少年エルフ「マンドラゴラ栽培キット?」 (42)
※注意、このSSは以下の成分で構成されています
台本形式、ご都合主義、ショタ・ファザコン、残念な描写力、[ピーー]要素、各ゲームへのオマージュ
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○これまでの登場人物
少年エルフ:ハーフエルフ60歳児 喫茶店店主、山で託された人間の娘を育てパパとなる
娘:16歳 学生、少年エルフに育てられた娘、剣も魔法も使える才色兼備で男女どちらからもモテモテだがファザコン
娘友:16歳 学生、商人の娘でよくエルフや娘をからかうお調子者
これは少年エルフと人間の娘の話
○―夜― 古木のある丘の上
酔客「あー、くそ。 あの女さっさと帰りやがって。 チクショー」
???「キラキラちょうだい キラキラちょうだい」
酔客「な、なんだ!? 誰だ」
???「ここ、ここ そのキラキラちょうだい」
古木のウロから声が響いてくる
酔客「誰だ、こんなトコにいるバカは。 これが欲しいなら食らえや」ポイ
酔客は手にした酒瓶を投げ込んだ
???「これやる これやる」ポーン
古木のウロから小包が飛び出した
酔客「なんだこれは?」
○―2週間後、夜― 少年エルフの喫茶店
カランカラン、ドタバタ
女薬師「エルフ~、水ちょうだーい」
女薬師が千鳥足であらわれた。
少年エルフ「もう、薬師また飲みすぎたの? 娘ー、水もってきて」
娘「まったくパパは、甘いんだから。 薬師もいい年して飲みすぎよ」
女薬師「いい年ってなによ! 若けりゃいいの!? ワタシだって学生の頃なら……ニクイ、特に手入れしてないのにピチピチなこの肌がニクイ」グイ―
少年エルフ「ちょっと放して、また荒れてるねー」
女薬師「若い子のとこばっかり行って、どいつもこいつも~」ムキー
娘「『若さ』以前の問題じゃないの、はいお水」
○
女薬師「数合わせって最初からわかってたしー、それでちょっと顔を出してきただけだしー」モグモグ
少年エルフ「やっと落ち着いたね、それにしてもお腹すいてたの?」
女薬師「だって……ガツガツ食べてたら食いしん坊とか思われるでしょうが」
少年エルフ「食いしん坊は駄目なの?」
娘「……まぁ、そういうこともあるのよ。パパ」
男「そうか? 俺はよく食う奴は好きだが」
男が裏口からあらわれた。
女薬師「!? ゴフッゴフッ! ゲフン!?」
少年エルフ「大丈夫、薬師?」
娘「あ、男さん。 お久ぶりです」
男「おう、娘、また背伸びたな。 薬師もやっぱりこっちに居たか」
少年エルフ「どうしたのこんな時間に? 男もなにか食べる?」
男「いや、いいよ。 今日は薬師に仕事をもってきたんだが、大丈夫か?」
女薬師「アンタに心配されるほど落ちぶれてないわよ、このスケコマシ」
男「ヒドイいわれようだな。 まぁいい、この薬について何か知らないか?」
男は小さな包みを手渡した
女薬師「……ヴワァッカみたい。 こんなのデタラメよ」
少年エルフ「なにこれ、『愛の妙薬 マンドラゴラ栽培キット』? ……マンドラゴラ!? すごい、幻の植物じゃん!?」
娘「パパ、真に受けないで。 こんなの雑誌の裏表紙にあるような偽物だって」
男「だがな、困ったことにコレは本物らしい」
○
男「数日前に領主の屋敷に賊がはいった、領主のお嬢さんが目的だったらしいが騒ぎに気付いてすぐに捕まえることが出来たのだが。 賊がホレ薬を使ったらしい」
女薬師「ホレ薬なんてあるわけないじゃない」
男「そうだったらよかったんだが。 病的に惚れ込んでいてな、お嬢さんは賊から片時も離れようとしないし、周りの言うことも聞かない。 賊を処刑しようとしたら自分も死ぬと騒ぎたてるので今は部屋に軟禁している」
