イリアステル滅四星でシンデレラ (24)
昔々、あるところにネオ童美野シティという大きな都市があり、そこにブルーノという青年が住んでいました
ブルーノは父親が急な病で亡くなり、父親という邪魔者がいなくなって清々したイリアステル三皇帝にいじめられました
ルチアーノ「おいブルーノ、ご飯まだか!?」
ブルーノ「は、はいただいま…」
プラシド「ふん…」ゲシッ
ブルーノ「うわっ!」ドンガラガッシャーン
ホセ「貴様…、食べ物が服にかかったではないか! どう責任を取ってくれる!?」
ブルーノ「ご、ごめんなさい…」
ブルーノは粗末な服を着て掃除や洗濯、三皇帝のいじめに追われる毎日でしたが
絶望の先に希望はあると、ずっと信じていました
ブルーノ「いつかきっとこの地獄から抜け出せる日が来る!」
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ある日の事、お城の王子様が専属決闘者選びの舞踏会を開く事になりました
全国の決闘者に招待状が届き、当然三皇帝にも招待状が届きました
ルチアーノ「もしかしたら、王子さまの決闘者になれるんじゃないの?」
ホセ「いや、必ず決闘者になるのだ」
プラシド「なった暁には好き放題贅沢するぞ!」
三皇帝は、大はしゃぎです
ブルーノ「あの…、僕の分は?」
ルチアーノ「あるわけないじゃん」
ブルーノ「そんな…」
そして舞踏会の当日、三皇帝の仕度を手伝ったブルーノは、三皇帝たちを送り出しました
ブルーノ「いってらっしゃい」
ルチアーノ「僕の部屋を勝手に覗くんじゃないぞ」
プラシド「勝手に金とか取って出かけたりしたら許さんぞ」
ホセ「我々が王子の専属決闘者になった暁にはお前をペットに昇格させてやろう」
ブルーノ「………」
それからブルーノは悲しくなって、シクシクと泣き出しました
ブルーノ「ひどい、ひどすぎる…!」
さずがのブルーノもこの仕打ちはたえられませんでした
ブルーノ「この世に希望なんてない、希望なんて幻想に過ぎないんだ…、くそっ…!」
ブルーノは泣き叫びました
ブルーノ「ああ、僕も舞踏会に行きたい…王子さまがどんな人なのか会いたい…」
でも、ブルーノのボロボロの服では、舞踏会どころかお城に入る事も許されません
その時、泣いているところに、パラドックスがやってきました
パラドックス「ブルーノ、お前は三皇帝の厳しい仕打ちによく耐えてくれた」
パラドックス「ほうびに、私が舞踏会へ行かせてあげよう」
ブルーノ「本当!?」
パラドックス「私は嘘は言わない、さあ…これに乗れ」
パラドックスはボロボロの自転車を差し出しました
ブルーノ「えっ…、これに乗ってお城に行くの?」
パラドックス「ブルーノ、これがなんだかわかるか?」
パラドックス「いやこれどう見ても壊れた自転車でしょ! こんなの乗れないよ!」
ブルーノ「一見正しいように見えた今の回答…、だがそれは大いなる間違い」
パラドックスは寂れた自転車をリ・コントラクト・ユニバースしました
すると自転車はどんどん大きくなり、なんとデルタイーグルになったではありませんか
ブルーノ「す、すごい…本物のD-ホイールだ!」
パラドックス「まだまだこんなものではない」
パラドックスはブルーノをリ・コントラクト・ユニバースして、謎のD-ホイーラー、アンチノミーにしました
アンチノミー「これが…僕の本当の自分…」
パラドックス「さあ、楽しんこい、だがその前に忠告しておこう」
パラドックス「私の力は十二時までしか続かない…それを忘れるな」
アンチノミー「礼を言う」
パラドックス「それでは行って来るがいい」
アンチノミーはパラドックスから渡されたサングラスをかけて出発しました
王子様が住んでいる、とても大きくて綺麗なお城、アーククレイドルへ
アーククレイドルでは世界各国の決闘者と時械神がダンスをしたり食事を取ったり決闘したりしていました
ルチアーノ「王子様、僕とダンスでも?」
Z-ONE「ダンスは苦手です」
プラシド「お飲み物は何にしますか?」
Z-ONE「ミルクでも貰いましょう」
ホセ「どうだ、このカードとあなたのカードを交換しないか?」
Z-ONE「いりません」
ルチアーノ「なんだよ、随分無愛想な王子だな」
プラシド「こんなんでは専属決闘者になって贅沢する生活をすることができんな…」
アポリア「Z-ONE…、君にふさわしい決闘者は見つかったか?」
Z-ONE「いいえ…、見つかりません…、やはりこの世に私が気に入る決闘者は存在しないのだろうか…」
バタン!
