あずさ「もしも、プロデューサーさんが…」 (26)
あずさ「困ったわぁ…ここはどこなのかしら?」キョロキョロ
あずさ「あと10分で生本番の収録なのに…自分がどこにいるのかも解らないなんて…」キョロキョロ
あずさ「こうなったら、大通りに出てタクシーを拾うしかないわね」キョロキョロ
あずさ「んーっと…あら?空き地?土管が積まれた空き地なんて、今時珍しいわねぇ」
あずさ「あ、あそこに電話ボックスがあるわぁ!でもデザインが変わってるわね…それにどこかで見た覚えが…?」
あずさ「……これって、もしかして?」
ガチャッ。バタン。
ジーコ。ジーコ。プルルルルルルル。
あずさ「も、もしもプロデューサーさんが…私の…う、運命の人だったら!」
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あずさ「……なーんてね、ウフフ」
あずさ「子供の頃に読んだ漫画に出てた、あの電話ボックスかもって思ったけど、やっぱりそんなワケないわよね」
あずさ「あ、いけない!早く行かないと収録に間に合わないわ!」タッタッタッタッタッ
……ジリリリリリリリリ!
???「もう!勝手に持ち出しといて、忘れて帰るなんてどうしようもないなぁ!」
???「あーもう、やっぱり空き地に置きっぱなしだったよ…もうアイツには絶対道具は貸さないぞ!」プンスカ
???「……あれ?今の女の人って、もしかしてアイドルっぽかったなぁ…星野スミレかな?」
???「……ま、そんなワケないだろうね」
律子「ふぅ…今日もどうにか乗り切れましたねぇ」
あずさ「すみません、結局遅刻ギリギリになっちゃって…」
亜美「大丈夫だよー、本番3秒前に間に合ったんだから全然セーフだよ!」
伊織「まぁさすがに今日はヒヤヒヤしたけど…まぁ結果オーライよね」
律子「いつも道に迷うのに、結局いつも間に合うのってある意味才能ですよねぇ…ただ今帰りましたぁ」
亜美「たっだいまーああーんあんあん♪」
伊織「はーいただいまー」
あずさ「ただいまぁ」
ガタッ!
P「あずささん!!」
あずさ「は、はい?」
P「お疲れ様でした!収録はどうでしたか!?」
あずさ「え?あ、はい。どうにか間に合いましたけど…」
P「……良かった!」ギュウウウゥゥッッ
あずさ「!?」ビクッ
律子「なっ!?」
亜美「んえぇっ!?」
伊織「」
P「心配しました…途中で事故に遭ってやしないかって…無事で良かった…!」ギュウウウゥゥッッ
あずさ「ちょ、プロデューサーさん!?わ、私は大丈夫ですから…ふぁっ!?」ビクビクッ
律子「な、何やってるんですかプロデューサー!あずささんから離れなさい!!」グイグイ
亜美「うっひゃー…兄ちゃんとあずさお姉ちゃんって、そーゆー関係だったの?」
伊織「」
続きは21時頃に。
律子「……で?一体どうしたって言うんですか?」
P「どうしたって…俺はただ心配で心配で…」ギュッ
律子「……百歩譲って心配したってのはまぁ良いでしょう。ただでさえ方向音痴のあずささんから目を離した私の落ち度でもありますし」
P「だろう?もしかしたらって、俺も事務所を飛び出して捜索しようと思ってたトコだったんだ」ギュッ
律子「……とりあえず、あずささんの手を握るのをやめてもらえませんか?」
P「イヤだ」ギュッ
あずさ「……//////」
律子「……プロデューサーって、そんなにあずささんに対して、何て言うか…過保護でしたっけ?」
P「過保護?何を言ってるんだ?あずささんを守るのは俺の当然の勤めじゃないか!」ギュッ
あずさ「ぷ、プロデューサーさん…」ドキッ
律子「…ちょっと、小鳥さん!これどうなってるんですか!?」
小鳥「わ、私にも何が何だかさっぱり…」
律子「え、でも何で急にこんなになっちゃったんですか?確か私が今日事務所出た時は普通でしたよね?」
小鳥「ええ、そうなんです。でも、お昼頃から急に…」
律子「お昼頃って、竜宮小町が生本番に出演してた辺りですか?」
小鳥「そうです。実はその時…」
ホワホワホワホワホワー…♪回想へ→
小鳥『そろそろ竜宮小町が生出演する時間ですねぇ』
P『あ、本当だ。でもあずささんまた迷子になってないかなぁ?』カタカタカタカタ
小鳥『…あり得るかも。でもいつも、なんだかんだで間に合うから不思議ですよねぇ』
P『もう芸能界の七不思議と言っても過言じゃないかも知れませんね』カタカタカタカタ
小鳥『そうかも…ウフフ♪』
P『あっははは…はは…は』カタ、カタ、カタ
ガタッ!
