【艦これ】天龍「駄目な奴らが集うカオスな鎮守府」【キャラ崩壊】 (106)



・色々ネタが混じってるよ!(遊戯王・仮面ライダー・etc……)
・原作の設定なんてあってないようなものだよ!
・主人公は天龍だよ!やったね!

・更新はネタがあるときだよ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1421154058




駄目な奴らが集う鎮守府。通称”駄鎮”


上司に逆らった者、成果を挙げられず見捨てられた者、様々な理由で解体を免れた艦娘が集まるこの鎮守府は、そう呼ばれていた。

この鎮守府に訪れた艦娘はやがて己の存在意義を見失い、有り余るその”力”で暴れまわるようになるという。


そして、今日もまた、この鎮守府に新たな艦娘がやって来た。


ヒュオオオ……    ザッ!


天龍「……ここが”××鎮守府”……いや、”駄目な奴らが集う鎮守府”……”駄鎮”……か……」

龍田「……私が調べたんだけど、それはもう凶暴な人達がいるらしいわ。”駆逐艦を執拗に苛める戦艦”、”夜になると付近を徘徊して、
   目に付いた人に襲い掛かる軽巡洋艦”、”提督を堕落させ、時には戦艦をも上回る力を発揮する駆逐艦”……
   まぁ、ここの情報なんてほとんどあって無いような物だから、噂程度のものでしかないけど……」

天龍「安心しろ龍田。何があってもオレが守るからよ」ニカッ

龍田「でもまた”あんな事”したらさすがに庇いきれないから、ほどほどにね」にこっ

天龍「……ハイ」





天龍は金メッキの剥がれた玄関のドアノブに手をかける。自分の鼓動が少し、早くなっていた。
今日からこの鎮守府での生活が始まる。きっと地獄のような日々だろう。

だが、何があっても妹は守る。そう新たに覚悟を引き締めて、天龍は深呼吸する。


天龍「すぅ~……はぁ~……シャアッ!」


バン!


天龍は勢い良く、扉を開けた。


天龍「○×鎮守府から来た天龍と龍田だ!喧嘩なら負けるつもりはねぇ!どっからでもかかってこい!!」ジャキン!


愛用の刀を抜刀し、この鎮守府にいるであろう”荒れた”艦娘達に気圧されない様、声高らかに名乗りを上げる。


天龍「……え?」

龍田「?」


しかし、そこには想像していたような”荒れた”艦娘など一人もいなかった。
荒れ果てていると思われた内部は実に綺麗なもので、前に自分が所属していた鎮守府とさほど代わりは無い。

広間には一人の提督と思しき人物がクラッカーを一本持って立っていた。


提督『……ハイ、着任オメデトウ』パン!


提督は静かに、どう考えてもタイミングを間違えているクラッカーを鳴らした。乾いた音をたて、微量の紙ふぶきが舞った。


龍田「えっと……貴方がこの鎮守府の提督さん?」

提督『ソウダネ』

天龍「一つ聞いていいか?」

提督『何?』

天龍「なんでバケツ被ってんだよ」





提督『……』


天龍は一先ず刀を仕舞ってそう聞いた。

目の前にいる提督はその辺の店にでも売っているバケツを被っていたのだ。

『防災』と赤字で書かれた光沢の少ない鈍い銀色で、目の位置にドリルでも使って開けたような穴があった。


提督『……人ニ見セラレルヨウナ顔ジャナクテネ』

天龍「ふ~ん……」


バケツを被っているせいか、声が篭っている上に片言に聞こえる。


龍田「あら、指名手配されてる人なのかしら?」

天龍「うおいッ!そう言うのは心の中に仕舞っとくもんだろ!?」

提督『アハハ。違ウヨ。ソンナ危ナイ人、幾ラココガ上層部デモ一部ノ人シカ知ラナイ”駄鎮”デモ、
   提督ニサセテクレル訳無イデショ。サテ、トリアエズ君達ガ使ウ部屋ニ案内……』


肩をすくめておどけて見せると、ふと、ピタリと動きを止める。


提督『ア~……ゴメンネ、二人トモ』

天龍 龍田「?」

提督『チョット、ウルサクナル』

??「くっ!気づかれたか!……だが問題ない。袋の鼠だ!」

??「全員突撃ーーーーーーーーーー!!」




バァン!  ドサドサ!


一斉に、近くにあった扉や、不自然に設置されていたダンボールなどから、艦娘達が飛び出してきた。


神通「いきます!」ビュッ

提督『ムッ!?』


ガチャン


背後から神通が手錠つきロープを投げて、提督の右手に手錠をかける。


暁「とう!」

雷「提督覚悟ーーー!」

電「なのです!」


右から駆逐艦3人が駆け、


金剛「Hey!今日こそ提督の素顔Lookさせてもらうネ!!」

比叡 榛名 霧島「「「以下同文!」」」


左からは戦艦4人で挟み撃ちにくる。


長門「フッ。前回の倍の人数だ!今回ばかりは逃れることは出来んぞ!提督!」


玄関の正面にある大階段の踊り場には、いつの間にか仁王立ちで長門がいた。





提督『……フッ。コノ人数、ソシテコノコンビネーション。
   サスガハ”ビック・セブン”。良イ人選ダト言イタイ所ダガ、甘イゾ長門!!』


提督は開いた左手で懐から、一枚のカードを取り出す。


提督『トラップカード発動!『聖なるバリア ミラーフォース』!!』ピカー!

長門「何ィ!?」

「「「「「「「きゃあああああ!!」」」」」」」


カードが光り輝き、提督を挟み撃ちしようとした艦娘達が全員弾き飛ばされる。


ドォオオオン!


長門「くっ!『ミラフォ』を隠し持っていたとは……」

提督『サァドウスル?僕ハアト2枚『ミラフォ』ヲ持ッテイル!』

神通「な、長門さん……どうしましょう?」オドオド

長門「……ハァ~。仕方ない、今回も諦めよう。……撤収!」シュバババッ!

神通「は、ハイ!」


言うが早いか、長門は駆逐艦達を担いで窓から飛び出し、神通は階段を駆け上がりどこかへ行ってしまった。
後には目を回した戦艦達が残り、シンと静まり返る。


提督『……フッ、長門ハヤッパリツメガ甘イナ。僕ハ『ミラフォ』ヲ1枚シカ持ッテナイトイウノニ……』スッ


カードをポケットに入れ、提督は一人、かっこつけたように鼻で笑った。





天龍「え……なにこれ?何が起こったんだよ?」

龍田「一瞬で大嵐が通り過ぎた気分だわ~……」


呆然と、一部始終を見ていた天龍と龍田は、そう呟いた。


提督『ゴメンネ、置イテケボリニシテ。タマニネ、ココニ居ル子達ガ結託シテ、僕ノ素顔ヲ暴キニクルンダヨ』


やれやれという様に手を肩をすくめて首を振る。どうやら今の戦いはよくある事のようだ。


提督『マッ、ソウ易々ト僕ノ素顔ハ拝メサセナイカラ、君達モソノツモリデ』コン♪


バケツをコツンと拳で叩き、自信満々にそう言った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~


天龍と龍田はその後、提督によってこれから自分たちが使う自室を案内された後、二人は執務室へと連れてこられた。


提督『ジャア、他ノ皆ニモ君達ノ事紹介スルネ』

天龍「ウィッス」

龍田「ハイ」


提督は机にあるマイクのスイッチをいれる。


提督『アー、アー、テステス。……ハイ、皆~、新シイ子達ガ来タカラ、執務室ニ集合ヨロシクー』

天龍(軽いな……)





そして、マイクのスイッチを切ってわずか2秒後


ドドドドドドドドドド!   バァアアン!!


島風「いっちばああああああん!!」ズザアアアアァァァァァ!!


カチッ


室内にも拘らず艦装して(天龍は既に外している)室内に入ってきた島風が現れた。
扉を蹴破り室内に入ると、ストップウォッチを止める。


島風「2秒72……また0.3秒、世界を縮めた///」ウットリ


そしてストップウォッチを眺めて恍惚とした表情をする。


天龍(なんだこいつ……)

島風「ねーねー提督見て見て~!私まぁ~た世界を縮め…………ぇっ?……嘘……」


だが、横にいた天龍と龍田に気づくと、絶望した表情に変わる。


島風「私より先に……なんで貴方たちこの部屋にがいるの?」

天龍「え、そりゃあ当たり前だろ、オレ達……」

島風「私が遅いから!?私がスロウリィだからですって!!?」バン!

