スネ夫「悪いなのび太。この人間魚雷は一人乗りなんだ。」(13)

いつものジャイアン「じゃあなのび太」

きれいなジャイアン「じゃあなのび太」


のび太「ふうん」

スネ夫「……ふうんって何だよ? 反応薄いな」

のび太「いやだって、何でそんなの乗るの?って感じだし」

スネ夫「はあ? お前わかってんの? 人間魚雷なんだぞ? 人間魚雷!」

のび太「だって、羨ましくないし。 乗りたくもないし」

のび太「自慢?される意味がわかんない」

スネ夫「これはなあ、回天と言って……」

のび太「それは知ってるよ。wwⅡで日本海軍が開発した自爆兵器だろ?」

スネ夫「…………」

のび太「僕が言いたいのは、原寸大モデルの再現潜水艇にどうしてそれを選んだの?」

のび太「っていう事」

スネ夫「だ、だってこれは……」


のび太「そりぁあね。亡くなった先人の方々には頭が下がるけどね」

のび太「兵器としての発想は、最低最悪の部類だ」

スネ夫「…………」

のび太「イタリアの人間魚雷は、それに乗って船に近づき」

のび太「工作をして離れ、起爆するものだよ?」

スネ夫「…………」

のび太「それに、日本には自慢すべき潜水艇があったんだ」

スネ夫「……え?」

のび太「知らないのかい? 甲標的(こうひょうてき)を」

スネ夫「知るかよ……そんなマイナー兵器」

のび太「えー!? 真珠湾攻撃にも参加してるのに!?」

スネ夫「!?」


スネ夫「嘘つくなよ!のび太!」

スネ夫「真珠湾攻撃は海軍の航空部隊が行った奇襲攻撃だぞ!」

スネ夫「そんな話、教科書にも載ってないじゃないか!!」

のび太「確かに載ってないね」

のび太「でも、参加したのは事実だよ?当時の新聞にも書いてある」

のび太「10隻参加して9隻が無事任務を成功させてるよ」

スネ夫「……!」

のび太「スネ夫……君が回天に特別な感情を抱いてるのは解る」

のび太「でも僕は、どうしても好きになれない」

のび太「それだけさ」

スネ夫「…………」


のび太「戦果だけを見れば……どちらも大した事は無いかもしれない」

のび太「米軍の圧倒的な物量の前には、雀の涙程度と言えるかもしれない」

のび太「でも……決定的に違う事がひとつだけある」

スネ夫「…………」

のび太「もうわかってるよね?」

のび太「それは帰還率だって……」

スネ夫「…………」

のび太「でもこれは、モニュメント的な物なら、意義や意味はあると思う」

のび太「実際に乗るのはどうかと思うけどね」

スネ夫「…………」

のび太「じゃ、僕はこれで帰るから」

スネ夫「…………」


スネ夫「…………」 ピッポッパッ

スネ夫「……あ、パパ?」

スネ夫「うん……うん……」

スネ夫「それなんだけどさ……」

スネ夫「今度」

スネ夫「甲標的を作ってくれない?」

スネ夫「知らない?……うん、調べておくから」

スネ夫「…………じゃ」 ピッ

スネ夫「…………」

スネ夫「ちっくしょー!」

スネ夫「のび太のくせに!!」

     おしまい

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