アンチノミー「遅くなってしまって申し訳ありません」
Z-ONE「なんの騒ぎですか?」
アポリア「どうやら絶望するのはまだ早いようだ」
さて、アーククレイドルの大広間にブルーノ、いや…アンチノミーが現れると
そのあまりのかっこよさに、あたりはシーンと静まりました
アンチノミー「…」
プラシド「な、何だあいつは…」
ホセ「むぅ…凄まじい力を感じる…」
それに気づいたZ-ONEが、アンチノミーの前に進み出ました
Z-ONE「そこのデュエリスト、お名前は?」
アンチノミー「アンチノミー」
Z-ONE「はじめましてアンチノミー、私の名はZ-ONE…どうか私と決闘していただけませんか?」
アンチノミー「ああ、構わない」
アンチノミーは、決闘がとても上手でした
アンチノミー「TGパワーグラディエーターとTGレシプロドラゴンフライにTGワンダーマジシャンをチューニング!」
アンチノミー「シンクロ召喚、カモン! TGハルバードキャノン!」
Z-ONE「これがシンクロを超えたシンクロ…!」
Z-ONEはたくさんアンチノミーと決闘しました
楽しい時間はあっという間に過ぎて、気がつくと十二時十五分前です
アンチノミー「まずい…僕はもう行かないと…ありがとう、Z-ONE」
アンチノミーはお礼を言うと、急いで大広間から出て行きました。
Z-ONE「ああ、待ちなさい!」
アンチノミーは早く出ないといけないという焦りで、うっかりサングラスを落としてしまいました
十二時まで、あと五分です、サングラスを、取りに戻る時間がありません
アンチノミーはデルタイーグルに飛び乗ると、急いで家へ帰りました
アンチノミー「さようなら、Z-ONE…」
キイイイイイイイイイイイイイイン!!!
Z-ONE「間に合いませんでしたか…おや?」
アンチノミーの後を追ってきたZ-ONEは、落ちていたサングラスを拾いました
Z-ONE「これは彼が身につけていた…」
アポリア「どうかしたか、Z-ONE?」
Z-ONE「アポリア…、私は、このサングラスの持ち主を専属決闘者にします」
アポリア「それが君の見つけた希望か」
次の日から、時械神たちとアポリアが国中を駆け回り、手がかりのサングラスが顔にぴったり合う人を探しました
時械神とアポリアは、ブルーノの家にもやって来ました
ホセ「いいか、このサングラスが顔にぴったり合えば、この国の富は我々のものになるのだ」
プラシド「言われなくてもわかっている」
三皇帝はサングラスをかけましたが、どう見てもあの時の青年には見えません
アポリア「残念ながら、この家には昨日の決闘者はいないようだな」
そう言って、アポリアと時械神が帰ろうとした時、ブルーノが現れて言いました
ブルーノ「僕もかけてみていいですか?」
それを聞いた三皇帝たちは、大笑いしました
ルチアーノ「何をバカな事を言っているんだよwww」
プラシド「俺たちですら合わなかったというのに貴様ごときが…なに!?」
ホセ「馬鹿な…!?」
ブルーノはサングラスをかけると…たちまち謎のD-ホイーラー、アンチノミーとなってしまいました
アポリア「君があの時のデュエリストだったか…」
プラシド「ブルーノ…、お前だったのか!?」
アンチノミー「違う! 僕は、アンチノミーだ!」
アポリア「これで決まりだな、さあついて来い、Z-ONEが君のことを待っている」
プラシド「お、俺たちは…?」
アポリア「部外者は来ないでいただきたい」
三皇帝「うわあああああ!!! 俺たちの計画があああああ!!!」
アポリア「少年、青年、老人よ…、これが絶望だ」
アンチノミーはアポリアと時械神と一緒にアーククレイドルへ行くと、Z-ONEに会いました
Z-ONE「あなたがあの時のデュエリストでしたか…」
Z-ONE「ようやく会えた…私の希望…」
Z-ONE「どうか私のデュエリストとして生涯共に暮らしませんか?」
アンチノミー「君の頼みなら喜んで」
Z-ONE「アンチノミー///」
アンチノミー「Z-ONE///」
チュッ
こうしてアンチノミーはZ-ONEの専属決闘者となりました
三皇帝は絶望しましたが、優しいアンチノミーは三皇帝をアーククレイドルに住まわせるようにZ-ONEに頼みました
アンチノミーの優しさに胸を打たれた三皇帝は心を入れ替え、今では見違えるほどとても優しくなりました
アンチノミー、いや…ブルーノは心優しいデュエリストです
そんなブルーノだからこそ、パラドックスは素敵な贈り物をしてくれたのです
こうして本当の幸せを手に入れたブルーノは、いつまでも幸せに暮らしましたとさ
おしまい
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