ…………」


マリク「……」



ゴオウ「……」ダラダラダラ…

ライセン「ン、んんーっあ、あ、ごほん。……若様、ご無事で何よりです」


マリク「あぁ、お前達もな」

ゴオウ「お、おぅ」

ライセン「はい」



シュナ「…ゴオウ様、ライセン様」


デビルプリンス「エエェエー!?知り合いかよ!!なんだよせっかく雇ってやったのに裏切る気かぁ!?」

ゴオウ「悪ぃな。俺らぁ元々このお人の付き人……裏切るもなにもねぇのさ」

ライセン「左様。新たな魔杖を貸して与えてくれたことには礼を言うが…本来の主と再会した以上、契約は破棄させてもらおう」



男A「く、くっそ~!動くな!この女がどうなっても…」

スライム「スラストラーイクッ!!」ドガァ!

男A「ぐぇえ!」ドサッ

男B「こいつっ」

シュナ「今だっ!」バシュッ!

男B「うぎゃ!」

スライム「ロザリーちゃん!」

ロザリー「ありがとう、私は平気よ。あなたの勇気のおかげ」

スライム「えへへ…」



ピサロ「……逆転したか。フン、投降し、貴様をそそのかした裏切り者の名を言えば、命だけは助けてやるぞ」

デビルプリンス「く、ククク、クククククッ!」

マリク「何がおかしい」

デビルプリンス「ここまで我を追い詰めたこと……後悔させてやるぞ!この我自らの手でなぁっ!!」ビカッビカッ

ゴオウ「なんだぁ!?」

ライセン「よもやっ…」

ピサロ「…未完成な進化の秘法を、自らに使ったか」


デビルエスターク「ググゲガァアアアーッ!!コ、コロス!ミナ、コロスゥウウ!!」ズカァアアァアア!!


ロザリー「きゃああっ」

ピサロ「ロザリー!」ハシッ

ロザリー「ピサロ様…」ギュッ…


だいまどう達「「ギャーッ」」
山賊ども「「ひぃー!」」


ゴオウ「やろう見境なしだぜ!」

ライセン「完全に理性を失っておる…!」

マリク「……やるぞ。ここで倒さねば、あの村も危ない」

ピサロ「分かっている。この世界で誰が本物の魔王か…教えてやる!!」


……


……

マリク「はっ……はぁ…」

ピサロ「ぐぅう…」

デビルエスターク「グギャアアオオオオオオ!!ガァアアアア!!」

ゴオウ「こ、こいつ、とんでもねぇ…」

ライセン「呪文も特技もまるで通用せんとはっ……正しく化け物か…!」

シュナ「若様…」

スライム「ぷるぷる…」

ロザリー「…ピサロ様」


デビルエスターク「ゥウオオ……ウグォオオオオオ!!」


ロザリー「危ない!逃げてぇ!」



エストリス「させるかぁーっ!」

ウルベア巨神像「…」ググゴォ…

ドガアアアアアアアア!!

デビルエスターク「グキィイ!?」

ライセン「あ、あれはっ!」

ゴオウ「ほぉう」

ゾフィーヌ「うおおお!なんとか間に合ったであーる!」

プラクゥ『やれやれ…超古代兵器を1から組み上げるのには、さすがに骨が折れたわい……じゃがそのぶん…プクククク』

ウルベア巨神像「…」ゴゴゴォ…

デビルエスターク「グギャギィイ!」

ピサロ「やつを押さえ込んでいる…!?」
エス「今の内だ!やれぇ!!」

ゾフィ「ふむ…そのようであるな。……常闇に座す我が主との契約に従い…深淵に沈みし帝王の亡骸を仮初めの命で縛らん!!」

ヴゥオォオオオオオ…!

ゾフィ「支配死霊呪文(ネコンネロク)!!!」

エビルエスターク「ギ、ギギ、ギィイイイイ!?」


ロザリー「止まった…?」


ゾフィ「な、長くはもたないであ~る!エストリス早く!」

エス「分かってる!やれ!!巨神像!!そいつを潰せぇえええ!」

ゴオウ「うおぉりゃあああ!!」

ライセン「イオグランデ!!」

マリク「フォースブレイク!!」

ピサロ「はぁあああああっ!」


ズドゴォオオオオオオ…オ……オオ…ン


……


……

ゾフィ「…なんだかもったいないであ~る」

エス「仕方ないだろ。急造りだったんだ。あれだけ保っただけでも儲けものだよ」

プラ『プクク……そうじゃのう。キラーマシンや泥人形も使ったとはいえ、よく3人で完成、稼働させたもんじゃわい』


ゴオウ「ようお前ら」

ゾフィ「こ、狛犬殿っ」

ゴオウ「俺ぁ魔法も技術もからきしだが、ありゃあたいしたもんだったぜ」

マリク「あぁ、よくやってくれた」

ゾフィ「は、ははぁっ!」

プラ『プクク…勿体無きお言葉ですじゃ』

ライセン「ふん、しかしお前達が若様の龍脈と転移の異変をしかと察知しておれば、そもそもこうはならなかったのだ。±0といったところだ」

エス「……はい」

マリク「…これ以上ここに留まるわけにはいかない。転移の準備は」

プラ『既に』

マリク「では戻るぞ。我らの、復讐の月を成す為に……」

シュルルゥッ……パシュッ


……


……

ピサロ「…ロザリー、なぜ外へ出た。危険は百も承知のはず」

ロザリー「ピサロ様……ごめんなさい。けど私、どうしてもこれを……」

ピサロ「これは……花…?」

ロザリー「……赦しの月花草」

ピサロ「赦しの…」

ロザリー「そして……エルフにとっては、契りの証に用いる花」

ピサロ「…」

ロザリー「…ピサロ様、私と」

ピサロ「戦いが終われば、何時とも離れず側におれよう…だが今は」

ロザリー「本当に?」

ピサロ「あぁ」

ロザリー「でも私、聞いたの」

ピサロ「?」

ロザリー「あなたが武芸大会に出た…って。優勝商品は……その国のお姫様との結婚…」

ピサロ「ぁ…………いや、待て、違う。あれは勇者を探しながら、腕の立つ者を始末するため」

ロザリー「……」

ピサロ「実際、決勝前に抜け出し、棄権している。本当だ、私は決して人間の女などには」

ロザリー「ぷっ……あはは」

ピサロ「…ロザリー?」

ロザリー「ごめんなさい、分かっています。…ちょっぴり妬いたのは確かだけど……あなたを疑ってはいません」

ピサロ「…ならば」

ロザリー「…この花を見て、そして考えてほしいの。……誰にでも、魔物にも、動物にも、人間にも……私にとってのあなた、あなたにとっての私がいる。だから…」

ピサロ「……覚えておこう」

ロザリー「ピサロ様…」

ピサロ「さぁ、ロザリーヒルへ帰ろう」

ロザリー「はい……」


ピサロ(…ロザリー……待っていろ。必ず人間を滅ぼし、お前が安心して暮らせる世界を作ってみせる…!…それまで……今しばらく、辛抱していてくれ…………)



END


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