娘「それがこの薬のせいだっていうの?」
男「あぁ、賊の持ち物を調べたときに出てきて問い詰めたら答えたよ、怪しい奴から買ったらしい」
少年エルフ「でも、これが本物かどうかなんてわからないよね?」
男「これは内緒なんだが、実は他にも似たような事件がここ1週間で起こっているんだ、俺たちが調べて他の奴からも同じ薬が出てきているし、症状も同じだ」
女薬師「だれが売ってるの?」
男「それが何人かは捕まえたんだが、取引先がわからないんだ、丘の上で取引してるらしいが俺たちが行っても取引相手が出てこない。 それなのにしばらくするとまた薬が出回っているんだ」
女薬師「まー、役にたたない兵隊長ねー。 ザル警備じゃない」
男「厳しいな、それで解毒薬も回復魔法も効かないし、治る兆候も見られない。 そこでこの押収したホレ薬を調べて解毒方法を見つけて欲しいんだ」
娘「もってた人は解毒方法は知らないの?」
男「だいぶ締め上げたが知らないようだ。 ……それでコレが例の薬だ。 あと、エルフお前も調べてくれないか?」
少年エルフ「ホント! いいよ、ありがとう。 やったぁ幻の植物だぁ」ルンルン
女薬師「何よそれ、ワタシだけじゃ頼りないっていうの!?」
男「オババの一番弟子はエルフじゃないか、お前もわかってるだろ」
女薬師「そりゃ、そうだけど。 こちらにも本職のプライドがあるのよ」ぶつぶつ
少年エルフ「えーと、これが説明書?」
『愛の妙薬 マンドラゴラ栽培キット 栽培の仕方』
1、まずハチミツとミルクと自分の[ピーー]を用意します
2、1で用意したものを混ぜ合わせ付属の小鉢に注ぎます、鉢は日の当たらないところに置きましょう
3、以後は普通の水をやりましょう、成長が早いので2,3日で成熟します。
4、成熟したら小鉢を割りマンドラゴラを取り出します ※必ず割って取り出しましょう、抜いてはいけません
5、あとはマンドラゴラを絞れば完成です。 その汁をホレさせたい相手に飲ませれば貴方の虜になります
親×子のssとは珍しい
期待
○
娘「……ちょっと」
女薬師「……これ絶対嘘よ」
男「……俺が用意したわけじゃないぞ?」
少年エルフ「この最初の[ピーー]ってなんだろう?」
女薬師・男・娘「「「!?」」」
少年エルフ「薬師、知ってる?」
女薬師「ぇええっ!? その、ちょっとまってて」
女薬師「ウソでしょ、知らないの?」ヒソヒソ
男「……オババからエルフの子供の時はまだ学校がなかったと聞いたことがある、もしかしたら本当に」ヒソヒソ
娘「パパの知識は全部オババから教えてもらったことよ。 だからオババが教えてなかったら……」ヒソヒソ
少年エルフ「どうしたの三人とも?」
女薬師「どうするの?」ヒソヒソ
男「ここはキャンセルで」ヒソヒソ
娘「賛成」ヒソヒソ
男「すまないな、やっぱり調査はお前はやらなくても……」
少年エルフ「え、えぇぇーー! 駄目なの、マンドラゴラ駄目なの、なんで」ウルウル
男「いや、大丈夫だ。 ただ調査結果は女薬師と一緒にして提出してくれるか?」
少年エルフ「いいよ。 それで[ピーー]ってなにか知らない?」
女薬師「なにやってんのよ、バカ」ヒソヒソ
男「スマン、しかし。 あの顔のエルフに言えるのか? 俺は無理だ」ヒソヒソ
娘「……無理ね」ヒソヒソ
女薬師「じゃあ、アレの説明どうするのよ」ヒソヒソ
男「……」
娘「そういえば、小学校の時の保健体育の教科書があるわ」ヒソヒソ
男・女薬師「「それだ!」」ヒソヒソ
○
少年エルフ「なに? これに書いてあるの」ペラペラ
男「あぁ、……でな。ここに書いてあるだろ。 これがソレでな」
少年エルフ「なんだ[ピーー]って[ピーー]のことだったの」
男「ちょッ」
少年エルフ「でも困ったな、僕まだ出たことないし」
女薬師「ファッ!!??」
