モバP「ヤンデレシュミレーター?」 (322)
P「なんだこれ?」
晶葉「これを頭につけるとヤンデレの女性に愛されるというシュミレーションができる機械だ」
P「なんでこんなものを……」
晶葉「君は彼女が欲しいだの、優しくされたいだの、様々な愚痴をこぼしていただろう」
P「き、聞いていたのか!?」
晶葉「我々も君に世話になっている身だ。君に癒しを与えたくて作ったのだが、途中で面白くなって仕様を変更してしまったんだ」
P「俺は使わないけどね。仕様変更しなくても虚しくなるだけだろう、こんなの」
晶葉「せっかく作ったんだ。一回くらいな」
P「いや、使わな……」
晶葉「一回だけなんだ。頼む!」
P「危険じゃないんだよな」
晶葉「ああ。この私に任せておけ!」
P「じゃあ、かぶるぞ……」
晶葉「とりあえず、横のつまみはリミッターだからな。絶対に外すんじゃないぞ!」
P「分かった。じゃあ、俺を愛してくれる人のもとに行ってくるぞ!」
晶葉「気を確かになー」
P「え、ちょっと、それはどういう……、こ……と……」
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P「ん、ここは事務所……?」
ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん」
P「あ、おはようございます」
ちひろ「今日の予定は……」
P「えっと、それは……」
ちひろ「あれ、いつも手帳に書いてましたよね」
P「へっ!?あっ、はい」
P(そんなことしてた覚えはないような……、予定はスマホに全部入れてるしな……)
P(ん、見覚えのない手帳がある)
ちひろ「もうきちんと手帳を見て確認しないとだめですよ」
P「は、はい!!」
ちひろ「それでは、私も仕事がありますので」
P「はい、頑張りましょう!」
P(この手帳を読んでみるか)
この世界の注意書き
1.この世界ではいつもと同じように日々を生活してもらいます。
2.この世界には一人だけ対象者がいて、その人以外は全員外の世界の人物となんら変わりはありません。
3.この世界で負傷や死亡した人物がいても外の世界に影響はありません。
4.上の項目はあなたにも適用されます。あなたが死亡した場合、この機械は矯正シャットダウンし、あなたは目覚めます。
5.リミッターを外した場合、対象者はあなたを手に入れるための手段を選ばなくなります。結果、ほかの人物が死んでしまう可能性もあるでしょう。
P(なんだよ、これ……。つまり、架空の世界だから何が起こっても大丈夫、と。まあ、下手なことすれば晶葉にバレるだろうし……、ん?)
対象者:島村卯月
P(卯月がヤンデレ……、考えられないな……)
卯月「プロデューサーさん、おはようございます!」
P「お、おはよう、卯月」
卯月「今日も一日がんばりましょうね!」
P「おう、頑張ろうな」
卯月「あともう少しで凛ちゃんと未央ちゃんが来ると思うので着替えてきますね!」
P「ああ、トレーナーさんも待っていると思うから早く行くんだぞ」
卯月「はいっ!!」
P(なんだ、いつも通りの卯月じゃないか。ヤンデレとか言って俺を脅かそうとかいう魂胆か?)
卯月「あ、そうだ!プロデューサーさん」
P「どうした?」
卯月「昨日、電話かけたのにどうして出てくれなかったんですか?」
P(電話?)
着信履歴
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
千川ちひろ
島村卯月
島村卯月
島村卯月
島村卯月
P(一分おきに……、卯月から電話がかかってる……)
卯月「どうしてですか、答えてください」
P「いや、その……」
卯月「どうして、ちひろさんの電話に出てるのに……」
P「あ、いや、実は……」
卯月「あー、わかっちゃいました。ちひろさんから出るなって言われたんですね」
P「いやいや、そんなことないって!」
卯月「とりあえず、電話帳に載ってる私以外の女性は着信拒否しちゃいましょう」
P「それはまずいだろ!」
卯月「えー、どうしてですか?」
P「仕事で……」
卯月「そんなこと言って浮気するからプロデューサーさんは信用できません!」
P「そ、そんな!」
卯月「携帯貸してください!ああ、もう……」
P「卯月……」
卯月「なんですか?Pさん?」
P「なんでこんなことを……」
卯月「プロデューサーさんを愛していますから」
卯月「お仕事上、直接会って話す分には構いませんけど、電話上は許せません。プロデューサーと一対一で話していいのは私だけなんです。二人の時間を作らせたくありませんし、二人の時間を邪魔されたくありませんから」
卯月「一緒に住めばこんなことにはならないのに。電話なんて捨ててもいいのに。二人きりの時間をどうしてそこまで嫌がるんですか?教えてくださいよ」
P「アイドルとプロデューサーはそういう関係には……」
卯月「そうですか、そうですよね、でも、私にアイドルやめて欲しくないんですよね、でも、やめちゃったら監視できないしなぁ……」
P(なんか、精神的にくるな、これ……)
凛「おはよう、プロデューサー」
P(この状況で凛来ちゃった……、どうしよう)
卯月「聞いてくださいよ、凛ちゃん。プロデューサーがまた電話に出なかったんですよ」
凛「懲りないね、プロデューサーも。この前、電話帳全部消されたばかりなのに」
P(え、この世界ではこの卯月が日常にいるの!?)
未央「おっはよ~!あー、またしまむーがやばいモードに入ってる。プロデューサー、何かしたの?」
P「え、いや、むしろ、しなかったというか……」
未央「まったくもー、プロデューサーったら」
P「ははは」
未央「しまむーにこんなに想われてるなんて幸せだぞ。このこの~」
P「お、おう」
P(羨ましい奴なんていないだろ……)
凛「とりあえず、卯月。早くしないと遅れるよ」
卯月「あ、凛ちゃん。それは……」
未央「もう、しまむーったらプロデューサーさんにゾッコンだね」
凛「レッスンしないと、プロデューサーにもトレーナーさんにも迷惑かけるよ」
卯月「うぅぅ……」
未央「大丈夫、着拒なんていつでも出来るんだから」
卯月「未央ちゃ~ん」
凛「プロデューサーも卯月にちゃんと構ってあげないとダメだよ」
P「肝に銘じておきます……」
未央「じゃあ、レッスンへレッツゴー!」
卯月「あ、プロデューサーさん」
P「ん、なんだ?」
卯月「電源切ってても、マナーモードにしててもいいです。でも……」
卯月「電話には絶対に出てくださいね」
P(笑顔がない卯月が怖すぎる……)
とりあえず今回はここまでにします。
リクエストは気分が向いたら書きます。114%の確率で向きます。
リミッター外すとこうなる
・ライバル殺す
・Pを殺す
・自殺・心中を企てる
・拉致・監禁・拷問・その他それっぽい痛いこと
・通り魔になる
・自分の持ってる権力をすごく悪用する etc
それでもいいならリミッターを外してもええんやで、ニッコリ
リクエストの受付終了します。いや、一日でこんなになるなんて思わなかった。後悔も反省も十分にしている。
メモ
周子
美嘉
強迫観念系強依存ヤンデレの幸子
頼子
肇
仁奈
美優
紗枝
加蓮
芳乃
美穂
裕子
ありす
晴
飛鳥
奈緒
あい
薫
柚
友紀
楓
穂乃香
小梅
茜
にゃんにゃんにゃん全員の共有財産P
凛
まゆ
響子
智絵里
時子
ゆかり
蘭子
比奈
藍子
未央
乃々
亜里沙
文香
真奈美
のあ
愛梨
文香みたいな物静かな子
ナターリア
聖來
クラリス
リミッター解除
こずえ
輝子
ちひろ
疲れたら終わらせる感じでいきます。基本は順番通りで
頑張って全部書けるように応援してください。あと数えてくれる優しいおじさんがいたらこっそり教えてください。
終了前に書いている人が優先です。スレが余ってたら考えようかな、と思いつつ思いつつ、思いつつ
P「うわあああああああああああ!」
晶葉「早いな、もう電源を切ったのか」
P「だって、怖いだろ、あんなの!?」
晶葉「そうか。普通あれくらい心配するものだと」
P「だとしてもだよ。サスペンスの被害者ってこんな気持ちなのか……」
晶葉「一回だけの約束だったが」
P「もう二度としないぞ」
晶葉「そんなことを言わずに、な」