天龍「いや言ってねぇよ!?」





島風「そんな……私が……私が遅いだなんて……」フラッ

提督『シ、島風?』

島風「もうダメだ……ハハッ、遅い私なんてこの世に必要の無い。雷撃処分不可避よ……」カキカキ……


一体どこから取り出したのか、紙とペンを取り出して遺言らしき物を書き始める。
書き終えるとそれを地面に置き、ダイナマイトとライターを取り出す。


天龍「ちょっ!?おまっ!?」

島風「さようなら提督。所詮私はどこにでも居る遅い女だったけど、出来たら……忘れないで欲しいな……」ジュッ ジジジジジ

提督『ストオオオオオオオップ!!コノ子達新シイ子達!!僕ガコノ部屋ニ連レテ来テカラ呼ビ出シタンダカラ
   先ニコノ部屋ニ居ルノハ当タリ前ダカラ!!島風ガ一番乗リダカラ!!』

島風「なぁーんだ!やっぱり私は速いのね!」ぱぁっ

提督『ソウ!ダカラ早クソレヲ!!』

島風「は~い!そうと分かればこんな物!エイッ!!」ぽいっ


一瞬で立ち直った島風は窓開け、ダイナマイトを外へ放り投げた。



ドガアアアアアアアアン!!                    ギャアアアアアア!?

 
 

                                        フ、フコウダワ グフッ
 


提督(ア、山城ガ……)



~~~~~~~~~~~~~



提督「……ジャア、コレ以上ハ諸事情デ集マラナイダロウカラ、一先ズ紹介シヨウカ」

天龍(え?それどういう意味?)


ザッ


加賀「正規空母、一航戦の加賀」ボソッ

長門「さっき会ったな。戦艦長門だ。ようこそ、歓迎するぞ」

金剛「Hey!私が提督のWife、金剛デース!」

比叡「お姉さまの妹、比叡よ(お姉様に手を出したら殺す)」

榛名「三女の榛名です。よろしくお願いします」

霧島「末の妹、霧島。貴方がここに来た経緯なんてどうでもいいわ。重要な事じゃないから」

扶桑「航空戦艦の扶桑よ。……ところで提督、山城を見かけませんでしたか?」

神通「神通です。姉の川内と同じ軽巡洋艦ですので、よろしくお願いします。」

那珂「ハァ~イ!那珂ちゃんだよー!サインなら後であげるね♪」



天龍「……駆逐艦は島風以外いないのか?」

提督『アァ……昨日、遠征シタ時ニチョットネ……マァ、後デ会ワセテアゲルヨ……ウン』


目をそらして、外を見ながら提督はそう言った。


訂正

天龍「……駆逐艦は島風以外いないのか?他にもいたよな?」

長門「さっきの3人ならベットでぐっすり眠っているぞ!」フンス

提督『他ノ子達ハ……昨日、遠征シタ時ニチョットネ……マァ、後デ会ワセテアゲルヨ……ウン』

今日はこれで。

響だけいないのか…

>>21いるよ




提督『サテ、天龍、龍田、君達ニハ早速ダケド、明日遠征ニ行ッテ貰ウ』

天龍「え、良いのか?オレ達は今日着任したばかりで……」

提督『君達ガ前ノ鎮守府デ遠征ノプロトシテ活躍シテイタノハ知ッテルシ、コレカラコノ鎮守府ノ仲間トシテ
   過ゴスンダカラ、交流ハ深メナイトネ。マァ、ウチハ遠征ガ上手クイカナクテネ。資材モカツカツダカラ、
   直グニデモ行ッテ欲シイッテイウノモアルンダケドネ……』

天龍「ふーん……」


この鎮守府の存在を知るものは少ない。艦娘達の間では噂話として知られてはいるが、
どこにあるかは”駄鎮”行きになった艦娘しか分からない。

故に、大本営からの資材の支給は無い。遠征か、この鎮守府に流れ着いた物を拾うしかないのだ。

また、建造で資材を消費したと虚偽の報告をして、資材の支給を求める提督が大本営からの抜き打ち検査から逃れるため、
書類上は建造で消費したとされる分の資材をこの鎮守府に”流す”のだ。資材の支給は日々配当される分だけでなく、建造などで
大量に消費した場合、消費した分よりも多く支給されるからだ。


提督『ト言ッテモ、コノ鎮守府ノ場所ヲ知ッテル現役ノ提督ナンテ極僅カ。頻繁ニコッチニ流シテクレル訳ジャナイシ、
   期待スルダケ無駄ダカラネ』

長門「我々にとって、遠征の成功はどこの鎮守府よりも強く願っている。遠征のプロともなれば、この”駄鎮”も鎮守府らしく
   深海棲艦達と戦うことが出来るというものだ。期待しているぞ」


~~~~~~~~~~~~


天龍「……って期待されてるからなぁ~。”駄鎮”に来て早々、失敗不可能な任務とはね」

龍田「あら、私はほっとしてるわ~。何もせず、何も出来ないまま日々を過ごすなんて私達艦娘にとっては地獄だもの~」

天龍「まぁな」


翌日、天龍と龍田は港に来ていた。提督曰く、既に編成を決めて駆逐艦達が待っているらしい。


天龍「にしても、噂とは全然違う場所だな。なんか一癖も二癖もあるような奴らばっかみたいだけど、
   ぱっと見たら他の鎮守府と変わりないしな」

龍田「そうね。……本当に良かった」

島風「おっそーい!遅いですよテンニュウさん!タツダさん!」


既に艦装して海上で待機していた島風が手を振って呼んでいる。他にも二人、駆逐艦がいた。


天龍「悪いな。提督から遠征開始が今からって聞いて急いでは来たんだけどな……。あと、私は天龍だ」

龍田「私は龍田よ~」

島風「あぁ~すいませ~ん。私、人の名前覚えるの苦手でして」


頭をかいて申し訳なさそうにそう言う。


天龍(ワザとにしか聞こえないんだが……)

島風「ささっ、早く艦装して下さいな」

天龍「はいはい」





艦装

艦娘が装備する兵装を指すが、これを装備する事を”艦装する”ともいう。通常、艦装は普段”待機形態”にあり小型化して
所持しているが、出撃の際はこれを”戦闘形態”へと戻し、装備する。

天龍と龍田は艦装を取り出し、待機形態から戦闘形態にするためのスイッチをいれる。


天龍「久しぶりの遠征だ。気合入れろよ龍田!」


   ≪天龍アームズ!≫ ≪龍の道 オン、ステージ!≫


龍田「はしゃぎ過ぎて怪我しないでね。天龍ちゃん」


   ≪龍田アームズ!≫ ≪ドラゴン・スーピア~!≫


島風「おぉ、お二人とも中々立派な艦装ですね」


艦装した二人は海上に立ち、島風達の元へと近寄る。


夕立「ども!私が夕立っぽい!」

龍田「……ぽい?」

菊月「初めまして。”ハードボイルド駆逐艦”こと菊月だ。よろしく」フッ……

天龍「お、おう(ハードボイルド?)」


静かに笑うおしゃれな帽子を被った菊月と握手を交わす。





自己紹介が終わるやいなや、菊月は頑丈そうな縄を取り出す。


菊月「それじゃあこいつををくくり付けてっと……」

天龍「え?お。おい!何すんだよ!?」


それの縄で、天龍の腰を縄で縛る。よく見ると、その縄は菊月にも繋がっており、夕立、龍田も一本の縄が繋がっている。

その2本縄がどこに伸びているか見てみると、島風に繋がっていた。


島風「……」ちゅぱっ


ヒュウウウウウ……


島風は自分の人差し指を咥え、それを掲げるようにまっすぐ上に伸ばす。
唾液に濡れた指に風が吹いてひやりと感じる。


島風「風力、湿度、温度、一気に確認!……それじゃあ行きますか」ニヤリ


島風はその場にしゃがみ、肩幅よりやや大きく広げて手を着き、右足を前に、左足を後ろに。陸上選手のように構える。


菊月「いいか。死ぬなよ二人とも」

天龍 龍田「「え?」」


菊月が帽子を押さえ込むかのように深く被りながらそう言って、天龍と龍田が疑問符を浮かべる。





島風「ラディカル・グットスピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーード!」


ボッ!!!


