シャロ「聖夜に贈り物大作戦?」 (54)
※このSSは
チノ「ま、まさか……記憶喪失!?」
チノ「ま、まさか……記憶喪失!?」 - SSまとめ速報
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昼 シャロ家
シャロ「ただいま」
シャロ「ワイルドギースは……いないわね。散歩かしら」
シャロ「今日のバイトは夜からだし……」
ガチャッ
千夜「シャロちゃん! 大変よ!!」
シャロ「千夜?」
千夜「リゼちゃんが……リゼちゃんが……!」
シャロ「リゼ先輩がどうしたの?」
千夜「リゼちゃんが! 告白されてたの!!」
シャロ「……ふーん……」
千夜「……」
シャロ「……なに?」
千夜「……それだけ?」
シャロ「?」
千夜「もう少し面白い反応してくれると思ったのに……」
シャロ「あんたねぇ……。リゼ先輩は人気だもの。私も告白されてるところ、何度か見たことあるし」
千夜「そうだったの? 慌てて損しちゃったわ」
シャロ「……それで?」
千夜「え?」
シャロ「だ、だから、告白の様子よ。見てたんでしょ?」
千夜(……慣れてるからって気にならないわけじゃないのね)
千夜「素直じゃないんだから」クスッ
シャロ「なんか言った!?」
千夜「ううん、なんでもない」
シャロ「相手はうちの学校の子?」
千夜「いいえ、うちの制服だったわ」
シャロ「千夜のとこの? リゼ先輩の知り合いかしら?」
千夜「さあ……見つからないように遠巻きに見てたから会話はあまり聞こえなかったの。でも、『付き合う』とか『返事』って言葉が聞こえたから」
シャロ「……それは十中八九、告白でしょうね。じゃあ、リゼ先輩はその場で断ったのね?」
千夜「……どうなのかしら」
シャロ「へっ?」
千夜「話が終わったあと、リゼちゃんがなんだか考え込んでたから……もしかしたらまだ返事してないのかも」
シャロ「そ、それって、返事を保留にしたってこと?」
千夜「あくまで可能性だけど」
シャロ「……」
夕方 ラビットハウス
シャロ「……」
シャロ(千夜の話が気になってつい来ちゃったけど……)
シャロ(やっぱりやめたほうが……でも少し様子を見るくらいなら……)ウロウロ
チノ「シャロさん?」
シャロ「ひゃっ!?」ビクッ
チノ「」ビクッ
シャロ「あ……チノちゃん」
チノ「だ、大丈夫ですか? すみません、驚かせてしまったみたいで……」
シャロ「ううん、考え事してた私が悪いの。気にしないで。チノちゃんは……お買い物の帰り?」
チノ「はい、少し買い出しに。あの……入らないんですか?」
シャロ「えっ?」
チノ「? うちに用があったのでは?」
シャロ「あ、ううん! たまたま通っただけなの」
チノ「そうだったんですか」
シャロ「で、でも……どうせだから少しお邪魔してもいい?」
チノ「ええ、もちろん」
シャロ「ありがとうね」
シャロ(段取りは少し狂ったけど……まあ結果オーライね)
ココア「チノちゃん、おかえり~……って、シャロちゃんだ!」
リゼ「おお、いらっしゃい」
チノ「そこでばったり会いまして」
シャロ「こ、こんにちは」
シャロ(リゼ先輩、特に変わった様子はないけど……)
ココア「チノちゃん、荷物重くなかった? 疲れてない?」
チノ「買い物くらいで大袈裟ですよ。ココアさんは過保護すぎます」
ココア「彼女の心配をするのは当然だよ!」
シャロ「そこまで心配なら、一緒に買い物に行けばよかったんじゃ……」
ココア「私はそうしたかったんだけど、チノちゃんがダメだって……」
チノ「私とココアさんで行ったら、寄り道せずに買い物できるかわからないので」
ココア「途中からデートになっちゃうもんね」
チノ「……否定できませんね」ボソッ