少年エルフ「誰かサンプルにくれない?」
娘「パパッ!?」
女薬師「衝撃の事実ね」ヒソヒソ
男「たしかに昔から全然成長してないが、ここまでとは」ヒソヒソ
娘「オババがたしかパパは生理的にはまだ10歳にもなってないって言ってたわ」ヒソヒソ
男「よし、こうしよう俺が出そう」ヒソヒソ
女薬師「うわ、ヘンタイ」
娘「パパに近寄らないでください、汚らわしい」
男「オマエラ、容赦なさすぎだな。 俺のだっていってただの水を渡すんだ。 そうすりゃ発芽しないだろ、それで問題解決だ」ヒソヒソ
女薬師「なるほど、それなら健全ね」ヒソヒソ
娘「パパを悲しませたくないけど、それが無難ね」ヒソヒソ
○
男「これで材料はそろったな? あとは頼んだぞ」
少年エルフ「わかった、頑張るよ」
女薬師「ワタシももう寝るわ」
男と女薬師が帰った
娘「しかし、おかしなものが流行ってるのね。 私も学校で調べてみるわ」
少年エルフ「うん、ありがとう娘。 マンドラゴラに最初の水をあげてから寝るよ」
娘「じゃあ、私も手伝うわ、コレをこうしてここに注いで。 はいおしまい、簡単ね」
少年エルフ「うわー、マンドラゴラかー、幻の植物だよどんなのだろうね」
娘(パパ、ゴメンね。 それ只の水だから)
○―5日後― 少年エルフの部屋
少年エルフ「芽が出ない、ダメな種だったのかな?」ハァ
小鉢「……」シーン
少年エルフ(薬師の方はどうなってるんだろう?)
○薬屋
ガラガラガラ
少年エルフ「薬師―、ちょっとマンドラゴラみせてー」
女薬師「あ、エルフ。 ちょっとまってて……。 ハイ、コレで三日分よ」
イケメンA「ありがとう、お嬢さん。 今度来るときには指輪をもってくるよ、受け取ってくれないか?」
女薬師「ダメよ、そんなからかわないで」
イケメンA「からかってなんていないさ、また明日くるからきっとその時にはわかってくれるだろ」 ガラガラガラ
女薬師「///」ニヘラー
少年エルフ「……薬師、まさか……」ジトー
女薬師「あ、いや。 違うのよ、治験よ治験。 許可はもらってるわ(後から)」
少年エルフ「だからといっていきなり試すなんて、オババが生きてたらなんていうだろうね!」
女薬師「エルフ、イヤなこと言わないでよ、ホントに枕元に立たれそうで怖いわ。 大丈夫よ、致死しないことは男の証言からも取れてたんだし、影響を薄めるために希釈してあるから。 あとは成分を割り出せば、解毒薬はすぐ見つかるわ」
少年エルフ「まったくもう、じゃあマンドラゴラの鉢見せて、薬師は3つもらったでしょ。 僕のはダメだったみたいだから」
女薬師「あ、……ごめんなさい、全部、試験薬にしてしまったわ」
少年エルフ「え……全部? ウソ」
女薬師「ホント、全部」
少年エルフ「オババはそんな雑なコト教えてないでしょ、ばかばかばかばか」ポカポカポカ
女薬師「ゴメンゴメン。 少し薬を分けるからそれで許して。 エルフもそれで調べてみてよ」
少年エルフ「ぅ~~、分かったよ。もう」しょんぼり
ガラガラガラ
女薬師(そんなにマンドラゴラを見たかったのか、……でもこんな強力なホレ薬がこれだけあるなら)
女薬師「ウフフウフフ」
○少年エルフの部屋
少年エルフ「とりあえず薬は手に入ったんだし、まずは裏の鶏で……」ゴソゴソ
マンドラゴラ「……」ピョコ
少年エルフ「で、でたーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
○―数日後― 学校
娘「出たのよ」
娘友「出たって?」
娘「芽が出たのよ、パパのマンドラゴラが」
娘友「あ~、[ピーー]は関係なかった?」
娘「そうみたいね、あとサラッと言わないでよ」
娘友「え、[ピーー]とか[ピーー]とかw」
娘のアイアンクローが娘友の顔を締めあげる!