天龍「なん!?」グンッ!!


菊月の発言にどういう意味か問おうとした天龍だったが、出来なかった。

腰が引っ張られ、目の前の景色が一気に変わり、見たことも無いような景色が次々と流れていった。

自分は今、とてつもないスピードで引っ張られているのだと気づいた時には、既に鎮守府が見えなくなっていた。。


ヒュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!


天龍「うおあああああああああああああああああああ!?」


天龍はただ、刀を手放さないよう必死に掴みながら、顔の肉を削ぐような痛みを与えてくる風に耐えていた。


島風「ウッハッハッハッハッハッハッハーーーーハァッ!!FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」


前方から島風の笑い声が聞こえてくる。

自分だけじゃない。龍田と夕立と菊月を引っ張っていながら、自分が今まで経験した事の無いようなスピードを出しているのだ。

途中、深海棲艦のイ級やロ級などの群れが見えたが、それを島風は右へ左へ、時々ジャンプして回避していく。
戦闘を回避するためではあるのだろうが、高速で引っ張られているため体が浮いている天龍達は左右上下に揺らされる。


天龍「うッぷっ!!」


その揺れに、天龍は吐き気を催していた。





天龍「し、島風!スピードを!」

島風「テンニュウさんタツダさん私こう思っているんです!艦娘にとって重要なのはズバリ”速さ”だと!なぜなら
   速ければ砲撃をかわせる。より速ければ魚雷をかわせる。さらに速ければ爆撃をかわせる。もっと速ければ機銃だってかわせる!
   速くて困る事なんて何もありません。遅いことなんて誰にだって出来るのだから!実戦遠征演習補給建造開発解体廃棄編成改造近代化改修!!
   速ければ速いほどお得です!ただし入渠お風呂食事睡眠トイレには”速さ”は必要ありません。なぜならこれは”癒し”だからです!
   癒しは心の最重要栄養です。四六時中心に癒しが無いのは良くありません。最善最良最高の結果を生み出すには常に豊かな心が必要です!
   なので癒しは十分な時間を使わなくてはなりません。しかし社会は常に時間との戦いです。のんびりしてられる時間なんて早々とれません。
   それどころかほんの僅かな時間さえ削らなくてはならない時もあります。そ こ で ”速さ”です!!仕事やつまらない事なんて早く
   終わらせてしまえばいいんです。そうすれば癒しの時間がより多く確保出来るし心に潤いがもたらされ次の仕事に専念出来ると言う物です。
   話が少々それましたがつまり何が言いたいのかというと”速さ”は艦娘の 基 本 ス テ ー タ ス ! それが! 私の!
   持論なのでえええええええええええええええええええええええすぅぁ!!あ、目標地点に到達するので着地の準備して下さいね!」

天龍「!?」


早口でそう言うと、前方にある島が目に入る。


島風「トウ!」ズザァァァアアアア!  カチッ


島風は艦装を外すと同時に飛び上がり、砂浜に着地して砂を巻き上げる。


龍田「着地!」ズザァアア!

夕立「っぽいっとな!」ドザアア!

菊月「ぶへぇあ!」ザザァァアア!

天龍「ぐはぁあっ!」バザァアアア!


龍田と夕立は器用に着地し、菊月と天龍は勢いそのまま砂浜に突っ込んだ。


島風「3分42秒26……また3秒、世界を縮めた……」ウットリ///


ストップウォッチを眺めて悦に浸ると、目的を思い出してストップウォッチをしまう。





島風「ここは私が見つけた穴場です。海に漂う資材がよくこの島に漂着してるんです。さほど大きい島ではありません。
   私は右回りにぐるっと回って行きますのでテンニュウさん達は左回りにお願いします。それでは!」


ビュン!!


天龍「お、オレは天龍……うっぷ……」フラ


あっという間に離れていく島風を見送ると、天龍はフラフラになりながら立ち上がる。


龍田「大丈夫天龍ちゃん?」

天龍「逆になんでお前は平気なんだよ……」

龍田「え~っと……錬度の差?」(←42)

天龍「……畜生め」(←21)

夕立「ね~菊月ちゃん、大丈夫っぽい?」

菊月「ふ、フフ……ハードボイルドはレディーの前で情けない姿を見せるものじゃないのさ」フラフラ

夕立「でも顔色悪いっぽい」

菊月「な、なぁに……今日も海が深海棲艦達のせいで泣いている。その苦しみに比べればこの程度……うぷッ!」


菊月「ウオロロロロロロロ!」

天龍「やっべ……オレまでなんかっ!……ウオロロロロロロロロ!」


結局、島風は島を一人で一周し、しばしの休憩の後鎮守府に戻る事になった。


今日はこの辺で。

艦装やなくて艤装や……。今までずっと間違えてた……

お詫びに資材を赤木さんのお腹に捧げました。許してつかぁさい <(_ _)>

赤木→赤城

もうだめかもしれない。

今日やる予定。

やりますよ。今から。




天龍「スピード狂?」

菊月「あぁ、島風は”速い”ことに異常な拘りを持っている。実際、島風は”他の島風”に比べてずば抜けて移動速度が速い」


艦娘は建造によって生み出されるが、性能や性格に”ムラ”が生じる時がある。この駄鎮にいる島風の場合、スピード狂というわけだ。


天龍「……」


浜辺で海を眺めながら、菊月と天龍は話していた。島風は休憩がてら、龍田に”速さ”の素晴らしさについて語っていた。

天龍は嫌な顔一つせず島風の話に頷いてみせる龍田を横目で眺め、また視線を菊月に戻す。


天龍「……ふ~ん。で、何で駄鎮行きに?」

菊月「それは勿論、速すぎで誰も追いつけない上に、本人が先陣を切るせいで陣形が滅茶苦茶になるからな。速度を合わせろ
   と何度も命令されたそうだが、自分が遅いことが許せない島風にとっては”死ね”と言われるようなものだ。
   結局、命令違反を何度も繰り返し処分される所だったんだが、大本営がその性能は捨てるには惜しいって事で駄鎮行きさ」

菊月「因みに私は提督の妻に浮気調査を依頼され、見事浮気を暴いたからその仕返しに駄鎮行きにだ」フッ……

天龍「ほ~……」

菊月「で、あんたはなぜここに?」

天龍「オレは……」


天龍は少し考えてから、


天龍「前にいた鎮守府の提督をぶん殴った……。それで駄鎮行きだ。龍田は無関係だったんだけど、
   付いて行くって聞かなくてな」

菊月「ほ~う。……そうか」


そう言うと、菊月は立ち上がって砂を叩き落とす。





菊月「さて、それじゃあ帰るか」

天龍「……もうちょっとここにいないか?」

菊月「安心しろ、島風に資材を持たせる。さすがに資材を持った状態で高速移動すれば振り落としかねないし、
   島風もさすがにそんな事はしない。それに、トップスピードが出ない状態になれば、島風もやる気が出ないからな。
   もうあんな吐きそうな目にはあわないよ」

天龍「それ聞いて安心したぜ。二度もアイツに振り回されたくないからな……」

菊月「お~い皆、そろそろ帰るぞ~!」

島風「! 待ってましたぁ!さぁて帰りましょう今すぐ帰りましょうそして入渠して癒しの時間を」

菊月「島風、いつも通り資材持ちはお前だ」ポン

島風「……別にいいですよ。……えぇ」

天龍(露骨に落ち込んだ……)


