電「おこた」 (26)


電「はぅ~」

雷「ふにゃ~」

響「ハラショー」

暁「ぴゃ~」

電「あったかいのです」

暁「やっぱり冬はこたつよね」

雷「そしてお供のみかん」


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響「電、私にも一つ取ってくれないか?」

電「はい響ちゃん、どうぞなのです」

響「スパスィーバ」

暁「でもこうこたつでだらだらしてると……」

雷「いざ出撃ってなった時辛いわね……」

電「冬の海は寒いのです……」

響「うん……」

暁「つらい」


電「で、でも! 電たちがやらないと、皆が困ってしまうのです」

雷「まぁ、確かに」

暁「って言っても、私たちの主な任務って」

響「遠征だね」

雷「近海で少しの資材とバケツを取ってくるだけ」

電「あぅ……」

暁「正直。誰でも出来る任務よね」

響「その分何度も行かされるけど」


電「でもでも! バケツが無いと、やっぱり皆が困ってしまうのです!」

雷「確かに赤城さんとか大和さんとか、バケツがなかったらすごい時間お風呂に入ってるものね」

電「だから、やっぱり電たちのお仕事は、この鎮守府にとって、すごく大事なお仕事なのです」

暁「じゃあ今から行ってきてよ」

電「それとこれとは話は別なのです」

雷「ちょっと」

暁「めちゃくちゃじゃない」

電「今日は非番なのです、今はおこたで暖まっているから海には行きたくないのです」


響「確かに」

雷「ま、同感だけどね」

暁「うん」

響「雷、みかんを取ってくれないか?」

雷「うん、はい」

響「スパスィーバ」

暁「でも折角の非番に、こうやってごろごろしているだけってのも、一人前のレディーとしては……」

雷「あら、じゃあ演習でもする?」

電「演習……」


暁「さっき冬の海は寒いって話したじゃない!」

雷「じゃあ他に何があるっていうのよ」

暁「それは……」

響「しかし今日の第一次演習は終了しているよ」

電「次の演習はヒトゴマルマル以降だし、5枠しかないから、私たちが取れるかどうかは……」

雷「足柄さんとか良く見かけるわよね」

暁「やーらーなーいーわーよー!」

響「じゃあ結局このままごろごろしているだけだね」


雷「私はそれで構わないけど」

電「電も」

暁「じゃあこのままこたつにいましょう」

雷「でも、最近遠征任務多くないかしら?」

響「雷も感じていたかい? 私もそう思う」

電「司令官さんに聞いたけど、近々特殊な海域への作戦が発令されるみたいで、そのために備蓄が足りないって言ってました」

暁「あ~、また何かあるのね」

電「また大勢で出撃するんでしょうか?」


雷「どうかしらね」

響「暁、みかんを取ってくれないか?」

暁「仕方ないわね、ほら」

響「スパスィーバ」

電「また新しい仲間が増えるのでしょうか?」

暁「そこはほら、司令官の運次第でしょ」

雷「艦隊が完勝しないといけないわけだし」

響「戦艦や空母の皆はその時期は大忙しだろうね」

雷「最近では重巡も忙しそうにしてるわよ」

暁「結局みんな忙しいのよね」


電「一所懸命運んだ資材やバケツも、あっという間に無くなっちゃいます」

響「司令官もカリカリしているし」

雷「お風呂も混むし」

暁「でも、勝つと司令官がすごく褒めてくれるのよね」

電「頭を撫でてもらいました」

雷「あたしも!」

響「私も」

暁「わ、わたs」

雷「暁は流石にしてもらってないわよね?」

暁「え?」


雷「一人前のレディだもの、司令官に頭を撫でてもらって喜ぶようなおこちゃまじゃないわよね~」

暁「あ、あたりまえじゃない!」

響「しかし金剛さんとかも喜んでいたよ」

電「龍驤さんが喜んでいるのも見ました」

暁「え?」

響「だったら暁も喜んでいいんじゃないかい?」