娘友「ゴメン、ユルシテ、ヒヤシンス」バタバタ
娘「まったく。 別にマンドラゴラが生えたのはいいのよ、パパ喜んでるし、研究も進むしね。 ただ……」
娘友「ただ?」
娘「ちょっと熱が入りすぎてるっていうか芽が出たときも『娘―、やっと芽がでたよー』って見せにくるし、毎日毎日『すごいよ、ほら水をあげると葉っぱふって喜んでるよ』とか『もうこんなに大きくなったよ』とかまるで自分の子みたいに喜んでるのが……」
娘友「あらー、パパをとられちゃって妬いてる?」ニヤニヤ
娘「そんな、妬いてないわよ。 植物に……」
娘友「じゃあ、もしもエルフさんに好きな女の人が出来たらどうする?」
娘「な……そ……パ……パパにはまだ早いわっ、私は認めません!!」
娘友(オカンや、オカンだコレ)
娘「それはそうと友、ホレ薬の噂とか怪しい商売人とか調べてくれた?」
娘友「モチロン、あたしの『おばちゃんネットワーク』で調べたら一発よ。 人の口に戸は立てられないのよん」
娘(この子、オバさん臭いわね)
娘友「マンドラゴラの栽培キットなんだけど、結構出回ってるみたい。 でも、実際にホレ薬にされるのは少ないみたいよ」
娘「どういうこと?」
娘友「あのマンドラゴラなんだけど、よく無くなっちゃうらしいの」
娘「どういうこと?」
娘友「小鉢から穴だけ残して無くなることがあるんだって。 あと、本当に噂だけど、歩いてるマンドラゴラを見たって人もいるらしいの」
娘「まさか」
娘友「他に古い本の記述だけど幻覚効果があるらしいの、もしからしたらそれが作用してるのかも」
娘「とにかく危ない植物というのはたしかのようね」
娘友「でも、調べてると他にも万能薬とか長寿の薬になるとかいろいろあるわ」
娘「その辺はパパと薬師が今調べてるわ」
娘友「ねぇねぇ、もし大量生産できるようになったらウチに卸してくれない? ホレ薬ってだけでもヒットまちがいなしよ」
娘「コラコラ、得体のしれないモノで商売しようとしないでよ。 もともとなんでパパ達が調べてるか言ったわよね」
娘友「わかってるって、ホレ薬の解毒方法を調べてるんでしょ」
娘「そうよ、第一人の気持ちを薬でどーこーしようという性根が汚いわ」
娘友「でも、ひとつでいいから欲しかったなぁ。 それさえあればどこかの王子と『玉の輿』確実なのに」
娘「友、今すぐその邪念を捨てないと、アイアンクローされながら感電することになるわよ」
娘友「やーねぇ、冗談よ冗談。 マジメなんだから」
男子生徒A「おーい、君たち。 まってくれたまえ」
娘(うわ、A)
娘友(『玉の輿』でもコイツはパスね)
娘「なにか用?」ムスー
男子生徒A「いやいやいや、そう邪見にしないておくれよ。 ただ、連休のお土産を君たちに渡したいだけだよ。 ホラ、王都の有名店のお菓子だよ」
娘友「あら、すごいわね。 でもどうせ女子全員に配ってるんでしょ」
男子生徒A「マイッタネ、否定はしないよ。 僕は博愛主義なんでね」
男子生徒Aは小奇麗な紙袋を渡してきた
娘友「ちょうど小腹がすいてたのよ、いただくわ」ガサガサ
娘「ちょっと、友」
娘友「なに、おいしいわよ」パクパク
娘(……異常は……ないようね)
男子生徒A「遠慮しなくていいよ、こういうと怒るかもしれないけど買込みすぎて食べきれないんだ」
娘「そう、だったらありがたく頂戴するわ、ありがとう」
娘友「ありがとね、A~」
娘(パパにあげたら喜ぶわ)
○少年エルフの喫茶店
娘「ただいまー」
男「おう、おかえり」
娘「あら、男さん。 何してるのそのカッコで」