島風はため息をつきながら艤装を取り出す。


  ≪島風アームズ!≫ ≪ゴット・スピード!ハッハッハッ!≫

  ≪菊月アームズ!≫ ≪駆逐艦!ハードボイルド!≫

  ≪天龍アームズ!≫ ≪龍の道 オンステージ!≫

  ≪龍田アームズ!≫ ≪ドラゴン・スーピア~!≫

  ≪夕立アームズ!≫ ≪ぽい!パワー!ぽい!パワー!ぽいぽいぽいぽい!ぽぽぽぽぽぽぽぽぽい!≫


天龍「……お前の艤装音どうなってんだ」

夕立「夕立の趣味っぽい!」


~~~~~~~~~~~~~~~~


ザザザザザザザ


島風「あ!敵艦見ゆ!」

天龍「……あん?」


島風の声に遠くを見てみると、確かに深海棲艦の姿が見えた。


天龍「イ級が3……か、楽勝だな。下がってろ島風。資材を持ってるお前に戦闘はさせられない」


天龍は前に出ると、前方から近づいてくる深海棲艦に主砲を向ける。


天龍「先制攻撃だ。おもいっきり吹っ飛ばしてやる!!」ガコン

天龍「くらえ!」

島風「ストーーーーーップ」ガッ!

天龍「うおっ!?」カクン!


だが、いざ撃とうとした直前に島風に膝裏を突かれ、体制が崩れて砲撃が出来なかった。


天龍「て、テメェ何しやがる!砲撃直前に膝カックンとか馬鹿か!?危ねぇだろ!」

島風「何しやがるはこっちの台詞ですよ。砲撃しようとしてるんですか!」

天龍「はぁ!?敵を前にして撃たねぇ奴がいるか!」

島風「私たちの鎮守府では常に資材不足だって言ったじゃないですか!その中でも、弾薬は一番確保しずらいんですよ!
   次にいつ補給できるかも分からないのに、あんな雑魚相手に気安く砲撃しないでください!」

天龍「じゃあどうやって戦えってんだよ!」

菊月「その腰にぶら下げた刀はお飾りか?ってことさ」ザザァ


言い争う島風と天龍の間に、菊月が割って入る。





菊月「丁度良い。せっかくだから、新入りの二人には”駄鎮でのみ許される戦い方”ってのを教えてやる」フッ……


別にズレてもいない帽子を被り直し、カッコつけたように笑う菊月は先頭に立つ。


天龍「駄鎮でのみ許される」

龍田「戦い方?」


イ級達を前に、不適に笑う。


菊月「また現れたな”財団X”!今度は一体何を企んでいる?」

天龍「財団えっくす?なんだそれ?」

夕立「菊月ちゃんの脳内設定だから気にしなくてもいいっぽい」

天龍「脳内設定……」

菊月「まぁいい。お前達の相手はこのハードボイルド駆逐艦の菊月だ!」


菊月は黒いUSBメモリ型のアイテムを取り出す。


  ≪ジョーカー!≫


菊月「変身」


それを艤装に差し込むと、菊月の髪の半分が黒く染まる。


菊月「この海を泣かせる奴らは……許さん!」





天龍「え?何アレ?」

島風「ジョーカーメモリですよ。身体能力を大幅に向上させるんです」

天龍「……え?」

菊月「いくぞ!」


菊月はイ級の群れに急接近する。近づかせまいとイ級達はそれぞれ砲撃するが、全て見えているかのように
かわしていく。顔の真横を通り過ぎた砲弾もあったが、臆する事無く菊月はイ級達に向かっていく。

そして、会話が出来てしまいそうなほどに近づくと、


菊月「ハァッ!!」


ズガン!!


イ級の顔面を自分の拳で殴打した。


天龍「ええええええええええええええええええ!?」

龍田「な、殴っちゃった……」

菊月「フッ、まだまだぁ!」


次々と拳を叩き込む菊月。イ級達も反撃しようにも、至近距離で砲撃すれば自分達もダメージを負う。
距離を取りたくても、それを菊月は許さず拳や蹴りを叩き込む。





島風「『砲撃がダメなら殴ればいいじゃない』これが駄鎮での戦い方の一つです」

天龍「いや、だからってあれは艦娘の戦い方じゃないだろ!つーかメモリってなんだよ!
   誰だよあんなもの作ったの!」

夕立「菊月ちゃんっぽい」

天龍「自作なの!?」

島風「なにを驚くんですか。テンニュウさんの刀だって同じ物でしょう?」

天龍「いや、これは……敵の砲弾たたっ斬れたらカッコいいかな~って思ってたらいつの間にか持ってたっていうか……あと、天龍だから」

島風「それと同じですよ。私達艦娘だけが持つ”艦娘パワー”を持ってすれば何だって作れます!
   ま、それを知っているのはこの駄鎮にいる人達だけですけどね~」

天龍「……艦娘パワーってなんだよ」

菊月「さぁて、お片づけの時間だ」


  ≪ジョーカー!マキシマムドライブ!≫


菊月の拳が、紫のオーラに包まれる。


菊月「オラァッ!」


弱ったイ級に向かい、再び拳を叩き込む。イ級は弾け飛び、水面に何度も体を打ちつけ、爆発した。


菊月「もう一発……」


  ≪ジョーカー!マキシマムドライブ!≫


菊月「この……小童がぁ!」


二匹目のイ級を、今度は回し蹴りで吹き飛ばす。このイ級もまた、爆発した。


菊月「ま、こんなものだな」フッ……


立ち上る黒煙を眺めながら、菊月は静かに笑っていた。





天龍「……おい、待て。たしかイ級は3匹だったはずじゃ」

島風「! ミクヅキ後ろ!」

菊月「私は菊d!……え?」


島風の言葉に振り返った菊月が見たのは、目の前にまで迫ったイ級の顔だった。口をあけ、その歯で頭を噛み砕こうと迫っていた。


天龍「菊月ぃ!?」

菊月「ぇ……ぁ……」


菊月の体は、動かなかった。


島風「衝撃のファーストブリットオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


                  ズガァアアン!!!


次の瞬間、島風がイ級を蹴り飛ばしていた。


天龍「え……え!?島風速っ!?」


天龍にはまるで見えなかった。さっきまで隣にいたはずの島風が、瞬きしている間に菊月を助けに行っていたのだ。


菊月「……し、島風」

島風「フッ……誰も私に追いつけない。提督が私に言ってくれた言葉です」

菊月「しまかぜええええええええ!!」ぶわっ

島風「おうっ!?」


菊月は涙を流しながら島風に抱きついた。


晩御飯の時間なので一旦切ります。

再開します。




天龍「島風……お前資材はどうした?」

島風「え?あぁ~……邪魔だったんで投げ捨てました。まぁ、大丈夫ですよ。この辺は潮の流れも穏やかで」

夕立「でももうあんなに流されてるっぽい」

島風「え!?」

天龍「うおい!見てないで拾いに行けよ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


天龍「……全く、とんだ遠征だったぜ」


流された資材を回収し、天龍達は鎮守府に戻ってきた。提督は龍田と共に部屋で待機するように支持された。


龍田「まさか弾薬消費しちゃダメなんてね~」

天龍「これからは接近戦メインってことだろ?オレ刀持ってるけど、自爆特攻してきたイ級を2,3匹斬った
   事があるだけなんだよな~」

龍田「そうね。私の”天覇刃・桜狼牙(てんはじん・ろうろうが)”もロ級を真っ二つにした時くらいしか使った事ないわねぇ」

天龍「天覇刃・桜狼牙!?あの槍そんな名前なの!?」





コンコン


天龍「? 入っていいぞー」


がちゃ


不知火「失礼します」

天龍 龍田「「!?」」ゾワッ


部屋の扉が開き、中に不知火が入ってきた。


不知火「始めまして。駆逐艦の不知火です。昨日はお会いできませんでしたね」

天龍「あ、あぁ……(な、なんだこいつ……)」


それだけなのに、天龍は身動きが取れなかった。不知火と目を合わせた瞬間、全身が強張ったように動かなくなった。


天龍(怖いのか?……いや違う恐怖で動けないんじゃない。油断出来ないってオレの本能が叫んでるんだ!)


それが分かると、天龍の体が少し動くようになった。


天龍「で、何の用だよ。オレ達は遠征に帰ってきたばかりで疲れてるんだけど?」


心臓の鼓動が速くなっているのを感じながら、天龍は慎重に会話を続ける。





不知火「えぇ、その事は承知しています。ですが、司令に伝言を頼まれたので、そのついでに、お二人に
    挨拶しておこうと思いまして。お疲れのところ、申し訳ありません」

天龍「……へぇ」

天龍(っ!……にしてもなんて目だ。目つきが悪いなんてモンじゃねぇ。コイツ、いくつもの修羅場をくぐってきたような、
   凄まじい目だ。ただの駆逐艦なんてレベルじゃない。こいつは戦艦クラスの強さと見て間違いない!)

不知火「この駄鎮にいる以上は、私達は家族のようなものです。これからよろしくお願いします」


不知火が手を差し出す。握手をしたいのだろう。


天龍「あ、あぁ……よろしくな」


ゆっくりと、手を握った。


不知火「……」フッ

天龍「!?」バッ!


その瞬間、不知火が静かに笑った。

その笑顔に、天龍は思わずその場を飛び退いて距離を取っていた。


ドックン ドックン


天龍(やばかった……あと少し遅れていたら手をやられていた!)

不知火「?……司令からの伝言は、『20:00に食堂に来るように』とのことですので。それでは」


ギ~ ガチャン


そういい残して不知火は扉を閉め、その場を後にした。


天龍「……ッ!ぶはあっ!何なんだアイツ!」


天龍は胸の中に溜まっていた空気を吐き出して、強張っていた体が緩んでいくのを実感した。


~~~~~~~~~~~~


コツ コツ コツ コツ


不知火「あれが軽巡洋艦、天龍……」


静かな廊下で歩きながら、不知火は一人呟く。


ギリッ……


不知火「……ッ!」


ガン!