P「リアルすぎて怖いんだよ。人とか、物とか、何もかもが現実と変わらないし……」
晶葉「むぅ……」
P「……、そんな悲しそうな顔するなよ。分かった。今日だけ、今日だけなら」
晶葉「そうか!なら早速起動してくれ!」
P「手のひら返すの早いな!」
晶葉「1秒も無駄にしたくないんだ!さあ、早く!」
P「OK、分かった」
>>74
雪美ちゃんが抜けてる…
P「事務所なのか……」
周子「あ、Pさん。どうしたの?」
P「お、周子じゃないか」
周子「いや、急にポカーンとして何かあったのかな?って」
P「い、いや、何でもないぞ」
周子「あやしー」
P「いやいや、ちょっとここんとこ仕事多くてさ」
周子「で、ぼーっとしてたの?」
P「そうそう」
周子「ふーん」
P「えーと、予定予定」
対象者:塩見周子
P(な、なんだと……)
周子「どうしたの?」
P(いつもと変わらないぞ……)
>>77
おじさん……、優しいおじさん……
P(これからは周子とは別の仕事みたいだな)
P「周子、今から俺は別の仕事だから」
周子「分かった。じゃあ、気をつけてねー」
P「じゃあ、行ってくるよ」
周子「Pさん、行っちゃったかー」
周子「じゃあ、遠慮なく探せるね」
周子「デスクの中にはー、うーん何もないねー」
周子「小物入れの中にもないしー」
周子「もう、Pさんったら少しくらい何かおいていけばいいのに」
周子「あれ?なんだろ、このレシート?」
周子「へぇー、そんなもの買ってたんだ」
周子「これは周子ちゃんにおいしく食べられるしかないね」クスッ
P(シミュレーターの中でも仕事してる俺って一体……)
P「ただいま帰りました」
周子「あ、Pさん。おかえりー」
P「お、周子待っててくれたのか、悪いな」
周子「Pさん」
P「ん、何だ?」
周子「これ何かな?」
P(「家出少女お持ち帰りコース」って、まさか、これは……)
周子「こんな雑誌買ってたんだ……」
P「いや、そんなわけ……」
周子「いーもん。社長に持ってちゃうから」
P「いや、それだけは……」
周子「じゃあさ、今日一晩だけでいいからデート行かない?」
P「一晩だけなら……」
周子「やった。じゃあ、いつもダーツバーね」
P(もしかして、まずい方向になるように誘導されてるんじゃ……)
周子「Pさんブルズアイ!絶好調だね」
P「ああ……」
周子「もう、Pさんもっと楽しまなきゃ!」
P「そ、そうだな!」
周子「じゃあさ、写真撮ろ!」
P「いや、それはさすがにまずいだろ……」
周子「Pさん」
P「わかったよ」
周子「ハイチーズ!」
P「もうこんな時間じゃないか!」
周子「そうだね、帰ろっか」
P「家まで送るぞ」
周子「そだね、甘えちゃおっかな」
P「やれやれ、これっきりだろうな」
周子「どうしよっかなー」
P「お、おい!?」
周子「冗談冗談、あ、私の家このマンションだから」
P「ああ、気をつけてな」
周子「もう心配性なんだから」
P「当たり前だろ、大切なアイドルだぞ」
周子「アイドルか……」
P「周子?」
周子「あっ、ごめん。ちょっと考えごとしててさ」
P「じゃあ、またな」
周子「またね、Pさん」
周子「あやうくバレるとこだったなー」
周子「えーと、ブログ書いてー」
周子「Pさんの交友関係だと……」
周子「ふーん、こんなもんかな」
周子「あとは……」
周子「あ、もしもし……、お父さん?実はね……」
P「これで何回目だよ」
周子「えー、デートに行ったことをちひろさんとかに言うのってそんなにまずいの?」
P「まずいに決まってるだろ!」
周子「だよねー、お互いの家にも行ったし、デートもこれで20回くらい、いや、もっとか」
P「周子、お前本当に……」
周子「やだよ」
P「え!?」
周子「Pさんがアタシとの関係終わらせるなんて、そんなのやだって言ってんの」
P「でも……」
周子「……、しょうがないなぁ。デートは今回までにしといてあげる」
P「そうか。いや、その……」
周子「ま、今まで通り、しゅーこと遊んでくれればオッケーだから」
P「ああ。じゃあ、これからもよろしくな」
周子「アタシこそ、ね」クスッ
P「あれから、何日かたったけど何も音沙汰がないな」
まゆ「Pさん、お疲れさまです」
P「お、まゆ。お疲れ」
まゆ「Pさん、ちょっといいですか」
P「どうしたんだ、まゆ」
まゆ「Pさんって周子さんと仲が良いみたいですね」
P「そ、そんなことはないぞ!」
まゆ「だって……」
周子「だって、何かな、まゆちゃん?」
周子「教えてあげたでしょ。それとも……」
まゆ「」ビクッ
周子「また、特別な方法で教えてあげよっか?」
まゆ「あ……あ……」
周子「アタシとPさんは……」
まゆ「嫌です」ダッ
P「あ、まゆ!待て!」
周子「追いかけなくていいよ」
P「何を言って……」
周子「追いかけなくていいって言ってるの!」
P「しゅう……こ……」
周子「まゆちゃんにはこの日のためにずーっとアタシとPさんの関係を教えてあげたんだから、それを台無しにするなんてしないよね」
P「何を言ってるんだ?」
周子「ずっとPさんとアタシのデートの話をしてあげて、それでも分からないときは……、写真見せてあげちゃった」
P「まさか、そのために……」
周子「最初は分かってくれなかったけど、家の写真出したあたりから大人しく聞いてくれるようになったよ」
P「お前……」
周子「あることないこと言っちゃたかもしれないけど、仕方ないよね。アタシも可愛いまゆちゃんに手を上げたくないもん」
P「周子、一体何をするつもりなんだ……」
周子「分かんないの?仕方ないなぁ。優しいしゅーこちゃんが教えてあげるね」
周子「Pさんは今日から可愛いしゅーこちゃんの旦那様になりまーす!」
P「なん……だと……」
周子「これなんだと思う?」
P「ブログか……、一体誰の……、まさか……」
周子「そう!周子ちゃんの非公式ブログ!」
P「今までのデートのこと全部書いてるじゃないか……」
周子「それで公式ブログがあと少しで非公開だった記事が更新されて、その中にここへのリンクが貼ってあるんだよね」
P「そんなことしたら……」
周子「しかも、今まで撮った写真も全部公式ブログに載っけちゃいまーす」
P「大問題だぞ!」
周子「事務所クビになっちゃうかもねー」
P「いやもう、それは……」
周子「でも、それでも大丈夫だよ」
P「え?」
周子「お父さんがPさん連れてくるの待ってるから」
P「どういうことだ……」
周子「実は……、アイドルやめて帰りたいって近々連絡してて好きな人を連れてくるって伝えてるからさ」
P「え、え……」
周子「裏切るような真似はしないよね」
周子「Pさんが裏切ったら、うーん、どうしよっかなー。とりあえず、ブログを遺書にして死んじゃおっかなー」
P「そ、そんなこと……」
周子「ま、そんなことしないよねー」
P「あ、あ、あ……」
周子「もう少しで公開の時間かなー」
P「な、なんで……」
周子「だって、しゅーこちゃんはPさんが大好きだから。いやー、でも長かったなー。バレないように隠すの疲れちゃったし」
P「今までのは全部、本当の周子じゃなかったのか?」
周子「そうだね。でも、違うのはひとつだけ」
周子「それは、Pさんが大好きすぎてなにしちゃうか分かんないところ。それだけ」
周子「愛してるよ、Pさん」クスッ
周子編終わりました。一人終わらせるのに結構かかるけど気にしてはいけない。
P「うわああああああああああああああああああ」
晶葉「どうだ?」
P「怖いわ!」
晶葉「まったく君はワガママだな」
P「いやいや、もうちょっとマイルドでもいいんじゃないか」
晶葉「もう少しマイルドだな。了解した」
P「頼むよ。癒しが欲しいんだからさ」
晶葉「大丈夫だ、きっと……」
P「なんだよ、きっとって!?」
晶葉「早くかぶってデータを取るんだ!」
P「や、やめろーーーー!!」
莉嘉「Pくん、Pくん!」
P「ん、莉嘉?」
莉嘉「どうしたの?デート中にぼーっとして……」
P「あ、ああ、ごめんな。ちょっと考えごとしてて」
莉嘉「せっかく、カレシカノジョになったんだからデートに集中してよー」
P「え、ええ!?」
莉嘉「何を驚いてるの、Pくん?」
P(嘘だろ……、えーと手帳手帳……)
対象者:城ヶ崎美嘉
P(え、莉嘉じゃないのか!?)