ココア「チ~ノちゃん? 今なんて言ったの?」ニコニコ
チノ「な、なんでもありませんよ」
シャロ(いつ見てもラブラブね……やけどしちゃいそう)
シャロ「一緒にいて大変じゃないですか?」
リゼ「……」
シャロ「リゼ先輩?」
リゼ「へっ…………ああ、ごめん。ちょっとボーッとしてた」
シャロ「……?」
シャロ(先輩……ココアとチノちゃんのこと見てた……?)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
シャロ(結局、リゼ先輩に告白のことを聞き出せないまま長居しちゃってるわね……)
シャロ(だって、さすがにココアとチノちゃんの前でする話じゃないし……どっちにしろ、今日はあきらめたほうがよさそう)
シャロ「私、そろそろ帰るわ」ガタッ
ココア「そっか、またね!」
チノ「お気をつけて」
シャロ「うん。それじゃ……」
リゼ「あ、シャロ。私、あと少しであがるんだ。せっかくだし一緒に帰らないか?」
シャロ「へ!? わ、わかりました」
リゼ「じゃあ、悪いけどもうちょっとだけ待っててくれ」
シャロ「は、はい!」
シャロ(ま、まさかリゼ先輩のほうから声をかけてもらえるなんて……)
リゼ「よし、じゃあ帰るか」
シャロ「は、はいっ」
シャロ(予想外の事態だけど、思わぬところでリゼ先輩と二人きりに……! 今なら告白のことも聞ける!)
リゼ「ふぅ、大分冷え込むようになってきたな」
シャロ「そうですね……でもリゼ先輩のマフラー、すっごく暖かそうです」
リゼ「そうか? もう買ったのもかなり前だから結構傷んじゃってるんだ。まあ、今年くらいは持つだろうけど」
シャロ「そ、そうなんですか…………あ、あの」
リゼ「ん?」
シャロ「リゼ先輩、今日……その、告白、されてましたよね?」
リゼ「なんだ、見てたのか?」
シャロ「たまたま見かけて……」
リゼ「そっか」
シャロ「その……失礼かもしれないですけど……返事は……」
リゼ「ああ、しなかったよ。というか、できなかった」
シャロ「できなかった?」
リゼ「相手の子、私がラビットハウスで働いてる姿を見て好きになってくれたらしいんだ。で、時期も時期だし勇気を振り絞って告白してくれたらしいんだけど」
シャロ「時期……あ、もうすぐクリスマスですもんね」
リゼ「そういうことみたいだ。まあ、お互い初対面みたいなものだからな、断ろうとしたんだ。そうしたら、『来週、返事を聞きにきますからそれまで考えてください』って」
シャロ「それで返事できなかったんですか。じゃ、じゃあ、リゼ先輩は……」
リゼ「ああ。あの子には悪いけど、いくら考えても私の答えは変わらないと思う」
シャロ「そ、そうですか……」
シャロ(その子には申し訳ないけど、すごくホッとしてる自分がいる……)
リゼ「あ、クリスマスといえば。シャロ、イブの日空いてるか? ココアが皆でパーティしようって言ってるんだけど」
シャロ「えっと……お昼はバイトがありますけど、夜なら空いてると思います」
リゼ「そっか。じゃあ、千夜にも予定聞いておいてもらえるか?」
シャロ「わかりました。……でも、ちょっと意外です」
リゼ「なにがだ?」
シャロ「ココア、チノちゃんと二人きりで過ごしたいんじゃないかって少し考えてたので」
リゼ「ああ……私もそう思ったんだけどさ。『チノちゃんと過ごすのも大事だけど、皆と過ごすのもそれと同じくらい大切なんだ』ってさ」
シャロ「……ココアらしいですね」
リゼ「『それにチノちゃんとはクリスマス関係なくずっと一緒だから』とも言ってたな」
シャロ「本当にココアらしい……」
リゼ「まったくだな。……羨ましく見えるな、ココアもチノも」
シャロ「えっ?」
リゼ「っと、シャロはこの道右か」