込みあがってきたソレを押さえるように、不知火は拳をきつく握り締め、壁を殴った。

ズキズキと痛みが襲うが、不知火は気にもしない。


不知火(なんて……なんてカッコイイ人なのよ~~~~~~~~~~~!!!!!!!)プルプル


ガンガンガン!


何度も壁を殴りながら、不知火は悶えていた。


不知火(この駄鎮に新しい艦娘が来ていたと知らされて今朝港に向かうところをたまたま見かけたときから
    思ってたけど、やっぱりカッコイイ!!誰にでも気さくに話しかける明るい態度、笑った時の爽やかさ!
    男勝りな性格に見事なプロポーション!この駄鎮に来てからというもの、なぜか同じ駆逐艦の艦娘達から
    避けられ、長門さん以外の人たちからもなぜか会話すら余り積極的にされなかったのに、あんなに会話してもらった
    上に手まで握ってもらえた!願わくばお姉様とお呼びしたい!というか抱きしめたい!いや抱きしめられたい!)


ガンガンガンガン!


込み上げる想いにただひたすら壁を殴り続ける不知火。そして、そんな不知火を見ていた二人の艦娘がいた。


電(し、不知火さんが荒れているのです!今日こそ仲良くなれると思ってたけど、日が悪かったのです!今話しかけたら殺されるのです!!)ガクブル


駆逐艦 不知火

彼女が駄鎮にきた理由はその恐るべき目つきの悪さと常に冷静な態度ゆえ、他の艦娘達から意図せず
誤解を受け続けた結果であるという事を、不知火自身は知る由もなかった。


二人やなくて一人や。

そして今回はここまで。

近いうち更新予定。お楽しみに。

お待たせ。本日更新します。

そろそろ投下します。



20:00


天龍「……時間だな」

龍田「えぇ」


~~~~~~~~~~~~~~~~


天龍「ん?」

龍田「あら?」

響「……」テクテク


食堂に向かっていると、廊下の先に駆逐艦の響の後姿が見えた。
角を曲がり、姿は見えなくなってしまったが、間違いなく響だった。

響は天龍と龍田が元々いた鎮守府にもいた駆逐艦だったため、後姿だけで響と分かったのだ。


天龍「お~い、響~!」タッタッタッタ


この鎮守府にきて初めて見かけたので、せっかくだから話しかけようと、天龍は小走りして角を覗くと。


天龍「……あれ?」


曲がった先に、響の姿は無かった。そこから先は一本道で、もう曲がり角は無いはずなのに、どこにも響がいた
気配が無かった。


天龍「な、なぁ……今のって響だったよな?」

龍田「えぇ、見知った姿だったし……おかしいわねぇ。まるで幽霊みたいに消えちゃったわ……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~


がちゃ


天龍「失礼しまーす」


天龍は食堂に入る扉を開けて、中に入る。


暁「聞いて驚けぇ!!」クワッ!

天龍「!?」びくっ


食堂には艤装した駆逐艦娘が勢揃いして、一列に並んでいた。


島風「神速の駆逐艦!島風!」

暁「レディーな駆逐艦!暁!」

響「幻の駆逐艦、響」ハラショー

雷「10万ボルトの駆逐艦!雷!」

電「こ、心の駆逐艦!電!なのです!」

不知火「静かなる駆逐艦、不知火」

菊月「ハードボイルド駆逐艦、菊月!」フッ……

夕立「お祭りの駆逐艦、夕立!っぽい!」


「「「「「「「史上最強の水雷魂!!!」」」」」」」」

暁「祝うぜ~~~~~~!」

「「「「「「「止めてみなぁ!!!!!」」」」」」」」チュドーーーーン!


最後に、背後で謎の爆発が起きた。


天龍「…………えっ?何?」




パン! パン!パン!


提督「改メテ、二人共着任オメデトーーーーーー!!」


一瞬呆けた天龍だったが、クラッカーの音に我を取り戻し、周りを見ると他の艦娘達も揃っていた。

食堂の周りは飾りつけが施され、『着任祝い♪』と書かれた横長ポスターがぶら下がっていた。


天龍「え、な、何!?」

提督「イヤネ、イツモハ着任当日ニパーティスルンダケド、注文シテタケーキガトドカナクテネ。
   今朝トドイタカラ、コウシテ皆デ歓迎会を開イタンダ」

龍田「あらぁ~。嬉しいサプライズねぇ、天龍ちゃん」

提督「今日ハコノ鎮守府ニイル子達全員イルカラ、顔合ワセモカネテ二人ハ遠慮無ク楽シンデネ」

天龍「お、おう……」


~~~~~~~~~~~~~~


川内「やぁやぁ。貴方が天龍?」

天龍「ん~?」モキュモキュ


テーブルにある肉料理に舌鼓をうっていると、川内が話しかけてきた。


川内「初めまして、私は川内。神通や那珂の姉なんだ。よろしくね」

天龍「んー」スッ


ガシッ


軽く握手を交わすつもりで手を握ると。両手でがっちり握られた。


川内「……ところで貴方、夜戦は得意?」





天龍「ん?あぁ、自慢じゃないが元いた鎮守府では一番得意だったぜ。ついでに言えば
   誰よりも上手かった自信がある。まぁ、しばらくして遠征部隊に変えられたが、腕は鈍ってるつもりは無いぜ」

川内「大した自信じゃない。でも、たとえ貴方が元の鎮守府では一番だったとしても、この駄鎮では二番目よ」

天龍「……へぇ、じゃあ一番は誰だってんだ?」


ヒュ~♪ チッチッチッ


川内「……」ニヤリ


川内は軽く口笛を吹いて、指を振り、不敵に笑いながら自分を指差す。


天龍「……大した自信家じゃねぇか」

川内「事実よ。夜戦だけじゃない。私は日が沈んでいる間は何をやっても駄鎮一よ」

川内「なんだったら今すぐそれを証明してやっても」


(無言の腹パン)ドスッ!


川内「ウッ!」がくり

天龍「!?」

神通「姉が、ご迷惑をお掛けしました」ひょい


一瞬。

二人の間に割って入った神通が川内を気絶させ肩に担ぐまで、一瞬の出来事だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~



がちゃ


山城「お、遅れて申し訳ありません……」フラッ

扶桑「山城!」ダッ

天龍「!? オイ、大丈夫か!?」


食堂の扉を開けて入ってきたのは、何故か艤装を装着して中破状態の山城だった。


扶桑「どうしたの?また艤装が故障して爆発したの?それとも艦載機が勝手に発進して特攻してきたの?」

山城「扶桑お姉様……実は、寝坊して慌てて廊下を走っていたら窓の外から三式弾の流れ弾が……」

天龍「え……お前ら何言ってんだ」

扶桑「気にしなくてもいいわ。私達不幸姉妹にはこの位日常茶飯事よ。貴方も巻き込まれたくなったら私達から
   離れるのをおすすめするわ」

天龍「……って言われてもな。そんなボロボロの姿見せられてほっとけってのが無理な話だ。ホラ、肩貸すぜ」

山城「いいわ。これ位一人で立てるから……」フラッ


扶桑と山城。この姉妹の不幸は艤装を着けていなかれば死にかける事が多い。
何処からともなく飛んでくる流れ弾に直撃。整備したばかりの艤装が突然爆破。バナナに足を滑らせる。建造開発すれば同じ物ばかり。