P『……行かなきゃ』
小鳥『え?』
P『あずささああああん!今行きますよおおおおお!!』
小鳥『え、ちょ、プロデューサーさぁん!?』
小鳥「って感じで、突然おかしくなっちゃって…」
律子「直前にあずささんの事を話してたにしても、あまりにも急変過ぎますよねぇ…?」
P「あずささん、今日も相変わらずお美しいですね」ギュッ
あずさ「え、えぇっ?あ、ありがとうございます…//////」ドキドキ
亜美「ねーねー、兄ちゃん達ってもしかしてつき合ってんの?」
あずさ「あ、亜美ちゃん!そんな事あるワケ…」
P「おいおい、俺達はつき合うどころか、もうすぐ結婚する仲なんだぞ?」
亜美「ぅぇえっ!?」
律子「はぁっ!?」
小鳥「ピヨォッ!?」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん!?」
伊織「」
P「あずささん、今度のオフに俺の実家に行きませんか?両親にもあずささんの事を紹介したいですから」
あずさ「ちょ、ちょっと待ってくださいプロデューサーさん!」
P「え?あ、そうか。まずは僕があずささんの御両親に挨拶に出向くのが筋ですよね。すみません」
あずさ「そ、そういう事じゃなくってぇ!」
律子「ぷ、プロデューサー?本当にどうしちゃったんですか?頭ぶつけました?変な物食べました?危険なクスリでもやってます?」
P「何だ律子…あずささんに対する俺の想いを疑ってるのか?」ギラリ
律子「い、いえ!別にそういうワケでは…」アタフタ
バァンッ!
小鳥「プロデューサーさん、ご自分の立場を弁えてください!」
あずさ「こ、小鳥さん…」
小鳥「あずささんは765プロ所属のアイドルで、竜宮小町のメンバーです。今が一番大事な時期なんですよ!?」
亜美「ぴ、ピヨちゃんが怒りのハイパーモードになってる!?」
律子「そりゃ怒って当然でしょ(先を越された事への焦りもあるのかしら?)」
小鳥「そしてアナタは765プロのプロデューサー!プロ!デュー!サー!プロのデューサーですよ!?」
小鳥「言い方は悪いですけど、あずささんは我が社の大事な商品でもあります。アナタはそんなドル箱アイドルの商品価値を著しく傷つけようとしています。プロデューサーたる者、それだけはやってはいけないタブーなんです!!」キシャー!