莉嘉「Pくーん!」
P「あ、ああ、ごめんごめん。莉嘉、どこに行きたい?」
莉嘉「Pくんがエスコートしてくれるんじゃないの?」
P「え、あ、そうだっけ?」
莉嘉「Pくんひど~い」
P「あはは……」
莉嘉「え、おウチでデート?」
P「え、あ、ああ……」
P(手帳にはそう書いてあったけど……)
莉嘉「Pくんってダイタンだね☆」
P「そ、そうかな?」
莉嘉「お姉ちゃんのときは家に来てたしー。あー、もしかして、Pくんお姉ちゃんに会いたいとか?」
P「そ、そんなわけないぞ!」
莉嘉「でもでも、おウチでデートか……」
P「い、嫌か?」
莉嘉「ううん、オトナっぽくていいと思うよ♪」
P「じゃあ行こうか」
莉嘉「はーい!」
美嘉「おかえりー、って、プロデューサー!?」
莉嘉「おウチデートするんだよ☆」
美嘉「アンタって子は……、はぁ……」
P「ここなら、その、隠れられるしな」
美嘉「スキャンダル気にするなら、始めっから家で待ち合わせすればいいのに……」
P「そ、そうだな!」
莉嘉「待ち合わせすっごくドキドキしたんだからねっ!」
P「ごめんな。その……、こういうことあんまり慣れてなくて」
莉嘉「いいよ。Pくんが一緒にいてくれるだけでアタシも楽しーし♪」
美嘉「外だとアレだから中に入ったら?」
P「おお。じゃ、おじゃまします」
莉嘉「おじゃまされちゃいまーす☆」
美嘉「莉嘉、部屋は片付けたの?」
莉嘉「ゲッ、ちょっと……」
美嘉「プロデューサー、リビングで待っててもらっていいかな?」
莉嘉「ごめんねー、Pくん。すぐに片付けてくるから!」
P「ああ、分かった」
美嘉「プロデューサー。コーヒーとお茶、どっちがいい?」
P「んー、お茶がいいかな」
P(緊張で喉がすごく渇いたし)
美嘉「じゃあ、注いでくるからそこで待ってて」
P「おう」
莉嘉「すぐに戻ってくるからね!」
美嘉「はい、お茶」
P「ありがとう」
美嘉「ごめんね。莉嘉ったら……」
P「いや、全然気にしてないよ」
美嘉「本当?ならいいんだけど」
P「髪を下ろした美嘉に会うのも久々だな」
美嘉「そうかな?」
P「美嘉はお姉ちゃんしてるんだな。改めてそう感じたよ」
美嘉「だって、大切な妹だからさ」
P「そうか……、そうだよな」
美嘉「だからさ、幸せになって欲しい……、って、何言ってんだろ、アタシ」
P「でも、美嘉のそういうとこいいと思うぞ」
美嘉「あ、ありがと……」
P「どうした、美嘉、元気がないぞ」
美嘉「べ、別に、家の中だからテンション上がってないだけだよ」
P「そんなことないだろ!」
美嘉「かなわないね、プロデューサーには。ちょっと寂しくなっちゃってさ」
P「寂しい?」
美嘉「莉嘉も最近、アタシじゃなくてプロデューサーと一緒にいるし。プロデューサーも莉嘉につきっきりだし……」
P「なんだ、そんなことか。だったら、3人で遊びに行かないか?」
美嘉「でも、プロデューサーも莉嘉も二人きりがいいだろうし」
P「莉嘉も美嘉のこと大好きだからな。きっと喜ぶと思うぞ」
美嘉「ふふっ。莉嘉が大好きになったのも分かるよ。じゃあ、期待してるからね★」
P「ああ、存分に期待してていいぞ!」
美嘉(莉嘉”も”美嘉のことが大好きなら、プロデューサーもアタシのことを……)
美嘉「あ、莉嘉。片付け終わった?」
莉嘉「うん、終わったよ☆」
美嘉「もういつも片付けてないから……」
莉嘉「これから気をつけるよ」
美嘉「ごめんね、プロデューサー」
P「いやいや、それなりに退屈はしなかったよ」
莉嘉「じゃ行こっか、Pくん!」
P「ああ、じゃ、美嘉、また帰るときに」
美嘉「うん、自分の部屋で待ってるよ」
美嘉(莉嘉がプロデューサーと付き合い出してからもやもやすることが多くなった)
美嘉(莉嘉はアタシの大切な妹。プロデューサーは大切な存在)
美嘉(その二人の仲を引き裂きたくない)
美嘉(かといって、このまま引き下がりたくない)
美嘉(アタシだって女の子だし……)
美嘉(どうにかしてうまくプロデューサーと付き合えないかな)
美嘉(何かチャンスが……)
美嘉(そうだ、あれが……)
美嘉(やっぱりそういうことだよ、そういうことだよね)
美嘉(プロデューサー、待ってて)
美嘉(莉嘉には内緒の話をしてあげるから★)
美嘉「じゃあね、プロデューサー」
P「おう」
莉嘉「バイバーイ☆」
P「じゃあなー、莉嘉」
美嘉「プロデューサー帰っちゃったね」
莉嘉「うん……」
美嘉「ふふ、プロデューサーが今度3人で遊びに行こうって」
莉嘉「ホント!」
美嘉「だから、きちんといい子にしてなきゃダメだよ」
莉嘉「はーい!」
美嘉(いい子にしててね、莉嘉)
美嘉「プロデューサー?」
美嘉「あ、うん。大した用じゃないんだけど」
美嘉「今度、莉嘉の記念日だからプレゼント買いたくて……」
美嘉「え、何の……」
美嘉「プロデューサー、ひどーい。もうすぐ、付き合って半年なのに」
美嘉「はぁ……、電話しといて良かった。じゃあ、都合のいい日にいつものデパート前に行けばいいから」
美嘉「だーかーらー、莉嘉と付き合って最初にデート……、そうそう、プリクラ撮ったところ」
美嘉「うん、じゃ、待ってるよ」
美嘉(楽しみに、ね)
P「あ、美嘉!」
美嘉「遅いじゃん。女の子待たせるなんて……」
P「いや、ごめんごめん」
美嘉「こんなとこで話してもしょうがないし、行こ行こ★」
P「そうだな」
美嘉「あ、そうだ」
P「どうした?」
美嘉「アタシ、寄りたいところあるからそこに先に行っていい?」
P「ああ、いいぞ」
美嘉「きちんとプロデューサーもプレゼント考えてよね★」
P「はは……、もちろんだよ」
P(なんでだろう。この前見たときより明らかに元気になってる……、まあ、いいことだろうけど)
美嘉「プロデューサー、これ似合うかな★」
P「ああ、いいと思うぞ!」
美嘉「だよねー★じゃ、これ買いで!」
P「そろそろ、お昼に近いな」
美嘉「じゃ、どっかで食べる?」
P「近くのところで食べるか」
美嘉「さんせー★さ、早く行こ」
P「はいはい」
美嘉(なんでだろう、嬉しいのにものすごく虚しい……)
美嘉(そうだよね。プロデューサーは莉嘉の……)
美嘉「いやー、今日は楽しかったよ★」
P「俺も莉嘉へのプレゼントを買うことができて良かったからお互い様だな」
