ことりファントム (31)


絵里「はい、じゃあ今日の練習はここまで」

穂乃果「疲れたぁ!」

にこ「今日はいつもよりきつかったわね・・・」

凛「かーよちん!早く帰るにゃ!」

花陽「ま、まってよ凛ちゃん!」

海未「私たちも早く帰りましょうか」

ことり「うん、そうだね」




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――


ことり「じゃあことり、こっちだから、穂乃果ちゃんも海未ちゃんもバイバイ♪」

穂乃果「バイバイことりちゃん!」

海未「また明日」

ことり「うん!」スタスタ

穂乃果「・・・あっ!!」

海未「穂乃果?どうしました?」

穂乃果「今日郵便出さなきゃいけないの忘れてた!」

海未「はぁ・・・ポストならさっきありましたので、そこまで戻りましょうか」

穂乃果「ごめんね海未ちゃん!」


――


穂乃果「投函完了!」

海未「では、帰りましょうか」

穂乃果「うん、ついてきてくれてありがとう!」

穂乃果「・・・あれっ?」

海未「今度はどうしました?」


穂乃果「あそこにいるの、ことりちゃんだよね?」

海未「えっ?ことりとはさっき別れたではないですか」

穂乃果「でも、あの公園。ほらっ、穂乃果たちのいる道路と反対側の道路にある公園だよ!」

海未「公園・・・?たしかに誰かいますね・・・」

穂乃果「あのとさか、間違いないよ!ことりちゃんだ!」

穂乃果「おーい!ことりちゃーん!」


・・・


海未「聞こえていないのでしょうか」

穂乃果「でもことりちゃんこっち向いてるよね?」

穂乃果「気づいてないのかな?」

海未「っというより、ことりは帰ったはずですのに、どうして公園に・・・?」


穂乃果「考えてても仕方ないよ!穂乃果たちも公園に行こう!」ダッ

海未「あっ穂乃果!走ったら危ないですよ!」


プップー


穂乃果「どわぁっ!?」

海未「穂乃果!大丈夫ですか!?」

穂乃果「う、うん・・・まさかトラックが来るとは思わなかったよ・・・」

海未「だから走るのは危ないと言ったではないですか・・・」

穂乃果「えへへっ、ごめんね」

穂乃果「よしっ!右見て左見て・・・車なし!」

穂乃果「さぁ、道路を渡ろう海未ちゃん!」

海未「は、はぁ・・・」


スタスタ


穂乃果「公園にとうちゃーく!」

穂乃果「って、あれ?ことりちゃんいないや」

海未「本当ですね、いつの間に・・・」

海未「あのトラックのゴタゴタの時に、帰ってしまったのかもしれませんね」


穂乃果「えー?でも、ことりちゃん絶対穂乃果たちのこと気づいてたよね!?」

海未「それはわかりません、ボーっとこちらを眺めていただけかもしれませんよ」

穂乃果「う、うーん・・・」

海未「しかし、私たちに内緒で帰るふりをしてまで公園にいるということは・・・」

海未「何かあるのかもしれませんね」

穂乃果「隠し事ってやつかな?」

穂乃果「だったら明日ことりちゃんに問い詰めないとね!」

海未「いえ、それはやめておきましょう」

穂乃果「どうして?」

海未「もしかするとことりは、私たちに気づいていなかったのではなく、気づいていないふりをしていたのかもしれませんよ」

穂乃果「なんでそんなことする必要があるの?」

海未「私たちに知られたくないことをしていたのかもしれません。とにかく、ことりのためにも詮索はやめてあげましょう」

穂乃果「うーん、海未ちゃんがそう言うなら・・・」

海未「では、私たちも早く帰りましょう。すっかり日も暮れてしまっていますので」

穂乃果「うん!」



――


ことり「おはよう、海未ちゃん、穂乃果ちゃん」

海未「おはようございます」

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん、おはよー!」

海未「穂乃果、今日の宿題はやってきましたか?」

穂乃果「えっ?宿題なんてあったっけ?」

海未「数学の宿題、今日が提出日ですよ?」

穂乃果「はっそういえばそうだった!」

穂乃果「ことりちゃ~ん!」

ことり「うん、ホームルームが終わった後でね♪」

穂乃果「ありがとうことりちゃん!」