シャロ「あ、そうですね。……それじゃ、リゼ先輩。おやすみなさい」
リゼ「ああ、おやすみ」
シャロ「……バイト終わったら千夜に報告しなきゃね」
夜 千夜の部屋
千夜「そう。じゃあ、私の思い過ごしだったのね。よかったじゃない、シャロちゃん」
シャロ「……まあね」
千夜「それでシャロちゃん。このままでいいの?」
シャロ「いいも何も、リゼ先輩が断るつもりなのはわかったし別に問題は」
千夜「甘いわよ、シャロちゃん!」ガタッ
シャロ「ち、千夜?」
千夜「今回は断ったけど、もしリゼちゃんがクリスマスに誰かと過ごすことになったら……!」
シャロ「そ、それは……そうかもしれないけど、でも、私にはどうしようも」
千夜「だから先にリゼちゃんを誘っちゃうのよ!」
シャロ「は!?」
千夜「クリスマスを二人きりで過ごせればきっと仲もグッと縮まるわよ?」
シャロ「ちょ、ちょっと待った! そもそもクリスマスの日はバイト入ってるから夜くらいしか空いてないし……リゼ先輩ももしかしたら仕事かもしれないし」
千夜「誘わないでもやもやするより、とりあえず予定だけ聞いてみてもいいじゃない」
シャロ「そ、それは……」
シャロ(一理ある、かも……)
千夜「シャロちゃん」
シャロ「……わ、わかったわよ。明日、聞いてみる」
一旦ここまで
今日中に終わる気がしない……
翌日 学校
シャロ「リゼ先輩!」
リゼ「お、シャロじゃないか」
シャロ「あ、あの、リゼ先輩? クリスマスの予定なんですけど」
リゼ「クリスマス? イブなら皆でパーティだろ?」
シャロ「えっと、当日は何か予定ありますか?」
リゼ「当日は普通にバイトだな」
シャロ「そ、そうですか」ホッ
リゼ「?」
シャロ(よかった……これでリゼ先輩が誰かとデートするなんてことはなくなった)
リゼ(シャロのやつ、急にどうしたんだ? 当日に何かあるのか……?)
シャロ「それじゃ、リゼ先輩。また今度」
リゼ「……夜なら空いてるか」ボソッ
シャロ「……へっ?」
リゼ「クリスマス、バイト終わったあとなら空いてるぞ。それからでよければ付き合うけど」
シャロ「……え、えええっ!?」
リゼ「そ、そんなに驚くことか? それで、どうする?」
シャロ(ま、まさか先輩のほうから話が出るなんて……これって……もしかしなくてもチャンスなんじゃ……!?)
シャロ(で、でも……いややっぱり…………あー!!)
シャロ「……じゃ、じゃあ……少し付き合ってもらっても、いいですか?」
リゼ「ああ、いいよ。それじゃ、またな」
シャロ「は、はい。また……」フリフリ
シャロ「……」
シャロ「ど、どうしよう……」
千夜「やったじゃない、シャロちゃん! デートの約束を取り付けるなんてすごいわ!」
シャロ「まったくそんなつもりはなかったのよ……ただ、その場のノリというか……我ながらどうかしてたのよ」
千夜「まあ、そうだとしても誘っちゃったことは事実なんだし、潔く腹を括ったほうがいいんじゃない?」
シャロ「……随分と楽しそうね。私はこんなに頭を抱えてるっていうのに」
千夜「友達として、世話を焼きたくなるのは当然じゃない?」
シャロ「また適当なこと言って……」
千夜「それよりも。当日はどうするの? どこに行くとか決まってるの?」
シャロ「決まってるわけないじゃない……」
千夜「それなら丁度よかったわ。はい、これ」ピラッ
シャロ「……なにこれ」
千夜「ココアちゃんに教えてもらったの。毎年この時期になるとイルミネーションで飾り付けされてとっても綺麗なんですって。恋人たちの憩いの場らしいわ」
シャロ「へぇー……って、ここに行けってこと!?」
千夜「ええ、雰囲気はばっちりでしょうし。バイトが終わってからでもじゅうぶん行ける距離だと思うけど」