美嘉「プロデューサー、ウチ寄ってかない?」
P「どうしてだ?」
美嘉「いやー、その……、そう!莉嘉を驚かしたいじゃん★お姉ちゃんのちょっとしたサプライズだよ」
P「そうか……、まあ、いいんじゃないか」
美嘉「そうこなくっちゃ★」
P「じゃ、お邪魔させていただこうかな」
美嘉「そういうノリのいいとこ嫌いじゃないよ」
P「ま、ちょっとくらいなら、な」
美嘉「はい、お茶」
P「ありがとう」
美嘉「でも、これで何回目かな」
P「数えてないな」
美嘉「ま、数えるものでもないしね」
P「そうだな」
美嘉「で、プロデューサー。莉嘉とはどこまでいったのかな★」
P「ん、んー……」
美嘉「こうやって手をつないだりとか?」
P「いや、何やってるんだ、美嘉!?」
美嘉「それとも……」チュッ
P「!」
美嘉「こんな風にキスとかしちゃったのかな?」
美嘉「もしかして、まだだったとか。だったらごめんね」
P「な、にを……」
美嘉「どうして、アタシじゃないのかな、莉嘉なのかな」
美嘉「莉嘉はどうして、プロデューサーなのかな、アタシじゃないのかな」
美嘉「ねえ、どうして、二人共、アタシから、離れるのかな」
美嘉「カリスマギャルだって寂しいよ。莉嘉のために、プロデューサーのために、やってるのに、どうして二人共、二人共、どこかに行っちゃうの?」
美嘉「ファンの人より近い家族なのに、一緒にやってきたプロデューサーなのに、なんで、遠くに行こうとするの」
美嘉「おかしいよね、おかしいよね、おかしいよね!」
美嘉「何年、莉嘉のお姉ちゃんやってきたと思ってるの。なんで、プロデューサーに負けるの?」
美嘉「なんで、プロデューサーはアタシじゃなくて莉嘉を選ぶの?」
美嘉「莉嘉はアタシの妹だから、絶対に渡さない」
美嘉「プロデューサーはアタシの大事な人だから、絶対に渡さない」
美嘉「莉嘉もプロデューサーも絶対に渡さない」
美嘉「アイドルなんか関係ない!莉嘉はアタシの妹、誰かも分からない、ファンのものじゃない!」
美嘉「プロデューサーはアタシのもの。莉嘉には絶対渡したくない!」
美嘉「ミニスカートの寒さも、ステージの暑さも、全部我慢してきた。今回もずっと我慢してきた。でも、もう、イヤ!」
美嘉「渡さない、アタシの大事な人、妹、絶対に渡さない!渡さない!渡さない!」
P(あれ、眠く……)
美嘉「大丈夫、ずっとアタシがいてあげるし、莉嘉もすぐそばにいるよ」
美嘉「あ、でも、アタシの目の前でしか会わせないから」
美嘉「プロデューサーはアタシを好きになる。莉嘉はアタシの可愛い妹」
美嘉「だから、取っちゃダメ」
美嘉「アタシの妹に手を触れたらオシオキだから」
美嘉「これで、いいの」
美嘉「プロデューサーも莉嘉もアタシのものなんだから」
美嘉「ごめんね、だめなお姉ちゃんで」
美嘉「ごめんね、だめなアイドルで」
美嘉「わかってるけど、やめられないの」
美嘉「止まれないの」
美嘉「TOKIMEKIエスカレート、か」
美嘉「人を変えちゃうよ、ホントに」
美嘉「はーい、莉嘉。ご飯だよ」
美嘉「なんで、そんなに怖がるの?お姉ちゃんだよ」
美嘉「もう、ワガママ言って」
美嘉「そんなこと言うならPさんに会わせないからね!」
美嘉「お姉ちゃんじゃない?どうしてそんなこと言うの?」
美嘉「あ、そっか、ごめんね。ここから出さないのは莉嘉のため、なんか言わなかったもんね」
美嘉「お姉ちゃん、ちょっとワガママになっちゃった」
美嘉「大丈夫、莉嘉の言うことはなんでも聞いてあげるから」
美嘉「いい子にして」
美嘉「アタシはお姉ちゃんだよ」
美嘉「怖がらないで」
美嘉「……、大丈夫、お姉ちゃん待てるから」
美嘉「じゃあ、また後でね」
美嘉「……、虫取り、行きたいね」
美嘉「うん。分かった。お姉ちゃん、ずっといてあげるから、どこ行こっか」
美嘉「もう、莉嘉ったら……」
美嘉「Pさん」
美嘉「莉嘉は大丈夫」
美嘉「あともう少しだから」
美嘉「そしたら、また3人になれるから」
美嘉「アタシのものに早くなって」
美嘉「Pさん★」
美嘉編終了になります。いや、メンタルパワーが書いてると全部持ってかれる……
P「許してください……」
晶葉「どうだった」
P「お前は俺の言っていることを本当に理解しているのか?」
晶葉「癒しが欲しいんだろう」
P「癒されてない」
晶葉「まったく……」
P「もっと可愛いのがいいなぁ、とか。怖いのイヤだし」
晶葉「カワイイのだな。了解した」
P「本当に可愛いのだろうな」
晶葉「文句なしにカワイイぞ」
P「ここは……」
ちひろ「おはようございます」
P「あ、おはようございます」
ちひろ「今日も頑張りましょうね」
P「はい」
ちひろ「今日の予定の確認は済んでいますか?」
P「えーと……」
対象者:輿水幸子
P(カワイイ!幸子カワイイ!)
P「あ、大丈夫です」
ちひろ「あ、そうだ」
P「なんでしょうか?」
ちひろ「幸子ちゃんの扱いには気をつけてくださいね」
P「え、あ、その……、はい」
P(初めからこの注意のされ方って幸子どれだけやばいんだ!?)
幸子「お、おはようございます……」
P「さ、幸子、おはよう」
幸子「あ、良かった!プロデューサーさんがいた!」
幸子「もう、プロデューサーさんがいなかったらと考えていたボクの心労を返してください」
幸子「プロデューサーさんに会うためにいつも何時間もかけてカワイくなってるんですからね」
幸子「無視しませんよね。カワイイボクを無視なんかしませんよね」
幸子「なんですか、その顔。まさか、何かボクが悪いことしましたか?」
幸子「何が悪かったんですか?教えてくださいよ!治しますから!」
幸子「もしかしてカワイくありませんでしたか?」
幸子「どこがカワイくなかったんですか?教えてください!」
幸子「なんで答えてくれないんですか?」
幸子「そんなにボクが……」
幸子「カワイイですよね。プロデューサーさん、ボクはカワイイですよね」
幸子「プロデューサーさん」
幸子「プロデューサーさん」
幸子「プロデューサーさん」
幸子「ボクはカワイイですか?」
幸子「ボクは何か悪いことをしましたか?」
幸子「なんで答えてくれないんですか?」
幸子「プロデューサーさん?」
幸子「答えてもくれないんですか?」
P(まさかの最初からヤバいパターンじゃないか!)