雷「ふふっ、そうね」

暁「あ……うぅ……」


電「ふふっ、暁ちゃん、おめでとうなのです」

響「ところで雷」

雷「ん?」

響「みかんを取ってくれないか?」

暁「ちょっと響、いくつ食べる気よ!」

電「無くなっちゃうのです……」

響「こたつといえばみかん、みかんといえばこたつ、ここは譲れません」

雷「加賀さんの真似しないでよ! ちょっと似てたし」


電「響ちゃん、どうぞなのです」

暁「電も甘やかさない!」

電「面白かったからご褒美なのです」

響「スパスィーバ」

雷「そんなに食べて、晩ごはん食べられなくて鳳翔さんに怒られても知らないんだから!」

暁「怒ると怖いわよ~」

響「…」


電「これでやめといた方がいいと思うのです、響ちゃん」

雷「そういえば鳳翔さんって、どうして厨房なのかしら」

暁「夜は提督のお酒にも付き合ってるみたいだし」

電「前は沢山出撃していたみたいだけど、最近はずっと厨房で皆のご飯を作ってくれています」

響「聞いた話では、赤城さん達よりも先輩で、一航戦も頭が上がらないんだとか」

暁「そんな人がどうして……?」

電「鎮守府の謎の一つなのです……」


雷「今度の特殊海域への作戦では流石に出撃するだろうけど」

響「でも、前回の特殊海域の時は厨房にいたような気が」

暁「聞いたら教えてくれるかしら?」

電「どうでしょう?」

響「私としては鳳翔さんのご飯は美味しいから、今のままでも問題はない」

雷「それは同意ね」

暁「どんなに大変な任務の後でも、鳳翔さんのご飯を食べると不思議と次も頑張ろうって気持ちになるのよね」

電「そうなのです。食べると胸があったかくなるのです」

雷「鳳翔さんの優しさがしみるのよね」

響「おふくろの味というものなのだろうか、すごく、安心する」


暁「そうよね、だから残したりしたら…」

響「問題ないよ」

電「まだ午後の演習の時間にもなってないし、夕ご飯までにはお腹も空くはずです」

雷「そうよね」

暁「でも、食べ過ぎはやっぱり良くないわ」

電「皆で仲良く食べましょう」

雷「私は今食べたいわけじゃないけどね」


暁「もらったみかんって、あとどのくらい残ってたっけ?」

電「どうでしょう、あの隅の箱にどのくらい入っているか」

暁「ちょっと響食べた分取ってきてよ」

響「断る」

雷「なんでよ」

響「こたつから出たら寒いじゃないか」

暁「響が沢山食べたんだから響が行きなさい!」

響「…………了解」


雷「すっごい間があったわね」

電「気持ちは分かるけど……」

暁「まったく……」

響「ただいま」

雷「はやっ」

響「あったかい……」

電「みかんはどの位残ってました?」

響「半分くらいかな」

暁「まだもちそうね」


雷「響が全部食べちゃうんじゃないかしら」

電「流石に全部は……」

暁「まぁ、そうね」

雷「今は食べてないし」

電「司令官さんのご実家から毎年大量に届いたそのおすそ分けがまるまる一箱っていうのもすごいのです」

響「あまり好きではないみたいだよ」

暁「そうなの!?」

雷「どうしてかしら?」

電「気になるのです」


響「なんでも、子供の頃からずっと食べてきたし、事ある毎にみかんを送ってくるから流石に飽きた、と司令官は語っていたよ」

電「こんなに美味しいのに、飽きてしまうのですか……」

暁「どんなに美味しくてもずっと食べてたら飽きちゃうのかしら」

響「そうかも知れない、それはそうと暁」

暁「何?」

響「みかんを取ってくれないか?」

暁「もういい加減にしなさーい!!!」




おしまい

終わりです。

なんだこれ。

少しでもお楽しみいただけたら幸いです。
それではお目汚し失礼しました。

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