自殺志願者「死のう・・・」(18)
俺は机の中にしまってあるカッターを取り出そうとした。
ガラッ
自殺志願者(以下:少年)「!?」ビクッ
俺は驚愕した。頭が真っ白になり現実という感覚が消えた。
ドラえもん「やあ。僕ドラえもん」
少年「え・・どう・・いう・・」ガクガク
あの“ドラえもん”が目の前にいる。
姿は二次元体である筈なのに…ここ三次元に存在している。
ドラえもん「やはり君は死のうとしてたんだね?」
少年「え・・いや・・その・・」
ドラえもん「別にいいんだ。むしろ君には感謝している。
僕の存在が空想上ではなく現実に存在することが出来たんだもんね」
ドラえもん「まあ……今は戸惑うだろうね。少し休みな」
少年「え・・あ・・はい・・」
ドラえもん「今まで辛かったんだろうね。よく耐えたね」
たったその一言で俺の涙腺は崩壊し感情も面に出た。
少年「うっ…ヒグッ…ウエッウエッ…ウウッ…うわゎぁあ…」グスッグスッ
ドラえもん「まあ…君も察してると思うが僕が来たからには
君が悩んでる程度の事の解決なんて朝飯前さ」
俺は初めて自分が幸せで運の良い者だと思った。
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少年「落ち着きました」
ドラえもん「そうかい。なら少しずつ話していこうか」
少年「はい…お願いします」
俺は久しぶりに緊張した。夢かと何度も思った。
ドラえもん「どう説明しようかな・・例を使って示すか」
少年「………」
ドラえもん「そうだな……涼宮ハルヒは知ってるね?」
少年「!?……はい…」
ドラえもん「うん。だいたいそんな感じかな?」
少年「え?」
ドラえもん「涼宮ハルヒの能力を知ってるだろう?
宇宙人でも何でも引き寄せるし願いは全て叶うという」
少年「もしかして…俺にハルヒみたいな能力が!?」
ドラえもん「まぁ…そういうことだね」
少年「え……でも……そしたら何故…あんな苦痛な日々を」
ドラえもん「涼宮ハルヒは何度でも能力を発動させられるが
現実の人間はせいぜい一回。それも1億人に一人だね」
少年「……じゃあ俺がその1億人の1人なんですか?」
ドラえもん「それは違うんだよね。君はまた特別だ」
少年「え・・・?」
少年「じゃあ…どういう…」
ドラえもん「君は世界中探しても一人しかいない
素晴らしい能力を手に入れていたんだ…」
少年「え?…何で過去形なんですか?」
ドラえもん「君の持っていた能力は苦痛を貯めて
幸福と交換出来る能力とでも言おうかな?」
少年「え……」
ドラえもん「それに関しては人間誰しもがあるんだよ。
もちろん個人差はあるし幸福も幸福だと気付かないバカも
いるんだけどね」
ドラえもん「大抵の人は苦痛と同じだけの幸福がある。
たまに苦痛が倍あったり、幸福ばかりの人もいるよね?」
少年「あの・・俺がハルヒと似た能力だってのは?」
ドラえもん「普通の人間が幸福として叶えられる物は
全て現実的に考えて可能な範囲までなんだよ。
……だけどね?君は現実的に不可能な事も叶える能力を
手に入れたんだ。これは過去の歴史を見ても君くらいだろう」
少年「へ、へぇ~」
ドラえもん「それで君が得たのが僕の存在だ。
……ただ、あまりに膨大な位の苦痛を消費したから
当分は運に関してもほぼ皆無だろうね?」
少年「それで何か出来るんですか?」
ドラえもん「僕がという意味かい?…まあ…
藤子f不二夫が描いたドラえもんという作品に出てくる
程度の事なら可能ではあるよ?」
少年「え?何でも出来るってことですよね!?」
ドラえもん「もしもボックスという物もあるからね」
少年「え…や、やった…これで…メガほむに…あずにゃんに
長門に……御坂に……etc……」
ドラえもん「ああ…ガッカリさせる事を言うとね…
多分あんまり道具は使えないと思うよ……」
少年「え?どうして……」
ドラえもん「僕も驚いたんだけどね。道具を使用するのにも
人間の持っている苦痛ポイントと言おうか。それを
消費しなくてはならないんだよ」
少年「てことは・・・また・・・あんなにも苦痛を」
ドラえもん「もちろん道具によって差はあるよ。
タケコプターやムード盛り上げ楽団程度ならば
擦り傷程度の苦痛で使用可能となるだろうね。」
ドラえもん「ただ世界改変レベル…主にはタイムマシン
そして…もしもボックスあたりになるだろうね。
これらは相当な苦痛を必要とするだろう。君が
もう一度…全てに絶望して死を考えるくらいにね」
少年「そ、、そんなぁ、、」ブワッ
ドラえもん「その調子だよ?今も苦痛は貯まっている。
いいかい?これからは苦痛は全て君のポイントだ。
苦しければ苦しいほど良いだろう。その内に
君の望む空想世界への移住なども夢ではなくなるだろう」
少年「……わかりました。頑張ってみますよ……」
ドラえもん「まずは学校に行く事だね?」
少年「え」
ドラえもん「それによる苦痛だけでどこでもドアレベル
まではいけるだろう。」
少年「……学校…」
ドラえもん「なぁに。一日行って帰るだけで
次の日dqnに勝てる程度の道具は使用可能になるよ。」
少年「……」
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