シャロ「で、でも、カップルがいっぱいいるんでしょ? そんなところに連れていってリゼ先輩に誤解されないかしら?」
千夜「誤解もなにも、シャロちゃんがリゼちゃんを好きなのは事実でしょ?」
シャロ「うっ」グサッ
千夜「大丈夫よ。それに周りのカップルの空気に包まれて、リゼちゃんがいろいろと意識してくれるかも。そうしたら告白もしやすくなるでしょ?」
シャロ「……そんなうまくいくわけないでしょ」
シャロ(でも他に行きたいところも浮かばないし……)
シャロ「……告白とかはともかく。単純に綺麗なイルミネーションを見に行くだけなら……平気よね」
千夜「ふふ、決まりね」
千夜「あとはプレゼントね」
シャロ「プレゼント?」
千夜「せっかくのクリスマスデートだもの。サプライズでプレゼントなんてされたらポイント高いと思うわ」
シャロ「ポイントって。でも……プレゼント、ね」
シャロ(日頃の感謝を込めてなにか贈り物ができたら、確かに素敵かもしれないけど……)
シャロ「贈るなら喜んでもらいたいけど……」
千夜「リゼちゃんが喜びそうなもの……ミリタリーものとか?」
シャロ「確かに喜んでくれるかもしれないけど、クリスマスプレゼントとしてはどうかしら」
千夜「そうね……」
シャロ「クリスマスだからこその…………あっ」
千夜「なにか思いついた?」
シャロ「ええ。けど、時間的にギリギリ間に合うか……」
千夜「いいアイデアが浮かんだなら頑張ってみたら? 私でよければ協力するわ。大切な親友のためだもの」
シャロ「……ありがとう、千夜」
1週間後
チノ「ココアさん。マヤさんもメグさんも、是非参加したいと言ってました」
ココア「よかった! 千夜ちゃんもシャロちゃんも大丈夫なんだよね?」
リゼ「ああ。……」
ココア「リゼちゃん?」
チノ「どうかしましたか?」
リゼ「ん? ああ、最近シャロが随分と忙しそうだからさ」
ココア「そういえば……私もこの前会ったときお出かけに誘ったんだけど、予定があるからって断られちゃった」
チノ「クリスマスシーズンですし、バイトが忙しいのでは?」
リゼ「かもな。あんまり根を詰め過ぎないといいんだが……」
千夜「シャロちゃん、調子はどう?」
シャロ「まあまあ、ね。大分慣れてきたわ」
千夜「それならいいけど……はい。これ、夕飯のおすそ分け」
シャロ「……わざわざ、ありがとね」
千夜「私にできることはあまりないから。これくらい協力させてちょうだい」
シャロ「千夜……」
千夜「無理しないで、ちゃんと休んでね?」
シャロ「ええ、わかってるわ」
クリスマスイブ
パーン
「「「メリークリスマス!!」」」
マヤ「うおー! でっかい肉だ!」
メグ「おっきいね~」
千夜「チノちゃんのお父さんのお料理、本当に美味しいわ」
チノ「ありがとうございます」
ココア「はい。チノちゃん、あーん」
チノ「こ、ココアさん! 皆さんが見てますから///」
シャロ「……」ウトウト
リゼ「シャロ?」トントン
シャロ「ふぁいっ!? あ……リゼ先輩」
リゼ「大丈夫か?」
シャロ「だ、大丈夫です。少し寝不足なくらいですから」
リゼ「それならいいけど……。私が口出せることじゃないが、バイトを少し減らしたほうがいいんじゃないか? 体を壊したら元も子もないだろ?」
シャロ「リゼ先輩……」
シャロ(心配かけておいて、心配されて嬉しいなんて思っちゃうなんて……ほんとバカみたい)
シャロ「……大丈夫です。大変なのは今日まででしたから。ご心配、ありがとうございます」
リゼ「でも明日もバイト入ってるんだろ? なんなら明日の夜はゆっくり休んでてもいいぞ。約束のことは気にしなくていいから」
シャロ「へっ!? い、いえ、そんな」