P「その……、幸子」
幸子「なんですか?」
P「お前はなんでそんなに不安なんだ?」
幸子「不安、ボクに不安なんてないですよ」
P「いや、明らかに……」
幸子「気にしないでください」
P「いや、でも……」
幸子「大丈夫ですから、気にしないでくださいと言っているんです!」
P「ああ、すまん……」
幸子「その……、怖いの確かですが……」
P「大丈夫だ」
幸子「あ、頭を撫でてくれるんですか?」
P「もうこれで不安はないか?」
幸子「はい!フフーン、やっぱりボクはカワイイですよね」
P「ああ、カワイイぞ!」
パソコンが死にそうです……
幸子「今日のお仕事はなんですか?」
P「今日は、雑誌の撮影だな」
幸子「フフーン、ボクには簡単な仕事ですね」
P「そうだな」
幸子「ええ、ボクのカワイさを存分に見せつけてあげますからね」
P「信頼してるぞ!」
幸子「ええ、ボクはカワイくて完璧ですから」
P「頼もしいぞ、幸子!」
幸子「フフーン」
スタッフ「じゃ、表紙を方を取らさせていただきますので、Pさんはこちらの方に……」
P「あ、はい」
キャメラマン「あー、いいね、いいよーいいよ、あー、もー良すぎ、ステキ、カワイイ!」
幸子「フフーン」
キャメラマン「うえへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへっへへへへへへへへへっへひいひひっひひひひひひひああああああああああ、カワイイよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
幸子「もっとカワイく撮ってくださいね」
スタッフ「すいません、腕は確かなんです」
P「テンション上がってますね」
スタッフ「そりゃ、もう。だって幸子ちゃんですよ」
P「そ、そうですよね」
スタッフ「もう、雑誌界の快挙ですよ。輿水幸子を表紙に使えるなんて……」
P「あ、ありがとうございます」
幸子(ボクはプロデューサーさんに信頼してもらえてる……)
幸子(だから、ここで失敗するわけには……)
幸子(失敗したら見捨てられる……)
幸子(カワイくなきゃ……)
幸子(カワイイんですよ、ボクは……)
幸子(だから、プロデューサーさんも見捨てないはず……)
幸子(でも、もし……)
幸子(そんなことあるはずない)
幸子(もしかしたら……)
幸子(こんなこと考えてちゃ……)
幸子(プロデューサーさんがこっちを見てない……)
幸子(なんでなんで)
幸子(どうしてどうして)
幸子(ボクを見てないんですか)
幸子(どうして)
幸子(ボクはもう……)
スタッフ「もう、本当に……」
P「なんか、幸子の様子が……」
キャメラマン「カワイイね、カワイイよ、カワイイいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
幸子「はぁ……、はぁ……」
P「尋常じゃないぞ、あの汗!!」
スタッフ「顔色もすごく悪くないですか?」
P「一旦中止!」
スタッフ「はい!」
P(まだ、5分も経っていないのに……)
P(明らかにおかしい)
P(考えられるのは……)
対象者:輿水幸子
P(これしかない)
幸子「ぜぇ……、ぜぇ……」
P「幸子、幸子!!」
スタッフ「おい、カメラ!」
キャメラマン「はい!」
スタッフ「被写体の何見てんだ!!」
キャメラマン「すいません!」
スタッフ「すいませんで済むかバカ野郎!!」
キャメラマン「はいぃ……」
スタッフ「とりあえず、前半の撮高で十分ですので……」
P「すいません……」
スタッフ「こちらの方に落ち度があったんです。謝らないでください」
P「では、その……」
スタッフ「はい、幸子ちゃんを休ませてあげてください」
幸子「すいません、迷惑をかけてしまって……」
P「いや、俺も悪かったんだ。その……、気にしないでくれ」
幸子「はい……」
P「俺はお前を決して見捨てたりしない」
幸子「言葉だけじゃ不安なんです」
P「幸子……」
幸子「今までこんなことばっかりでした。やらなきゃ、ちゃんとしなきゃって」
P「そんなに悩んでいたのか……」
幸子「だから、もう、ボクはいない方がいいのかもしれませんね」
P「幸子、お前……」
幸子「だって、もう、ボクは……」
P「それ以上言うな!」
幸子「Pさん……」
P「頼むから……、それ以上は……」
幸子「一緒にいてくれますか?」
幸子「約束してくれますか?」
幸子「本当に、本当に、いいんですか?」
幸子「ボクは、もう、信じるしかないんですよ」
幸子「それでも」
幸子「ずっと」
幸子「ボクのそばに」
幸子「可愛くなくても」
幸子「約束してくれるなら」
幸子「この手を強く握ってください」
「ありがとうございます、プロデューサーさん」
ちひろ「Pさん、幸子ちゃんに構い過ぎじゃありませんか?」
P「そんなことありませんよ」
ちひろ「たしかに、何ヶ月か前に倒れちゃいましたけど……」
P「ええ」
ちひろ「一緒に住んだり、手をつないで仕事に行ったり」
P「何か問題でも……」
ちひろ「大アリですよ!」
P「なぜですか?」
P「幸子は俺がいないと倒れちゃうんですよ」
P「不安に押しつぶされて病気になっちゃうんですよ」
P「幸子は俺がいないと何をするかわからないんですよ」
P「だから、幸子には俺がついていなくちゃいけないんです」
P「幸子は……」
ちひろ「プロデューサーさん……」
P「幸子は、俺がいなきゃダメなんだ、俺が……、俺が……」
ちひろ「あ、あなた、一体……」
幸子「プロデューサーさん、大好きですよ」
幸子「誰よりも、ボク自身よりも」
装着者の人格が著しく破壊されました
これより”矯正”シャットダウンを行います
ごめんなさい、時間が掛かりましたが幸子編終了です。
なるべく早く書くので許してください
P「う……、うう……、俺は一体何を……」
晶葉「どうした、助手」
P「いや、何があったか、覚えてないというか、何というか」
晶葉「まあ、とりあえず今日中にやりたいことはたくさんあるんだ。さっさとやってもらうぞ、助手」
P「お、おい!記憶が、だな……」
晶葉「大丈夫だ。矯正された結果だ」
P「おい、矯正って……」
晶葉「さあ、さっさと被検体になるんだ!」
P「や、やめろーー!!」
P「い。いったい何が……」
ちひろ「あのー……」
P「あっ、すいません」
ちひろ「プロデューサーさん、大丈夫ですか?顔色が悪いようだったんで……」
P「い、いえ、なんともありませんよ」
ちひろ「それならいいんですけど……」
P「それじゃ、仕事に、と」
対象者:古瀬頼子
P(今回は頼子……、大人しい子だけど、一体どうなってしまうんだ……)
P「結局、頼子にも会わないまま一日が過ぎてしまった……」
P「ん、郵便受けに便箋?今時珍しい……」
P「宛名は、古澤頼子……」
P「手紙ねぇ……」
P(不安しかないが読んでみるか)
『拝啓 P様
忙しい毎日を送っていらっしゃるとは思いますが、いかかがお過ごしでしょうか?