当時の提督が二人まとめて解体しようとしたが、彼女達の不幸は自分達だけに留まらない。
数々の不幸に見舞われ、二人を恐れたその提督は噂に聞いていた駄鎮へと送ったのだ。

そしてまた、彼女達の不幸の犠牲者が一人。





山城「あっ!?」ガクン


艤装には装着者に身体能力を向上させる力がある。これは艤装自体が重いためと、回避能力を上げるための物であるが、
その装着者の身体能力を向上させる機関が今、故障した。重量に耐え切れなくなった山城は前のめりに転倒した。


天龍「え?ちょっ!?」


自分の背丈より大きな存在、巨大な艤装。艤装をつけていない今の自分で受け止められるだろうかと躊躇った天龍は
半歩ばかり後ろに下がって、しかし仲間を助けなければという思いから踏みとどまり、山城と共に転倒した。


天龍「っ~~!いってて……?」

山城(あ、あれ?あんまり痛くない?あぁ、この顔を覆う柔らかい物のおかげかしら?)むにゅ

天龍「いっ!?」ビクッ


山城は気づいていなかった。転倒した際、自分は天龍を押し倒し、股の間に頭をうずめている事に。


山城「え?な、何!?」もぞもぞ

天龍「ちょっ!!待て動くな!!」


慌てて立ち上がろうとする山城だったが、艤装のせいで体が起き上がらず、腕の力で起こそうと手を付くが、
手は天龍の太股に触れ、顔は股を刺激し、天龍がそれを何とかしようとするせいで中々起き上がれないでいた。


《天龍アームズ!》


天龍「いい加減に……しろおおおおおおお!!」ズガン!

山城「ゲフッ!?」

扶桑「山城おおお!?」


天龍は艤装を装着して山城を蹴り飛ばした





天龍「て、テメェ何しやがる!?新手の痴女か!?偶然を装ったセクハラか!?」

扶桑「ま、待って!事故よ!これは不幸な事故なの!!」

山城「ふ、不幸だわ……」チ~ン


気絶した山城に刀を向ける天龍を止めようと扶桑が割って入ろうとしたとき、不幸にも足がつまずいて
前のめりに倒れそうになる。


扶桑「わわっ!?」


倒れまいとという反射的な行動で、何かに捕まろうとした扶桑。しかし扶桑が掴んだのは


ガシッ


天龍「へ?」


天龍の服だった。


扶桑「きゃん!」


ビリッ  ズテン!


そのまま扶桑は倒れた。当然というべきか不幸というべきか、天龍は倒れることなくそのまま立ったままだった。

ただし、扶桑が掴んだ服は破かれ、ついでにブラジャーまで破き、素肌を惜しげもなく晒す形になった。


天龍「な、なっ!?////」プルプル

扶桑「いたたた……あれ?これは布と……ブラ?……あ」





扶桑は、自分が手にしたものが何なのか、顔を上げて天龍を見て分かった。


扶桑「あ、いやっ!?これはその!」

天龍「テメーもかこの野郎おおおおおおおおおおおおおおおお!!」


ズガン!


扶桑「ぎゃふん!」


扶桑は蹴り上げられ、山城に覆いかぶさるように倒れた。


扶桑「フ、フフフ……不幸……だわ……」ガクリ

天龍「ハァ……ハァ……。畜生、一旦部屋に戻って着替えねぇと……」

暁雷電島風夕立菊月不知火(((((でかい……)))))ゴクリ

提督「ブハッ!」

金剛「Why!?提督!どうしてバケツから血が滴ってるネー!?」



~~~~~~~~~~~~~~


天龍「ったく、ひどい目にあった」

龍田「でも天龍ちゃん。あの人たち別にワザとやったわけじゃ無さそうよ?」

天龍「うっ……た、たしかに……ちょっと悪い事したな……」





加賀「赤城さん!」

天龍 龍田「「?」」


近くで加賀の叫び声が耳に入り、二人がそっちを見ると加賀はトレイに大量の料理を載せていた。
加賀の傍にいたのは同じ一航戦の赤城だった。壁にもたれ腕を組み、加賀から目を背けている。

しかし赤城は一航戦とは思えないほど覇気が無く、くたびれたような姿だった。


加賀「どうして食べないんですか。以前の貴方ならこれ位は軽く平らげていたじゃないですか!」

赤城「加賀さん、私はもう貴方の知っている赤城ではないと前にも言いました。貴方の知っている赤城はとっくの昔に沈んだんですよ」

加賀「馬鹿な事を言わないでください!貴方はここにいるじゃないですか!」

赤城「ここにいるのはさしずめ幽霊船。生きながら死んでいる。それが今の私ですよ」スッ

加賀「赤城さん!」


壁にもたれるのを止め、立ち去ろうとする赤城の前に加賀が立ちはだかる。


加賀「お願いです。食べて下さい。そして一航戦の誇りを取り戻して下さい!」

赤城「……忘れましたよ。一航戦の誇りなんて」

加賀「赤城さん!」

赤城「ハァ……まぁ、これだけ貰っておきますよ」ヒョイ


ため息をついて赤城が手に取ったのは、焼き鳥の串一本だけだった。


加賀「これだけ?……こんな程度で、貴方が満足するはずが無い!」

赤城「私はこの駄鎮に来て何もしてはいません。”働かざる者食うべからず”。だったらこの串一本で、満足するしかないじゃないですか」

加賀「……赤城さん」


自嘲気味にそう笑い食堂から立ち去る赤城を、加賀はただその場に立ち尽くすことしか出来なかった。





天龍「な、何だアレ?」

龍田「なんだか訳ありだったみたいだけど……」

提督「アノ二人ハ同ジ鎮守府カラ来タノサ」


いつの間にか、二人の背後に提督がいた。


天龍「……提督」

龍田「同じ鎮守府って、私達と同じねぇ」

提督「正確ニハ赤城ガ先ニ、加賀ハ後カラ来タンダ。赤城ハ流レ着イタ様ニココニ来テ、ソシテズットアンナ感ジデネ。
   過去ニ何カアッタミタイダケド、ソレヲ無理ニ聞クツモリハ僕ニハ無クテネ。イツカ本人ノ口カラ聞ケルノヲ、僕ハ待ッテル」

天龍「……ふ~ん」

天龍「でもあの赤城ってもしかして……」

龍田「天龍ちゃん?」

天龍「ん?……いや、何でもない」


天龍は頭に思い浮かべたそれを気のせいだと思い、頭から振り払った。


~~~~~~~~~~~~~~~


ワイワイ  ガヤガヤ


天龍「……なぁ、龍田」

龍田「なぁに、天龍ちゃん」


食堂の端で、天龍と龍田は二人きりでいた。

駄鎮の面々が楽しく会話しながら食事するのを見ながら話していた。





天龍「オレはさ、駄鎮に行くって決まった時、お前のことを守らなきゃって思った。でもさ、正直言うと怖かった。
   オレ一人で守れるのかって、不安だった」

天龍「けどここの奴ら見てたらさ、なんか一人で気を張ってたのが馬鹿らしくなってきたよ」

天龍「ここならなんか、やっていけそうな気がする。ちょっと変わった奴らばっかだけど、皆良い奴らみたいだしな」

龍田「そうね……私もそう思うわ」

金剛「Hey!二人共そんな隅っこで何してるデース!主役がいないとパーティが盛り上がらないネー!」

天龍「ハイハーイ!……行こうぜ、龍田」

龍田「うん」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


比叡「さぁさぁ皆さん!実はここで私比叡からサプライズがございまーーす!」

天龍「?」


歓迎会もそろそろ終わりごろかと思っていた頃、比叡が手を上げて注目を集めた。


金剛「Oh!さすがは比叡!サプライズとは洒落た事をしマース!」

長門「で、そのサプライズとは何だ?」

比叡「フフフ……実は私は今日のために……」


比叡が厨房へ向かうと、寸胴鍋を持ち出してきた。


比叡「大人気!特製カレーを作っておきましたーーーーーーーーーーーー!!」

「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」ピキーーン!

天龍 龍田「「?」」


比叡が笑ってそう告げた瞬間、場の空気が凍りついた。


今日はここまでです。

本日更新。危ない危ない。

そろそろ行きます。




比叡「今回のカレーも腕によりをかけてみました!それでは皆さん是非」

加賀「当て身ッ!」ビシィッ!