亜美「そうだそうだー!兄ちゃん反省しろー!」
伊織「そうよそうよ!アンタなんかタングステン鋼の角に頭ぶつけて[ピーーー]ば良いのよ!」
律子「いや、それは普通に死ぬでしょ…」
P「……小鳥さんの言う事はごもっともです。僕も、それは許されないと考えています」
P「あずささんのファン、竜宮小町のファン、そして社長やみんな、765プロに対する最大の裏切りだとも理解しています」
小鳥「でしたら…」
P「だから、こうします!」
P「僕とあずささんとの間に産まれた子を頑張って育てて、いずれは立派なトップアイドルにしてみせます!!」
小鳥「」
律子「」
亜美「」
伊織「」
あずさ「プロデューサー……さん……」キュゥン
P「その為にも最低3人は産んでもらって、業界初の3姉妹ユニット、または三つ子ユニットを765プロからデビューさせ、頂点を獲ります!あずささんの遺伝子ならそれは充分可能です!」
小鳥「……はぁ、そうですか」ポカーン
律子「……まぁ、頑張ってください」ポカーン
亜美「ほえー…兄ちゃん熱いなぁ…」ポカーン
伊織「」バタンキュー
あずさ「プロデューサーさん…」キュンキュン
P「あずささん…」ギュッ
あずさ「は、はい…」ドキドキドキドキドキドキドキドキ
P「僕と……僕と……!」ギュッ
あずさ「はい……はい……!」ドキドキドキドキドキドキドキドキ
???「もう!いい加減ボクのスペアポケットを勝手に持ち出すのはやめてよ!」プンスカ
???「ご、ごめんよぅ。ほんの出来心で…」ションボリ
???「コレも空き地に置きっぱなしだったし、誰かに勝手に使われてたらどーすんだよ!」プンスカ
???「だから謝ってるじゃないかぁ…どら焼きあげるから機嫌直してよぉ」
???「む、まぁそれなら……って、やっぱり!ボックスが使われてるよ!通話履歴がのこってる!」
???「えぇっ!?ど、どうしよう!」アタフタ
???「早く解除しないと!」ジーコ、ジーコ、プルルルルルル
???「もしもし!?元に戻れ!!」
ジリリリリリリリリ!
P「僕と……って、あれ?え?」キョトン
あずさ「……プロデューサーさん?」
P「え?あ、あずささん?どうして僕の手を握ってるんですか?」
小鳥「…え?プロデューサーさん、もしかして…」
律子「…正気に戻りました?」
P「正気にって何だよ?まるで俺がおかしいみたいに…」
亜美「いや、今の今までおかしかったんだよ?今まさにあずさお姉ちゃんにプロポーズしようとしてたの、覚えてないの?」
P「ぷ、プロポーズぅ!?だ、誰が?俺が?あずささんにぃ!?」アタフタアタフタ
P「う、嘘だろ?嘘だよな?おい亜美!大人をからかうんじゃないぞ!?」アタフタアタフタ
律子「これは…」
小鳥「本当に何も覚えてないみたいですね…」
あずさ「そ、そんなぁ!?あとちょっとだったのにぃ!!」
P「え?」
律子「え?」
小鳥「え?」
亜美「え?」
あずさ「…え?あ、その、えっと……//////」モジモジ
あずさ『や、やっぱりあの電話ボックスは…本物だったのかしら?で、でももし本物なら、どうして途中で効果が切れちゃったのぉ!?』
あれから数日が経ちましたが、やっぱりプロデューサーさんはあの日の事を覚えていませんでした。
プロポーズ寸前まで行ったのに、まるでそんな事は無かったかのような感じです。
時々プロデューサーさんと目が合うと、どちらからともなく目をそらしてしまいます。やっぱり恥ずかしいからなのかしら…?
でも何だか、ほんのちょっとだけお互いの距離が縮んだような…そんな気がします。
結婚は出来ませんでしたが、今となってはそれで良かったと思います。
だって、不思議な道具の力に頼って幸せを手に入れても、それは何か違うような気がするから。
それに、私の運命の人が誰なのか…もう解っちゃいましたから。
その人がもう1度プロポーズしてくれるまで…私、もう少しだけ待ってみます。
その人から言ってくれないなら、思い切って私から打ち明ける事も考えてますけどね♪
春香「あっれー?ここどこぉ?」キョロキョロ
春香「何でこんな知らない町に入ろうなんて思っちゃったのかなぁ…早く帰ろうっと」
春香「…うわっ、何この懐かしい感じの空き地!いかにも昭和!って感じだなぁ」
春香「あれ?あそこに何か落ちてる…何だろこれ?」
つづく。
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