ここ最近、みんな仕事が多くなって会える日が少なくなりました。少々寂しいなと感じながらも
日々お仕事をこなしていく毎日でしたが、少々心細くになりまして思い切ってこの手紙を送りました。
メールではなく、手紙でやり取りすることで二人だけの秘密を持てるのは素敵だなと思います。
出来れば、お返事を頂きたいです。お忙しい中我儘を言ってしまって申し訳ありません。 古澤頼子 敬具』
P「むむむ、そういえばそうだな。最近、みんなに平等にとか言っておいてそうじゃなかったかもしれんし……」
P「まあ、返しておかないとヤバいことは確実だし返すか……」
『頼子へ
俺とお前の仲なんだから、変に形式ばった手紙じゃないくていいぞ。こういうことができて俺も嬉しいしな。
長い手紙を書くのは苦手だから、短めの返事ですまないが許してくれ。』
P「と、これでいいかな……」
P(まあ、手紙で直接会わないなら危害はないだろう)
P「あ、頼子!」
頼子「Pさん、おはようございます」
P「手紙のことなんだが……」
頼子「はい」
P「なんで、俺の住所知ってたんだ?」
頼子「ちひろさんから、その……」
P「まあ、困るものでもないが……、くれぐれも気をつけるんだぞ。そこらじゅうに記者はいるんだからな」
頼子「分かりました」
P「気をつけてくれればいいからな」
頼子「あ、それと手紙のことは……」
P「わかってるさ」
ちひろ「はぁ……、住所ですか……」
P「お願いしますよ。個人情報なんですから」
ちひろ「でも……」
P「どうされたんですか?」
ちひろ「私も知らないんですよ。というより、そういう管理はまた別の部署の管轄で……」
P「えっ、でも、頼子は……」
ちひろ「心当たりといえば、個人情報が大量に載った簿冊を紛失したという案件が入ったくらいで……」
P「まずいじゃないですか!!」
ちひろ「その後、すぐに見つかったんですよ。ほら、何ヶ月か前に。会社でもPさんが気をつけるようにって言ってたあれですよ」
P「あははは、そうですよね。あれしか考えられませんよね」
P(ど、どうしよう……)
『Pさんへ
手紙のお返事嬉しかったです。急な手紙だったので迷惑ではありませんでしたか。
これからもこういう風に文通を交わしてお話したいです。込み入った話からたわいのない話までいろいろ
お話しましょう 頼子より』
『頼子へ
お前とこんな風に話すとは思ってもいなかったが、字を書く事は案外いいことだなとつくづく感じた。
拙い手紙で申し訳ないが、これからもどんどん手紙をやり取りしていこう Pより』
『Pさんへ
お手紙ありがとうございます。やりとりするってこんなにも嬉しいことだとは知りませんでした。
メールでは感じることのできない感覚が私の中を支配しているような感じです。真心がこもっているというか私だけに話してくれていると思うと少々、胸にこみ上げるものがあります。
お仕事の邪魔になるとは思いますが、このままやりとりは続けて欲しいです。わがままを言って申し訳ありませんがこれからもお付き合いよろしくお願いします。 頼子より』
『頼子へ
俺からの手紙をそんな風に受け取ってもらえるとは嬉しい。ちょっと夜更かしして書いてしまったが、その甲斐があった。
とりあえず、手紙を一通書く時間くらいはあるから気にしないでくれ。じゃあ、今日はこのくらいで。 Pより』
『Pさんへ
お手紙が来る度、私の胸は高鳴ります。郵便屋さんのバイクの音がたまらなく恋しいです。
会わない時間ほど人を狂わせるものはないと分かっておりましたが、一日千秋という言葉は今の私の中の時間を見事に表しています。事務所ではお忙しくてお話できないことが多くてもここではたくさんお話が出来て嬉しいです。話したいことは多いのですが書ききれなくなるため、今日はここまでにしておきます。 頼子より』
『Pさんへ
つい、物を書くということは時間を忘れさせます。お手紙が届くまでの手持ち無沙汰な時間をこの手紙を書く時間に費やしてしまいした。二つの便箋にお返事をいただくことは考えておりません。無理のないやり取りをしていきましょう。そういえば……(中略)ということがありました。少々、長くなってしまいましたが、お返事おまちしております 古澤頼子』
P「お、頼子」
頼子「Pさん、偶然ですね」
P「そうだな」
頼子「あ、そういえば……」
P「ああ、すまん。ここ最近忙しくてな……」
頼子「そうですか……」
P「待っててくれよな、な」
頼子「はい……」
P「まあ、手紙を書くのも辛いんだよ」
頼子「そ、そうですよね……、すいません……」
P「頼子?」
頼子「待てますから」
P「あ、ああ、本当にすまん」
頼子「ずっとずっと待ってますから」
P「おお……」
頼子「もし、待てなかったらそのときは……」
P「そのときは……」
頼子「取りに行きます」
P「取りに……」
頼子「取りに行きます」
P(すごく嫌な予感がする)
『頼子へ
すまなかった。ここ最近、晶葉の発明品のお披露目会兼単独ライブの仕事に手間どっていてな。まあ、この忙しさはすぐに終わるから気にしないでくれ Pより』
『Pさんへ
お仕事が忙しい中にこのようなお願いをして申し訳ありませんでした。しかし、私にとってはこの手紙があなたを独占できる大切なものです。あなたへの想いを書き綴り、あなたの時間を私のものにできる数少ない機会のひとつなのです。自分勝手なお願いとは思います。しかし、この恋焦がれる気持ちが暴走を抑えるためにこの手紙が必要なのです。普段の私では言えないことを全てここにぶつけているのです。だから、お願いします。見捨てないでください 頼子』
『Pさんへ
ライブが終わりましたよ』
『Pさんへ
どうして返事をくれないのですか?』
『Pさんへ
メールじゃダメです』
『Pさんへ
なぜ避けるんですか?』
『Pさんへ
郵便受けにたくさん便箋がたまっていますよ』
『Pさんへ
手紙の私が違うわけではありません』
『Pさんへ
見ましたよね』
『Pさんへ
あなたの手紙で分かってるんですよ。いつ通勤するのか。どこを通るのかも。そして、いつ事務所に着くのかも』
『Pさんへ
言いましたよね』
『頼子へ
もうやめてくれ。とても忙しいんだ。ライブの後始末があってとても書けるような状態じゃないんだ。頼む。 Pより』
『予告状
貴殿に盗まれたものにふさわしいものを盗みに行きます。
約束の期日は、貴殿とわたしの繋がりの日から○ヶ月後を告げる鐘が鳴るとき
盗まれたものが金なら金を、宝石なら宝石を、そして、恋心なら恋心を
約束の期日が来たときに闇に隠れて本当の私を見せましょう
紙の束はいつか花束になり、待った時間は鳥となり飛び立つことを祈って
二度目の鐘は約束と祝福の鐘になるでしょう
あなたの虜のアルセーヌより愛をこめて』
P「ふぃ~、今日も疲れたな。まったく、今は23時58分か……」
P(予告状ね。怪盗にでもなったつもりか?)
P
P「ふぃ~、今日も疲れたな。まったく、今は23時58分か……」
P(予告状ね。怪盗にでもなったつもりか?)
P 「ま、どんと来い!住所もバレてんだ!もう、何も怖くない……」
P「そうさ、頼子が怖いわけじゃない」
P「そうだよな」
ゴーン、ゴーン、ゴーン
P「なんだ、この音。こんな音がなる時計、うちに……」
バツッ
P「あっ、停電!」
P(嘘だろ……)
P「おーい、頼子?頼子なんだろ」
P(そうであってくれよ……)
「闇はお嫌いかしら?」
P「!」
P「おい、今なら……」
「許してやってもいいぞ、かしら」
P「なぁ、冗談は……」
「残念ね、言ってあげたのに……」
P「より……こ……」
「ふふ……、今、この闇の中では誰でもないわ……」
「だから……」
「本当の私を見ていただけますか?」
「もちろん、断る。なんて、無粋な言葉はなしよ」
「あなたには……、知っていて欲しいんです……」