リゼ「もちろん出かけられないのは残念だけど、シャロが体調崩すよりはずっと……」
シャロ「そんなことないです!!」
リゼ「わっ!?」
シャロ「私、明日先輩と出かけるのが楽しみでずっとバイト頑張ってたんです! 大変だったのは確かですけど、全然無理はしてません!」
リゼ「シャロ……」
シャロ「ですから……その……」
リゼ「……わかったよ。シャロがそこまで言うなら。ただし、具合が悪くなったらちゃんと言えよ?」
シャロ「先輩……はい!」
マヤ「リゼー! シャロー! そんな端っこいないでこっちきなよー!」
千夜「今からココアちゃんとチノちゃんが夫婦漫才を見せてくれるらしいわ!」
メグ「楽しみ~」
ココア「任せて!」
チノ「やりません! やりませんからね!」
リゼ「さ、行こう」
シャロ「はい!」
クリスマス当日
シャロ「……よし」
千夜「準備万端ね、シャロちゃん」
シャロ「ええ。この数週間、今日のために頑張ってきたわ。千夜」
千夜「なに?」
シャロ「本当にありがとね。いろいろ相談に乗ってくれて……助かったわ」
千夜「ふふ、今更そんな他人行儀なお礼なんてしなくていいわよ。困ったときはお互い様でしょ?」
シャロ「でも……」
千夜「だから。私が困ったときは、シャロちゃんが助けてね?」
シャロ「……ええ、わかったわ」
千夜「それじゃ、行ってらっしゃい。帰ってきたら告白がどうなったか聞かせてね?」
シャロ「だ、だから! 別に告白はしないって言ってるでしょ! 行ってきます!!」
シャロ「リゼせんぱーい!」
リゼ「シャロ。早かったな」
シャロ「せ、先輩のほうこそ。まだ待ち合わせ時間まで10分あるのに……」
リゼ「はは、気が急いてさ。さてと、メールで行きたいところがあるって言ってたけど」
シャロ「あ、はい。それじゃ、行きましょうか」
リゼ「ああ」
千夜「2人のデートが気になって……もとい、心配になって付いてきちゃったわ」コソコソ
千夜「シャロちゃん、頑張るのよ……! 私は影ながら見守らせてもらうから!」
リゼ「すごいな……!」
シャロ「本当に……綺麗ですね」
リゼ「シャロ、あっちのほうも見に行ってみよう!」
シャロ「せ、先輩! 急がなくてもイルミネーションは逃げませんから!」
千夜(リゼちゃんもシャロちゃんも楽しそう。ここに来て正解だったみたいね)
千夜「ここを教えてくれたココアちゃんに感謝しないとね」
ココア「私がどうかしたの?」
千夜「えっ」
一旦ここまで
クリスマスに終わらないクリスマスSSに需要があるかわかりませんが一応最後まで書きます
チノ「こ、ココアさん、待ってください」タッタッ
ココア「ほら、やっぱり千夜ちゃんだった!」
千夜「こ、ココアちゃんにチノちゃん……どうしてここに?」
ココア「チノちゃんのお父さんがね、昨日今日と頑張ったから2人で出かけてきなさいって!」
千夜「そ、そうなの……」
千夜(そうよね、考えてみれば、ここを教えてくれたのはココアちゃんだもの。来てもおかしくないわよね)
ココア「千夜ちゃんもイルミネーション見に来たの? 誘ってくれればよかったのに~」
千夜「ごめんなさい。ココアちゃんとチノちゃんは2人で過ごすだろうから邪魔しちゃいけないなって思ったんだけど」
チノ「気を遣わせてしまったみたいですみません。でも、私とココアさんは普段一緒にいますし、クリスマスだからどうということも……」
ココア「そうそう! それにチノちゃんとは昨日皆が帰ったあとたっぷり……」
チノ「こ、ココアさん!/// 余計なことは言わなくていいんです!!」
千夜「ふふっ」
千夜(このまま2人と別れたら後になってシャロちゃんリゼちゃんとばったり、なんてことになっちゃいそうね……)