男「あぁ、店の手伝いだ。 エルフ達には薬の分析をやってもらってるからな」
娘「そんなこと言って、サボりの口実でしょ」
男「はっはっは、鋭いな。 支部にいると領主からの催促がうるさくてかなわないのだ」
娘「パパは部屋?」
男「あぁ」
娘「じゃあ、男さんお茶いれておいてくれる? 呼んでくるから。 あ、これお茶菓子ねお皿にうつしておいて。 それとミルクもね、パパが使うから」
タタタ
男「まったく、遠慮のないところはオババそっくりになったな」カチャカチャ
○少年エルフの部屋
娘「パパー、休憩にしない?」
少年エルフ「あ、娘おかえりー。 見て見てホラ、マンドラゴラなんだけど……」
娘「もう、お茶しながら聞くから」
○
少年エルフ「あ、おいしそー」
娘「お土産にもらったの」
男「都の有名なところのじゃないか」
娘「ふーん、それにしては形悪いのもあるのね」
少年エルフ「じゃあ僕のと交換しようか、こっちはキレイな形だよ」
娘「そんな悪いわパパ」
少年エルフ「いいからいいから、食べたら同じだよ」パク
少年エルフ「……」
娘「パパ?」
少年エルフ「ニガぁあくぁすぇdrftgyふじこ!?」
男「おい、エルフ」
娘「パパ、パパ!?」
○
男子生徒A「ここが娘君のお宅かな? すまないさっき渡したお菓子に不良品が混ざっていてね……」カランカラン
男子生徒Aがあらわれた
少年エルフ「ひゃ!? おにぃちゃん」ヒシッ
娘「パパ!?」
少年エルフ「お兄ちゃんお兄ちゃん!!」
男子生徒A「なんだ君は!? 娘君この子は弟さんかな? ……娘君どうしたんだい、なんともないのかな?」
娘「ほー、あなたが、へぇー。 そういうこと」ピキピキ
男「手加減しろよ」ボソ
男子生徒A「うん?」
娘のアイアンクロー、男子生徒Aの頭を締め上げる
娘「パパになんてもの口にさせてんのよ! "放電"!!」
男子生徒A「アガガガガガガガッガアアアアアア!!??」バリバリバリバリ
男「そろそろやめとけー」
男子生徒A「」プシュー
娘はサンダークローを覚えた。
男「おーい、生きてるか? ……よかった、死んでない」
少年エルフ「お兄ちゃん大丈夫? お兄ちゃんお兄ちゃん!!」
娘「な……。 パパしっかりしてパパッ」
男「娘、無理だ、聞こえていないぞ。 コイツに盛られたようだな」
娘「そんな」
○
男「じゃあ、あとは任せた」
女兵士「ハイ、たいちょー」
男子生徒Aは女兵士に担がれていった
男「とりあえず、生徒は部下に任せるとして、エルフをどうするかだな」
少年エルフ「おにいちゃーん、どこー、おにいちゃーーん」
男「まいったな、エルフがこうなるとは」
娘「パパ……、"睡眠"」
少年エルフは眠ってしまった
少年エルフ「すーすー」
男「そんな魔法も使えるのか、スゴイな」
娘「……それより、なんとか治さないと」
男「薬師を呼んでくる。 解毒の糸口くらいは掴んでもかもしれん」
○薬屋
男「薬師、居るか?」
イケメンA「薬師さん今夜ディナーを一緒にどうだい?」
イケメンB「まてよ、俺の家に来いよ。 料理には自信があるんだ」
イケメンC「何をいう。 薬師さん今日はパーティーがあるのだが、僕と来て一緒に踊ってくれないか?」
女薬師「え~、どうしよっかな~。 そんな急にいわれても困るし~~」
男(……コイツ)
キャッキャウフフフ
男「薬師、ちょっとおま」イケA「なんだね君は」イケB「黙ってろよ」イケC「こちらは忙しいのだが」
女薬師「あら男、ちょっと忙しいから後にしてくれる~」プイ
