辞書「やあ!」A「……はい?」 (5)
A「……これはここ、と」
とある家。そこに住む人は、本棚の整理をしていた。いつも本とは長い付き合いをしているから、慎重に本を動かしていく。
すると、見覚えのない辞書が落ちてきた。戻そうと手を伸ばすと……
「やあ!」
軽快な挨拶と共に、とある辞書は此方へ挨拶した。だが、もうこれは初めての現象ではないためあまり驚かない。
「……はい?」
取り敢えず、返事とは言えないような、そんな声を発した。
「さて、と。早速だけど君とは面識があるね?」
そう、彼?とは面識があるのだ。一度このような事が起きたから、きっと相手が覚えていても不思議ではないだろうか
「ええ、まあそうですけど。……取り敢えず本棚に戻しますよ?」
ゆっくりと辞書を掴んで本棚の隙間を埋めるように入れようとしたが、
「いやいやちょっと待ってよ!このままお別れは悲しくない?」
ぱっと辞書が開いて大きく広がり、本棚に入るのを拒む。
「要件はなんです?私も今忙しいんです、手短にお願いします」
仕方ない、話に付き合ってあげよう、そう思い取り敢えず机に置いてみる。
「はい、ありがとう。これはちょっとした話なんだけど、君は日本で一番画数の多い漢字を知っているかい?」
そう言うと、辞書は適当にページをぺらぺらめくる。多分返答を待っているのだろう
「……いえ、自分は分からないですね。」
自分は分からない。だが相手は知っているはずだ。何故なら、相手は辞書であるからだ。答えるとページは止まり、ある漢字が目に止まった。
「……「龍」が三つ?これは何と読むのですか?」
気になった。丁度「森」のような組み合わせで「龍」が三つ並んでいた。ここまで見たら読みも知りたい。期待を込めて聞いてみると
「うーんとね、これは「おとど」とか、「たいと」って読むね。勿論常用漢字じゃないね」
本の片方を曲げして影を作り、読みの所に注目するようにする辞書。
「この漢字の例はどんなものでしょうか?」
どんな時にこんな難解な漢字が出てくるのか知ってみたいから例を挙げるようにお願いするが
「そうそう、世界では恐ろしい画数の漢字があるみたいだよ」
あっさりスルーされた。短文は流石に載っていないのか、と自分に言い聞かせて精神を保つ
「どんな漢字ですか?」
一番気になった事を相手に問う。
「えーと…たしか、「回」が18個くらいあったっけなー。ちょうど目がおかしくなるくらい?」
「さらりとそんな事言わないでください」
辞書の最後の言葉に、思わず此方は突っ込む。
が、「回」が18個ならたしかに起こりうるだろう。後から考えてこの突っ込みに後悔したがもう遅いか
「まあ、世界には凄い漢字があるってことで。それじゃ、「事象は辞書に聞け」。またねー!」
「ちょ、勝手に……仕方ないですね」
そう考えている間に辞書はぱらぱらと音を立てて閉じた。もう呼び出せはしないだろう、そう思いつつ拾って本棚に戻す。戻しながらこう考えた。
(そういえば、読み方聞くの忘れましたね……)
そして、また少し懐かしく新しいその辞書の文字が、きらっと輝いた。
駄文ですねw見てくださって有り難う御座います
A「……これはここ、と」
とある家。そこに住む人は、本棚の整理をしていた。いつも本とは長い付き合いをしているから、慎重に本を動かしていく。
すると、見覚えのない辞書が落ちてきた。戻そうと手を伸ばすと……
「やあ!」
軽快な挨拶と共に、とある辞書は此方へ挨拶した。だが、もうこれは初めての現象ではないためあまり驚かない。
「……はい?」
取り敢えず、返事とは言えないような、そんな声を発した。
「さて、と。早速だけど君とは面識があるね?」
そう、彼?とは面識があるのだ。一度このような事が起きたから、きっと相手が覚えていても不思議ではないだろうか
「ええ、まあそうですけど。……取り敢えず本棚に戻しますよ?」
ゆっくりと辞書を掴んで本棚の隙間を埋めるように入れようとしたが、
「いやいやちょっと待ってよ!このままお別れは悲しくない?」
ぱっと辞書が開いて大きく広がり、本棚に入るのを拒む。
「要件はなんです?私も今忙しいんです、手短にお願いします」
仕方ない、話に付き合ってあげよう、そう思い取り敢えず机に置いてみる。
「はい、ありがとう。これはちょっとした話なんだけど、君は日本で一番画数の多い漢字を知っているかい?」
そう言うと、辞書は適当にページをぺらぺらめくる。多分返答を待っているのだろう
「……いえ、自分は分からないですね。」
自分は分からない。だが相手は知っているはずだ。何故なら、相手は辞書であるからだ。答えるとページは止まり、ある漢字が目に止まった。
「……「龍」が三つ?これは何と読むのですか?」
気になった。丁度「森」のような組み合わせで「龍」が三つ並んでいた。ここまで見たら読みも知りたい。期待を込めて聞いてみると
「うーんとね、これは「おとど」とか、「たいと」って読むね。勿論常用漢字じゃないね」
本の片方を曲げして影を作り、読みの所に注目するようにする辞書。
「この漢字の例はどんなものでしょうか?」
どんな時にこんな難解な漢字が出てくるのか知ってみたいから例を挙げるようにお願いするが
「そうそう、世界では恐ろしい画数の漢字があるみたいだよ」
あっさりスルーされた。短文は流石に載っていないのか、と自分に言い聞かせて精神を保つ
「どんな漢字ですか?」
一番気になった事を相手に問う。
「えーと…たしか、「回」が18個くらいあったっけなー。ちょうど目がおかしくなるくらい?」
「さらりとそんな事言わないでください」
辞書の最後の言葉に、思わず此方は突っ込む。
が、「回」が18個ならたしかに起こりうるだろう。後から考えてこの突っ込みに後悔したがもう遅いか
「まあ、世界には凄い漢字があるってことで。それじゃ、「事象は辞書に聞け」。またねー!」
「ちょ、勝手に……仕方ないですね」
そう考えている間に辞書はぱらぱらと音を立てて閉じた。もう呼び出せはしないだろう、そう思いつつ拾って本棚に戻す。戻しながらこう考えた。
(そういえば、読み方聞くの忘れましたね……)
そして、また少し懐かしく新しいその辞書の文字が、きらっと輝いた。
駄文ですねw見てくださって有り難う御座います
久しぶりだな
頑張ってるみたいでなにより
ちょと暇潰しになりました
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