千夜「それじゃ、私もご一緒してもいいのかしら」
チノ「もちろんです」
ココア「こんなことならシャロちゃんとリゼちゃんも誘えばよかったね」
千夜「今度は5人で来ましょ」
チノ「そうですね。イルミネーションはまだしばらくは残っているみたいですし」
千夜(シャロちゃん……頑張るのよ)
リゼ「おお! あの犬のやつ、かわいいな」
シャロ「そうですね。あ、あっちのアーチのほうにも行ってみましょう」
リゼ「ああ」
シャロ(幸せ……勇気出して誘ってよかった…………それにしても)チラッ
シャロ(本当にカップルがたくさん。友人グループもいないことはないけど……)
リゼ「おお、ここもすごいな!」
シャロ(リゼ先輩は気にしてないみたい……)
リゼ「えーと……すいません!」
シャロ「リゼ先輩?」
リゼ「はい。お願いします。……ほら、シャロ」グイッ
シャロ「ひゃっ///」
「いきますよー。はい、チーズ!」カシャッ
リゼ「ありがとうございました。……うん、綺麗に撮れてる。ほら」
シャロ「あ……」
リゼ「せっかく来たんだから記念にと思ってさ」
シャロ(イルミネーションをバックに、先輩と抱き寄せられた私のツーショット……)
リゼ「あっちのほうでも撮ってみるか?」
シャロ「そ、そうですね。せっかくですし」
リゼ「少しあそこのベンチで休むか」
シャロ「はい」
リゼ「はは、結構歩いたな」
シャロ「ちょっとはしゃぎすぎましたね」
リゼ「今日はありがとな。連れてきてくれて」
シャロ「いえ、先輩が一緒じゃなかったら私もここに来ようとは思わなかったですから。こちらこそ、ありがとうございました」
リゼ「そう言ってくれると嬉しいよ」
シャロ「先輩……」
リゼ「……」
シャロ「……」
シャロ(なんとなく座ったけど……やっぱりこの辺もカップルだらけね。あたりにそこはかとなくピンク色のオーラが……)
シャロ(さすがの先輩も……)チラッ
リゼ「……」
シャロ「……先輩?」
リゼ「? どうした?」
シャロ「なんだか遠い目をしてたような……先輩ももしかして疲れてるんじゃ」
リゼ「あはは、違う違う。まあ、ちょっと思うところがあってさ。大したことじゃないから気にしないでくれ」
シャロ「……」
リゼ「それよりどうする? 周りのお店を回って……」
シャロ「り、リゼ先輩!!」
リゼ「わっ……ど、どうした?」
シャロ「その、なにか悩んでいることがあるなら相談してもらえませんか!?」
リゼ「シャロ……」
シャロ「わ、私じゃ力になれないかもしれませんけど……でも!」
リゼ「……シャロ」
シャロ「……はい」
リゼ「……ありがとな」ナデナデ
シャロ「っ///」
リゼ「でも本当にしょうもないことだぞ? 悩みだなんて言うのもおこがましいくらい」
シャロ「そ、それでも……です///」
リゼ「……わかった」
リゼ「この前、私が告白されたときのこと覚えてるか?」
シャロ「は、はい、もちろんです」
リゼ「……最初は、受けてみようって気持ちが少しだけあったんだ」
シャロ「え!? で、でも断ったんですよね?」
リゼ「前に説明した通りだよ。初対面の相手と付き合うつもりはなかったから、断ったよ」
シャロ「じゃあ、どうして……」
リゼ「恋人がいるってどんな気分なのかな、って思ってさ」
シャロ「え……?」
リゼ「ココアとチノが付き合い始めて、一緒の職場にいて。ずっと見てたらいろいろと、な」
シャロ「……じゃあ、ココアとチノちゃんのことを見てたのは……」
リゼ「はは、気づいてたか。シャロは、ココアとチノのこと、どう思う?」
シャロ「どう思う、ですか?」
リゼ「あの2人は、恋人らしいか?」
シャロ「……私の想像する恋人らしい感じは、あんまりしないです。でも不思議とお似合いというか、あれが2人にはあってるというか……」