比叡「ウッ!?」ガクッ

天龍 龍田「「!?」」


寸胴鍋の蓋を開けようとしたとき、音も立てず冷えに背後に回り込んだ加賀が比叡の意識を奪う。


長門「”奴”は任せろ!」


地面に落ちようとしていた寸胴鍋は、比叡の意識が無くなるのと同時に素早く近づいていた長門が受け止める。


提督「全員”奴”カラ離レロ!島風は鎮守府全テノ窓ヲ開放!ガスマスクノ装着を忘レルナ!」

島風「了解!ラディカル・グットスピード脚部限定!!」


ドヒュンッ!!


提督「天龍、龍田!何ヲシテルンダ!君達モ早ク下ガレ!」

天龍「え!?お、おう!」


提督の指示により加賀は比叡を運びながら、他の艦娘達は一斉に壁側に引き下がり、島風は食堂の窓を全て開放すると食堂から出て行った。


長門「グッ!……提督!処分はまだか!?」


鍋を持っている長門が、僅かに揺れた。額に汗を浮かべ、必死に何かに耐えているようだった。


提督「良シ!4時ノ方向ニアル窓ニ向カッテ投擲!処分ハ……」


×:音も立てず冷えに背後に回り込んだ加賀が比叡の意識を奪う。

○:音も立てず背後に回り込んだ加賀が比叡の意識を奪う。




暁「司令官!私がやります!」

長門「良し。タイミングを合わせろ!蓋が開く前に、カケラ一つ残さず消滅させるんだ!」

暁「何時でもオーケーよ!レディの力を見せてあげる!」

長門「行くぞ!」グググッ……


  ゴウッ!!


天龍「うおっ!?」


長門が寸胴鍋を全力で外へと放り投げると、その余波で風が巻き起こる。

暁は同時に腕にディスクを装着する。


天龍「え、何だよソレ」

菊月「アレはデュエルディスクだ」

天龍「?」

菊月「まぁ見てな」

暁「私のターンッ!!」シャキーン!

暁「私はマジックカード『融合』を発動!!」

暁「私が融合するのは手札にある3枚の『ブルーアイズホワイトドラゴン』!」

雷「でた!暁のワンターン融合よ!」




ヒュゴオオオオオオオ!


天龍「うおおお!?オイなんだこの風!?」

菊月「フィールだ」

天龍「フィールって何!?これ以上訳分かんない事言うのを止めろ!”艦娘パワー”にだって理解が追いついてないんだよ!」

暁「青き眼を持つ3匹の銀龍よ……今こそ1つとなりて、究極の力で全てを焼き尽くせ!!」


暁「融合召喚!!」


暁「現れ出でよ!3つ首の銀龍!『ブルーアイズ・アルティメットドラゴン』!!」

  「「「ギャオオオオオオオオオオオ!!」」」

天龍「化け物が出現したーーーーーー!?」


暁がディスクにカードを置くと、暁の背後に、3つ首の巨大な銀の竜が現れる。


暁「比叡カレーにダイレクトアタック!ブルーアイズ・アルティメットバーーーーーーーースト!!!」


  ズドオオオオオオオオオオオン!!


3つ首の竜が放つ眩い光線は食堂の窓を破壊し、遥か彼方に投げ飛ばされていた寸胴鍋を直撃する。   


  ドカアアアアアアアアアアアン!!


天龍「鍋が爆発したーーーーーーー!?」






加賀「……比叡カレーの消滅を確認!」

提督「皆無事カ!?」

暁「司令官!長門さんが!」

提督「何!?」


提督が振り向くと、長門が膝を付いていた。


提督「長門!」

長門「心配ない……すこしばかり奴の近くに居すぎただけだ。眩暈はするが休めばすぐ直る」

提督「ソウカ……全員、警戒ヲ解除!24時間、厨房ニ接近スル事ヲ禁止!以上!」

  「「「「了解!」」」」

提督「フー……被害ハ最小限デスンダネ……」

天龍「……な、なぁ、提督。今何が起こったんだ?俺達速すぎる展開に置いてけぼりなんだけど……」

龍田「とりあえず比叡さんの作るカレーは何かマズイものだって事は分かったわ~」


緊張が解けたのを見計らって、天龍と龍田は提督に近づいた。


提督「ン?アァ、ゴメンネ。君達ノ歓迎会ナノニ、コレジャアモウ出来ナイネ」

天龍「いや、それは別に良いんだけど……何であんな事……?」

提督「……比叡ノカレーハネ、何トイウカ、”マズイ”トカイウ次元ジャ無インダ」


提督は顔を背け、暁の『ブルーアイズ・アルティメットドラゴン』で破壊された食堂を見る。


提督「イイカイ2人共、比叡ノカレーハ例エ何ガアロウトモ食ベチャダメダ。艦娘トシテ、コノ国ヲ守ル者トシテ、
   ソレダケハ絶対ニ避ケル。ソレダケハ覚エテオケバ良イ」

天龍「……もし食べたら……どうなるんだ?」

提督「ソレハ大イナル神ノミゾ知ル……」


~~~~~~~~~


天龍「なぁ、龍田」

龍田「……なぁに?」

天龍「オレこの鎮守府でやっていく自信無くした……」


失敬。この辺で。近いうちにまたやる

お待ちどう。本日更新。

すいません。やっぱり明日で

ぼちばちいきます。



歓迎会がお開きになってしまった翌日、天龍は執務室に呼ばれていた。


天龍「……不審な貨物船?」

提督「アァ。最近、深海棲艦ガ出没スル海域デ目撃サレテイルラシクテネ。ソノ貨物船ハ、艦娘ノ護衛モ無シニ
   海ヲ渡ッテイルラシイ。目的地ヤ積荷モ不明ダ」

天龍「そいつは妙だな……」


深海棲艦が現れてから、人類の海への干渉は激減した。

漁業は言わずもがな、船を利用した輸出入も、今や艦娘達の護衛無しには行えない状態だ。

その護衛も一隻護衛するにあたって割かれる人員は決して少ない物ではない。

そのため、人員不足に悩まされる鎮守府では護衛の依頼を断る事が多く、結局、渡航が中止となる事も珍しくない。


提督「更ニ妙ナノハ、コレマデニ2,3度、艦娘ニ調査サセテテミタンダケド……全員、帰ッテ来テ無インダ」

天龍「!?……それって」

提督「タダノ幽霊船、ナンテモノジャ無イノハ確カダネ。トイウワケデ天龍、君ニコノ貨物船ノ調査任務ヲ与エル」

天龍「え?……ちょ、ちょっと待ってくれよ。何で俺が……っていうか、この駄鎮にそんな重要そうな任務が
   来るんだよ。駄鎮は非正規の鎮守府だろ?調査に行った奴らが帰ってきてないっつーなら、普通もっと戦力がある
   鎮守府が調査するべきじゃないのか?」

提督「ドコノ鎮守府モソンナ余裕ガ無イノサ。万ガ一、空母ヤ戦艦ノ子達ヲ調査ニ出シテ帰ッテコナカッタラ大損害。
   ソレニ、本来君達は深海棲艦ト戦ウノガ本来ノ仕事。ウチハソモソモ”存在シナイ”扱イサレタ子達バカリ。
   ”雑用”ヲ押シ付ケルニハ好都合ナノサ。ダカラコウイウ仕事ガ回ッテ来ル事モ多インダ。君達ニ取ッテハ不服ダロウケドネ」

提督「マァソンナワケデ、親睦ヲ深メルツイデニ調査ニ行ッテキテオクレヨ。5~6人デイケバ万ガ一ニモ”行方不明”ノ事態ハ避ケラレルダロウシ、
   見付ケラレナカッタラソレデモイイ。誰ト一緒ニ行クカモ自由ニ決メテ良イカラサ」


フー、と、溜息を吐きながら提督はバケツの中に手を入れてポリポリと頬を掻く。


天龍「ヘーイ。……なぁ、喋り過ぎて蒸れて痒いならバケツ脱げよ」

提督「コレハ僕ノ”アイデンティティ”ダ」


~~~~~~~


天龍「さぁ~て、誰を誘ったもんかねぇ~」


目撃情報のあった海域が記された紙を眺めながら、天龍は廊下を歩いていた。


天龍「親睦を深めるついでって言ってたし、ここに来てあんまり喋って無い奴と言った方が良いか?」

天龍「でも艦娘が行方不明になってるし……つえー奴誘ったほうがいいか?」





長門「断る」

天龍「えーーーーーー……」

長門「我々はそもそも深海棲艦と戦う存在だ。貨物船の調査だったか?そのような
   押し付けられた雑用のために、貴重な資材を消費するわけにもいかん」カチャカチャ

天龍「そりゃそうだけどさ……」

長門「第一、調査に出て見付けられなかったらどうする?延々調査を続けて、挙句資材が尽きましたでは割りに合わん」フーッ

長門「それに生憎だが私は忙しくてな。とてもその任務を受けられる状態ではない」フキフキ

天龍「…………一眼レフカメラの手入れがそんなに大事かよ?」


天龍はジト目で問う。


長門「ふっ、ただの一眼レフではない。これは実に高性能でな。なんと写している対象が人間の場合、
   最も良い笑顔を測定し、自動でシャッターが切れるという優れものだ」

長門「これで可憐な駆逐艦娘達の無垢な笑顔が」

天龍「もういい分かった!」


バタン!