男(……ダメだコイツ後でなんとかしよう)
○少年エルフの喫茶店
娘「あ、薬師は?」
男「スマン、いろんな意味で手遅れだった」
娘「え?」
男「いや、居なかったよ。 エルフはどうだ?」
娘「私の部屋に寝かしてあるわ。 パパの部屋は今ごちゃごちゃしてるから」
男「そうか、エルフもまだ解毒方法は見つけるに至ってなかったはずだな?」
娘「えぇ」
男「参ったな。 エルフが一番の頼みの綱だったのだが」
娘「確認だけど。 この薬に被害者で元に戻った人はいないの?」
男「……あぁ。 まだ誰もいない」
娘「もしかして、……ずっとこのまま?」
男「……ワカラン。 とりあえず今から王都までいってくる、報告を上げてあるからあちらでも調べているはずだ。 手がかりがあるかもしれない」
娘「わかったわ」
○娘の部屋
少年エルフ「うぅん、んくぅ」
娘(熱が出てる、苦しそう。 これは副作用かしら……せめて解熱剤を)
○少年エルフの部屋
娘(たしかパパの部屋にあったはず)ガサガサ
娘「魔力分析器? なんでこんなものが。 あ……これは、マンドラゴラの記録だわ。 もしかしたら解毒の手がかりがあるかも」
―マンドラゴラ分析記録―
マンドラゴラの成分分析を試みた結果、以外なことがわかった。 成分的には若干の興奮作用がある他は一般的な根菜類と大差がなく、もっとも近いものは『東洋にんじん』である。
ただ微かな魔力を帯びているのを感じ、成分分析から魔力分析に手法を変更したところマンドラゴラは38もの微細な魔力構造を持っていることがわかった。 この魔力によって被験者に魅惑の効果を与えているものと思われる。 このことからホレ薬とはいうものの一種の呪いに近いものだと推測できる――
娘「……呪い、呪いだったら私の解呪魔法でも」ペラペラ
――構造24:発芽溶液の際に使用された個人の因子がそのまま模倣された構造があり、これが呪術対象の特定に利用され――
娘(解呪の手がかりになるようなものは……)ペラペラ
――構造37:この魔力構造には『魅惑』の呪術効果があり――
娘(すごい、この短期間でここまで知らべてある。構造までわかってるなら解呪は簡単ね)
――以上が解呪のための構造だが、問題はその大きさである。 現在の技術ではここまで微小な魔力構造を構成するのは不可能である。 他の手段としては(記述はここで途切れている)
娘「ふ、不可能!? ここまでわかってるのに!? 嘘よ」
○娘の部屋
少年エルフ「ふー、ふー」
娘「パパ、すぐに治すから。 ……ブツブツ……ブツブツ……"解呪"」ファア
少年エルフ「う、うう」
しかし効果はなかった。
娘「そんな、なんの反発もないなんて。 本当にスケールを合わせないといけないの!?」
娘(こんな微量な魔力にこんなに複雑な構造、無理だわ。 ……落ち着くのよ、だったら圧縮魔法の応用で)「ブツブツブツブツ……ブツブツ……"解呪"」ファアア
少年エルフ「ぐぅ、ううう」
しかし効果はなかった。
娘(ダメ、これ以上圧縮できない……。 それにパパに負担が、何か他に方法は……)
娘「そうだ、アレを使えば」
○
娘は魔力分析器を持ってきた。
娘(これの倍率を最大にして逆から魔力を流せば)「……ブツブツ……ブツブツ……"解呪"」ヒュン
少年エルフ「ん、あぁ」
しかし効果はなかった。
娘「ブツブツブツブツ……ブツブツ……"解呪"」ヒュン
しかし効果はなかった。
娘「お願い……ブツブツブツブツ……ブツブツブツブツ……"解呪"」ヒュン
パァン