リゼ「私も同じだ。ココアとチノはさ、私が思い浮かべる恋人の姿とはちょっと違うのに、それでもすごく眩しいんだ」
シャロ「……少しわかります、その気持ち」
リゼ「告白を断ってそれからも考えて、わかったんだ。形は違っても普通の恋人と同じところ……ココアはもちろん、そっけない態度を取ってるチノも、心の底からお互いを愛しているんだって」
リゼ「少し羨ましくなってさ。そんな人と一緒にいるってどんな気分なんだろう、とか……『好き』ってどんな気持ちだろう、とか。な? しょうもないことだろ?」
シャロ「いえ、そんな……」
リゼ「まあ考えても仕方ないことってのはわかったから、このことはしばらく頭の隅に追いやっておくことにしたんだ。さ、話は終わりだ」
シャロ「……」
リゼ「ほら、せっかく来たんだし周りの店とかも……」
シャロ「せ、先輩。少し、いいですか……?」
リゼ「ん?」
シャロ「その……これ、受け取ってください!」バッ
リゼ「へ……もしかしてプレゼントか?」
シャロ「……」コクン
リゼ「これ、開けていいのか?」
シャロ「も、もちろんです」
リゼ「それじゃあ……」ゴソゴソ
シャロ「……」ドキドキ
リゼ「……これ、マフラーじゃないか」
シャロ「少し不恰好なのは……すみません。初めてだったので……」
リゼ「えっ!? これ手作りなのか!?」
シャロ「は、はい」
リゼ(売り物だと言われても違和感ないぞ……)
シャロ「前に話したとき、リゼ先輩が今のマフラーがボロボロだと言っていたので」
リゼ「そういえばそんなこと言ったような……」
リゼ(覚えてて、くれたのか……)
シャロ「……リゼ先輩のことを思いながら一生懸命編みました。使ってもらえると、嬉しいです」
リゼ「もちろん! ありがとな、シャロ。大切に使わせてもらうよ」
シャロ「は、はい! ……その、私、リゼ先輩がいつか大切な人を見つけられるって信じてます!」
リゼ「シャロ……」
シャロ「だって、リゼ先輩はとってもかっこよくて、頼りになって……私にとって、憧れの人で! だから、リゼ先輩なら絶対……」
リゼ「……シャロ」ナデナデ
シャロ「っ!///」
リゼ「ありがとう。シャロの気持ち、ちゃんと伝わったよ」
シャロ「……はい///」
リゼ「なあ、今巻いてもいいか?」
シャロ「え……、あ、もちろんです!」
リゼ「それじゃ早速……」
シャロ「……」ドキドキ
リゼ「……はは、あったかいな。ん……」
シャロ「……? あの、どうかしましたか? チクチクするとか……」
リゼ「いや、そんなことはないよ。当たり前な話だけど、このマフラー……シャロの匂いがするなって」
シャロ「え!? そ、そんなにくさいですか!?」
リゼ「くさくなんてないよ。私、シャロの匂い好きだぞ?」
シャロ「!!?!??」
リゼ「安心する、いい匂いだ」
シャロ「しぇ、しぇんぱぃ……!?//////」
リゼ「って、本人からしたら恥ずかしいよな。ごめんごめん」
シャロ(は、恥ずかしいやら嬉しいやら……消えてなくなりそう……)プシュー
リゼ「さてと。じゃあ私からもシャロに何か……」
シャロ「い、いいですよ、お礼なんて! 私が勝手にしたことですから!」
リゼ「じゃあ私も勝手にお返しさせてもらおうかな」
シャロ「うっ……」
リゼ「ここに連れてきてくれたことへの感謝含めて、ほんの気持ちを渡したいだけだよ。……ダメか?」
シャロ「……そ、そんなこと言われたら断れませんよ」
リゼ「ははっ、じゃあ決まりだな。さ、行こう」ギュッ
シャロ「ひゃっ、ひゃいっ///」
千夜「え!? それじゃあ告白しなかったの!?」
シャロ「……仕方ないでしょ。あの状況で告白なんてしたらリゼ先輩だって断りにくいに決まってるじゃない。そんなのフェアじゃないもの」