海未「ことり、甘やかしては穂乃果のためになりませんよ?」

ことり「で、でもぉ・・・穂乃果ちゃんが困っているから、助けてあげないと・・・」

海未「はぁ・・・」

穂乃果「さすがことりちゃん!優しいね!」

穂乃果「昨日は友達なのに無視されたと思って落ち込んじゃってたけど、やっぱりことりちゃんは穂乃果の友達だよ!」


ことり「えっ、無視・・・?」

海未「穂乃果!」

穂乃果「っと、しまった!」

ことり「ことり、昨日穂乃果ちゃんのこと無視した記憶がないよぉ?」

穂乃果「ごめん!さっきのは忘れて!穂乃果の勘違いだったから!」

ことり「・・・?」

ことり「う、うん・・・」

海未「あなたは本当に口が軽すぎますよ・・・」ボソボソッ

穂乃果「つ、つい言っちゃっただけだもん!」ボソボソッ

ことり「穂乃果ちゃん?海未ちゃん?」

海未「いえ、なんでもありません。それより早く学校に行きましょう」




――


真姫「体育は嫌いだわ・・・」

凛「真姫ちゃんは運動神経ないから仕方ないにゃ!」

真姫「な、なんですってぇ!?」

花陽「け、けんかはだめだよぉ・・・!」

凛「かよちんの言う通りにゃ!早くグラウンドに行こう!」ダッ

真姫「ちょっと!待ちなさいよ!」


――


花陽「凛ちゃん縄跳び上手だね・・・!」

凛「体育の授業は大好きだからね~!」

真姫「はぁ・・・私は疲れたから向こうで休むわ」

花陽「真姫ちゃん大丈夫?」

真姫「平気よ。凛の相手、よろしく頼むわね」


ワイワイガヤガヤ


真姫「はぁ・・・体育の授業はやっぱり嫌いだわ・・・」


真姫「あれっ?3階の廊下から誰かがこっちを見てる・・・」

真姫「あれは・・・ことり?」


・・・


真姫「わ、私を見てるのよね、あれは・・・」


・・・


真姫「て、手でも振ってあげようかしら・・・私がことりに気づいている合図の意味も込めて」

真姫「ほらっ、私は気づいてるわよ、ことり」フリフリッ


・・・


真姫「・・・無視、されてるわね」


・・・


真姫「しかも、ずっとこっちを見てる・・・気味悪いしイミワカンナイ」


・・・


真姫「もういいわ、放っておきましょ」


マキチャーーンコッチニクルニャーー


真姫「はぁ・・・早く体育終わらないかしら・・・」スタスタ




――


にこ「さぁ、練習するわよ!」

希「にこっちやる気満々やね」


ガチャッ


ことり「遅れてごめんなさぁ~い!」

真姫「あっ!ちょっとことり!」

ことり「へっ?真姫ちゃんどうしたの?」

真姫「どうしたのじゃないわよ!私をバカにしているの!?」

ことり「えっ?えっ?」

絵里「真姫、どうしたの?」

真姫「ことりが2時間目の授業中、ずっと窓から私を見ていたのよ!」

花陽「2時間目って・・・私たちが体育の授業でグラウンドに出てたときだよね?」


ことり「こ、ことりそんなことしてないよぉ!」

真姫「嘘つくんじゃないわよ!私が手を振っても無視したくせに!」

海未「ことりは授業に出ていましたよ?」

穂乃果「うん、ことりちゃんはちゃんと教室にいたよ!」

海未「・・・いえ、そういえば・・・」

海未「ことり、あなたはたしか、途中でお手洗いに行ってましたね」

ことり「う、うん・・・たしかに行ったけどぉ・・・」

絵里「じゃあその時に窓から真姫を見つめていたのね?」

ことり「そ、そんなことしてないよぉ!」

真姫「さぁ、どうかしらね」

ことり「ほ、ほんとにことりは知らないってぇ!」

希「まぁまぁ、もうええやん?」

にこ「そうよ、さっさと練習に行くわよ」

真姫「・・・ふんっ」

ことり「うぅっ・・・ことりはほんとに知らないのに・・・」



――


絵里「はい、じゃあ今日はこれで終了ね」

海未「お疲れ様です」

穂乃果「今日も疲れたー!」

凛「お腹空いたにゃ・・・かよちん一緒にラーメン食べにいこ?」

花陽「ご、ごめん凛ちゃん。今日は遠慮しとくよぉ」

凛「えー!」

絵里「はいはい、寄り道しないで早く帰りなさい?」

凛「はーい・・・」


――


凛「はぁー、お腹空いたにゃ・・・」

凛「早くお家に帰ろっと!」


ガチャッ


凛「ただいまー」

凛「今日は家には凛一人なの忘れてたにゃ・・・」