魔力分析器は壊れてしまった。
娘「あ、ああ……ウソ」
――現在の技術ではここまで微小な魔力構造を構成するのは不可能――
娘「……そんな」
――治った者は、まだ誰も――
娘「……いや」
――ずっと、このまま――
娘「やぁ……ぁ……ぁあ」ポロポロ
メール欄は"sagaのみ"にした方がいいよ
ここのスレが板の頭に来なくなってるから
○
マンドラゴラ「ミ」
娘「え?」
マンドラゴラがあらわれた。
娘「な、なにこれ!? 動いてる!!」
マンドラゴラ「ミッミッ」スタスタ
――娘友『歩いてるマンドラゴラを見たって人も』――
娘「ホントに、歩くなんて。 でもどうして逃げないのかしら」
マンドラゴラ「ミッミッ」ぴょん
少年エルフ「うーん、すーすー」
マンドラゴラ「ミーミー」スリスリ
娘(……懐いてる)
マンドラゴラ「ミッミッミ」フリフリ
――少年エルフ『見て、葉っぱを振ってるでしょ。 これ水を催促してるんだよ、もしかしたらこの子には自我が』――
娘「何? 水が欲しいの。 パパは今寝てるから待ってなさい」
マンドラゴラ「ミー」
娘(言ってることがわかってるのかしら)
○
マンドラゴラ「ミ~」
マンドラゴラはカップの水に浸かっている。
娘「出汁とかでないのかしら?」
マンドラゴラ「ミ」ピョン
マンドラゴラはカップから飛び出した。
娘(このマンドラゴラをしかるべきところに出せば何かわかるかもしれないわね)
マンドラゴラ「ミーミー」スリスリ
少年エルフ「すーすー」
娘「ダメよ、起こしちゃ。 起きても今は私たちの事は分からないわ」
マンドラゴラ「ミ!?」
娘「えっとね、……魔法にかけられていてね。 多分、貴方が協力してくれたら治せるわ」
マンドラゴラ「ミ」コクコク
娘「わかったの? いい子ね」
マンドラゴラ「ミ~」
娘(男さんに連絡しないと……)
マンドラゴラ「ミ~ミ~」ググッ
マンドラゴラは力を溜めている。
娘(まずは詰所にに電話して部下さん経由で男さんに)
マンドラゴラ「ミ、ミミミミ」グググッ
マンドラゴラは力を溜めている。
娘「? 何してるの」
マンドラゴラ「ミッ」ポン
マンドラゴラは花を咲かせた、あたりを不思議な香りが広がった。
娘「花?」
マンドラゴラ「ミッミッ」フリフリ
少年エルフ「う、ううん」
娘「パパ?」
少年エルフ「ふぁ。 おはよう、娘。 もう朝? まだ真っ暗だけど……」
娘「……え?」
マンドラゴラ「ミー」ピョン
少年エルフ「うわ、これってマンドラゴラ!? スゴイ、動いてる」
娘「な、治ったー!」ガバッ
少年エルフ「ちょっとどうしたの、苦しいって」ギュウウウウウウ
○―翌日― 少年エルフの喫茶店
――以上のことからマンドラゴラの花の香りには魔力構造を分解して純魔力に還元する作用があり、これにより呪いを無力化出来ることが判明した。
少年エルフ「これでいいかな?」
男「街を一回りしてきたぞ、本当によく効くな」
娘「領主も喜んでいたわ」
少年エルフ「ありがとう。 マンドラゴラもお疲れ」
マンドラゴラ「ミ」
男「報告書も出来たか」
少年エルフ「今できたよ、ハイ」
男「助かった、王都にも被害者が出ていてな。 この報告書とマンドラゴラを持っていくが構わないな?」
少年エルフ「マンドラゴラを傷つけたりしないよね?」
男「貴重な魔法生物だからな、そういうことはないだろう」
少年エルフ「そう、だったら大丈夫だね。 頑張るんだよマンドラゴラ」
マンドラゴラ「ミ」
少年エルフ「君にしかできないんだから」
マンドラゴラ「ミミッ」ビシッ