シャロ(私の心もいっぱいいっぱいだったし……)
千夜「告白に不公平もなにもないと思うけど」
シャロ「あるの! 悩んでいるリゼ先輩に付け入るようなことはしたくなかったのよ! ……協力してくれた千夜には悪いと思ったけど……」
千夜「……」クスッ
シャロ「な、なによ」
千夜「ううん。シャロちゃんったら、変に律儀なんだもの。シャロちゃんがそう決めたなら、私に悪いと思うことなんてないわよ」
シャロ「千夜……」
千夜「最近疲れが溜まってたみたいだし、明日くらいはゆっくり休んでね?」
シャロ「……わかってるわ。おやすみ」
千夜「ええ、おやすみなさい」
バタン
千夜(それにしても……手編みのマフラーに、『憧れの人』なんて……ほとんど告白みたいなものよねぇ)
千夜(それに気づかないリゼちゃんもなかなか……シャロちゃんも大変ね)
シャロ「はあ……」
シャロ(なんか……疲れが一気にきたみたい)
シャロ(リゼ先輩……もう寝てるかな……)
ピピッ
シャロ「メール? ……リゼ先輩から!?」ガバッ
『今日はいろいろとありがとう
シャロのおかげで楽しかったよ
また2人でどこか行けたりしたらいいな
おやすみ』
シャロ「……」ピッピッ
『こちらこそ、先輩と一緒ですごく楽しかったです!
私も次の機会、楽しみにしてます
先輩からのプレゼント、大事にします
おやすみなさい』
シャロ「……送信、と」ピッ
シャロ「……」
シャロ(また、2人で……)
シャロ「…………なんだか、今日はよく眠れそう」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ココア「5人で集まるのも久しぶりだね」
リゼ「そういえばそうだな。クリスマス以来か」
チノ「あ……千夜さんとシャロさん、来ましたよ」
千夜「みんな、おまたせ~」
シャロ「お、遅れてごめんなさい!」
リゼ「いや、私達が早く集まりすぎただけだから心配ないよ」
シャロ「よ、よかった」
ココア「それじゃ行こっか!」
シャロ「……リゼ先輩」コソッ
リゼ「ん? シャロ、それ……つけてくれてるのか」
シャロ「はい。その……似合ってますか?///」
リゼ「ああ、とっても似合ってる」
シャロ「……! あ、ありがとうございますっ!」ニコッ
リゼ「っ」ドキッ
リゼ(……なんだ? 今胸がなんか……)
シャロ「先輩? どうかしましたか?」
リゼ「あ、いや、なんでもない」
シャロ「?」
ココア「あれ、シャロちゃんが見たことない髪飾りしてる!」
シャロ「へ、あ、うん……」
チノ「シャロさんに似合っていて、とても素敵です」
シャロ「ありがとう。人からの贈り物なんだけど、私もとっても気に入ってるの」
ココア「へぇ~、誰からもらったの?」
シャロ「ふふっ、秘密よ」
ココア「ええっ、そんなこと言われたら余計に気になっちゃうよ! ねえ、リゼちゃん! リゼちゃんも気になるよね?」
リゼ「……あはは」
千夜「あら、なんだか意味深な反応ね」クスッ
チノ「……なるほど、そういうことですか」
ココア「え? え? どういうこと?」
千夜「ココアちゃんが自分で気づくまで内緒ね」
チノ「鈍感なココアさんには内緒です」
ココア「ええっ!? シャロちゃん! リゼちゃん!?」
シャロ「秘密よっ」
リゼ「ああ、秘密だなっ」
ココア「そんなぁ~!」
おしまい
読んでくださった方、ありがとうございました
完結するのが遅くなってしまいごめんなさい
「バレンタインまで期間あるし今日クリスマスだし即興で書こう」とか思ったのが全ての元凶
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