凛「インスタントラーメンでいっか♪」





コンコン






凛「にゃっ?こんな時間に誰か来たの?」


ガチャッ


凛「誰ですかー?」ヒョコッ


「夜遅くにすみません、宅急便です」


凛「あっハンコ持ってきますのでちょっと待っててください」


アリガトウゴザイマシタ


凛「宅急便・・・お母さんまた無駄なものを買ったのかな?」


ブロロロロ・・・


凛「・・・んっ?宅急便の車の後部座席に乗ってる人・・・」

凛「あれってことりちゃん・・・!?」

凛「間違いないにゃ!とさかついてたもん!」

凛「ことりちゃん宅急便のアルバイトしてるのかな?」

凛「でもそれなら、凛に一言ぐらい話しかけてもよかったと思うにゃ」




――


ことり「おはよぉ」

凛「あーことりちゃん!昨日はひどいにゃ!」

ことり「えっ?」

凛「一言ぐらい話しかけてくれてもよかったんじゃないかにゃ?」

ことり「えっとぉ、何のことかな?」

凛「・・・昨日の夜のことだよ!宅急便のアルバイトをしていることなんて凛、全然知らなかったよ!」

ことり「へっ?宅急便?」

凛「うん!昨日アルバイトしてたんだよね?」

ことり「し、してないよぉ!宅急便なんてできないし・・・免許も持ってないよぉ!」

凛「えー?でも昨日のアレは間違いなくことりちゃんだよね?」

ことり「だ、だから知らないってばぁ・・・」


花陽「凛ちゃん、きっとみんなにあんまり知られたくないことなんだと思うから、触れてあげないほうがいいんじゃないかな?」ボソボソッ

凛「なるほど、かよちんの言う通りかもしれないにゃ」ボソボソッ

凛「ことりちゃんごめんにゃ。さっき凛が言ったことは忘れていいよ!」

ことり「えっ?うん・・・」

海未「おはようございます・・・どうかしましたか?」

穂乃果「えーなになにー?」

凛「なんでもないにゃ!」



ことり「・・・」





――


ことり「希ちゃん、ちょっと相談したいことがあるんだけどぉ・・・」

希「ことりちゃんが相談?珍しいね」

ことり「その・・・練習が終わってから時間あるかな?」

希「うん、ウチは大丈夫やで」

ことり「ありがとう・・・じゃあまたあとでね!」

希「うん、じゃあ練習いこっか」


――


希「ウチは用事があるからエリち、先帰っといて」

絵里「あらっ、わかったわ。じゃあまた明日ね」

希「うん、ばいばい」

希「さて、ことりちゃんのところにいこか」

希(それにしても、ことりちゃん何かあったんやろうか・・・)



――


ことり「希ちゃん、遅くにごめんね?」

希「ううん、大丈夫やで」

希「穂乃果ちゃんと海未ちゃんはいけるの?」

ことり「うん、先に帰ってもらったよ」

希「そっか、じゃあ話を聞こか」

ことり「・・・あの、その前に希ちゃんにお願いがあるんだけど・・・」

希「んっ?どうしたん?」

ことり「その、今日ことり、お家に帰っても一人なの」

希「そうなんや」

ことり「それで・・・ね・・・」

ことり「希ちゃん、今日はことりの家に泊まってくれないかな・・・?」

希「んっふふ、一人は怖いんかな?」ニヤニヤ

ことり「うん・・・そうなの・・・」

希「・・・その表情、何か怖い理由があるんやね?」

ことり「・・・そうだよ、それが今日相談しようと思ったこと・・・なんだよぉ・・・」

希「・・・わかった、ほなっ、着替えとか取りに帰りたいから、ちょこっとウチの家に寄ってもらってええかな?」

希「話はことりちゃんのお家で聞くことにするわ」

ことり「希ちゃん・・・ありがとう・・・」

希(元気がないなぁ・・・やっぱり何かあったんやな・・・)



――


絵里(一人で帰るのは久しぶりね・・・)

絵里(この時間なのに日が暮れていて暗いし・・・なんだか少し怖いわ・・・)

絵里「あっ、今日は亜里沙にケーキを買ってきてあげる約束だったわね」

絵里「あの店で買おうかしら」


アリガトウゴザイマシター


絵里「結構高かったわね・・・」

絵里「じゃあ早く帰りま・・・あれっ?」


・・・


絵里(あそこのコンビニの横に立っているの・・・ことりよね?)


・・・


絵里(こっちを見ている・・・何かあったのかしら?)