男「じゃあ、そろそろ行くわ。 そうそう、薬師がまた荒れてるだろうからフォローしといてやれ」
少年エルフ「そうなの? わかった、フォローしておくよ」
娘「変わらないわね」
男「よし、行け」 馬「ひひーん」
パカラッパカラッパカラッ……
少年エルフ「いちゃったねー」
娘「これでホレ薬騒動もひと段落ね」
少年エルフ「うん」
娘「……もしかしてマンドラゴラが居なくなって寂しい?」
少年エルフ「そんなこと……ないよ。 だって、……仕方ないんだし」
娘は少年エルフを抱きしめる。
娘「大丈夫、私が居るわ」
少年エルフ「うん」
○―深夜― 古木のある丘の上
女薬師「あー、もう。 なによどいつもこいつも、一人くらい残ってもいいじゃない」ヒック
???「キラキラちょうだい キラキラちょうだい」
女薬師「うっさいわねぇ! 誰よ!!」
???「ここ、ここ そのキラキラちょうだい」
古木のウロから声が響いてくる、女薬師はウロを覗き込んだ
女薬師「こんなとこに居るなんてバカなの……あ、ぅ……気持ち悪い」
???「キラキラちょうだい キラキラちょうだい」
女薬師「あ、ダメだ。 んぐ」オロロロロロロロロロロロロロロロロ
女薬師は胃の中身をぶちまけた。
???「キラキラちょうだ……ぎょわぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」
古木のウロから???が飛び出した。
女薬師「ふぅ。 今の何? ……まぁ、いっか。 飲みなおそ」
○少年エルフの喫茶店・娘の部屋
娘(……眠れない)
―― 娘友『もしもエルフさんに好きな女の人が出来たらどうする?』 ――
娘(今回はホレ薬の影響だったし、あのAだったし。 けど、もしもパパに好きな人が出来たら……)
―― 少年エルフ『この人が娘の新しいママに……』――
娘(……あー、もう。 さっさと寝ないと)イライラ
ガチャ
少年エルフ「娘、起きてる?」
娘「どうしたのパパ」
少年エルフ「ちょっとね、眠れなくて。 久々に一緒に寝ようか」
娘「ホント!? もちろんいいわ」
○
娘「何か怖い夢でもみた?」
少年エルフ「いや……、ちょっと寒くて眠れないだけだよ」
娘「そう?」(……ウソね、泣いたあとがあるのに)
少年エルフ「そうだよ」(……娘がお嫁に行く夢で泣いたなんていえない)
娘「じゃ、こうすれば温かいでしょ」ぎゅう
少年エルフ「うん、あたたかい」(いつかは娘も……でも、今はまだ……)うとうと
娘「パパ?」
少年エルフ「すーすー」
娘(……大丈夫、エルフが私のパパなのはずっと変わらないわ)
――EiMD#20 end――
読了ありがとうございました
話のテンポはサクサクを目指してますが、ダラダラ書いてしまう性分なので削る際に解りづらくなる場面もあるかと思います
ご意見、ご感想がございましたらお気軽にレスを下さい。
ちょっとした暇つぶしになったなら幸いです。
>>8
コメありがとうございます、エルフと人間の寿命差を利用した実験作品です
>>30
コメありがとうございます、ガイドラインでsage進行でとあったのでsageてたのですが、SS入力中はsageなしでもいいのですかね? ちょっと確認してきて、よさそうだったら次回からそうしますね。
この掲示板ではage進行だったようですね。 他の掲示板と混同してしまいました、以後気を付けます。
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