「見てもらえたら、この闇も怪盗も消えてしまっているわ」
「だから本当の弱い私を……、見てくださいますか?」
P「……、ああ……」
「ありがとう……、さようなら」
「Pさん……、お返事を頂きにきました」
「古澤頼子です」
「Pさんのことが大好きで大好きで」
「どうしても、そのことを言い出せなくて」
「手紙でストーカーまがいのことまでして」
「挙句の果てには怪盗まで演じて」
「そこまでして、あなたが欲しかった古澤頼子です」
「手紙で時間や日常を盗んでいるとか」
「特別な存在であるとか」
「そんなことを思ってしまうんです」
「たくさん本を読んだのに」
「いろいろ勉強したははずなのに」
「わかんないんです」
「好きって伝え方が」
「私の好きな人に近づかないで、って言えないんです」
「怖いんです」
「ここで拒否されてしまったら」
「私は……」
「本当に」
「何をするか」
「わかんないんです」
「自分のことなのに」
「わからないんです」
「本はたくさん読みました」
「哲学の本もありました」
「理解していたつもりでした」
「でも、自分が理解できていませんでした」
「怖いです」
「見捨てないで」
「私を拒否しないで」
「大好きなんです」
「誰よりも」
「小説の言葉なんかじゃなくて」
「こんな稚拙なことしか言えませんが」
「死ぬほど好きです」
「愛してます」
「好きです」
「大好きです」
「何か、答えていただけますか?」
P「なあ、頼子。ひとつだけ教えてくれ」
「なんですか?」
P「俺は、俺を慕っている女の子にごめんって言わなきゃいけないんだ」
「……」
P「アイドルとして違うんだ」
P「俺の求める理想像とは」
P「だから、なんというか……」
P「古澤頼子じゃなくて、物憂げで静かで、本を読んでて博識で、余裕ありげなそんな女の子に魅力を感じたんだと思う」
P「古澤頼子だったら俺はスカウトしていなかったのかもしれない」
P「才能に惹かれたんだ」
P「君自身じゃなくてさ、君の持つものに」
P「だから、俺はごめんって言わなければならない」
P「俺は古澤頼子とは付き合えない」
P「俺のサクセスにおいて、君の才能がなくなってしまうのが怖い」
「……」
P「だから、全てが終わったら古澤頼子として会いに来てくれ」
P「いや、俺が迎えに行く」
P「そのときは2回目の鐘を鳴らそう」
P「だから、今は……」
P「より……こ……」
P「いないのか?」
P「ブレーカーをあげないと!」
P「……」
P(本当に頼子はいたのだろうか?もしかして、幻聴だったのかも……)
P「ん?」
『待ってますから 古澤頼子』
P「……」
P「ああ」
P「本当にいたんだな」
P「……」
P「ごめんな」
P「ダメなやつなんだ、俺は」
P「今でも、本当の頼子のことを受け入れられないんだ……」
P「もっと余裕があると思っていたんだ」
P「だから、頼りにしてしまったんだ。だから……」
P「強くならなきゃ……」
P「俺が頼子を追い詰めないように」
P「だから、待っててくれ」
P「今度こそ本当の頼子をプロデュースしてみせるからな」
頼子「ふぅ~、予定通りですかね」
頼子「まあ、ここまで上手くいくとは思っていませんでしたが」
頼子「手紙を出して、弱い子アピールしたり、怪盗のふりして迫ったり、最後にはあんな告白まで」
頼子「本当に……、本当に……」
頼子「最高のラブロマンスですよ、Pさん」
頼子「こんなロマンス芸術的じゃないですか!!」
頼子「迎えに来てくれるんですよね」
頼子「ああ、長い長いプロローグが終わって、ようやく本編ですよ」
頼子「男の人って案外か弱い女の子に弱いんですね」
頼子「知らないわけないじゃないですか」
頼子「事実は小説よりも奇なりですよ」
頼子「あなたはまだ知らないでしょうけどね」
頼子「このまま、私の書いた物語の上で踊り続けてください」
頼子「素直な男の人ほどこの物語の主人公に向いている人はいませんからね」
頼子「ヒロインと幸せな結末へたどり着きましょう」
頼子「なるべく早い方が好ましいですよ、ヒーローさん。ふふ……」
頼子編終了です。長い遅いということを反省しながら、次の肇編に向けて頑張ります
あれ、なんでだろう。歌鈴ちゃんがみえ(ry
よく分からん
スカウトされる時から演技入ってましたってことなのかこれは
>>250
全て頼子の手のひらの上で行われていた茶番劇です。
つまり、演技してたのは手紙~告白までです。
P「……」
晶葉「ふんっ」
P「あ、おい!」
晶葉「次だ、次!」
P「おい、晶葉……」
晶葉「時間がないんだ。効率よくテストを進めていかなければならないからな!」
P「何でそんなに機嫌が悪いんだ?」
晶葉「うるさい」
晶葉(相手があの頼子とはいえ、簡単に騙されるなんて……)
P「なんだよ、晶葉」
晶葉「さあ、次だ!次!」
P「あ……、おい!」
P「うーん……」
ちひろ「あ、Pさん!本日の予定の確認は済みましたか?」
P「あ、はい、ちょっと待ってくださいね……」
P(対象者:藤原肇、か……)
P「大丈夫です」
ちひろ「本当ですか?前に凛ちゃんとの約束すっぽかして怒られたんですから、きちんと忘れないように気をつけてくださいね!」
P「は、はい」
ちひろ「じゃあ、私はこれから少々出かけなければならないので失礼しますね」
P「気をつけてくださいね」
P(肇ねえ……、怖くなさそうだけど……)
P「……、どうしようもないほど暇だ……」
P(仕事が案外早く片付いてしまった)
P「これどうすっかな……」
肇「Pさん!」
P「おわあっ!びっくりした……。どうしたんだ、肇?」
肇「はい、実は……、これを作ったんですけど受け取ってもらえますか?」
P「これは……、茶碗か?」
肇「はい。祖父に言われて作ったものなんです。いつも世話になってるんだから、とりあえず作ったらどうかと言われまして……」
P「へぇ~、すごいなぁ。大切にするよ」
肇「ありがとうございます!」
P「いや、お礼を言うのはこっちだよ。ありがとうな」
肇「その……、どういたしまして……」
P「ははは、そんなに照れなくていいよ」
P(このままだと問題がなさそうだが……、そうじゃないんあろうなあ……)
P「ん、お茶会?しかも、俺の家で?」
かな子「はい、ちひろさんがみんなとの交流を深めるためにって」
P「また、なんで……」
智絵里「あの……、歌鈴ちゃんや肇ちゃん、卯月ちゃんも来るみたいで……」
菜々「と、とにかく、3~4人のアイドルとお茶会をするんですよ!」
P「いや、マスコミとかに……」
ちひろ「その心配はありませんよ!」
P「ち、ちひろさん……」
ちひろ「マスコミの報道には全て普通に答えていればいんです。やましいところなんてないわけですし」
P「いや、それでも……」
ちひろ「それに、こういう風なアットホームな感じの事務所として大々的に売り出せば……」
P「無理があるような……」
ちひろ「これ以上のことを聞きたければ教えてあげましょうか?これ以上のことを!」
P「いえ、いいです」
ちひろ「なら、決まりですね!早速、準備しましょう!」
P「えぇ……」
ごめんなさい。ちょっと遅くなるかもしれませんが更新が再開できそうです。
かな子「ここが、Pさんの家ですか!」
歌鈴「うう……、緊張します……」
智絵里「でも、その……」
P「おいおい、まじまじ見るもんじゃないからな」
肇「あ、そうだ。これを……」
P「ん、これは?」
肇「私が作った湯呑です。良ければお使いください」
P「おお、ありがとう」
かな子「実は、私達も作ってもらったんですよ!」
智絵里「すごく温かみがありますから、この湯呑大好きです」
歌鈴「じゃあ、お菓子を出しましょうか」
P「あ、ちょっ、そうやって引っ張ると……」
歌鈴「ふえっ!?」
パーーーーーーーーーーン!!