絵里(行ってあげましょうか)

絵里「ことり、大丈夫?何かあったの?」ダッ


・・・


絵里「こと・・・」





絵里「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」







――


プルルルル


希「ん?エリちから電話や」

ことり「絵里ちゃんから?」

希「うん、ちょっと出るわ」


ピッ


希「エリち?どうしたん?」

絵里「の、希!助けて!助けて!」

希「ど、どうしたんやエリち!?」

絵里「こ、ことりが!血まみれで!いやぁぁぁ!!」

希「ことりちゃんが!?エリち今どこおるんや!?」

ことり「・・・!!」

絵里「え、駅!神田駅に逃げてきたけど怖くて・・・お願い希、助けて!」

希「神田駅やな?わかったすぐ行く!エリちはそこから動いたらあかんで!」

ことり「希ちゃん!絵里ちゃんがどうかしたの!?」

希「後で話すわ!とりあえず神田駅まで走って!」




――


希「エリち!」

絵里「・・・!!」

絵里「希!!」

希「もう大丈夫やで、安心しぃ」

絵里「うぇっ・・・怖かったんだから・・・」グスン

希「エリち、ちょっと深呼吸して落ち着こ?な?」

絵里「う、うん・・・」

ことり「絵里ちゃん?大丈夫?」

絵里「!!!!」

絵里「い、いやぁぁぁ!!来ないで!!」

ことり「えっ?」

希「エリちどうしたんや!今おるのはウチとことりちゃんやで!」

絵里「で、でも・・・おかしいわよ!だってあなた、さっきまで血まみれで・・・!!」

ことり「血まみれ・・・?」

希「・・・エリち、詳しく聞かせてもらってええ?」

絵里「・・・」コクリ

希「とりあえず、ここにおることりちゃんは普通やから」

ことり「また・・・」

希「ん?また?」

ことり「うん・・・ことりが相談しようとしてることと、今の絵里ちゃんのことが同じなの」

絵里「・・・」

希「場所を変えよか。エリちもいっしょにことりちゃんのお家に来てもらってええ?」

絵里「い、いいけど・・・亜里沙にケーキ渡してあげないと」

希「ほなっ、エリちのお家に寄ってからことりちゃんのところに行こか」




――


希「じゃあ、まずはエリちの話からいこか」

絵里「・・・」

絵里「希に電話をかけるほんの少し前、私はコンビニの横に立っていることりらしき人影を見かけたわ」

ことり「・・・」

絵里「ずっとこっちを見ていたから、私に助けを求めているのかと思って」

絵里「近づいたら、そしたら・・・そこには」

絵里「顔中が血まみれのことりがいたの」

ことり「!!」

絵里「それを見て、怖くて・・・その後希に電話をかけながら、近くの駅に逃げ込んで震えていたのよ・・・」

希「・・・なるほど」

希「エリちが見たのは、たしかにことりちゃんなんやな?」

絵里「えぇ・・・間違いないわ。あの髪形、あの服装・・・絶対そうよ」

希「なるほどね・・・」

希「ことりちゃんの悩み、わかったかもしれん」

絵里「えっ・・・?」

希「エリちにも聞いてもらってええよな?」

ことり「・・・うん、大丈夫だよ」

希「ほな、聞かせてもらおか」


ことり「ことり、最近おかしなことを言われるの」

絵里「おかしなこと・・・?」

ことり「うん、たとえば今の絵里ちゃんもそうだよ」

ことり「ことりは希ちゃんの隣にずっといたもん。希ちゃんに、絵里ちゃんから電話がかかってきたときも」

絵里「えっ・・・?」

ことり「ことり、今日は希ちゃんにお願いしていたの。相談があるから一緒にいてほしいって」

ことり「だからことりはコンビニなんかに近づいていないし、そもそも血まみれになんてなってない」

絵里「じゃあ、私が見たものは・・・」

ことり「・・・前に真姫ちゃんが、ことりに廊下からずっと見られていたって言ってたよね?」

希「じゃあ、それも・・・」

ことり「うん、ことりはそんなことしていないもん」

ことり「今日の朝にもあったの。凛ちゃんが宅急便でアルバイトをしていることりを見たって」

ことり「でもことりはそんなアルバイトはしていない」

絵里「ど、どういうことなの・・・」


ことり「ことり、気味が悪くなってきちゃって・・・」

ことり「でも、みんなが嘘をついているなんて思えない」

ことり「それで、ことり思っちゃったの」



ことり「もしかしたら、私がもう一人いるんじゃないかって」



絵里「ひっ・・・」ビクビクッ

ことり「だっておかしいよ!ことりのいないところでことりを見たってみんなが言うんだもん!」

希「・・・ことりちゃん」

希「ウチ、そういう現象に心当たりがあるんよ」

ことり「えっ・・・?」

希「自分と同じ人間がもう一人現れる。そういう現象があるとしたら・・・それは」



希「ドッペルゲンガー」



希「そうとしか、考えられん」


ことり「ドッペルゲンガー・・・」



・・・



・・・



・・・



このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月21日 (水) 16:54:48   ID: gikdI4Zq

テニヌでもするんかと思ったら違った

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