天龍は長門の部屋を出て、溜息を吐く。


天龍「噂には聞いてたけどあれが”ながもん”か……ビックセブンの面汚しだな……完全に酔った目つきだったぞ……」




金剛「Oh……ソーリーデース。私達姉妹揃って今日はバイトの日ネー」

天龍「え、バイト?バイトしてんのかよ!?」

霧島「そんなの普通じゃ考えられない!と、思うかもしれませんが、私達だけでなく、この駄鎮の生活費を養うため
   多くの艦娘が市街で仕事をしています」

比叡「私達は舞台劇をしています」

天龍「……その熱湯風呂と水着の榛名と関係あんのかよ」

榛名「ハイ!もちろんです!」

金剛「ちょうど予行演習しようと思ってたところデース!」


金剛「Oh!こんな所にお風呂がありまーす!さっそく入るデース!」

比叡「ですがお姉様、このお風呂の湯加減はまずいんじゃ!」

金剛「ノープロブレーム!きっと大丈夫デース!」

榛名「え?明らかに沸騰してますし、絶対ヤケドするんじゃ……」

比叡「お姉さまにもしもの事があったらいけません!ここは私が先に入って湯加減を確かめましょう!」ノ

榛名「いや、手を入れれば済むんじゃ……」

霧島「そう言うことでしたら末の妹である私が先に入りましょう!」ノ

金剛「NO!妹にそんなことさせられまセーン!私が入りマース!」ノ

榛名「……じゃあ、私が」ノ

「「「ドウゾドウゾ!!」」」

榛名「…………えぇ、分かりましたよ。やりますよ」





榛名「いいですか、自分のタイミングで入るので、絶対に押さないでくださいね!」

金剛「OKデース!」

榛名「……危険ですから本当にやめて下さいね!」

比叡「もちろん!そんな事するわけ無いじゃない!」

榛名「絶対ですよ!」

霧島「そんなに念押ししても、根本的な解決にはならないわ」

榛名「…………」

金剛「…………」

比叡「…………」

霧島「…………」

榛名「押して下さいよ!!」

金剛「早く入るデース」げしっ


バシャーン!


榛名「アチチチチチ!!熱い熱い熱い熱い熱い!!」バシャバシャ

比叡「大変!!早く体を冷やさないと!!」

金剛「こんな所に氷がありマース!これを入れて温度を下げるネー!!」


ガラガラガラガラ!!


榛名「痛い痛い痛い!!頭に当たってるしこれドライアイスじゃないですか!!痛い痛い痛い痛い!!」

比叡「こんなに危険な事をしても!」

霧島「やっぱり榛名は」

「「「「だいじょーぶっ!!(イナバ物置風)」」」」シャキーン!!


天龍は既に部屋から消えていた。


金剛「Why!?」





天龍「さーて次は誰を誘おうかな~」


熱湯を見た時点でオチが読めた天龍は、早々に部屋を出てメンバー集めを再開していた。

ちなみに扶桑姉妹を誘おうかと思ったが、部屋の扉を開ける前に爆発音と悲鳴が聞こえたので逃げた。


天龍「あ、そうだ……」


~~~~~~~


加賀「えぇ、いいわよ。今日は特に用事も無いし、その任務、受けるわ」

天龍「マジで!?いやぁ~良かった。やっと一人目確保だよ」

加賀「だが私は一航戦(レア)よ。報酬は高いわ」

天龍「……どのくらい?」

加賀「半日活動して、ざっとこれくらい」ピラッ


加賀から一枚の紙を受け取る。書いてあったのは消費する資材の量だ。


天龍「」

加賀「……」

天龍「……」ゴシゴシ

天龍「」

加賀「……どうかした?」

天龍「ゼロが2桁多くね?」

加賀「言っておくけど、これは戦闘しなかった場合の数値よ」

天龍「……ごめん。この話は無かった事に」

加賀「……言うと思ったわ」





天龍「……もう軽巡か駆逐艦くらいしかいねぇよなぁ」

川内「お呼びかな?」

天龍「うおおお!?」ビクッ!


後ろを振り向くと、白いギターを持った川内が立っていた。


川内「長門から聞いたよ。謎の貨物船の調査だって?」

天龍「あ、あぁ。けどどいつも忙しいって言っててさ……」

川内「なら私と神通が空いているよ。那珂はライブがあるからいないけどね」

天龍「マジか!?いやぁ~助かった。龍田も入れればこれで4人だな」

川内「いや、あと1人、駆逐艦で暇そうな奴を誘っておくよ」

天龍「いいのか!?何から何まで悪いな……」

川内「気にする事はない。先に港に行って待ってるよ」


~~~~~~~~~


天龍「あと1人かぁ。まぁ、別に5人でも良いって言ってたし、無理に誘う事もないけど」


コンコン


「空いてるよー」




ガチャ


天龍「菊月~暇か?」

菊月「いいや。ご覧の通り忙しい」


そう言って菊月は愛用している帽子を手入れしていた。


天龍「帽子のホコリを取っているようにしか見えないんだが」

菊月「ハードボイルドにとって、帽子は生涯の相棒だ。そのために時間を割くのは当然だろう?」

菊月「で、何のよう?その手に持ってる紙切れと何か関係が?」

天龍「あ?あぁ。最近妙な貨物船が海をうろちょろしてるらしくってな。その調査だ」

菊月「ふ~ん。暇そうな任務だ。ハードボイルドのやる仕事じゃないね。誰が行くの?」

天龍「あ?俺と龍田と神通と川内。あと駆逐艦が1人」

菊月「川内……さん?」ピクッ

天龍「ま、行かないなら別に良いよ。5人でも出来るし、これ以上他の奴ら誘うのに時間割いてらんないし」

菊月「いや、行こう!その任務私もやる!!」ガタッ!

天龍「え?でもお前こんな任務ハードボイルドのすることじゃないって」

菊月「ばっきゃろう!日本一の”川内”さんが受ける任務がハードボイルドな訳がないだろう!」


むしろどんな任務がハードボイルドなのだろうか。

ばたばたと菊月は身支度すると、あっという間に部屋を出て行った。


天龍「……6人目確保だな」


とりあえずメンバーを確保した天龍は、提督に編成報告書を提出してから港に向かうことにした。

ここまでっす。

遊戯王ネタ再確認しよっ→初代から見る→やっべぇおもしれぇwww→うわめっちゃ更新してねぇ……(←今ココ)

いや申し訳ない。近い内に再開しますゆえ……

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月18日 (日) 17:44:21   ID: VxmA78NN

速さがたりんな

2 :  SS好きの774さん   2015年01月19日 (月) 20:02:26   ID: t9nLQuuO

※1
クーガーの兄貴ィ!

3 :  SS好きの774さん   2015年07月24日 (金) 21:43:10   ID: 1XM_RvKa

面白いので、是非とも続きを書いて下さい!

4 :  SS好きの774さん   2015年08月12日 (水) 00:29:18   ID: EqXJ493z

再開しないじゃないですか…

5 :  SS好きの774さん   2016年07月16日 (土) 19:49:59   ID: pNKrF9Wa

もう、諦めるべきか

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