P「はじけちまったよ。袋を開けるときは俺に言いなさい」
歌鈴「ご、ごめんなさい……」
かな子「で、トレーナーさんがここでしかお菓子を食べちゃいけないって……」
P(え、えぐいこと考えるなぁ……)
肇「でも、ライブ終わるまでなんでそれまでは、その……」
P「おお、いいぞ。こんな形でも貢献できるならそれでいいしな」
歌鈴「あ、ありがとうございます」
智絵里「なんだか、すごく楽しいです。その、Pさんとこんな風にお茶会出来るとは思っていませんでしたし」
P「まあ、事務所だけだとそうなるな」
肇「Pさんさえ良ければこのお茶会も続けていきたいなあと思っているんですけど……」
P「さ、さすがに勘弁してくれ……」
智絵里「ちょっと残念です」
歌鈴「しょ、そんなこと言わないでください」
P「まあ、月一回くらいまでならなんとかできんことはないが……」
かな子「遠慮なくお菓子が早く食べれるようになったら、たくさん作ってきますね」
P「また、トレーナーさんから怒られるぞ……」
P「ライブ成功おめでとう!」
智絵里「こんな風にお祝いできるなんて思ってもいませんでした」
P「まあ、これもかな子がな」
かな子「ひ、ひどいですよぉ……」
歌鈴「でも、すごく楽しいです!」
P「それは良かった。このお茶会も無駄じゃなかったんだな」
肇「それとお祝いにこれを……」
P「皿か?」
肇「はい。ちょっと大きめですけど」
P「いや、嬉しいよ。食器ってやっぱりこう、意図して買うことは少ないからな」
歌鈴「私はよく割っちゃうから、肇ちゃんのお皿助かります」
P「割るなよ」
歌鈴「当たり前でつ!」
智絵里「あ……」
P(なんだか不安になるな)
P(それからも俺の家でお茶会をする習慣はなくならなかった)
歌鈴「うわー、すごい……」
かな子「張り切ってたくさんお菓子作ってきました!」
智絵里「どれもおいしそう……」
卯月「忙しくて来られなかったけど、プロデューサーのおうちって素敵なところですね」
菜々「ナナがお茶をお入れしまーす!」
かな子「こんな風にみんなとお菓子を食べられる機会があるって楽しいです」
智絵里「そうだね、かな子ちゃん」
菜々「ナナ、張り切っちゃいます!」
卯月「おいしーい、幸せですー」
P「どうした、肇。ぼーっとして」
肇「あ、いえ、何でもないです」
P「そ、そうか……」
P(ここ最近、肇の表情がなんとういうか、笑っているところが少なく感じるようになったな……)
すいません、リアルが忙しいのでちょっと放置気味になってました。
少ししたら書き始めます
~数日後の夜~
prrrrrrrrrrrrrrrrrrr
P「はい、もしもし。肇のおじい様、どうしたんですか、こんな遅くに……」
爺「逃げるんじゃ!早く!」
P「いったい、何が……」
爺「……、知らんのか?」
P「はい……」
爺「そうじゃな、わしでさえわからなかったんじゃからな。仕方ないのかもしれん」
P「どういうことですか!?」
爺「約束してくれ」
P「はい、どんなことでも!」
爺「藤原肇は危険だと理解してくれないか?」
P「何があったんですか!?」
爺「話を聞いてくれるかね?逃げ遅れても知らんぞ」
P「俺はアイドルから逃げたりしません!」
爺「後悔しても遅いんじゃぞ……」
爺「本当なら、この電話をしながらでもどこか遠くへ行って欲しいんじゃが……、無理な相談じゃろうのう」
P「そうですね」
爺「ならば、わしも覚悟を決めねばな」
P「はい、お願いします」
爺「あれは、肇が初めて作品を一つ作った時のことじゃった……」
死にそうだけど、肇だけでも終わらせます。
肇「ねえ、おじいちゃん」
爺「どうしたんじゃ、肇?」
肇「私にもおじいちゃんみたいに綺麗なお皿焼ける?」
爺「ああ、焼けるさ」
肇「本当!?」
爺「ああ、本当だとも。使う人のことを考えて、思いをこめて……、そうじゃなあ……、健康でありますように、とかかのう。そう祈ればきっと焼き物の神様が宿って願いを叶えてくれるんじゃ。そうして綺麗に仕上がるんじゃよ」
肇「そうなの?」
爺「そうじゃよ。だから、肇も何かお願いしてみるいい」
肇「じゃあ、おじいちゃんがもっともっと長生きしますように!」
爺「はっはっはっは、しばらく病気はできんのう」
爺「あれが迂闊だったんじゃ……」
P「単なるおとぎ話……、というわけでもなさそうですね」
爺「ああ、女の子は不思議じゃ。現実を見ているのに夢に囚われることもできる。夢に生きる男に理解できるものはおらんじゃろうのう」
P「おじい様……」
爺「じいさんでよい。まあ、未だにそれを信じていたんじゃよ。肇は、いや、信じざるを得なかったというべきかの」
P「それは……」
爺「あんたはいい人だ。だからこそじゃ。いい男にはそれなりに災難が付きまとうものじゃ」
P「……」
爺「まあ、察しが良いのは助かるのう。そうじゃ、肇はあんたに並々ならぬ感情を持っていたんじゃ」
P「そういうこと、ですよね」
爺「ああ」
P「でも……」
爺「人は狂うもんじゃ。程度の差こそあれ、な」
P「信じたくはありませんね」
爺「そうじゃな。これもわしのボケが進行しているだけだと、そう言えればよいのにな」
再開します。遅れてすいませんでした。
許してください、なんでもしますから(定型句)
「ねえ、今誰と話してるの?」
爺「ん?うるさいのう……、いま大事な話をしているのに誰じゃ?」
P「じゃあ、一回切りましょうか?折り返し電話を……」
爺「は…、肇!」
P「え!?」
爺「その……、なんじゃ……、わしも孫バカでのう……」
肇「おじいちゃん」
爺「なんじゃ?」
肇「電話越しに伝えてよ」
爺「孫の頼みじゃ、聞かんわけにはいくまい」
肇「会いに行きますから、って」
爺「伝えておこう」
肇「聞こえているくせに……」
P「藤原さん、大丈夫ですか!?」
肇「Pさん、伝えましたからね」
プツッ、ツーツーツー
P(俺は一体どうしたらいい……)
~数日後~
P(結局、俺はあいつを見捨てて逃げるということは出来なかったらしい)
P(あいつが来るであろう駅の前でただ一人、危険な少女の帰りを待つことにした)
P「肇か?」
P(なぜだろうか、一瞬彼女の顔を忘れてしまったかのような錯覚に陥った。原因は明確だ)
肇「お待たせしました、Pさん」
P(あいつの目は輝いていなかった。アイドル、いや少女としての輝きを失っていた)
肇「もう分かってるんですよね、全部」
P「ああ、分かっているさ」
P(もう彼女に神はいない、信じられる温かみなどない。彼女が信じているのは俺と事実、ただそれだけだ)
肇「嬉しいのに笑えないです。どうしてでしょうか?」
P「忘れてしまっただけだよ。もう思い出さないかもしれないけど」
肇「そうですね。でも、どうでもいいんです。重要なことじゃありませんから」
P「ああ、そうだな」
肇「私にとって重要なことはただ一つです」
P「覚悟は出来てる」
肇「一緒に来てくれますか?」
P「行こうか、肇」
肇「はい、ありがとうございます」
P(肇が笑った。けど、そこに肇の姿はなく、あるのはただ可哀そうな女の子の姿だけだった)
P(数年の月日が流れた)
肇「Pさん、ご飯が出来ましたよ」
P「ああ、今すぐ行くよ」
P(鉄筋コンクリートの家。高級感のあるフローリング以外はコンクリートの色で統一されている。有名なデザイナーが監修した部屋。無機質なデザインがより一層肇の不信感を表していた)
肇「今日はカレーにしてみました」
P「ああ、おいしそうだな」
P(ガラス製のテーブル。プラスチック製の食器やはし、金属製のスプーン。それらが温かみを失った部屋にさらに冷たい風を送り込むような風景を彩る日常)
肇「どうですか?」
P「おいしいよ」
P(肇の表情はあの頃に比べると柔らかくなった。でも、依然としてどこかに冷たさを感じたままだ)
肇「Pさん」
P「なんだ?」
肇「神様っていると思いますか?」
P(あまりに簡単すぎる問いに拍子抜けした)
P「ここにはいないよ」
P(肇は悲しげに笑った。その笑顔があのとき、みんなで集まったお茶会で見せた悲しげな表情にそっくりだった)
P「ああ、神様なんていない方が……」
P(肇の寂しげで悲しい表情により一層暗さが増した。もしかして、俺と肇はどこかですれ違っていたのかもしれない)
爺『ああ、女の子は不思議じゃ。現実を見ているのに夢に囚われることもできる』
P(ふと電話の内容を思い出す。そして気づく。未だに彼女は夢を見ている。終わることのない悪夢と幸せな現実の両方をみているのだ、と)
P「なあ、肇。陶器の皿が……」
肇「いいんです。私はこちらを選びましたから」
P(やっぱり、肇は……)
肇「それに……、幸せですよ」
肇「あなたに選んでもらえたんですから」
P(それは違うんだ、肇)
P「そっか、ありがとう」
P(俺はお前を選んだんじゃなくて……)
P「俺も幸せだよ」
P(お前がいなくならないことを選んだんだ。自分が傷つかないようにするために)
肇「ありがとうございます」
P(分かっていたんだな、ずっと……、現実ってやつを。愛されてなくてもかまわないと思ってしまったんだな。こんな俺のために)
P(冷たい空間が二人を包む。それは起こってしまった現実と報われなかった温かみのある夢がずっと俺たちを、いや俺を責め続けるのだ)
肇「いいんです、あなたがいるなら」
肇「焼き物を焼くこともおじいさんもアイドルも……、夢見ることをやめました」
肇「後悔はあります」
肇「だけど、私はこれで良かったと思います」
肇「あなたと私がいる。この現実さえあれば」
肇「愛されてなくても」
肇「温かみがなくても」
肇「笑顔が戻らなくなったとしても」
肇「そうですよね」
肇「叶わない願いよりも幸せな現実がいいんです」
肇「そうですよね」
肇「私は……、間違っていませんよね」
肇「おじいちゃん……」
肇編終了です。
リアル事情で体調がすぐれず、あまり更新できませんでした。
頑張らなきゃ……(使命感)
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